少しだけ不幸な私/独り言

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ライカ( 6Rs31 )
12/07/12 07:40(更新日時)

産まれてから
現在までの私。


誰にも聞いてもらえない。

話したとしても
誰も真剣に聞いてくれない。

カウンセリングや
心療内科に行く勇気は無い。


少しだけ、不幸です。
特別どん底ではありません。

「生ぬるい」人生ですが、
読んで頂けたら、幸いです。



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No.1766230 12/03/20 01:39(スレ作成日時)

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No.351 12/05/12 03:06
ライカ ( 6Rs31 )

コウスケさんは
肉体労働で サービス業。
車修理の仕事をしていた。

詳しいことは知らないが、
車を直したり、
タイヤ交換をしたり。

兎に角、
かなり体力を使う仕事らしい。

そして、
タイヤ交換時期の繁忙期

11月~1月末までと
春先の3月~4月半ばまでと

休みが一切無くなるし
仕事の帰りも、午前様になってしまう。




-----



告白から
次の日。


コウスケさんは
仕事が終わると、

真っ先に
私の家に帰って来た。

そして、第一声が

「ライカちゃん!」
「俺のメシを作ってくれ~!」

…であった。

私は「勿論いいよ」と
快く返事をした。


この時に食べたのは
カレーライスだった。



そして、夜。

ご飯も、シャワーも終えて

「いよいよ」であった。



私は
「一緒に寝よう」と誘った。






コウスケさん
「…いいの?」
「一緒に寝ても。」

ライカ
「いいに決まってるじゃん」

コウスケさん
「そ、そっか…」
「俺たち、付き合ってるから
もう構わないのか~」



コウスケさんと私は
セミダブルのベッドに
背中合わせで横になった。



ライカ
「…」
「あのさ。」

コウスケさん
「ん?なぁに??」

ライカ
「ちゅー、しよっか。」

コウスケさん
「うん(^-^)」


コウスケさんは
嬉しそうに
ニコニコ微笑んでいた。



ライカ
「なんだか、はずかしいな~」

コウスケさん
「…そうかな?」
「じゃあ、目つむって~」




……


私の唇に 衝撃が走った。

コウスケさんの唇が
思いのほか
柔らかかったから。


(筋肉だけじゃなくて
唇もフカフカなんだなぁ…)


唇だけじゃ足らず
舌も絡めてみる。

とても、心地良いキスだった。


コウスケさんも
気持ちが良いのか、
キスの合間に
声を漏らしていた。



No.352 12/05/13 02:55
ライカ ( 6Rs31 )

深い深いキスで
すっかり「出来上がって」しまった私は

先へ進みたくて
仕方がなかった。


長くて深いキスが終わると、
私は コウスケさんを
誘導する。





ライカ
「…多分……
もう、濡れてると思う…」

コウスケさん
「え?もう??」

ライカ
「触ってみて………

って言うか、コウスケさんだって
もうこんなになってるし」

コウスケさん
「あ。バレた??(^^;)」

ライカ
「とりあえず…
私のを、触ってみて。」




私は、コウスケさんの手を取り
下着の中へ 持って行った。


やはり、私の陰部は
かなりヌルヌルで、
コウスケさんを受け入れる準備は
もうすっかり出来ていた。



コウスケさん
「凄いね…」
「もうこんなに………」

「どうするのが
一番気持ちいいの?」

ライカ
「横に、コチョコチョしてみて」


コウスケさんは
指の腹で
私の下半身の突起物に
左右小刻みに刺激を与えてきた。


クチクチ…
ヌチヌチ……


私の下着からは
いやらしい水音が
聞こえてくる。




ライカ
「あ……っ」
「あっ……!」
「気持ちいい…っ」

コウスケさん
「きもち、いいの?」

ライカ
「うん」
「すごくイイッ」

「もっと、もっと……!」




私の突起物は
どんどんどんどん
膨れ上がっていく。


コリコリ…
クリクリ……


コウスケさんの責めも
少しずつ激しくなっていった。


グチュグチュ

ヌチュヌチュ……



絶頂が
もはや近い。



ライカ
「久し振り、だから…」
「もう、ダメッ」


「イく…………!!」




No.353 12/05/14 14:35
ライカ ( 6Rs31 )

まだ 恥ずかしさが
完全に抜けておらず、

達した時
声を我慢してしまった。


コウスケさんは相変わらず
「受け」の体勢で
ガツガツはしてこない。


恥ずかしいが
また私が「率先」しなくては
先に進めないような感じだった。




ライカ
「入れるよ。いい?」

コウスケさん
「待って…」
「ゴム着けないと」

ライカ
「要らないよ」
「それに、買って置いてないし」

コウスケさん
「え……」


躊躇うコウスケさんを無視し
私は 上に跨がり
コウスケさんの熱を
私の中に ズブズブと沈めてゆく。



コウスケさん
「…う………」
「キツい…………」

ライカ
「イッたばかりだからね」

コウスケさん
「久しぶりの、感覚だよ」
「何年振りだろう?」
「あったかいね…」

ライカ
「……」
「動くよ」



私は 腰をこすりつけるように
前に後ろに 激しく激しく振った。

自分の一番感じる場所に
ズンズンと来るように。



体を伏せ、
コウスケさんに
抱き付くような体勢になる。

腰を浮かし、
ゆっくりと杭を抜き

カリのギリギリまで来たら、
ゆっくりと 腰を沈めてゆく。

ゆっくりと抜いたら
時には ズンッ…!!と
思いっきり中に突いてやったり。


コウスケさん
「繋がってるとこ
丸見えだね……」

「うぅ…入ってく……」



自分の杭が
出たり入ったりする様子を
コウスケさんは
ずっと見ていた。



コウスケさん
(はぁ…) (はぁ………)

「ダメだ、もう…」
「久しぶりだから
出そうだよ…」



コウスケさんは
私を後ろへ押し倒す。

コウスケさんと
私の体勢が 逆になった。



ラストスパートをかけ、
コウスケさんは
激しく激しく 打ち付けてきた。

パンッ パンッ パンッ

体と体が ぶつかり合う音が
部屋中に響き渡る。



コウスケさん
「ああ……っ」
「出る、出るっ…」


「うっ…!!!!」



コウスケさんは
出る直前で引っこ抜き、

白い熱を
私の腹の上にブチまけた。



No.354 12/05/16 15:54
ライカ ( 6Rs31 )

余韻に浸りながら
コウスケさんと話をしたが、

仕事でも疲れていた
コウスケさんは

話しながら、寝落ちしてしまった。








私は、凄く
幸せな気分だった。


(この人とはきっと、
ずっと楽しくやって行ける)



今までの恋愛のような
辛い思いは
多分 することは無いだろうと……




ちょっとガサツだけど
とても優しい コウスケさん。

自分から話すのは
あまり得意じゃなくて、

私から話題を振らないと
沈黙が続いてしまう。

「今まで、辛いことばっかで(^^;)」
「ライカちゃんに
楽しく話せるようなことは、
少ないんだ」


思い出してしまうから、
自分の辛い話はしたくない。
愚痴るのが大嫌い。



だったら、
私が楽しい話をするしかないよね…



私はよく、
風俗で出会った
「オモシロ接客」の話を
コウスケさんにしていた。


お客は勿論
“普通じゃない”人達も
沢山居た。


「奴隷」になりたい
Mのオジサン。

イきそうになると
涙を流すオジサン。

「女の子と付き合ってみたい」
ゲイ克服の為に
風俗に通うお兄さん。
(男相手じゃないと
勃たない人だった)


他にも
書ききれないくらい。



出逢いが風俗だからか、
コウスケさんは全く気にせず

むしろ
ゲラゲラ笑いながら聞いていた。



ライカ
「嫌じゃない?接客の話なんて」

コウスケさん
「オモシロ過ぎる!」
「もっと聞かせて」

「だってライカちゃんは
“仕事”でやってたんだから」
「俺は全く気にならないよ(*^^*)」



コウスケさん、実は風俗の
「黒服」「送迎」「用心棒」も
経験していた。


色んな仕事を
経験しておきたいと、
半年毎に
職場を転々としていた時期が
あったらしい。


今の仕事(車整備)に落ち着いて
(当時で)約4年だと言う。


No.355 12/05/18 00:25
ライカ ( 6Rs31 )

コウスケさんとの
半同棲生活が始まった。


私達はお互いに
「極度の寂しがり屋」で、
好きな人とは
常に一緒に居たい人間だった。


過去の遠距離恋愛や

いつ会えるのか分からない
ジリジリと待たされる恋愛に

ほとほと懲りていた私は
尚更であった。


週末だけに会うとか、
とても堪えられない。



コウスケさんは
自分の家には帰らず、
私の家に 真っ直ぐ
帰ってくるようになった。

駐車場の空きが無く、
コウスケさんは仕方無く
私の家のそばの
コインパーキングに停めていた。

だから、
月の駐車料金が
とんでもないことに。

管理会社に連絡し、
駐車場が空いたら
直ぐに使わせて欲しいと
お願いしたが、
なかなか空くことは無く…。


お金が足りなくなると
コウスケさんは仕方無く
自宅の方へ帰っていた。



-----



コウスケさんと
半同棲生活を開始して
約3ヶ月後。


仕事帰りに
ふと、何となく立ち寄った
ペットショップに

生後4ヶ月の
可愛いワンちゃんが居た。


ミニチュアダックスの
スムース(短毛)。オス。

色はパイボールド(まだら)。

目はクリクリで
綺麗な紺色。

何とも 整った顔立ちの
可愛らしいワンちゃんだった。


私は一目惚れ。

「どうしょ…飼いたいけど
お金がなぁ………」

私が凝視していると
ペットショップの店員さんに
「抱っこしてみますか?」
と聞かれ、
私は「はい!」と。


その子を抱っこすると、
元気が良すぎて
私の腕から飛び出し
走り去ってしまった。

店員さんは
慌てて追い掛け、
抱っこして捕まえると、

また私に抱かせてくれた。




店員さん
「模様が、珍しくて。
かえって、売れないんですよ…」

ライカ
「え??そうなんですか??」
「こんなに可愛いのに…」

店員さん
「好みが別れるんですよ。」
「顔は、かなり可愛いんですけどね…」

ライカ
「はい!私もそう思います!」



私は店員さんに
「また来ます」「売れませんように!」
と伝え、その日は帰った。



それからと言うものの、
週に2~3回は通い
その子に会いに行き、
ショーガラスケースを凝視したり
抱かせて貰う日々を送った。


No.356 12/05/20 02:15
ライカ ( 6Rs31 )

1ヶ月 ペットショップに通い…

「その子」は
まだショーガラスケースの中に居た。



「ああ、良かった…」
「まだ売れてなくて」


ペットショップに
会いに行く度に
私は ホッと 胸をなで下ろした。


そして 値札を見てみると…
生後5ヶ月を過ぎたせいか

格段に 値段が下がっている…!!



