少しだけ不幸な私/独り言

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2012/07/12 07:40(更新日時)

産まれてから
現在までの私。


誰にも聞いてもらえない。

話したとしても
誰も真剣に聞いてくれない。

カウンセリングや
心療内科に行く勇気は無い。


少しだけ、不幸です。
特別どん底ではありません。

「生ぬるい」人生ですが、
読んで頂けたら、幸いです。



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No.1766230 (スレ作成日時)

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No.1

■誕生■

31年前の3月某日
ライカ 産まれる。

私の両親は、
自営業で飲み屋をやっていた。
営業時間は、
夜8時~
朝方、お客が居なくなるまで。


父親はボンボン育ち。
母親は極貧育ち。

父親の父親(私の祖父)から
「一軒家を建てろ」と
あてがわれた金を
開店資金にし 開いた
父親の「道楽」の店であった。

母親は、元々は
東京で看護職をしていたが

父親の「道楽」に
付き合う為に
泣く泣く看護職を辞め、
父親の地元(北海道)へ移住。

かなり嫌々、
父親の道楽に付き合っていた。


母親が、
私を半日かけ、
苦しんで産んでいた最中

父親は、
「娘が産まれそうだ」
「娘が産まれた!」
「めでたいめでたい」
「今日は全部オゴリだ!」
と、来ていた客と
夜通し飲み明かし
ドンチャン騒ぎを
していたらしい。

(私が産まれたのは
深夜の12時台で
日が変わってから間もなく)



母親が
「産まれたら直ぐに
病院に来て欲しかったよ」
と…
根に持つような言い方をしていた。


No.2

私が産まれると
当然のことながら、

父親の「道楽」に
私の存在は
邪魔になってくるわけで。


産まれて間も無い私は、
隣の空きテナントに
置き去りにされるようになった。

隣の空きテナント。
よく分からないが
鍵もかかっておらず
簡単に出入り出来たらしい。


店の雰囲気に
かなり拘っていた父親。

乳飲み子をおぶって
接客するのは、
やはり嫌だったのだろう。

赤ん坊(私)が泣き出せば
「赤ん坊がウルサい」
「もう来ない」
と言い出す客だって
居るだろうし。


私は、真っ暗闇の中で
泣き叫び、
ミルクを吐き…

吐瀉物で
よくグチャグチャに
なっていたらしい。


父親が接客中
「マスター、ここ
“出る”のか??」
と、客からよく言われた。

「隣から、赤ん坊の
泣き声が聞こえるんだけど…」

客に指摘され
初めて気付いて

隣の空きテナントに
すっ飛んで行く。

これが
日常茶飯事だったようだ。


No.3

私が産まれて
しばらく経つと

父親が病気になった。


病名は、母親から聞いたが
忘れてしまった。

兎に角「立ち仕事」がダメだと。



父親は、仕事を休み、
家で私の面倒を見て

母親と
アルバイトの子とで
接客をするようになった。

母親は
「嫌々」接客していたので、
それが客にも伝わり、
クレームが相次いだらしい。


(父親が仕事復帰してから
常連客から、散々
母親に対する苦情が入ったとか)


母親が仕事して
父親は家で 私に付きっきり。

自然と私は
「パパっ子」に
なっていった。


父親が仕事復帰するまで
半年以上かかった。


No.4

■弟、誕生■

私が2歳半の時に
弟が産まれる。


弟に手がかかる間、
私は
親戚の家に預けられた。

この仕事をしながら、
私と弟、
2人は流石に面倒見れないと。

夜~朝方の仕事だから、
保育園は
当然利用できない。



私は、
全く知らない親戚の家に
約一年間 居させられた。

預けられた先の家主
(母親の兄/長男)が
私にとって「恐怖」だった。


No.5

胎盤剥離と、
臍の緒が首に絡まったとかで
予定日より1ヶ月早く
帝王切開で産まれた弟。


私は親戚の家で
「お母さん、お腹切った」
「イタいイタいした」
「可哀想、可哀想」
と、毎日毎日、
泣いていたらしい。

毎日泣く私を
鬱陶しく思った叔父は
「うるせぇ!!」

…私を一喝した。


それからと言うものの、
私は極端な「オジサン嫌い」に
なってしまった。

親戚の叔父だけでなく
「壮年男性」
全てがダメになった。


そのうちに、
叔父の取り巻き
(叔父の妻や子供)のことも
信用出来なくなり、

私は
寝室に閉じこもったまま
出て来なくなった。

トイレすら行かなくなり
糞尿も
垂れ流しだった。


唯一、私が心を開いたのは
S子お姉ちゃんだった。
当日、S子お姉ちゃんは
18~19歳。

若くて、優しそうで
素朴な雰囲気の
お姉ちゃん。


多分、S子お姉ちゃんの
見た目と雰囲気が
「怖くなかった」のだと思う。


ご飯、トイレ、お風呂、就寝
S子お姉ちゃんが側に居ないと
全くダメだった。


私が
泣いて泣いて
手がつけられない時は

農家の畑仕事を手伝っていた
S子お姉ちゃんを
わざわざ早退させ
帰ってこさせたことも
何度かあったらしい。


No.6

弟が1歳になると
私は親戚の家から
呼び戻された。

一年間も
S子お姉ちゃんにしか
気を許さなかった私。

親戚も 辟易していた。
多分、S子お姉ちゃんも…。

私につきまとわれ
かなり大変だったと思う。


私を連れ戻した後、
両親は

まだ1歳の弟と
3歳半の私を 家に残し

仕事に行くようになった。
夜8時前には
私達を寝かしつけ
朝方まで、帰って来ない。

夜8時~朝方まで
私達は
寝ながら留守番をさせられた。


当然、
夜中に目を覚ましてしまうことも
何度かあった。


No.7

何度か目を覚ました中で
一番記憶に濃いもの。


夜中、喉が渇いて
目を覚ました。
弟は 隣で寝ている。

私は、牛乳を飲もうと
冷蔵庫を開け
牛乳パックを取り出した。

でも
牛乳は新品で
封が切られておらず。
固くくっついたままだった。

両親に 封を開けて貰おうと
両親を探した。

当然、
家に両親は居ない。

居ないと分かると、
途端に
もの凄い不安感に襲われる私。


私は
ギャンギャン泣きながら、
家中、両親を探し回った。


No.8

居間の
ガラス張りの大窓を開け、
私は外に出た。

雪が降る中
青いツッカケ(サンダル)を
履いて

深い雪を漕ぎながら
家の前を探した。

深い雪に 足を取られ
ツッカケが片方脱げた。

片方裸足のまま
「おとーさんっ」
「おかーさんっ」
と泣き叫びながら
探した。


家の中に戻り、
二階に上がって
二階もくまなく探した。

でも 見つからない。


泣き叫びながら
階段を下りる途中

私は
階段から転げ落ち
額を強打。


そのまま 気絶した。


私が意識を取り戻したのは、
明け方 両親が帰ってきて

私に声を かけた時だった。

「何があったの?大丈夫!?」

驚く両親。
開けっ放しの玄関。

玄関から入り込む
朝焼けの逆光で
両親の顔、表情が
あまり見えなかった。

私は額に怪我をし、
絆創膏を貼って貰った。


居間の大窓は
全開のまま
カーテンがたなびき

タンスの引き出しや
棚の引き戸など
あちこち開いていて
グッチャグチャ

両親は、
家に泥棒が入ったのだと
思ったらしい。



…こんなことがあったのに、

私達2人だけ留守番をさせ、
両親が夜不在になる生活は

全く変わらなかった。


No.9

父親の「道楽」が
やっと「廃業」した。


母親は
「待ってました」と言わんばかりに
「復帰」を希望。

私達家族は、
母親の両親が居る
母親の地元に引っ越した。


母親は
看護職に戻り、
父親は
レストランのコックをやることに。

この時で、
私は4歳。弟が1歳半。
私達は
保育園に通うことになった。


No.10

■通園開始■

保育園通いが
始まった。


私は何故か
こんな幼い時から
もう既に
「人付き合い」が
苦手だった。

なかなか友達が出来ず。

出来ないどころか
煙たがられていて、
仲間外れにされていた。

保育園の仲間に
「私と遊んでくれるように
お母さんから頼んで欲しい」
とお願いし、

母親に
「ライカと仲良くしてあげてね」
と、言って貰ったことがあった。


私を一番
弾き者にしていた
女の子の名前は

アベ ユリコ ちゃん。

今でも 不思議と覚えています。



何故、仲間外れに
されていたんだろうか…。

そこまでは
覚えていない。

仲間外れに
されると言うことは、

私自身に
何か 良くない部分が
あったのだと思う。


No.11

保育園の、1日の終わり。

みんな「母親」が
迎えに来てくれていた。


でも、私の家だけ
「祖父母」が迎えに来る。

私は いつもいつも
「お母さん」に
迎えに来て欲しいと
強く願っていた。


でも、待てど待てど
保育園の玄関に来るのは祖母。

保育園の玄関前にある
広い階段を降りたところに
白いVANが停まってる。
私の祖父の車だ。

運転席で
祖父が待っている。

祖母が玄関に現れると
「チッ…またババァかよ」
と、小声で悪態もついた。



ある日、祖父母のお迎えに
嫌気が差した私は、

弟を連れて
勝手に帰ってしまったことがあった。

夕方5時。
残された園児は
私と弟、2人だけ。


保育園の保母さんに
嘘を付いた。

「今日は、2人で帰れって
言われてるから」と。

保母さんは
「え?本当に??」
と、心配そうに返す。

私は「本当だよ」と
更に嘘を言い、

弟の手を引いて、
早々と、保育園を後にした。


「今日は、お姉ちゃんと帰ろう」

弟は笑いながら
「うん」と答えた。


No.12

弟の手を引いて
夕焼けの中を
2人で歩いた。

大人の足ならば
徒歩10~15分くらいの
距離だと思う。

4歳と2歳の
子どもが歩いたら

かなり遠い
距離になるのかもしれない。


自分たちだけで
公道を歩くのは
初めてだった。

横断歩道を渡ろうと
青信号を、待っていた時

ビュンビュン
ビュンビュン
通り過ぎる車が、
もの凄い
スピードに見えて、
ちょっと怖かった。

「車って、
こんなに早く走るものなんだ」
と感じた。



無事、家には着いた。

でも、家には入れない。
鍵がかかっているし、
鍵なんて、持たされていない。

「開いてないね。困ったねぇ」
「お父さんと、お母さんが戻るまで
お姉ちゃんと、散歩してよう」

また笑顔で
「うん」と返す弟。

家の前の、細い通りから
メインの通りに出ると

アッと言う間に、
祖父母に見つかる…。


車の窓から

「ライカちゃん!」
「Tくん!(T=弟)」

祖母の声がした。


No.13

「ライカちゃん、
何やってるの!!」


車の中で
祖母に怒られた。

祖父は
運転しながら
「心配したんだで~」
「おじいちゃんも、
おばあちゃんも。」
と、のんびり言った。


祖母
「勝手に抜け出して!」
「どうして勝手に帰ったの?」

「お父さんと、お母さんが
今日は(弟と)2人で帰れって…」
祖母
「嘘おっしゃい!」



それからは、
よく覚えてないけれど

祖母からは
「お姉ちゃんなのに」
とか
「悪いお姉ちゃんだ」
とか…

そんな感じの言い方で、
祖父母宅に戻ってからも、
ずっと怒られていた。


父親が、仕事を終えて
祖父母宅に
私達を迎えに来て

祖父母が
今日の経緯を
父親に話したと思うんだけど、

父親から 怒られたとか
何か言われたとか、

そこまでの記憶は
残っていない。


No.14

どうして保育園を
2人で抜け出したのか。


大人たちは
私の行動から、

何かを感じ取ってくれるような
気にかけてくれるような

そんな素振りは
一切無かった。


結局、私は最後まで
口をつぐんだまま。

「お母さんが恋しい」
と言う、
自分の正直な気持ちは
誰にも言わなかった。



「言っても無駄だ」
「何も変わらないだろう」
「私が怒られるだけ」


そう思って
最初から、
諦めていたんだと思う。


No.15

■小学一年生■

小学校に上がった。

私はやっぱり
人付き合いが苦手だった。

嫌われたり、
逆に 泣かせてしまったり。


小学校での障害は、
「人付き合い」だけに
留まらなかった。


担任だった

シマダ ミツコ先生。

多分、当時40歳くらい。

長い髪の毛。
天然なのか
ソバージュなのか
髪の毛は
ストレートではなく
横に広がって
ボリュームがあった。

小太りで
体格は良かった。

かなりの、厚化粧。


この先生が
「虐待先生」であった。

24~25年前の、当時まま
今現在 教師をしていたら
間違い無く
問題になっているだろう。


給食で使う箸は、
生徒で持参だった。

箸を忘れる生徒が居たら、
給食は抜きにされた。

小学校1~3年生の
低学年の生徒は、
たとえ、歩道であっても
自転車を乗ってはいけない
校則があった。

自転車を乗るなら、
自転車OKの、広い公園のみ。

クラスのムラカミ君が
校則を破って
公園以外の場所で
自転車に乗ってしまった。

それを、誰かが目撃し、
先生に告げ口したらしく

ムラカミ君は
ホームルームの時間
みんなの前で
教壇に立たされ、
パンツを下ろされ、

シマダミツコ先生に
竹の細い棒で、
メッタ打ちにされた。

ムラカミ君のお尻が、
ミミズ腫れのようになり
真っ赤になっていた。


No.16

他にも、
誰かが何かをやらかす度に

担任は
みんなの前で
見せしめの暴力を振るった。

「○○やったら、こうなるぞ!」
「分かったか、お前ら!!」

私は 毎日毎日、
ビクビク登校するようになった。


そんな私も、
先生からの体罰を
受ける日がやってきた。

体育の時間
運動会の練習をしていた。

他のクラスもまじえて
合同練習。

その時は、
クラス団体競技を終えた後の
退場の練習をしていたのだが

「うちのクラスだけトロい」
と…

シマダ先生は、
私達クラスだけを
グランドに残し、
退場の練習を行った。

何度やっても
先生からは
「もう一回!!やり直し!!」
の声。

何度やっても
シマダ先生は
納得することは無く、

とうとう
先生は ブチ切れ。

クラス全員を
グランドに一列に整列させ
全員、生尻叩きの刑。


「どうして!」

「私が言ったとおりに!」

「動かないんだ!」

「バカ者!!」


一節一節
区切りながら叫び、

生徒一人一人の
生尻を叩く。


ビシーン!!
バシーン!!


嫌な音が
グランドに響いた。

私も 叩かれたが、
他の生徒が叩かれる
ビシーン!!
バシーン!!
と言う音を聞いている方が
はるかに傷付いて
しんどかった。


No.17

ビクビクした
学校生活を送るうちに、

私は だんだん
学校に行きたくないと
言い出すようになった。

登校拒否を始めたのは
枯れ葉が舞い散る、
秋にさしかかってからだ。

「お腹痛い」
「咳が出る」

と言い、
何度もズル休みを狙ったが、
その度に

「じゃあ、病院の先生に
診て貰おうか?」

と返されるので、
ズル休みは出来なかった。

病院なんかに連れて行かれたら
当然、仮病がバレてしまう。


父親に
「どうして学校に行きたくないの?」
と聞かれても、
まだ6歳だった私は、
「漠然とした不安」を
うまく説明することが
出来なかった。


今思えば、
「先生が怖かったからだ」
と説明出来るが、

当時の私は、
自分の気持ちに
気付けずにいた。

「先生が嫌だ」
「先生が怖い」

ではなく、

「何となく嫌だ」
「あそこには行きたくない」
「自分でもよく分からない」

父親を納得させられるような
うまい言葉が
出て来なかった。

だから私は、ひたすら
「嫌だ」「行きたくない」
を繰り返し、泣くしかなかった。


父親が、
泣きじゃくる私の手を引き
一緒に登校した時もあったが、

学校の玄関までは行くが、
中には入ろうとしなかった。



学校に着いた時には
もう 授業が始まっていて、
父親は、嫌がる私を
ムリヤリ教室に
入れようとした時があった。

私は、父親や
担任のシマダ先生に
殴る蹴るの抵抗をし、
頑なに拒否した。



その時に、
私を助けてくれたのが
「児童館」の存在だった。


No.18

学校の校門を出て
すぐ左側に

児童館があった。

私は、学校帰りに
よく 児童館に寄って
遊んでいた。


登校拒否が始まって

学校まで行ったが、
中に入ることが出来ず、
その帰りに、
児童館に寄ったことがあった。

その時は、母親が一緒だった。

児童館の館長に、
私の登校拒否を
母親が説明した。

その時に、館長が

「学校には、
無理に行かなくてもいいです」
「学校には行かなくていいから、
ここ(児童館)には
いつでも来てくださいね!」


館長のオバチャンが、
私と母親に
優しく言ってくれた。


それからは、
学校ではなく
児童館に通うことにした。
毎日、お弁当を持参。

午前の9時頃
児童館へ行き、

誰も居ない
ホールを独り占め。

縄跳び
フラフープ
つり輪
ジャングルジム
トランポリンなど

独りで、自由気ままに
遊具で遊んだ。

遊具で遊び疲れたら、
プレイルームで

館長と一緒に、
お絵描きや、おはじき。
オルガンを弾いたり、
オセロをやったり。

館長に、
茶道を習ったこともあった。

和菓子と
抹茶が出て来た。

和菓子も抹茶も
凄く美味しかったなぁ。


学校が終わる、
午後3時頃。

沢山の生徒が
児童館に来ると
私は祖父母宅へ帰る。

そんな毎日を送った。


遊具の倉庫の中に、
気になる乗り物があった。

「一輪車」だった。


No.19

テレビで
一輪車に乗る女性を
観たばかりなのもあり、

私は館長に
「これ、乗ってみたい!」
と頼んだ。

テレビを見ながら
「ペダルが無いのに、
どうやって跨がるんだろ?」
と、不思議に思っていた
乗り物であった。

サドルを手間に
斜めに傾ければ
簡単に跨げるのに。

6歳だった私には
それが分からず、
サドルを垂直に支えたまま
ピョンピョン跳ねていた。


館長は笑いながら
「こうやって乗るのよ」と、
サドルを手間に傾けてくれた。

「これ、乗れるようになるまで
かなり時間がかかるよ」
「とても難しいよ」
「やってみる??」

事前に、
いかに一輪車が難しいかを説明。

でも、私は
テレビで観た、
一輪車の強い印象が
頭から離れず、

「頑張ります!」
と 意気込んだ。


一輪車に出会ってからは、
午前9時~15時までの時間は、
一輪車の練習に変わった。

何度も何度も転んで、
痣を作って。

でも、徐々に少しずつ
乗れるようになっていき、

「今日は○メートル!」

…達成感に
満たされる毎日を送った。


  • << 23 ※訂正※ ❌ サドルを手間に ⭕ サドルを手前に

No.20

児童館で
楽しく過ごす
毎日を送るうちに、

だんだんと
学校に通う勇気も
湧いてきて、

少しずつ、
登校も復活していった。



参観日の日が
やってきた。

参観日には
母親が来てくれた。

当時の母親は、
今、当時の母親の写真を見ても
思うけれど

実年齢よりも
かなり若くて、
かなり美人だった。

参観日に母親が来ると
かなり目立っていた。

クラスメイトが
後ろを振り返りながら
「あれ、誰のお母さん?」
「凄くキレイ!」
と、ざわついた。



私は全く
覚えていないけれど

件の「体罰先生」が
授業の終わりに、
とんでもない発言をした。


【人間の肉が
一番うまいらしい】


どんな話の流れで
こんな発言をしたのか、
母親も よく覚えていないようで
詳細は、分からず。

でも、ここで
母親は悟った。


【ライカの
 登校拒否の原因は
  コイツだ…。】


No.21

母親は、その日の夜
真っ先に、父親に報告したらしい。

ライカの登校拒否の原因は
頭のイカレた、
あの担任のせいに
違いないと。


両親は、
「事実確認」をしたらしい。
(後に父親から聞いた)

学校や、担任のことを
色々調べて、
両親で話し合った結果、

隣の区画の学校に
転校させようと
言うことになった。


私は、二年生の新学期から
違う学校に 通うことになった。


これは ハッキリ
覚えているが、

私と同じく、
3月の修了式と同時に
転校していった生徒は

私を含めて
同じクラスで
5人も居た。

これは
たまたま重なったのか、

シマダ先生が 原因での
5人なのか…


それは 分からない。


No.22

学校に 未練は無かったが、

児童館とのお別れは
かなり辛かった。

児童館の最後の日は、
閉館の時間まで 遊んで

母親に
迎えに来て貰った。


母親と 私は、
館長に、深々と頭を垂れ、
お礼を言った。


館長は、明るく
「また、いつでもいらっしゃい!」
と言ってくれた。

児童館の館長は、
細身で、
頭は短髪パーマ。
大阪のオバチャンみたいな
感じの人で、

良いものは良い
ダメなものはダメ

褒める時は
シッカリ褒めてくれるし、

叱る時は
ビシッと叱る。

私にとって、
「母」のような存在でした。


No.23

>> 19 テレビで 一輪車に乗る女性を 観たばかりなのもあり、 私は館長に 「これ、乗ってみたい!」 と頼んだ。 テレビを見ながら 「ペダルが無い… ※訂正※

❌ サドルを手間に
⭕ サドルを手前に


No.24

■小学二年生■

新学期から
別の学校へ通った。

引っ越して、
家も
広い一軒家になった。


新しい学校は、
先生には馴染めたが

相変わらず、
クラスメイトとは
うまく行かなかった。


ある日を境に、

「ライカに触ると
 カビ生える~♪」

突然、クラス全員から
爪弾きにされた。

なぜ、「カビ生える」なんて
言われ始めたのか、
全くもって、分からなかった。

大人になった今でも
分からない。


私を爪弾きにしている
クラスメイトの中で、
リーダーのような
存在の女の子が居た。

名前は、サワダ アキコさん。

艶やかな長い髪と、
整った顔立ち。
綺麗な女の子だった。

長い髪で
足も速かったことから
あだ名は「ジョイナー」


とある日の、昼休み。

サワダさんを中心に、
3人程の女子に
取り囲まれ、
虐められていた。

私は、泣きながら
ずっと耐えていたが
とうとうブチ切れ。

サワダさんの腹を
3回も 蹴って
抵抗してしまった。


「うわ~!!」
「ライカ最っ低!!」
「サワダさんに謝れ!!」
「ライカ、怖い怖いっ(笑)」


周りの取り巻きは
散々私を責め立て、
「怖い怖い」と
笑いながら逃げていった。

なぜ 理由も無く
虐められていた私が
謝らなくちゃ ならないのか…

私は、謝ることはせず。
そのまま5時間目に突入。

サワダさんは泣いていたが
その時点で
先生に言い付けることは
しなかった。

5時間目が終わると
私は早々に、家に帰った。


サワダさんが
ちくったのは
次の日の
朝礼の時だった。

日直が
「今日、具合悪い人は
いますか?」
と、毎日必ず聞く。

この時に、サワダさんが

「ライカさんに
3回蹴られた
お腹がまだ痛いです」

と みんなの前で言った。


No.25

勿論、それを
担任の先生も 聞いていた。

「ライカさん、
 サワダさんに、謝った?」

先生に聞かれ、
私は無言で
首を横に振る。

「なら、ちゃんと謝ってね」

私は渋々
サワダさんの方を向いて

「スミマセンでした…」

と 謝った。
サワダさんは
無言で着席した。

私が蹴ったのも
勿論悪かったけど

私を取り囲んで
虐めるのは
許されるんだね…


取って付けたように
言い訳がましいような気がして
私が、複数人に囲まれて
虐められていたことは
先生には言えなかった。

そもそも
「虐められている」ことが
自分でも、情けなくて
惨めで、恥ずかしくて、
両親にすら言えなかった。



担任の先生のことは
とても大好きだった。

だから、
サワダさんを蹴った事実を
先生に知られたことが
とても恥ずかしくて
気まずくて
辛かった。


No.26

小学二年の時の
担任の先生は

当時24歳の
「サンカク」先生。
苗字が「三角(みすみ)」だから
「サンカク」先生。

字も、絵もうまくて、
スポーツマンタイプの
格好いい先生だった。

イラストと一緒に
100個マスを描いて
コピーしたものを
クラス全員に配った。

「マラソンカード」と
書かれている。

昼休み時間や、放課後に
学校の周りを何周走ったか。
頑張って走った分だけ
先生は丸いシールをくれて。

それを、マスにペタペタ
貼っていく。

丸いシールが
30個集まったら
「銅メダル」
60個集まったら
「銀メダル」
100個集まったら
「金メダル」と
「胴上げカード」をくれた。

金・銀・銅のメダルは
先生の手作り。
プラバンで作ったもの。

※プラバン
薄いペラペラの
プラスチックに
絵や文字を書く。
それを
オーブントースターで焼くと
アッと言う間に縮んで
厚みのある、
小さなプラスチックになる。
一時期流行った(?多分)。


メダルと言っても
形は丸くなく、
角の丸い、長方形だった。

メダルには
鉢巻を巻いた男の人が
笑いながら、
ゴールテープを
切っている絵が
描いてあった。


胴上げカード一枚で、
サンカク先生の胴上げを
一回させて貰える。

一回の胴上げで、
3回、持ち上げてくれた。

胴上げカードは、
マラソンの他にも、
何かを頑張った時に
先生はくれた。

胴上げカードを
まとめて3枚使って、
一度に たくさん
胴上げして貰っていた
クラスメイトも居た。

誰からも好かれる
人気の先生であった。


No.27

サンカク先生のお陰で、
学校には通えた。

クラスメイトには
相変わらず嫌われていたけど、
私は 笑顔で登校出来た。



学校生活は
担任の先生のお陰で
何とか、楽しいものになった。

でも また
私の障害になるものは
表れた。


祖父母宅に
パラサイトしている
母親の兄(次男)である。


No.28

私は、最初は「鍵っ子」だった。
学校が終わると、
だいたいの日は、
真っ直ぐ家に帰っていた。



同じクラスの男子で
ハヤシシタ君と言う
友達が居た。

「ライカに触ると
 カビ生える」

これを無視して、
お構い無く接してくれた
数少ない友達の中の一人。

私は この頃、
もの凄く「ファミコン」に
憧れていた。

リカちゃん人形や
リカちゃんハウスなどは
クリスマスや
誕生日に買って貰えたのに、

ファミコンだけは、
買って貰えずに居た。

ハヤシシタ君は
たくさんの
ファミコンカセットを
持っていた。

勿論、
ファミコン目当てで
ハヤシシタ君と
友達になった訳ではない。

もともと
ハヤシシタ君は
とても明るく、剽軽で、
冗談ばかり言って
みんなを笑わせてくれる
面白い子で。

そんなハヤシシタ君と
一緒になって笑っているのが
楽しくて、好きだった。
(恋愛感情は無い)

そのハヤシシタ君が
たまたま、
私の憧れだった「ファミコン」を
持っていた、と言う話。


学校帰り、
ハヤシシタ君の家に
お邪魔して

ハヤシシタ君がプレイする
ファミコン画面を
見せて貰っていた。

やらせて貰ったことは
勿論あるけれど、
ハヤシシタ君の家でしか
触ったことのない、ファミコン。

下手過ぎて、
私は全然クリア出来ず。

結局
「私には出来ないよ」
「ハヤシシタ君、やって」
と言う流れに。


No.29

そんなある日、
私は、鍵を無くした。

その日も、
ハヤシシタ君の家に
お邪魔していた。

夕方、家に戻ると
鍵が無いことに気付く。

私はすぐさま
ハヤシシタ君宅へ
また向かった。

「またごめんね!」
「私の鍵、見なかった!?」

ハヤシシタ君も
一緒になって、
真剣に
鍵を探してくれた。

ハヤシシタ君の
家の中は勿論、

学校の帰り道を
くまなく歩いたり、

学校に行って
落とし物に鍵が無いか
聞いてきたり。


それでも見つからず。

日も落ちてきて
ハヤシシタ君の
お姉さんも帰ってきた。

お姉さんは
学生ではなく社会人だった。

ひとまわり、
年の離れた姉だと聞いた。

お姉さんに事情を話し、
お姉さんも
必死になって探してくれた。

そのうち
ハヤシシタ君の
お父さんまで帰ってきて…。

ハヤシシタ家
一家総出で鍵探し。


…それでも、やっぱり
見つからなかった。


No.31

仕方無く、私は
父親が帰ってくる時間まで
ハヤシシタ君の家に
居させてもらった。

夜の7時くらいまで
だったと思う。

ハヤシシタ君の家で
私はビクビクしていた。

「どうしよう?」
「どうしよう?」
「お父さんに
メチャクチャ怒られる…!」

ハヤシシタ君は
「まぁまぁ、落ち着けよ」
「正直に話せば
父ちゃんも許してくれるって」
と 元気づけてくれた。


夜7時過ぎ、
家に戻ると、明かりがついてる。


案の定、
父親、頭に角を生やして
仁王立ち。

「お前、こんな時間まで
どこに行っていたんだ」

私は、ハヤシシタ君の
言った通り
正直に、事情を話した。

父親は、メチャクチャ怒鳴った。

「鍵を拾った人間が
ここの家の鍵を開け、
盗みに入ったらどうするんだ!」

鍵に、家の住所が
書いてある訳じゃあるまいし
そんな「低確率」なことを
怒鳴り散らされても……。

それとも、泥棒ってヤツは、
鍵を拾ったら
そこら中の家という家の
鍵穴を、差して回って
ドアが開くかどうか
確認をするのだろうか?


【ハヤシシタ君が
鍵を取ったんじゃないのか!?】

私は
一番言われたくないことを
激しく言われてしまった。

「ハヤシシタ君は
そんな友達じゃない!!」
「やめてよ!!」

泣きながら
強く言い返したが
父親の怒りは収まらず。

私はゲンコツを貰った。


怒鳴り散らされたことよりも
ゲンコツを貰ったことよりも

ハヤシシタ君に
疑いの目を向けられたのが、

一番傷付いた。


No.32

結局、家の鍵は
学校の落とし物に
届けられることも無く。

どこで消えたのか
分からず仕舞いに終わる。


鍵を無くした私は
両親から

「お前には、もう二度と
家の鍵は渡さない」

「学校が終わったら
ここの家には寄らず
真っ直ぐに
おじいちゃん・おばあちゃん家に
行きなさい」

と 言い渡された。


もともと、
弟と私 2人だけで
留守番させておくのも
不安だったし、

弟と私が
両親不在の家に
友人を連れて来るのも
イヤだったらしい。

私達が 3歳と1歳だった頃、
夜中置き去りにして
仕事に行っていたクセに…
今更何を言うのか。


鍵を無くしてからは、
祖父母宅に、帰宅することになったが、
ハヤシシタ君の家に
遊びに行くのはやめなかった。


No.33

二年生の時の初夏から

地獄の日々が
続くようになった。


祖父母の家。
兎に角 暇なのだ。

昔ながらの
「質素」な家。

全く、娯楽が無い。

唯一ある娯楽は
囲碁将棋のみ。

囲碁将棋は
弟が好きで
おじいちゃんとよく
指していたが

私は
全く興味持てず。


祖父母の家だから、
好き勝手遊べない。

祖父母が心配するし、
帰りが遅いと
両親に告げ口されるかも
しれないから

ハヤシシタ君の家にも
自由には行けなくなった。


祖父からの
「勉強しなさい」
「漢字を覚えなさい」
の言葉が 苦痛だった。

テレビも
相撲・野球・ニュースのみ。

お陰で私は、
クラスメイトの話に
ますます付いて行けなくなった。

テレビアニメ
バラエティー番組
アイドルや、歌

私には、何が何だか
全く分からなかった。


「地獄」は
これだけでは 済まなかった。


No.34

祖父母宅には

祖父母の次男が
パラサイトしていた。

この叔父、
若干の知的障害があり、
普通には働けるものの
人を疑うことを知らず。

いつも、他人に騙されては
金を巻き上げられる。

このことが
無職と関係があったかもしれないが…

よく分からないが
叔父はずっと家に居た。


この叔父から
私は

性的虐待を
受けるようになった。

この時 私は
まだ7歳。

叔父は
所謂「ロリコン」と言うヤツだ。


「性的虐待」の切欠は、
叔父に見せられた
無修正のパンフレット。

「ライカちゃんに、
“イイもの”見せてあげる」

そう言いながら
机の引き出しから
取り出した。

叔父は、その無修正モノを
「バスの運転手に貰った」とか
言っていた。
運転手が、赤の他人なのか
知り合いなのか、友人なのかは
定かではないけども。

「お父さんや、お母さんには
絶対に内緒だよ!」


パンフレットの内容は、

バスタブの
縁に座った 裸の女性が
指でパックリ
陰部を開きながら
放尿。

男に、陰部を舐められている。
これが2ページ。

他にもあったが、
他の内容は忘れてしまった。


7歳の私からすれば
衝撃的な内容だった。

ただただ衝撃的で…
でも、
意味は当然 分からなかった。


No.35

叔父は更に

「こうすると、
男の人は、気持ち良くなれるんだ」

そう言いながら
私の前で ブツを晒し
しごいて射精。


私は 意味も分からず
ただただ 見せられた。

子供の作り方すら知らない
7歳の私。

セックスの意味も
方法も、当然知らない私。


叔父からは
そのうちに

されるがままに
なっていった。


触られた、舐められた
キスされた。

意味の分からない
私からすれば

「これは一体、何なの?」
「私は何をされているの?」

この程度だった。

でも、
脱がされて、
裸にされていたから
何となく

「叔父さんは
お父さんと、お母さんには
絶対に言うなって、言ってるし」
「私は多分
いけないことをしているんだ」

と言うことは、分かっていた。
言おう、言おうとは
何度も思った。

「叔父さんが、私に
変なことをしてくる」と。

でも、

「誰かに話したら
私は、激しく怒られる」
「私は軽蔑される」
「お父さんに、
ゲンコツされる」

そう思って
とてもとても怖くて
言えなかった。

自分は
「被害者」ではなく
「共犯者」だと思っていたから。


No.36

叔父からの性的虐待は、
小学校3年生の
終わりまで続いた。

小学校4年生から
遠くに引っ越して
祖父母宅から
離れることが 出来たからだ。


学校も
小学校二年生までは
何とか通えた。

でも
小学校三年生に上がると
私の好きだった
サンカク先生は、
別の学校へ 行ってしまった。

三年生からは
コムカイ先生と言う
髪の長い
綺麗な先生が担任になったが

コムカイ先生は
新学期早々「おめでた」なり
産休に 入ってしまった。

コムカイ先生の代わりに来た
○○先生…。
女の先生で。
名前を忘れてしまった。

担任の先生で
唯一、名前を忘れてしまった先生。

それだけ 印象に残らない
「どうでも良い」先生だった。

三年生に上がってから

クラスメイトからは
ますます虐められるようになり、

祖父母宅に帰るので、
ハヤシシタ君とも
前ほど遊べなくなり、

学校から 祖父母宅に戻れば
叔父からの
「虐待」が待っていた。

父親が
祖父母宅に
私達を迎えに来るのは
夜8時過ぎ。

母親は、父親よりも
遅く帰って来るので
迎えに来るのは
必ず父親だった。


家に戻ると、
「さて、子供は寝る時間だ」と
早々に 寝かし付けられた。


虐め、性的虐待、
両親に触れ合えない毎日…


この頃の私が
今までの人生で、
一番辛かった時期かも
しれない。


No.37

この頃の私は
今思い返すと、
かなり荒んでいた

…のかもしれない。


まず、
散々、万引きをした。
「これでもか!」ってくらい
万引きをした。

毎月の小遣いが無く、
お正月に貰ったお年玉を
少しずつ 切り崩して使う。

そのお年玉ですら
自由には使えなかった。

学校の校則で
「子供だけで、
1000円を超える買い物禁止」
と言うものがあった。

一度だけ
クラスメイトに

「消費税3%」ぶん
1000円を超えて
会計しているところを見られ、
担任に
チクられたことがあった。

かと言って、
親同伴で買い物をすると

「ライカ!
こんな物を買うのか!」
「一体、ナニに必要なんだ?」
「お年玉をくれた
親戚の叔父さん・叔母さんが
悲しい顔をするぞ!!」
「もっと有意義に使え!!」

