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泡風呂は湯冷めにビールの旅

レス3 HIT数 1783 あ+ あ-

ゆ～な（ ♀ 5n4Dh ）
08/03/01 04:21(更新日時)

就職４年目に不動産分譲をしていた僕の会社は倒産した。

なぜかって？

バブル絶頂期に都市開発を手掛けていた僕の会社は不動産を多く買い占めていたんだ。

で、不動産の分譲をしたはいいけど、経済は一気に急降下。

確かに、責任は経済の異常さに気付きながらも、目先の「儲け」に手を出した会社にある。
でも、それって当たり前だよね。
何があるかわからない世の中だから、とにかく先に利益。
たまたまタイミングが悪かっただけ。
…だと思いたい。

というわけで、あっという間に日本は夢から目を醒ましたわけだ。
で、僕は前向きに新しいビシネスを探しに旅へと出ることにした。
車？ないょ。そんなもん。徒歩…。
ホテル？そんな金あらへん！テントだ。
だから住所不特定。

でも一応、実家があるから大丈夫。

てなわけで、放浪の旅に行ってきま～す！

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No.927185　08/02/29 01:02(スレ作成日時)

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引っ越しの退去費用が安くなる可能性があります！

No.1 08/02/29 02:30
ゆ～な ( ♀ 5n4Dh )

★旅14日日前★
1991年1月。
不動産分譲を営む会社に入社して４年目、僕は都心に近い商業地域のグレーないし銀色の近代的な本店ビルに異動した。
しかも地下鉄の駅から徒歩で５分の場所だ。不動産業界では８０ｍを１分として計算するから、約４００ｍの位置に本社がある。
もちろん夜はネオンの街に変わる。ピンクやブルーに光る世界はまさに大人の遊園地だ。
大人の遊園地のドリンクコーナーではビールなんて飲まない。小さい氷のようなグラスに高級ブランデーや樽の香りをばら蒔く高級ウイスキーしか飲まないのだ。
そんな世界に今日も浸ろうと日夜仕事をするわけである。
といっても今のご時世、投機目的で不動産を買いたい人なんていくらでもいる。
だから、営業はあまりする必要はない。

そんなある日、１つ上の階にある休憩室に行こうとする僕を久米田課長が呼び止めた。

メンソールのタバコを灰皿に置きっぱなしにしながら、真剣な面持ちで北海道へ出張してほしいというのだ。

実は僕の会社はリゾート開発地周辺の土地を一部買い占めていて、そこの分譲の視察と行政手続きの確認をしてこい、とのことだ。

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No.2 08/02/29 02:44
ゆ～な ( ♀ 5n4Dh )

しかも、現地に購入したいという人がいるそうなので「重要事項の説明※」をして、さらに契約もしてこいという。
※不動産の売買等をする際、契約前にどんな法律や条例で制限されているか、どんな不動産かということを有資格者(宅地建物取引主任者)が説明しなければならない。

というわけで、急遽明日北海道へ旅立つこととなってしまい、しばらく遊園地はお預けとなった。
まぁ、ススキノをたっぷり堪能して来る予定だけど！そう考えると気分がだんだん上がり、買うはずだった缶コーヒーのことなどすっかり忘れて、鼻唄混じりに書類をまとめ始めるのであった。

この北海道への旅と出会いが今後の人生を変えるとは知らず。

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No.3 08/03/01 04:21
ゆ～な ( ♀ 5n4Dh )

★旅13日前★

出張の日、僕は仕事の最終確認するために旅行荷物一式を引きずりながら会社に立ち寄ることにした。

皮膚に氷をつけたような痛い寒さの朝だったが、それが逆にいつもと違うように感じるのであった。

地下鉄を降りて会社に向かう途中、自動販売機でお気に入りの缶コーヒーを買った。

その缶を片手に会社へ入ると、朝一に出勤していた紺の制服に赤い大きなリボンを胸につけた受付嬢が「おはようございます」と満面の笑みで挨拶をしてくれた。

毎日見てる笑顔も今日はとても新鮮に感じるのであった。

朝のミーティングで課長が無意味な意気込みを話した後、書類の最終確認と簡単な打ち合わせをブースに区切られた別室で30分くらいした。

その後、慌ただしいオフィスを一人出て、タクシーで空港に向かった。

北海道で数日間も過ごす予定なので、ロシアにでも行くのかというくらいの厚い毛皮マフラーを巻いて空港へと到着した。