(これを逃したら、
もうこの子には会えない!)

(絶対に後悔する!!)



私は
いつも会う店員さんに言った。



「この子をください!」







私は、ローン契約をし、

一目惚れしたワンちゃんと、

ケージ
ドライフード
水飲み用の容器
(ペットボトルを
セットするタイプ)
ペットシート

↑「初めてセット」を購入。

ペット保険にも加入した。


コウスケさんに連絡し、
仕事が終わったら
ペットショップまで
迎えに来て貰うように頼んだ。


しばらく、
ワンちゃんを抱っこしながら
店員さんとお話をして
時間を潰す。

「凄く可愛い!」
「売れ残ってたなんて
信じられない…」
「これから、よろしくね」


ワンちゃんと一緒に
記念撮影。
店内に、貼り出すらしい。





しばらくすると
コウスケさんが迎えに来た。




コウスケさん
「これ、どうしたの??」


コウスケさんは
「初めてセット」の
大きいダンボールを見て
驚いていた。


ライカ
「見て見て!」
「めっちゃ可愛いでしょ~?」
「いつも話してる
ワンちゃんだよ!」


コウスケさんと
ワンちゃん

初めてのご対面。



コウスケさん
「随分、イケメンだな~」
「あ、オスでいいんだよね?」

コウスケさんは
ニコニコしながら
ワンちゃんを抱っこしていた。


No.357 12/05/20 02:39
ライカ ( 6Rs31 )

私達2人で
悩みに悩み抜いて
やっと決まった名前。


「コタロー」


コウスケさんが
「和風の名前がいい」
と言って、最初に出した
名前だった。


コタロー
末永く、よろしくね。
ず~っと一緒だよ。




コタローを
購入したはいいが…


私が住んでいた部屋は
「ペット不可」であった。

そして コタローは

一匹で留守番をさせると
かなり吠える。

当然、寂しいのだろう…。


コタローの鳴き声が
アパートの通路に響き渡り
「バレる」のも
時間の問題となった。




ライカ
「引っ越さなくちゃ」
「ペットOKのとこに」


コウスケさん
「そうだね。」
「コインパーキングも
限界だし…」
「家賃も勿体無いんだ。
俺の部屋には
殆ど帰ってないからね」



私は、実家の父にお願いし、
引っ越しが終わるまで
コタローを預かって貰うことにした。


私の父も
コタローを大層気に入って

「ウチの子になるか?」

と、ニコニコしていた。
実家にはすでに
2匹のミニチュアダックスが居たが
明るいコタローなら
仲良くやっていけるだろう。





私達は
本格的な「同棲」の為、

まずは
私はコウスケさんの部屋に
寝泊まりし、
コウスケさんの部屋の荷物を
まとめることにした。


コウスケさんの部屋は
前妻と 子供さんの「思い出」が
あちこちに散らばっていて、

兎に角、物が多かったからだ。



要らないものが
ワンサカ出て来たし、

やはり「男の部屋」とあって
細かいところは
結構汚い。



「これは要らない」
「これも要らない…」

「これは…
コウスケさんに聞いてみなくちゃ」



ゴミステーション行きと
保留とで

物を分けていると、

コウスケさんの
前妻の
日記が出て来た。


No.358 12/05/22 18:25
ライカ ( 6Rs31 )

前妻の日記。

私は、何となく
パラパラと読んだ。

子育てのことや
コウスケさんのこと

色々書いてあったが
ジックリ読むのは
やはり 躊躇った。


「パラパラ…」の中には

子供さんが
便秘で悩んでいたことや、

コウスケさんと
仲直りを試みたようなことが

書いてあったと思う。




(私が入り込む領域ではないな…)
そう 思った。




私は
コウスケさんが帰ると、
日記のことを報告した。



コウスケさん
「日記??」
「そんなもの書いてたんだ…」
「全然知らなかったよ」


ライカ
「捨てるなりとっとくなり、
コウスケさんの好きにしてね」


コウスケさん
「あ、捨てていいよ」
「興味無いから(^^;)」


ライカ
「なら、コウスケさんが捨ててよ」
「私は知らな~い」




結局、私もコウスケさんも
日記の存在は忘れ
捨てることすらせず…

今も、「どっか」のダンボールに
入ったままになっている(はず)。



No.359 12/05/22 18:54
ライカ ( 6Rs31 )

■26~27歳■

コールセンター勤務について
書いていきます。

色々 ありました…。



風俗を辞め、派遣会社に登録。

弁当→某黒い猫

その次に働いたのが
コールセンターの「発信」だった。

固定電話の業務で
「マイライン登録」をさせるよう
「営業」の電話を散々架けまくる。


マイライン登録と言うのは
簡単に言うと…

●市内
●市外県内
●県外国内
●国際

この4つを
別々の電話会社に登録。
通話料を安くしよう!
と言うサービス(?)のこと。

例えば、

「市内」の通話料は
「KDDIが一番安い」とする。

「市外県内」の通話料は
「SoftBankが一番安い」とする。

「県外国内」「国際」の通話料は
「NTTが一番安い」とする。



この場合、

●市内(KDDI)
●県内市外(SoftBank)
●県外国内(NTT)
●国際(NTT)

このように登録すると、通話料を一番安く済ませることが出来る。

だから、
市内に電話するとKDDIから請求が、市外県内に電話するとSoftBankから請求が、県外国内・海外に電話するとNTTから請求が来るようになる。

ただし、「基本料金」は、電話線を引いた会社からの請求になる。
大半は、NTT東西からの請求だね。



私はこの「マイライン登録」の
奪い合いに加勢していた。



電話越しで

「我が社の通話料が一番安いから、マイラインを全部我が社に登録しませんか?」
「明細書も、一枚にまとまりますし、便利ですよ~」

と言うようなことを、お客に言う。
マイライン登録の変更には、一回840円かかってしまうので、「無料じゃないならやらない」「固定電話使ってないし」と断られてしまう。

それに、マイライン登録を各社バラバラに申し込みしたこと自体を、スッカリ忘れてしまっているお客が大半で、

「マイライン登録ってナニ?」
「そんな登録はしていない」

と始まる。


今更、固定電話のサービスなんて、誰が興味持つかよ。今はみんな携帯電話じゃんか…。

時給が高いから、何とか頑張って働いていたが、「ここの電話会社アホや」と常に思いながらやっていた。

しかも「歩合制」ではなく、契約数が多かろうが少なかろうが、全く関係無かった。

ただ、やはり契約数が少ないと、上司からはかなりいびられるので…「追い詰められるのが嫌だから」頑張ってこなしていた。


No.360 12/05/24 21:28
ライカ ( 6Rs31 )

コールセンターの上司で、
砂川という人が居た。

この砂川さんが、
私にメチャクチャ言ってきた。


勤め始めの初日から
毎日毎日、いびられる日々。



「アンタ、日本語わかる!?」

「コッチはなぁ、
アンタが覚えるまで
待ってられないんだよ!!」

「こんな仕事はなぁ、
1ヶ月もすれば
もう“プロ”だよ!!プロ!!」


ヘッドホンをつけて
四六時中 私に張り付き
私とお客の会話を聞いていて、

散々な
ダメ出しをされた。


挙げ句、
勤め始めて1ヶ月後
派遣会社から
「翌月から、別な仕事を紹介…」
と言われた。

要するに
「コールセンターはクビ」
と言う意味である。

でも、たった1ヶ月で
見切り付けられるのが悔しく
時給が高くて惜しかったのもあり、
私は派遣会社に食い付いた。



ライカ
「たった1ヶ月で“クビ”ですか?」
「砂川さんからの差し金ですよね?」
「私、そこまで“ポンコツ”ですか?」


派遣会社
「…申し訳ありませんが、
翌月からは…」


ライカ
「ふざけないでください。」
「具体的に、砂川さんからは
どう聞いているんですか?」
「具体的に、私のどこが悪いって??」
「と言うか、生活が掛かってるんですよ」
「いきなりクビだなんて
メチャクチャ困るんですけど」


派遣会社
「本当に、申し訳ありません。
新しい仕事、見つかり次第
直ぐに連絡差し上げますので」



弱々しい
派遣会社からの返答に
とても イライラさせられた。



ところが次の日。
派遣会社から
手のひら返した返答が。


「やる気があるようなので
クビは撤回になりました」



…一体、どういうことなのか。

派遣会社に
直接給料を取りに行った時、
コールセンター紹介に関する
責任者から 話を聞いた。


No.361 12/05/24 21:50
ライカ ( 6Rs31 )

「アレは、
一種の“はっぱかけ”だから」
「クビは、気にしないでください」



“気にしないでください”…

はぁ???



ライカ
「砂川さんからの差し金ですよね?」

派遣会社の責任者
「え、えぇ…」

ライカ
「私、そんなにダメですか?」
「電話では、
そこそこ仮契約は出来てるんですよ」
「ナニがダメなんですか?」
「聞かされてますよね?
私の何が気に入らないのかを」

派遣会社の責任者
「ま、まぁまぁ、落ち着いて。」
「君の成績が悪いとかじゃ
ないんだよ。」
「それに、君だけじゃないんだ。
“クビ”の言い渡しをしたのは」


ライカ
「…はぁ???」
「ナンデスカそれ???」



派遣会社の人も
明確なことは言わなかった。

砂川さんからの要求、
もしかしたら
“イヤイヤ”だったのかもしれない。

「クビを言い渡して、
はっぱかけてくれ」

だなんて。
まぁ、あまり
やりたくないわな。



私は、
先程も書いたが
そこそこ“仮”契約は
取れていた。

電話でアレコレ説明し、
「マイライン登録、必ずします」
と“口約束”が出来たお客にのみ
「申込書」を送付する。

申込書を返送してもらい、
初めて「契約成立」になる。


マイラインの申込書を
「資料」として送るのは
厳禁であった。


リーダーと呼ばれる人達が
お客との会話を聞いているので、
「資料」として送ると
リーダーからかなり怒られる。


「固い口約束」をさせ、
申込書を「必ず」返送するように
お客を説得させる。


「近くに、カレンダーはありますか?」
「カレンダーの○日のところに
“マイライン申込書返送”と
メモをお取りください」

とまで、電話越しで指示する。
(困惑する客が大半)



私達の成績は
申込書の「返送率」が
一番重要視される。

申込書を沢山送り、
いかに沢山返送して貰うか。


申込書の送付数は
1日に20通あれば
「優秀」であった。

私の送付数は
平均で15通ほど。

そこまで
悪い数字ではなかった。


返送率の方は
「公表しない」ことになっていて
(何故??)
上司に聞いても
「良い・そこそこ・悪い」
と、曖昧なことしか聞けなかった。



No.362 12/05/24 22:12
ライカ ( 6Rs31 )