お年玉で
私の好きな物を買おうとすると、
父親に、メチャクチャ怒られた。

こうなったらもう、
盗むしかないと。
そう思った。

物欲がとどまることを知らず。
毎日爆発していた。


ローラー付き消しゴム
香り付き消しゴム
消しゴム付きの鉛筆キャップ
色んな色が揃ったマジックペン
ビー玉に、おはじき。
スナック菓子。


文房具(特に消しゴム)を中心に、
万引きの限りを尽くした。


たっくさん万引きしたものを
お菓子の缶の中に入れ、
「うほー♪」
「ザックザクだ~♪」
と、ほくそ笑むのが
好きだった。


  • << 39 ※訂正※ お菓子は 万引きしたことが無いのに 「スナック菓子」と 打ってしまいました。 万引きは、 手のひらに隠れる 消しゴムがメインでした。

No.38

弟の お小遣いも
盗んで使った。


弟は、コツコツと
100円玉貯金をしていた。
「肝油」の丸い空き缶に、
100円玉を、少しずつ入れて。

弟が、
どうやって貯金していたのか
それは忘れてしまったが。

家の手伝いか何かを
していたのかもしれない。


居間にある
高い位置の戸棚に
肝油の空き缶があるのは
知っていた。

踏み台を使って
ギリギリ届く場所に
隠してあった。


私は、
弟が 100円玉を
肝油缶に 足していく度に
バレない程度の枚数を
盗んで使っていった。
一度に、300円程度。

盗んだお金を使うのは、
買い食いをする時だけだった。

かさばるお菓子は
万引きには
向かなかったから。


万引きや、弟の貯金。
私はすっかり
「盗み癖」がついていた。

知り合い宅に行って
小銭があると、
すかさずポケットへ。

バレたら面倒だから
直ぐに使ってしまう。

盗んだ小銭は、
スナック菓子や
アイスクリームに
消えていった。


No.39

>> 37 この頃の私は 今思い返すと、 かなり荒んでいた …のかもしれない。 まず、 散々、万引きをした。 「これでもか!」ってくらい 万引きを… ※訂正※

お菓子は
万引きしたことが無いのに
「スナック菓子」と
打ってしまいました。

万引きは、
手のひらに隠れる
消しゴムがメインでした。


No.40

サワダさんよりも
タチの悪い、
悪戯や 虐めを
してきた女子が居た。

名前は
タカハシ リカ。

この子は
サワダさんなんかより、
うんと最悪だった。


サワダさんは
みんなから好かれていたが、
タカハシさんは
みんなから嫌われていた。

小太りで、つり目気味。
一重の細い目。
ショートカット。


なぜ私をターゲットにしたのか
分からないが

タカハシさんからの
無言電話。

連絡網を見て、
散々、私の家に
無言電話をかけてきた。

タカハシさんの仕業だと
分かった理由は、

無言電話中、
家族と話している
タカハシさんの声が、
受話器越しに
聞こえてきたからだった。

母親「リカー?誰に電話してるのー?」
リカ「誰とも(電話)してないよ」

暫くしてから
ガチャンッ…
ツーッ、ツーッ、…

こんな失敗をやらかしたのに、
執拗に無言電話を繰り返してきた。

単純なプッシュフォンか
リンリン電話が
主流だった時代。
「着信拒否」なんてマネは
当時出来なかった。


学校で会った時に
「タカハシさんでしょ?無言電話」
「分かってるんだから。止めてよね!」
と、問い詰めたことは
何度もあったが、
当然、タカハシさんは
しらばっくれる一方。

ニヤニヤと笑いながら
「何言ってるの?リカじゃないよ?」

…完全に、私をバカにしていた。


いい加減、頭に来て
父親に頼んで、
電話に出て貰った。

父親、一喝。
ドスの利いた声で

「コラァーーーーー!!!!」
(ゴルァー!!に近い発音)


…それっきり
無言電話は
一切無くなった。

でも、嫌がらせは
無言電話に留まらなかった。


No.41

私のお金や
持ち物を、

盗んで、使う。
堂々と、やってのけた。

私の筆箱から
消えたものを、
私の目の前で、
堂々と使っていた。


「それ、私の筆箱から取ったよね?」
リカ
「いいや、私が買ったんだよ」
…コレの繰り返し。
私の筆箱から消えたものが
翌日、
タカハシさんの、手元にある。

何度も何度も
同じことがあった。


お金は、
「盗まれた」のではなく
「ネコババ」だったが。

タカハシさんと、私は
同じスイミングスクールに
通っていた。

級が違うので、
一緒に習うことはなかったが。
私は、
スイミングスクールの
送迎バスの中に、
赤い小銭入れを
忘れてしまった。

結構、パンパンに入っていた。

でも、
バスの運転手から
「これ、忘れ物だよ」
と 渡された時、

小銭入れが
かなり薄くなっていた。

私が置き忘れた小銭入れを
運転手に渡したのが、
タカハシ リカだった。

私は、運転手に聞いた。
「小銭入れ、
もともとこんな感じでした?」
「ん?どういう意味??」
「もっと、パンパンだったんですよ」
「渡された時から、こうだよ」

バスの運転手よりも、
無言電話で嫌な思いをさせられた
タカハシさんを疑ったし、

99%、タカハシさんの仕業だろう。

小銭入れには、
私の名前が書いてあった。

ライカの財布(金)か…
堂々と使ってやろう。

そう、思ったのかもしれない。

このことについても、
勿論、本人に問い詰めた。


「私のお金、使ったよね?」
リカ
「いいや、使ってないよ」

「バスの中でアンタが拾ったんだから、
アンタしか犯人居ないんだよ(笑)」
リカ
「勝手に犯人にしないでよ」

「だから~、盗めるの、
アンタしか居ないんだって(笑)」
「アンタ、馬鹿でしょ?(笑)」
「馬鹿だよね(笑)」


“盗めるのは
 アンタしか居ない”

そういうワケではないけれど、
タカハシさんの態度
(強く否定しない)から
「コイツが犯人に違いない」と、
散々見下して、
散々言ってやった。


私だって、
弟の金を盗んだり、
万引きしたり。

最低なのは、
お互い様だった。


No.42

父親から受けた
嫌な思い出を
綴っておく。

いずれも、
小学2~3年生の頃の
出来事になります。



父親には兄弟姉妹が多く、
必然的に
親戚も多くなる。

父親の兄弟姉妹(叔父叔母)に
会いに行くために、

遠出(旅行)をすることが、
年に数回あった。


父親の姉の家に行った時、
私は、この叔母と
街中を散歩した。

街中といっても、
寂れたショッピングモールで、
歩道にはアーケード(屋根)が。

叔母と一緒に歩いていると、
おもちゃ屋があった。

何となく、
フラリと立ち寄った。

そこには、
私が、欲しくて欲しくて
たまらない
「LEGOブロック」があった。


私は、つい口をついてしまった。
叔母の前で
「…いいな~…」と。
つい言ってしまった。

叔母は
「ライカちゃん、
コレが欲しいのかい?」
と聞いてきた。

「…。」
私は無言のまま
LEGOブロックを通り過ぎ、
おもちゃ屋を出た。


後日、驚いたことに、
この叔母から
私が「いいなぁ」と言いながら
眺めていた
LEGOブロックが届いた。

私はビックリし、
大いに喜んだ。


…でも、
父親は、カンカンだった。


「お前が、余計なことを
言ったんだろう!?」
「叔母さんに強請ったんだろう!?」
「叔母さんに、今すぐ電話しろ!!」
「電話して、謝れ!!」
「今すぐにだ!!」

父親に、頭を殴られた。

私は、少し飛んで、
床に倒れ込んだ。


メチャクチャ痛い頭を
押さえながら、
メチャクチャ泣きながら、

私は叔母に、電話した。

電話に出た叔母は、
凄く驚いていた。

「ライカちゃん!?
どうして泣いてるの?」
「何があったの??」

父親に殴られた
とは言わず、
私は、LEGOブロックのお礼と
謝罪だけした。

「叔母さん、ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「ブロック、
ありがとう御座いました」

父親と電話を変わってから、
父親は叔母(姉)に

「姉ちゃん、ゴメンな」
「ライカが余計なこと言ったんだろ?」

と、話していた。

私は、強引に強請ったわけでも、
タダをこねたわけでもない。

口をついて
「いいなぁ」と
漏らしてしまっただけなのに。


体が浮くまで
殴るなんて…。


No.43

父親から
ムリヤリ見せられた
テレビ番組があった。

「カメラは見た!決定的瞬間」
…だかって番組。


その番組で、

スタントカーが、
縦列駐車した
4台の炎上バスを

縦に突っ切る

と言う内容のものが
放送された時があった。

父親が
「こういうのは大事だから」
「いいから見なさい」
と、ムリヤリ見せてきた。

縦列駐車した4台のバス。
炎上してる。

車のドライバーは
確か、ドイツ人だと思った。

スタントマンの、
奥さんと、
まだ幼い子供も
見に来ている。



スタントカーが
バスを突っ切った。

スタントカーは
バスから出て来たけど、

失敗して、
スタントマンは
亡くなった。

スタントカーの屋根と一緒に
ドライバーの首も
スッ飛んでしまった。

バスに突っ込んだ時、
車の位置が高過ぎて、
バスの屋根に、
ぶつかったようだった。

普通の車だったのに
バスから出て来たら、
「オープンカー」に
変わっていた。


「車のペダルに見える、アレ」
「アレは、ドライバーの肩だよ」

父親が、ニヤニヤと笑いながら
説明した。


…私は、
渋い、苦い顔をしながら
番組を見ていた。

スタントマンの奥さんが、
泣いていた。


こんなモノ、
見たくなかった。

今でも、忘れられない。
トラウマ気味。


この番組(内容)の
一体ナニが「大事」なのか。

「親」になった、今の私にも
全く 分からない…。


No.44

>> 43 調べてみました。

スタントマンの名前は、

ベルギーの
アラン・バンクスさん。

YouTubeで
映像見られます。


私は 怖くて
とてもとても

クリックする勇気は
ありません…。

No.45

父親から
ムリヤリ見せられたものが、
もう一つ あります。

それは、
教育の一環(?)として
読まされた、

丹波哲郎の
「大霊界」だかって本。

どんな人間が天国に行って、
どんな人間が地獄行きなのか。
文章と、
イラスト・写真を使って
説明されていた。

天国のことは、
よく覚えてない。
地獄のことばかり、
頭にこびりついてる。

転がってくる大岩。
剣山。
煮えたぎった血の池。

血を流しながら、
地獄で苦しむ魂達。


地獄に行くのは、

性欲にまみれた人間。
詐欺師など、嘘を付く人間。
(“嘘も方便”は入らず)
自殺者と、殺人者。

ほかにもあったと思う。

私は、
「自分は間違い無く
地獄行きだな…」
と思った。

弟の金を盗み、
万引きを繰り返す。

そして、
「叔父」との関係。


「神様、私は悪い子です」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」

毎日毎日、
そう思いながら暮らした。

地獄のことを考えると、
怖くて怖くて、
涙が止まらなくて、
眠れない日もあった。

壁の模様や、
電気の傘の模様が、
(松の絵が描いてあった)
地獄で苦しむ
魂の歪んだ顔に見えた。

夜が、とても怖かった。


でも、
私の盗みや万引きは、
留まることを知らず。

叔父からの虐待も、
相変わらず続いた。


No.46

小学校3年生の夏、
やっと、父親から
ファミコンを買って貰えた。

一緒に買ったカセットは、
「忍者じゃじゃ丸くん」
「スーパーマリオブラザーズ3」

ファミコン本体と、
じゃじゃ丸くんは
中古で買ったが、

マリオ3は
新品で買った。

ゲームのお約束。
「1日一時間までだぞ」

1日一時間と言っても、
ほとんどの時間を
祖父母宅で過ごしていた私達には、
ゲームをやる時間なんて
あまり無かった。

ゲームを出来たのは、
週に1~2度。
父親の仕事が休みの日と、
母親の仕事が休みの日、
どちらかだった。

父親が休みの日は、
たいてい、家族で外出なので、
ゲームは殆ど出来なかった。

でも、
母親の規制が緩かった。
母親自身が遊びたくて
「PCエンジン(ヒューカード)」
を買ってきていて、

母親が休みの日は、
母親の自室で
ファミコンや PCエンジンを
好きなだけやった。

それでも、
母親の公休は少なく、
好きなだけゲームが出来たのは
月に2~3日だった。


ここからが、嫌な思い出。

マリオ3を買った時、
父親から、また怒鳴られた。

「ちゃんと、
取扱説明書を読みなさい!!」
「全部読み終わるまで
遊んだらダメだ!!」

…そう怒鳴られて、
私は、マリオ3の取説持たされ
子供部屋に、閉じ込められた。

弟も、ファミコンで遊ぶのに。
何故か私だけ…。
(弟はこの時、小1だから
読めないと判断されたんだろう)

まだ昼の時間だったけど、
子供部屋に閉じ込められて、
凄く怖かったし、

せっかく「念願」の
ファミコンなのに、
物凄い 嫌な気分にさせられた。

私は、グチャグチャに泣きながら、
取説を読んだ。


ゲームなんて、
「体」で覚えるもの。

取説を読むのは、
どうしても分からない時だけだろう。

ムリヤリ閉じ込められて、
泣きながら取説を読んだって、
頭に入るはずもなく。

取扱説明書は、
文章より、
イラストばかりを見ていた。

30分くらいしてから、
やっと部屋から出して貰えた。


大人になってから
母親に このことを話したら、
ゲラゲラ笑いながら
「うわ~…最低だねw」
「あの人らしいわ!屁理屈屋!」
と、散々言っていた。


No.47

ほぼ毎日、祖父母宅に
預けられていた 私達。

家族との時間は
少なかった筈なのだが、

父親から
「監視(軟禁?)」されている
記憶が多い。

勉強1つでも そうだった。
私は、父親から
「勉強しなさい!」と、
子供部屋に閉じ込められることが
とても多かった。

当然、子供部屋に一人だから、
勉強なんて、絶対やらない。
眠くて眠くて、しょうがない。
欠伸を沢山して、
目に涙を溜めてばかりいた。

でも、
油断してサボっていると
ドアを少~しだけ開けて
父親が
細い目をして見ている…。


祖父母宅で、祖父から
「勉強しなさい」
「漢字を沢山覚えなさい」
と、散々言われ

自宅でも、
子供部屋に閉じ込められ、
勉強を強制された私は、

どんどんどんどん、
勉強嫌いになっていった。

「いかにサボるか?」
「いかに勉強してる風を装うか?」
「ゲームの時間を増やすには
どうすべきか?」

こんなことばかり
考えるようになった。


勉強嫌いは、結局
ず~っと勉強嫌いのまま。

テストの前日に、
ムリヤリ詰め込む。

…なんてことすらしない。

私は所謂「低学歴」と
言うヤツです。


No.48

■小学四~六年生■

父親が、椎間板ヘルニアになった。
暫くの間、
父親はほふく前進状態で、
車の運転も、ままならなかった。

私はよく、
父親の体を支え、歩くのを手伝ったり、
父親の職場(レストラン)の
本社に行って
書類を届けたりした。
(売上の報告だと思う)

どこの病院に行っても
溜まった水を抜いて
痛み止めを出されて終わるか、

「手術ですね~」と
直ぐに切るように言われるか。

「医者は直ぐに切りたがる!」
「冗談じゃない!」
父親は、医者に嫌気が差し、
自分でヘルニアに関して勉強。

なんと、
椎間板ヘルニアを、
自力で治してしまった。

腰にキツくバンドを巻いたり…
よくわからないが
何か色々やっていたと思う。

ちなみに、今現在に至るまで、
ヘルニアの再発はしていない。



父親と母親が、
離婚することになった。

離婚を機に、父親は、
自分が勉強を始めた
「カイロプラクティック」を
本格的に覚えて、
それを自分の仕事にしようと考え、

カイロプラクティックの
専門学校がある、大きな街に
引っ越すことになった。

父親と母親の離婚の事実は、
私も、弟も、
「離婚」とは聞かされず。

父親は、
「お母さんは
仕事が忙しくて辞められない。
一緒には来られないんだ」
と説明。

私は
「単身赴任みたいなモノか」
と解釈した。

母親も、
私達が引っ越した後、
時々休みを取っては
私達に会いに来ていたので、

私達姉弟は、しばらくの間
「両親離婚」の事実に
気付かなかった。


No.49

私達は、父親に引き取られたが…


実は、私は
母親から見捨てられたのだと、
父親から知らされた。

母親は
「仕事だけをしていたい」
「自分で稼いだ金を、
家族に使いたくない」
「子供達の面倒なんて、もう嫌!」
「特に、ライカが面倒臭い」

そして、別れ際…

「おとなしい、Tちゃん(弟)なら、引き取ってもいいけど?」

と、母親は言ったらしい。
父親は、大激怒したと。

「姉弟を引き離すなんて!」
「この大馬鹿者が!!」

娘は面倒だから要らない。
大人しい息子なら引き取る。

姉と弟、同じ我が子なのに
「差」を付けて見ていた母親に
父親は、切れまくったと言う。


  • << 51 ※補足※ 母親から 見捨てられた話を 父親から聞いたのは 18歳以降です。 母親と別居して、 直ぐではありません。 読み返してみたら、 分かりづらかったので 補足させて頂きます。

No.50

そんな言い方をしていたのに、
いざ、引っ越しです、
お別れです、

となった時、母親は泣いていた。
引っ越した後になって、
「やっぱり寂しい」と
電話も架かってきたらしい。

父親は
「今更ぬけぬけと」
「よくそんなことが言えるな」
と、母親を責めたと。


両親離婚の事実を知ったのは、
私が18歳の時であった。

「母さん家に遊びに行ったら
“旧姓”で届いてる封書を
何通も見つけてさぁ」

と、私が言い出したのが
切欠だった。

父親は、
「ライカももう、18歳だし…」
と、真実を教えてくれた。

「実はもう、
籍は抜いたんだけどね」と。

私は、
「ああ、やっぱりね」と、
特に驚かなかった。

旧姓で届く封書もそうだし、
母親は、一軒家を建てて
独り暮らしをしているし。

母親と離れてから、9年。
「今更」な話であった。


No.51

>> 49 私達は、父親に引き取られたが… 実は、私は 母親から見捨てられたのだと、 父親から知らされた。 母親は 「仕事だけをしていたい」 「自… ※補足※

母親から
見捨てられた話を

父親から聞いたのは
18歳以降です。

母親と別居して、
直ぐではありません。

読み返してみたら、
分かりづらかったので
補足させて頂きます。


No.52

小学四年生から、
私はまた、
違う学校へ通うことになった。

3年生のクラスのみんなで
私のお別れ会を
開いてくれた。

私は、嫌われ者だったから
お別れ会なんて…
多分 開きたくなかったろうね。

いや、むしろ
「ライカとは
もう二度と会わなくて済む」
と、クラスみんなで
喜んでいたのかもしれない。


春休みに入って、
引っ越す数日前。

相変わらず私達は
祖父母宅に居たが、

小学1年生の時に
お世話になった児童館と、
ハヤシシタ君の家に
行くことにした。

小学校1年生で
転校して、引っ越してからは、
ほとんど通わなくなった、
児童館。

それでも私は、
館長に、どうしても
挨拶がしたくて。

祖父母に断って、外出。

かなり遠い道のりだけど、
独りで頑張って歩いた。
(両親は仕事で不在)

ハヤシシタ君の家に
着いた時には、
日が暮れたばかりで、
空は紺色だった。

児童館からの帰り道の途中から、
粒の大きい、
ベチャベチャ雪が降ってきていた。

ハヤシシタ君の家の
居間の窓を コンコンと叩いた。

ハヤシシタ君は
私を見るなりビックリ。

「お前、どうしたんだよ!」
「ちょっと待ってろ!」

傘を持たずに
歩いていた私は、
全身ベチャベチャに
濡れていた。

ハヤシシタ君は
私にバスタオルを貸してくれた。

「風邪引くぞ!」
「これで拭いて!」

私は、ハヤシシタ君に
「ありがとう」
と言ったあと、

今まで、
私と遊んでくれたお礼と
最後のお別れを言った。

「おう!元気でな!」
「またな!」

ハヤシシタ君とは
元気にサヨナラをした。
不思議と、
寂しい気持ちは無かった。


両親が帰宅している
時刻だったので、
祖父母宅ではなく、
そのまま自分の家に戻った。

この時は、
先に母親が帰ってきていた。

「おばあちゃんから聞いたよ」
「迷わずに行けた?」

色々報告すると、

「きちんと帰ってこれたね」
「遠いのに、よく頑張ったね」
と、母親に褒めて貰った。


No.53

「私のことを知る人間が居ない
新しい場所で、またやり直せる」

「叔父からも、
やっと解放される…」


小学2~3年の間で
一番苦痛だったのは、

やはり
叔父からの性的虐待であった。

「私は、悪いことをしてるんだ」
と言う“罪悪感”が、
堪らなく苦しかった。

かなり遠くに引っ越すので、
祖父母も、叔父も、

私達に、
なかなか会えなくなるのを
とても寂しがった。


今でこそ、祖父母には、
とても感謝しているけれど、

当時の私は、
兎に角【両親との触れ合い】に
飢えていた為、

祖父母の存在は
とても薄かった。

あんなに世話になったのに、
じいちゃんっ子
ばあちゃんっ子には
全くならなかった。

むしろ、
殆ど娯楽が無く、
「質素」を「美」とする
家だったので、

「なんてつまらない場所なんだ」
と…

感謝の気持ちなんて
全く湧かなかったし、
何より
「あの」叔父が居る家だから。
嫌で嫌で、
仕方がなかった。

「つまらない家」
「叔父からの虐待」
「祖父から勉強の催促」

…色々溜まると 爆発して、
悪戯の限りを尽くした。

三角定規を使って
障子全面に穴をあけまくる。

ママゴトで、弟に、
本当に砂を食わす。

ロリコン叔父のメガネを隠す。

祖母のパンツを隠す。

ロリコン叔父の
タバコ(シケモク)を吸う。

ライターで
何かに火を付けて遊ぶ。

他にも沢山、
迷惑をかけた。

その度に、
祖父母からの雷。
祖父に、柔道技で
ブン投げられた時もあった。


No.54

数少ない友人の家に
遊びに行くと、

友人の母親が、我が子に
「おかえりなさい」を言い、

遊びに来た私に
「いらっしゃい」と言う。

友人と一緒に
ゲームをしたり、
人形遊びをしていると、
友人のお母さんが、
お菓子やジュースを
振る舞ってくれる…。

私の「憧れ」だった。


私も 自分の家に、
堂々と友人を招きたかった。
(両親不在の為、
友人を家に上げるのは
絶対禁止だった。
事故があったら、
責任取れないから)

私が持っていたオモチャで、
友人と遊びたかったし、
オモチャの貸し借りも
してみたかった。
(物の貸し借りも
絶対禁止だった。
弁償の事態になったら厄介だから)

お母さんが出してくれるお菓子を、
友人と楽しみたかった。

友人が自宅に帰る時は、
私のお母さんが
「またいらっしゃい」
と見送る。


…些細なことですが
私の夢でしたし、
友人の母親を見ては
「いいなぁ…」と
とても羨ましく思った。

でも結局、
私のささやかな願いは、
一度たりとも
叶うことは無かった。


母親が、
「母親」ではなくなってしまったから。


No.55

四年生からの学校は、
かなり「都会」だった為、

私は半年間、
「なまってる~」
「なんか喋ってみて」
と笑われた。

バカにされていると言うより、
方言や訛りが
物珍しいと言う感じだったので、
悪い気分にはならなかった。

半年経つと、訛りは
すっかり消えてしまったが。

担任の先生も、
良い先生だった。

男の、ヤマモト先生。

授業を、面白おかしく進める。直ぐに脱線して、
関係無い話になってしまう。
(主に図工・体育・道徳の時間)

兎に角
「楽しくやろう!」
がコンセプトの先生だった。

図工の時間に、
「プラモの車を作ろう!」と、
クラスの生徒全員に
「予算1000円」までの
プラモを買ってこさせ、
授業中に組み立てる。

…なんて授業を
受けたこともあった。
(勿論、ヤマモト先生のクラスのみ)

ヤマモト先生のクラスで、
親友も出来た。

シバタさん。

家も凄く近かったし、
部活も一緒。
登下校も殆ど一緒。
遊ぶのも一緒。
習い事(水泳)も一緒。

だいたいは
一緒に過ごしたし、

シバタさんの、
お父さん・お母さん
お祖父さん・お祖母さんにも、
随分とお世話になった。

仲が良かった、男友達。
ツカダくん。

ツカダくんとは、
シバタさんも交えて、
公園の遊具や、木登りや、
「男っぽい」遊びを沢山したし、
ツカダくんの妹さんとも
遊ぶことがあった。


私の父親はと言うと、
昼間はバイトを掛け持ちし
(弁当の配達・飲食店・コンビニなど)
夜は、整体の学校へ通った。

父親は、
私が学校から帰る頃には
家に居るようにして、
私達に「おかえり」を
言えるようにしていた。


No.56

後から聞いた話だが、

この頃の父親は、
自分の兄弟姉妹
(正確には、兄弟姉妹の伴侶)から、
随分と疎ましく
思われていたらしい。

「男独りで、
子供2人なんて
絶対に育てられない」

「何かあっても、
ウチは頼らないでくれよ」
(金は貸さない、と言う意味)


父親は、
相当悔しかったらしく、
「見返してやりたい」
と言う気持ちが、
かなり強かったらしい。

だから、
整体の仕事も成功させたいし、
子供達も「まとも」に
育てたいと。

かなり躍起なった時期らしい。


夜の7時に、
通学の為に家を出る。

帰ってくるのは朝。

学校が何時に終わるのかは
知らないが、
学校が終わった後、
深夜はコンビニで
バイトをしていた。

私達に朝食を作り
見送った後、
数時間寝る。

寝た後、
今度は昼間の仕事。

それが終わったら
直ぐに帰宅して、
学校から帰ってくる私達に
「おかえり」を言う。

日曜日は、
学校も仕事も休み。


父親の生活は
こんな感じであった。


No.57

小学四年の一年間は
友人達や、担任のお蔭で
凄く楽しく過ごせた。

最悪だったのは、
小学5~6年生の時。

弟の小銭を盗んだり、
万引きしたりは、
この頃には無くなっていた。

その前に、
一度 万引きはバレて
(親が買い与えていない物を
私が所持していた為)
両親にメタクソに怒られたし、

弟の貯金も、
調子に乗って 盗み過ぎて
母親が、弟の肝油缶に
100円を入れてやる時に、
「なんか、少なくなってる気がする…」
と言っているのを聞いて、

「バレたかも」
と怖くなって。

それからは、
めっきりやらなくなった。

叔父とも離れたので、
性的虐待も無い。


何が最悪だったか、
それは「友人関係」であった。

前のように、
「触るとカビ生える~」
と言った嫌われ方ではなく、

私自身の性格の悪さのせいで、
悉く 嫌われた。

何の謂われも無い理由で
「虐められた」のではなく、

私自身が原因で
「嫌われた」のである。


No.58

小学5年生に上がると、
クラス替えがあった。

このクラス替えが、
私にとって 良くなかった。

ツカダくんや、
シバタさんと 離れた。

さほど仲良くもない人達、
全く知らない人達と
一緒のクラスになってしまった。

私は転校生なので、
「四年一組」の生徒しか
知らない。

他のクラスの生徒とは、
全く交流が無い。
赤の他人。


私は、必然的に 孤立した。


No.59

最初から、いくつかの
「輪」が出来ていた。

私は、輪に入ることが
なかなか出来なかった。

クラスメイトと打ち解けるには
どうしたら良いだろうか?


私は、そう考えるうちに、

友達欲しさに、
悪口・陰口・イジメを
やるようになった。

●さんと仲良くしたいから
●さんが嫌う、□さんを、
●さんと一緒になって
虐める。悪口を言う。


…我ながら、
最低最悪であった。


No.60

イソップ童話の
「卑怯なコウモリ」と一緒。

昔、鳥の一族と獣の一族がお互いに争っていた。その様子を見ていたコウモリは、鳥の一族が有利になると鳥たちの前に姿を現し、「私は鳥の仲間です。あなたたちと同じように翼を持っています」と言った。

獣の一族が有利になると獣たちの前に姿を現し、「私は獣の仲間です。ネズミのような灰色の毛皮と牙があります」と言った。

その後二つの一族間の争いは終わり、鳥も獣も和解した。しかし、幾度もの寝返りをしたコウモリはどちらの種族からも嫌われ、仲間はずれにされてしまい、やがて暗い洞窟の中へ身をひそめるようになった。

↑Wikipediaより抜粋。

まさに私は
「コウモリ」だった。

童話のコウモリと同じく、
最終的には、孤独になった。


休み時間、
皆がグラウンドで遊ぶ中、
私は、独りでずっと
机に突っ伏して過ごした。

5年生の途中から、
転校してきた
ナカムラさん。

ナカムラさんは
私とは違い、人気者だった。
容姿も良かったし、
スポーツや勉強も出来た。

このナカムラさんから、

「ライカさんって
いつも“孤独”だね」

と、ハッキリ言われ、
笑われたこともあった。

担任の先生からも
「お前は遊びに行かないのか?」
と聞かれたが、
自分のしてきたことを思うと、
先生には何も言えなかった。


ナカムラさんを見ていて、

同じ「転校生」なのに、
この違いって…。

どうして「転校生」なのに
あの「出来上がった輪」の中に
スンナリ入れたんだろう…

随分考えたし、
とても羨ましく思った。


No.61

私は、男子からも
嫌われていた。
疎まれていた。

私は、容姿も悪かった。

痩せていた時期が無い。

当時で
159センチ・56キロ。

今からすれば
「普通」なのかもしれないが、
小学生の男子から見たら
「デブ」だったのだと思う。

水泳を長くやっていたので、
肩幅も広い。
余計、体格が良く見える。

母親からの遺伝と、
一輪車や縄跳びと言った、
脚がメインの運動をしていた為か、
脚もゴツい。


父親に育てられたせいもあり、
「お洒落」が出来ない。
服のセンスが皆無であった。


黒地に、小さな白い花を
散りばめた模様の
ゴムスカートの中に、
英文がプリントされている
白いTシャツを
インさせている。

髪型はショートだが、
癖毛を気にして
かなりペトンとしている。
癖毛を伸ばしたくて、
整髪料のようなものを
髪に塗り付けている。

…そんな自分が写っている
写真を見つけた。


一週間、
風呂に入らないなんて
ザラにあった。

母親が居た頃は、
少なくとも
2日に一度は入浴していた。

でも、
母親が居なくなると、
そこら辺がテキトーになった。

父親から
「風呂に入りなさい」と
うるさく言われなかったから、

風呂を沸かしても、
「面倒臭い」と入らないまま、
何となく
やり過ごしてしまうのが
殆どだった。


No.62

「デブサイク」
「よく分かんない服」
「気持ち悪い髪型」
「不潔(臭い)」

男子に煙たがれて
当たり前(笑)


これだけでも最悪なのに、
「卑怯なコウモリ」をやってのけ、

その上、
父親の性格が私にも移って、

「自慢屋」で
「自信家」で
「仕切り魔」だった。


大して出来もしないことを、
さも「得意技」のように言う。
(実際やらせてみたら
全然出来ない)

字がヘタクソなのに、
「私に書かせなさい!」
「私に任せれば大丈夫」と
周りからの反対を無視して
学級新聞の記事をムリヤリ書く。

歌が下手なのに、
ソロパートを任された
生徒に向かって
「もっと上手い人が
“ココ”に居るのに…」
と呟く。

軽蔑されたくなくて、
嘘も沢山ついた。

提出してない作文を
「もうとっくに提出したよ」
と言ってみたり、
やってない宿題を
「もうとっくに終わったよ」
と言ってみたり。
(後から嘘が全部バレた)


No.63

オマケに、ドジ・間抜け。
クラス全員の給食を、
廊下に全て
ブチまけたことがあった。

調子に乗って、
ハイスピード(早歩き)で
給食が乗った配膳台を
押していたら、

クラスの男子が
「通せんぼ」をしてきた。

私は「きゃー」の悲鳴と共に
配膳台を急ストップさせる。
給食は、前に滑って行き
全て廊下にドン。

普通にゆっくり押していたら、
給食が、前に滑って
落ちることは無かった。

他のクラスや
他の学年から、
給食を少しずつ
分けて貰った。

クラス総出で
「給食乞い」をする羽目に。

私一人のせいで、
クラスみんなに
恥をかかせてしまった。



…当時の私に、
是非聞きたい。

何故、そのような
“痛々しい考え”に
至るのか。

「当時の自分」を
思い返してはみるが、
全く分からない。

「虚言癖」と
言うヤツだったのだろうか??


嫌われて、当たり前。
自業自得。


ちなみに、
他のクラスに行った
シバタさんと
ツカダくんの2人は
同じクラスになった。

彼らは彼らで、
新しいクラスで
友人が出来たので、

私の相手ばかりを
する訳にもいかず。

クラス替えがあってからは、
遊ぶ回数は
極端に減った。


No.64

小学校を
卒業する時に作った
「卒業文集」

その中のアンケートに
「クラスで一番目立った人」
と言う項目があったが、

私が一番になった。


でも

【ライカさんは
“悪いこと”で目立ってるから】

【そんな一位は無し!】

と、ハッキリ言われ、
私の「一位」は
無かったことにされた。


クラスの男子達が

「え~っ」
「ライカがダントツだろ」
「なぁ?」
「ああ。」

と言う会話を交わした。

男子達は、
私の「一位」を
面白がっていた。


私もさすがに
「悪いことで目立った」
と言うことは自覚していて、

男子達には
「いやいやいや、
 一位取り消しでいいんだよ」
と言った。


No.65

5~6年生の時の担任も、
ちょっとイッちゃってる先生だった。

ヨシダ先生。

変にテンションが高い先生で、
いつも「便所タワシ」を片手に
持っていた。

女子が
ミニスカートを履いてくると
妙なテンションになっていた。

「あ~~~っ!」
「○○が、ミニスカート履いてるぅ~っ」


……なんだ コイツは。


ドン引きすることが
多かった。


この担任の趣味が
「裏ビデオの視聴」だった。
これは、ヨシダ先生本人が
そう言っていたのだから
間違い無いだろう。

トラックの
ダブルタイヤに挟まれた
子供の轢死体。

飛び降り自殺で飛び散った
脳ミソの様子。

こと細やかに
生徒に説明していた。
勿論、それを
私も聞かされた。

やはりドン引きした。


そして
「給食は絶対残すな」の
先生だった。

何が何でも、
無理矢理食わされる。

食べるのが好きだった私は
別に構わなかったが、
少食の生徒は
とても苦労していた。

釜に給食が残っていると、
やっと食べ終わった生徒の
空になった器に
容赦無く 盛り付けてくる。

「この一口で、
何人の、恵まれない子供達が
救われると思ってるんだ!!」

これが口癖。

…そう思うなら
釜に残った給食抱えて、
貧しい国に
行ってこいよ。

やっと食べ終わった生徒にまで
無理矢理おかわり盛り付けるなんて…
嫌がらせでしかないだろ。

一食分を、
一生懸命残さず食べたんなら、
そこまででいいだろ。

っつか
テメーが全部食え。


毎日毎日、そう思いながら
給食を
無理矢理盛り付けられる
クラスメイトを見ていた。


No.66

小学校5~6年生の時期、
輝いていたのは

体育の時間と
部活動の時間だった。

体育は、
走る競技以外は
割と得意で、

特に、マット運動と
縄跳びが得意だった。

他の学校の先生が
何十人も
体育の実技を見に
私の通う小学校に
訪れたことが
何度かあったが、

その実技会に
模範生として、
私は必ず呼ばれた。


部活動は
「一輪車クラブ」
が設立されたので、
迷わず入った。

顧問は校長先生。
私が5年に上がるとき
新しくやってきた
校長先生だった。

校長先生自身は乗れないが、
教えるのが得意と言うことで、
校長先生自ら
一輪車クラブを設立した。

一輪車クラブには
シバタさんも一緒だったし
私は部長も勤めた。

部長を勤めたのは、
私の、父親譲りの
「自信家」「目立ちたがり屋」
の性格から、
自分から立候補してなった。
誰かの推薦ではない。

私より技術のある生徒が
居たにも関わらず(笑)
自分から部長に
立候補するなんて。


今の私には
考えられない行動。


No.67

体育の話に戻るが、
(打ち忘れた)

