恋愛人生

レス116 HIT数 7930 あ+ あ-


2008/05/25 13:07(更新日時)

彼と知り合った当時、侑香には“恋人”と呼ぶべき相手が存在した。


知り合いの紹介で付き合い始めて、三ヶ月足らず。

世間で言う所の『ラブラブ』な期間であるべき相手。


しかし、侑香の中で疑問が消えなかった。



(本当にこの人を好きなのだろうか?)


元々、相手の熱烈なアプローチから始った関係だ。


付き合っていく内に、相手を本当に好きになれるだろうと考えていた。


侑香はその外見から、お高く留まっていると誤解を受ける事が少なくなかった。

ハーフの様な顔立ち。透き通る様な白い肌。整ったプロポーション。長い手足。


本人には至って悪気は無いのだが、思った事をハッキリ言う性格と外見から、彼女を遠巻きにする男性が殆どだった。


加えて仕事以外では、人見知りをするものだから、一向に恋愛の“れ”の字も無い生活を送ってきた。


そんな彼女を見兼ねた友人が紹介してくれた男性が
『柏木 尚之』だった。


大人な男性だ。


それが彼の第一印象だった。


侑香はその恋愛経験の薄さから、こんな人が自分を相手にするわけが無いと思っていた。

彼から初めてのデートに誘われるまでは。

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No.925670 (スレ作成日時)

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No.51

>> 49 ☺「キミの手」読ませて頂きました😃 両作品を、手掛けられるなんて凄いですね✨👏✨💕 尚之さん👔👓何か、ええ味出してはって👍🌟ですよっ。… ありがとうございます(>_<。)


仕事なのに不眠症で、困っております😿(涙)


取り敢えず『柏木 尚之さん』
始めに頭でイメージした人と今では、別人になってますね(笑)

あれっ❓おかしいなぁ❓❓と頭を、捻っております。

作者が、いい加減なモノでキャラクターが暴走してしまいます💦

  • << 54 ☆お仕事お疲れ様です😃 いい加減だなんて、とんでもない💦 それに、思い描いてた事と違う形になってしまうのって、結構ありますよ🐱 これからも応援🎌して行きますね📱📖❤

No.52

>> 50 非力な ましてや病人の拳は 全く 痛くなど無かった――。 恥かしさと熱のせいか真っ赤になって 今にも泣き出しそうな 彼女の潤んだ… 鼻腔をくすぐる何かに起こされた。


ベーコンが焼ける香ばしい薫りがする。


昨晩は結局 「粥」を一口ぐらいしか食べていなかった事に気付く。


彼は床で眠ったのだろうか?


この部屋に寝具と呼べる物は侑香のベッドのみだ。


申し訳なく思う。


『お目覚めですか?』

床で一晩を過ごした事など、微塵も感じさせない 空気を纏う。


一糸、乱れのない


清廉潔白な人―――。



そんな筈無い事は 百も承知の上で

騙されそうになる―――。


騙されても良いとさえ 思わせる【オーラ】があるのだろうか…。



『ご気分は?』


思わず見惚れていた。

目を逸す。


『あ 昨日は ぁ ありがとうございましたッ…。

大分 楽になりました。』


思いっ切り 他人行儀な言い方をしてしまう。


『そうですか…。

でも 油断はいけません。今日はゆっくり休んで下さいね。』


『 …は ぃ―――。』

昨夜の出来事は まるで夢の中で、起きたかの様に感じる。


尚之が


『今度は冷めないうちに、食べませんか?』


と促す。

No.53

>> 52 『料理 お上手なんですね。』


世辞などではなく 言う。


『一人が長いもので―――。』


嘘か本当か 判別出来ないぐらい サラリと言ってのける。


『元気に なられて 何よりです。』


ニッコリ。


笑ってるけど 恐い―――ッ


何か 怒って らっしゃるん でしょうか?


言葉に棘がある。



ひょっとして さっきの他人行儀な態度に???


無意味にビクビクしてしまう。


『 ご ご馳走様で す。』


『 お粗末様でした―。』


立ち上がろうとする

その腕を掴まれた。


見上げられる視線が


熱い―――。


『あの時
 
 何を しようと
 
 していたんですか? 』


知ってるくせに、わざと意地悪く 訊いてくる。


完璧なるサディストに捕まってしまったようだ。


『し 知りませんッ。』


『困りましたねぇ。



 まだ


 出勤まで二時間以上 も


 余裕がある。』



『~~~~ッ?!?』


『体調も良くなられた みたいですし。』


『夕べの 


 アレを【同 意】と 見做す
 なら



 続きをして 


 さしあげても


 構わないんですよ。  』


笑顔に およそ似つかわしく無い 言葉を口にする。

  • << 56 続きがキスの意で無い事ぐらいは 容易に想像がつく。 その綺麗な瞳に射竦められ、体が動かなくなる。 『~~~ッ――ぁ あのッツ  熱が まだ あたしッ 』 『嘘はいけません。』 ドクン 気が付くと ベッドの上に組敷かれ ていた――――――――― 鼓動が急速に高まる。 ドクン  ドクン 『ぃ…やッ』 頭の中が真っ白に―――。 ドクッ  ドクッ  ドクッ 鼓動だけが激しく耳に響く。 『 や …ッぉ願いッ』 『 フッ 嫌がられると逆に燃えますね。』 両手首を 押さえられて もがいても、逃げられそうにない。 細い腕から放たれる 異様な力に、彼の中の【男】を感じ―― 恐怖に目を閉じた。 『……クッ……クス…クス―――』 『――???―ッ』 『すいません。あなた が  あまりにも  可愛いかったので  つい 可虐心に  火が付いてしまいました。』 震える侑香を起こし、優しく抱き締める。 『…~~~ッ~~――』 普通なら怒り心頭のところだろう。 しかし 何故か 彼の胸の中で その腕に包まれているうちに 安心してしまう不可思議な自分がいた。

No.54

>> 51 ありがとうございます(>_<。) 仕事なのに不眠症で、困っております😿(涙) 取り敢えず『柏木 尚之さん』 始めに頭でイメージした人… ☆お仕事お疲れ様です😃