勤務を始めてから1ヶ月で
クビを言い渡されたわけだが、

たった1ヶ月では
明確な返送率は出ない。

電話を架け、申込書を送り、
到着するまで
2週間はかかるからだ。


だから尚更、
「クビ」に納得が行かず
頭にきてしまい
食い付いてしまった。



申込書が到着したら
「直ぐ」に返送して貰うよう
お客にお願いするのだが…

電話での説明が
印象に残らないものだと
お客は 忘れてしまい、
返送してくれない。


そして、届いてから
時間がたった申込書は
「もう期限が切れている」
と思い込み、
返送してくれなくなる。

申込書に「期限」なんてものは無く、
何ヶ月・何年後に送っても
別に構わないわけだが、

電話越しで
「直ちに返送願います」
とお客に説明しているのもあって、
時間が経ちすぎると
「期限切れ」と思うのは
仕方が無い。



だから、
わざわざ「カレンダーメモ」まで
させるワケだが、
大抵の客は
「そこまでさせるの??」
と困惑する。


中には
「詐欺」だと思い込み、
終始疑いっぱなしの客も居る。

…と言うか、この御時世
詐欺と疑ってかかる客が
半分以上なのである。



こういう客には、
「資料」として
申込書を送っても
いいと思うのだが…

それは
断固として「禁止」のままだった。


No.363 12/05/25 00:48
ライカ ( 6Rs31 )

私は、砂川さんが
大嫌いであった。


『日本語わかる?』

『アンタが覚えるまで
コッチは待ってられない』



よく こんなことを吐く人が
“上司”やってられんなぁ

と思った。


こんなヤツが原因で、
仕事辞めてたまるか!!

お前は私を嫌いなんだろう?
気に入らないんだろう?


…残念でした!!
辞めてやんないから(笑)
ずっと居座ってやるわ。



私の
歪んだ根性であった。




でも、私の「大嫌い」の感情は
あながち ハズレでもなかった。


砂川さんの
他人を見下すような発言が原因で
辞めるオペレーターが多発。

あちこちのコールセンターを
盥回しにされていて、
上部で問題になっていると

砂川さんとセットで
上司をやっている、
女性の川上さんから聞いた。


聞いた…と言うか
川上さんが
愚痴を「つい」漏らしてしまったのを

私の耳が
たまたま拾ってしまったのだ。


川上さんは
「い、今の聞こえた?」
「ゴメンゴメン、忘れてくれな」
と言った。



川上さんは
コテコテの関西人。

関西弁・関西訛で
チャキチャキ、ハキハキと
仕事を教えてくれた。



川上さんは、
優秀な上司のようで、
全国のコールセンターを周り、
初心者のオペレーターに
手取り足取り
教えているらしい。



川上さんが
他のコールセンターに
行ってしまうのと、

砂川さんが
他のコールセンターに
飛ばされてしまうのと、

ほぼ 同時期であった。

若干、川上さんの方が
早く居なくなってしまう。



川上さんが
先に居なくなり、

砂川さんの
独壇場が続いた
2週間程が

一番 辛かった。


「ブレーキ」が無くなった
暴走車の如く、

「気に入らないヤツ」を

徹底的に、
コテンパンに
のしていった。


私に対しても
更に酷く
当たるようになっていた。


No.364 12/05/25 01:22
ライカ ( 6Rs31 )

砂川さんは

腕を組み、
ずっと私の後ろに仁王立ち。

仁王立ちしながら
ヘッドホンをし

私と客とのやり取りを
聞くようになった。


会話が終わり、
例え「申込書送付」となっても
散々なダメ出し。



「何だ?今のトークは」

「今ので、返送されてくると思うか?」

「“資料送付”じゃないんだぞ」

「もっと客に
返送意識・申込意識を持たせろ!」

「アンタの返送率、
メチャクチャ悪いんだよ」

「わかってんのか?」
「あぁ!?」



…なんだ コイツは。

チンピラがやる
借金取立か何かか??


やる気を削ぐような
物言いしかしてこない。


私は、悔しくて悔しくて。

でも、泣いたり、
言い返したりはしなかった。


砂川さんの前では
「無表情+はい。」を
貫き通した。



砂川さんの言うことに
無表情で
「はい。」「はい。」「はい。」


それ以上の反応は
絶対にしてやらないと
決めていた。



(どうせコイツ、居なくなるし)

(好きにほざいてろ)



そんな私の態度が
気に入らなかったのも
あったのだろう。

尚更 イビリは加速した。



「お前には
日本語が通じないようだな」

「言葉のわからない赤ん坊か?」

「ホント戦力にならないな」

「なんでココに来たんだ?」

「お前みたいなのを
給料泥棒って言うんだよ(笑)」


“アンタ”から
“お前”に変わった。



ここには
書ききれないくらい
メチャクチャに言われた。

それでも私は
無表情を突き通した。



No.365 12/05/26 20:24
ライカ ( 6Rs31 )

砂川さんが
居なくなる日が来たが、

特別、何かをするわけでもなく。
「何となく」
居なくなったような感じだった。

誰かに、惜しまれるわけでもなく…。


「あー良かった。」
「のびのびと仕事が出来る」
「息も普通に吸える(笑)」


オペレーターからは
こんなことばかり
言われていた。




砂川さんが居なくなってから

私は、
どうしても「返送率」が気になり
もう一人の、大人しい上司
佐々木さんに頼み込み
ムリヤリ聞き出した。

佐々木さんは
妻子持ちで、子煩悩。
一見温厚そうだが
眉間には、いつもヒビが入っている。



佐々木さん
「ライカさんの返送率は
45%ですね」

ライカ
「45%……はぁ………
半分も無いんですね」

佐々木さん
「いえいえ。
かなり、良い方なんですよ」

ライカ
「…………え」

佐々木さん
「他の方の返送率、
見てみてください」


佐々木さんは
名前の部分をスクロールして隠し、
返送率の数字だけを見せてくれた。


20%…25%……
中には5%なんて数字もあった。


ライカ
「私、砂川さんに
アンタの返送率は
メチャクチャ悪いって……」

佐々木さん
「い、いやいや…
そんなことは、無いんですよ」



…釈然としないモノを
感じた。



佐々木さん
「これからも、この調子で
よろしくお願いしますね」



佐々木さんは
にこやかに言った。




後日、
別のリーダーから聞いたが


「砂川さんが個人的に
ライカさんのトークが
気に入らなかっただけだから」

「全然気にしなくていいよ」

「数字は取れてるんだから」




…だそうだ。



No.366 12/05/26 20:42
ライカ ( 6Rs31 )

コールセンターで、
私は「独り」を
貫き通していた。


他人からは
嫌われることが 多かった私。

風俗でも、
女からは散々だったし。


(独りの方が、気楽でいい)


休み時間も、ずっと
携帯アプリをしながら
昼食をとっていた。

でも、
勤務を始めてから
3ヶ月…4ヶ月も経つと
いい加減
「向こうから」
話し掛けられるようになる。


話し掛けられると
冷たく突き放したり、
無碍にも出来ず。

自然と、親しくなって行った。



特に親しかったのが
土居さんと、藤崎さんだった。
どちらも女性。


土居さんは、当時で21歳。

飾り気は無く、
ハキハキ元気な印象。
いくら親しくなっても
堅苦しい敬語は抜けないまま。
一回り年上の、彼氏が居る。


もう一人の藤崎さんは
当時で23歳。

まさにアジアンビューティー。
艶やかなストレートの黒髪。
整った顔立ち。
そして、バイリンガル。
英語がペラペラだった。
彼氏が海外に居る。


土居さんも、藤崎さんも、
上司からは一目置かれていて
私よりも 優秀だった。


私達は、いつも3人で
行動していた。

休み時間も、帰る時も。


たま~に、
プライベートで
ランチも楽しんだ。


この3人で、
砂川さんの愚痴も
散々言いまくった。

砂川さん、
もう 居なくなったのに。


私はこう言われた。
私はこうだった、ああだった。


砂川さんの“イビリ”が
かなり広範囲だったことを
この時 初めて知った。

むしろ、
砂川さんの“お気に入り”は
極々「ひとつまみ」だったと
言うことも。



No.367 12/05/26 21:01
ライカ ( 6Rs31 )

この仕事を始め、
3~4ヶ月が過ぎた頃

また、喫煙が復活した。


風俗をやめてから
一度も吸っていなかった。


土居さんと、藤崎さんが喫煙者で、
2人が吸っているのを見ていたら、
無性に吸いたくなってきた。

ヘビーではなく
1日に5~10本程度で
会社に居るとき限定の
喫煙ではあったが。


土居さん・藤村さん・私
3人で、昼食を終えた後は
喫煙室に居るようになった。


喫煙室に
出入りするようになってから…

とある人に
よく 話し掛けられるようになった。




名前は、雁(かり) 慎治さん。
40歳・男性。
髪型は、ビシッとしてる感じで
体型は細身。背は低い。
メガネを掛けている。

オヤジギャグを連発し、
手当たり次第
「今度、みんなでカラオケにでも…」
と誘いまくっていた。


ぶっちゃけ
かなり鬱陶しい。


でも
仕事はかなり出来る人で
常に 成績は上位だった。

上位と言うか
一位、二位を争うような感じ。
(でも返送率は不明)


同性からは特に
「雁さん!」「雁さん!」と
崇められているように
(私からはそう)見えていた。





この、雁さんだが…


メチャクチャ 臭い。


「生乾きのニオイ」を
かなりキョーレツにした感じで
雁さんが居ると
あたり一体は「汚染」され
近寄れなくなる。

ニオイに敏感な女性からは
かなりの顰蹙を買っていて

女性オペレーター→上司に
苦情が何件もいっていた。




私は、この 雁さんから

【ロックオン】
されてしまっていた。



No.368 12/05/27 00:01
ライカ ( 6Rs31 )

>> 367 ■訂正■


土居さん・藤村さん・私
3人で、昼食を終えた後は
喫煙室に居るようになった。


土居さん・藤崎さん・私
3人で、昼食を終えた後は
喫煙室に居るようになった。



名前を間違えました。

No.369 12/05/27 00:48
ライカ ( 6Rs31 )

仕事をする時、
ホワイトボードに書かれた席に
着席することになっていた。


日によって
架ける「リスト」が違う為、
リストの種類で
席分けをさせられる。


出勤すると、
もう 席は書かれていた。

でも、
オペレーターから希望を出すと、
少しならば
席替えも可能だった。



雁さんは、何かと理由を付け
私の隣に 来たがった。


「トークで悩んでたりしないかい?」
「僕のトーク、教えてあげようか?」


仮契約ではあるが
バンバン契約を取りまくる
雁さんのトークは
確かに 気にはなっていた。

でも
雁さんのお節介が…


凄く、気持ち悪かった。



私は
雁さんの体臭?
(服が臭いだけ??)
に我慢しつつ、

「今度、教えてください」

と、軽く流していたが…




これが、良くなかった。

雁さんは
「今度、教えてください」
を真に受けてしまい、
私にしつこく、執拗に
迫ってくるようになった。


「僕に何でも聞いてよ」
「今度、飲みに行こうよ」
「その時に、トークを
メモったらいい」


私は散々流してきたが
あまりにも執拗で

いい加減 かわし切れなくなり…



とうとう
飲みに、行ってしまった。



雁さんは
仕事は出来る人だから。

上司も、かなり
雁さんプッシュだし…

「無碍」にすれば
他のオペレーターから
顰蹙を買うかもしれない。


臭いけど…

きっと みんなが
雁さんを尊敬し、
見本にしているに違いない。


ずっと
そう思っていた私は
強く 拒否出来ずにいた。



「飲みに行く」
となると、雁さんは
すっかり舞い上がってしまい??