私は球技も“得意”だった。

何故なら、
私は嫌われ者だったから
相手にされない。

だから、バスケやサッカーでは
私は ゴール付近で
ポツンと独りで居ることが殆ど。

大抵の人間が、
私がプレイに
参加していないことに
気付かない。

たまに気付く生徒が居て、
ゴール付近に
独りで居る私に、
ボールをパス。

周りに誰も居ない中、
私はのんびりシュート。

周りに誰も居ないから
気持ちは落ち着いてるし、
大抵はゴール。

シュートに失敗しても、
落ち着いて
もう一度やり直し出来る。

得点率だけは
随分と高かった。

でも、
ドリブルしたり、
ボールを奪ったり
奪われたり

そう言ったチームプレイは
殆ど したことが無い。

所詮、小学生の
「なんちゃってバスケ」

人気がある人間には
沢山パスが回される。
嫌われ者の人間に
パスは回さない。

やれ
「○○さんが足を踏んだ」
「○○さんがぶつかってきた」
違うクラスの対抗戦でも
同じクラスの中でも
必ず揉めた。

「女って、面倒クサッ!!」
「レベル低っ!!」
「私から願い下げ!!」

ゴール下に
独りポツンと居るのは
嫌われているのもあったが、

私から敢えて
そうしていた部分もあった。

そう言った
くだらないイザコザに
巻き込まれたくなかった。

私は嫌われ者だから、
何かあったら
絶対に恨まれる。


ドッジボールも同じだった。

誰として、
私にボールをぶつけてくる
人間は 居ない。

だから 大抵、
私は「最後の独り」になる。

「ラスト○人に
なった時点で負け」
と言うルールが敷かれる時は、
私は、逃げることも
ボールに触ることも無く
終わってしまう。


団体戦が
大嫌いだった。

だから
私が頑張った分
そのまま評価される
個人競技が
大好きだった。

私が、
マット運動や縄跳びが
得意だった理由は
そこにあった。


No.68

「嫌われ者」も
エスカレートして行き
孤立が限界に来たとき、

私は、
更に最低の行動を
取るようになる。


【自作自演】


「上履きの中に異物」
「上履きが無くなる」

これらを
私自身が行って、さも
“私は虐められてます”
“私は可哀想な人間です”
と、被害者ぶって
メソメソしてみせる。


自作自演をやる切欠は…

私の机に【馬鹿】と
イタズラ書きをした
男子が居た。

名前はハヤセくん。

ハヤセくんは 前日、
委員会の話し合いの時に
たまたま私の机に座った。

その時に、
つい「おふざけ」で、
特に深い意味も無く
書いてしまったと。

私よりも先に
登校していた女子が
「誰よ!?
こんなイタズラ書きしたのは!」
といきり立っていた。

イタズラ書きをした
ハヤセくんと、
同じ委員会をやっている女子が、

「昨日、ライカさんの机、
ハヤセが使ってなかった?」
と、ハヤセくんに詰め寄り…

ハヤセくん、自白。

「書いたのはオレだけど、
特に意味は無いんだって!」
と慌てて弁解。

女子、ハヤセくんを
責めまくる。

「酷い!」
「ハヤセ、最低ー!!」
「ライカさんに謝んな!!」

私に向かって
深々と頭を下げ、
「ライカ、ごめん!!」
と謝るハヤセくん。

私は、
ハヤセくんの性格を
何となく分かっていたので、
「悪気無く」「何となく」で
イタズラ書きをしてしまったのは
本当だろうと思って、
全く傷付かなかった。


でも、私はこの時、
ハヤセくんの
「何気無いイタズラ」を
利用した。


No.69

全く傷付いてないし、
全く気にもしなかった。

でも、私は

「ハヤセ、酷い!」
「あんまりだよ!」

と 泣いてみせた。
泣くのは簡単だった。

このイタズラが
「悪意の塊」だったら………
そう想像するだけで、
涙は簡単に流れ出て来た。

更にハヤセくんを責める
クラスの女子達。

そして、
「気にすることないよ、
ライカさん!」
と、励ましてもくれた。


私は、
ハヤセくんの
イタズラ書きを利用して
「悲劇のヒロイン」に
なってみせた。


この一件で、私は

「もっと虐められたら、
もっと同情して貰えるかも」
「もっと、温かな目線が
集まるに違いない」

そう思ったのだった。


No.70

まず手始めに、
「上履きに異物」を
実行した。

登校中、ずっと手の中に
「画鋲」を隠し持つ。

学校に到着し、
上履きに履き替える時、
バレないように、
画鋲を上履きの中に落とす。

そして、
少し痛いのを覚悟で
上履きをはく。


「いたっ…!!」

周りに居た、
同じクラスの女子数人が
「ライカさん、どうしたの?」
と詰め寄る。

上履きを脱いで
逆さまにする。

画鋲が数本、ポロリ。


クラスメイトの女子、
「こんなイタズラ、酷いよ!」
「先生に報告しよう!」


先生に報告。
先生は
「また何かあったら
直ぐに報告して」
と私に言った。


画鋲くらいでは、
そこまで大事にはならない。

最初は
「こんなもの」で
良いだろう。


私は 次の
「自作自演」を
考えた。


No.71

「上履きの中に異物」の
自作自演を
二度と程繰り返した後、

今度は
「上履き消失」を実行。


学校から帰ろうと、
下駄箱に行くと
私の上履きが無い。

その時、
数人のクラスの女子も居た。

「上履きの中に異物」の件で
私を心配するようになった
数人の女子が、
私の下駄箱を
気にしてくれるようになっていた。


数人の女子、大騒ぎ。

「ライカさんの上履きが無い!」
「探してみよう!」
「まずは先生に報告を」

担任の先生、私、
クラスの女子数人で、
私の上履き探し。

私は、テキトーに
夢中(なフリして)に探す。

先生が、
焼却炉行きの
大きなゴミ箱に、
私の上履きが
捨てられているのを発見。

勿論、私自身が
そこに隠したワケだが。


そして次の日、
ホームルームの時間。

先生が、クラスみんなに

「ライカの上履きの中に
異物(数回)」と
「上履き消失」の件を話す。


クラス全員、
「犯人を探そう」と
一致団結。


No.72

正義感の強い男子、
数名は
「ライカさん、犯人を
絶対に捕まえてやるからな!」
と意気込んだ。

味をシメた私は、
今度は

「上履き破損」

を実行。

上履きが無くなった上に、
見つかった上履きは、
カッターで ズタズタに。

「これは酷い」
「ここまでくると、ちょっと…」
「一体誰がこんなことを」

私はますます
同情をかうことが出来た。

上履きを1組、
ダメにしたと言うことで、
父親にも話が行く。

「上履き、ズタズタにされた」
「新しいの、買って欲しい」

父親も、かなり私を
心配していた。


犯人の特定が出来ないまま、
結局卒業を迎える。

犯人特定が出来なくて
当たり前。
だって【自作自演】だから。


この時の私に、
自作自演で
周囲を振り回している
ことについて、

「罪悪感」なんてものは
一切無かった。

むしろ
「優しい言葉をかけて貰える」
「みんな私を見てくれる」
と、ほくそ笑んでいた。


この時期の私は、
【病気】だったんじゃないかと
思える程、
頭の悪い行動ばかりをしていた。


No.73

■中学生■

父親が、
整体の学校を卒業し、
開業することになった。

開業は、
父親の生まれ故郷ですると。

…私達はまた、
違う場所へ引っ越し。

小学校→中学校なので
転校ではないが、
全く知らない人間しか居ない
中学校へ入るわけだから、
転校と一緒だった。

親友の シバタさんや
シバタさんの御家族に
きちんとお別れをした。

3年間、お世話になりました。
色々、ありがとう。
また、いつか会おうね、と。

車で2時間程の場所へ
引っ越しなので、
会えない距離ではないが、
シバタさんに再会するのは、
18歳になってからであった。
(再会については後程別記)


  • << 314 小学4~6年生時期の親友だった シバタさんについて すっかり書くのを忘れていたので 今更だけど書いておく。 シバタさんに再開したのは 18歳の時。 漫画の学校へ通うのに、 小学4~6年生の間住んでいた、 「都会」にある寮(女子学生会館)に 私が移ってきてからである。 シバタさんの住まいを 覚えていた私は 公共の乗り物を使い シバタさん宅へ向かう。 いきなり訪問は 少し 気が引けたので、 手紙を新聞受けに入れてくる。 「久し振り、ライカです。」 「良かったら、ここに連絡ください」 「会ってお話がしたいなぁ」 …数日後、 シバタさんの携帯から メールが届いた。 「久し振りだね、元気してた?」 「私は学校の先生してますよ」 「今度会おうね」 私は早速、 会う約束にこぎ着けた。 ○月×日、 ◇時に、△△のバス停にて 待ち合わせ。 私は シバタさんに再開出来る日を ワクワクしながら待った。

No.74

中学生になってからも、

相変わらず私は、
嫌われ者であった。

流石に、自分の性格の悪さには
気付いてきていて、
自分を出さないように
謙虚に過ごしていたつもりだったが、

ところどころで
ボロが出て…。


私を一番毛嫌いしていたのは、
私と同じく、
転勤族の、セガワ レイカさん。
一人称は「レイカ」であった。

最初は、
家が近いのもあって
かなり仲良くしていた。

でも、とあることを切欠に、
私は 虐められるようになった。

その切欠とは、

私と セガワさんが
同じ男子を好きになり、
その男子も、
私のことを
好きでいてくれたからだった。

私の、この時の容姿が、
身長160センチ・体重63キロ。

春休み中だけで
一気に7キロも太った。

引っ越しで
土地を離れるのと同時に
習っていた水泳も
外で遊んだり等の運動も
一切止めてしまって
春休み中は
親戚の家でゴロゴロしていたから

太るのは 簡単だった。


そんなズングリ容姿の私に、
まさか「負ける」とは
思っていなかったのだろう。

私との両想いを知った途端、
私を仲間外れにするようになった。


No.75

私と両想いだった男子

名前は ハセガワ モトキくん。

ボンタンに、短ラン。
所謂「不良」であった。

別に、不良に
憧れたワケではない。

この時期の私は
ただの「面食い」で、
中身はあまり関係無かった。

ハセガワくんの容姿が、
私の好みだったから。

好きになった理由は
ほぼ、これだけ。


ハセガワくんは、
「ライカの優しいところが好き」
だと、言ってくれたのに…。

そりゃあ、
好きな男の子には
優しくもなるって。

純粋に
「優しい」わけじゃない。

初恋の相手ではないが
(初恋の相手は忘れた)
ファーストキスの相手は
ハセガワくんであった。


※厳密に言うならば
ファーストキスの相手は
「ロリコン叔父」になるが
カウントしないことにしている


No.76

中学一年生の
6月か7月頃。

天気は曇り。

両想いだと知って、
私は、ハセガワくんを
自分の部屋に招いた。

お互いに、
異性での「こういうの」は
初めてで、

ただただ 緊張していた。

話の流れは忘れたが、
「キス」の話になる。


ハセガワ
「キスって、どんな感じなんだろうな」
ライカ
「さぁ、したことないし」
ハセガワ
「…なら、してみっか!」
ライカ
「……… は???」


ハセガワくんは、
「これなら恥ずかしくない!」
と、目にハンドタオルを巻いて、
私のベッドに 寝そべった。

「さぁ、こいっ!!」

ハセガワくんは
口を一文字に結んで
私を待っている。

私は、
心臓がバクバク言って、
口から出てきそうだった。


何度も何度も

深く深呼吸をし、

口付けしようと
体を倒し………


ああ、でもやっぱり
ちょっと待って!

の繰り返し。

ハセガワくんの
「頑張れ!」
の一言で決心。

思い切って、
キスしてみた。


あの時の感触は
今でも忘れられない。


温かくて、とても柔らかい。
フワフワしていた。


ロリコン叔父とのなんて
ムリヤリ口をこじ開け、
舌を侵入させてくるキスで、
ただただ乱暴なだけ。
柔らかいもヘッタクレも無い。


そんな、嫌な経験をしていたから
尚更だと思うが、
忘れられないものとなった。


キスだけで、
特に何も無く。

恥ずかしかったのだろう、
ハセガワくんは
「帰るわ、じゃあな!」
と、颯爽と帰ってしまった。


No.77

でも、
キスの幸せは
長くは続かなかった。

これも
「私自身」が招いた
自業自得であった。


ハセガワくんは
キスのことを
あまり知られたくなかったと思う。

キスの相手が、
私みたいな不細工だろうが、
絶世の美少女だろうが、

キスしたことが
知れ渡れば、
多分 冷やかされるだろうから。

でも 私は
嬉しさのあまり、
親しい友人達に
言い触らしてしまったのだ。


クラスの女子から
「キスってどんな感じ??」
「“続き”はしなかったの?」
など、色々聞かれた。


ハセガワくんは、
それが気に入らなかったのだろう。

夏休み明けから
突然、私を

「糞デブ!!」

と言うようになった。

当時の私には、
何故、ファーストキスの相手が
突然 そうなってしまったのか
全く理解出来なかった。

メチャクチャに、傷ついて
散々泣いた。

私とすれ違う度に
「邪魔だ 糞デブ!!」

私が話し掛ける度に
「黙れ 糞デブ!!」
「うるせぇ 糞デブ!!」

もう、
ワケが分からずに、
ひたすら泣いた。
ただただ泣いた。


No.78

ハセガワくんと親しい男子
フクダ君に、

「何故ああなったのか」

聞いてみました。
でも、フクダ君は

「あ~…」
「色々あったんだよね…」
「もう、触れないでいてあげて」

と 言うばかりで、
理由は一切、教えてくれなかった。


ここからは
私の想像になりますが…

ハセガワくんは「不良」で、
ハセガワくんのお兄さんも
有名な不良だった。

ハセガワくんは、
お兄さん繋がりで、

先輩の不良とも
頻繁に連んでいた。


同じクラスの友人
他のクラスの不良仲間
先輩の不良仲間

みんなに
キスの話が広がって…


からかわれたり、
冷やかされたり、

辛い経験を
沢山したのでは?


フクダ君の
「色々あった」とは
こういうことなんじゃないかと…。


結局「糞デブ」は
中学2年の終わりまで
続きました。

中学2年で
クラス替えがあって、
ハセガワくんとは
クラスが離れましたが、

クラスが離れてからも
「糞デブ」は
約1年間続きました。

私も、ワケが分からないまま
そのようなアダ名を付けられ
悔しくて。

「糞デブ」に対して

「うるせぇ 糞チビ!!」
と 言い返すようにしていました。

(私より背が低かった)

ハセガワくんから
「糞チビ」と
呼ばれるようになってからは、
とても辛い毎日でした。

早く2年生になりたい。
そうしたら、
クラス替えで
別れられるから。



No.79

>> 78 ※訂正※

❌ ハセガワくんから
「糞チビ」と
呼ばれるようになってからは、
とても辛い毎日でした。

⭕ ハセガワくんから
「糞デブ」と
呼ばれるようになってからは、
とても辛い毎日でした。


No.80

やっと
中学1年が終わった。


私を嫌うようになっていた
レイカさんは、
また 転校していった。

レイカさんの登校
最後の日に、
クラスの女子は
レイカさんに
花束を渡していた。

花束を受け取った
レイカさんは
「レイカ、嬉しい!!」
と、泣いて喜んでいた。


レイカさんが
転校して行ったあと…

クラスの女子が
レイカさんの悪口を
言い始めた。

「実は嫌いだった」
「性格、最悪だったよね」

そして私は、
嫌な事実を聞かされる。

「レイカさんね、
ライカさんに
“禿のハーちゃん”なんて
あだ名つけて、
バカにしてたんだよ」


“ハーちゃん”

私は 何度も
聞いたことがあった。

「あぁ、ハーちゃんね…」
「最悪」
「クスクス…」

私の前で堂々と
悪口を言うために付けていた
私の本名とは
全く関係の無いアダ名だった。

私の名前を
かすりもしないアダ名だから
全く気が付かずに居た。

この話を聞いて、初めて
「自分が禿げている」ことにも
気付かされた。

後頭部を
合わせ鏡で見てみると

分け目のクセが出来ていて、
その分け目から
地肌がモロ見えだった。

後頭部が薄いのは、
親戚曰わく
「父親の家の血筋」
らしく、
父親の兄弟姉妹はみんな
生まれつき
後頭部が薄いのだとか。


「嫌いなら、
何で友達やってたの?」
と、元レイカ取り巻きに
聞いてみた。

「だって、レイカさんの
側にいないと、
みんなから仲間外れにされるから」



…。




陰口や悪口で
「オトモダチの輪」を作る
典型であった。


No.81

時間が前後するが、
私は「(軟式)テニス部」に
入っていた。

「帰宅部」が無く、
部活動には
必ず入らなくてはならない
学校だった。

父親が
「運動部はいいぞ」
「きっとお前を
歓迎してくれる」

そう、強く言うから
取り敢えず 入ってみた。

でも、
全く歓迎なんか
されなかった。


最初は ボール拾いから。

ネットに引っかかった
ボールを拾っていると、

先輩が乱打していた
テニスボールが
私の顔に直撃。

「ああ、君ね~…」
「体デカいから、邪魔!(笑)」
「ネット側はいいから、
コートの後ろで拾って」

顔にぶつかったのに
謝りもせず。
挙げ句「デカいから邪魔」だと。

多分、先輩からは
「何しに来たんだ?」
「このデブは」
「使えなさそぅ~」
と、思われていたんだと思う。

あからさまに、
辛くあたられた。


先輩と、校内の廊下で
すれ違う時、
必ず「礼」をしなくてはならない。
無言で、軽く会釈。

運動部は、特に。
「厳守」であった。


でも、私が礼をしても、
先輩は必ず無視した。

嫌な顔をしながら
無視するので、

「私から礼をされるのが
嫌なんだろうな…」

と思い、
礼をするのを辞めたら、
今度は

「アイツ、礼しない」
「生意気」

となり、
廊下ですれ違う度に

【礼しろや!!礼!!】

と 怒鳴り散らされた。

私はビックリして、
礼をするように戻したが、
やはり無視された…。


私が
礼をすれば
無視するクセに、

礼を辞めれば
怒り狂う。



…私は そのうち
テニス部には行かなくなり
幽霊部員に。

他の部活へ
移りたいと思い
(掛け持ちが出来ない)

テニス部顧問に
退部届を 提出した。

運動部はもう
懲り懲りであった。


No.82

中学2年生になった。

ハセガワくんとは
クラス替えで別になったが

廊下ですれ違う度に
「糞デブ」と言われた。

でも、もう
クラスが別なので
そこまで
気にしなくなっていたし、

私が「糞チビ!」と返すと
身長が低いのを気にしてか
少し怯んでいた。


レイカさんが
居なくなったので、
もう少し 居心地が良くなる…

と思いきや、
レイカさんより
最悪の生徒が出てきた。

レイカさんの取り巻き
No.1だった、
マツハシ イズミさん。

この子も、
一人称は「イズミ」
(自分の名前)であった。

レイカさんのように、
陰でコソコソと
私に分かりにくいように
馬鹿にするのではなく、

イズミさんはもう
「あからさま」であった。

私にそのまま
ストレートに言う。

「私、コレ嫌だから」
「ライカさんが
やればいいよぉ~!」

「ライカさん、気持ち悪ぃ~!」
「こっち来ないでぇ~ん!」

この、独特な語尾が
尚更私をイライラさせた。


こんなイズミさんだが、
レイカさんと同じく、
友達は 多かった。


No.83

最悪な生徒。

男子は、フジサキくん。

フジサキくんは、
私のことを
「人間扱い」せず。
「家畜」のような
扱いをしてきた。

クラス替えで
初めて一緒になった
男子であった。

始業式の日
私を見るなり
第一声が

「あのデブ、誰?」

であった。

フジサキくんも
あからさまに私を
毛嫌いしていた。

私が近づこうものなら
どんどん逃げて行く。

私の側を通らないようにする。
まるで、私の周り
半径1メートルに
バリアでも
張っているかのように。

「このバリアに
触れたら死ぬ」
みたいな。


委員会を決める時、
フジサキくんと
やりたい委員会が
かぶってしまった。

フジサキくんが
「お前は人間じゃないから」
と、私を見ながら
腕を「バツ(×)」に交差させて見せた。

担任の先生が
「フジサキくんと
ライカさんで
委員会やればいいじゃない」
「男女一人ずつなんだし」

と言ってくれたが、
そこまで拒否されては…。

「フジサキくんが
嫌がっていますので」
と、辞退した。


くじ引きで
私とフジサキくんが
同じ班になってしまった時は、
それはもう、
くじ運の悪さを
散々 嘆いていた。

散々嘆いた挙げ句、
担任の先生に
「人間と、同じ班に
なりたいのですが」
と、私を左手で指差しながら
右手で(ムリムリ!)と
振って見せた。

先生は呆れた顔で
「そう言う理由での
席替えや、班替えは
認められません」
と、淡々と言った。

フジサキくん、まさに
「orz」←この体勢。

私も、
ここまで嫌われては
さすがに居心地悪いし、
席替えを 認めて欲しかった。


No.84

でも、フジサキくんが
ぞんざいな扱いをしたのは
私だけではなかった。

フジサキくんは
「痩せていて可愛い女子」
の存在しか認めず、

「それ以外」は
人間扱いしなかった。

だからか、
フジサキくんは
女子からは
猛烈に嫌われていて、

「メガネ猿」なんて
あだ名まで付けられていた。


でも、
フジサキくんの好みの女子は
フジサキくんからは
優しくされていたので、

容姿の整った女子からは
モテていたようだった。



私が嫌われたのは
同級生だけではなかった。

私は
中学3年の 不良先輩(女)からも
かなり毛嫌いされていた。

クロサキ先輩。

ボブカットの茶髪。
ロングスカート。
短ランならぬ
「短ブレザー」。
ガッシリした体格。
(デブではない)

所謂「目を付けられる」
と言うヤツだった。

私は、
生まれつき 髪が茶色く、
ウェーブをあてたような
流れのある天然パーマで、
肌も白かった。
(レイカさんからは
“白豚”と呼ばれていたが)

茶色い髪
天然パーマ
白い肌

これらが災いし、
一個上の不良先輩から

「染髪してる」
「パーマあててる」
「化粧してる」

と思われてしまい、
辛い毎日を送る羽目に。

廊下ですれ違う度に
「髪、黒く戻せや!」
「デブのクセにパーマかよ(笑)」
「化粧落としてこい!」
「生意気なんだよ!」
と、散々言われた。

私が目を付けられる切欠は、
不良であるハセガワくんと
色々あったせいだった。

ハセガワくんから、
私の存在が
クロサキ先輩に流れたのだった。


No.85

クロサキ先輩から

ペンのような物
(何か忘れた)を
強引に、売りつけられた。

「私、今カネ無いんだよね~」
「1000円で、買ってくんね?」

一本、しても200円程度であろう
そのペン(のようなもの)を

1000円で
買わされた。


私が「お金無いです」
と言うと、

「財布、見せてみろよ」
「カバン中、入ってんだろ?」
と。

クロサキ先輩の
取り巻き(男)に
カバンを取られ、

ムリヤリ財布を
奪われ、中身を確認される。

「お前、ナニ嘘付いてんだよ」
「3000円も入ってんじゃん!」

3000円は、当時の私の
1ヶ月の小遣いだった。

「コレ、買うよなぁ?」
「…なぁ!?」

情けない、ヘタレな私。
脅しにビビってしまい、
1000円を 渡してしまった。


悔しかった私は
担任に相談。

担任は、クロサキ先輩達に
注意はしたものの、
生ぬるい忠告だけで終わった。

挙げ句、
「お前、先公にチクったべ?」
「私が“買うか?”って聞いたとき
お前“はい”っつったべぁ!!」
「お前、はんかくせぇな(笑)」

散々怒鳴られた挙げ句、
最後は「はんかくさい(馬鹿くさい)」と
あざ笑われた。



どこまでも
嫌われ者の 私だった。


No.86

「糞デブ」の
傷心も癒えてきて
落ち着きを
取り戻した頃、

また 別な男子を
好きになった。

名前は、サイトウくん。
あだ名は「ユウ」。

ユウは、
根っからの野球好き。
勿論、野球部で
頭もスポーツ刈り。
(坊主ではなかった)

凄く、綺麗な字を書く
男の子だった。
平仮名や片仮名なんて
明朝体、そのもの。

ユウは、
私とごく普通に
接してくれた。
普通に話してくれた。

ただ、それだけで
嬉しくて。

いつしか、
恋愛感情が
湧いてきていた。


ユウから、
「野球の試合、
見に来てくれよ!」
と、言われたこともあった。

迷いながら球場に行って
だいぶ遅刻してしまったが、
ユウのヒットは
見ることが出来た。

私は、ユウをこっそり応援。

試合が終わると
こっそり帰宅。

次の日学校で…
ユウ
「昨日、ライカ来てたか?」
ライカ
「うん。途中からだけどね」
「ユウのヒット、見たよ」
ユウ
「なんだよ~」
「俺、ヒットの前に
ホームラン打ったんだぜ~」

私に見て貰えず、
残念そうにしていた。


No.87

中学2年生から
私は演劇部に入った。

演劇部と言っても、
3人しか居ないので
同好会である。

3人なので
劇などはせず、
発声や、滑舌の練習のみ。

しかも部員は、
2年生しか居ない。
先輩も後輩も無い。

演劇に興味は無かった。
ただ、「先輩が居ない」
と言う理由での入部だった。

違うクラスの
アベさん(女)に、
「一緒にやらないかい?」
と誘われたのが切欠だった。

アベさんとは、
同じ趣味の繋がりがあった。


それは
【同人活動】

所謂「オタク」「腐女子」

私は、
絵を描くのが大好きで、
前からずっと、
憧れていた。

自費出版に、
同人誌即売会の参加。

もの凄く
憧れていた。


絵を描くのが好き、
と言っても、
この頃は、「自分の絵柄」
と言うものが、まだ無くて。

ひたすら、
好きな漫画家の
絵柄を「模写」していた。

私はこの「模写」に
凄く後ろめたさを
感じていた。

ただ、真似をして
描いているだけだ。
自分の作品じゃないと。

でも、
漫画の知識のある
アベさんから

「最初は、それでいいんだよ」
「漫画家さんも、
そうやって真似して描いて
自分の絵柄を、
確立させていくみたいよ」

と、教わった。


No.88

イズミさん一派や
フジサキくん一派からは

相変わらず 見下され
馬鹿にされ、

クロサキ先輩からも
廊下ですれ違う度に
「お前、生意気だ」
「礼しろよ!」
と怒鳴られ…

(部活一緒じゃないから
礼する必要なんて無いし)


でも、
好きな人(ユウ)と
楽しくお喋りが出来て、

最初 興味が無かった演劇部も
3人で、和やかに楽しく
過ごすことが出来ていた。

同じ部員で、同じ趣味。
でも、
クラスは違うアベさんから
友達の輪も広がって、
違うクラスに、
何人もの友人が出来た。


「ファンロード」に載った
同人誌を通販で購入。

私が買った同人誌を
違うクラスの友人達で
回し読みするのが
好きだった。

通販での
同人誌購入方法を
教えてくれたのも、
アベさんだったし、

同人誌即売会が
この田舎町でも
開催されることがあることを
教えてくれたのも
アベさんだった。


アベさんと知り合って、
私の世界は
もの凄く広がっていった。


No.89

同人にのめり込むのと同時に、
テレビゲームにも
ますますのめり込むように
なっていった。

私がメチャクチャにハマった
テレビゲームの同人誌も、
爆発的に売られていた。

この時期のテレビゲームは
スーパーファミコン。

スーパーファミコンは
離れて暮らす母親から
ある日突然、
小包で届いた。

今回は、
誰かに強請ったり、
普段から「欲しい」と騒いだりは
していなかったので、

父親に怒鳴られたり、
殴られたりは しなかった。


あまり良い顔は
していなかったが。



学校に行けば
クラスメイトや先輩から
煙たがれる。

家に居れば、
ゲームやったり
同人誌を描いたり、
同人誌を通販で買って
届くのを楽しみに待ったり。


同じクラスに
好きな男子が居たり、
他のクラスの友人が出来たりと、
学校で 楽しいことが
無いわけではないが、

「嫌われる」
「人間扱いされない」
「見下される」
「先輩から目を付けられて
あらぬ因縁を付けられる」

これらの方が
はるかに辛く感じていて、


私は徐々に
学校に 行かなくなっていった。


No.90

学校生活で
特に辛かったのは
「給食の時間」だった。

給食は、仲の良い人同士で
机をくっつけて食べていた。


私は、誰にも
相手にされることなく、
教室の片隅で
独りで給食を食べることが
多かった。

私が、5~6人の
グループで給食を食べようと
机をくっつけようとすると、

「え…?」
「なんでライカさんが
くっ付いてくんの??」

と、イズミさんに
ハッキリ言われた。
あからさまに、嫌な顔。

私は内心
(それも、そうだよね…)
(私、嫌われてるしね)

と思い、
教室の隅に移動。
独りで、ボソボソと食べる。

さすがにこう言う時は、
私に「普通」に接してくれる
ユウも、

「一緒に食べよう」
とは、ならない。

多感な中学生時期。
そんなことをしたら、
周りから
どんな目で見られるのか…
想像がつく。


私は、独りが辛くて、
恥ずかしくて。

給食も
食べなくなっていった。
給食の時間になると
教室から消える。
トイレで過ごした。

誰一人として、
担任でさえも、
私が居なくなったことには
気付かない。


No.91

私にとって
「学校祭」も辛かった。

一緒に
校内を回る
友人が居ない…。

他のクラスの友人たちは
やはり
他のクラスの友人同士で
見て回るし、

出し物や催し物が
各クラスでバラバラだから
違うクラスの友人たちとは
自由時間が、かぶらなかったりする。

学校祭で
食べられる物は
あらかじめ
学校から渡される
「食券」を使って
購入するのだが…


中2の時の学校祭で

私の食券が

無くなる事件が起きた。



No.92

今回は、
自作自演でも
何でもない。

本当に 無くなった。


一枚の色画用紙に
コピーされた食券は

不正出来ないように、
食券一枚一枚、
表には担任の印鑑と、
裏には学校名の印鑑が
押されている。

再発行は不可。

私は、食券を
教室で渡された時、
その場で直ぐに切り離し
一枚一枚をバラバラにし
輪ゴムで括って
巾着に入れてしまっておいた。

無くなったのは
体育の時間だった。

体育の授業から戻ると
カバンの中に
しまっておいた
巾着と一緒に、

食券が 消えていた。


No.93

体育の時間中
無くなったので、

クラスメイトの
仕業ではない。

見学していた生徒も
グラウンドに居たし。


私は直ぐに
担任の先生に
相談した。

食券は 間違い無く、
体育の授業の前には
カバンの中にあったことも
説明した。


先生は
「原則、食券の再発行って
出来ないんですよね」
「ライカさんも、
本当にどこにも無いのか
もう一度、探してみてください」
「先生も、落とし物で
届いていないか、
聞いて回ってみるので」
と言った。

私は「わかりました」と…
取り敢えず家に帰った。


家中探してみたが
やはり見つからなかった。


No.94

食券が見つからないまま
一週間ほど過ぎた。

先生は相変わらず
「原則、再発行は不可」
とし、私はもう

「どうでもいい」
「なんかもう、面倒臭い」
と、学校祭を
欠席する気マンマンで居た。


そんな時、突然
学校の玄関の側にある
「落とし物置き場」
のガラスケースの中に、

食券を入れた巾着が
届けられていた。

一週間も…
どこに行っていたのか。

私は、食券の無事の確認の為、
担任の前で
食券を出してみせる。


食券は、
ズタズタに切られ
メチャクチャになっていた。


先生は
「事情が事情なので、
再発行して貰いましょう」
「先生が、食券担当の先生に
頼んでみますから」
と、言ってくれた。


食券は無事、
再発行して貰えたが…

食券を渡された時、
何故か校長先生も側に居て。

「無くしたアナタが悪い」
「再発行なんて特例、
もう二度と有りませんから」
と言われた。

明らかに、
第三者の仕業なのに。
私が悪者にされた。

校長の、
あの面倒臭そうな顔。
私は今でも忘れてません。


No.95

食券が無くなった上、
ズタズタに切られた件の
犯人は、

クロサキ先輩とされた。

クロサキ先輩達は、
学校の授業を頻繁にサボり、
校内をウロつき、
グラウンドにもよく
屯していた。

担任の先生は、
私が
「クロサキ先輩に脅され
高値で物を買わされた」ことを
よく覚えていたらしく、

クロサキ先輩達が
普段から、
私を目の敵にしていて、

尚且つ
食券が無くなった時、
授業にも不参加で
校内をウロウロしていた
クロサキ先輩達が
犯人に違いないと。


担任の先生と
クロサキ先輩達の担任と
他数名の先生が

落とし物置き場の
ガラスケースの側で
クロサキ先輩達を
取り囲んでいた。

先生
「あなたがやったんでしょう」
クロサキ
「は?お前何言ってんの?」
先生
「犯人はあなた達しかいません」
クロサキ
「はぁ?知らねーし!」
先生
「あの時間帯、授業サボって
校内ウロウロしてただろ」
「お前達しか犯人居ないんだよ」
クロサキ
「ざっけんなや!!」
「アイツ(ライカ)の持ち物なんて
興味ねーよ!!」
先生
「前に、ライカさんのカバン
ムリヤリ開けて
財布奪ったことあったろ!!」


私は、遠くから
それを見ていた。
下校時間だったから
帰ろうと
一階に降りてくれば
イヤでも目に入る。

先生達の声も
クロサキ先輩達の声も
廊下に響き渡って
よく聞こえていた。


「お前達がやった」
「いいや、やってない」
の繰り返し。

結局、クロサキ先輩側が
「知らぬ存ぜぬ」
を押し通した形になった。

校内をウロウロしていただけで
犯人と決め付けるのも…

とは思ったが。


私はぶっちゃけ、
犯人なんて
どーでも良かった。
誰でもいい。

ただただ、
学校祭が憂鬱で
面倒臭かった。


この一件がまた
面倒なことを巻き起こす
切欠になった。


No.96

学校祭当日
やはり私は独りだった。

独りだったから、
件の「食券」を使う
学校の食堂は
利用すること無く。

食券で買ったのは、
アップルパイ一個と
牛乳のみ。
(折角再発行して貰ったのにね)

食堂は利用せず、
アップルパイと牛乳を持って、
演劇部の部室へ行き、
独りでボソボソと食べた。

適当に廊下を歩き回った後
私は することが無く 退屈で
再び、演劇部の部室に戻り
窓から外を眺め、
ボンヤリと過ごした。

校則なんて破って、
漫画でも
持ってくれば良かったと…。

あの頃は、
ニンテンドーDSや
PSPなんて勿論無い。
携帯も無い。

私のように、
孤独な人間にとって、
「独りで暇な時間」ほど
苦痛なものは無かった。

給食を食べず
トイレで過ごす時も、
やることが無く、
暇で暇で。

携帯一台あれば
「おひとり様」も
全く苦痛じゃない
今の時代に産まれてきたかったと
つくづく思う。


あまりにも
退屈過ぎて、

次の日の学校祭は
ズル休みして
家で好きに過ごした。


No.97

登校拒否が増えたのは、
中学2年生の 夏頃から。

父親に
「学校行きたくない」は
全く通用しない。

何故、私が学校へ
行きたくないのか。
聞きもしない。

兎に角「学校へ行け」
それだけだった。


まず、
学校へ行く。

学校に着いたら、
校舎の目立たない場所で
8時25分の
チャイムが鳴るのを待つ。

チャイムが鳴ったら、
家に戻る。

家に戻ると、
まだ父親が居るから、
家の陰に隠れ、
父親が出社するのを待つ。

父親が出社したら
家に入る。
ソッコー、学校に電話。
「風邪で休みます」

途中、忘れ物などで
父親が帰ってくると
マズいので、

玄関から靴を上げ、
2階の自室に隠し、
しばらくはベッドの中で
漫画などを読みながら
おとなしく過ごす。

朝10時頃から、
ゲームや同人活動スタート。
好きに過ごす。

基本、
学校の下校時間(15時頃)まで
2階の自室から出ない。
出るのはトイレの時だけ。

父親が帰って来た時、
一階に居たら
誤魔化しが利かなくなるから。


この方法で、
出席日数ギリギリになるまで
ズル休みをした。

脇の下に カイロを挟んで
熱があるのを装い、
早退も かなりした。


No.98

でも、ズル休みが
父親にバレた。

学校から父親の職場に
連絡が入ったのだ。

「最近、随分お休みされますね」
「ライカさん、大丈夫ですか?」
と。

余計なことしやがって…。

父親、仕事から帰宅後
私を問い詰める。

「お前、学校行ってないんだって?」
「どうして行かないんだ!」

私は無言を徹する。

父親は、
私が何と言おうが、
私がどんな目に遭っていようが、
結局は、ムリヤリにでも
学校に行かせるに決まってる。

「無理に学校には行かなくていいぞ」
なんてセリフは
絶対に出てこないことは
容易に想像が付いた。


私の読み通り、父親は

「お父さん心配だから
頼むから、学校へ行ってくれ」

と、そう言った。

私の気持ちは無視。
父親が辛いから
学校へ行けと。

この頃になると、
私はすっかり
父親には心を閉ざしていて
何も話さなくなっていた。

父親に対して
最初から、何もかも
諦めていたから。

「父親に言っても
どうせ変わらない」
「怒鳴られて終わり」
「殴られて終わり」
「私が損をするだけ」
だと。


学校へは、
父親が車で送るようになった。

でも、私は変わらない。
校門で 車から降りた後、
学校の陰に隠れ、
チャイムがなったら自宅へ。
父親が出勤したら
家の中へ入る。
学校へ電話。
好きに過ごす。

幸い、学校から
父親に電話が入ったのは
その一度のみであった。

私も、
休むペースをセーブして、

まとめて3日くらいを
たまに休むようにした。


出席日数ギリギリなのは
変わらなかった。


No.99

中学2年も
終わろと言う時期、

私は、何かで表彰された。
何で表彰されたのかは
スッカリ忘れてしまった。

私の他にも
違うクラス
違う学年

何人か居た。

賞状を受け取る度に
全校生徒からは拍手。


私の番になった。

壇に上がって
校長先生から
賞状を受け取る。
















私は静かに
壇から降りた。

全校生徒みんなで
打ち合わせを
したかのように、

誰一人として
拍手をしなかった。

先生も 生徒も
みんな、しなかった。


私の次の生徒からは
拍手再開。

私だけ 無かった。



とても
些細なことだけど、
私の心に
深い傷として
今でも残っています。


No.100

食券の一件から
恨みを買われてしまった私。

ますます
嫌がらせは
エスカレートした。

教室で
普通に授業を受けていると

クロサキ先輩一派
5~6人が、
私のクラスに向かって

給食で余った
牛乳パックを
思いっ切り、ぶつけてきた。

寒い時期で、
みんな、学校指定の
冬用コートを着て来ていた。

冬用コートは
廊下(教室側の壁)のフックに
掛けておく
決まりになっていた。


クラス全員の 冬用コートは、
クロサキ先輩一派が投げつけた
牛乳の 餌食になった。

私のコートは
飛沫が少しかかったくらいで
済んだが、
グチャグチャに濡れてしまった
コートも 何枚かあった。

クラスメイト達は、
何故、先輩達が
このような悪戯をしてきたのか
理由を知らない。


理由は勿論、
食券のことで
先生と私を、怨んでのこと。

私の食券のせいで
こんな目に遭わされたと
知ったら、

怒りの矛先は、
クロサキ先輩達ではなく、
私に向かっていただろう。


私は担任に
「何とかならないんですか?」
と聞いた。でも担任は
「こうやって
仕返しされると困るから」
「もう、何も言えませんね」
と、淡々と言った。


学校の先生が
舐められる理由が
分かった気がした。


No.101

中学3年になった。

鬱陶しい先輩は居なくなり、
学校生活は、快適になった。

相変わらず、
ズル休みはしていたが、
学校が嫌と言うよりは、

ゲームの時間と
漫画の時間が
もっと沢山欲しいと言う
理由の方が 強かった。

独りの給食にも
慣れていったが、

いつも独りの私を、
気にかけてくれる
クラスメイトが出てきた為、

独りで食べる日は
少しずつ減っていった。

イズミさんだけは
相変わらず、
「何でライカさんなんかと…」
と言う顔をしながら、
迷惑そうに
給食を食べていたが。


演劇部だった3人は、
演劇部を廃部にし
新たに設立された
「パソコン部」に移った。

この パソコン部が
とても楽しかった。

誰一人として
私を蔑ろにはしない。
一年・二年の
後輩も沢山居たが、
新たに設立された
ばかりなのもあってか、

先輩も、後輩も無かった。
みんなが「一年生」のような
感じで、和気藹々と
ノンビリ楽しい部活だった。

パソコン部の人たちの
大半が「オタク」で、
同人誌が好きだった。

私が購入した
同人誌を貸す機会も増えた。


後輩から、
廊下で挨拶されることは
時々あったが、
私はにこやかに、
明るく礼を返した。

私のような
不快な気持ちには
なって欲しくなかったから。


No.102

高校受験。

私は、勉強が
兎に角嫌い。

大嫌いだった。

目先の楽しいことばかりを
考える性格だった。

目の前にある
「辛いこと(イジメ)」から
少しでも逃げ出したくて。
現実を忘れたくて。
ゲームや同人にのめり込む。

それを続けていくうちに、
どんどん 勉強は
しなくなっていった。

ゲームや同人活動は、
私にとって
「防空壕」のようなものだった。


私のランクは
Eランク。
全く勉強していないから
このランクは当たり前。

美術・音楽・技術家庭科の
得意科目と、
普段の素行(内申点)で、
ランクを稼いでいた。

茶髪・天パ・化粧で
先輩から目を付けられていたが、
生まれ付きの茶髪も、天パも、
入学当時、先生に事情を話し、
きちんと断りを得ていたし、
(化粧は間近で見れば一目瞭然)

