👪✨磯野家25years later…【夏】

～37回目の夏～…

『ねぇカツオ君､この家具は何処に置けばいい？』

『あ､えぇ～っとそれは…そうだな電話の横にでも…』

『じゃこのテーブルは？』

段ボール箱の山で2LDKのマンションの部屋の中は足場もないくらいに埋まっていた…

『浮絵さん！』

『ん？…何？』

鉢巻きをして汗を流す磯野カツオが荷解きをしていた妻の磯野浮絵に声を掛けた…

『カツオ君って君付けはやめて下さいよッ､何か…』

『子供扱い？…ふふふ､だったらカツオ君も浮絵さんってさん付けで呼ぶのやめてくれない？』

二人は顔を見合わせ笑った。初夏から夏に向かう空の太陽は果てしなく遠くに見えるような気がする…

『今日ワカメに夕食誘われてるんですけど…』

『うん知ってる…６時だよね！』

浮絵は荷解きを終えパンパンと手を払うと風呂の掃除を始めた。

（新婚生活…かぁ…）

カツオは浮絵の三角巾姿を見ながらしみじみとこれまでの自分の人生をひもといていた…

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>> 1 今から５年前の春、トルコに本社を置く地中海式リゾートホテルの支店長だったボクは突然伊佐坂浮絵さんからプロポーズを受けた…浮絵さんはずっとボクの事が好きだったと告白した。


～５年前の雨がしとしと降る春の夜～


『あのぅ…話って何ですか浮絵さん？』

『あ…う､うん…』

浮絵さんは視線をくるくる動かしながら落ち着かない様子でボクの手を握った。

『思い切って言うわね…ハァ～ん～どうしよっ…ハァ…』

『……浮絵さん？』

ただならない事だとは感じてはいた。だけどまさか浮絵さんの口からそんな言葉が出るなんてボクは夢にも思わなかった…

『私はカツオ君の事が…好き！ずっと前から好き！年甲斐もなくって笑われるかも知れないけど…この気持ちは41歳になった今でも変わらない。』

『う､浮絵さん……』

ボクは頭を何か固いハンマーみたいな物で思い切り殴られたような衝撃を受けた。浮絵さんはそれから暫く視線を合わせなかった…

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>> 2 ボクはてっきり浮絵さんの同じ職場で勤務していた同僚の佐々木孝と結婚するもんだと思っていた。当時浮絵さんが佐々木孝と付き合い出したと風の噂で聞いていたから…それなのに何故？という疑問が頭を霞め続けた。

『佐々木君とは…別れたんだ…』

『え……？』

『彼も私を真剣に愛してくれたんだけど…』

歩道橋の上で浮絵さんの傘にネオンが反射した。

『カツオ君が好きだって気持ちはずっと…ずっと変わらなかったのね。いつ誰と付き合おうが…色んな人と付き合えば付き合う程私の心は確信に変わっていった…やっぱり私にはカツオ君が一番なんだって。』

浮絵さんは歩道橋の欄干に肘をつき､時折流れる車のヘッドライトを眺めながら遠くを見つめていた…

『ごめんね､それだけなんだ…だから別にどうこうして欲しいだなんて…ただ…ただカツオ君に言っておかないと私多分この先一生後悔するって…』

『浮絵さん……』

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～現在～


『お兄ちゃぁ～ん！浮絵さぁ～ん！こっちこっち！』

『チッ､んもぅおいワカメ…その頭の上から出るような金切り声やめてくれよッ！』

駅前の噴水で待ち合わせをしていたワカメは二人を見つけるなり大声で手を振った。

『お久しぶりワカメちゃん､お父様の法事以来かな？』

浮絵がピンクのジャケット姿のカツオの妹､磯野ワカメに話し掛けた。

『そうですよ～仕事が忙しいって浮絵さんなかなか逢ってくんないんだも～ん♪』

ワカメは浮絵の腕に自分の腕を巻き付けるとさ､行こ行こ！とカツオを置き去りに歩き出した。

『お､おいちょ､ちょっと待てよッ､ボクもいるんだぞッ！』

『お兄ちゃんは単なるお～ま～けッ！ね～浮絵さん♪』

カツオがまるで熱愛カップルのように腕を組む浮絵とワカメの後を追いかけた。

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『うわ…すげぇ人…』

予約していた多国籍料理を出す居酒屋はもう会社帰りのサラリーマンやカップルで満員だった。ワカメは店員に予約済みを報告した。

『電話で予約していた磯野カツオです。』

（チッ､ワカメが誘ったんだろ､ったらワカメの名前で予約しろよな！）

カツオはワカメの根っからの仕切り屋気性に毒づいた。

妹のワカメは７年前、小学生時代からの同級生であった横山淳と結婚したのだが横山の度重なる浮気癖に剛を煮やし結局結婚生活は３年で終焉を迎えた…今は性を横山からまた磯野に戻し母親フネと実家で細々と独身生活を送っていた。

『そろそろどうなんだよワカメッ…』

『どうって何が。』

鈍い奴だなぁ～､再婚だよ再婚ッ！とカツオは首を捻った。

『男はもう…懲り懲り。』

『ハァ～それは百戦錬磨のいい女が言うセリフ！ワカメには似合わない似合わないッ！』

相変わらず妹へのカツオの冷たい言葉にワカメはふて腐れた。

『お兄ちゃん達のほうこそどうなってんの､結婚式！』

ワカメの言葉にカツオと浮絵は顔を見合わせた。

『ボクらはほら…ね。』

『もう結婚式挙げる年齢でもないし…』

浮絵の一言にワカメは少し淋しそうな表情をした。

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又、放りっぱなしですか？ 楽しみにしても、この繰り返しでは疲れます。私は、貴方の小説が好きです。好きだから、ずっと待っていました。待ちくたびれたよ。がっかりさせないでよ‼

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ﾋﾞﾘｹﾝ㍼💀さん久しぶりっ子🙋
この👪✨磯野家～スレを見つけた瞬間にﾎﾟﾁｯとなとお気に入り登録しやした😁
復活おめでとう🎉✨
更新待っとります😚
草場の陰から応援するサブ🍺…もといアル🍺より😁つうかミクル来て先月で四年目突入😂

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