休憩室に置いてあった
クーポン誌から

クーポンを 何枚も
勝手に失敬。

クーポン誌なんて
コンビニで無料配布してるのに………



貧乏臭い「40歳」に
ドン引きしてしまった。


No.370 12/05/27 01:18
ライカ ( 6Rs31 )

雁さんと飲みに行くとき、
きちんと コウスケさんに
断りを入れた。


「“例”の雁さんと
飲みに行ってくる」

「トークを教えてくれると。」

「“何か”があったら
電話するね……」



私は、雁さんの“危険度”を
あらかじめ
コウスケさんに
散々説明していた。


コウスケさんは
笑いながら
私の説明を聞いていた。


「そんな人も居るんだね(^^;)」
「まぁ、危なかったら連絡してね」


私を信用している??

……いやいや、
あまりにも 雁さんが
痛々しい男だから。

「有り得ない」
「それは無い」と
思っているのだろう。




仕事帰り、
雁さんと一緒に
居酒屋へ向かった。


雁さんは
切り取ったクーポンをガン見。

「どこがいい?」
「どこにする??」


お金の無い
十代・二十代の
学生ならまだしも…

コイツ
もう 40のオッサンだよ??

「見栄」もへったくれも
あったモンじゃない。



居酒屋で
雁さんから直接
聞いたのだが

雁さんには
子持ちバツイチの
彼女が居ると言う。


生乾き臭くて
ドケチで
40歳にして派遣社員
派遣社員歴15年の
(↑雁さんが自分で言っていた)
ギャグがつまらないオッサンに

まさか
彼女が……………。


私も
「彼氏、居ます」
「同棲してます」
「筋肉質で、私の好みです」
「喧嘩も無いし、仲は良いです」
と、彼氏が居ることを
かなりアピールし、

【予防線】を
張ったつもりでいた。



初回なのもあって、
仕事の話と
お互いの 彼氏彼女の話をし

普通に終わった。



でも、雁さんの
「チビチビ飲み」には
かなり ドン引きした。


「そろそろ帰らないと…」
「彼が心配するんで」
と言うと、

「わかったわかった」
「この一杯を飲んだら帰ろう」

と言いながらも

「長居」を企み
コップ一杯のビールを
かなりチビチビと
スローペースで飲むのだ。


No.371 12/05/31 04:21
ライカ ( 6Rs31 )

この“チビチビ飲み”のせいで
公共の乗り物の最終に
間に合わなくなりそうになった。

いくら
「もう時間が無い」
と言っても、全く聞く耳持たず。

いつまでもペラペラ喋り
ビールをチビチビチビチビと。



私は内心、
もの凄くモヤモヤしていたが


「仕事が出来る人」

「みんなから慕われている」
(…に違いない)

「嫌う方がオカシイ」
(…に違いない)



本気で そう思っていたから
職場の誰かに
ブチまけるでもなく、

雁さんのペースに
ずっと我慢していた。



何度か飲みに行き
(行かされ)
トークも教わったが、


「クーポン」と
「チビチビ飲み」は

ずっと変わらずで、
最終に間に合うよう
必ずダッシュする羽目に。


酔いが回ってのダッシュに
リバース寸前の時もあった。





私は 心底

雁さんのことも
大嫌いになった。

「大嫌い」と言うより

「気持ち悪い」
「気色悪い」と言うべきか。


生理的に
受け付けないものを感じた。



でも やはり職場では
「雁さんプッシュ」
「雁さんワッショイ」は
相変わらずであった。

男性の同僚からは
慕われているように見えていたし、

上司は
雁さんの仕事振りを重宝していた。




(きっと…
私だけではないはず)

(雁さんのトークを学ぶのに
雁さんと飲んだ人は
それなりに多いハズ)



そう言い聞かせて、
毎日毎日を 我慢して過ごした。



今思えば、何故直ぐに、
土居さんや 藤崎さんに
相談しなかったんだろうと…

大変 悔やまれるところである。


No.372 12/05/31 04:36
ライカ ( 6Rs31 )

雁さんに付きまとわれてから
約3ヶ月。

季節は夏。



職場の人達は
基本的には みんな
仲良しであった。

仲良しと言うか、
精神的に 辛い仕事だからか
「仲間意識」が
とても強かった。

お互いに励まし合い
時には愚痴を言い合い
メゲずに頑張ろう。


常にみんなが
スクラムを組んで
頑張っているような感じ。



そのスクラムの中に
雁さんも 混ざっていた。


私は
ずっと疑問だった。


(雁さんって
何だか“スゲー”性格してるけど
本当に慕われているのか?)

(仕事さえ出来ていれば
性格は関係無い人達が
集まっている職場なのか?)



批判されるのが怖くて、
私はずっと
雁さんの愚痴は
誰にも言えずにいた。





そして“大問題”の
飲み会の日が やってくる。






真夏の暑い日。

職場の近くの公園で
小規模のビアガーデン?
が開かれていた。


職場のみんなで
仕事帰りに ビアガーデンに寄って
ドンチャン騒ぎをしていこうと
言う話になった。


集まった同僚は
20人くらい。

ビールジョッキ片手に
まずは乾杯。

最初はみんな
落ち着いて飲んでいたが

酔いが回るにつれ
みんな「各自」で
どんどん
メチャクチャになっていった。


土居さんなんかは
全く知らない団体の中に
いつの間にか混ざっていて、

どこの誰とも知らない
若い男性と
メアド交換をしていた。

…彼氏、居るのに。(汗)



当時26歳だった私は

(もう若くないし…
飲んでも、冷静で居よう)

と頑張っていた。


視界はかなり
グルグルしていたが、
気持ち悪くなることは無く、

良い具合にグルグルしていた。


No.373 12/05/31 04:53
ライカ ( 6Rs31 )

酔いが回って
メチャクチャになっている中に
雁さんも居た。


雁さんは
寒いオヤジギャグを

いつも以上に連発。



「俺はね~、
何の取り柄もない男なんだよ」

「こうやって、冗談言って
笑いを取ることくらいしか…」






(いやいやいや。)

(全然笑えねーから。)

(コッチが恥ずかしいから
頼むからやめてくれ。)


そう、思っていたし
愛想笑いをしてやる気にすら
ならず……


雁さんのギャグには
ピクリとも反応してやらなかったが

他の同僚達は
そこそこに 笑っていた。



(私の笑いのツボが
オカシイだけなんだろうか…)




ちょっと 不安になった。

やはり、
雁さんを嫌う私の方が
オカシイのかもしれないと。




酔いが回った同僚達は
徐々に 散り散りになり、

収集が
つかない状態だった。

良い感じて 酔っていた私に
雁さんが迫る。



ボーッと
酔いに浸る私の手を
強引に引っ張り、

走り出したのだ。





ライカ
「は???」
「え?」

「えっ???」


雁さん
「これからさ、2人で飲み直そうよ♪」
「みんな、もうグチャグチャで
バラバラになっちゃったし。」
「ライカさん、明日休みだよね?」


ライカ
「は??…はぁ…。」


雁さん
「じゃあ行こうよ~」

「あ、俺酔っ払ってるから。」
「ライカさん助けてぇ~」
「転びそうになったら
俺を支えてね♪♪♪」




私が“シラフ”だったら
手を振りほどいて
逃げ出しているだろう。


でも この時の私は
先に書いた「不安」や
酔いもあって、


雁さんのペースに
飲まれっ放しの状態に
なってしまったのだ。



(これを“無碍”にしたら
同僚のみんなから、
白い目で見られるかも…)



頭が
あまり働かず。

振りほどける筈の手を
振りほどくことが出来なかった。


No.374 12/05/31 05:09
ライカ ( 6Rs31 )


私はなんで

この人と

手をつないで

歩いているんだろうか…




頭が ボーッとする。

どーでもいいや………





雁さんは私を
カラオケに引っ張って行った。


「ここの「飲み放題」がさ
凄く安いんだよね~」

会員カードを出し、
やはりクーポンも……。


連れてこられたカラオケ屋は
私は初めての場所で、
会員カードまで
作らされる羽目になった。
(利用には必ず会員登録が必要だった)




個室に通される。






私と 雁さん。
2人きり。

周りには
誰も居ない。




私は 徐々に 少しずつ

酔いが 覚めつつあった。


雁さん
「飲み放題だからさ
どんどん頼みなよ!」


私は
(これ以上、酔うワケにはいかない)
と思い、最初の一杯で
遠慮しておいた。

雁さんは
ムリヤリ酒を追加しようとしたが

「これ以上飲んだら
マジ吐くんで。」
「勘弁してください。」

と キッパリ断った。




雁さんは
歌い出すと
“マイクを離さないタイプ”
と言うヤツで、


私には お構い無しに
勝手に バンバンと
曲を入れていった。


そして
曲の合間合間に

とんでもない発言をしてきた。



雁さん
「ライカさんって
胸、大きいよね」


ライカ
「…はぁ?」


雁さん
「ちょっと寄せたら
谷間、できちゃうでしょ~?」


ライカ
「…」


雁さん
「俺さぁ、ライカさんのこと
“ライちゃん”って呼ぶからさぁ」
「“ライちゃん”も
俺のことは“カリちゃん”って
呼んでよ~~~」


ライカ
「いえいえいえ!」
「そう言うのは勘弁してください」


雁さん
「え??
ライちゃん、俺のこと
嫌いなの!?」
「嫌いになっちゃった!?」


ライカ
「…。」
「そーゆーワケではありませんが」
「勘弁してください。」


雁さん
「あぁ…そう。」
「ライちゃんは
俺を嫌いなんだね…」


ライカ
「だから、
そーゆーワケではありません」





(最悪だ、このクソ野郎………)


No.375 12/05/31 05:28
ライカ ( 6Rs31 )

ここで

「ああそうだよ」
「お前なんか大嫌いだよ!」
「こんの、クソ野郎がぁ!!」


…なんて 言ったら
何をされるか 分からない。

取り敢えず
適当に流すしか無いと思った。





雁さん
「いいよいいよ。」
「俺、ライちゃんに嫌われても~
俺は、ライちゃんを好きだから!」


ライカ
「彼女、居るんですよね?」
「マジ勘弁してください」


雁さん
「やっぱり俺、嫌われてる~!」


ライカ
「勘弁してください」
「そう言うのは、もういいんで。」


雁さん
「あっそ…。」
「まぁ、関係無いけどね。」





(関係無い…?)