スカートの長さも、
靴下も、靴も、
みんな「校則」に従っていた。


主要五科目のテストは
最悪だった。

国語70~80
数学30~40
理科50~60
社会(地理)40~50
社会(歴史)50~60
英語40~50

数学が特に苦手で、
いつも赤点(追試)ギリギリだった。


受験勉強すら
したくなかった私は、
「推薦入学」を狙った。

推薦入学できるのは
商業高校。

私のEランクでは
余裕だった。
(商業高校のランクはJ)

先生に
「本当に、商業に入るの?」
「もっと高いところがあるのに」
と、しつこく言われたが、
「商業高校は、
就職に有利だと思うんで」
と、テキトーなことを言って
誤魔化していた。

受験勉強さえ
する必要が無かったら
どこでも良かった。

「高校に行かない」
と言う選択は、
父親が 許さなかった。


No.103

無事、推薦入学をパスし、
みんなが受験勉強する中
私だけ 散々好き放題だった。

学校のズル休みも増え、
学校の授業も
ますますテキトー。

中3の二学期あたりから
強制的に 塾に通わされていたが、
推薦入学が決まると
無断で行かなくなった。
(塾から電話が来て
正式に辞めたけど)


テレビゲームに
同人活動。

当時の私には、
これしか無かった。


No.104

卒業式当日。

私は、どうしても
成し遂げたいことがあった。

それは
「第2ボタンを貰うこと」

相手は、同じクラスで
野球少年のユウ。

直接「好きだ」なんて
言ったことないし、
言おうと思ったこともない。

貰えない確率の方が
明らかに高い。


卒業式が終わり、
みんなが帰り始めて、
人が減るのを待った。

ユウも私も
教室前の、廊下に居た。

ユウが帰ってしまいそうに
なった時、私は小声で

「あ、あの~っ」
「第2ボタン、貰えるかな?」

と、思い切って
聞いてみた。


ユウは、
キョロキョロと
慌てふためいた感じで
私にコソッと言った。

(ごめん、ちょっと待ってて)
(コイツがいるからさ~)

ユウは、親しい友人に

「おう、一緒に帰るべ!」
「その前に、ちょっと待ってろ!」

と声をかけ、
私に(コッチ来て!)と
手招きしてみせた。

ユウと 私は、
廊下をコソコソ早歩き。
中学1年生が使う
下駄箱へと向かった。
(中1と、中2~3で
下駄箱(玄関)の場所が違う)

中1専用の玄関で、
ユウはコートを脱いだ。

第2ボタンを外し、
「はい!」と
私に渡してくれた。

「…ありがとう。」

私がそう言うと、
恥ずかしそうに

「じゃあな!」

とユウは返し、
そそくさと
足早に去っていった。

ユウは、
教室の前で待たせていた
ユウの友人と2人で

ユウの父親の車に乗って
帰って行った。



ユウを見た
最後の姿だった。

第2ボタンを貰ってから
一度たりとも
会えたことはない。

「偶然、街中で会った」
なんてことも無い。

彼の家も
よく知らないし、
知っていたとしても
行く勇気は無い。


第2ボタンは
今でも 私の勉強机の
引き出しの中に、
大事に しまってあります。

彼は今、
どこで 何をやっているのかな…


No.105

■高校一年生■

高校での生活が
始まった。

この頃の私。
161センチ・73キロ。
デブまっしぐら。

高校には ナント
私のことを毛嫌いしていた
イズミさんも居た。

幸い、クラスが別なので
話す機会も無かったが。

でも、イズミさんは
直ぐに居なくなった。
妊娠したとのこと。

中3の
クラスメイト伝いに

「途中で破水して
縫い合わせて破水を防いだ」

と聞かされた。
多分、イズミさんの
嘘だろう。

私は
2人の子を授かったが、
破水が始まったから
羊膜を縫い合わせるなんて
聞いたことがない。

(私が無知なだけかもしらんが)

本人との接触が無いので
これ以上のことは、
何も知らない。

イズミさん、
今どこでどうしているやら。



高校でも、
私の知る人間は
同じクラスには
一人も居なかった。

私は、すっかり
「人間関係」に
億劫になってしまい、

最初から
「友達要らない」
「独りがいいです」
を 貫くことにした。

私から友達を作ろうとすると、
絶対に、ロクなことにならない。

「最初から独り」ならば、
別に恥ずかしくも何ともない。

独り、万歳。
独り、楽しい。

他人、面倒臭いだけ。


強がりなんかじゃなく、
本当に、心底そう思った。


30過ぎた、今現在の私も、
この考えは 変わらない。


No.106

高校生活が始まって
2ヶ月程は、

本当に 独りで過ごした。

相変わらず、勉強大っ嫌い。
授業なんて、殆ど聞いてない。
商業に入ったのに、
簿記が一番苦手で、
生まれて初めての赤点が
簿記のテストだった。

簿記の授業が、
メチャクチャつまらん。

テキストを
黒板に丸写し。
それをノートに書き写して
解いていくだけ。

簿記の時間は、
寝てばかりだった。


この頃は、
同人活動の全盛期。
3日徹夜で原稿なんて
ザラにあった。

簿記だけでなく、
数学の時間も
随分寝た。

教科書の角や、
算盤で、
頭を随分と叩かれた。


学校も、
相変わらず休んだ。

この頃は 父親も諦めていて
「〆切に間に合わないようなら
休んで描きなさい」
と言ってくれていた。

父親曰わく
「漫画を描いてるお前が
一番生き生きしているから」
とのこと。

父親が、そう言うなら…
と、父親が「休んで良い」
と言う日と繋げて、
(つまり2連休にする)
中学の時にズル休みをした方法で
沢山休んだ。


No.107

高校では
美術部に入った。

この学校も
「帰宅部」が無く、
どこかに必ず
所属していなければ
ならなかった。
(面倒くさい…)


美術部での初日、

「コレを模写しろ」

と、石膏の立方体を
見せられた。

私は、石膏の
欠けた部分や
傷に至るまで、

綿密に描いた。

…ところが

「え?ナニコレ??」
「何で凹んでんの?(笑)」
「余計なの、要らないから」

と 先輩に言われた。


レベルが低いような気がしたのと、
先輩達が、遊んでばかりで
絵なんて描いていないのを見て、

ソッコー辞めた。


そんな時、私に
「演劇部に入らないか?」
「掛け持ちでも構わない」
と声を掛けてきた
クラスメイトが居た。

名前は シモウサさん。
黒髪のストレートで、
とても真面目そうな子。

私は
「美術部は辞めたばかり」
「入っても構わない」
と 承諾した。


演劇部では、
私の「デブサイク」が
大いに役に立った。

「汚れキャラ」に
向いているから。

最初の劇は
6月からの途中参加なので
大道具だったが、

次の劇からは
役を貰えた。


演劇部のシモウサさんとは
かなり仲良くなった。

シモウサさんも
絵を描くのが好きで、
(結構ウマい)
同人活動に
興味があったからだった。

昼のお弁当も
「ライカさんも
一緒に食べよう」
と、シモウサさんから
誘われるようになった。

シモウサさんの家に
随分遊びにも行ったし、
シモウサさんのお母様や
妹さんとも、親しくなった。


No.108

自分で描いた同人誌を
売り出す為には、
同人誌即売会(イベント)に
参加しなくてはならない。

私は、
地元の小さなイベントに
よく参加していた。

参加サークル数、30個くらいの
超極小イベント。

当時の私にとっては、
それでも楽しかったし、
それが全てだった。

本が一冊でも売れると
感動した。

お金が無いから、
コピー本で
細々と活動。

印刷屋に頼む
「オフセット印刷」は
かなりの高値で、
夢のまた夢であった。


そのイベントで、
知り合った女の子が居た。

マエダ ヒロミさん。
ちょっと大人な雰囲気で、
私と同い年(当時15歳)なのに
「お水」「夜」っぽい感じ。

偶然にも、
同じ商業高校であった。
でも彼女は、

6月頃から
牝馬に休むようになり、
7月頃には
月に数日しか来なくなり、
二学期からは
全く顔を見せなくなった。

一学期修了の時点で、
自主退学したようだった。

でも、イベントでは
ちょこちょこ顔を合わせ
趣味の話をした。

何故学校を辞めたのかは
何となく聞けず。
こちらからは、
一切触れなかった。


この彼女と、
合作(合同)で、
オフセット印刷で
同人誌を発行しようと
盛り上がった。

描くページ、印刷代、売上、
全部はんぶんこで。

印刷代が半分なら、
お金の無い私でも
オフセット印刷で
本が作れる…


初のオフセット印刷。
初の合同本。
私は、胸を踊らせた。


No.109

>> 108 ※訂正※

❌6月頃から
牝馬に休むようになり、

⭕6月頃から
頻繁に休むようになり、

No.110

表紙のカラー原稿と、
中身の16ページの漫画が出来た。

私はヒロミさんに
「私は完成したよ」
と伝えた。

ヒロミさんは
「私も、後少しで完成。」
「ライカさんの原稿、
私に頂戴。私の原稿が
出来上がったら、入稿
(原稿を印刷屋に送ること)
しておくね」
「印刷代は、
私が立て替えておくね」


私は、
ヒロミさんの言葉を信じて、
原稿全てを ヒロミさんに渡した。


ところが、
待てども待てども、
ヒロミさんから
「原稿、印刷屋に送ったよ」
との連絡が来ない。

私はしつこく
「入稿は済んだの?」
と聞いた。

でも、
「う~ん…まだなんだよね」
「色々、忙しくて」
など。
適当にはぐらかされるようになった。

何ヶ月も待った。
でも、
印刷屋から本は届かない。

ヒロミさんから
明確に「入稿したよ」と
聞くことはなかった。


多分 途中で
描く気力が
無くなったんだと思う。

それならば
「私の原稿、返して」
と言ってみた。

ところがヒロミさんは
「原稿は無いよ」
「印刷屋に、送ったから」
と言った。


印刷屋に送ったのなら
ヒロミさんから
印刷代の請求が
あっても良い筈なのに。
それすらも無い。

ヒロミさんは、きっと

途中から
描く気力を無くし、

私が描いた原稿を
破棄したか、

もしくは
紛失したか。


この一件で
ヒロミさんとは勿論
疎遠→縁切りとなった。

私が
一生懸命描いた、原稿…。
返して欲しかった。


No.111

高校では
いつも「独り」の私を
馬鹿にしてくる
クラスメイトが 多かった。

中学時代の
イズミさんのように
面と向かって
ストレートにではなく、

言葉の端々に
「ああ、私を馬鹿にしてるな」と
分かるような言い回しや、
言葉の語尾が混ざっていた。

遠くから、私に向かって
「デーブ!(笑)」
「キモイんだよ(笑)」
と、言葉を投げかけてくる
クラスの女子(3人組)も居たが。


シモウサさんしか
友達が居ない。

シモウサさんには
「親友」がいるから、
(この親友も演劇部)

シモウサさんは
私の相手ばかりを
しているワケにもいかない。

シモウサさんの親友とは
ごく普通に喋ったりはするが、
親しくなることは無かった。


私は、苦痛とまでは
いかなかったが、

「ここ(学校)に
 私の居場所は無い」

「高校に通う意味が無い」

とは、つくづく感じていた。


No.112

高校一年の間に
私は更に
どんどん 肥えていった。

161センチ・73キロから
161センチ・81キロまでなった。

シモウサさんとの
下校途中に、
街にフラリと寄っては
チョコレートパフェを
食べる毎日。

(ちなみに
シモウサさんは細身)

相変わらず、父親から
「絶対に残すな」と
大量に出されるご飯。

運動などは一切せず、
引きこもりに近い生活。

体重計が、家に無い。
姿見用の鏡も無い。


肥えて当たり前だった。

「まぁ、こんなもんだろう」
と、ブクブク太っていく
自分自身に、そこまでの
危機感を抱かなかった。


No.113

高校生活、
「独り」を決め込んだ私。

私をマトモに扱ってくれるのは
シモウサさんのみ。

クラスメイトも、
演劇部の先輩も、

どこか私を
見下している部分があった。


勉強しない私。
授業を全く聞かず、
居眠りばかりしている私…。



人間が苦痛。
他人が苦痛。
勉強が苦痛。

高校に行く意味。
高校に行って得るもの。

毎日が苦痛。
時間の無駄。




…私は、
高校を辞めることを
心に決めた。

父親に、相談した。

「学校に、私の居場所は無い」
「通う意味が見いだせない」
「毎日が苦痛で仕方が無い」
「高校を、辞めることにする」

父親は、
私の突然の決断に
かなり驚いていた。


父親には、何一つ
打ち明けることも
相談することも
無くなっていた。

「この人に、何を言っても無駄」
「私から、何か訴えたところで
結局、父親の言う通りに
させられるだけ」

いつからか
父親のことは、
全く信用しなくなっていた。


No.114

父親から、
散々説得させられた。

「世の中を有利に渡っていくには、
せめて“高校卒業”の
【肩書き】くらいは必要だ」

今の私なら
父親の言いたいことが
よく分かる。

同じ仕事内容でも、
大卒と、高卒で、
初任給が違ったりする。

就職する上での
最低学歴は
「高卒」が殆ど。

「中卒」で雇うところなんて
かなり少ないだろう。


でも、その頃の私は、
まさに猪。

「漫画を描きたい」

ただそれだけしか
見えて居なかった。

ゴチャゴチャ言うと、
父親の
長ったらしいお説教を
喰らう羽目になる。

私は兎に角
「辞めるから」
「絶対辞めるから」
としか言わなかった。



どんな理由で説得しようも、
私の考えは、変わらない。
梃子でも動かない。

三学期も終わりに近づき、
父親は とうとう
説得を諦めた。


父親は
「辞めるのは認める」
「その代わり、
辞めたことを、絶対に
後悔するんじゃないぞ」
と言った。


私が 高校を辞めて
後悔したことは、
現時点では、取り敢えず
一度も無い。


No.115

担任
「え~、ここで、
ライカさんから皆に
伝えたいことがある」
「ライカさん、起立して。
挨拶を。」

ライカ
「やりたいことが出来たので
辞めることにしました」
「お世話になりました」


三学期修了時、
クラスメイトの前で
私は、担任の先生から
ムリヤリ挨拶させられた。

誰一人として、
私の存在が
有ろうが 無かろうが、
関係の無い人間ばかりなのに。

本当は「自然消滅」したかった。

「あれ?そう言えば、ライカさん
最近、見ないよね?」
「ああ、そんな人いたねぇ」
「知らない。辞めちゃったんじゃない?」

…みたいなね。


私が挨拶した後の、
教室中の アノ空気(笑)

今でも
忘れられません。

「…は?」
「で??」
「だから ナニ??」
「誰もアンタの存在なんて
気にしてないから」
「黙って消えればいいのに」
「何で挨拶なんかしたの?」
「ナニ?構って欲しいの?」
「引き止めて欲しいの?(笑)」

こんな台詞が
アチコチから飛んできそうな
白々しい雰囲気。
教室中、シ~ンとしていて、

(誰か、何か言えよ)

みたいな、
気まずい空気になった。


シモウサさんだけは、
修了式が終わって帰り際、

「辞めても、また会おうね!」
「遊ぼうね!」
と言ってくれた。


No.116

春休み中、
私は、バイト先を探した。

同人活動の為の
お金が欲しくて、
労働時間が長い場所を
ずっと探していたが、

なかなか 見つからない。

中卒だと
コンビニが多い。

でもコンビニは、
週に2~4日
1日4時間とか…

こんな程度では
全くお金が足りなかった。


そこで思い付いたのが、
中学時期、夏と冬で
短期アルバイトで世話になった
クリーニング屋。

同人誌購入や
同人活動資金の為に、
夏休み・冬休み
ビッチリ働いた場所だった。

夏と冬で
各10万ずつ稼いだ。

長期のアルバイト
募集しているかどうかは
分からないが、
一か八か。

私は「ゲリラ面接」に
向かった。


No.117

クリーニング屋の
事務所のおばさんから
顔を覚えられていた私。

履歴書の提出すら必要無く、
直ぐに「OK」を貰った。

働き出したのは
4月15日から。

私は、プレス式の
アイロン作業を任された。

病院の給食で使う
腰エプロンや、
ホテルで使う
掛け布団カバーを

デカいアイロンで挟んで、
一気にシワを取る。

私と一緒に仕事をすることになった、
当時58歳の オバサン。
名前は ミツダさん。

このオバサンとの仕事が
最初は エラい大変だった。

「最近の若い子は…」と
舐められっぱなし。

物を投げられたり、
ぶつけられたり、
散々な扱いをさせられた。

当初、週6日の
8時間勤務だったのに、
ミツダさんの給料に
私の給料が追い付こうとすると、

「最近、暇だから。」
「ライカちゃん、週5にして貰える?」

と、上司でも何でもない
一「パート」である
ミツダさんに、
出勤日数を減らされる。

悔しい思いを
散々させられた。


No.118

当時の私の給料。

時給525円 × 8時間
× ひと月21~23日勤務
交通費は無し。

1ヶ月で
9~10万円程度。

今からすれば
「極安」だが、
当時の私からすれば
「大金」であった。

中卒で、
仕事の選択肢が少ない私。
ミツダさんからのイビリに耐え、
頑張って働いた。

それもこれも
「同人活動」…

私の「生き甲斐」の為だった。


ここで
父親からの
提案があった。

「18歳になったら
漫画の学校に行きなさい」
「学校へ行くための
お金を貯めなさい」

漫画の学校…
私もずっと気になっていた。
テレビのCMでも
よく流れていたし。

私は、即答した。

「行くことにするよ」と。

漫画の学校ならば、
イジメも無く、
楽しく通えるに違いない。


No.119

漫画の学校に行くために、
お金を貯める。

それは別に構わなかった。
私が通う学校だし。

でも、
銀行の預金通帳と
キャッシュカードを、
父親から、ムリヤリ奪われ、

自分で稼いだお金を、
自由に出し入れ出来なくされた。


月10万のうち、

10000円は 家に入れ、
50000円は 貯金に回され、
3~4万が渡された。

私の同人活動だが、
地元の田舎だけじゃ
満足出来ず、

私が
小学校4~6年まで住んでいた
「都会」で開催される
大きなイベントに
参加するようになっていた。

イベント参加費/2500円
都会までの交通費/往復4000円

同人誌の制作費や、
便箋・封筒・シールなどの
グッズ制作費を足すと、

3~4万円では
全然 足りなかった。


お金が足りないことよりも、
通帳やカードを
ムリヤリ奪われ、
ほぼ強制的に
貯金させられているのが、
もの凄く 嫌だった。


私は 父親と
衝突する毎日が
続くようになった。


No.120

アルバイトが終わったら
父親の車で
一緒に帰っていた。

夕方5時に上がると、
私は父親の(整体の)職場へ。
徒歩15分。

父親の仕事は
大抵が 夕方6時頃に終わる。

それまで、待合室で
父親の仕事が終わるのを待つ。

父親の仕事が終わったら
一緒に夕飯の買い物をし
父親の車で帰宅。

この流れだったが、
父親と
通帳やらのことで
衝突してからは、

バイトが終わったら、
私一人で、勝手に帰った。

バイト先から自宅まで
約10キロ。
徒歩で2時間半の距離。


私は、
同人誌のネタなんかを
考えながら、
のんびりノロノロと歩いた。

そのせいで、帰宅するまで
3時間はかかった。

家に着くのは
夜8時過ぎ。

コレをやった初日は、
父親にかなり探された。

私が家に戻ると、
父親は留守で、
家には弟しか居なかった。


「父さんが、姉ちゃんを
探しに出ちゃったよ」
「どこに行ってたの??」

私は無言で
自室に籠もった。


父親が
何時に家に戻ったのかは
忘れてしまった。

「どこ行ってたんだ?」
「心配したぞ」

「…」

私が何か喋ったら
また説教するんだろう。

(喋ったら負けだ)

と勝手に考え、
ご飯すら食べなくなった。
(家族の顔を見たくなかった)
私はひたすら無言を
貫き通した。


No.121

父親はまた
私を説得にかかった。

「お前が働く目的は何だ?」
「学校へ行くための、
貯金が目的だったはず」
「目先の趣味に
全額費やす為ではない」
「お前の年齢で、
趣味にかかる金が月10万は
ちょっと多すぎる」

そう話すと…

父親
「そもそもお前、【売上】は?」
ライカ
「…は?」
父親
「同人誌の売上だよ」
ライカ
「売上が何か?」
父親
「作るだけ作って、
一冊も売れないのか?」
ライカ
「そう言うわけじゃないけど」


私は、特別に絵が
うまいワケじゃないし、
面白い話が
思い付くワケでも無い。

印刷代や制作費用を、
売って回収出来るのは、
3分の1程度。

半分回収出来たら
私の中では
「かなり売れた方」だった。

ちなみに
発行部数も少ないので、
全部売ったとしても
「プラマイゼロ」である。


父親
「要するに、赤字なんだな?」
「採算が取れてないと」
ライカ
「だから、ナニ?」
父親
「そう言うのはな、
【道楽】と言うんだ」


※父親の経営していた
飲み屋が
「道楽」だと知ったのは、
私が子を授かってから、
母親から聞かされた。

この頃は
全く知らない。



今思うと、
13~16歳くらいまでは
かなりの反抗期だったんじゃないかと。

親の言うことが、
全て間違って聞こえる。

自分の考えが
一番正しいのだと。

親に言われるがまま
ではなく、
自分の好きなように
何でもやりたい。



父親は、
私の態度に根負けし、
通帳とカードを
返してくれた。


「ご飯くらいは
一緒に食べなさい」

「貯金は好きにしろ。
でも、家に食費は
入れるんだぞ」


家には変わらず
10000円を入れ続けたが、
貯金は
殆どしなくなった。


No.122

自由な金が
増えた私は、

同人誌制作
同人誌の購入
同人誌即売会での交流

趣味における
行動範囲を広げ、
ますますのめり込んだ。

【都会】での
同人誌即売会で知った
新しいこと。

それは「コスプレ」
であった。

地元田舎のイベントでは
誰一人として
コスプレはしていなかった。

私は
「こんな楽しい交流があるんだ」
と、感激した。


同人誌即売会で
親しい友人が出来た。

ナルミさんと、

ナルミさんが「ナンパ」して
連れてきた、

コムロさん。

どちらも女性。

ナルミさんは、
私が発行していたペーパー
(売り出している同人誌の
情報を書いたチラシのこと)
を見て、
手紙をくれた方だった。

コムロさんは、
コムロさんがハイレベルな
コスプレをしているところを
ナルミさんが「ナンパ」して
知り合った方である。


この、お二方。

私の人生を
大きく変える人達で、

コムロさんは
今でも私の親友である。


No.123

同人誌即売会での
みんなのコスプレを見て、

私も
やってみたくなったし、
「ライカさんもやろう!」
と誘われた。

でも、私は
「ピザ」な体型。

とてもとても
コスプレなんて…。

ここでナルミさんが
ハッキリと言った。

「ライカちゃん、
ダイエットしよう!」
「痩せたら、
コスプレ楽しもう!」

そう、ハッキリ言ってくれた。


ナルミさんの この一言が、
私を目覚めさせてくれた。

今まで、
「デブ」「キモい」など
バカにされることは
数え切れない程あったが、

面と向かって
「痩せた方がいいよ」と
言ってくれた人間は
誰一人として居なかった。

ナルミさんからの一言で、
「私、やっぱり
痩せた方がいいんだ」と、
ハッキリと分かった。



太っている人
全員とは限らないが、
自分が どれだけ肥えているか
自覚があまり無い人、
たくさん居ると思う。


ナルミさんからの
言葉が切欠で、
私は、ダイエットを決意する。


自分の体重が
81キロもあることを知ったのは
この時であった。

家には体重計が無いので、
父親の職場の
体重計を使って計ってみた。


「81」の数字に、
…目ん玉が
飛び出そうになった。


No.124

ダイエット…

私は、
殆ど 食べなくなった。

父親に、
「生理止まるぞ!」
「死ぬぞ!」
と 散々言われたが、

それでも
殆ど食べなかった。

1日に、オニギリ一個と
刺身コンニャクのみ。

あとは、お茶か水。


こんな食事量なのに、
毎日水泳にも通った。

バイトが終わった後の、
2時間程だが。

休館日の火曜日以外は
必ず泳ぎに行った。


若さ故の、極端な、
ムチャなダイエットだった。


でも おかげで、
半年程で

81キロ→56キロ

まで落ちた。
途中「停滞期」があり
なかなか変動しない時期があったが、

それも
何とか乗り切った。

幸い、
生理が止まることもなかった。
むしろ、
28日周期で
キッチリ来るようになった。


No.125

16歳の夏。7月末。
世間は夏休みの時期。

私のバイト先にも、
短期アルバイトで
やってくる学生が増えた。

その中に、
シモウサさんと、

中学生の頃、給食の時間
ひとりぼっちだった私を
気にかけてくれ、
一緒に食べようと
仲間に入れてくれた
元クラスメイトが居た。

名前は、ナミノさん。

男勝りでサバサバした、
ショートカットの女の子。
背も高くて、168センチ程あった。

ナミノさんの従兄弟の
タカノくん(17歳・男)

タカノくんの友達
(クラスメイト)の
オガワくんと
コウノくんも一緒だった。

世間が夏休みの間、
彼女達と一緒に、
私も楽しく働いた。

夏休みと
冬休みの期間は、
リネン(シーツ)の
洗濯物が 大量に来る。

特に、夏休み時期は酷い。
夜の9時、下手したら10時まで
パートもアルバイトも
全員が残ってリネンの作業。

それでも終わらず、
次の日に回されることもあった。

短期アルバイトの人達は
このリネンに回される。

私も、アイロンの仕事が終わると、
夏・冬休みの間だけは、
リネンの手伝いに回った。
(ミツダさんも一緒に)

昼休みは、
シモウサさんと、
ナミノさん達と、
一緒にご飯を食べた。

ナミノさんの従兄弟と、
その友人達とも
親しくさせてもらった。


No.126

ナミノさんの従兄弟の
タカノくん。

タカノくんは、
ランドリーのおばちゃん達から
「トオルちゃん」
と 呼ばれていた。

容姿が、渡辺徹に
ソックリだったからである。

勿論、「トオル」と言う名前は
タカノくんの本名からは
かなりかけ離れている。


ナミノさんを通して、
この、タカノくんと、
オガワくん・コウノくんとは
随分と仲良くなり、

ナミノさん
タカノくん
オガワくん
コウノくん
私の、5人で、

よく遊ぶようになった。

シモウサさんとも、
このアルバイトが切欠で、
学校に通っていた時よりも
更に親しくなった。


ナミノさん達と
5人で遊んだ、何度目かの時、
帰宅時間が
夜遅くなってしまった日があった。

タカノくんが
「独りだと危ないから」
と、私の家の近くまで
付き添うと言い出し、

一緒にバスに乗り、
一緒に歩いて帰ってくれた。


その時の帰り道
信じられない話だが、

タカノくんから
突然告白された。

「あなたのことが好きです」
「付き合ってください!」


生まれて初めてされた告白に、
私は、かなり戸惑った。

何も言えず 戸惑っていると、
半ば強引に、私と手を繋いできて、

私を引っ張るような感じで
歩き出した。


No.127

私は、手を引っ張られるも、
引っ込めることも出来ず。

そのまま、
家の下の坂道まで
来てしまった。

ボロボロの借家に住んでいた
私達。

家を見られたくなくて、
私は
「ここまででいいよ」
と言った。

タカノくんは
「返事は、
今じゃなくても構わないから」
「じゃあ、また明日ね」

と、少し離れた場所にある
バス停留所に向かって
歩いていってしまった。




私は、ひたすら
「ポカ~ン」と
していた。

こんな私を、
好きになる人が
現れるなんて。

ダイエットも
まだ途中で、
この頃はまだ、
65キロくらいは
あったと思う。

ファーストキスの相手
ハセガワくんからも、
「好きです」なんて告白は
されていない。


初めての告白だったが、
不思議と
嬉しい気持ちは無かった。

彼に、
恋愛感情が
無かったからだろう。


私は、
タカノくんの
クラスメイトの

オガワくんが、
気になる存在だった。

でも、心の片隅にはまだ、
中卒以来会ってない
ユウの存在が残っていて…。


タカノくんに
気持ちが傾きそうには
なかった。

それに、
私みたいなデブサイク女が
言える立場ではないが、

(批判覚悟で…)

タカノくんの容姿が、
どうしても
好みではなかった。

顔は、渡辺徹。
体型は「それ以上」だった。

自分が「デブス」なせいか、
太っている人は、
男でも 女でも 嫌だった。


「デブはデブを呼ぶ」
そう 思われたくなかったから。


No.128

タカノくんに
返事が出来ないまま、
秋になってしまった。

10月…
学校祭の時期。

私は、タカノくん達から
「俺達の学校の
学校祭に遊びに来いよ」
と誘われていた。

私は、ナミノさんと一緒に
行くことにした。


タカノくん達の学校は
工業高校。
95%が男子で、
ほぼ男子校だった。

(私が通った商業は真逆で
95%が女子でした)

私は ナミノさんと2人で
楽しく学校中を巡った。

午後の時間帯から、
タカノくん・オガワくん・
コウノくんの3人は
自由行動になると言うことで、

彼等の教室の前で
待ち合わせをした。


ナミノさんと2人で
校内をまわり、

中庭のような場所で、
校内で買ったパンを
2人で食べている時、

ナミノさんから
聞かれた。


「タカノに返事、したの?」
と。

タカノくんは、
従姉妹である ナミノさんに、
私のことを 相談していたらしい。

私は、
ナミノさんに
正直な気持ちを伝えた。


ライカ(私)
「中2~3で一緒のクラスだった、
ユウを覚えてる?」
ナミノ
「ああ、ユウね。勿論覚えてるよ」
ライカ
「実は私ね、ずっとユウが好きで…」
ナミノ
「うん。気付いてたよ」
ライカ
「…! ああ、そうなんだ…」
「私、まだユウを忘れられなくてね。
まだ、他の人を好きになれそうにない」
ナミノ
「そうか~。」
「そりゃ~仕方無いよね」

一呼吸置いてから、
ナミノさんは言った。

ナミノ
「実はね、ユウは
アンタのことが 好きだったんだよ」



…私は ギョッとした。

落ち着いていた心臓が、
その言葉を聞いた途端、
バクバクと言い出した。


No.129

ナミノさんと
ユウは、

幼なじみも同然で、

保育園・小学校・
(勿論)中学校も
ずっと一緒だったらしい。

ユウは、幼なじみ同然の
ナミノさんに、
私のことを、それとなく
相談していたと。

ユウはよく、
「ライカって、
好きな人居んのかな~」
と ナミノさんに
漏らしていたらしい。


確かに、ユウから
第二ボタンを
貰うことは出来た。

でも それは、
「最後の記念に」と…
そんな感じで
私に譲ってくれたのだと
思っていた。

ユウからは、
一切モーションも無く、
私を好きかもしれない…
と思わせるような素振りも
全く無かった。

(私が気付かなかった
だけかもしれないが)


ナミノ
「ユウは、かなり奥手で、
かなりの恥ずかしがり屋だからな~」
「仕方が無いっちゃ~、
仕方が無いよな。」


「私、ユウの家、知ってるよ。」
「行ってみる??」

ナミノさんに、そう振られたが
私は慌てて断った。

「そんな、迷惑なこと出来ないよ」
と…。


前は、私を
好きで居てくれたのかもしれない。

でも、もう10月。
新しい好きな子が
現れたかもしれない…。


ナミノさんは
「タカノに、そう伝えておくわ」
「タカノもイイ奴なんだけどね」
と私に言った。

タカノくんに、
私が直接断るべきなのだろうが、
当時の私は、
「言いづらい」気持ちの方が
先に立ってしまい…

ナミノさんを
頼ってしまった。


ちなみに、

さすがにナミノさんには
「容姿が好みじゃないし」
とは、言えなかった。

タカノくんは、
ナミノさんの従兄弟だしね…。


No.130

ナミノさん達や、
シモウサさんは、

夏休み・冬休みの
短期アルバイトには
必ず顔を出すようになっていて
真面目に働くので、

おばちゃん達からも
顔を覚えられていた。

ナミノさんを通して、
タカノくんに
私の気持ちを伝えて貰ってからは、

タカノくんとは
何となく 遠くなった。
よそよそしくなったと言うか…。

私はずっと、
タカノくんの友人
オガワくんが
気になっていた。

でもやっぱり、
ユウの存在が、なかなか
心から消えず、

オガワくんとは

男友達。
それ以上でも
それ以下でも無い。

…特に何も無く終わった。


不思議なことに、

ナミノさん。
タカノくん。
コウノくん。

彼等の顔や 姿は、
今でも直ぐに思い出せるのに、

オガワくんの
顔は…

全く、思い出せない。

短期アルバイト時期、
毎日 顔を合わせていた
こともあったのに、

オガワくんの顔は、
数時間で忘れてしまう。

家に戻ると、
「オガワくんの顔、
どーだったっけ…」
思い出そうと必死になる。

次の日、
オガワくんが
ランドリーに働きに来ると、

「ああ、こう言う顔だった!」
「忘れないように、
焼き付けておこう!」

と 思うのだが、
やはり家に戻ると

「あれ………?」

頭の中から、消えている。


今でも、
全く思い出せない
オガワくんの顔。

「好みの容姿だった」

これだけは、
覚えているのだが。(笑)


No.131

■17歳■
クリーニングの仕事も、
ダイエットも順調だった。

勿論、同人活動も。

アルバイトでは、
パートナーである
ミツダさんに
やっと認められ(?)