いい加減だなんて、とんでもない💦


それに、思い描いてた事と違う形になってしまうのって、結構ありますよ🐱


これからも応援🎌して行きますね📱📖❤

No.55

>> 54 ―注意書き&澪さんへ――


ありがとうございます🙇⤵


お疲れ様です✨


実は少し内容が…



苦手な方は読まれない方が、良い方向に行きそうです🙉💦

書いてて恥ずかしいです🙈でも書いてる本人は、楽しくて止められません🎵


尚之がSキャラ過ぎて…引いてしまうかもしれません💧



もし先を読まれる方はご了承下さい。

  • << 57 ☆ご報告有り難うございます❤ 大丈夫ですよ(笑) 引くどころか、楽しみながら読ませて頂きますわよ💕 ◇それからレス有り難うございます🐱 気にしないで何でも愚痴って下さいね。

No.56

>> 53 『料理 お上手なんですね。』 世辞などではなく 言う。 『一人が長いもので―――。』 嘘か本当か 判別出来ないぐらい サラリと言… 続きがキスの意で無い事ぐらいは


容易に想像がつく。


その綺麗な瞳に射竦められ、体が動かなくなる。


『~~~ッ――ぁ あのッツ  熱が まだ あたしッ 』



『嘘はいけません。』

ドクン


気が付くと


ベッドの上に組敷かれ ていた―――――――――


鼓動が急速に高まる。


ドクン  ドクン


『ぃ…やッ』


頭の中が真っ白に―――。


ドクッ  ドクッ  ドクッ

鼓動だけが激しく耳に響く。



『 や …ッぉ願いッ』



『 フッ 嫌がられると逆に燃えますね。』


両手首を



押さえられて



もがいても、逃げられそうにない。



細い腕から放たれる 異様な力に、彼の中の【男】を感じ――



恐怖に目を閉じた。






『……クッ……クス…クス―――』



『――???―ッ』




『すいません。あなた が


 あまりにも


 可愛いかったので


 つい 可虐心に


 火が付いてしまいました。』



震える侑香を起こし、優しく抱き締める。


『…~~~ッ~~――』


普通なら怒り心頭のところだろう。


しかし 何故か 彼の胸の中で

その腕に包まれているうちに

安心してしまう不可思議な自分がいた。

  • << 59   ――日曜・午後――    ◇◆宝石店◆◇ 『どういった 感じの物を お探しでしょうか?』 店員がニコやかな笑顔で、少しでも高い物を選んで貰おうと――― 精一杯の愛想を振り撒く。 『 御結婚 ですか? 』 最高の笑顔を見せる。 『 あっ え えぇ… はい。    婚約――指輪を。』 店員の勢いに辟易したように、戸惑う。 どの様なデザインが良いか?サイズや予算等を事、細かに尋ねられる。 目に眩い宝石達の群―――…。 女性が一緒にいたら、 目をキラキラさせる事だろう。 迷いに迷って 一番シンプルなデザインに落ち着く。 彼女の指に一番映えるモノを―――。 店員の深いお辞儀に見送られる。 晴天の下―――。 購入した指輪よりも、煌めいた気持ちを持って 彼女に会いに行こう―――と決める―――――      『Yes』 以外に選択肢は 考えられない。 きっと 二人は 最高の未来を創れる相手同士なのだから。

No.57

>> 55 ―注意書き&澪さんへ―― ありがとうございます🙇⤵ お疲れ様です✨ 実は少し内容が… 苦手な方は読まれない方が、良い方向に… ☆ご報告有り難うございます❤


大丈夫ですよ(笑)


引くどころか、楽しみながら読ませて頂きますわよ💕


◇それからレス有り難うございます🐱


気にしないで何でも愚痴って下さいね。

No.58

>> 57 良かったです。


引かれてしまうかも❓と内心ヒヤヒヤでした💧


ありがとうございます😺💖


またコメしますね🙋

No.59

>> 56 続きがキスの意で無い事ぐらいは 容易に想像がつく。 その綺麗な瞳に射竦められ、体が動かなくなる。 『~~~ッ――ぁ あのッツ  …   ――日曜・午後――


   ◇◆宝石店◆◇



『どういった 感じの物を お探しでしょうか?』


店員がニコやかな笑顔で、少しでも高い物を選んで貰おうと―――
精一杯の愛想を振り撒く。



『 御結婚 ですか? 』


最高の笑顔を見せる。

『 あっ え えぇ… はい。
 
 婚約――指輪を。』


店員の勢いに辟易したように、戸惑う。


どの様なデザインが良いか?サイズや予算等を事、細かに尋ねられる。


目に眩い宝石達の群―――…。

女性が一緒にいたら、
目をキラキラさせる事だろう。



迷いに迷って 一番シンプルなデザインに落ち着く。


彼女の指に一番映えるモノを―――。



店員の深いお辞儀に見送られる。



晴天の下―――。



購入した指輪よりも、煌めいた気持ちを持って



彼女に会いに行こう―――と決める―――――


     『Yes』



以外に選択肢は 考えられない。



きっと



二人は



最高の未来を創れる相手同士なのだから。

No.60

>> 59 ――――どん底だった――――





何も手に付かない日々が続く――…




毎日起こる環境の変化にも対応出来ず。虚ろな瞳を彷徨わせていた――――――。





目に映る全てが…意味の無い物に感じられる。





朝 目覚めるのが 恐い。



目覚める度に、苦痛しか伴わない。






灰色の細胞



体中の総てが



生きる価値。



その意味を問い続ける。



答えなど出るはずも無かった―――――。










ねぇ  もしも





願いが  叶うなら 




どうか 答えて 





どうか 訊かせて





その先に安らぎはありますか――――――?



















   to be continued…

No.61

>> 60 ――――side story――――

    【Hibiki】 



    あたしの声が




    届いていますか




     あなたの



      心に



      今も




     住む人は




     誰ですか?



――――――――――――――





『 おは よ。 』



目覚めると隣に


ずっと 憧れていた人がいる。



どんなに強く願っても 決して手には入らないと


心の何処かで諦めていた人。



例え 一夜の過ちであっても構わない。


そう 思っていた―――…。


『 な  んか

恥ずかし…―ぃ――ネ』



無理に


―――過ちだったと後悔して欲しくないと―――


明るい 声を 出す。







はしゃぎ過ぎた夜を。



戻る事のない過去を。



夢見る事のない明日を。







彼の 優しいまなざしは 


一夜の関係を


割り切る事など出来ない性格を表している。


その 誠実さを。



狂おしい程の 感情で壊してしまえたら―――――



いっそ。



楽だったのに―――

No.62

>> 61 この 状況下で『謝られる事』が、何よりの 恐怖だった…。



自分でも 呆れるくらい平静を装う―――。


理解していると言いながらも 心は【No】を叫ぶ。



複雑な心境だ。 



『 栗原… 』



―――きたッ!!!