(はぁあ???)

(コイツ、マジで私を
「下」に見てんな…💢💢💢)






※ここからは
以下…

雁さんの「迷言」↓




職場のエレベーターん中で
ライちゃんの胸が
俺の肘に
当たってたことがあってさぁ
(↑私は全く気付かなかった)

会社なのに
勃起しちゃって~~
我慢出来なくなってさぁ

会社のトイレで
オ○ニーしたんだよねぇ

家に帰ってからも
ライちゃんをオカズに
何回ヌいたか 分かんないよ~~

ライちゃん、
俺の為に ミニスカート履いてよ~

ミニスカート持ってない??
なら、俺の為に
ミニスカート買って~~~

この脚の太さなら
ミニスカート大丈夫だって~
(と言いながら
私の太ももをさする)

ライちゃん、
もし彼氏が居なかったら
俺と付き合ったでしょ?
付き合ったよね??

もしライちゃんに
彼氏が居なかったら
俺と、ホテル行っちゃう??
行っちゃうよね??

俺のチ○コ
かなりデカいんだよね~~~

勃起すると
腹につくくらいになるし

勃起するとギンギン過ぎて
すんごい痛くなるんだよね~

ライちゃん
俺のチ○コ
欲しいよね??

欲しくなっちゃうよね~~~

俺は
ライちゃんに嫌われても
俺はずっと
ライちゃんを好きでいるよ!

この歌を
ライちゃんに捧げるよ!
(何曲も連続で聞かされた)



No.376 12/05/31 05:48
ライカ ( 6Rs31 )

(迷言続き)



ライちゃんの彼氏
鍛えてて 筋肉凄いんだって?

俺は昔、空手やっててさ~~
俺も 凄かったんだよ!

ほら、触ってみてよ~~~
(ムリヤリ、雁さんの
上腕を触らせられる)


↑「俺は昔、凄かった」
の武勇伝語りが暫く続いた。

ちなみに
雁さんは“ガリガリ”で
モヤシ状態である。


俺、ライちゃんを
イかせる自信、あるよ!

彼氏が居なかったら
ホテル行って
ライちゃんをガンガン
イかせまくるのに~~~


(↓今まで付き合った
女性の人数は?の質問に対して)

はぁ?ナニ??
もしかして
俺を馬鹿にしてんの??
(いや、してねーし💢)

俺、何年生きてると思ってんのよ。
付き合ってきた女は
20人以上居るよ…

(↑怒って答える意味が分からない)





取り敢えず
思い出せるだけ
書き出してみたが、

これだけでも
如何に「勘違い」をしている
痛々しいオッサンなのか
よく分かるだろう。

いくら
酒が入っていたとは言え
あんまりだと 私は思う。


これらの発言に対して
私は テキトーに流していた。

でも
「彼氏が居なかったら
俺とホテルに…」

に関してはキッパリと

「それは有り得ませんから」
「勘弁してくださいね!」

と、かなり強く拒否し、
言い返してやった。


それでも雁さんは
全くお構い無し。




雁さんは
「飲み放題」をいいだけ利用し
かなり酔っ払っていたが、

私は 最初の一杯でやめたので
カラオケから出る頃には
完全に「素」の状態であった。



会計の時、
カラオケ屋の店員が
雁さんの会員カードを

ちょっと 見えなくしたらしく

「今、探しておりますので」
「申し訳ありませんが
もう少々お待ちください」

と、丁寧に
対応していたにも関わらず、


雁さんは 店員に
かなりの悪態をついていた。


呂律が回っておらず
何を喋っているのか、
よく聞き取れなかったが、

店員を睨み付け、
何かをゴチャゴチャと言っていた。



私は
40歳のオッサンが
たかが 会員カードで…と

凄く 恥ずかしくなってしまい、

雁さんが
店員に向かって
悪態をつく度に、私は

「スミマセン」
「ホントすみません…」

と、深々と頭を下げ、謝った。



本当に 恥ずかしかった。
嫌だった。



No.377 12/05/31 11:01
ライカ ( 6Rs31 )

カラオケでの会計は
8000円を超えていた。

飲み放題だったが
食べ物を随分と注文したからだ。

…主に、雁さんが。

私に断り無く。
勝手にバンバンと…。



手持ちが無かった私は
雁さんに会計を任せ、
「後日職場で返します」
と伝える。


私は内心

(お前がムリヤリ引っ張って
きたんだから、
お前が全額払えよ‼💢笑)
(ドケチの色呆けクソ野郎が…)

と思っていたが
流石にそうは言えなかった。




時間は
早朝の 4時半になっていて
もうすっかり
明るくなっていた。

繁華街に居た私達。



私は雁さんに
「どーやって帰るの?」
と 聞かれたので、

「タクシー代、無いんで。」
「適当に時間潰して
6時の始発で帰ります」

と答えた。

私のこの発言に
「金、貸すから。
タクシーで帰れ」

と、何故か
怒り心頭の雁さん。

私は
「これ以上は
(金を)借りられない」
「金欠なので
借りても返せない」

と突っぱねたが

「危ないから!!」
「返すのはいつでもいい!!」
「タクシーで帰れ!!」

と…かなり、しつこい。
しかも、かなりご立腹。



繁華街から
自分の家までタクシー…

ぶっちゃけ
お金が勿体無くて
絶対に嫌であった。

運賃が いくらかかるのか
いくらブッ飛ぶのか
想像出来なかったし。


強引に
タクシーに載せようとする
雁さんから

兎に角 逃げた。


雁さん……しつこい………。




「俺はなぁ、
お前を心配して言ってんの!!」
「何でソレが
分かんねーかなぁ!?」

「俺の、ライちゃんを
心配する気持ち…無視するんだ?」

「あーーー!!」
「いいよいいよ!!」
「お前なんか、
もう知らねーよ!!!!」





ライカ
「彼氏、呼ぶんで!!💢」
「これでいいですか!?💢」
「いい加減にしてください‼‼」




私は
カラオケ屋の前から

走って 逃げた。




かなりのダッシュで逃げた。


走りながら

私は泣いた。



涙が 止まらなかった。



No.378 12/05/31 11:16
ライカ ( 6Rs31 )

何なんだ、アイツは………‼

一体、何なんだ‼‼‼





私は

雁さんのような
イかれクソ野郎に
振り回されていることに

もの凄く
悔しい気持ちになった。



(何なんだ…)

(一体、何だったんだ…!?)

(何なの??
あの“未知なる生命体”は?!)




雁さんの言動が
全く理解出来なかった。

【普通の】人間のする
立ち振る舞いではないと…


私の範疇を 超えていた。


雁さんのような
非常識な40歳のオッサンを
受け入れる受け皿が
私には まだ無かった。




世の中には
非常識な人間が
まだまだ 沢山居る。


それは
頭では分かってはいるが…


ここまで“逸脱”している人間は
私の人生の中で、
雁さんが 初めてだった。






繁華街から離れた
街角のベンチで

私は、うなだれていた。



雁さんのような
非常識色呆けクソ野郎が

のうのうと
オメデタく生きていることに

私は 怒りを覚えた。



私は
雁さんを“否定”してやろうと

雁さんに
“堕落”を味合わせてやろうと

ベンチに座りながら
あれこれ 考えた。




まずは 上司に報告。

同僚(特に女性)にも
散々言いふらして
警戒するよう促そう。


雁さんが いかに
“最低のクソ馬鹿野郎”なのかを
みんなに分かって貰おうと…



(少しは痛い目見て
反省しろや、エロクソジジィめが)







私は

【復讐】に燃えた。



No.379 12/06/02 02:27
ライカ ( 6Rs31 )

雁さんは 恐らく
人生の中で

「堕落」や「失望」を
味わったことのない

“頭が茹で上がってる”
“オメデタイ”
人間なのだろう。



ある意味
「幸せ」な部類の人間。



だから
あそこまで痛々しい性格で

実は
誰からも好かれていないのに


「俺を好きにならない女は異常」
「俺に群がらない人間は異常」
「俺に落とせない女は居ない」
「俺は慕われて当然」


と、
ずっと思い込んでいて
自信に満ち溢れているのだろう。


全く
謙虚さが無いのである。




多分、雁さんは
「精神病」の一種なんだと思う。
何て病名が付くかは知らんが。




多分…………
いや、



絶対に病気。

いや、病気と言うか
人格障害かも。





私は
夜が明けて
すっかり明るくなった

街角のベンチに座りながら

雁さんとの一連を
ブログに書き込んだ。


雁さんの「迷言」を
忘れないうちに
書いておこうと思った。




この ブログを書いてる最中、

私は数年振りに
ナンパされた。



ちょっと
頭がイかれた風の
小太り兄ちゃんだった。


ブログを打ちながら
無視しているうちに
始発の時間になったので

歩きながら
ブログを打っていた。

その間もずっと
小太り兄ちゃんは
執拗に誘ってくる。



「ホテル行こう」
「エッチしようよ」


「あ~~~
無理無理!!💢」
「彼氏居るから。」


「彼氏居てもいいじゃん」


「無理だって!!💢」
「っつかアンタ
タイプじゃないから。」
「バイバイ💢」



バイバイ💢と同時に
乗り物に乗って

扉が閉まる。

無事
サヨナラ出来た。



雁さんのことで
気が立っていた私は、

いつも以上に
キツい口調になっていた。






あの 小太り兄ちゃん……

マジ キモかったわ…



口調や雰囲気が
「普通」じゃなかったんだよね。

多分…○○だな………



No.380 12/06/02 19:21
ライカ ( 6Rs31 )

