カルテ

ごめん、何言ってるのか分からん。
バカな俺にも理解出来るように話してくれ。

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A医師に、初めて会ったのは、今から10年以上も前のこと。前の先生が転勤になり、新しくこの病院にやってきたのだ。
まだ小さかった息子と、待合室で待っている時、診察室から、大きな声が聞こえた。A医師が、患者に向かって大きな声で、名前を読んでいたのだ。それは、不機嫌なのか、怒っているのか、とにかく、感じの悪い大声だった。こんな風に患者を大きな声で呼びつける医師をみたのは、初めてだ。つまり、第一印象は、「サイアク」だった。(今もその当時のスケジュール手帳が残っているが、「今日から○○先生、サイアク」とハッキリと書かれてある。)
息子の番が来た。先生の顔を見た。さっきの様相とは別の落ち着いた態度であった。少しホッとした。でも、ある理由から、終始、わたしは、うつむかざるを得なかった。滞りなく診察が終わり、息子と共に帰宅した。夕飯準備しながら、あの時、診察室から聞こえたこわい声が、何度も思い出され、モヤモヤが込み上げた。わたしは、考えあぐねた末、電話を掛けた。今日行った病院へ。「あの、先生を変えてほしいんですけど」わたしがそう言うと病院の人は、即「なにか、あったんですか？」とわたしに尋ねてくれた。え、いえ、何もないんですが、と言葉を濁す。

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・・とにかく替えてもらうのを断念しそこに通った。
ところが意外にも先生は、パソコンばかり見ずちゃんとわたしの方を見て話を聞いてくれたし、親身になってくれたし、数々困り事があればアドバイスをくれて解決もしてくれたので、わたしはすっかり先生を信用し、頼りにするようになった。
でも、、
時々モラハラを疑うような態度をちょこちょこ見かけた。
看護師さんに大声でどなったり、私に対しても、たまに、感じのわるい態度をとることがあった。
そうかと思えば真面目ににこやかで穏やかな時も多かったり。どっちなんだ。
今だからだせる結論としては本性は、人に対してどなったりする、モラハラ男なんだと思う。

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多少ひっかかる部分はあるものの、全面的に先生を信頼していた。
ある日先生が、
「お母さんの診察というのがあるんですが」と言い出した。
子育てで疲れた母親を支援する意味があるのかと思い承諾してしまった。
でもこの時断っていたら良かったのだろうかと振り返る。
毎日ちゃんと眠れてますか?と睡眠薬？安定剤を2種処方された。
コロナで病院経営が打撃を受けたかで、もうけたいのだろうから、協力してあげよう、とも想像した。でも、それは、先生の、ただの遊びだった。

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お母さん診察では、先生の態度がガラリと変わった。ニソニソうれしそうにしてる。今まで真面目だったのに、私が一言なにか言えば、わぁーすごいねー、わぁー大変だ、と大きく反応しニタニタ笑った。そして、私を下の名前で呼び始めた。
しかし、私が無反応にしていると、機嫌わるい日もあった。
デレデレモードになったり、怒ったり、大きく笑ったり、すべてそれは、「演技」だ。
私の心を揺さぶるためだ。
私はだんだん不安になり、この胡散臭い診察のからくりについての仮説を考えた。
先生は、カルテを作ることで、お母さんの個人情報を得る。そして、思わせぶりでちょっかいかける。お母さんの中には、その気になる人もいるかもしれなくて、キレイになったりオシャレしてきたりがそのサイン。そうしたら、次のステージへ行ける。そこで、金が渡される。金を受け取れば、そこから立派な先生の犬だ。そうなれば、先生の思うツボだ。

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遊びたいのならそういう場所に行って遊べばいいのに、なぜ病院内でこんな事してんのか。
家では、いい夫といい父親を演じているのだろう。
女と遊ぶのに、一番バレない場所、それが職場だ。妻や子どもが絶対に来ない場所だ。
多忙な中、仕事ついでにやれば効率いい。
次々患者はやってくるから、選び放題。
病院の権力者だから、病院を遊び場に使おうと思えば使えるし、何でもヤれる。


子ども時代からずっと勉強ばかりしてた。イケメンでもないから、女にモテなかった。しかし、今なら医者だし、カネもあり、ちょっと声かければ女にモテるはずだ。今までちっとも遊べなかった。今こそが遊ぶときだ。

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そんなことを考えているうち、私は先生の餌食にされるのかと、怖くなった。
そして、ある日先生に、(この胡散臭い)お母さん診察、辞めたい、と先生に言った。

すると、今までなごやかだった雰囲気は、一変。

恐ろしい化け物が牙を剥き出しにし出したのである。

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私が反旗を翻したとたんに、先生からの反撃が始まってしまった。
それみろ。こいつ、やはり、モラハラだ。
今まで何となくひっかかっていた事が、再び明るみに出始めたのである。
「何か、ひっかかること、」それを我々は軽視すべきではない。
何かおかしいと思ったら、相手が笑っていようがエライ人であろうが、最高学府を出た人であろうが惑わされてはならない。
私は転院することに決めた。

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クソ医者の反撃でもうこんなところにいられない。私は女性医師のいる大病院に転院希望した。しかし、今のご時世では簡単に大病院への転院ができないようだ、ことごとく、断られてしまった。

そこで、病院の受け付けに、「先生を替えてほしい」と、電話した。以前にも私はこのような電話をしたが、当時は、何かあったのかと聞いてくれた。しかし、今度は、何も聞く耳持たず「うちは替えれません」の一点張りだった。これもあのクソ医者の指示なのだろう。


小さいクリニックだと男の医師がやってるとこが多い。しかし、一日も早く逃げなければという切羽詰まった思いで、小さいクリニックを転院先に決めた。

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お母さん診察を辞めたお母さんなど、なんの意味もない。不要物でしかない。あのカルテを持つ他のお母さんたちも、先生にとって人間なのではない、先生の獲物であり、モノであり、所有物であり、遊び道具だ。
他のお母さんは、この胡散臭さになんの疑問も持たないのだろうか。言われるままに、診療代を支払っているのか、私は今も首をかしげている。


私は、紹介状を書くよう先生に依頼した。
すると先生は機嫌わるそうにガンガンキーを叩き、書類を作成してくれた。
そして感じわるく、はい、と渡した。

一週間後に再び私は嫌がらせをされるハメにはなったが、
無事にクリニックに転院することができた。

問題点
A医師は長年その病院に勤務していて転勤がない。会社や学校でも10年以上同じところにいると問題が発生しやすい。医師の良心に委ねるのではだめだ。10年以上勤務してはいけない規制をつくって守らせ、環境面から、不謹慎な事が発生するのを防止すべきだ。

私はその病院にずっとかかることを希望していたのに、医師の不謹慎な行為により断念せざるを得なくなった。
病院では、エラい医師の言うことに誰も逆らえない空気があるようだ。無法地帯の専制君主だ。わるいたくらみが出ても仕方のないシステムになっている。逆に言えば、医師にとっては、やりたい放題の楽園である。
文句があるのなら、てめぇも医師になればよい、とでも言うのか。

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