『 遅刻するといけないから

そろそろ 起きようか?』



予想外の第一声に



目が宙を泳ぐ。



長年、友達として付き合ってきた。



そういう関係になっても「友情は成立する」
と思っているのか?



それなら それで構わない。



変に ギクシャクして疎遠になるより本望だ。



片想いには慣れている。



この先何年した所で



大差は無いだろう。





少しだけ 深刻な顔をしていた様だ。


『 起きたくない?  どこか 痛めた??』


真面目に 心配そうな顔で、あたしの顔を覗き込む。



真っ赤になっていた―――と思う。



『 ッ!!? 』



涼の唇が、軽く額に触れた。


意味が判らない。


一夜の関係じゃ ないの??


過ちじゃなかったの?


そう 思わず 口に出していた――――らしい。


涼が瞳に 悲しい色を映した。

No.63

>> 62 『 栗原は オレが簡単に
「した」と思ってる―――?』



『~~~ッ―――。』


図星だ。



何も言い返せない。




だが、聞きたい衝動は押さえられない。




『 どういう 意味? 』


簡単ではなく。意味があるなら教えて欲しい。


そう 訴えたくもなる。



『 栗原が いてくれて 良かったと思ってるよ。』


感謝と愛情は別物だろうに。


と、言いたくなったが…


その素肌に触れて、欲深くなっていたのかも知れない―――。





『 オレと付き合って欲しい。』


聞いて しまった――――――

―――――――――――…。



取り返しの付かない事を してしまった後悔だけが残る。



そう この世で


最も 聞きたくて


一番、聞きたくなかった


その言葉を―――…。


肯定も否定も出来ない。



それでも 彼を 拒否する事など あたしに出来るはずなんて


無かったんだ―――。

No.64

>> 63 嘘でも 過ちでも 情でも 勘違いでも 構わないから。




傍にいたい。




その瞳に映っていたい。




その指に触れて




触れられていたい―――。






あなたが あたしを 



必要とする限り




騙され続ける覚悟は




出来ている。




その瞳に囚われて




狂うのならば




それで良い―――。



















―――――………彼の 部屋の 今は使われていない desk。




その奥の奥。





永遠に誰の目にも触れる事は無いであろう





闇を知っているから…。






        ~~Fin~~

No.65

>> 64 ――――episode3――――



後悔していた―――。



定期券を拾った事。



彼女に声を掛けた事。


定期など、放っておいても 所詮 社内拾得物だ―――。

いずれ 手元に戻る
可能性の方が高かったろうに。



いや。言い訳をしても始まらない。



彼女に 近付く手段にしたに過ぎない。




栗原が怒るのも



当たり前で、当然だろう。



しかし。



感情だけは どうする事も出来ない。



虫の良い 言い訳に 



映るであろう事は



十分過ぎる程に 理解している。




響にとって




『それ』を目の当たりにする事は



身を切られる様に


辛い事だと。


理解していたのに―――。



どうして、あの日。


書類を


『届ける。』


と言った、彼女を止めなかったのだろう?


こうなる可能性も0ではなかったのに―――。



君は 今 何を 思っているだろうか?




出会ってから、傷つけてばかりな気さえ してきた。



『 河崎 さん… 』


心臓が 停まり そうになる―――…




振り返ると 

―福原 侑香― 


が 不安気な 面持ちで立っていた。

  • << 67 昼休みの ざわめいた 周りの 喧騒が 一気 に遠のく。 空気が 張り詰めた様に  一切の 音を 失う。 何か 問いた気な 彼女の表情に 胸が苦しくなった。 『 大丈夫 ですか?』 先に 口を開いたのは 涼だった。 『 ? 』 逆に質問されて 意味が判らない様子だ。 『風邪を 引かれた と 聞きましたので。』 『…ぁッ だ 大丈夫 です―――。』 焦って 真っ赤になる。 風邪を引いた事にでは勿論無く―――それに付随する出来事を 喚起したせいだ。 涼に 不思議そうな目を 向けられているような感覚に陥る。 それを 振り払う為。 言葉を探す。 『河崎さんの』 一旦 言葉を切る。 『彼女 さん。 は 大丈夫 でしたか?』 あの日 聞こえてしまった。会話から。 部屋に忘れた 書類を 届けるくらいだ。 彼女と判断するのが適切だろう。 『 すいませんでした。』 期せずして 謝られ 戸惑ってしまう。 『大丈夫ですよ。 風邪では無い ので―――…』 あの 状態で 風邪では無い と言われると。 大丈夫では無いのでは? と訝ってしまいそうになる。

No.66

☆おはようございます☀

それぞれの切ない気持ちが、読んでいて伝わりますよ。


この先も楽しみに拝見させて頂きますね🐱


では 今日もお仕事頑張りましょう!

  • << 68 おはようございます☀ 私のお休みは 不定期で💦 本日は お休みなんです🌠🙏 普段は朝が早く、 昼から時間がある為、午後に更新する事が多くなります🙈💦 もう そろそろ完結 したいなぁ…と思っています💡(←あくまで希望ですが💦) 多分 結末は 予想通り(❓)かもしれません😱 拙い文章なのに、気持ちが伝わると言って頂けて光栄です✨