朝方、無事自宅に到着。

コウスケさんは
まだ寝ていた。


朝7時半。
コウスケさんは
携帯のアラームで起きる。

私はコウスケさんに
「ブログ書いたから
読んで欲しい」
と言った。

口で説明すると
話が前後して
メチャクチャになりそうだったから。


落ち着いて、順を追って
説明出来そうにないから

書き足したり
入れ替えたり
削除したり

文章を整理して打った
ブログを読んで貰う方が
正確に伝わるだろう。



コウスケさん
「…ナニナニ??」
「どうしたって??」



「…………。」










「…(^^;)」

「アチャー…。」





コウスケさん
「やっぱりね。」
「俺は、遅かれ早かれ
こーなるんじゃないかと
思っていたんだよ(^^;)」


ライカ
「でも、雁さん
彼女 居るって…」


コウスケさん
「彼女居たって
関係無い人は沢山居るよ」
「それに、彼女居るって
“嘘”なんじゃないの?」
「見栄張ってるだけの
可能性もあるよ」


「ライカの言うような
痛々しい性格の人物ならね」


ライカ
「………うん。」
「そーだね…」
「“嘘”かもしれないよね…」



今日が
仕事休みで良かった。


取り敢えず
寝たり、ゲームしたり
1日は、好きに過ごした。


平日だったから
コウスケさんは仕事だったけど…。


夜は、気晴らしに
コウスケさんと
外食した。


外食中は
雁さんの話一色だった。

コウスケさんは
ゲラゲラと
笑いながら聞いていた。

「無事帰ってこれただけ
良かったと思わなくちゃ」



まぁ、
襲われなかっただけ
マシだったと言える。

でも
「オ○ニー」の発言は
かなり(精神的に)キツかった。





次の日。

私は朝から
土井さんと、藤崎さんに
電話した。



「今日1日は
ずっと私と過ごして欲しい」
「席も、2人で
私を間に挟んで欲しい」
「理由は、
会社で全部話すので!」

「お願いします!!」



No.381 12/06/03 01:15
ライカ ( 6Rs31 )

土井さんと藤崎さんは
こころよく「OK」してくれた。


土井さん
「な、何かあったんですか!?」
「わかりました!」

藤崎さん
「よっぽどのことがあったんですね」
「了解ですよ~!」



職場に着くと…

なんとラッキーなことに
雁さんは休みだった。

ホワイトボードを見ると
どこの席にも
雁さんの名前が無い。

公休なのだろう。


土井さんと
藤崎さんに
席を挟んで貰う必要は
無かったが、

まぁ、いいか…と。



そして 昼休み。

私は、ここぞとばかりに
土井さんと 藤崎さんに

アライザライ
全てをブチまけた。

土井さんは
目をまん丸くし、
藤崎さんは
両手を口にあてながら、

2人とも
「マジか…」

と言う表情で聞いていた。





土井さん
「実は、私も…
2度ほど、雁さんと
飲みに行ったことがあるんです」


ライカ・藤崎さん
「え??」


土井さん
「ライカさんの時と
全く同じで。」
「帰りたい…と言っても
コップ一杯を、チビチビと
かなり粘るんです。」
「で、結局私は
終電に間に合わず、
彼氏に迎えに来て貰う羽目に
なったこともありました。」


ライカ
「ま、マジで…………」


土井さん
「お金が無いから無理です
って断ったら、おごるから!って。」
「申し訳無いと思って、
1000円分しか
飲み食いしなかったのですが…
次の日になって
『土井さん?昨日の1000円は?』
って…1000円徴集されたんですよ」



ライカ・藤崎さん

「………………。」





おごる

と言っておき、
無理に土井さんを誘った挙げ句、
次の日に
堂々と1000円を徴集……………



やっぱり

頭 イかれてる

雁さんって…





土井さん
「雁さんって、
仕事出来る人じゃないですか」
「だから、
雁さんを拒否したら
みんなに、変な目で
見られるんじゃないかって」


ライカ
「それそれ。」
「私も、そう思ってたんだよね…」
「だから
何となく断れなかった。」



No.382 12/06/04 14:31
ライカ ( 6Rs31 )

でも
そうではなかった。


仕事出来るとか 知らん。
雁さんは、気持ち悪い。
頭イかれてる。
メチャクチャ臭いし。


…この感情は
私だけではなかった。

土井さんも
藤崎さんも
同じだった。



『多分、女はみんな嫌ってる』
『私だけじゃない』






私だけじゃないんだ…


ああ、そう。







なら、
私がみんなの「代表」になって

雁さんを
やっつけちゃうけど(笑)

いいよね??
それでも。





『みんなが嫌ってる』
と分かってからじゃないと
何もできなかった私。

我ながらに
呆れてしまうけど(笑)







…次の日。

雁さんは 何食わぬ顔で
出勤してきた。

私は
あからさまに「嫌」な態度を示した。

昼休み。
私の携帯に、
雁さんからの着信が
バンバンと入った。


私が
あからさまに避けるからだろう。

それと
早く金を返して欲しいんだと思う(笑)



雁さんは
「パケ放題」に入っておらず
携帯で
メールもネットもやらない。

パケ放題に入ると
メールやネット使い放題になる分、
基本料が上がるから。

職場のパソコンは
顧客の個人情報が詰まっており
情報漏洩防止のため、
業務の時間以外は
使えないように徹底管理されている。

だから、調べものは
他人の携帯を使う。
勿論、私の携帯も利用された。

それだけ
「ドケチ」なのである。



昼休みは勿論、
土井さんと 藤崎さんとで
過ごした。

3人で、
雁さんからの着信の
しつこさに怯えた。


「マジ気持ち悪い…」
「うわっ…しつこいんだけど」


土井さんと
藤崎さんに

雁さんの話を
みんなに広めるよう
頼んだ。


「雁さんに誘われても
絶対に乗らないで」
「オカズにされるよ(笑)」




昼休みが終わると
雁さんが近づいてきた。

上司が周知を喋っていて
みんな黙って聞いてるのに、


「ライカさん、ごめん!」

「タクシーのことは
ライカさんのことが
本当に心配で…」

「俺のこと、嫌いになっちゃった?」

「あ、ところで、お金なんだけど…」




一方的に 小声でペラペラと。

私は無言で
半分の4000円を差し出した。



No.383 12/06/08 00:32
ライカ ( 6Rs31 )


雁さん
「あ~~~良かった。」
「これが無かったら
今月ピンチだったよ」



たかだか4000円で
「ピンチ脱出」ですか?

そんな金欠なのに
よくもまぁあんなに
遠慮無く 食いもん頼んだよな💢

しかも
「タクシー代貸す」
「返すのはいつでもいい」
とか言ってたよね…。




私は つくづく
(タクシー代借りずに
始発まで待って良かった)
と思った。



上司は続けて
ずっと周知を喋っている。

その間ずっと 雁さんは
ペラペラペラペラと
気持ち悪い“囁き”を繰り返した。



雁さん
「俺のこと、嫌いになっちゃったの?」

ライカ
「もういいですから。」

雁さん
「ねぇ…嫌いになっちゃったの?」

ライカ
「もう、いいですから。」

雁さん
「なら、
俺の顔見て言ってよ~~…」

ライカ
『も う い い で す か ら !!』





“俺の顔見て言ってよ~~…”




最っっっ高~~~に

気持ち悪かった。

鳥肌が立った。

殺意が湧いた。




私は
雁さんの顔は
見てやらなかった。


でも、
思いっ切り 目をカッぴらき
雁さんが居る方向を睨み付け


嫌悪感を丸出しにし
拒否してやった。




雁さん
「ああ…っそう!」
「俺のこと嫌いになったんだね!」

ライカ
「もういいですから!!」
「うるさい!!」


※↑私も小声です



雁さん
「分かったよ!」
「ならもう一切構わないから!!」




(是が非でも、そうしてくれ!!)



心の中で叫んだ。




周知が終わって
業務が始まると、

私は真っ先に
周知を喋っていた
上司の元に駆け寄った。



この上司の名前は
服部さんと言う。
チーフリーダー。

服部さんも、関西出身。

言葉は標準語でも
イントネーションが関西で
熱く語ると関西弁になる。



No.384 12/06/08 00:52
ライカ ( 6Rs31 )

ライカ
「服部さん。すみません…」


服部さん
「…はい、何でしょう!?」


ライカ
「どうしても、
お話したいことがあるのですが。」
「いつでもいいので、
お時間を頂けますか?」


服部さん
「…えぇ!?」
「ライカさん………」


「…分かりました!」
「あと15分くらいしたら
呼びに行くから。」
「ちょっと待ってて。」
「下の階で話そう。」


ライカ
「わ、わざわざ別室で?」
「…ありがとうございます!」



服部さんは
私からの「話がある」の振りに
大層 驚いていた感じだった。


それを見ていた土居さんが

「あの~…」
「私も便乗してもいいでしょうか…」
「今のって、雁さんのことですよね…」
「私からも、言いたいことが……」



土居さんは
申し訳無さそうに言ったが
私は「勿論!是非!」と。

服部さんには
「土居さんからも話が」
と断りを入れ、
それもOKを貰った。



15分後
服部さんが私のデスクに来て

「行きましょう!」と一言。


私は土居さんも呼んで
3人で 下の階の会議室へ移動。


服部さんは
階段を下りながら

「一体、何の話やろ…」
「ドキドキするわ~~」
「ライカさんからこう言うのって
珍しいよなぁ……」


と 緊張?している感じだった。


会議室は
5~6人用の
狭い会議室で

「トップ」の人達 少数だけで
集まる時に使っている部屋だった。



服部さん
「ら、ライカさん……
話と言うのは??」


ライカ
「実は……
雁さんのことなのですが。」


服部さん
「ああ、雁さんと
ライカさんって、仲えぇよなぁ?」
「何かあったの??」



私は“仲えぇ”に
かなり渋い顔をし、
手を横に振って見せた。


服部さん
「えぇ?違うの??」
「お互いに、アドバイスとか
し合ってたんじゃないの?」



No.385 12/06/16 00:34
ライカ ( 6Rs31 )

私は服部さんに、
遭ったことを全て話した。

私と一緒に、土居さんも。

私も土居さんも
似たような被害に遭っていて
凄く迷惑していると…。


ライカ
「雁さんは、
私をオカズにオ○ニーしていると…」
「そうハッキリと言いましたよ」
「職場のトイレで抜いてると」

服部さん
「………」
「そうか…」
「あの人、トイレ行くと
長いんは、そのせいだったり
すんだろか…」


土居さん
「雁さん、トイレ長いですよね~!」
「最低でも10分は
帰ってきませんよ!」


ライカ
「長い時は、
15分は帰ってきません。」


一同
「……」
「……」
「……」



服部さんは
頭を抱えた。

難しい問題だと。
デリケートな問題だと。


服部さん
「それ、酒の席での
話ちゃうの??」


ライカ
「酒が入ったら、
何を言っても許されるんですか!?」


服部さん
「そりゃ~……
そうやけど……」
「あぁ……(悩)」




まず、証拠が無いと。

“やった”と言う
明確な証拠が無いと
解決は難しいと服部さんは言う。


証拠も何も、
雁さん本人から
「オ○ニーした」と
言ってのけたんだが。



ライカ
「服部さんは、まさか」
「“私”がそんな目に
遭うはずが無いと
思っていませんか?」


服部さん
「え!?」
「いやいやいや…」


ライカ
「私みたいな、
化粧っけの無い“デブ女”を
狙う男なんて居ないと。」





書いていなかったが
風俗を辞めてから

私はみるみるうちに
肥えていった。

この頃の体重は
75キロもあったのだ。

コウスケさんとの同棲で、
コウスケさんと
同じ量のご飯を食べるようになり
激しく リバウンドしてしまっていた。


コウスケさんは
私が太ったことに
一切 気付いていなかった。


No.386 12/06/16 00:54
ライカ ( 6Rs31 )