イビリもすっかり無くなり、
仲良しコンビとして
日々楽しく働いた。

余談だが、
おばちゃん同士
何人も集まると……

かなり 下品。
と言うか、汚い。

勤務中、下ネタ大爆発。

おばちゃん達の口から
よく飛び出す発言が

「しなびたナスビ」
(オヤジ世代のイチモツのこと)
「干しぶどう」
(黒ずんだ乳首のこと)

ミツダさんはよく、
ゲラゲラ笑いながら

「うちには
ライカちゃんが居るんだから!」
「汚いネタは
勘弁してよね~!」

と言っていた。
それはもう、
涙を流しながら笑っていた。



56キロまで落ちた私は、
同人活動では
コスプレも楽しむようになった。

縫製なんて、かなりデタラメ。
着なくなった服を切って、
ソレを「型紙」として使っていた。
ズボンなんかは、
この方法だとキレイに作れたりする。

同人誌の方も、
相変わらずコピー本が
メインだが、

コピーでは
追い付けないくらい
売れるようになっていた。

やはり
「都会」の大きいイベントは
売れる部数も、
コスプレの規模も違う。

同人誌を扱う雑誌に
自分で作った同人誌を送り、
掲載してもらい、

通販で、同人誌を
販売するようにもなった。

雑誌に載ると、
それなりに、申し込みがある。

通販の作業も、
とても楽しかった。


アルバイトのパートナー
ミツダさんの
迷惑にならないよう、

イベントの参加は、
1ヶ月~1ヶ月半に
1回と決めていた。


充実した
一年を 送れたと思う。


No.132

■18歳■

漫画の学校に通う為、
3月末で、
クリーニング屋を辞めた。

辞める時、
ミツダさんからは
「目標に向かって
頑張ってね…!」
と、パジャマを頂いた。


漫画の学校だが、
当初は
東京の、一番大きい学校へ
通う予定だった。

東京の学校へ連絡を取り、
入る寮の段取りまでしていた。

でも、父親曰わく

「とても心細く見えた」
「不安そうに見えた」

とのことで、
東京行きはキャンセル。

小4~6年まで住んでいて、
月に一度の、同人誌即売会の
イベントでも慣れている
「近場の都会」にある
漫画の学校へ 通うことに。


心細い、不安だ、

と言うより、
「都会」のイベントで知り合った
同人仲間と
疎遠になってしまうのが、
凄く寂しかった。

それが、顔や態度に
出ていたんだと思う。


学校も、勿論楽しみだったが、
イベントで知り合った、
沢山の友達と 近くなる!

そのことが
何よりも嬉しかった。


漫画の学校も、趣味(同人)も
充実させた毎日を送ろう。

この時は、
強くそう思っていた。

でも
私は 変わってしまった。


「携帯」を持ち始めたのが
運の尽きだった。


No.133

クリーニング屋での
アルバイトで
漫画の学校の為に貯めた
貯金額は、
結局、40万程度だった。

これでは、
入学金すら賄えない。

それでも、
入学金に40万は使われた。

-----

漫画の学校に通いながら、
アルバイトも
しなくてはならなかった。

学生なら誰でも入れる
女子寮に移った。

女子寮にかかる家賃と、
水道光熱費と、
女子寮から出るご飯(食費)代は、
全て、父親が払ってくれる。

でも、
月の小遣いは
勿論自分で稼がなくては。


アルバイトの面接、
何十個受けたか、
分からないくらいだった。

受けても受けても、
片っ端から落とされた。

私が如何に「使えない人間」に
見えるのかが、よく分かる(笑)

結局、半年間は
アルバイト出来ないまま、
父親から 更に
お小遣いの仕送りまで
させてしまうことになった。

父親が 月にくれた
お小遣いは、2万円。

同人活動をやっていく上では
足りない金額だった。



とても、恥ずかしい話。

私は、
いかに、自分の家が貧乏か。

人間が生きていく上で、
1ヶ月に最低、
どのくらいのお金が必要か。

…全く、知らなかった。

父親が
「うちにはお金が無い」
と言うことを、
全く感じさせないように
私達を育てた

と言っていた。

でも、
それが裏目に出た。


私は、
「大人というものは、
ある程度お金を持っている生き物」
…ずっと こう思っていた。
だから、父親に

「足りない。あと1万円
振り込んでください」

なんていうFAXを
毎月のように送った。

父親から
「我が家には、もうお金が無い」
「勘弁して欲しい」
と、父親の預金通帳の
コピーのFAXを
送られたことがあったが、

預金通帳の残高を見ても、
私には、サッパリ分からず。
ぜんぜんピンと来なかった。

(ちなみに
FAXにあった預金残高は30万)


No.134

中学生の時、
クリーニング屋のアルバイトに
ありつけたのは、
クラスメイトからの 紹介だったし、

そのクリーニング屋を
長期パートとして働けたのは、
中学生時代の
短期アルバイトで、
事務のおばさんと
顔見知りになったからだった。

面接をして、
ゼロからのスタートで
働けたワケではない。


クリーニング屋も、
履歴書持参と
面接から入っていたら、
落とされていたかもしれない。



私は、
「面接下手」?
「頼りなさそうに見える」?
「デブサイクだから」?

面接に落ちる理由を
マイナスにマイナスに
考えていった。

自分が、いかに
劣った容姿をしているか、
それは重々承知であったから、
(ハマっていた
コスプレでさえも、
露出度が低いものばかり)

容姿が問われる仕事は避けて
面接をしたつもりだった。

たこ焼き屋
居酒屋のホールスタッフ
スーパーの裏方
出前寿司屋のレジ
コールセンター

ほかにも、色々…。


散々落ちまくって
悩んでいるところへ、

同人仲間の ナルミさんが、
「私と同じところに来る?」
と、声を掛けてくれた。

結局、
ナルミさんの「紹介」で、
清掃のアルバイトに
ありつけた。

「ナルミさんからの紹介」
と言うことで、
面接は無く、
履歴書のみでパスした。

大型百貨店の清掃。
16時~閉店する20時までの
1日4時間勤務。
時給820円。
週5日のシフト制。

働き始めたのは
10月半ばからであった。


No.135

漫画の学校では、
虐められたり、
バカにされたりは
全く無かったものの、

友人は、
あまり出来なかった。

漫画の学校は、
「同い年」だけではない。

何歳からでも
入学可能なので、
クラスメイトに
年齢のバラつきがあった。

それに、
(私もかなりのオタクだが)
「個性的」過ぎて
ついて行けない人達も
かなり多かった(特に男性)。

この学校には
「専用寮」があって、
同じ寮の人達で
仲良くなる(固まる)傾向が
強かった。

学生なら誰でも入れる
女子学生会館を
利用していたのは
私だけ…。

専用寮は格安だが、
食事は付かないし、
2人の「相部屋」であった。

父親が
「お前は家事なんてやらんだろ」
「食事が出るところが良い」
として、
わざわざ、高額の
学生会館の方を選んだ。


私は、
この学生会館が、
凄く嫌だった。


No.136

私が利用した
女子学生会館には

門限があった。
夜10時まで。

少しでも遅れると、
外の大きい門が
閉められてしまって
入れなくなる。

遅れそうな時は、
寮母さんに電話。
門を開けておくように頼む。

この電話、寮母さんに
凄く 嫌な顔(声)をされる。

遅れて帰った時は、
遅れた理由を書かされた。
ソレを寮母さんに提出。

---

友人を部屋に呼びたいが、
部屋が狭過ぎて
一人までが限界。

友人を呼ぶのにも、
寮母さんの許可と、

部屋番号
住人の名前
滞在時間(○○時~○○時まで)
友人の名前

これらを書いて
部屋に入らなくてはならない。

部屋が、兎に角狭い。
シングルベッドと
勉強机で、もうギュウギュウ。

友人を呼んだら、
友人の居場所は
ベッドの上のみ…(汗)

---

風呂・トイレ・ランドリーは
共同。まあまあ綺麗。

---

ご飯は、
朝夕2食出る。
一階の食堂で食べる。

かなりの大盛。
「デブの道まっしぐら」な量。

父親の出すご飯に
慣れ切っている私が
「大盛」と感じるのだから、
相当なもの。

私は、学生会館の中でも
孤独だった。

学生会館に居る人達は、
同じ専門学校や、
同じ大学に通っている人達が
多かったようで、

最初から、「輪」が
出来上がっていた。

「漫画の学校」の人間なんて
誰一人として 居ない。

容姿にも
自信の無い私。

(どうせ相手にされないだろう)
(また“デブ”“キモい”とか
思われるんだろう)
(知らない人達しか居ない場所で
独りでご飯なんて無理)
(こんな大盛食べ始めたら、
また太ってしまう…!)


そう思った私は、
半年間、一度たりとも
ご飯を食べに行かなかった。


No.137

私が、あまりにも
ご飯を食べに行かないので、
寮父さんに、心配された。

寮父さんから直接ではなく、
寮母さんから
「寮父さんが、凄く心配してるわよ」
と、何度も聞かされた。

寮父さんが私を
心配していたのには、
理由があった。


これは、完全に
「私のミス」で、
寮父さんは、
何も悪くないのだが…


学生会館の風呂は、
午後の5時~11時までだった。

私は「AM」と「PM」を
勘違いしてしまい、

朝の5時~11時
だと思ってしまった。

風呂には誰も居なくて、
湯船も冷たい。

そこで気付いて
直ぐに出れば良かったのに、

バカな私は、
少しも「おかしい」とは思わず、
シャワーを浴びてしまった。

湯船は冷たかったが、
シャワーは普通に
お湯が出た。

私が呑気に
髪の毛を洗っていると


突然、
寮父さんが

風呂の
曇りガラスの
スライドドアを「ガラリ」…


寮父さん、
裸の私にビックリ。
驚愕な顔。→(°Д°;)
スライドドアを
「ガラガラピシャーン!!」
と慌てて閉める。

ドア越しに、
寮父さん。

「…あ…あぁ…アンタ!!」
「まだ風呂の時間じゃないよ!!」

一呼吸置いて

「ご、ゴメン!!」
「誰も居ないと思ったから!!」


私は
「す、スミマセン!!」
と謝って、
急いで髪の泡を洗い流し、
慌てて風呂から出た。


曇りガラスの
スライドドアに貼ってあった
風呂の時間帯を
よく見てみたら…

「午後5時~11時」
と 書いてあった。


---


この一件で、私が

「寮父さんに、裸を見られた!!」
「ショック!!!!」

と思い、ご飯を食べに
来れないのだろうと…

寮父さんは
気が気では なかったらしい。


私は、

「いえいえ、
勘違いした、私が悪いんです」
「こんな気持ち悪い体で、
お目汚し かえってスミマセン」

な気持ちだった。

ご飯を食べに行かないのは
太りたくないから。
ただ、それだけ。

寮父さんに見られたことなんて
スッカリ忘れていた。

No.138

勇気を振り絞って(笑)

ご飯を食べに行くと、
配膳をしていた寮父さんから

「あぁ…良かった~」
「やっと食べに来てくれた!」
「風呂のことで、ショックで
食べに来れないんじゃないかと
思ってたんだよ」


…私は

「は???」

であった。


寮父さんに
心配されるので、

時々、食べに行くようにした。

水泳と 食事制限で
56キロまで落としたのに。

もう、
本当に 太りたくなかった。


でも、私は
騙されていた。

寮にあった 体重計に…。


なんと、
寮の体重計は
「マイナス5キロ」の
数字が出ていた。

メモリの針は「ゼロ」。
なのに、
5キロも少なく出る。

アナログの体重計には
よくあることなのか?
磁場? ただの故障??

実家に帰った時に
体重計に乗ると…

「61キロ」


…目ん玉飛び出た。

毎日毎日、
欠かさず体重を計っていた。
昨日、寮の体重計は
「56」を指していたのに。

1日で、5キロも増えるのか??

いやいやいや、
5キロもいきなり太ったら、
服の着心地で分かるもんだろう。

実家から戻り、
寮の体重計に乗ると…

やはり「56キロ」
であった。




再び、寮のご飯は

食べに行かなくなった。


No.139

学生会館に入ってから、

ジワリジワリと、
体重が 増えていったようだった。

ご飯には、
かなり気を使っていた。

10月までバイトが決まらず、
父親からの仕送り(小遣い)から
細々と、オニギリやゼリーを
買って食べて過ごしていた。

でも
運動は しなくなっていた。

僅かな食事量でも、
リバウンドしたらしい。

多分、過度のダイエットで、
体が「飢餓状態」だったのだろう。


私は、
アルバイトにありついてから、
学生会館から 学校まで
往復を
歩くようにした。

片道6キロ。一時間半。

アルバイト先からは、
交通費が 月一万円出た。

その交通費も
同人活動の資金にしようと
思ったし、
ダイエットにもなるし。

徒歩は、一石二鳥であった。


2ヶ月で7キロ痩せ、
私は54キロになった。
身長は163センチ。

その後も、
体重維持の為に、
同人活動資金の為に、
徒歩は続けた。


今までの人生で
一番 痩せていた時期であった。


No.140

■19歳■

漫画の学校
アルバイト
ダイエット
同人活動

全てが順調だったし、
毎日が快適だった。

漫画の学校は、
一度も休むことなく
皆勤であった。

兎に角、
楽しくて仕方が無い。

54キロをキープしていた私は、
どんどん お洒落にもなっていった。

同人仲間のナルミさんと一緒に、
服の買い物にも、よく行った。

アルバイトも、
最初は「お局様」から
色んな「粛清」を受けるも、
仕事の流れを掴んで
スムーズになると、
誰も何も言わなくなったし、

何より、
アルバイト先の
大型百貨店のトイレの
「落とし物」が

とても面白かった。

トイレによくある
「ベビーベッド付きトイレ」

…ここには
人が住んでいる。

ゴミ箱を見ると、
シャンプー・リンスの空容器
濡れたフェイスタオル
着用済みの下着
歯ブラシ
…などが捨ててある。

しかも、
手洗い用の洗面台(個室設置)には
垢がビッシリとこびりつき、

赤ちゃん用のベッドで
寝た形跡もあった。
(フケや抜け毛が…)


ゴミ箱によくあった
「落とし物」で、

ホモビデオと
ホモ雑誌があった。

普通のエロビやエロ本よりも
「ホモ」の方が
多く発見された。

私や ナルミさんは
スッカリ面白がってしまい、
ホモ雑誌やホモビデオを
「お持ち帰り」。
そして「回し見(読み)」。

8階男性トイレは
所謂「ハッテン場」。

ホモを連想させる
イタズラ描き、

「男の子募集」と、
携帯番号が壁に書かれていたり、

男性名の名刺に吐き出された
精液(汗)まで
落ちていることもあったし、

使用済みの ゴムも…(汗)


今でこそ「気持ち悪い」の
一言に尽きるが、
まだ18~19歳の私達にとっては、
新鮮な笑いのネタであった。


No.141

アルバイトで
お金を得るようになって、

私は、生まれて初めて
「携帯」を手にした。

3和音で、
モノクロ画面で、
「棒」の携帯。

私の携帯は、「最後の」
モノクロ画面携帯だった。
(次のバージョンからカラー)

携帯のことを
全く知らない私は、

デザインと、
ボディカラーのみで
選んで買った。

(ちなみに
ボディカラーは
青紫のメタリック)

どこの会社が良いとか、
そんなもの、
比較のしようも無かった。

この携帯が、
私の人生を、
悪い方へと変えた。


「メル友広場」と言う
無料サイト…

「メル友とはなんぞや?」
好奇心から、
軽い気持ちで登録。

すると、
ワンサカワンサカ、
コメントが来る来る来る。

「初めまして、こんにちは」
「良かったら、メールしませんか?」

同じような内容で
同じようなハンドルネームで
(一番多いHNが「まさ」
その次が「けん」だった(笑)
返信しきれないくらいの
コメントが来た。


コレを「面白い」と
感じてしまった私。

「メル友」に
スッカリはまってしまった。

携帯片手に
ずっとメールをしている。

自己紹介から始まるわけだが、
お互いに「容姿」の話になると
凄く盛り上がる。

この頃「写メ」なんて
まだ無い時代。

文面から想像して、
妄想を 膨らませるしかない。

相手の見えない、
文面のみでの自己紹介は、
自分の中で
もの凄く「美化」される。

お互いに
勝手に妄想して、
勝手に盛り上がる。



同人活動は
変わらず続けていたものの、
漫画の学校へは
行かなくなってしまった。


No.142

最初は
メールしあっているだけだが、

そのうち
メール相手と
会うようになった。

その中でも
(色んな意味で)「最悪」だった
男性を 紹介します。


まず、私が「最悪」だった
パターンを。

相手の男性は
当時で21歳。

自称「ビジュアル系」
趣味は、ビジュアル系の歌を歌うこと。
髪の毛は赤く、短髪。
身長は178センチ。
体重は…忘れた。
血液型はA型。

たったこれだけの情報で、
私は「そこそこ」の容姿を
勝手に妄想した。

この男性、
メールのやり取りだけで
「ライカが好きだ」と言う。

是非 会いたいと
言うことで、

この男性は、
わざわざ飛行機と
列車を使って、
私に会いに来てくれた。

駅で待ち合わせ。

それらしい格好の
男性がウロウロしている。

初のご対面。
お互いに、
服装のチェックをして、
「○○さん(くん)だよね?」
と確認。


この男性の
容姿の悪さに 愕然。(°p°;)

体型は、中肉中背。

髪の毛は 確かに赤いが、
中途半端でマダラ。
根元は黒い。

笑うと、複数のほうれい線と、
目元には 大量の笑い皺が…。

何よりも気持ち悪かったのが、
彼の「歯」であった。

笑うと、
ピンク色の歯茎と
歯並び最悪の前歯が、
剥き出しになる。

しかも、喫煙者の為か、
歯間に ヤニがこびりつき、
真っ茶色…!

複数のほうれい線
大量の笑い皺
歯間の茶色いヤニ

これらのせいで、
21歳には 見えなかった。


何とか我慢して、
カラオケに言ってみたが、
歌が、メチャクチャ下手。

「音程がハズレちゃった」
のレベルではない。
極度の「音痴」であった。

ビジュアル系が好きで
歌うのも趣味と言うから、
多少なりとも、
歌が上手いものだと
勝手に思い込んでいた。

生理的嫌悪感を抱き、
私は、冷や汗でビッショリに。
冷や汗をかきながら
鳥肌が立っているところに、

彼からの
「にじりにじり…」攻撃が。

カラオケの長椅子、
距離を置いて座っていると、

彼が、少~しずつ
ジワリジワリ
にじりにじり…と、
近づいてくるのだ。

私はそれに直ぐに気付き、
私も少~しずつ
距離を置く。

彼は「にじりにじり」
を辞めることなく、
少しずつ
私を追い込んで行く……


No.143

にじりにじり…

ビジュアル系の彼は
必死に歌いながら、
私の真隣に来た。

私の手を握ろうと、
マイクを握っていない方の手が
バタバタと動き回っている。

私は、カバンや携帯、
曲ナンバーの載った
インデックスなど、

用も無いのに触りながら、
彼の手を避けた。



……とうとう
我慢の限界が来た。

冷や汗と鳥肌が
止まらない。

彼は
マイワールドに入り込んで
歌いまくっている。
(マイクは離さないタイプ)


私はそこで

「ごめん、親から電話架かってきた」
「ちょっと待ってて」

と嘘を付き、
カラオケルームから出た。

そして、全く別なメル友(男)に

『暇なんだけど、
これから直ぐに遊べない?』
『○○駅で待ってるよ』

と、素早くメール。

メールを送信した後、
電話をする振りをして
2~3分後、
カラオケルームに戻った。

マイワールドで歌う彼に、

「母親が倒れた」
「今すぐ実家に帰らなくてはならない」


そう、嘘を付いた。


No.144

彼は、深刻そうな顔をし、
「それは大変だ」
と、一緒にカラオケルームを退出。

その時、先程メールした
全く別のメル友から返信が。

『急にどうしたの?』
『今すぐ遊べるよ』
『車で行くけど、
駅のどこで待ってたらいい?』

と来たので、
早歩きしながら慌てて返信。

『急にごめんね、ありがとう』
『○○駅の北側にお願い』

と打つ。

カラオケルームから出て
約15分後、ビジュアル系彼と
待ち合わせした駅へ戻った。

「私はここから、
親戚の車で帰るよ」
「飛行機まで使って来てくれたのに
本当にごめんね…」

彼は、
「事情が事情だから、
仕方が無いよ」
「また遊ぼうね、また会おう」
「ライカ、好きだよ」
…とまで言ってくれたが、
私は

(ごめん、
二度と会うことは無い…)

と 心の中で呟いた。

全く別なメル友から
『着いたよ。車の特徴は○○』
『車のナンバーは○○○○だよ』
と返信が来た。

私は、名残惜しそうな振りをしながら
ビジュアル系の彼と別れた。



携帯から、
ビジュアル系彼の
メアド、携番、
直ぐに消した。

そして
「メル友広場」も
一度解約して、
再入会をした。

一度解約して、
また新たに再入会すると、
IDが変わるからだ。


再入会した後、
メル友広場を覗くと…

ビジュアル系彼が
私を探していた。

“「ライカ」と言う女の子を
探しています”
“これを見たら、連絡ください”


…勿論、
二度と連絡を取り合うことは
無かった。


No.145

ビジュアル系彼から
連絡が来ないよう、
勿論、着拒にもした。

飛行機まで使って
わざわざ来てくれたのに…

会ってから、
たったの2時間程度で
別れてしまった。

私は流石に
「可哀想過ぎた」
「我ながら最低だな」
と、申し訳無く思った。

でも、
生理的に無理なものは無理。

あの冷や汗と、鳥肌は、
後にも先にも
ビジュアル系の彼のみ。

こればかりは、今でも
「どうしようも無かった」
と思う。


ちなみに、
緊急で 突然呼び出した
メル友(男)とは、

ご飯を食べて、
ドライブして、
健全に過ごした。

学生会館の門限に
間に合うよう、
車で送ってくれた。

突然、会おうと呼び出した
理由を説明すると…

「それは仕方の無いこと」
「生理的に無理なのは、
俺にも経験あるよ~」

と、笑って聞いてくれた。

このメル友の名前は
ヒロくん。
年齢は、当時で20歳。
私より、一つ年上。

メル友広場では、
ゲームの話で盛り上がった。

容姿は、
「眼鏡の優しいお兄さん」
で、至って普通。

今現在も、たまに
「面白いゲームがあったら教えて」
など、
メールのやり取りは続いている。


No.146

もう一人の男。

私と同い年。
背は165センチ。
中肉中背。
もっさり冴えない顔。
自衛隊所属。

泥で汚れた、黒い靴に
黒いカバン…
今でも覚えてます。


ビジュアル系の彼の時と
同じ駅で待ち合わせ。

彼は、初めて会うなり突然

「暇つぶしグッズ、持って来た?」

と言い放った。
私は「…は?」と返す。

「俺、つまんない男だから」
「多分、一緒に居ても暇だよ」

本当に、
やる気が無さそうに言う。
勿論、暇つぶしグッズなんて
持ってきてはいない…。

(なんだコイツ)

と思いながらも、
彼と一緒に買い物へ。

彼は、一言も喋らず、
私の後を、金魚の糞のように
ついて来るだけ。

私は、流石に頭に来た。

ライカ
「あのさ、遊ぶ気 あんの?」
「ちょっと失礼じゃない?」

自衛隊彼
「だから言ったよね?」
「俺と一緒に居てもつまんないって」

ライカ
「じゃあ、何で今日ここに来たの?」

自衛隊彼
「う~ん」
「どんなもんかな~って、何となく…」


私は、彼のやる気の無さに
すっかり呆れてしまい、
彼の前でわざと、
ガンガン メールしてやった。
(相手はやはり他のメル友)


もうアンタに用は無い。
どっか行け!


“暇つぶしグッズ、持ってきた?”
なんて 自分から言っておきながら、
私が「暇つぶし」に携帯をいじると、
メチャクチャ不機嫌そうな顔をする。

私は、わざと
早歩きをしながら
携帯を必死こいていじった。

自衛隊彼、
私の後ろから、

「なんだお前!」
「携帯ばっかいじりやがって!」

私は、メル友に電話。
自衛隊彼に聞こえるように、

「急にごめん!」
「今、時間ある?」
「今会ってる男、
チョー最悪でさぁ!!」
「私のこと馬鹿にしてる!!」
「これから遊ぼうよ」

と会話してやった。

自衛隊彼
「もういいわ!」
「俺、帰る!!」


私は
(ああ、さっさと帰れ)
と、心の中で呟き、
振り返りもせず、
電話しながら、直進を続けた。


勿論、自衛隊彼とは
これっきり である。

一体、ナニがしたかったのか。

私の容姿に幻滅し、
萎えてしまったのかもしれない。


No.147

メル友と会う生活は、
半年ほど続いた。


私は、19歳にもなって
「処女」なことに
コンプレックス…とまでは
いかないが、

「早く済ませてしまいたい」
とは、ずっと思っていた。


同人仲間であり、
バイト仲間でもある
ナルミさんに、
前々から 相談をしていた。

「19にもなって経験無いなんて、
私って“化石”だよね」と。


ナルミさんはと言うと、
実はとんでもない人で…

小学6年生にして、
援助交際に、プチ家出。
車を持つ男は全て「足」で、
色んな男から、
散々貢いで貰ってきたと。

それはもう、
やることは やり尽くしたらしい。

そのことを、さも
「武勇伝」のように、
自慢気に話す子だった。

当時の私は、
「へぇ~…凄いねぇ」
と、思うばかりだったが。


“先輩”である ナルミさんに

「メル友と、ヤッちゃいなよ」

と 言われた。


私も、それは考えていた。
「初めての相手」に、
全く拘りが無かったし、

処女なんて、
取っておくだけ
恥ずかしいものだと
思っていた。

「好きな人に、処女を捧げる」
なんて、考えたことが無い。


ただ、
どんなモノなのか、
全くの未知の世界で、

怖い気持ちが
凄く強かった。


私は、幼い頃の
叔父からの性的虐待を思い出す。

「あんな感じ」なんだろうか?と。

叔父から
「挿入」はされたことがない。
童貞で、女性の体にも
全く詳しくない叔父は、
どこに入れるものか
よく 分からなかったようで。

「入れるよ~、ライカちゃん」

と、虐待中、叔父に言われたが、
生理すらまだの、
小学2年生だった私が
「どこに、何を入れるのか?」
分かるハズも無く…。



セックスが「あんな感じ」なら
あまり、経験したくはないと…






気持ち悪い。
怖い。
気持ち悪い。
怖い。
気持ち悪い。
怖い。
気持ち悪い。
怖い。
気持ち悪い。
怖い。
気持ち悪い。
怖い。

気持ち悪い。
怖い。

気持ち悪い。
怖い。


気持ち悪い。

怖い。


気持ち悪い。


怖い。





私は、悪い子。

こう言うことをしている 私は

悪い子なんだ。



地獄に 堕ちるんだ…。



No.148

幼い頃の、
叔父との行為の 罪悪感。

7~8歳当時よりも、

叔父との行為の“意味”を

理解していくにつれ、
歳を取っていくにつれ、
どんどん
苦しいものと なっていった。

やられていた当時は、
別に、叔父から
殴られるワケでも、
暴言を吐かれるワケでもない。

私は 日々を
「何となく」過ごしていた。

気持ち悪い叔父。

私が我慢すれば
いいだけのこと。

両親に話したら、
「何をやってるんだ!お前は!」
と、両親から怒鳴られる。
叩かれる。殴られる。

両親に話したことが
叔父にバレたら、

何をされるか、分からない。


両親(特に父親)に怒られるのが、
何よりも怖かった。

この頃の私にとって
「親」とは、

親が絶対で、
完璧で、間違いが無くて、
親の言う通りにするのが
一番「間違いの無いこと」で。


今のように、
「親も所詮、人間だから」
なんて考えは、
当然 無かったから。



「親=神」

のような考えは、
反抗期の手前、
中学1~2年まで続いた。


No.149

処女の話に戻る。

ナルミさんから

「ライカちゃんも
援交してみたら?」
「お金、貰えるし、
気持ち良いし、一石二鳥!」

と言われた。

お金(同人活動資金)が欲しかった私は、
ナルミさんの言葉に
軽く乗った。

【お金が貰える】
【処女も捨てられる】

私の頭には
コレしか無かった。


メル友広場にて
募集の書き込みをする。

「19歳・未経験・諭吉2枚」

そうすると、
何件かの返信が。

文面からでは
当然分からないが、
確実に、お金をくれそうな
40代のオジサンに決めた。

数日後、
学生会館前の、
大きな通りで待ち合わせ。

白い車が、一台。

運転席に乗っていたのは、
エロ漫画やエロビデオに
出て来そうな、
「いかにも」の
禿デブのオジサンであった。


「本当に、経験無いの?」
「そうは見えないな~」

オジサンは
何度も聞いてきた。

「本当に、“初めて”が
オジサンでいいの?」

私は、
(処女ってそこまで
アレなのかねぇ…)
と、疑問に思いながら

「はぁ、別に構わないですが」

「それよりも、お金、
先払いでいいですか?」
「ヤラれ損は嫌なんで」

と、素っ気なく答えた。

これは、
ナルミさんからの
アドバイスである。


「金」と
「処女を捨てる」

本当に、コレしか
頭に無かった。


No.150

ホテルに着くと、
オジサンは約束通り
先にお金をくれた。

2万円を、財布にしまう。
私は心の中で
ガッツポーズ。


オジサン
「ライカちゃん、恋愛経験は?」

ライカ
「人を好きになったことは
何度かはありますけど、
付き合ったことは無いです」

オジサン
「えー!!
彼氏が居たこともないの!?」
「ますます信じられないな~」

オジサンが
信じようが 信じまいが、
それが事実だし…。


オジサンと一緒に
シャワーを浴びる。

オジサンは、私の
(エロい)テンションを
上げるつもりで

洗ってる最中
「いろいろ」してきたが、
好きでもない、
好みでもないオヤジに、

何をされようが、
テンションなんて
上がる筈も無く。

私の「ニュートラル」な状態は
変わらなかった。


体を拭いて、
2人でベッドに入る。

オジサン、
私の体にボディタッチ。

くすぐったいだけで
ただただ不快。

オジサン
「こうやってね、
スキンシップをして
気持ちを高めるんだ」




…。

私の気持ちに、
一切の波は無いまま、
事が始まる。



No.151

オジサン、
私を盛り上げようと
色々 頑張る。

舐めたり、触ったり。

相変わらず、
私は何も感じず。

ただ
「触られてるだけ」
「くすぐったい」
「むしろ不快」
と言う感覚しか無い。

当然、濡れるワケもなく。

オジサン
「そりゃ~、初めてだもの、
未開発だからね~」
「いきなりは、感じないよね」




いいや、
ただ単に、
オジサンの容姿に
問題があるだけだから。

これが、
スマートで ダンディ(笑)な
“オジサマ”だったら、
私も楽しめたんだと思う。

私は、
「自慰」ならば、
数え切れない程
したことがあって、

イく気持ち良さは
十分、理解していたから。



舐めて舐めて、
オジサンの唾で濡らして、
ムリヤリ挿入。







ただただ、異物感。

膣口の、摩擦が辛い。

初めては
こんなもんなんだろうと…
激痛ではないし、
私はひたすら我慢。


オジサン、
果てる。
(勿論、ゴム装着で)


オジサン
「初めては、どうだった?」

ライカ
「うーん…」
「よく、分かりません」

オジサン
「…だよね。
初めてって、そんなもんだよ」
「これから彼氏が出来たら、
彼氏に開発してもらいなよ?」


オジサンは
待ち合わせ場所だった
学生会館前の
大きい通りまで 送ってくれた。


数日間、
挿入された時の「異物感」が
消えず、変な感じだった。

ちなみに、
初めてではあったが、
血は出なかった。



…今思えば、
とても良心的な
オジサンだったと思う。


No.152

味を占めた私は、

メル友と、
会ってはヤッて、
会ってはヤッてを
繰り返した。

繰り返した…
と言っても、5回ほど。


会ってはヤッて…が
面倒臭くなってきて、

メル友と
メールや電話にも
飽きてきてしまったのである。

援交は、
中には 生理的に受け付けない
男も居て、
(ビジュアル系の彼
程ではないが)
全く濡れない上に、ヘタクソで、
酷く痛い時もあったし、

乱暴に性器をいじくられ、
怪我をさせられ、出血。
メル友が
「生理なんじゃねーの!?」
とキレる。
私は
「これ、怪我なんですけど。
逆切れかよ。最低だね」
と言い、
怪我による出血だと
証明する為に、
一緒に産婦人科に行ったりもした。

(結局、怪我による出血で、
メル友は助産師に
「こんなにズタズタにして!」
「ナニ考えてるんだい!?」
と、こっぴどく叱られ、
メル友が病院代を支払った)



やはり、
好きでもない男とヤるのは、
精神的に辛い。


怪我をさせられた挙げ句、
逆切れされた時に、

(も~…なんか嫌だ)
(面倒くさい…)

と強く感じてしまい、
援交と、メル友作りを止める
決定打となった。


No.153

漫画の学校へ
再び通い出した。

通い出したものの、
以前のような
情熱的な気持ちは無かった。

漫画の学校へ
通うようになって、
初めて気が付いた。


「漫画家に、なりたいんじゃない」

「いつまでも、
同人誌を描いていたいんだ」


色んな方面で
勉強不足な私は、

絵は そこそこに描けても、
ストーリーが、
全く思い付かない。

ストーリーが思い付かないのには
変な「照れ」もあって。

漫画の学校で出された課題に
「8ページの
オリジナル漫画を描け」
と言うものがあったが、

その課題で皆が描いた漫画が、
後々、一冊の本にまとめられ、
クラスみんなの目に晒される。

先生からも、批評される。


それを想像すると、
何とも言えない、
むず痒いような…
変な気持ちになった。


よく父親から、
「描いた漫画、見せてくれよ」
と言われたが、
恥ずかしくて、
殆ど 見せたことがなかった。


同人誌は、
「元」となるストーリーや、
キャラクターがある。

それらは「自分」で
考えたものではないから、
恥ずかしくない。

元となるストーリーや
キャラクターを
自分の好き勝手に暴走させ、
妄想し、
それを絵や漫画にする。

こんなに楽しく、
楽なものはなかった。


No.154

同人活動をし、
同人仲間と遊び、
アルバイトをし、

漫画の学校は
2の次 3の次 4の次…

学校への出席も疎らで、
学校から出される課題も、
あまりやらなくなった。



卒業シーズン。
漫画の学校では、
求人が張り出されたが、
地元での仕事は 一つも無い。

全てが関東近辺であった。

勉強不足の自分。
「仕事」では、
漫画を描きたくない自分。

…当然、
求人情報へは目を伏せた。

今の自分が、
単身、関東まで飛んで、
うまくやっていけるハズが無い。

何よりも、心細かったし、
寂しかった。

親も、友人も居ない。
誰も頼れない。


とことん
「甘ちゃん」な私。



卒業は出来たが、
地元に仕事が無い。

私は一度、
実家に帰ることにした。



結局、女子学生会館には
全く馴染めず。
学生会館で出されたご飯も
殆ど食べずに終わった。

学生会館を出る時、
「壁が汚れてますね」
と、8万円も取られ、
父親が憤慨していた。

壁の汚れは、
テレビや冷蔵庫を
置いた跡程度のもの。

それでも、
全て 貼り替えさせられた。



漫画の学校も、
学生会館も、

大金を ドブに捨てたようなもの。
全てが無駄に終わった。


No.155

同人仲間の
ナルミさん達から、

「実家に戻るのか~」
「寂しくなるね」
「また連絡ちょうだい」

と言われ…。
名残惜しくも
実家に戻った。

実家では、
しばらくは、働きもせず
ダラダラとしていた。

自分は一体、
何がしたいのか。

完全に 見失っていた。

ここで父親が
「ヘルパーの資格、
取ってみないか?」
「これからの高齢化社会、
きっと役に立つぞ」
と言ってきた。

私は取り敢えず
「そうしてみるよ」
と答えた。


ダラダラした生活。

田舎の実家に戻ってきた為、
出掛けなくなった。

お洒落したくても、
お洒落して出掛ける場所が無い。

同人誌即売会も無いから、
コスプレもしない。


また 私は、太り始め

半年後には、68キロまで
戻っていた。




ダラけきった生活を
実家で送っている時、

父親が 倒れた。


No.156

朝の7時頃。
起きて間もない私は
自室でボーッとしていると

「ライカ……ライカ……」
「父さん、ヤバいかも……」

トイレから
か細い声がした。

「…え!?」

私は慌ててトイレへ行く。

…ビックリした。
トイレの便器の中が
真っ赤っか。
鮮血で、染められていた。

父親は、
トイレの扉をあけたまま
トイレの前で、うずくまっている。

父親が
「救急車を呼ぶより
タクシー捕まえた方が早い」
と言うので、
父親の腕を担ぎ、外へ出る。

運良く、
ジャストタイミングで
タクシーが来た。

私は大きく手を振る。


「市立病院まで!急いでください!」
「急患入口でおろしてください!」

父親は、腹を押さえている。
腸から出血したらしい。

顔は青白い。
爪も真っ白。

朝7時代なのもあってか、
交通量が少なく、
スイスイと病院まで行けた。
市立病院まで10分程度。

お釣りは要らないと、
タクシーから慌てて降りて
急患入口の受付へ。

事情を説明し、
大量出血と言うことで
優先的に診て貰えた。

父親は、即入院。

なんと、
2リットル近くも
出血していて、

あと数時間遅かったら、
命は無かったと言われた。


輸血、養生、検査の為、
一週間の入院。

私はその間、
父親が自営業(整体)で
受け持つ患者さんに
「診察キャンセル」の電話。

それを終えたら、
家と病院を往復した。



父親の出血の原因。

結局、分からず仕舞いだった。

精密検査をしても
分からなかった。

医者は大雑把に
「多分、ここから、ここまでの間の
どこからか出血してると“思う”ので
ここからここまで、切りましょう」
と言ったらしい。


…そんな、
アバウトな手術 あるかよ…。


父親は「ふざけるな!」と、
手術はしないで退院してきた。


医者って 怖い…


No.157

これから
「ヘルパーの資格を取ろう」
と言うときになって、

同人仲間のナルミさんから
「ルームシェアしないか?」
と、誘いが来た。

私は、
その話に直ぐ乗った。
実家暮らし、田舎暮らし、
退屈な生活に、
嫌気がさしていたし、
ヘルパーの資格も、
全く乗り気ではなかったからである。

ルームシェアは、
私を入れて4人。

私、ナルミさん、
コムロさんに、もう一人。
もう一人の方は、
私は全く知らない人である。


父親に話すと、
「お前、ヘルパーの資格は
どうするんだ?」
「申し込んで、
お金も振り込んでしまったぞ」
と返ってきた。

私は当然
「都会生活に戻るよ」
「ここには何も無い」
「私がやりたいことも無い」
と答えた。

父親は
そうか、わかった…と
ヘルパーの資格はキャンセル。
でも、
ヘルパー取得の為に
振り込んだ金「8万円」は
返ってこなかった。

原則、
一度申し込んだものの
取り消しは出来ない。
そういう決まりだったから
仕方が無い。


私はまた、
金をドブに捨てさせてしまった。


No.158

20歳の10月、
都会に引っ越した。

部屋は、2LDKの賃貸。
私、ナルミさん、コムロさんで
雑魚寝。

4人目の、
私とは全く面識の無い
もう一人の方が
個室を独占していた。

そして、猫が一匹。

動物を飼ってはいけない賃貸だが、
ナルミさんが
「内緒で、ここの住人みんな
飼ってっから!」
と…
近くの公園で、
拾ってきたらしい。

台所が、メチャクチャ汚かった。
ドロドロ、カビだらけ…
どのくらい放置してあるのか。

水道から出て来る水も、
オレンジ色だった。

水道管がイかれていた。

オレンジ色の水について、
ナルミさんが
何度苦情を言っても、

「全住民を巻き込む
大掛かりな工事になるし」
「住民みんな、
我慢してるんで。」
「アンタ達も
我慢してなさいよ」

と言う返事しか来なかったらしい。


仕事を探さなくちゃ…
迷ったり、困ったりしている私に、
ナルミさんが

「風俗、一緒にやらない?」
「かなり稼げるよ」

と誘ってきた。

ナルミさんは、
私が漫画の学校卒業の少し前から、
清掃の仕事を辞め、
風俗を始めていた。

「風俗」…

ナルミさんが通勤する風俗は
「本サロ」(本番サロン)
であった。

表向き、
「口でヌく」サービスしか
無いと見せ掛け、

店の中に入ると、
メニューには「本番」がある。
「ソープ」や「デリヘル」とは
また違う、本番サロン店。

完全に、違法店であった。


私は、同人活動の為にも、
生活の為にも、
やるしか無いと思った。

ルームシェアの住人みんなが
「風俗勤務」だった為、
収入格差が出来て、
私だけ惨めな思いをするのも
凄く嫌だった。

同人活動の為にも
兎に角「金」が欲しかったし、
「金」が無いと
何も始まらなかった。


でも、この時の体重は…
163センチ・68キロである。

「こんな私でも
働けるのか?」

とナルミさんに聞いた。

「大丈夫大丈夫~!」
「もっと酷いの、沢山いるから!」
「ま、働きながら、
痩せた方がいいけどね」

と、またスッパリと
「痩せようね」
とナルミさんに言われた。


金が、今直ぐ欲しかった私は、
取り敢えず、
ナルミさんと一緒に
面接に行った。


No.159

風俗の面接は、
車の中だった。

「社長」と呼ばれる男は、
背の低い、チャラチャラした男。
年齢は、この時でまだ25~26歳
だったと思う。

ナルミさんが
「私の友達、ライカちゃん」
と、気軽に紹介。

私は、気まずそうに聞いた。
「こんな私でも
約に立つんですか?」と。


社長は 優しく言った。

「大丈夫だよ!十分役に立つから!」
「…と言うか、まず働いてみないと
僕達も何も分からないからね」

容姿は、
あまり関係無いと
社長は言った。

社長から源氏名を貰い、
次の日から、働くことになった。


次の日、
ナルミさんと一緒に
「待ち合わせ場所」へ向かう。
待ち合わせ場所へ行くと、
店長が迎えに来てくれるらしい。

2人で待っていると、
店長の車が来た。
黒のセダン。

車に乗ると、店長が

「始めまして、コナカです」
「よろしくお願いしますね」

とニコヤカに挨拶。
私も釣られて、慌てて挨拶。


コナカ店長は、当時で24歳。
芸能人の、竹野内豊似である。

店長の「人となり」を
私は肌で感じた。


“この人は、私のような
「デブス」の人種を、見下す人だ”