No.67

>> 65 ――――episode3―――― 後悔していた―――。 定期券を拾った事。 彼女に声を掛けた事。 定期など、放っておい… 昼休みの ざわめいた

周りの 喧騒が 一気

に遠のく。



空気が 張り詰めた様に 


一切の 音を 失う。



何か 問いた気な


彼女の表情に 胸が苦しくなった。




『 大丈夫 ですか?』


先に 口を開いたのは

涼だった。


『 ? 』


逆に質問されて 意味が判らない様子だ。


『風邪を 引かれた

と 聞きましたので。』


『…ぁッ だ 大丈夫 です―――。』


焦って 真っ赤になる。

風邪を引いた事にでは勿論無く―――それに付随する出来事を


喚起したせいだ。


涼に


不思議そうな目を


向けられているような感覚に陥る。


それを 振り払う為。

言葉を探す。


『河崎さんの』



一旦 言葉を切る。



『彼女 さん。

は 大丈夫 でしたか?』


あの日 聞こえてしまった。会話から。


部屋に忘れた 書類を

届けるくらいだ。


彼女と判断するのが適切だろう。



『 すいませんでした。』



期せずして 謝られ


戸惑ってしまう。


『大丈夫ですよ。

風邪では無い ので―――…』


あの 状態で 風邪では無い と言われると。
大丈夫では無いのでは? と訝ってしまいそうになる。

  • << 69 その 存在は 彼女が入社した 当時。 二年前から 知っていた。 声を掛けるつもりなど 毛頭 無かった―…。 目立つ容姿をしている。 悪い噂を 耳にする事も少なくない。 何度か 会釈を交わした。 その回数さえ 涼には正確に把握できる。 栗原 響と付き合う事を決めたのも 彼女の存在が少なからず 影響を及ぼしていたのだろう―――…。 怖かったのだ。 制御出来ない 感情を 持て余す。 そんな 自分自身が… 『………で すか?』 『  えっ?  』 侑香の言葉は耳に届いていなかった。 『お付き合い なさって 長いんですか?』 上の空である涼を 見て取り もう一度同じ質問を繰り返す。 『あっ…。 もうすぐ一年 です。』 少し 計算して あれから 一年も経った、事実に驚いていた。

No.68

>> 66 ☆おはようございます☀ それぞれの切ない気持ちが、読んでいて伝わりますよ。 この先も楽しみに拝見させて頂きますね🐱 では 今日もお… おはようございます☀

私のお休みは 不定期で💦

本日は お休みなんです🌠🙏


普段は朝が早く、
昼から時間がある為、午後に更新する事が多くなります🙈💦


もう そろそろ完結 したいなぁ…と思っています💡(←あくまで希望ですが💦)


多分 結末は 予想通り(❓)かもしれません😱


拙い文章なのに、気持ちが伝わると言って頂けて光栄です✨

No.69

>> 67 昼休みの ざわめいた 周りの 喧騒が 一気 に遠のく。 空気が 張り詰めた様に  一切の 音を 失う。 何か 問いた気な… その 存在は



彼女が入社した 当時。



二年前から 知っていた。



声を掛けるつもりなど


毛頭 無かった―…。


目立つ容姿をしている。



悪い噂を 耳にする事も少なくない。



何度か 会釈を交わした。



その回数さえ 涼には正確に把握できる。



栗原 響と付き合う事を決めたのも



彼女の存在が少なからず 影響を及ぼしていたのだろう―――…。



怖かったのだ。



制御出来ない 感情を


持て余す。



そんな 自分自身が…








『………で すか?』


『  えっ?  』



侑香の言葉は耳に届いていなかった。



『お付き合い なさって 長いんですか?』


上の空である涼を

見て取り もう一度同じ質問を繰り返す。




『あっ…。 もうすぐ一年 です。』


少し 計算して


あれから 一年も経った、事実に驚いていた。

No.70

>> 69 それ 以上 深く聞くのも失礼な気がしてきた。


話題を変える。


『どうして あの時
 私が〈おしるこ〉飲まないっ
 て 判ったんですか?』

馬鹿気た 質問だと理解している。


しかし


〈おしるこ〉が好きならワザワザ交換する必要なんて無い。


始めから選べばそれで済む。コーヒーを頼んだ事の理由が見付からない。




『……企業秘密です。』



唇に人指し指をあてて言う。



その顔に 少しだけ明るさを取り戻した事を確認して ホッとする。



知っていて当然だった。侑香がブラックのコーヒーを買っているところを何度か目撃していた。


そんな彼女が〈おしるこ〉を飲むとは思えなかっただけだ。



別に〈おしるこ〉が嫌いで なかったので 問題は無かった。



侑香にとっては
結局 真相は分からずじまいのまま―――…

No.71

>> 70 響は 懐かしい 浜辺に来ていた。



嘘を吐いて 仕事を サボッた事に対して
子供っぽいな と我ながら自嘲する。




秋の夕暮れ 波は穏やかで 疲れた心の膿みを 洗い流してくれるような気さえした。


平日のましてや 夕刻押迫る海に 人の気配はない。


波の音だけを、規則的に耳にしていた。


夕陽を浴びて乱反射する 水面を見つめているうちに


その瞳から涙が


頬を伝い 流れ落ち。


後から後から溢れてくる


それを拭う事もしない。


拭ったところで 無駄な試みである事は、明白だった。








この浜辺は 大学時代サークル仲間で よくバーベキューや花火をした場所だ。




その頃の 笑い声や馬鹿騒ぎ 意味の無い会話。


思い出すだけで胸が急速に締め付けられた――――…。





きっと ココに彼女がいたならこう言うだろう。



〔何を 迷ってるの?


響は いつも 迷ってるよね?


あなたの思う様にして 良いんだよ。


自分に自信持って。応援するから。〕




親友の言葉が 今も耳に


その笑顔が脳裏に鮮明に蘇る。



『あたし このままでいて 良いのかな?』

答えはない。波の音だけが静かに さざめいていた。

No.72

>> 71 誰かの幸せを願うと同時に

誰かの不幸を願ってしまっていた自分に気付く―――。



その矛盾の中で



それでも 幸せでいて欲しいと強く思った人―――…。









携帯の着信音が鳴り響く。




一気に現実に引き戻される……




液晶に浮かぶ名前。




今は目にしたくない。



しかし 心は裏腹にその相手を求めてしまう。




ためらいながらも




出てしまう自分が哀しい。




『【 今 何処にいるの?】』






『 ? !? 』



電話の声だけではない。




振り返ると 少し 寂しげな顔で




海には全く 不似合いなスーツ姿の男性。




足元から急速に力が抜ける感覚を味わった―――。




この男の 残酷な優しさからは 逃げられないだろう。




いっそ 突き放してくれたら 楽なのに。





それでも その手の温もりを求めてしまう。



呆れる程 強かに 繊細な程 もどかしく。





その手を選ぶ 苦しみを取ったなら。




墜ちるところまで




墜ちて良い。










ねぇ?




良いよね?




あたし 間違って無いよね?





応援して くれるでしょ?