ライカ
「私は、自分を弁えてるつもりですよ」
「まさか、こんな私を
狙う男が居るなんて…。」

「でも、雁さん言ってました。」
「“ふくよかな女性が好み”
なんだと」



私は、風俗で
「デブ女」を散々見下げてきた。

だから、今の自分が
いかに醜いのか
もの凄く自覚していた。

私を狙う男なんて居ない。

油断し放題だったし、
油断してたって
何の差し支えも無い。

だから
雁さんの「飲み」の誘いに
ホイホイと乗った。


間違っても
私みたいなピザ女とは
“絶対に無い”。

いくら女好きの雁さんでも
私に対しては、絶対に無いと。


だから
雁さんとの一件の直後、
ナンパされたのも
有り得ないことだった。

あの兄ちゃん、○○だな…
と思った理由は ここにある。




でも、
そーでもなかった。

世の中、
「デブ専」って
本当に居るんだなぁ…と
身を持って知った。




ライカ
「私みたいなゴミ女でも
狙うんですよ。あの男は。」


服部さん
「いやいやいやいや!」
「んなこたないんやけど…」
(↑社交辞令)


ライカ
「取り敢えず、
被害が広まらないように
工夫してくださいね。」
「架電中、ホントうるさいです、あの人」


土居さん
「凄く話し掛けてきますよね…」
「頼んでも居ないのに
“教えようかぁ?”とか
一方的にベラベラベラベラ」


服部さん
「わかったわ。
取り敢えず、座る席は気を付ける」
「雁さんを
男で囲むようにするわ」
「他のリーダーにも
雁さんを注意深く見とくよう
伝えとく…」




この時は
ここで話は終わった。

次の日から 雁さんは
四方八方
男に囲まれる席となった。


取り敢えず
安心はしたが………



No.387 12/06/20 15:36
ライカ ( 6Rs31 )

私は、落胆した。

雁さんは、周囲の席を
男性で囲うだけに留まった。

しかも
時間が経つにつれ、
ソレも緩くなってゆき…

雁さんの周囲には
若い人~オバ様年齢まで
普通に座るようになっていた。




でも

コレが良くなかった。


私ほどでないにしろ、
雁さんからの被害が
広がってしまったのである。




女性のリーダーが
業務中…

「ちょっと、お話があります」
「…いいですか?」

と耳打ちしてきた。
私はそれに従って
また下の階の会議室へ。

それには
土居さんも同行した。


土居さん
「雁さんの話なんじゃ…」

ライカ
「…。そうかもね…」



会議室に入ると
男性の同僚まで居た。

私達は、ちょっと驚いた。





女性リーダー
「雁さんについてなんですが」

土居さん
「ああ、やっぱり…」


ライカ
「被害、拡大したのでは?」


女性リーダー
「…ええ。」
「実は、若い女性から
苦情が多発していまして。」

【大学どこ?年齢は?など
質問責めに遭う】
【しつこく飲みに誘われる】
【業務中、頻繁に話し掛けられ
仕事に集中出来ない】
【体臭が酷くて具合が悪くなる】
【昼休み中、お酒を飲んでいるかも】

「…などなどですね。」
「多数寄せられています。」


ライカ
「お、お酒ですか!?」



昼休み中に
休憩室の冷蔵庫から
ワンカップの瓶を取り出し
チビチビ飲んでいるらしい

…とのこと。



男性陣からは

「確かに、
あの人しょっちゅう酒臭い」
「二日酔いかと思ったけど
違うのか??」
「ワンカップの瓶は
俺も見たことあるわ」

との声。




…開いた口が
塞がらなかった。


No.388 12/06/23 03:44
ライカ ( 6Rs31 )

リーダーの女性からは

「雁さんの件に関して
少しでも何かあったら
即座に知らせてください」

「皆さんが気持ち良く働けるよう
良い環境作りをするのも
我々の仕事なんです」

…と言われた。


その会議?が終わり、
ゾロゾロと退室する時に

同僚の壮年男性の1人から
コソッと言われた。



「ライカさんの言っていた
雁さんのこと。」

「いくらなんでも、
それは無い、言い過ぎ…
って、思ってたんだけど
今の会議で“確信”に変わったよ」

「他の女の子からも
苦情が出ていたなんてね。」

「疑っちゃっててゴメンね。」




これを聞いて
私も“確信”した。



やっぱり、

【あんなデブ女にセクハラなんて
チャンチャラおかしいわ】

【デブサイクの被害妄想だ】


…そう 思われていたんだと。


私がもっと

若くて
痩せていて
可愛かったら、

とっくの昔に雁さんは
“クビ”になっていただろうと。

たかが「派遣社員」なのに
何故さっさとクビにしないのか。
疑問ではあったけど…


やっぱり
そういう理由だったのかと。



私は、自分を
“糞デブサイク”だと
きちんと自覚していた。

でも、悔しかった。


あんなメチャクチャなことを
散々言われ
脚まで触られ
嫌な思いをしたのに


何故
「やられっぱなし」のままで
居なきゃいけないのか。

何故
脳が煮えくり返ったクソ野郎が
まだ堂々と働いているのか。




私は

徹底的に

コテンパンにしてやろうと

色々 考えるようになった。



雁さんも
服部さんも

徹底的に
痛めつけてやろうと…。







そんな日々を送る最中、



私は 妊娠した。

コウスケさんとの子を。


No.389 12/06/23 03:57
ライカ ( 6Rs31 )

生理が遅れていた。

私は
ダイエットや過食を繰り返し、
メチャクチャな食生活のわりには

生理だけは
キッチリ28日周期で来ていて
ズレても1日だった。


それが
一週間もズレている。

体調は、いたって普通だ。


ただ、
下腹部が チクチクと
痛むような感覚があった。



(早合点はダメだよね)

(10日ズレたら
検査薬を使おう)



妊娠検査薬は
一週間を過ぎてからなら
使えるが、

より正確な結果を知りたくて、
10日後に使おうと決めていた。




そして、10日後…


使用すると
バッチリ【陽性】であった。




私は 困惑した。


(父親が、何て言うだろうか?)

(また、メチャクチャな
説教をするんだろうな)

(怒鳴り散らしたりも
するんだろうな………)

(怒鳴り散らして
殴ったりもするかもね)



大好きな人との、妊娠。

正直、
嬉しい気持ちは
全く 無かった。



父親からの【恐怖】しか
頭には無かったのである。



コウスケさんに
「妊娠したかも」
「陽性だった」

と告げる。


私たちは
ずっと前に 婚約していて

「妊娠したら、
その時は結婚しようね」

と話していた。





コウスケさんは
こう言った。


「そうか~」
「妊娠したのか~」

「子供はまだ
早いかもしれないね」

「堕ろした方が
いいのかもしれない。」






頭をハンマーで
殴られたような

そんな衝撃が走った。


目の前が
真っ暗になって


その場に
へたり込んでしまった。


No.390 12/06/23 04:08
ライカ ( 6Rs31 )

ライカ
「そ、そう……」

「コウスケさんは
そう、思うんだ……」


コウスケさん
「俺は、ライカ次第だよ」
「ライカが産みたいんだったら
そうすればいいだろうし」

「ただ、俺は
もう少し、2人の時間が
欲しいかな…って。」
「子供が産まれたら、
自分の時間なんて
全く無くなってしまうからね」




ライカが産みたいんだったら
そうすればいい


………???




なに コレ。

なに? この
【他人事】のようなセリフ。





ライカ
「“2人”の子なのに」
「なに、それ………」





私は メチャクチャに泣いた。

コウスケさんは
ただ黙って 私を宥めていた。





大好きな人との子を
妊娠したのに…


なんだ コレ。

全然嬉しくない。

むしろ
悲しい気持ちでいっぱい。



一度、堕胎していることは
コウスケさんには
もう 話してあった。


また 私に
堕胎しろと言うのか。

「人殺し」になれと。





産むか、堕胎するか、

答えが出ないまま



普通に働き続けた。



日々 悶々としていた。

お腹の子は
待っていてはくれない。

どんどん
大きくなっていく…



早々に
答えを出さなくては
ならなかった。


No.391 12/06/24 07:59
ライカ ( 6Rs31 )

心の中は グチャグチャだった。

妊娠したことは、
この時点では
職場の人間には
告げていなかった。


…堕胎の可能性があるから。




私は
誰にもぶつけられない
内に秘めた感情を爆発させては

しょっちゅう
「行方不明」になった。


コウスケさんには
何も告げず、

暗い道を とぼとぼと
独りで歩いた。


冬の、寒い時期で
夜だから
気温は氷点下。


「このまま凍死すればいい」
「誰か、私を殺してくれないかな」



そんなふうに思いながら
あてもなく
テキトーに フラフラと歩く。

お金も 携帯も持たずに。



凍死を目論んで、
夜の公園で
一夜を明かしたこともあった。


でも
中途半端な寒さで
凍死には至らず。
眠ることも出来ず。

結局、
「寒い公園で徹夜しただけ」
と言う。


朝焼けの中、
フラフラと歩き
家に戻ると

コウスケさんは
必ず居なかった。



「家に戻ったら、
必ずおれの携帯に
連絡してね!」

そう、書き置きを残して
車で私を
探し回っていた。



書き置きには
絶対に 従わなかった。

着替えて、
一通りの荷物を持って、

何食わぬ顔をして
そのまま出勤し、

憎たらしい
雁さんを横目に

同僚と
和気藹々と仕事をした。



仕事から戻ると、
コウスケさんも居ない。

私を探した足で
そのまま出勤していた。



そして私は また
夜の道を とぼとぼと…。



時々だが
コウスケさんに
見つかることもあった。


No.392 12/06/29 02:07
ライカ ( 6Rs31 )