“自分と釣り合いの取れる
「モデル並の美人」しか
人間として認めない人だ”







私の「僻み」も
混じっていたが、


私の「感」は、
間違っていなかった。


No.160

本番サロンには、
私と、ナルミさんの他に、
3人の女性が居た。

休憩室は、
狭くてギュウギュウ。

接客する個室も
狭くてギュウギュウ。

狭くてギュウギュウな
休憩室には、
デカデカと「指名表」が
張り出されていて、

そこに、もはや
私の源氏名も 書き足されていた。


女性用のシャワーなどは無く、
接客後は、
トイレのウォシュレットと
ボディソープを使って
陰部のみ洗う。

体は、香り付きの
パウダーシートで
丁寧に拭く。


接客時は、
オシボリ・お湯と消毒液が入った桶・
コンドーム・ローションを
店長が用意してくれる。

接客方法は、
マニュアルが無く、
自由だった。

本番アリだから、
避妊さえしてくれるなら、
どんな風に楽しんでも構わない。

「ナマ」でやられそうになった時。

乱暴や、暴力を振るわれた時。

時間オーバーして
客がしぶとく帰らない時。

こう言う時は、
大声で、助けを呼ぶ。

そうすると、
社長か店長、どちらかが
スッ飛んで来てくれる。

接客し、客を返した後は、
店長が「お疲れ様です」と
客室の掃除を手伝ってくれる。


私は、店長の「人となり」を
肌で感じとっていたので、

店長の手を
煩わせないよう、

お客を返した後は、
サッサと自分独りで片付けて、
店長とは
顔を合わせないようにしていた。

「私のような“クソ豚女”
顔を見るのも、多分嫌だろう」

そう、思っていた。


No.161

コナカ店長は、
多分、私が気に入らないのだろう。
給料を、少なく渡すようになっていた。

給料は「日払い」で、
現金手渡しである。


120分コースで接客したのに、
90分コースの給料しかくれない。

90分コースで接客したのに、
60分コースの給料しかくれない。

60分コースで接客したのに、
45分コースの給料しかくれない。


一度だけではない。

まばらだが、
2~3日に一度のペースで。



給料を、少なく渡すのは
私だけ。

他の女の子には、
働いた分、キッチリ渡している。

誰が、どんな客に、
何分のコースの接客をしたか。
ノートに細かくメモしているのは
受付を任されている
コナカ店長しか居ない。

コナカ店長が休みの日は、
代わりに社長が受付をするが、

社長が受付をした日は、
きちんと給料が出る。
少なく手渡されることは
一度も無かった。

店長に
「給料、少ないんですが」
と言っても、

「ノートのメモには
“○○分”と書いてありますので」

と…。
証拠が無いとして、
全く相手にしてくれなかった。


それを、社長に愚痴った。

社長も
「う~ん…受付はみんな
コナカに任せてあるからなぁ」
「受付のノートにも、
○○分って書いてあるしね」
と、やはり
“証拠が無い”として
困った顔をしていた。


数日後-----

一緒に働いている
ナルミさんが公休で、

行きは、社長の車に私一人。
帰りは、店長の車に
私一人だった日があった。

その時に、

車の中で、
コナカ店長から
メチャクチャ
怒鳴り散らされた。


No.162

コナカ店長


なぁ、お前…
給料が少ないってか??

俺の受付が、間違ってるって??

証拠も無いのに、よくも
社長にチクッてくれたなぁ!?

払えばいいのか?
払えばいいんだよなぁ!?

いくら払えばいいんだ?
あぁ?!
言えよ ほら!!
言ってみろよ!!!!





普段の、穏やかな口調。
穏やかな笑顔。

あれが「仮面」で
こっちが「本性」なんだと。


私は、
(何を言い返しても無駄だね)

そう思って、
ずっと黙って聞いていた。

あの豹変っぷり。

漫画か?
ゲームか?


「黙ってねーで
何とか言ってみろ!!」

怒鳴り散らされるうちに
いつの間にか、
家の前に着いた。

私は最後に 一言。

「もう、結構です。」


そう言って
車を降りた。


No.163

家に帰って、
店長の「怒鳴り散らし」を
ナルミさんに話した。

ナルミさんは、
私の給料が少ないことに
前々から気付いていた。

「私も変だと思ってたんだよね」
と言った。

少ない給料に気付いた時、
私は、ナルミさんにも
給料(現金)を見せていた。

「あれ??
ライカちゃんの給料、少なくない??」



凄く暇で、お客が一人しか
つかなかった日があった。

コナカ店長から
「ライカさん、お待たせしました。
120分コース、お願いします」
と言われ、接客した。

この日は、本当に暇で、
女の子全員が
控え室に居たので、

店長の
「120分、お願いします」
は、女の子全員が聞いていた。


…なのに、
その日渡された給料は、
90分コースの1人分だった。

給料が少ないのは、
目に見えて分かる。

店長に抗議すると、
受付のノートを見せられた。

受付のノートには
「90分」として記入されている。


コナカ店長は
「ライカさんの勘違いです」
としか言わなかった。



ナルミさんは
「私からも、社長に話してみるわ」
と言ってくれた。


No.164

コナカ店長から
怒鳴り散らされてから
2週間ほど後。

久し振りに
社長が店に来て、
コナカ店長は
休みだった。

複数の店舗を
経営している社長は、
毎日が多忙で、

2~3週間 店に顔を
出さないのはザラだと
ナルミさんから聞いた。

社長が店に顔を出せない間は、
コナカ店長は
休まず「黒服」をやる。


コナカ店長に
怒鳴り散らされてからの
2週間。

息が詰まる思いで
仕事をこなした。

コナカ店長からは
「おはようございます」
「お疲れ様です」の、
挨拶すらもされなくなった。

送迎中も、終始無言である。

あの日以降、
給料の間違いは無くなった。

…でも、
お客を付けて貰えなくなった。

コナカ店長は
「お客さんが、
細身の女の子を希望されているので」
「仕方がありませんよね?」
と…。

他の女の子が
2~3人 接客をするのに、

私一人だけ
0~1人。

「客がデブスを嫌がっている」

こう言われてしまうと、
私は何も言えなかった。



社長が来ると、
店の雰囲気も変わる。

社長は明るく、
ざっくばらんで
コミカルな人。

社長が来ると、
店の雰囲気が良くなるためか、
不思議と、店も忙しくなる。



社長の送迎も
久し振りであった。

仕事帰り。
社長は、他3人の女の子を先に送り、

車内を、
社長と、私達2人だけにした。


No.165

社長は、
私達に大事な話があると。

多分「給料」のことだろうと
想像はついた。


社長は、
真剣な顔をして話し始めた。

私に支払われる筈の給料が
少ないとなると、
「カット」した分のお金は
どこに行ったのか?

店の売上の計算は
毎日必ず、当然やる。

その時、いつも
「お金」と「受付ノート」
睨めっこして計算するが、
売上金額はピッタリ。

と言うことは、
私に支払われない分は
コナカ店長が「ポッケ」
していることになる。


社長は「信用問題」として、
今後、同じことが無いように
しなくてはならないと…

かなり、渋い顔をしていた。


ナルミさんが、

「ライカちゃんの給料、
絶対に少ないから!!」
「ちゃんと調べて!!」

と、かなりキツめに
社長に電話で言ったらしい。
(社長からそう聞いた)

社長は、全面的に
“女の子側”の味方であると…
そう言ってくれた。


社長は、私に謝罪した。

「ライカちゃん、ごめんね。
嫌な思いさせちゃって」

「今までのトータルで、
いくら少なかったか
明確には分からないけど…」
「足りないかもしれないけど、
これ受け取って」

封筒には、5万円が入っていた。


ナルミさんは
「ライカちゃん、やったじゃん!」
と明るく言う。


社長は「明確な証拠が欲しい」と、
言っていたが…。

コナカ店長は
「給料を減らす」方法から、
「客を減らす」方法に
変えてしまったから。

明確な証拠を得るのは、
難しいんじゃないかと思った。





そして、結局
有耶無耶に終わってしまう。

コナカ店長が、
尻尾を出さなくなったからである。

給料の間違いは
一切無くなった。
そのかわり、
お客は付けて貰えなくなって、
私の給料は、
ますます減ることとなった。



そして、それから間もなく。

私の身に、とんでもないことが
降りかかった。


No.166




「熱っぽい」
「生理が来ない」



私は、28日周期で
生理が来ていた。

遅れても、1日だけ。
2日は無い。

生理が来なくて一週間。
私は慌てていた。

熱をはかると、
常に「37℃」をこえていた。


最初は、風邪だと思っていたが、
「妊娠の初期症状に
“熱っぽい”って、あるよ」
と、お店の女の子から聞いた。



次の日、
生理が来た。




と 思ったら、
なんと、
たったの1日半で
終わってしまった。


ナルミさんは
「お知らせ生理ってヤツじゃない?」
と言った。

お知らせ生理…
「着床生理」のことである。


生理が来なくて10日後。
妊娠検査薬を 使ってみた。








…陽性だった。

ナルミさんは
「流産すればいいのにね」
と、明るくサラリと言った。

「流産したら、
治療費3万くらいで済むよ」
「中絶するなら、10万くらいかかる」

そう、付け加えた。


詳しくは聞かなかったが、
ナルミさんはおそらく、
流産の経験があるのだろう。



ナルミさんは、
怒りながら言った。

「ゴムつけてんのに、
妊娠とか有り得ないから!」

「途中でゴム外れたり、
破けたりはなかった?」


私は、
「そんな事は、
一度も無かった…多分。」

と答えた。


途中で外れたことは無い。

でも、破れたことが無い
…とは 言い切れない。

接客部屋が薄暗くて、
ゴムが破れただの、
細かい確認が出来ないからである。


ナルミさんは
こう言った。

「多分、店長の仕業だよ!」

「接客前に、
ゴムやローションを用意すんの、
店長の仕事じゃん!」

「ゴムに穴開けて、
ライカちゃんに渡したんだよ!」

「給料云々の、仕返しにさぁ!」


…あの店長なら、
ヤりかねないと思った。

部屋は薄暗く、
ゴムの穴や、
ゴムに入ってる空気など、
細かいところは確認出来ないし、
「ゴムに穴が開けられてるんじゃ?」
なんて疑いながら
接客しているワケではないので、
お客に装着する時、
ゴムを凝視して確認なんて、しない。



私は、社長に
「妊娠した」
「堕胎するので、お休みをください」
と言った。

社長は、前例の無い出来事に、
かなり驚いていた。


No.167

コナカ店長は、
私が堕胎でお休み中、

「妊娠だなんて。
つくづく使えない女だな」

と、ナルミさんに漏らした。
ナルミさんは

「アンタが穴開けたんじゃないの?」

と、食ってかかったらしいが、
当然
「そんなこと、する筈ないでしょう」
と否定された。


コナカ店長
「プライベートでヤッて
妊娠したんじゃないの?」

ナルミさん
「あはは!そりゃ~無い無い!」


…こんな会話をしたと。

知りたくもない情報を、
ナルミさんは、洗いざらい全部、
私に丁寧に報告してくれた。



堕胎するのには、
「赤ちゃんの父親」の
同意書が必要らしい。

でも、
「父親」が誰なのか。
知る筈も無く。

私は助産師さんに
「相手が誰なのか分からない…」
と言った。

助産師さんは、
悲しい顔をしながら

「そうですか…。」
「あのね、あくまで
“書類上”で名前が必要なだけだから」
「…だから取り敢えず
“名前”を書いて欲しいの」
「病院には、なーんにも残らないから」
「安心して、手術を受けてね」
そう、言った。

取り敢えず、男性の名前があれば良いと。

そう聞いた私は、
百円均一に行き、
テキトーに印鑑を買い、

「一応、字も変えておくかぁ」
と、お店の女の子に
男性の名前を書いて貰って、
百均で買った印鑑を捺した。



堕胎は、11週の時に行った。

産婦人科で
「コレが赤ちゃんの袋ですね~」
とエコーを見せられた。

私は、
堕胎をすることに
何の躊躇いも無かった。

「産む」だなんて、
頭の中をかすりもしなかった。

“父親が誰か分からない”
“風俗でヤッて出来た子供”

…産んだって、
子供が不幸なだけ。



「子供が子供を
産むべきじゃない」

そう思って、
すすんで堕胎をした。


静脈麻酔で眠らされ、
堕胎手術は
いつの間にか終わっていた。


No.168

麻酔から目覚めると、
強烈な吐き気に襲われ、

しばらくは、立ち上がれなかった。

でも、病院からは
「目が覚めたなら、早く帰れ」
と言われる。

この時、助産師さんからは
「大変危険ですから、
必ず誰かに、迎えに来て貰ってください」
と言われていたが、

迎えに来てくれる人間なんて
誰一人として居なかった。

実は、
ルームシェアしている
コムロさんが
車を持っているので、

コムロさんが
迎えに来てくれる筈だった。

でも
「友達との約束が入った」
と、当日突然のドタキャン。

私は、独りで帰るしか無かった。


助産師さんには
「そこの通りに、
迎えが来てますんで…」
と嘘を付いた。

「え?本当なの??」
助産師さんを振り切って、
慌てて病院を出た。

大きい通りに出て、
タクシーを捕まえて帰った。


何となく、
ナルミさんにも
コムロさんにも
会いたくなかった私は、

ルームシェアの部屋には向かわず、
大きな駅に向かった。

タクシーの中から
「急だけど、
そっちに遊びに帰るから」
父親に、そうメールした。

駅で降りてから、
バスターミナルに向かう。

堕胎で、
体力を削られているのか
何なのか、よく分からないが、

少し歩いただけで、
ダラダラと汗をかき、
すぐに息が上がる。

バスターミナルまでの道のりが、
もの凄く辛かったのを、
今でも鮮明に 覚えている。


No.169

堕胎後 実家で、
私はうずくまる毎日を送った。

子宮が、猛烈に痛い。

11週まで、成長させて
しまったせいだろうか?

いつもの生理痛の、
5倍?10倍?

堕胎したのだから、
当然、出血量も半端無い。


父親の前では、
平気な顔で居るようにし、
ごく普通に振る舞った。

何事も無かったかのように。



この堕胎に関しては、
後悔も、何も無い。

ただ、
「人殺しになってしまったなぁ」
…心に残ったのは
コレだけであった。

産んでいたら、
そのことを後悔しただろう。


一週間ほどで
私は友人達のところへ
戻った。

でも結局、
仕事復帰には、
もう一週間を要した。

出血も、痛みも、
なかなか無くならなかったからだ。



なかなか復帰出来ない私に、
ナルミさんは
飽き飽きしていた。

「まだ出られないの?」

「ライカちゃんを紹介した
私の身にもなってよ!」

「仕事復帰する前に、
社長に電話して、謝って!
それが礼儀ってもんだから!」


…多分、
ナルミさんは
私のことで

社長や店長から
色々言われたのだろう。

私は、ナルミさんに謝って、
社長にも電話で謝った。


社長は
「無理しないで」
「完全に痛みが消えてから
出勤してきてね」
と 言ってくれた。


No.170

堕胎から2週間。
また私は働き始めた。


でも、
店の空気が違った。

“お前の居場所は
ここには無いよ”

“今更、何しにきたの?”



…そんな空気であった。

店長からの仕打ちは、
堕胎後、更に酷くなった。

ほとんど、
お客を付けて貰えなくなった。
収入は、
「昼」のアルバイト“以下”
になった。

やっと客をつけて貰えても、
おじいちゃん等のクセの強い客や、
ベロンベロンの泥酔客など、

やっつけ仕事的な、
「嫌な客担当」にされた。

おじいちゃんは
まだ良い。

泥酔客は、最悪だった。

酒が回っているから、
全然、勃たない。イかない。

擦り切れて、
怪我をするんじゃないかってくらい、
乱暴に突いてくる。

痛みを堪えながら、
泣くのを我慢しながら、
感じているフリをした。

乱暴にされるし、
酒臭いし、
濡れる筈がなかった。

エロ漫画や
AVのようにはいかない。




精神的にも
かなり辛かったし、

風俗やってるのに
生活していけないなんて…。

私は、
本サロを辞めることにした。


No.171

辞める時、
社長に電話で連絡をし、辞めた。

私は、泣きながら話した。

「自分が、いかに“役立たず”か、
よく自覚しています」
「デブスな上に、妊娠までして…」
「それでも…
あんな冷たい対応は、あんまりです」

社長には兎に角「悔しい」と言う
気持ちを伝えた。

社長は
「ライカちゃんが辛いなら、
もう仕方が無いよ」
「無理はさせられない」
「短い間だったけど、ありがとうね」
…アッサリ言った。


ナルミさんからも、
また“要らない報告”をされる。

「店側は“頭数”を揃えたかっただけ」
「ライカは別に、居ても居なくても
どちらでも良かった」
「お客からも、
“何であんな太った子がいるの?”
と言われて、私も困っていた」
「あなたのこと、
紹介なんてしなければ良かった」

…店を辞めた後に、
ナルミさんから
当て付けに言われた。


感づいていたこととは言え、
ハッキリ言われると
さすがに傷付いた。

私は「ナルミさんに迷惑を掛けた」と…
申し訳無い気持ちで いっぱいだった。


No.172

辞めてから、10日程後。

懲りもせず、
私は「風俗店」を
探していた。

どこの店で働こうか?

「夜」の求人雑誌と
睨めっこしていた。

この時に、コムロさんから

「私が働いている店の、
系列店はどうかな?」
「そこの社長、
すんごい良い人だったよ」
「本サロじゃないから、
妊娠の心配も無いしね」


ちょうど、求人雑誌に
そのお店の情報が載っていたのだ。

勤務場所は、
「下町」の雰囲気が
残る場所。

給料は安いが、
その分、沢山の接客をして
「人数」で稼ぐ。
回転率の良い店だと聞いた。


私は、求人雑誌に乗っていた
メールアドレスに、
思い切って、メールしてみた。

すると、直ぐに返信。

「面接希望ですね」
「お話がしたいので、
電話番号を教えてください」

メールに、携帯番号を打って
すかさず返信。
すぐさま、知らない番号から電話が。

電話に出ると、
若い男性の声がした。

「メール、ありがとうございました」
「いつ来れそうですか?」と。

私は「明日にでも大丈夫です!」
と意気込んだ。


No.173

面接当日。
私は、店のあるビルの前で
ウロウロしていた。

夕方5時に
店に行くと伝えていた。

5時キッカリに
店に入ろうかと…

時間ギリギリまで
あっちウロウロこっちウロウロ。
もの凄く緊張していた。


4時59分。
意を決して、
ビルに入って
階段を登る。

ビルの中は、
風俗店まみれ。
風俗しかなかった。


受付には、
真面目?チャラい?
…その中間のような
若い男性が立っていた。

「あ、面接の方ですか?」
「どうぞこちらへ」

電話の声と、同じ人だった。
私は、空いていた
接客用の個室に通された。

前の店とは違い、
広々とした空間であった。

薄暗さも、
前の店よりマシだった。


「あ…緊張してます?」
「緊張しますよね!」
「俺も緊張してます!」

この男性の名前は、
コウキさん。

コウキさんも、
働き始めてからまだ3ヶ月で、
女の子の面接を受け持つのは
初めてだと言う。


この店には、
キッチリとした
「マニュアル」がある。

これをやったら
次はこうして…
みたいな。

お客さんは
「マニュアル通りに
サービスを受ける」感じで、
前の店とは違い、
お客さんは基本「受け身」であった。

“サービスをする”がメインで、
お客さんが望まない限り、
会話もあまりしない。
お客さんに、あまり触らせない。

お客さんが女の子に触るのは、
最後のフィニッシュ
「シックスナイン」の時のみ。

あくまで“基本は”だが。


私は、一通りの流れを聞くと、
「次は実習です!」
と言われる。

お互いに、裸になって
お店の受付男性に
サービスを施してみるのだ。


No.174

私は、不安になった。

「あの…」
「“私”が相手で、
“機能”するんですか?」

と。
一応“勃って”貰った方が
練習はしやすい。

コウキさんは
ニコヤカに言う。

「多分…多分大丈夫です!」
「キンチョーして、
ダメかもしれないけど…」

コウキさんは、
私の容姿云々よりも、
緊張してダメかもしれないと
言ってくれた。


お互いに服を脱いで、
まずは「洗い方」から。

お客さんを椅子に座らせ、
局部をよ~く洗う。

うがいもして貰う。

オシボリで拭いたら、
マットに寝て貰い、
サービス開始。

コウキさん、
何とか「頑張って」くれました。


実習終了。

実習が終わると、
私は奥にある
女の子の待機室へ
案内された。

そこには、3~4人の女性が
休憩していた。

いかにも「ベテラン」な、
20代後半~30代半ばくらいの
大人な女性達であった。

コウキさんは
女性達に私を紹介する。

「まだ名前は決まってないけど…」
「新しく入った女の子だよ」
「みんなよろしくね!」

女性達は、
ニコニコしながら
「こちらこそ宜しくね」
と、感じ良く挨拶してくれた。

「店長を呼んでくるから」
「ちょっと待っててください!」

そう言うと、
コウキさんは受付に向かった、
コウキさんは、私との実習の為に、
受付を 店長一人に
任せっきりにしていたようだった。


No.175

コウキさんと、受付を交代し、
「店長」と呼ばれる男性が来た。

色白で、独特な髪型をしている。
名前はサドさん。
(佐渡さん。Sではない)

顔だけが「893風」で、
強面。
「社長」からつけられたあだ名が
“チンピラ”だった。

サドさんは、
にこやかに挨拶をした。

「お~お~、新しく来た子だね」
「うんうん。俺はこういう者です」

店長から、名刺を渡された。
名刺には、全く関係無い会社名が。

「ここね、アリバイ会社ってやつね」

…なるほど。
アリバイ会社なんてあるのか。
初めて知った。

私はサドさんから、
お店について
色々説明を受けた。
料金システムや、
接客時の注意など。

女の子には優しいお店のようで、
「泥酔」したお客は、
基本入店させないとのこと。

サービス中は、店のスタッフ(黒服)が、
巡回(監視)に来るから、
客も、女の子も、
「ルール違反」は絶対にさせない。

ルール違反とは
「本番行為」のことである。

お客は勿論、
女の子側も、指名客欲しさに
ヤッてしまう子が
居るとのことで…。

女の子に乱暴な行為
(激しい手淫など)をしても、
スタッフから注意が入る。

お客には、受付時に
番号札を持って貰う。

50分コースしか無く、
給料を間違って
少なく渡すことも無い。
50分コース×お客の人数
+指名料。
指名料は、全額バック。

延長も50分単位で、
「もう一度50分コース」
と言うカウントになる。

受付は、最低2人。
止むを得ない事情が無い限り、
独りに任せない。
接客人数は
Excelで管理していた。


私は、前に居た店とは
「雲泥の差」で、
ただただ、驚いていた。

前に居た「本サロ」が
適当過ぎたのかもしれない。


No.176

サドさんからは
「じゃあ、早速働いて貰うね」
と言われた。

私は
「面接、パスなんですか?」
と聞き返した。

サドさん
「うちは基本、断るってことしないよ」
「よっぽど“変”な子か
制服が入らないような子以外はね」

「そうだ~、コムロちゃんからの
紹介で来たんだもんね?」

サドさん、
コムロさんを知っている様子。

コムロさんが勤める店は
すぐ隣のビルにある店。

コムロさんが勤務する店と、
ここの店は「系列」なので、

女の子の出勤人数が足りない時、
コムロさんに
「ヘルプ」で来て貰ったことが
あるらしい。


私は、用意された制服を着て、
5人、接客をした。

マニュアルのサービスが多く、
かなり戸惑ったが、

サドさんからは
「最初は新人(素人)を売りにしろ」
と言われていたので。

お店側も、
「優しい常連客」ばかりを
私につけてくれたようで、
お客さん側から
「次はこうだよ」と
教えられることもあった。

5人の接客で、
ヘロヘロになった私。

コウキさんは
「5人なんて暇だよ~!」
「いつもなら8人は付くよ」
と言っていた。

コレに、更に3人プラスか~…

前の店は、
最高で3人。
0~1人が当たり前の
世界だったから。

8人なんて、考えるだけで
目が回った。


私は、ナルミさんからは
「本サロに居たことは
内緒にしときな」
「風俗の経験アリだと、
黒服に嫌な顔されるよ」
とアドバイスを貰っていたので、
それに従って、
コウキさんにも、サドさんにも、
取り敢えず「本サロ」の経験は
伏せておいた。


No.177

売上を計算し、
これからお給料…
と言うときに、

「社長」が来た。

恰幅の良い、おっちゃんタイプ。
でも、怒らせたら怖いんだろうな…
と言う「ただ者ではない」
オーラが出ている。
当時で30代半ば。

名前はタチバナさん。

「はい、みんな~」
「おつかれさーん」
「給料だよ~、給料だよ~」

紺のスーツに、
黒いロングコート。

女の子の待機室に入ってきた。

私を見て、
「おぉ!新しい女の子ね!」
「コムロちゃんの紹介か~」
「うち、かなり忙しくて
“薄利多売”だけど、よろしくね」

と言ってきた。
私も
「こんなんで良ければ
よろしくお願いします」
と挨拶を返す。


今日は、
社長の運転、助手席に店長、
後ろに女の子数名…
この送りで帰ると言う。

お店から、家が近い順に
送り届けられる。

その日私は、2番目の送りだった。

車の中で、
社長、店長、女の子と、
色んな話をした。

風俗が「初めて」に近い
私にとって、
風俗での経験談は、新鮮だった。

こんな客が居る。
こんな接客がある。

女の子同士は
仲良くないとダメ。
店の雰囲気を悪くする子は、
即刻クビ。

接客中、危険が迫ったら、
直ぐに俺達を呼べ。

悩み事があったら、
何でも相談に乗る。


「女の子に、
食べさせて貰っているから」
「俺達の方が、女の子達より
“下”なんだよ」

サドさんが、
そう言っていた。

兎に角、
女の子には優しいお店であると。


No.178

働き始めて、1ヶ月。

最初は忙しかったが、
だんだんと、暇になってきた。

最初は「新人優先」で、
新しい女の子の「宣伝」と、
「早くサービスを覚えて貰う」
と言う意味も兼ねて、
ベテランの女の子達よりも
優先的に接客させて貰える。

新人優先の期間が、
終わりつつあった。

1ヶ月経っても、
指名客が、一人も来ない。

早い子なら、
2~3日で指名がつくと言う。

確かに、本サロでは
奇跡的に、2~3日で
指名がついた。

それでも、月に5人程度。
他の女の子も、多くて10人。
接客数が少ないから、
どうしても、この程度の数に
とどまってしまうと
ナルミさんは言っていた。


このお店にも、
「指名表」が張り出されていた。
目に見えて分かるので、
一人も指名がつかないと
何となく、気まずい。


私は、お店が暇な時、
サド店長から、
接客用の個室に呼び出された。
「話がある」と。

“話”の内容は
何となく、想像がついた。


いつもおちゃらけている
サド店長が、
真剣な顔で、話し始めた。


細かい内容は
スッカリ忘れてしまったが、

よーするに

「気を抜いてると、
お客さん、つけてあげないぞ」

「もう少し痩せろ」

…とのこと。


やはり、予想通りであった。



ここのお店には、
“もう一人”
私によく似た女の子が居た。

名前は、ユキさん。
年齢は、私よりも4つ上。
当時で24歳。

サド店長は、
ユキさんにも、
同じ話をしたと言う。

ユキさんの指名も、
毎月5~10人と、
他の女の子と比べると
かなり少ないらしい。

ユキさんは、
ここのお店が出来て直ぐから
(5年前から)働き始めた
“ベテラン”さんであった。


No.179

ユキさんは、
私と同じような「体型」で、

陰では「関取」「アンコ」
などと言われていた。
更に、顔に関しては
「オタフクソース」
「能面」とも…。


ユキさんに関しては、

社長、店長、女の子達…
みんなかなり“悪く”言う。

「あの子多分、お風呂入ってないよ」
「頭が臭い!」
「待機室に居られると、
(臭いから)苦痛」
「頭から、消毒液かけてやりたくなる」
「お客さんからの苦情が…」

などなど。

ここのお店は、
ルール違反をしない限りは
“クビ”にはしない。

その代わり、
女の子から出て行くように
仕向けるのだ。

ユキさんは、
他の女の子に比べて、
接客数が少ない。

お店側が、ユキさんを
「飛ばして」いるのである。

(基本的に、
お客さんにつく順番は出勤順)


それこそ、
普通に「お昼」働いた方が
よっぽど稼げるのではないか?
と言うくらいであった。

ユキさん曰わく
「昼の仕事は向かないから」と、
ずっとここに居るのだという。


稼げない

電気・ガス代が払えない

なかなか風呂に入れない
(時々銭湯に行くらしい)

体が臭いし、
おまけに太っている

お客から苦情

お客を付けて貰えず

最初に戻る


…この 悪循環なんだろうと。

社長も、店長も、
散々忠告したらしい。
でも、ユキさんは頑なに
「ゴーイング・マイ・ウェイ」

体臭や、見た目は関係無い。
「テクニック」で頑張る。

そう言って、
考えを曲げないでいるとのこと。

社長も店長も、
「アイツはダメだ」と。
そこまで言うなら、
何故“クビ”にしないのか?


「それは可哀想だから」と…。
散々悪く言うクセに。何故??

と ずっと思っていたが…
何故、彼女を在籍させ続けるのか。

後日、
偶然“ワケ”を
知ることとなる。


No.180

「ライカちゃん、お願いね」
と言われてから、接客準備に入る。

接客に必要なものを用意して、
パウダーシートで
体を綺麗に拭く。

トイレのウォシュレットと
ボディソープを使い、
陰部を洗う。

5分以内で用意。

用意が出来たら、
受付の裏口側から
「スタンバイOKです」
と声を掛ける。



…この時に、偶然見てしまった。
受付のパソコン画面を。

パソコンの表には、
お客さんの会員番号
お客さんの名前(ニックネーム可)
備考欄があった。

お客さんの備考欄に

「この客、ムカついた。
次に来たら、ユキをつけること」

…そう 打ってあった。

ユキさんが、
何故 クビにならず
ずっと店に居られるのか。

分かった気がした。


ユキさんは

「嫌な客、撃退用」
「クセの強そうなお客用」
「おじいちゃん接客用」

として、在籍させられて
いるのだろう。

他の女の子が
接客で嫌な思いをしないよう、
ユキさんは「盾」の役割なんだと。



私は 【怖い…】と
思ってしまった。



そして、

【ユキさんと、
同じ扱いをさせられるのは
真っ平御免だわ!】

【誰にも文句は言わせない!】

…そう 強く思った。


私は
ダイエット成功を
固く決意した。


No.181

働き始めてから、
2ヶ月ほど後

コムロさんが働く店舗から
「ヘルプ」で
スタッフが一人、やってきた。

名前はウエダさん。

当時で25歳。
細身・黒髪・短髪。
真面目そうなスタッフ。

このスタッフが来ていたことは、
帰り際、店内の片付けの時に知った。

ウエダさんは
業務用の掃除機で
店内を掃除していた。

私は「この方は…?」
と、コウキさんに聞いた。

コウキさんが答える前に、
ウエダさんから自己紹介。

「△△からヘルプで来た、
ウエダです。」
「まだ入り立てですが…」

掃除機をかけながらの
自己紹介であった。


私は、その時は
「ふーん…」
「スタッフもヘルプで
入ることがあるんだな~」
と、何の気なしに居た。

でも、後から
少し気になって、

家に戻ってから
コムロさんに
ウエダさんのことを
聞いてみた。


ライカ
「今日ね、コムロちゃんの店舗から
ヘルプでスタッフが来たよ」

コムロ
「え~?名前は??」

ライカ
「ウエダさん…だかって人。」

コムロ
「ああ、ウエダさんね!
真面目で凄くいい人だよ」
「でも、ああ見えて、
親父ギャグばかり言うんだよね」


コムロさんからの
説明も、
この時は
何の気なしに聞いていた。





…後々、

このウエダさんが、
私の人生の方向を
大きく変える
キッカケの一つとなります。


この時は当然、
そんなこと
予想も出来ないわけですが。

他の店舗のスタッフだしね。


No.182

ダイエットを始めて、
体重は、少しずつ落ちていった。

「食べないったら 食べない!」
私のダイエットは
相変わらずであった。

体重の降下と 比例するかのように、
指名客の数も増えていって、

【ユキさんと
同じ扱いを受ける】

ことからは、
何とか回避した。


-----

働き始めて、半年。

私達のシェアルームに
新しい住人が来た。

個室を独占していた女の子の
後輩にあたる子で、

個室独占の女の子が
「彼氏と同棲するから」と
出て行く時に
入れ替わりで入ってきた。

名前はリンさん。
私より、1つ下。

美しい、ストレートの
サラサラな黒髪で、
和風美人である。
読書が大好きで、博識だった。

ナルミさん、コムロさん、私。
3人は、初対面であった。

リンさんも
所謂「オタク」で、
絵は描かないものの、
同人誌即売会に行って
「買う専門」であった。

オタク集団の私達は、
直ぐに意気投合。
仲良くなった。


リンさんも、
仕事に困っていた。

私は、リンさんに
「一緒に働かない?」
と誘ってみた。

夜の仕事に理解のあったリンさん。
見かけによらず
「そうしてみます」と
スンナリOKの返事。


このことに、
怪訝な顔をしたのは、
ナルミさんであった。


No.183

私達よりも「先輩」の
ナルミさん。

私とリンさんが
同じ店で働くことに、
難色を示した。


同じ店で働くと、
指名などで「給料格差」が
出来て、必ず揉める。

「連れ」の片方が店を辞める時、
「もう片方」も釣られて
辞めることが多いから、
黒服(スタッフ)は
「オトモダチの紹介」は
絶対歓迎しない。


ナルミさんは
「兎に角やめておけ」と、
言って聞かなかった。

私とリンさんは、
顔を合わせて

(…は???)