詩織………。

No.73

>> 72 『 侑香さんは どうして 一人暮らしを? 』 


いきなり 尚之に質問されて戸惑ってしまう。


透から 侑香の親は 厳しいらしい と聞かされていた。


正確に言えば 陶子からの情報だ。


勝手だが


尚之としては 親元にいてくれる方が 心配の要因は減るのだ。



『あ…

 ウチは 私が中学生の時に 両 親が離婚していて。

 私と弟は父に引き取られたん です。』


何故か 訊いてはいけない事に触れてしまったような気分になる。


そんな空気を 察して侑香は更に続けた。



『もう 昔の話しです。気にしないで下さい。

父はその後、再婚しました。』



『お義母さんは優しい人です。

勿論 好きですよ。

でも 親の庇護の元ではなく 一人で、住んでみたかったんです。』



優しく笑う。



日曜日の公園。ベンチに腰掛けて。




秋の紅葉を見物する為か 家族連れで賑わっていた。



今時 何処の家族にでもある話しなのかも知れない。



しかし、彼女の優しい笑顔の奥に 隠された悲しみに気付き



人の目が無ければ侑香を抱き締めたい



そんな衝動に駆られていた―――…。

  • << 76 最後に母に会ったのは三年前だ―――。 昔より細く小さくなった背中に、余計に寂しさを感じた。 母親も再婚をしていた。 元より離婚の原因は、母の側にあったらしい―――当時、中学生や小学生だった私達には隠されていたが。 思春期の多感な時期だ。 敏感にその変化を 感じ取ってしまっていた―――…。 『…侑 香さん?』 『ご ごめんなさいっ。』 食事の後。 尚之の運転する車の助手席で、物思いに耽っていた様だ。 真剣な瞳に見つめられると 相も変わらず、ドギマギする。 『あなたは 感情を押し殺し過ぎです。』 一番 畏れていた部分を指摘され動揺する。 『そ そんな事 無いっ…―――です…。』 『もう少しだけ 僕に本心を 話して頂けませんか?』 暴かれる事が 怖い―――。 『 な 尚之さんだって あ     あたしに   …本性 隠してたくせに        ッ!』 図星を指されて、逆切れなんて―――…恥ずかしい。 『 フッ… 確かに そうですね。 』 あっ ……ヤバッ――― 彼のサディスト スイッチを押してしまった事に気付き慌てる。 が、かなり手遅れだったようだ―――。

No.74

☆楽しい休日を過ごせましたか??😃💕


「恋愛人生」・「キミの手」・「背徳」


3作品、どれも好きです(^艸^)


尚之さんの学生ver.も、面白そうやぁ
(^-^)~💖

No.75

>> 74 ありがとうございます🙇⤵



出来れば

楽しんで頂けたら嬉しく思います✨💮✨


『キミの手』をなかなか更新 出来ないのは
『尚&先輩』のせい ですかね🙉💦
書いてて楽しいです💖

澪さんは関西の方でしょうか?レスに関西系の口調が😺


あ 答えにくければスルーして下さいね💦

  • << 79 ☆今晩わ😃 明日・明後日⭐会社休み🙌かなり嬉しい🎉土曜日は、友達と日帰りですが、温泉♨と美味しい物🍴食べて憂さ晴らしてきます(^^) 質問やけど、はい😃関西に住んでますが大阪では無く 奈良在住なんです。 詩人さんは どちらに、お住まいでしょうか?🗾 📖尚之さんの(後もう少し‥と言う)行動に🚗💕ちょっと、にやけてしまいました(笑) また更新されたら読みますねー。 2作品も勿論 拝見致します😊

No.76

>> 73 『 侑香さんは どうして 一人暮らしを? 』  いきなり 尚之に質問されて戸惑ってしまう。 透から 侑香の親は 厳しいらしい と聞か… 最後に母に会ったのは三年前だ―――。


昔より細く小さくなった背中に、余計に寂しさを感じた。


母親も再婚をしていた。


元より離婚の原因は、母の側にあったらしい―――当時、中学生や小学生だった私達には隠されていたが。


思春期の多感な時期だ。

敏感にその変化を 感じ取ってしまっていた―――…。










『…侑 香さん?』


『ご ごめんなさいっ。』


食事の後。

尚之の運転する車の助手席で、物思いに耽っていた様だ。



真剣な瞳に見つめられると

相も変わらず、ドギマギする。



『あなたは 感情を押し殺し過ぎです。』


一番 畏れていた部分を指摘され動揺する。

『そ そんな事 無いっ…―――です…。』

『もう少しだけ 僕に本心を 話して頂けませんか?』


暴かれる事が 怖い―――。


『 な 尚之さんだって あ
 
  あたしに

  …本性 隠してたくせに  
  
  ッ!』


図星を指されて、逆切れなんて―――…恥ずかしい。


『 フッ… 確かに そうですね。 』


あっ ……ヤバッ―――


彼のサディスト スイッチを押してしまった事に気付き慌てる。


が、かなり手遅れだったようだ―――。

No.77

>> 76 『ど どこに?』

もうすぐ0時だ。

シンデレラの門限はもうすぐ。

侑香の質問を無視して、車は怪しげなネオン街へと入っていった。


ラブホ街だ。


嘘…ッ―――!?


冗談だよね?


また からかわれてるんだよね?


車が停車した。ホテルの前ではない。ホッとした。


周りには何台か車が停まっている。


何やら、皆一様に揺れているような―――――ッ??!!!!!――――って


カ カー……セッ…ク ス!?!!