「もう、“独り”の体じゃないんだよ?」
「いい加減にしてよ…!」
「もう、やめよう?」



私を偶然
見つけられた時、

コウスケさんは
こう言った。



ライカ
「ふざけんな!!」
「堕ろせっつったのは
どこのどいつだ!!」


コウスケさん
「ライカに覚悟があるなら
産もうよ…」
「俺は、ライカ次第なんだ」


ライカ
「何よソレ!!」
「まるで他人事じゃないの!!」
「“2人の子”なのにさ…!!」


私は、コウスケさんを
ムリヤリ振り解いて

暗闇の中、
家と家の間の
細い通り道(隙間)を
走って逃げた。



すっかりデブっていて
鈍臭い足取りだけど、

家と家の間に入ってしまうと
あまり目が良くなく、
(色盲に近い色弱です)
体格の良いコウスケさんには
不利のようで、


大抵は、逃げた私を
見失っていた。




そんなこんなで

コウスケさんとは
顔を合わせない日々が続き…


お腹の赤ちゃんは
妊娠10週を迎えた。


妊娠12週になると
堕胎の金額が上がり、

胎児を掻き出す手術から

人工的に陣痛を起こさせ
胎児を外に出す
「産みおろし」と言う
やり方に変わってしまう。



「産みおろし」での堕胎は
正直 怖かった。


前回の堕胎は、
妊娠11週目ギリギリで

静脈麻酔を使い
全く痛みを感じずに
堕胎したから。


それに
堕胎費用も

10万 → 15万に
跳ね上がる。


貧乏だった私にとって
5万でも
かなり痛い出費だった。




赤ちゃんは
待ってはくれない。

時は 刻々と過ぎていった。


No.393 12/06/29 02:29
ライカ ( 6Rs31 )

嬉しくはないんだろうか。

“ライカ次第”だなんて
コウスケさんの意志や考えは
まるで無いような言い方。


不安なら
「不安」だと

子供が要らないなら
「俺は欲しくない」と

懐妊が嬉しいなら
「産んで欲しい」と



ハッキリと

言って欲しかった。



でも
私がどんなに
苦痛を訴えても

コウスケさんは

「ライカ次第」としか
言わなかった。





ライカ
「お腹の“爆弾”…
どーすんの?」
「待っちゃくれないよ」
「堕胎費用、
あと10日もすれば
値上がりすんだけど」



…もう、
投げ遣りだった。



コウスケさん
「だから、産もうよ。」
「ライカの中で、
答えはもう出てるじゃないか」


ライカ
「コウスケさんが
嬉しくないなら…堕ろすから」

「“2人の子”なのに。
まるで他人事だよね…」

「そんなんで産んでも
子供が可哀想なだけだから」


コウスケさん
「嬉しいよ。」
「嬉しいに決まってるじゃないか」

「でも、子育てって
凄く大変だから。」
「自分の時間やペースなんて
無くなってしまうんだよ…」

「だから俺は、もう少し
ライカと2人の時間が
あってもいいのかな…と思って
堕ろした方がいいと…」




私は
“答え”を出すために

コウスケさんの話を
ジックリ聞いてみることにした。


「堕ろした方がいい」
のショックで

妊娠がわかってからと
言うものの

気持ちは 常に荒れていて
落ち着くことがなく、

殆ど、寝ていなかったし
ご飯もあまり
食べていなかった。


「平然」を装うため、
職場での昼食のみを
ムリヤリ飲み込んでいた。




ご飯の味なんて

しなかった。


No.394 12/06/29 03:01
ライカ ( 6Rs31 )

前にも書いたが、
コウスケさんは
「バツイチ」だ。


前妻は19歳。
コウスケさんは22歳。


年齢的に
「早い結婚」だったかも
しれない。


交際期間一年を経て結婚。

結婚する時は
お互いに「覚悟」を誓い
結婚したと言う。


式は挙げず
入籍だけ済ませた。


そして
ハネムーンベイビー。

前妻は妊娠中、
45キロも肥える。


産院から怒られたが
「お構い無し」だった。


コウスケさんと一緒に食べる
夕飯はかなりの少量なのに
どんどん肥えていったという。


コウスケさんが
仕事で居ない間、
かなりの量の間食を
していたのだと思われる。


結婚から10ヶ月半後
無事に女児を授かる。


子供が産まれてから、
前妻はすっかり
変わってしまった。


「うるさい」
「喋るな」
「触るな」


悉く、コウスケさんを
怪訝に扱うようになった。


「子育ては大変なんだ」
「イライラする」
「アンタはいいよね、
働いてられるんだもの」


コウスケさんは
それらに対し、

「子供を保育園なりに預けて
パートでもやればいいんだよ」

と言い返した。でも…


「一番近い保育園でも
結構遠い」
「私には車が無いんだ」
「保育園もパートも無理」

他にもアレコレ
変な言い訳ばっかりして、
一切 働こうとはしなかった。



「気分転換したい」
「働きたい」

と口うるさく言う割に、
言い訳ばかりして
全く動こうとしない。

コウスケさんは
理解に苦しんだ。


No.395 12/06/29 03:23
ライカ ( 6Rs31 )

そのうち、
夕飯すらも 一緒に食べなくなり

コウスケさんが帰宅すると
冷めたご飯が 置いてある…

だけならまだマシで、
ご飯が無い時も よくあったらしい。



前妻は、結婚前の貯金で
パソコンを購入していた。

最初は、
調べ物や 通販くらいしか
使う機会が無かったのに


前妻は
「チャット」に
のめり込むようになってゆく。


前妻がチャットにハマってから
ますます家庭内は
酷いものになっていった。


前妻は、
自室に閉じこもり
出て来なくなった。


安いアパート住まいだったが
部屋は2LDKで、
コウスケさんの部屋と
前妻の部屋で
分けて使っていた。



チャットはそのうち、
タイピングから
「ボイスチャット」に変わり、

前妻の自室からは
チャットで
ゲラゲラと笑う前妻の声と、

時々、子供に当たり散らす声が
聞こえてくるようになった。


「うるさい!」
「あっち行け!!」


その声が聞こえると
前妻の自室から
我が子を非難させ、

コウスケさんが
ミルクを与えたり
オシメを替えたり
泣くのをあやしたり
遊んだりしていた。



コウスケさんが帰宅すると
前妻は必ず
自室に籠もっていて
出て来ないため、

前妻との会話は
一切、無くなっていた。




そんな毎日が続き…

ある日、食卓テーブルの上に

コウスケさんが
「メモ」を見つける。



そこには、

見ず知らずの
男性の名前と 住所が

前妻の文字で
書かれていた。


No.396 12/07/12 06:28
ライカ ( 6Rs31 )

(体調崩してしまい
かなりあきましたが続き)


コウスケさんは
勿論問い詰めた。

「これ、誰だよ。」
「浮気してるだろ?」
「怒らないから
正直に答えてくれ。」


でも 前妻は
頑なに「浮気してない」と
真実を話すことを拒否した。



そんな日々が数ヶ月続き…

前妻が
いよいよ行動に移し始めた。


遠く離れたA市での
勤め先を決めていた。

求人をプリントアウトしたものが
パソコンデスクに
適当に置いてあったらしい。


ボイスチャットで知り合った男は
A市に住んでいるようだ。

コウスケさんが見つけた
「メモ」にあった住所は
A市であったから。





そして…

とある日



コウスケさんが帰ると
リビングのテーブルの上には

記入済みの離婚届が
置いてあった。


前妻は
「A市に引っ越すから。」
「彼のところへ行く。」
「子供は、絶対に渡さないから…」

と 言い出した。



コウスケさんは
ボイスチャットにはまる
前妻を見ながら

「お前に子育てが勤まるのか?」
「子供を蔑ろにして
毎日毎日パソコンに向かって
ゲラゲラゲラゲラと…」

「なのに、子供は絶対に渡さないって?」
「ふざけるのもいい加減にしろ!」


コウスケさんは
この時だけ
声を張り上げて
怒鳴ったと言う。


でも前妻は


ボイスチャットにハマったのは
アンタのせい。

アンタがちゃんとしてれば
ボイスチャットなんかに
逃げなかった。

アンタのせいで
毎日がストレスだった。



…こう
言ってのけたらしい。



No.397 12/07/12 06:50
ライカ ( 6Rs31 )

「何としてでも親権を」


…そう思い、
弁護士の元に足を運んだ。

ここら辺のことは
詳しくは聞いていないが



「完全に、奥さんが悪い」
「100%奥さんが悪いです」

「だから、奥さんから
“全て”を奪うことは可能です」
「お金も、お子さんもね」


「あなたに、
奥さんの何もかもを
奪い去ることは出来ますか?」

【そこまでヤれますか?】




このように
弁護士に言われたらしい。



コウスケさんは
前妻を愛していた。

ブクブクに太っても
冷たくあしらわれても
浮気されても


それでもコウスケさんは
前妻を愛していたと…




だから
「そこまで鬼になれなかった」
と、コウスケさんは言っていた。



それに
コウスケさんの
職場の同僚や上司からは


「最近、顔付きがオカシイ」
「誰かを殺しそうな顔してる」
「怖いですよ」

と、指摘されていた。
社長からは

「もう、あんな女に関わるな!」
「時間の無駄だぞ!」
「それに、これ以上関わると
お前が“間違い”を起こしそうで…

正直、怖い。」



こう言われ、
「ハッ」としたと言う。



「前妻も子供も殺して
俺も死のうと
本気で考えていた」



この頃のコウスケさんは
かなり気持ちが荒んでいたと…。

それは
無理もない話だった。




コウスケさんは

心身共に 疲れてしまったようで

“戦うこと”を
やめてしまった。



「子供には“母親”が一番」
「子供が混乱してはいけないから
俺は二度と、子供に会うべきではない」
「再婚した相手が
“本当の父親”であればいい」



コウスケさんは
そう思うようになり

親権も アッサリ諦めたと言う。



「嫁が浮気しようが、何だろうが
親権に関しては
“男”の方が圧倒的に不利なんだ」

「子供と接する時間が
長い方が“勝ち”になるのさ」

「子供は“母親”が育てるもの…
この考え、日本は根強いしね」


No.398 12/07/12 07:40
ライカ ( 6Rs31 )

「俺にも
悪いところはあったと思う」

「仕事、忙しくて
帰りも遅かったし…
繁忙期に入ると
帰りは午前様になるしね」

「前の俺は
性格も丸くなかったし」




気が短く、
言葉使いも 乱暴だったらしい。

(ちなみに
前妻も“ヤンキー言葉”を
使う人だったようで
旦那の母親からは
大層嫌われていた…)



確かに、コウスケさんは
とても不器用な人だ。


生まれ育った環境か
生まれ付きなのか

「喜怒哀楽」の表現が
とても下手なのだ。


特に分からないのが「喜」で、

本当に嬉しいのか
イマイチ伝わってこない。


だから
私の妊娠が分かったときも
全然嬉しい素振りが無いように感じ、

私は 尚更落ち込んだ。



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