幸せのかたち

レス3 HIT数 1438 あ+ あ-


2014/09/26 01:29(更新日時)

駅前の公園

秋晴れの空の下

仲良く手を繋いで歩くカップル

犬の散歩をする老人

元気に遊ぶ子供たち

どこにでもあるような、平凡な温な風景

『…リア充なんか消えればいいのに』

ボソッと呟く一人の女

現在26歳

実家暮らし、恋人なし

毎日職場と家の往復。

日がな休みはこの公園に来る

タバコを吸い、近くの自販機で買った缶コーヒーを飲み、またタバコ、コーヒー、タバコ、コーヒー…

そして日は暮れていく…

はぁ…。

ため息も数えきれないほど吐いている

はぁ…。

それもそのはず…

周りの友達は恋人と幸せを育み

結婚、妊娠、出産…。

片や、この女…

何度男の背中を見送って来たことだろう…。

はぁ…。

『明日からまた仕事か…。』

気づけば空が夕日で綺麗に染まっている

『帰ろ…。』


タグ

No.2141730 (スレ作成日時)

投稿制限
スレ作成ユーザーのみ投稿可
投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.1


朝8時

『サキ!いい加減起きなさい!』

26にもなって母親に叩き起こされるこの女…

前田紗季

おとめ座のA型

小柄の中肉中背

低血圧のため、めっぽう朝が弱い。

口癖:眠い

はぁ…。

紗季の一日はため息で始まりため息で終る。

ため息をつくと幸せが逃げるとはよく言うが

この女に逃げるほどの幸せが残っているのだろうか…


No.2


『おはようございます』

朝9時半 出勤

紗季の職業

ホームセンターの従業員

これでも腕利きの社員

私生活からは想像できない働きを見せる

「前田さんおはようございます!
相変わらず眠そうですね…」

話かけてきたのは今年二十歳になるアルバイトの吉川瑠美

とりあえずモテる

『眠そうじゃなくて眠いんだよ』

「瑠美も超眠いんですよー!昨日彼氏が夜中遊び来ちゃってー!全然寝れなかったんですよー!」

リア充なんか消えればいいのに。

低血圧で朝が弱く、いつどんな時でも眠気と戦っている紗季にとって、この類いの話は
苛立たせる絶好の材料となる


No.3


『それでは朝礼始めます』

今日の従業員は紗季を含め15名

仕事は朝礼から始まる

『…以上です。本日も宜しくお願いします』

「宜しくお願いします!」

今日も忙しくなる。

はぁ…。

「前田さん!今日面接入ってます!」

『あっ…。忘れてた…。』

「13時に入ってるので宜しくお願いしますね!」

『えー…石田やっといてよ…。』

「嫌です。俺忙しいんです。ため息つく暇もないんです。」

石田謙一

23歳。

恋人なし。

そこそこイケメン。

悪意のない毒を吐く。

繰り返すが、
消して悪意はない

『めんどくさい。採用でいいよもう…』

「やめてください。変なの来たら俺にとばっちり来るんすよ!」

『分かったよ…。』

はぁ…。

だが、この面接で紗季の中で止まっていた幸せを刻む時計が
一秒、また一秒と進み始める事になる。



投稿順
新着順
主のみ
付箋
このスレに返信する

お知らせ

9/10 音声解説でもっと身近に(ミクルラジオ)

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少

新着のミクルラジオ一覧

新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