侑香は俯いたまま。耳まで真っ赤だ。


その姿を冷静な視線で、ゆっくり視姦される。


痛いほどの視線を感じていた。


『さて どうします?』

『 ど ど どうしますッ て ~~~~ッなっ 何が です か ? 』

有り得ないぐらいに吃る。

車のシートが 倒され―――


尚之に覆い被さられる。

『 やっ…―― また からかってるんですよね? ね? 』

少しの望みを懸けて聞く。

『 さぁ あなた次第です。』

含み笑い

彼の唇が 侑香の首筋におりていった。


初めて 男性の唇に触れられた首筋に

『ッ~~んッ!…ッ…やッ…ンッ …――』


思わず良い音で鳴いてしまう。


『 そんな 声出されると 止めてあげられそうにないですね。』

No.78

>> 77 瞳に涙が滲む。


『ッ…や やだぁあ。

こんな…っ~~ッ車で初めて なんて やだぁ』


『 クス… こんな車とは失敬ですね。

場所の問題なんですか? 』


驚く程、冷静に訊かれる。


『違ッ―――~~でも嫌なのぉ…~ッ』


尚之の胸を押す。


『 オレが 嫌? 』


侑香が動きを止める。


『 ち 違いま す… 』


『 じゃあ 好き? 』



『……~~~ッ は ぃ… 』


何だか悔しくて、消えそうな声を出す。



『んっ? 聞こえません ねぇ。』


楽しそうな声。


厭くまで、サディストな男だ。



『 す 好きですッ…。』



一瞬の間。



『はぁ~~…。困った人だ。

そうやって

最初から ちゃんと言ってくれ

たら

泣かなくて済んだのに……。』


泣かせた張本人が


ヌケヌケと言う。


『こっちだって 嫌ですよ。


大切な人との 初めてが


車で無理矢理なんて ね…。』



侑香から 離れて 聞こえない様に。


呟いた―――。

  • << 82 彼女からの初めてと言っても良い―――愛情表現の言葉を聞いて、 先程から、顔の表情筋は弛みっ放しだ。 【~virgin~・―処女―】なん て 面倒臭い&重い。 過去の経験からずっとそう思っ てきた。 彼女があまりにも 男慣れしていない為。 まさかとは、思ったが―――…。 やはり そう…らしい。 なのに、どうしてだろう? 重いどころか、嬉しい。 誰にも荒らされていないエデン。 彼女にはこの先、何人たりとも、触れて欲しくはない。 というより 触れさせはしない。 この先――― 未来永劫 彼女を穢すのは、自分だけで良い――― その涙も それを拭うのも その怒りも 笑顔も オレだけが―――。 呆れる程の独占欲に 我ながら 恐ろしくなる。 恋は盲目とは よく言ったものだな―――。

No.79

>> 75 ありがとうございます🙇⤵ 出来れば 楽しんで頂けたら嬉しく思います✨💮✨ 『キミの手』をなかなか更新 出来ないのは 『尚&先輩』… ☆今晩わ😃

明日・明後日⭐会社休み🙌かなり嬉しい🎉土曜日は、友達と日帰りですが、温泉♨と美味しい物🍴食べて憂さ晴らしてきます(^^)


質問やけど、はい😃関西に住んでますが大阪では無く 奈良在住なんです。


詩人さんは どちらに、お住まいでしょうか?🗾


📖尚之さんの(後もう少し‥と言う)行動に🚗💕ちょっと、にやけてしまいました(笑)
また更新されたら読みますねー。


2作品も勿論 拝見致します😊

No.80

>> 79 わぁ🙆


私 実は、半年前までずっ~と奈良県民でした💡


すごい偶然✨嬉しいです💮


今は大阪人です🎵



お友達とゆっくりしていらして下さいね😺

No.81

>> 80 ☆私も嬉しい😊何となく親近感💕を持ってしまいました😃❤
これからも仲良くして下さいね♊


有り難う!明日 楽しんで来ます(≧▽≦)

  • << 83 こちらこそ➰ (*´ω`)💖親近感、涌きました⤴ 温泉♨楽しんで来て下さいね✨🙆✨

No.82

>> 78 瞳に涙が滲む。 『ッ…や やだぁあ。 こんな…っ~~ッ車で初めて なんて やだぁ』 『 クス… こんな車とは失敬ですね。 場所の… 彼女からの初めてと言っても良い―――愛情表現の言葉を聞いて、

先程から、顔の表情筋は弛みっ放しだ。





【~virgin~・―処女―】なん



面倒臭い&重い。

過去の経験からずっとそう思っ

てきた。





彼女があまりにも 男慣れしていない為。




まさかとは、思ったが―――…。




やはり そう…らしい。





なのに、どうしてだろう?




重いどころか、嬉しい。



誰にも荒らされていないエデン。



彼女にはこの先、何人たりとも、触れて欲しくはない。




というより 触れさせはしない。




この先―――




未来永劫




彼女を穢すのは、自分だけで良い―――



その涙も



それを拭うのも



その怒りも



笑顔も



オレだけが―――。



呆れる程の独占欲に



我ながら 恐ろしくなる。





恋は盲目とは よく言ったものだな―――。

  • << 84 彼が、いつか言った通り 本気に させられているの? 事実を認めたくない 自分がいる。 仕草に鼓動を掻き乱され 言動に翻弄され 騙されているかの様な錯覚に囚われる―――。 会っていない時でさえ、幻影に胸を締め付けられた。 彼の意のままに踊らされている。 ましてや、嫌ではなく その快感に酔ってしまうなんて…――― 恐い―――…。 あの人に溺れたら 自分は どうなってしまうの? 今まで自分でさえ知らなかった 自分を晒け出す事は 恐怖に近い。 それでも 彼なら 受け止めてくれる? でも 彼は どうして? あたしを? それは彼の中に 秘められた淡い秘密。 侑香が知るのは あと少し先の事―――――…。

No.83

>> 81 ☆私も嬉しい😊何となく親近感💕を持ってしまいました😃❤ これからも仲良くして下さいね♊ 有り難う!明日 楽しんで来ます(≧▽≦) こちらこそ➰
(*´ω`)💖親近感、涌きました⤴



温泉♨楽しんで来て下さいね✨🙆✨

No.84

>> 82 彼女からの初めてと言っても良い―――愛情表現の言葉を聞いて、 先程から、顔の表情筋は弛みっ放しだ。 【~virgin~・―処女―… 彼が、いつか言った通り 本気に させられているの?



事実を認めたくない 自分がいる。



仕草に鼓動を掻き乱され



言動に翻弄され



騙されているかの様な錯覚に囚われる―――。



会っていない時でさえ、幻影に胸を締め付けられた。



彼の意のままに踊らされている。



ましてや、嫌ではなく その快感に酔ってしまうなんて…―――











恐い―――…。



あの人に溺れたら




自分は




どうなってしまうの?



今まで自分でさえ知らなかった 自分を晒け出す事は




恐怖に近い。




それでも




彼なら




受け止めてくれる?




でも 彼は どうして?

あたしを?