であった。


だって、
「本番サロン」で
一緒に働こうと
私に紹介したのは、

他の誰でもない、
ナルミさんなのである。

給料のことだって、
私よりも
ナルミさんの方が
給料が良いからって
揉めたことなんて、
一度も無い。



(この人は、
ナニを言っているんだ??)


取り敢えず、リンさんには
「お店の人に、聞いてみるね」
と伝える。

翌日、サド店長に
「紹介したい女の子が居る」
と伝えたら、
サド店長は 大歓迎していた。

リンさんの特徴を伝えると、
更に大歓迎。

リンさんの面接をしたいから
早速明日連れてきて欲しい
と言われた。



「黒服は、絶対に歓迎しない」




私は だんだん、
ナルミさんのことを
信用しなくなってきていた。

本サロでの出来事でも…。

妊娠は、不可抗力に近かった。
なのに

「ライカちゃんを紹介した、
私の身にもなってみろ」
なんて言われ方をしたし、

「流産すればいいのにね」
の言葉にも、疑問を感じていた。

シェアルームでの暮らしでも、
ナルミさんについては

私、コムロさん、リンさん。
3人とも、飽き飽きしていた。

No.184

シェアルームでの
ナルミさんに対する不満。


自分で使った食器を
かなり溜め込んでから洗う。
↑私が洗うと、
「後でやろうと思ってたのに」
と怒る。(意味不明)

洗濯→脱水したまま放置。
洗濯機を使いたいのに
ナルミさんの衣服が邪魔で
使えないことが多い。

何かと理由をつけて、
ゴミ捨てに行かず、
ベランダにゴミ袋を溜め込む。

自分で「飼う」と決めて
拾ってきた猫の世話をしない。
「誰かがやってくれるだろう」精神。
(私達は餌だけあげていた。
ナルミさんが気付くまで、
意地でもトイレ掃除はしなかった)

自分は何もしないクセに、
文句ばかり多い。

ライカちゃんに
一緒に住もうと誘った理由は、
「家の中のことを
やってくれそうだったから」
だった。
(↑かなりムカつきました)


他にも、細かいことで 色々…。




次の日。

リンさんは、
当然 面接にはパスし、
私と一緒に働くことになった。


そして、
シェア生活に
変化が訪れる。

賃貸の「利用規約」に
反することばかりを
していた私達に、

管理会社から
退去命令が降りたのである。


No.185

部屋を借りた時の
「名義人(家主)」が、
もはや住んで居ないこと。
(管理会社に無断で、
住人が、入れ替わり
立ち替わりしていた)

動物を飼っていること。


これらがまずかったようで、
私達は、シェアルームから
出て行く羽目になった。


私達はコレを
「絶好のチャンス」だと思った。


【ナルミさんだけ省いて、
私達3人で住もう!】


そう 思ったのである。

私達は、ナルミさんには
「各自で独り暮らしをする」
と、嘘をついた。

そして、
ナルミさんには内緒で
引っ越し資金が溜まるまで、
私達3人は、お店の寮(一部屋)を
借りることに。

コムロさんも
系列店勤めなので、
入居可能。



私達は、
「家電」をゲットしたく、
ナルミさんが居ない隙に、
運べるだけ運んで、
シェアルームを後にした。

ナルミさんに
残された家具・家電は、

洗濯機
テレビ(テレビ台は無し)

この2つだけであった。


シェアルームから
寮までの引っ越しは、
お店のスタッフが
手伝ってくれた。

お店のスタッフは、
毎日毎日
同じローテーションの
生活らしく、

「たまには
こういうのも無いと!」

と、張り切って
色々運んでくれた。


No.186

ナルミさんとは、
しばらく距離を置こう。

同じ趣味なので、
どうしても
同人誌即売会(イベント)では
顔を合わせてしまう。

縁切りすると
気まずくなって、
イベントを楽しめなくなる。

暫く時間を置けば、
私達の気持ちも
落ち着くだろう。


3人は、一回分の
イベント参加をキャンセル。
スペース代は勿体無いが…
行くのを やめることにした。


-----


借りた寮の部屋は、
12畳のワンルームだった。
バス・トイレは別。

3人だと、かなり狭くて
ギュウギュウ詰め。

洗濯機が無いので、
近くにあった
コインランドリーを利用した。

取り敢えず、100均で
生活用品を揃えようと
リンさんと私で100均へ。
(この時コムロさんは仕事)

なんだかんだ
色々買っていたら、
7000円にまでなってしまった。


3人暮らしは、
部屋は狭いが 快適であった。
当たり前の「基本」のルールは、
何も言わなくとも、
3人共守っていたから。


2ヶ月ほど
狭い寮暮らしをした後、
引っ越し資金が溜まったので

私達は
街中に引っ越した。

歩いて、
デカい繁華街に行ける。

みんなが、
バスや車を使って行く場所に、
私達は、徒歩で行けてしまう。

家賃は高かったが、
3人で折半なので、
余裕で住めた。


またまた、
お店の人たちがノリノリで
引っ越しを手伝ってくれた。


No.187

お店では、
リンさんは大活躍した。

真面目な性格と、
和風美人の容姿。

指名客は、
私よりもずっと多かった。

私がそのことを、
焦ったり、僻んだりも無い。

むしろ
「紹介してみて良かった」
と思えた。

私の指名客は、
少しずつ増えつつあったので
お店のスタッフは
「リンさんより指名が少ない」
などと、
私を追い詰めるようなことは
しなかった。


暫くは、本当に快適に過ごした。
お店の女の子達とも
和気藹々と接していて、
時々 5~6人で
飲みに行くこともあった。


-----


お店には、
コムロさんが働く店のスタッフ
ウエダさんが、
頻繁にヘルプに来るようになった。

私は、何となく
ウエダさんのことが
気になっていた。

短髪黒髪、細身の体型。
締まった顔付き。
私好みの容姿。

何を考えているのか
よく分からない
飄々とした雰囲気。

真面目なのに、
口からたまに出る言葉は
親父ギャグ…。


でも、
お店のスタッフと
女の子との「あれこれ」は、
絶対禁止。御法度行為。

お店のスタッフは、
女の子に対して
「依怙贔屓」してはならない。

依怙贔屓していなくとも、
「アイツら、デキてる」となると
周りの見る目が変わる。
お店の雰囲気が悪くなる。

お店の雰囲気が悪くなると、
不思議と、お客も来なくなる。

兎に角、
いいことが無いと。


過去に、
お店のスタッフと
女の子がくっついて、

2人で、夜逃げ同然で
「逃亡」したことが
あったらしい。

逃亡せざるを得ないくらいに、
スタッフに対しては
厳しい制裁が待っている。


社長も店長も、
社長よりも更に偉い
「会長」(?)も、

スタッフと
女の子との恋愛には
かなり厳しい。

女の子よりも、
スタッフが厳しく責められる。
罰金刑(100万)を受けるのも
女の子ではなくスタッフで、

敢えてクビにはせず、
こき使うだけこき使って、
給料も、殆どが
「罰金の支払い」として
天引きされてしまう。

女の子が、
お店のスタッフに
「片想い」するのは
構わない。

でも、
「逆」は絶対ダメ。
女の子は、お店の「商品」。
平等に見なくてはならないから。


No.188

接客をしていて
「いいなぁ」と思う
お客に出逢った。

指名で来てくれるようになり、
メアド交換もしてある。

名前は、ハルカワさん。

年齢は、当時で32歳。
私よりも12歳年上。

見た目は、
サッカー選手のよう。
色黒で、イケメン。

でも、服装や趣味は
かなり地味なものであった。
仕事は運送業。


私は、ハルカワさんからの
「責め」に、かなり弱かった。


「サービスはいいから」
「俺に触れさせてよ」

感じる部分に触れられ、
舐められ…

私は「演技」ではなく

「本気」で濡れそぼり、
「本気」で感じて、
「本気」で達していた。



「あぁ…イく…イクイク!」
「イッちゃう…!!」


舌と指、両方の責めで、
私はアッと言う間に
達してしまう。

一度達すると、
ソロソロと
舌だけの責め。

くすぐったい感覚が、
徐々にまた
快感に変わっていき、

直ぐに、
二度目の「波」が来る。

50分の間に、
二度も、三度も
イかされた。


ハルカワさんの前でだけは、
私は「女」になった。

そして、ハルカワさんは
私の人生で初めて
「気持ち良さ」を教えてくれた
男性でもあった。


今までは、
触られても、舐められても、
挿入されても、
何も感じない。

何も感じないか、
乱暴で 痛みを伴うか。

本番サロンの時から
私の接客は
「ローション頼り」であった。

お店の女の子に
「あまりローションに頼ると
濡れなくなっちゃうよ」
と 言われたこともあった。

ローションを使うと、
自分から
濡れづらくなると。


No.189

ハルカワさんに、
聞いてみた。

「私のどこが良いのか?」と。

ハルカワさんは、
痩せている女の子が
生理的に受け付けないらしい。

そして、私は
「感じやすいから」と。

更に
「ライカちゃんって、
不思議とニオイがしないよね」
「俺、ニオイがキツい子
ダメなんだよ。
具合悪くなっちゃって」

とも言った。

どうやら、私は
「無臭」に近いらしい…。

これは、他のお客からも
言われたことがあった。

「ニオイが無さ過ぎて、
ちょっとモノ足りないね」
なんて 言われたことも(汗)


(まぁ、臭いよりは
     いいですよね)


ハルカワさんを
初めて部屋に通し、
ハルカワさんの顔を
よく見た時、

私は「グッ…」と、
持って行かれたような
不思議な感覚になった。

これが
「一目惚れ」
と言うやつなのかな…


ハルカワさんは、
最初からサービスを
受ける気は無く、

「俺、責める方が
好きなんだけどな…」

と、直ぐに
ポジションを交代。

好みのハルカワさんに
初めてキスされ、
初めて触られた時、

「凄く気持ちイイ」
と思った。

頭がジンジンして、
ぼ~っとしてくる。

感度が高い場所に
神経が集中する。



今までは、自慰でしか
気持ち良いと
感じたことしか無かったのに、

ヒトに触れられるのが
こんなに気持ち良いことだなんて…



私は、
ハルカワさんが
指名で来てくれることを、
何よりも楽しみになった。

ハルカワさんは
車で1時間以上かけて
私に会いに来てくれる。

場所が遠いので
1ヶ月に一度のペースだが。


ハルカワさんに
嫌われたくなくて、
私は更に
ダイエットを頑張った。

ハルカワさんは
痩せている子が無理。

でも、
「デブ→普通」になりたいと
強く思った。

ハルカワさんに
出逢った時で、
身長163センチ・体重63キロ。

目標は、55キロ。



No.190

リンさんは、指名客と、

外で 会うようになっていた。

最初は
「お友達」だったが、
いつの間にか
お付き合いするにまで
発展していた。

勿論、
店の人間には内緒であるし、
私も、店の人間に
告げ口をするつもりは
全く無かった。


その指名客は
リンさんにベタ惚れで、
2週間に一度
「3回分(50分×3)」の予約を入れ、
リンさんに会いに来る。

マニュアルのサービスを
受けたのは、
初めて店に遊びに来た時のみ。

2回目以降は、
サービスは全く受けず、
リンさんと
楽しくお話をするだけ。

リンさんとは
外で会えるのに、
敢えて指名で店に来るのは、
リンさんの
「収入アップの為」
「指名数アップの為」と、
(↑リンさんの希望ではなく、
指名客自らの希望で)

店のスタッフに
「店外デート」を
バレないようにする為。


“僕はお客ですよ”
“外でなんか会ってないよ”
“外で会えないから
 店に来てるんだよ”


店のスタッフには
あくまで「客」であることを
アピールする為。



店外デート、
意外と バレる。

店のスタッフ(特に社長)は
かなり“鼻”が利く。

「怪しい!」と思ったら、
仕事を終えた後、
女の子を 尾行する。

でもって、
「怪しい!」のカンは、
驚くくらいに当たるらしい。


リンさんは、
バレていないと
ずっと思っていた。

だから、
指名客(彼氏)とは
ガンガン出掛けたし、
色々 買って貰ったりもしていた。



でも、リンさんは
指名客と付き合うようになってから
すっかり 変わってしまった。

リンさんも
指名客の彼に 夢中なようで、

家のことには
見向きもしなくなった。

ナルミさんよりも酷く、

使った食器を放置し、
洗濯物も、脱水かけたまま
干さずに放置し、
そのまま指名客の家にお泊まり。

一週間は、帰って来ない。

服は脱ぎ散らかしっぱなし。

脱いでは重ね、脱いでは重ねして、
リンさんの使っている座椅子が、
脱いだ服の山に
埋もれていた。

更に、
趣味で集めている本が
そこら中に平積みに…。

私も コムロさんも、
かなり 呆れていた。


No.191

私とコムロさんは、
流石に呆れて、

リンさんに 注意した。

かなり 物腰柔らかく。

「使った食器は、
洗ってから泊まりに行ってね」
「洗濯物、干してから
泊まりに行ってね」
「洋服や本、片付けてから、
泊まりに行ってね」

と…。


リンさんは、その度に
「ああ、スミマセン!」
と、慌てて片付ける。

でも、その時“だけ”
しかやらない。

数日すれば
もうスッカリ頭から抜けて、

やりっぱなし
脱ぎっぱなし
出しっぱなしで

泊まりに行ってしまう。



…そんなある日、

店のスタッフに
リンさんの「店外デート」が
バレてしまった。

リンさんが
「今日は、帰りの送りは
要らないですから」
「彼氏が迎えに来ているので」と、

独りで 帰ってしまったことがあった。
リンさんは、最後の接客が終わると
サッサと着替え、
お店の片付けもせずに
出て行ってしまった。


その「最後の接客」が
例の指名客だった。

指名客は、
リンさんが仕事が終わるのを
車の中で
ずっと待っていたらしい。




店を出たリンさんを、
サド店長が、後をつけていた。

店から出て しばらく歩き、
リンさんが、指名客の車に
乗り込もうとしたところで
「御用」となった。


その指名客は
「出入禁止」にされ、
二度と、店に来ることは
無くなった。

リンさんの指名客は、
デジカメで 顔写真を撮られ、
店の待合室の
「出入禁止」の掲示板に
顔が張り出されてしまった。


私も
(そこまでするか??)
とは思ったが…

ルール違反だから
仕方が無い。


サド店長も
「一人を許すと、
後を絶たなくなるから」と。

かなり渋々であった。


No.192

リンさんは、
すっかりご立腹。

尾行までして、
挙げ句
指名客(彼氏)の顔写真まで撮り、
店の待合室に貼り出したことに…。


「ルール違反は認めます」
「私達が悪いんです」

「でも、お店に散々
遊びに来てくれて、
売上貢献してくれた人に、
“あの仕打ち”は無いです」


“あの仕打ち”とは勿論、
顔写真の貼り出しのことである。


「私、店を辞めます」
「辞めて、彼と結婚して、
彼と住みます」


そして、
こんなことも言っていた。

「私、ライカさんとコムロさんの
迷惑になってるんですよね?」
「スミマセンでした」
「家を出ますので…」


私は、リンさんの
この開き直り様に、
ただただ 呆れるばかりだった。

店外デートも、
家のことをやらないのも、
全部、リンさんが悪いのに。

「私が居なくなればいいんですよね?」

だなんて。


それから2ヶ月後、
リンさんは、出て行った。

リンさんとは それっ切り。

コムロさんの携帯には
たま~に近況連絡が入るらしいが、
子供もまだらしい。


指名客だった彼は、
バイト3つ掛け持ちの
当時34歳。

バイトの掛け持ちで
寝る時間が殆ど無く、

ひとつのバイトで
居眠りを多発。

居眠りを多発させたバイトは
クビになって、
バイト先が一つ減ったと
リンさんから聞いた。


当時の私は
特に何とも思わなかったが、
今考えると…
バイト2つ3つの掛け持ちで
結婚とか…浅はかと言うか。
何というか。

しかもリンさんは
「私は働きません」
「養って貰う為に、結婚するんです」
「愛?愛とか…よく分かりませんね」
と言っていた。

彼に対して
信頼感はあるようだが
愛情は、よくわからないとのこと。

「この人を逃したら、
次はもう、無いと思うので」

と、リンさんは
結婚を焦っていた。

兎に角「楽」をして
生きていきたいと。

「兼業主婦」になる気は
サラサラ無いようだ。

旦那はバイト掛け持ちで、
子供も居ないのに
専業主婦だなんて…。

今も家で、
ダラけきった生活を
しているのだろうか。


No.193

■22歳■

コムロさんとの
2人暮らしが始まった。

でも、特に
生活に変化は無し(笑)

コムロさんと
同じ漫画や
ゲームにハマって、

同人誌を描いたり、
コスプレしたり、

パソコン買って
ホームページを立ち上げ、
仲間と交流したり。

それなりに
楽しく過ごした。


私も、54キロまで
体重を落とし、

やっと「普通体型」になった。

お店のサド店長も
「ライカちゃん、すっかり
綺麗になっちゃったもんな~」
と言ってくれて、
積極的に、お客さんを
私にまわしてくれるようになった。

そのお蔭もあって、
指名客もかなり増えた。


この頃のお店は、

兎に角、
女の子の質が 悪かった。

指名を取る女の子は
どんどん辞めていき、

少ない接客で
沢山お給料が出る
大きな繁華街へ
流れて行った。

女の子の数が足りないよりは、
頭数が 揃っていた方が良いとして

「来るもの拒まず」
の状態だった。

暇な時は、私と、
もう一人の スレンダーな女性
2人で店を回し、
団体さんが来た時だけ
他の女の子も働く。

私と スレンダーな女性
2人で 各8人の接客。

他の女の子は
3~4人の接客。

こんな日は
ザラにあった。



言葉は、凄く悪いが、

「80キロ級」
「30~40歳のオバサン」
「化粧っ気も無い、不細工」

…こんな女性ばかりだった。
インターネットでも
散々叩かれていた。

「地雷を踏んだ」
「牛に付いた」
「もう、写真指名しないと
安心して遊べない」

…お店のスタッフ達も
かなり困っていた。


No.194

私の指名客
ハルカワさんはというと、

ここ3~4ヶ月くらいは
音沙汰無し。
メールも無かった。

「指名客なんて、そんなもん」

飽きたら、次から次へと
女の子を変えていくのだ。

ずっと同じ女の子だと
そりゃ飽きる。

あの「快楽」は
惜しい気もするが、

「他の子か、他の店に
乗り換えたんだろう」

そこまで深くは
考えていなかった。



そう思っていたところに、
丁度
ハルカワさんからメールが入った。

「いけないとは
分かっているけれど、
ライカちゃんとは
プライベートで会いたい」

「お店での時間だけじゃ、
全然足りない」


このメールを打つのに
数ヶ月 悩んでいたらしい。

ハルカワさんから
メールが来ると、

あの「快楽」が
頭をよぎった。


ハルカワさんとの時間を
思い出すだけで、

私の秘部は
ジンジンと熱くなり、
濡れそぼってくるのだ。



私は、
(今直ぐにでも会いたい)
(会って、抱いて貰いたい)

そう思って、
即座に返信。

「お店には、
もう来なくていいです。」
「私も、今直ぐにでも会いたい」
「いつなら空いてますか?」

リンさんのような
失敗はしない。

もう ハルカワさんは
“お客”ではない。

ちょうど、店にも来なくなったし。
そう、思うようにしようと決めた。


ハルカワさんからは
「日曜日なら、毎週空いてるよ」
と返信が来た。

私は早速、
日曜日に会う約束をした。


No.195

土曜日も日曜日も
私は仕事だったので、

ハルカワさんとは、
土曜日の仕事の後
(日曜日の深夜1時頃)
に会うことにした。

ハルカワさんからは、
夜の8時頃に
「今仕事が終わったよ。
これからそっちに向かうから」
と言うメールが入っていた。

仕事を終え、
スタッフに家まで
送り届けて貰った後、

ザッとシャワーを浴び
体を綺麗にし、

まだ帰宅していないコムロさんには
「これから彼とデート(^^)」
とメール。
(一緒に住んでるから、一応連絡を)

慌てて
新しい下着に着替える。


着替えている最中から、
シャワーを浴びたばかりだと言うのに、
私の秘部は もうパンパンで
蜜が漏れ出していた。

服を着て、ドタバタと
アパートを出る。

アパートの下には、
ハルカワさんの
黒い車が…。



「ライカちゃん!
久し振り。本当に
来てくれるなんて…」

ハルカワさんは、
私は来ないんじゃないかと
心配していたらしい。

「でも、少し不用心だな~」

「俺が“悪い人間”だったら
どうする??」

少し ふざけた調子で
ハルカワさんは
笑いながら言った。


私は、もう我慢出来なくて。
ハルカワさんに
いきなり迫った。


「ハルカワさん、私…」
「もう、我慢出来ない」

「今すぐ、イかせてください…!」

私は、飢えた獣
そのものだった。

ハルカワさんからの返事を
聞く前に、私は
車の中で ズボンを脱いだ。

「え?え??」
「ちょっと待って!」

ハルカワさんは
慌てて車を移動。

人通りの少ない、狭い路地
光の少ないところに路駐。

「ライカちゃん…」
「やらしいね」


私は、後部座席の
真ん中に上半身を置き、

運転席と
助手席の間から

下半身を 剥き出しにして
M字に開脚をしてみせた。

「すごい…」
「こんなになってる……」

街灯で照らされる
ヌラヌラした秘部を
ハルカワさんは
ずっと観察している。

私を焦らしていた。

「お お願い…」
「早く……はやく…」

ニヤッと笑いながら
腫れ上がった私の秘部に
いきなり舌を這わせてきた。

ザラザラヌルヌルとした感覚が
直ぐに私の「波」を
大きくした。


No.196

固い秘部を
舌で激しく弾かれると、

私は アッと言う間に
達してしまった。

ハルカワさんは
私の蜜を
残らず吸い上げる。


(…全然足りない……)
(もっと、もっとイきたい!)


私はハルカワさんに
恥じらいも無くねだった。

「全然、足りないです」
「もっともっと、沢山イかせて…」

ハルカワさんは
何も言わず、
またニヤリと笑い

私の秘部に 顔をうずめた。

今度は、
舐めるのと同時に
指が挿入され、

中を グチャグチャに
掻き回される。

卑猥な水音が
車中に響いた。

その いやらしい音に
更に気持ちは高ぶった。




車の中で、
私は4度もイかされた。
(正確には「イかせて貰った」か)

「こんなにイク女の子、
初めてだよ…」

ハルカワさんは
驚いていた。 そして…


「入るよ。…いい?」


ハルカワさんを
受け入れる準備は、
十分過ぎるくらいに
出来ている。

ハルカワさんの秘部も
ギンギンに反り立っていた。

私は(うんうん)と、
息を切らせながら頷く。



ハルカワさんは
勢い良く、

容赦なく、私の中に
反り立った秘部を
突き立てた。


突然、「ズンッ!!」と来た
快楽に、私は思わず

「ああ…!!!」

と 声を上げてしまった。


車の中に
肉のぶつかり合う音が
響き渡る。

グチャグチャと
いやらしい音も…。

私は、
(セックスって、
こんなに気持ちイイものだなんて)
と、この時初めて知った。


「ライカちゃん、
うつ伏せになって…」

一度引き抜かれ、
私は(早く入れて欲しい)と
直ぐにうつ伏せの体勢になる。

ハルカワさんは
私の腰を持ち上げ、
今度は後ろから
激しく突き立ててきた。

狭い車の中での、
あの密着感。

響き渡る
いやらしい水音。

体の中から来る
グングンとした快楽。



…狂ってしまいそうだった。


No.197

激しく突き立てながら、

ハルカワさんは
前の方に手を伸ばし、

私の固い秘部を
指の腹で
優しく撫でてきた。


「そんなことされたら…」
「直ぐイッちゃう!イッちゃう!」

ハルカワさんは

「一緒にイこう」

と言った。
ハルカワさんも
限界のようだった。


私がイきそうなのに合わせて、
ハルカワさんは
更に激しく、
腰を叩き付けてきた。



「あ、あたし…もう」
「イ…イくぅ………っっっ」


【あああぁ!!!!】



私の中が
ギュ~ッと絞まるのに合わせて
更に激しく突き立てて、


「メチャクチャ絞まる…!!」
「出る……!!!!」


ハルカワさんも 果てた。



暫く、背中側から
ハルカワさんに
抱き締められる体勢で
余韻に浸った。


ハルカワさんは
果てた後、

なかなか
引き抜こうとしなかった。




私は
幸せな気持ちで
いっぱいになった。



(ああ、ちなみに
ちゃんと避妊はしました)


No.198

ハルカワさんと私は、
余韻に浸った後、

服を着直して、
車を走らせてた。


「お腹、空いたね」
「どこかで食べようか?」

「……」

私は、その問いかけに対して

「突然、すみませんでした」
と謝罪した。

流石に、いきなり過ぎたと。


ハルカワさんからメールが来て、
快楽を思い出し、
暴走してしまった。


ハルカワさんは
笑いながら言った。

「むしろ、嬉しかったよ」と。

24hのファミレスに入って
ご飯を食べて、
腹拵えをした後
深夜のドライブを楽しむ。

ハルカワさんは
「明日は日曜日で
仕事が無いから」
と、徹夜でドライブすると言った。

私は、夕方5時から
仕事なのだが……

「私も明日、仕事 休みます」
「風邪引いたって言えば
多分大丈夫ですから」

仕事だから
そろそろ寝なきゃいけないとか、
ハルカワさんと
別れなくちゃならないとか、
考えたくなかった。

「だから、思う存分
遊びましょうか!」

この時初めて、
私は お店をズル休みした。

今までは、
予め予定を組んだお休み以外は、
休んだことが無かった。


ドライブしながら
ひたすらお喋りをして、

空が青くなってきた頃、
波止場に車を停め
外に出て、少し冷たい
空気を吸う。

朝日が昇ってくるのを見ながら
お喋りの続き。

昼頃、
眠気の限界が来て
安いラブホへ。

セックスはせず、
眠るだけ。


ラブホを出たら
またドライブ。

ドライブスルーで
ファストフードを頼んで
ドライブしながら
腹拵えをして………



夜の9時頃。
お別れの時間がやってきた。

楽しい時間は
アッと言う間だった。



家の前。
私は車の中で、

ハルカワさんに
告白された。


No.199

お店の女の子だし、
ダメだ、ダメだと思ってた。

もう、会うのは止めよう。
忘れよう。
そう思って、
連絡したかったけど
ずっと我慢してた。

でも、限界が来て
ついメールしてしまった。

色々、
順序がデタラメになってしまったけど…
付き合わないかな?俺と。




私は、久し振りに
味わった。

この、何とも言えない
ドキドキ感。

フワフワと
浮くような気持ち。

中学1年の時、
ファーストキスの相手
ハセガワくん。

中学生を終える時
第2ボタンをくれた、
クラスメイトの
野球少年 ユウ。


久し振りに湧いてきた
「恋愛感情」であった。

ハルカワさんに対して
恋愛感情は

前々から
あったのかもしれないが、

ハルカワさんから
告白されたことで、
ハルカワさんへの気持ちが
明確になった。



私は、

「はい、勿論です」

と、即答した。


「そ、そうか~」
「あー良かった~!」
「思い切ってメールしてみて!」

ハルカワさんは
かなり喜んでいた。


「でも、私…」
「男の人と付き合ったこと
今まで一度も無くて……」

「付き合い方が、
よく分からないのですが。」

私がそう付け足すと、
ハルカワさんは
飛び上がるように、
かなりビックリしていた。

「えー!!」
「今まで一度も
付き合ったこと無いの?」

「またまた~」
「嘘だぁ~」


私は「本当ですよ」と
返すしか無かった。

それが事実だし……。


No.200

22歳にして、
初めての「彼氏」だった。

10歳も年上の
ハルカワさんは、

22歳の私からすれば
かなり「オトナ」で、
凄く 魅力的だった。


私は、ハルカワさんと
1週間~2週間に一度会って
色々楽しんだ。

セックスも
更にエスカレートし、

目隠しプレイ
私を縛って拘束プレイ
聖水プレイ

など…。



会う度に 体を重ね、
あちこちドライブもした。



でも、

ハルカワさんと
付き合うことによって、

風俗の仕事が
「過酷」なものと
なっていった。


ハルカワさん以外の男性に
体を触られるのが、

メチャクチャ 苦痛になった。

今までは 触られても
特に何も感じず、
演技を平気でこなせていたのに

触られると、
兎に角 不快にくすぐったく、

「やめろ!!!!」

と、怒鳴り散らしたくなる程
イライライライラ
するようになった。

それとなく
お客に触らせないように
色々工夫をこなすようになった。


指名客は、
減りこそしないが、
増えることは
無くなった。


No.201

ハルカワさんとの
幸せな日々も

長くは 続かなかった。



付き合い初めて
数ヶ月後。

あくる日曜日、
いつものように
ハルカワさんとの
セックスを楽しみ、

外食をして
ドライブをして…


そして 夜。
別れ際。


ハルカワさんは
名残惜しむかのように、

私を優しく
強く抱き締め、

「ライカちゃん、ごめん…」

(…え??)


ハルカワさんは
それだけを言うと、
車に乗って
去って行った。


“ごめん”の意味が
よく分からなかったが、

私が家に入ってから直ぐに、
ハルカワさんから メールが来た。


そこには
信じられないことが
打ってあった。



「ライカちゃん、ごめんね。」

「俺、実は結婚してるんだ」

「ライカちゃんが、
あまりにも良い子だから
これ以上、黙っていられなくて…」

「本当に、ごめん」




【“結婚”】

この文字を見た瞬間、

私の心臓は
バクバクと激しく早くなり、
顔に血がのぼって
カ~ッと熱くなって…

携帯を持つ手が
震えだした。


「え?嘘でしょ??」

「毎週のように、
日曜日に会えたのは何故??」

居ても立っても
いられなくなり、

指を震わせながら
直ぐにメールを打った。


ハルカワさんからの返信は
早かった。

「俺は、趣味をやるのに
大抵、日曜日は家に居ないんだ」

「だから、日曜日に
俺独りで外出しても、
全然怪しまれないんだよ」


メールでは、
まどろっこしかった。

会って、
直接話しがしたかった。

色々、聞きたかった。


この日、それ以上は
メール出来なかった。





コムロさんは
仕事で居ない。



私は 部屋で独り、
むせび泣いた。


No.202

散々泣いて
落ち着いた後……

次の日曜日に
会って話がしたいと思い、
金曜日の昼頃
出勤前に、メールを打った。


ハルカワさんは
もう二度と、
私と会うつもりは
無いのだろうか?

こんな別れは
辛過ぎる………


私は
「結婚しててもいい」
「お別れだけは嫌」
「出来れば、会って話がしたい」

そう
メールをした。

暫くすると
ハルカワさんから返信。


「俺も、ライカちゃんと
別れるのは辛い」

「奥さんとはもう、
冷え切っていて……」


ハルカワさんは
離婚を考えているようだった。
でも、

「息子が居るから」
「離婚に踏み切れない」

とも………。



「明後日は、ちょっと無理なんだ。
再来週の日曜日に、また会おう」


私は、
もどかしい気持ちのまま
8日間を過ごした。

風俗の仕事も
「魂、ここに在らず」で

お客から
苦情が連発した日もあって、
私は、尚更落ち込んだ。


スタッフのコウキさんから

「ライカちゃん、大丈夫?」
「何かあったの?」
「何でも相談に乗るから!」

と、とても心配された。
サド店長からも
同じような言葉をかけられた。

タチバナ社長は

「運が悪かっただけ!」
「まぁ、こんな日もあるさ」
「あまり気にすんなよ!」
「気持ち、切り換えてけ!」
「次の客に引っ張るなよ!」

そう言うと、
私の背中を強く
「パンッ」と叩いてくれた。


お店の人達や、
お客さんにまで
迷惑かけて…


私は
申し訳無い気持ちで
いっぱいになった。


No.203

メールをしてから
8日後の日曜日の深夜。

ハルカワさんと
会った。

また私は
性欲を 爆発させ、

初めて
外で会った時と
同じように、

人通りの少ない
薄暗い路地に路駐して
カーセックスをした。


「ライカちゃん…」

「いつもより、
沢山濡れてるね…」


ハルカワさんが
欲しくて欲しくて、
たまらなかった。



ハァ… ハァ…

   ハァ……


「ほら…」

「垂れて、
流れてきてるよ」



私の
左胸の突起物に
舌を這わせながら、

左手で
右胸の突起物を
いじくりまわし、

右手で
ダラダラと
よだれを垂らしている
下半身を
グチュグチュと
掻き回す。


この日は、
いつもより、

徹底的に
イかされまくった。


触られ過ぎて、
感覚が
麻痺するくらいに。



そして、挿入は
最初から バックで。

激しく激しく
腰を打ち付けながら、

ハルカワさんは
ローターを取り出し、

下半身の
敏感な部分にあてがう。



指や 舌とは また違う、
小刻みの激しい感覚に、
おかしくなってしまいそうだった。


ハルカワさんの
熱い肉と、

ローターの
ブルブルとした
小刻みの刺激で、

私は アッと言う間に
イッてしまう。

でも、
ハルカワさんは
まだまだ 止めなかった。

「あ、あたし、もう…」
「もう、イッたよ!」


イッたばかりで
くすぐったい
下半身の突起物に

更に
ローターを
あてがい続けた。


「やめて!やめて!」

「変になる!」
「おかしくなるぅ!!」


ハルカワさんの
鬼畜な攻めは

かなり続いた。


No.204

何度イかされたか
分からないくらい、

私達はずっと
セックスをしていた。

この日は、
ハルカワさんも

一度だけでなく、
二度も三度も果てた。


沢山抱き締め、
沢山、キスもした。



とろけて しまいそうだった。



体力の限界で、
ようやく止まった頃、

私達は
やっと 口を聞いた。


第一声は
ハルカワさんの

「大好きだよ」
「ライカちゃん…」

であった。



暫く 車の中で
ぼ~っとしながら

乾いた喉を
お茶で潤して…


私は

「お別れは、辛い」

とだけ 言った。



ハルカワさんは

「俺も、別れたくない」
「でも、別れなくちゃ」

…そう 返してきた。


私との交際費が
底を尽きてしまった。

今までは、
家族旅行などの為に
積み立てていた貯金を

少しずつ
切り崩して使っていた。

私に、お金のことで
迷惑はかけたくないと。



私は、
お金のことなんかで
お別れは、嫌だった。

交際費なんて、
私が何とかすればいい。

奥さんに愛されず
寂しい思いをしているなら、

私の愛で
寂しさを埋めてあげる。




本気で
そう 思った。



そして、あわよくば

今の奥さんとは離婚して、

私と ずっと一緒に……………




若気の至り。

「恋は盲目」であった。


No.205

高価な物を買ったり、
現金をあげたりなどは
一切無かったが、

私は
ハルカワさんとのお付き合いに
金を 注ぎ込むようになった。


外食・ラブホ・移動(ガソリン)
コンビニで買う
ちょっとした間食や
ジュースやお茶に至るまで、

全部、私が支払った。

連休を使って
温泉に行った時も、
2人分の宿泊費は
全て、私持ち。

温泉宿まで行く
かなり遠出のガソリン代も
全て、私持ち。


私の23歳の
誕生日に至っては、

ラブホ・誕生日ケーキ・
(やはり)ガソリン代…
全部、私が用意した。



全部が全部

私の支払いとなると、
気持ちはだんだん
荒んできた。



会う約束の
ドタキャンも増えた。

突然、
「家族で○○があるから」と…
前は そんなこと無かったのに。


お金を掛けたくない
(支払って貰いたくない)から、
ドライブも
外食も無くなっていき、

残ったのは
体の関係だけとなった。



私が風邪を引いた時、
ハルカワさんに
お水と、のど飴の
お使いを頼んだ。

熱が高く、フラフラで
ぼ~っとしていて
その時は
すっかり忘れていた。

お水と、のど飴の代金
800円を
ハルカワさんに
渡すのを…。


後日 会った時、
ハルカワさんは
すこぶる機嫌が悪かった。

「もしかして、
私が風邪を引いた時の??」

と聞くと、

「ああ。」
「俺、ホントに金無いから」

と、ボソリと言った。


こんな感じなので
喧嘩も 絶えなくなった。

ほんの些細なことで
大喧嘩になる。

私も
ハルカワさんも

少しずつ
疲れていって


「もう、別れようよ」
「金が無さ過ぎて、
俺はもう、嫌なんだよ」

と言う話を
何度もされた。


私も「別れようかな」と
何度も思ったが、

「彼氏」が居なくなる寂しさと
「情」みたいなものが、

別れの邪魔をした。



No.206

ハルカワさんに
疲れ切っていた時、

お客さんで

また
「いいなぁ」と
思える人に出逢った。

名前は カンザキさん。

年齢は、
ハルカワさんの
更に上をゆく
当時で39歳。


でも、見た目と雰囲気が
かなり若く、
28~30歳くらいだと
ずっと思い込んでいた。

後日、免許証を見せられ
やっと納得した。


お店でのサービス中、

見た目も、雰囲気も
サッパリとした感じなのに、

キスは濃厚で、

69の時の、
彼からの舌の責めで
アッと言う間に
イかされてしまった。

舌使いが柔らかく、
舌のザラザラが
きめ細かい。

その感じが、
私には たまらなく
「快感」であった。


私は
(この人と、ヤッてみたい)
と言う 安易な気持ちから、
来店当日に、メアド交換。

店のスタッフに
顔を覚えられると
厄介なので、

「もう、店には来なくていいよ」
「今度、外で遊びましょう」

とメールした。


カンザキさんは
断ることも無く、

「えー、マジでいいの?(^^)」
「じゃあ、今度遊ぼうな!」

と メールを
返してくれた。



後日、
カンザキさんと会って
一緒に遊んだ。

彼は、女の子に
支払われるのが
凄く嫌みたいで、

レジで
私が財布を出すと

「あ~あ~!」
「いいからしまえって」

「俺、女に払って貰うの
凄く嫌なんだよね」

と、財布を出されるのすら
嫌がった。

全て、彼の奢りで
外食・ドライブ・
ボーリング・ダーツ
ラブホ(セックス)…

思いっ切り 楽しんだ。


そして、別れ際に聞いた。
『結婚 してないよね?』と。

カンザキさんは
「してねーよ(笑)」
「俺、まだ実家住まいだし」


(39で、まだ実家か…)