それは彼の中に 秘められた淡い秘密。




侑香が知るのは



あと少し先の事―――――…。

No.85

>> 84 ……………………………………

     橘 詩織




大切な親友だ。


綺麗で、優しくて 芯の強い。


彼女の誘いで河崎 涼のいるサークルにも入った。


彼女はあたしの 気持ちに気付いていたのかも知れない。


大学に入学したての頃に、彼氏として紹介された。


二人は、どこから どう見ても お似合いで

他者の入り込む余地なんて無かった。



それがいくら残酷な行為でも



涼の近くで、同じ空気を味わえるだけで良かった。



当時は


詩織が あたしの気持ちに気付いて、わざと見せ付けて 諦めさせたいの?



と感じ。恨んだりしたっけ―――…。



それなら意地でも 諦めたりしないって…。




でも





それは違う。





あたしの 勝手な 勘違いだったんだ。








ねぇ  涼―――




今でも 詩織を




愛してるよね?




それなら良いの。




あの子を 想い続けるあなたなら




あたしは あなたを




どんな形であろうと




愛し続けられるから。



それは 例え 綺麗事に過ぎなくても




変える事の 出来ない真実―――……。

No.86

>> 85 誰かが



 ヒソヒソ ボソボソ 話すような声を耳にして、思わず 足を留めていた。




侑香は普段なら 決して立ち聞きなど しないだろう。



しかし 今回ばかりは事情が違った―――…。







―………原 侑香 に 接触して るらしいじゃん。―



―マジでッ!?栗原、可哀相~。…オレが慰めてあげたい―



―バ ッカッ 響がお前なんか相手にするかよッ―


       ・

       ・

       ・


―まっ、河崎の気持ちも判らなくもない…。


詩織は―――……ッ―!!










『ふ 福原さん…』



侑香の姿を認め
二人は、慌てて軽く会釈をしながら 走っていく―――。





二人は河崎の 大学時代の同級生のようだ。







そんな事よりも侑香の足が動かないのは―――。



知ってしまった事実に対する対処法が


思い浮かばないから。

全てのピースが繋がった。

栗原 響と呼ばれる女性の あの不自然な対応の意味―――



河崎 涼の自分に向けられる気持ち―――


理解した瞬間。

忘れたくても忘れ得る筈のない、記憶が蘇る。

No.87

>> 86 河崎 涼に会って話しがしたい。


侑香は、その感情だけに衝き動かされていた。



そんな時に限って見当たらない―。



携帯番号など知る由も無かった

―――…。










――――――――――――――


病名を急性白血病といった。



簡単に言えば、血液中の白血球が異常に殖える。

またはそれが、異状な形態を様する病だ。






彼女に迫られたのは、

-BMT--bone marrow transplantation-

骨髄移植療法。


もしくは、化学療法だ。


ドナーが見付かれば、骨髄移植も可能だっただろう。



しかし不幸にも 私と弟の それは4分の1の確率

彼女の

-HLA-白血球の血液型には適合しなかった。



非血縁者ドナーによる移植は

―GVHDーリンパ球による免疫学的な攻撃による死亡率 が極めて高い事を、考慮して見合わせられた。



姉 詩織は


化学療法で寛解状態を目指す事となった。



17歳の秋だった。




――――――――――――――
◇warning◆

医療に関する知識が乏しい為、不適切な表現や誤った内容があるかと思われます。

同上の病を患う方への配慮に欠ける点、謹んで御詫び致します。

No.88

>> 87 詩織は唯一、母に連れられて家を出た。


姉が中学三年生の時だった。



それから、病気が発覚するまで 会う事は適わなかった…。



私と弟は HLA検査の為 母に呼び出された。



姉にはその後 二・三度しか 会う事は出来ないでいた――。



そんな時でも 姉は



気丈に笑う。



高校で出来た「涼さん」という彼氏の事を 嬉しそうに話してくれた。



明るい明日を信じている。



そんな笑顔―――。




化学療法は成功を見せたとの事。



血球が正常値に戻りつつあったのだ。




完全寛解状態は 三年以上経てば、ほぼ 再発しないと言われていた。



五年で治癒と聞かされてもいた。




あと少しだった―――…。



三年目の冬。姉の白血病は再発した。



それから一年。



真っ白な雪の降る朝。



まるで雪の精が 連れ去ったかの様に



帰らぬ人となったーーー

No.89

>> 88 その 緊迫した顔に目を移した瞬間 すべてを悟った。


『知られて しまいましたか―――…』


『 はい 』



『あなたは 本当に 詩織さんに そっくりです。』



そう。


姉も私も母似だ。


それが、三年前の姉の葬儀以来 母に会わない理由。

と、言っても過言ではない。


母を見ると姉の笑顔を 思い出すのだ。



『あなたに声を掛けるつもりは ありませんでした。

あの定期を拾うまでは―』



『 私は 似ていても 姉じゃ、ありません。』


侑香はゆっくり話す。


『そうですね。

理解しているつもりでした…。

だから二年間 声を掛け無かったんです。』

苦しそうな顔。


見ていて辛くなる。


『でも あの瞬間 あなたを 知りたい衝動が、抑えられなくなったんです。


恐らく

僕よりも 詩織を知っているあなたの事を―――…』


侑香は小さく 首を横に振る。


『彼女の病気が再発したと知った時―――

プロポーズしました。』


姉さんはどんな気持ちで、その言葉を聞いていたのだろう?


『断られました。』


どんな気持ちで 最愛の人のプロポーズを断ったのだろう?


姉の心情に思いを馳せ気付くと涙が溢れそうになった―――

No.90

>> 89 『きっと オレにも栗原にも

早く自分の事は、忘れて 笑って欲しいと 思ったんでしょう。』

誰かを強く 忘れたいと願う事は


忘れたく無い意と同じだ―――


そう思う度に その人を 強く 強く 思い出すのだから。




『 栗原さんの 事は…? 』



彼女の気持ちを 不本意に傷付けた。

その事実に―――…。

気になっていた

河崎 涼の彼女に対する気持ちを。

『 最初は 感謝の気持ちでした。


どん底のオレを ずっと近くで、見守ってくれていた…。

でも
オレは彼女が いてくれたから、今 生きてるんです。』


『 好 き なん ですよね?』


遠慮がちに 訊く。


『 はい―― 』


迷いの無い返事に


胸の痛みが、少し柔らぐ。


深々と涼にお辞儀をした―――


涼が困惑する。


『姉を 愛して下さって

ありがとうございました。

姉さんは 幸せでした。』


詩織が涼の事を話す時の 輝く笑顔を思い出す。


顔をあげ 笑顔を作る侑香に


『やはり あなたは 詩織に似てますね…。』


『 もぉっ。そんな事言ってたら 姉さんに怒られちゃいますよッ!』

頬を膨らませ 今まで見た事も無い様な キュートな表情を覗かせた。

No.91

>> 90 『何か ありましたか?』



『 フフッ… 』



意味有り気に 微笑む侑香に 少々面白くない。



姫は私に隠し事をしている………ってなモンである。



尚之の少し拗ねた様な態度に 悪戯心が涌き起こる。



『尚之さんは いつも 意地悪 ばかり するから ナイショで~ す。 』



人差指を唇に充てて、子供っぽく 言ってみせる。



侑香の変化に 何かあったのかと 焦る。



まさかッ!?



他に好きな奴がッ!!?



イジメ過ぎたッ!?



そんな筈は無いッ!!!―――――と 思いたい……~~ッ。



落ち着けオレ!!!



いや いや でも……結構泣かせちゃった気がするし―――



ぅ~~~ッあぁああぁ~――…。



クールなキャラは崩壊寸前。


苦悩しまくる隣の ドS男の胸中を



知ってか知らずか、




明るい笑顔で 尚之を振り返り


眉間に皺を寄せて 恐い顔の男の


その頬に そっと口付けた――――。








     ―CHU…









    to be continued ?

No.92

>> 91 ―――――epilogue―――――



男性の部屋に


足を踏み入れるのは初めてだった。


緊張のあまり ソワソワ落ち着かない。


『落ち着きの無い人ですね。』


そんな姿に眼鏡の奥の瞳を細めながら 意地悪く言う。


この部屋の主。



几帳面に整理整頓された。無駄な物が一切無い空間。


モノトーンで纏め上げられている。



落ち着かない 侑香の足下に 真っ白なフワフワの物体が擦り寄った。


『 んッ………ッ!?


 か 可愛ぃ…――ッ。』



広いワンルームの 対面式キッチンでコーヒーの用意をしながら 



そんな姿を盗み見る。


『 お名前は? 』


猫自身と 尚之に訊いている。


『 まだ 付けて無いんです。好きな様に呼んでやって下さい。 』


『 可哀相に…イジメられてない? 』


かなり 失礼な質問に苦笑する。

まぁ…当たらずとも 遠からずだが―――……。


『じゃあ 真っ白だから

 ミルクちゃん。』



そういえば 廊下に猫用のトイレがあったなぁ~と 廊下に目を向ける


――――………れッ?

No.93

>> 92 玄関に立て掛けてある

部屋の雰囲気には 明らかに、そぐわない【赤い傘】


見覚えがある様な~???



『やっぱり 全然 覚えてないんですね。』

白い猫を抱き。


『お前の命の 恩人さんは 薄情だねぇ。』

白い頭を 撫でながら―――。




『  ?  』




『 アッ…えっ!?


 じゃあ あの時の


 子猫ちゃん?』



思い出したのは 猫だけですかッ!?


思わず 存在感の薄さに 涙しそうになる―――。



『………あの傘―――  …あ たしの?……ぁ  れッ―― ―!!!


 えっ?じゃあ あの  時の ――…? ?  人 ? 』




『……みたいですね。』



『気付いてて 黙ってたんですか?』


侑香が不思議そうな


視線を向ける。


やっぱり、意地悪な人だ とでも言いた気だ。


『 あなたに


  自分で  思い出して


  貰わないと


  意味ありませんから。


  まぁ、結局大分


  ヒント を出してしまいまし 
  たけど ね。』


笑いを堪えながら言う。

No.94

>> 93 猫を床に放す。



先程までの笑顔から
真顔に戻る―――。



『 尚之 さ ? 』



侑香の存在を確認するかの様に。



強く 強く 抱き締め―――



その 幸福な時間を噛みしめながら



ゆっくりと 侑香の唇に唇を重ねていった。





二人の足元で


猫の【ユウカ】が優雅に伸びをした―――…。


――――――――――――――――――――――

        END

No.95

☆今晩わー😃


今 帰宅中です🐱


♨と🍴💕で友達と日頃の鬱憤(主に会社[ビル])を晴らして来ました🎊


🚃の中、詩人さんの作品を読ませて貰いましたよ😃


とても綺麗な集結✨そして、詩織さん&
侑香ちゃんの意外な関連性😲に驚きましたね😊


先ずは、一作目お疲れ様です📖🌟終わったのが何か寂しいけど‥「背徳」 「キミの手」楽しみにしてますで☺


「恋愛人生」ー面白かった💐

No.96

>> 95 温泉♨楽しかったみたいで😺良かったです✨


有り難う御座います
(´∀`)💖


かなり 掛け足で集結させてしまったので、
細かな【episode】が抜けていたり 話しの辻褄が合っているのか??
かなり疑問です🙈💫



澪さんの作品の更新を楽しみにしていますね💮

引き続き こちらに他の作品への『御感想』も頂ければ幸いです🎵

No.97

>> 96 ☆“episode”も上手にまとめ上げられてますよ😃


「キミの手」と「背徳」趣向の違う話で、両方 楽しませて頂いてますo(^^)o💕


これからも頑張って下さいね💖

No.98

>> 97 ありがとうございます🙇💦


最初はもう少し 長く書きたかったんですが…💧


飽き症なモノで…😱💧



澪さんも御自身が、楽しいペースで、書いて下さいませ✨💖✨

楽しみに拝見させて頂きますので🙋⤴

No.99

楽しかったです。
もう少し広がって欲しかったかなぁと思いましたが結構きっちり終わらせてあるのでよかったです。
他の作品も楽しませてもらってます。
頑張ってくださいね

No.100

>> 99 ありがとうございます★


読んで頂ける方が、いて下さって 嬉しい限りです
(´∀`*)


はい。本人的にも本当はもう少し続ける予定(涼と尚之を絡めたりしたかったんですが)だったんですが…υ


力量不足で、申し訳ありませんm(_ _;)m


他の作品に対する評価も もし宜しければ、お時間のある時にでも お願い致します
(*´ω`)

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