引っかかる部分はあったが
一応、納得した。


No.207

これは、良い機会だと思い、

私は
ハルカワさんに

お別れの メールをした。


「喧嘩ばかりで、疲れたね」
「今まで、散々引き留めてしまって
本当にごめんなさい」

「好きな人が、別に出来ました」
「2年間、ありがとう」

「さようなら」


ハルカワさんとの付き合いは、
2年にも及んだ。

2年のうち、
心の底から楽しかったのは
最初の半年だけだった。


  • << 209 ハルカワさんからは 直ぐに返信が来た。 「好きな人が出来たんだ」 「良かったね」 「今度こそ、幸せになってね」 そう 返事が来たから、 スンナリ別れられたと思った。 ……でも、違った。 何かにつけて メールを散々送ってきて、 しまいには 「もう一度会いたい」 「家の前で、待ってる」 着信が、 わんさか届いた。 接客中、ずっとずっと 私の携帯が震えているから、 待機中の女の子達に 「携帯、ずっと 鳴りっぱなしだけど 大丈夫?」 と、心配されてしまった。 私は、直ぐに 電話もメールも 着信・受信拒否に。 でも、今度は 同じ会社の携帯同士で メールできる 「Pメール」 「Cメール」 「スカイメール」が じゃんじゃん 送られてきた。 私の携帯には、 これらのメールを 受信拒否にする機能が 付いていなかった。 お店の女の子達が、 「何かあったの?」と 聞いてきたので、 お店の“元お客” と言うことだけは伏せて 全てを話した。 お店の女の子達は 「既婚って分かった時点で 振ってやらないと!」 「女の子に全額支払わせて、 遊ぶ既婚者って… 聞いたことないわ!」 「既婚で遊ぶんだったら、 男側は、全額支払わないと。 既婚者と付き合うだなんて、 フリーの女の子側には、 何のメリットも無いんだから」 「絶対に、奥さんと 別れることなんて無いんだから。 時間の無駄なんだよ?」 「言い方悪いけど、ライカちゃんは “タダでヤらせてくれる 都合の良い女”だってことだよ」 初めて付き合った相手が 既婚者で、 しかも、ダラダラと 2年も付き合い続けてしまった。 私は、 自分が 心底マヌケで 馬鹿だったんだと。 つくづく 思い知らされた。 携帯は震え続け、 内容は全て 「家の前で、待ってるから」 …私はもう、 ハルカワさんと 会う気は全く無かった。 アパートに、裏口なんて無い。 家の前でなんて待たれたら、 家に帰れない。 私はこの日、 お店の女の子と 飲みに行って 時間を潰すことにした。

No.208

話は、
少し前後する。


カンザキさんに出逢う
少し前。

一緒に住んでいた
コムロさんが
「独り暮らしを経験したい」と、
家を 出て行った。


…とは言っても、
一緒に住んでいた場所から
徒歩1分の場所へ。

私と コムロさんとの間で
特別、何かあったわけではない。

(コムロさんは
言わなかっただけで、
何かあったのかもしれないが)

仲が良いのは
変わらないので、

私達は、頻繁に行き来した。


独り暮らしをするには
部屋が広すぎるし、
家賃も高すぎる。

私は、管理会社に連絡し、

同じ建物の中でも
部屋数が少なく、
家賃も安い場所へ
移動(引っ越し)した。

住所は変わらず。
変わったのは、
部屋の番号だけである。

「イレギュラー」の
引っ越しと言うことで、
敷金・礼金は
ゼロで済んだ。


No.209

>> 207 これは、良い機会だと思い、 私は ハルカワさんに お別れの メールをした。 「喧嘩ばかりで、疲れたね」 「今まで、散々引き留めてしま… ハルカワさんからは
直ぐに返信が来た。

「好きな人が出来たんだ」
「良かったね」
「今度こそ、幸せになってね」

そう 返事が来たから、
スンナリ別れられたと思った。


……でも、違った。

何かにつけて
メールを散々送ってきて、

しまいには
「もう一度会いたい」
「家の前で、待ってる」

着信が、
わんさか届いた。

接客中、ずっとずっと
私の携帯が震えているから、
待機中の女の子達に

「携帯、ずっと
鳴りっぱなしだけど
大丈夫?」

と、心配されてしまった。

私は、直ぐに
電話もメールも
着信・受信拒否に。

でも、今度は
同じ会社の携帯同士で
メールできる
「Pメール」
「Cメール」
「スカイメール」が
じゃんじゃん
送られてきた。

私の携帯には、
これらのメールを
受信拒否にする機能が
付いていなかった。


お店の女の子達が、
「何かあったの?」と
聞いてきたので、

お店の“元お客”
と言うことだけは伏せて
全てを話した。



お店の女の子達は

「既婚って分かった時点で
振ってやらないと!」

「女の子に全額支払わせて、
遊ぶ既婚者って…
聞いたことないわ!」

「既婚で遊ぶんだったら、
男側は、全額支払わないと。
既婚者と付き合うだなんて、
フリーの女の子側には、
何のメリットも無いんだから」

「絶対に、奥さんと
別れることなんて無いんだから。
時間の無駄なんだよ?」

「言い方悪いけど、ライカちゃんは
“タダでヤらせてくれる
都合の良い女”だってことだよ」



初めて付き合った相手が
既婚者で、

しかも、ダラダラと
2年も付き合い続けてしまった。


私は、
自分が 心底マヌケで
馬鹿だったんだと。

つくづく
思い知らされた。


携帯は震え続け、
内容は全て

「家の前で、待ってるから」


…私はもう、
ハルカワさんと
会う気は全く無かった。

アパートに、裏口なんて無い。
家の前でなんて待たれたら、
家に帰れない。


私はこの日、
お店の女の子と
飲みに行って
時間を潰すことにした。


No.210

「付き合わせてしまって、
本当にすみません」
「今日は、私の奢りなので
遠慮しないでくださいね」

私に付き合ってくれたのは、
気の強い女性。
当時で、37歳くらい。

名前は フジサワさん。

「いいのよ、いいのよ、
奢らなくても」
「私も今日、
飲みに行く予定だったから」
「話し相手が出来て、
かえって嬉しいわ~」


ハルカワさんのこと、
お店のこと、
飲みながら色々話した。

フジサワさんは、

「ライカちゃんは、
ちょっと純粋過ぎるね」
「悪い言い方をすると
“馬鹿正直”なんだと思う」

と言った。

これからは、もう少し
汚く生きなさいと。



フジサワさんは
朝の5時頃まで
付き合ってくれた。

ハルカワさんからのメールは、
深夜の3時半頃まで
ずっと続いていて、
読まずに、
次から次へと
消去していった。

フジサワさんは
「あ~っ!気持ち悪い!」
「既婚者のクセに!」
「しつこい!」
と、かなり不快な顔をしていた。


朝の5時半、
タクシーで帰宅。

家の前には
ハルカワさんの車は無く、
無事、家に入ることが出来た。


No.211

ところが、
「もう寝よう…」
と、朝の7時頃。

ハルカワさんから
またメールが。


「ずっと、寝ちゃってた」
「今日はもう、帰るね(^^)」


アパートの
真ん前ではなく、
少し離れた場所で
車を停めて

ずっと私の帰りを
待っていたようである。

ハルカワさんは
待ちくたびれて寝てしまい、
私の帰宅には
気付かなかった様子。


私が
アパートの入口を
くぐった時、

ハルカワさんは
アパートのそばに
車を停めて、

その中で
グースカ寝ていたと…。


私は
ハルカワさんのメールに

(…ヒッ………!)

と、背筋が
ゾワゾワするのを感じた。

私は、
コムロさんに相談。

コムロさんは、
快く「お泊まりOK」の
返事をくれた。


コムロさん家に
泊まるようになっても、

ハルカワさんからのメールは
鳴り止むことは無かった。

コムロさんも
流石にゾッとしていて、

「ライカちゃん、
携帯の電源、切っときなよ」
と…。

電源を入れた時、
サーバーに蓄積されていた
メールの件数は、


少なくとも、100件超え。

多い時で、250件以上。



内容は全て
「家の前で、今日も待ってるから」



あまりにも執拗なメールに
吐き気すら
感じるようになっていた。


No.212

私は、付き合い始めていた
カンザキさんにも
「元彼」の 相談をした。

カンザキさんは
威勢良く、

「俺が、ガツンと
言ってやろうか?」

なんて言ってくれたが、

これ以上、
面倒を広げるのは
もう 真っ平御免だった。

「面倒なことになりそうだから、
いいよいいよ」
「気持ちは嬉しい。ありがとう」

そう言って、断った。


兎に角、
無視・無反応を
続けるしか
無いと思った。



そして、
3~4ヶ月後くらいから

徐々に
メールの数は減り、

そのうち、
全く来なくなった。

無視・無反応は
正解だったようだ。

彼にはお金が無いから、
お店に来ることも もうない。



書き忘れたが、

私が、何から何まで、全て
支払わなくてはならないくらい
ハルカワさんは
お金が無かったわけだが、

ハルカワさんの
月給は 手取り18万円。

昼食・タバコ代で
毎日500円貰い、
月の小遣いは、0円であった。

奥さんは、パート勤めで
兼業主婦。

息子さんは、
当時で小学4年生。

風俗に行くときは、
旅行用の積み立てから
数千円を 失敬していたらしい。


No.213

「ライカは、何だかんだ言っても
絶対に俺とは別れない」
「ライカは、俺から離れることはない」

ハルカワさんは、
そう タカをくくって
余裕綽々で 居たのだろう。

それが、予想を裏切って、
突然「好きな人が別に出来た」
と来たもんだから…。


でも、
「もう別れよう」
「別れたい」
と 散々言っていたのは
ハルカワさんの方だったのに、

いざ別れてみたら、
あんなになるなんて(汗)

今でも
よく分からない。
理解出来ません。



-----



カンザキさんと付き合って
数ヶ月後。

「生理が来ない」
事態に陥った。

避妊は していた。

でも、ゴムを付けていたのに
妊娠した経験のある私は、

それはそれは
不安な時間を過ごした。

妊娠検査薬の結果を
正確に知るには、
生理予定日から
10日は待たなければならない。


生理は、
5日も遅れていた。

28~29日周期
キッカリの私にとって
「5日」の遅れは

もはや「黒」に近かった。



私は、
カンザキさんに
メールを打った。


「生理が来ない」
「5日遅れてる」と…。


私はこの時の、
カンザキさんからの返信。
今でも 忘れません。




『え~!マジでー!』

『ごめん!独りで何とかして!』

『っつか俺、
“外出し”でも妊娠させたこと
ないから!』

『多分、大丈夫だよ(^O^)』







【“独りで、何とかして”】






カンザキさんからの
このメールで、

(さぁ……)

っと、何かが引いていくのを
感じた。

ロウソクに灯っていた火を、
強い息で
吹き消した時のような…。



妊娠検査薬は
“陰性”だった。

でも、待てども待てども
生理は来ない。

産婦人科へ行き、
子宮のエコーを見ると

「無排卵月経ですね」
「もう2週間待っても
生理が来なかったら、
また受診してください」

と言われ、ホッとした。



私は、カンザキさんに
「いつでも遊びに来てね」
と、合鍵を渡していた。




「別れよう。」

「合鍵、返して。」




産婦人科の帰りに寄った、
行きつけの喫茶店から
そう、メールを打った。


No.214

カンザキさんから
返信が来たのは、

3日後だった。



「合鍵、郵便受けに入れといたよ」

「短い間だったけど、ありがとう~」




かなり、
アッサリしたものだった。

…多分、カンザキさんは、
私のことを
そこまで好きでは無かったのだろうと。


別れて、

正解だったんだよね…。





既婚者だった ハルカワさん。

お金を散々注ぎ込んで、

散々喧嘩もして、

やっと別れられる!
…と思ったら

ハルカワさんは
ストーカー予備軍に。


今回の カンザキさんの、
心無いメール。




私は、すっかり
疲れてしまい、

体が 動かなくなってしまった。


仕事にも
全く行く気になれない。

ご飯も
喉が通らない…。



私は

「すみません。
よくわからないのですが、
体が動きません。」

「暫く、お休みをください」

「本当に、すみません…」

「体が元に戻ったら
また連絡します」



仕事を休む時はいつも、
店の番号に
直接 電話していたのに、

この時は、
電話ごしに
ゴチャゴチャ聞かれたりが
もの凄く 面倒に感じて…

スタッフの コウキさんに
メールで休む旨を伝えた。





そして 私は、

久し振りに
母親に 会ってみようと思った。

独りで居ると、
時間を長く感じて
とても辛かったからだ。

実家に長く居たら、
父親に、説教されるのではないか?
更に追い詰められるのではないか?

そう思って、
父親よりは「まだ楽」な
母親の元に、
暫く 居てみようと。


母親とは
もう 何年も
会っていなかったし…。




そう 思っていたところに、
父親から メールが来た。


「母さんが、
乳癌と、子宮癌で手術をする」

「母さんのところに、
行ってやってくれないか」


No.215

私はまず、
父親が居る 実家に向かった。

父親は
「弟よりも、女であるライカの方が
色々と、助けになると思うから」
と、私を呼び寄せた。

父親には、
「漫画のアシスタントをしている」
と、ずっと嘘をついていた。

弟は、病院勤め。



余談だが、
弟は、大学を出て
無事、病院に就職。

母親から、
自動車免許教習所のお金も、
新車も買い与えられ、

順風満帆な
人生を送っている。

(今現在も。)



病院勤めの 弟よりも、
私の方が、仕事を休み易いと
思ったのだろう。


でも、私は
アレコレ聞かれるのが
面倒臭くて、

「漫画の連載が終わったから、
取り敢えず今は仕事が無いから」

と、言っておいた。

長期の休みとなると、
父親から
「そんなに休んで大丈夫なのか?」
だの、ゴチャゴチャ聞かれるだろうし、

私の気持ちも、
いつ落ち着いて、
いつ前向きになれるのか

全然、
検討も付かなかったから…。



母親の病気は、
正確には

乳癌と、
子宮に出来た
原因不明の 腫瘍だった。

乳癌は、母親の希望で
乳房を全摘。

子宮の腫瘍は、
良性か悪性かが
検査では
分からないと言うことで、

悪性だったら大変だから
取ってしまいましょうと…。


母親は、2ヶ月程入院し、
2ヶ所の手術を受ける。

その間、
「女」にしか出来ない
手伝いをして欲しいと。



私は、単身
遠く離れた場所に居る
母親の元へ行った。




偶然なのか、

タイミングが良いのか
悪いのか…


母親の元へ行き、
大変なことが
色々重なった。


No.216

■24歳■

時期は、
24歳になって
間もなくの春だった。



体が動かない。
体が、すごく 重い…

でも、
「恋愛に疲れた」だなんて、
恥ずかしくて
誰にも話せなかった。



ハルカワさんのこと…
既婚者だと
見抜けなかった
私が悪い。

既婚者だと
分かった時点で、
別れなかった
私が悪い。

カンザキさんのことも、
所詮、私は
風俗で知り合った
“肉○器”なのだから

「妊娠したかも」なんて
状況になったら…
放置して、逃げたくもなるだろう。




全て、私が悪いんだ。

この状況は、自業自得。




私は、動かない体を
ムリヤリ動かしていた。

油をさしていない、
ギシギシの、錆びた
ブリキのオモチャのよう。

変な汗を 沢山かき、
父親の居る実家から
母親の居る場所までの
移動中、

「顔色悪いけど、大丈夫?」
「こんなに汗をかいて…」

見ず知らずの方、数人に
心配されたりもした。

乗り換えの時、
ホームのベンチに座り込む。

少し冷たい風が
心地よかったが、

体は 動かなくなり、
うずくまったまま…

挙げ句、
嘔吐。

吐く物が無く、
全てが胃液。

口に溜めながら
トイレに駆け込んだ。


乗り換えに
間に合わなくて、
一本、遅らせる。


予定より
2時間遅刻で
何とか、母親の居る街に到着。

駅には、
母親と 同じ職場で
母親を慕う ミナさんが
迎えに来てくれていた。

ミナさんは
当時で40歳。

でも、32~33歳に見える。
とても綺麗な人だった。


「ライカちゃん、久し振りだね~」
「私のこと、覚えてるかな?」


私が 小学2~3年生の頃
会ったことがあるらしいが、
申し訳無いが、
私は 全く覚えていなかった。


軽く自己紹介をし、

「すみません。
乗り換える列車を
間違えてしまって」

と嘘を付き、
遅刻したことを謝罪。

ミナさんと一緒に
早速 病院へ。

面会時間は
夜8時まで。

2時間も
遅刻してしまったので、
急いで タクシーを飛ばした。


No.217

病院に着いたのは
夜の7時過ぎ。

母親は、「特別室」に
入院していた。

病院に、2つしかない個室。
1日、15000円…。

応接室には、
フカフカのソファーに
デカいテレビ。

奥にベッドと
クローゼット。

シャワー・トイレ付き。

そして、
お見舞いに
大量の花が…

ミナさんは、
花を花瓶に移す作業に。



母親に 久し振りに会って
何を話したか忘れたが、

奥のクローゼットに
隠してあった
大量の「缶ビール」と
「タバコ」を見て



(ミナさんも居るし
私が来る必要なんて
なかったよね…)


と、呆れてしまった。

夜にこっそり
ビールを飲み、

トイレで、
タバコを吸う。

私に
「看護婦さん来たら
教えてね!」
と 見張りまでさせた。

















中学生かよ。


No.218

母親のことは
そこまで心配は
していなかった。

「多分、大丈夫だろう」

助けてくれる人も居るし、
金もあるし…。


根拠はありませんが、

「この人は
簡単には死なない」

…そう思いました。





父親の話からすれば、

母親は
私が9歳の時に
私を捨てたらしい。

「育児放棄」
「お前を“面倒だから”と捨てた」
「家族より、
やりたい仕事に走った」
「弟の方がお気に入り」

ずっと、そう刷り込まれて
育てられた私。

母親の言い分を聞かず
父親の言い分だけ聞いて
生きてきた私。


だけど 実際、

母親に
辛く当たられた記憶は
一切無い。


そのかわり(?)

「母親に優しくされた」
「母親と楽しいことをした」

と言う記憶も
一切無い。


多分、その
「自分のやりたい仕事」で、
あまり家に
居なかったんじゃないかと。



だから、
父親から いくら
「母親の悪い情報」を
吹き込まれても、

いまいちピンと来ない。

父親に
何を言われようが

「母親に 会ってみよう」

と思えたのは、
自分自身に、
辛く当たられた記憶が
無いからだと思われる。






後々、このことが
「大きなわだかまり」になろうとは…


この頃は
予想も出来なかった。


No.219

母親とは
一緒に暮らしていないので、

母親のことは
どこか「他人事」であった。


2カ所も手術する。

そう 聞かされても、
「あぁ、そう。」
「大変そうだね」
「でも、助かるんでしょ?」

みたいな…。

危機感も無ければ、
「あぁ、どうしよう!」
「母に何かあったら、私…!」
みたいな焦りも
一切無かった。


冷たいと
思われるかもしれない。

でも、

私、この人から
何もして貰ってないから。

何かして貰ったと言えば、
金品を 与えられたくらいで。


子供に対して
それすらしない親も
たまに居るだろうけど…。




-----


乳房は全摘して、

子宮の腫瘍は
「良性」だった。

切り取った子宮の腫瘍は
執刀医が 見せてくれました。


タクシー代は
母親が勤める
会社持ち。

私は ミナさんと

毎日のように
病院を往復した。



母親の家で
寝泊まりしていた私は、
ずっと同人誌を描いていた。

恋愛やら何やらで
ゴチャゴチャはしていたが、
この趣味だけは
ずっと続いていた。


「体が動かない」

「ご飯もまともに
食べられない」


…でも、
同人誌を描くことだけは
別であった。

と言うか
この趣味が無かったら、
私は完全に
潰れていたと思う。


風俗をやることで
資金調達も余裕で、

同人誌即売会の参加は
東京にまで
足を伸ばすようになっていて、
仲間も沢山出来た。


No.220

母親が退院するまで
私は母親の元に居た。

宣告通り、2ヶ月程。


その間、
私は 同人誌の執筆に
のめり込んだ。

母親の経過も順調だったし
(隠れて、酒タバコを
のむくらいだし…(汗)

2ヶ月、ビッチリ
描きまくった。


朝食は、
家でコーヒー1杯。

昼は、
病院の売店で済ませ、

夜は、ミナさんと外食。
(ミナさんの分も
母親のオゴリで)

2ヶ月間の生活費は全て、
母親が工面してくれて、
お小遣いまでくれた。

病院帰りに
大きい文房具屋に寄って

母親がくれた小遣いで、
画材を買ったりもした。

(小遣いで、画材を買うことに
母親は一切反対はしなかった)





母親の元へ来て、
最初の一週間くらいは
かなりしんどかったが、

生活が
「母親の見舞い」と
「同人誌の執筆」が
メインになると、

アッと言う間に
私の体調は
元に戻っていった。





-----


母親は 順調だったが…




母親の元に滞在中、

祖父が、亡くなった。


89歳であった。


No.221

祖父は、
最後の2年間は

すっかりボケてしまい…
車椅子生活だった。


生活用品を作ったり、
畑仕事をしたり、

兎に角
頭や手先を使うのが
大好きな人だったから…

まさか、ボケてしまうなんて。
思ってもみなかった。


私が最後に会ったのは、
亡くなる、一週間前。

祖父が入院したのは
亡くなる2週間前で、

祖父は、
肺炎で苦しんでいた。

母親とは別の病院で、
酸素マスクを付け、
とても苦しそうにしていた。


↑一緒の病院にすれば
良かったのに…。

祖母が、
お母さんに
気を使ったのかも。


「おじいちゃん。
また、会いに来るからね」

と言って
病室を出たが、

私の声はもう
届いていなかったと思う。


祖父の入院前に会ったのは、
更に遡って
亡くなる2年前。

その頃はまだ、
私のことを「孫のライカ」だと
分かっていた。


ボケてしまった原因は、

私の母親が「老後の為に」と、
両親(私の祖父母)の為に建てた
平屋の一軒家に
引っ越してきたのが
原因らしい。


祖父母が
自分達で建てた家と、

「使い勝手」が
全く違うことで、

すっかり
ボケてしまったと、
祖母は言う。

水道の蛇口。
電気のスイッチ。
お風呂やトイレの使い方も。

いきなり「最新」に
なってしまったから。

それに祖父は
ついて行けなかった。

だから、
長年慣れ親しんだ
自分達で建てた家に
住み続けていたら、
多分 ボケなかったろうと…。

偶然、たまたま、
新築に越したタイミングで
ボケ始めてしまったのかも
しれないけれど、

「昔気質」の強い
祖父を思えば、

多分、
新築が原因なんだろうなぁと…
納得がいった。

祖父にとって、
「最新の新築」は
「劇的な変化」だったのだろうと。



「粗食長命」
「贅沢短命」
と書いたものを

額縁に入れて 飾っておくくらい、
祖父は「贅沢嫌い」だった。


私がイタズラをすると
柔道の技で
投げられたりもしたが、

尊敬していた祖父だった。


No.222

母親は
自分の病気で入院中だった為、

祖父の最期を
看取ることが出来ず、
悔やんでいた。

でも、

「おじいちゃん、
やっと楽になれたんだね」
と…


祖父の体力的に
肺炎は
治る見込みが無かった為、

「楽になれて良かった」と
母親は ホッとしたらしい。


あんなに世話になった
祖父なのに、

私は不思議と
悲しくはなかった。

「祖父は、人間ではなく
神様になっただけだから」

“死んで居なくなった”とは
思えないような。


よくは分からないけれど
涙も出なかったし。

うーん…
うまく説明が出来ない。







母親の手術、入院と、

祖父のお葬式・お通夜で

少し バタバタした。



-----



更に大変なことは続いた。


私に
性的虐待を繰り返してきていた
母親の兄が、

自転車の事故で
内臓破裂の 重傷を負った。


No.223

母親が退院する
数日前の出来事だった。


山菜採りに出掛け、
その帰り道、

坂道を自転車で下ったが、
帰り道に使った坂道が
かなり急だったらしく、

思いの外 スピードがつきすぎて
ガードレールに激突。

そのまま
前方に投げ出され、
激しく路面に叩き付けられたと。

古い自転車で、
ブレーキの利きも
甘かったらしい…。



母親の兄は
母親と同じ病院の
集中治療室に運ばれてきた。

母親が退院してから、数日後
面会にOKが降りた。

集中治療室へのお見舞いは、
親族の同伴が必要で、

一度に面会出来る人数も
2人までと決まっていた。
時間は、患者に負担が無いよう
5分程度。

靴はサンダルに履き替え、
白衣と帽子をかぶり、
手指消毒もして入室。


母親の兄は
虫の息に近かった。

この時は、指先を
僅かに動かせる程度。

でも
なんとか「山」は
越せたようで。

特に問題がおきなければ、
あとは
治るのを待つだけだと言われた。




ぶっちゃけ…

この人のことは
どうなっても良かった。


母親にとっては
大切な“兄”だから

心配している素振りだけは
しておいたけど。



「死ねばいいのに」
とまでは 思わなかったが、

本当に、どうでも良かった。


過去が過去だから
面会は、とても気まずかった。

母親の兄が
話せる状態じゃなくて
良かったと…
心底思った。



まぁ、母親の兄は
「ロリコン」だから

「オトナ」なった私には
全く興味は無いだろうが。


No.224

母親が退院し、
割と元気なので
帰ることにした。

私の体調も
元に戻ったし…。



でも、
「風俗への復帰」は
なかなか出来なかった。

「復帰させて欲しい」と
お店に電話したが、


「新しい女の子が入って、
女の子は足りているので」
「もう少し待って欲しい」

と 言われてしまった。


女の子が多すぎて、
余している状態だと。

電話に出たスタッフも、
全く聞き覚えの無い声で、
スタッフも新人さんのようだった。


2ヶ月後、
お店に 私の居場所は
無くなっていた。



取り敢えず、
自分の家には
帰ることにした。

描いた同人誌を
印刷屋に頼んで
本にして貰い、

同人誌即売会に
早く参加したかったから。




私の仕事復帰は、
母親の元から帰ってきてから
1ヶ月後。

お店のスタッフから
「女の子が辞めてしまったので」
と連絡が入った。


お店側から
連絡を入れてくれるだけ
有り難かった。


No.225

お店側からの連絡は、
なんと ウエダさんからだった。

ウエダさんはもともと、
コムロさんの勤める店舗の
スタッフだった人。

コムロさんの働く店から
正式に移動。

サド店長に変わり、
ウエダさんが 店長になっていた。

サド店長はと言うと、
新しい店を始めるからと、
新店舗に移動してしまったらしい。

それと、コウキさんも一緒に
サド店長と移動してしまっていた。


私の勤める店は、

タチバナ社長
ウエダ店長
新人の、ツチヤさん

この3人で
やって行くことになったと。



あと、
「私と同じタイプ」だった
ユキさんも
辞めて 居なくなっていた。

タチバナ社長曰わく
「今はコンビニで働いている」
とのこと。



-----



久し振りに出勤して、
お店の受付に居たのは
ウエダさんだった。

ウエダさんは
ニコッと笑って

「ライちゃん、久し振り」
(↑私の源氏名を
更にあだ名で呼ぶ)


と挨拶してくれた。



私好みの、ウエダさんが店長で、
同じ店で働けるなんて。

私のテンションは上がった。


お店の待機室に入ると
タチバナ社長が
ドッシリ座って

笑いながら、女の子と
ワイワイお喋りしていた。

社長が「ワイワイ」
してると言うことは…
お店が暇な証拠である。

お客さんが居る時は
必ず 静かに話す。

タチバナ社長の声は
よく通るから。
客室まで 筒抜けなのである。


「お~!ライカ!」
「久し振りだな~」
「体調は、もういいのか?」

「肥えてなくて
良かったよ~!」

私の背中を パンッと叩いて
タチバナ社長は
ガハガハ笑った。


No.226

お店の女の子は、
私が思った以上に
激減していた。

早番の女の子は多いのに、

夕方からスタートする
遅番の女の子は
私を入れて、5人程。

新しく入った新人さんと、
ユキさんやらの
古株メンバー数人が、

いきなり ガバッと辞めて
居なくなってしまっていた。

新人さんは、やはり

1日に接客する人数の多さと、
給料の少なさと、
接客時のサービスの多さに

ついて行けない人が
多いらしく。

大量に入っては、
大量に辞めていくのが
日常であった。

新人さんが入っても、
結局最期は
「古株メンバー」しか残らない。


-----



復帰した私は、
彼氏が居なくなったことも
相俟って、

かなり
「感度」が上がっていて、
敏感になっていた。


ちょっと好みのお客がついて、
触られたり
舐められたりすると、

本気で感じてしまい、

直ぐに濡れて、
直ぐにイッてしまう。


私の接客は、
「演技」ではなく
「ガチ」なことが増え、

好みのお客が来たら、
接客を楽しむようになっていた。

それもこれも、
ハルカワさんが
私を「開発」してくれた
お蔭だろう。



私の「本気」の
あえぎ声を聞いて、

ウエダさんも
驚いていた。

「ライちゃんのアレって
本当に感じてるよね」

「ライちゃん、変態だな(笑)」



ウエダさんからよく
いじられるようにもなった。


No.227

お店の女の子はと言うと、
私に対しては
かなり よそよそしくなっていた。

前のように、
気軽に話し掛け合い、
気軽に飲みに行くような。

そんな
アットホームな雰囲気は
微塵も無い。

私と親しかった女の子が
何人も 辞めて
居なくなっていたのも
原因の一つだったが

「友達を作りに来たワケじゃないし」
と、待機中は、
独りで客室の方に籠もり、
NINTENDO DSを、
ポチポチとやる日々が続いた。


女の子と
話さなくなったことで、

ウエダさんと
よく話す機会が
増えていった。

暇な時、
受付の裏側に周り、
ペチャクチャとお喋り。

スタッフと女の子が
「接近」するのは、

タチバナ社長が
メチャクチャ嫌な顔をするので、

タチバナ社長が不在で、
暇な時間帯だけであったが。



ウエダさんとの距離が
縮まることで、

私はだんだん、
ウエダさんのことが
好きになっていった。

元々、

初めて会った時から
「いいなぁ」と
感じていた人で、

ハルカワさんや
カンザキさんと
お付き合いをしていた時期でも、

何となく、
ずっと気になっていた人だった。

コムロさんの店から
ヘルプで来てくれる度に
心が躍ったし、

「この人からは
良く思われたい!」と、

ウエダさんが
ヘルプで来たときだけは、
仕事を頑張ることが出来た。



でも、

ウエダさんと
付き合いたいとか、

そんな図々しい気持ちは
微塵も無く。

ただ
好きで居たいだけというか…


そもそも
スタッフと女の子がくっつくのは
「“超”御法度」だし、

それに
「ライバル」も多かった。

ウエダさんは
その容姿からも
人気があって、

何人もの女の子から、
言い寄られているような
感じだった。

「あ、この子、
ウエダさんのことが
好きなんだな」

と言う女の子が
たくさん居た。

特に、早番の女の子からは、
ウエダさんは 人気だった。


No.228

数多くの女の子と
接する仕事をしている
ウエダさんが、

私を 特別視
する筈も無く。


私とウエダさんは
あくまでも

「スタッフと、
お店の女の子」

「それ以上でも、
それ以下でもない」

と言う 関係であった。


それに、
「ウエダさんは多分、
この子がお気に入りだ」

と言う、
予想も付いていた。

早番に居た、ヨウコさん。
「ボン・キュッ・ボン」
のスタイルに
特徴のある、美人顔。
少し派手目。

指名数も、
お店の一位二位を争う。
当時で、28歳。


私が出勤すると、
ウエダさんと ヨウコさんは
よく2人で
イチャイチャ(?笑?)
楽しそうに話していた。


それを見て 私は

「あんなに親しくは
絶対になれないなぁ」と、

少し、羨ましく思った。

ヨウコさんは
美人だし、
指名も頑張ってるし。

到底、かなわない。


だから、
ずっと片想いでいようと。

お店を辞める時に
「告白逃げ(笑)」
でもしようか…

でも、多分出来ないだろうなぁ。

そんなことを考える
毎日であった。


No.229

■25歳■

もう直ぐで
26歳になろうと言う時期。

お店の女の子の間では、
「○○付近に
新しいサービスの
新店舗をオープンさせる」
と言う、噂が立っていた。

お店のスタッフは、
新店舗の情報など
お店の女の子達には
極力 内緒にしておく。

お喋りな女の子が、
新店舗情報を
お客に吹き込む事態になるからだ。

「系列店」同士であっても
ライバルに、変わりはない。

他の系列店に
お客が流れないようにする為、
余計な情報は
女の子には 流さない。



でも タチバナ社長は、

私に この情報を
敢えて 流してきた。



「新しい店で
働いてみないか?」

「他の女の子には
絶対内緒だぞ?」


タチバナ社長は
新しい店でのサービスを
私に説明してきた。

今の店より
ずっと楽で、

お客に
マッサージするのがメイン。

お客も、女の子も
服を脱がない。


それでいて、
今の店より 給料が高い。



…私は

ウエダさんとお別れするのが
残念で ならなかった。


「うーん…」と
少し考えているところを
タチバナ社長が 更に続けた。


「新しい店は、
綺麗な女の子を揃えたいんだ」

「出来れば、協力して欲しい」


もう既に、
新しい店はオープンしていて
女の子も3人居る。

3人とも、
可愛い・綺麗な女の子であると。

そして、
指名客に限っては、
新しい店に
呼んでも構わない、とのこと。



私は
「少し、考えさせてください」
と、返事をした。



ウエダさんのことが、

兎に角 心残りだった。


No.230

風俗での話を進める前に、
趣味(同人活動)の話もしておく。


ホームページを立ち上げ、
東京へも頻回行き、
仲間(友人)も沢山出来た。

でも、友人の中で
とても 厄介な
グループがあった。


6人で
サークルを組んでいて、

所謂「痛い人達」の
集まりであった。

最初は、
「痛い人達」だと気付かずに
付き合っていたが、

付き合いが長く、
深くなるにつれ、

このグループの人達の
「本性」が
どんどん分かっていった。



6人グループの
リーダーを
「シキリマ」さん
としよう。

(名前を忘れてしまった)

そして、
シキリマさんの
サポート役であり
「恋人」でもある、

フカミさん。


この2人が
特に痛々しかった。



東京へ行った時、
最初はビジホを使っていたが、
数回会って
親しくなっていくと、

「私達の家に
泊まりにおいでよ!」

と、誘ってきて
くれるようになった。


私は、
「楽しそうですね」
「それならば、
お言葉に甘えて…」

と、
シキリマさんと
フカミさん2人が
同棲している家に

泊まらせて
貰ったことがあった。



この 2人の住む家に、

私は 驚愕した。



古い家。
不衛生な水回り。

台所・風呂・トイレ。
あまりの汚さに
吐き気がした。

パソコンの周りに散乱する
丸めたティッシュのゴミと
(鼻でもかんだのか??)
何本もの空きペットボトル。

隣の部屋は、
エロ同人誌の山。

何百?何千冊??
全て 平積みで
乱雑に置かれていた。

その奥には、
コスプレ用の
メイド服が数着。


そして、
私が一番「ドン引き」した物。

それは「」


No.231

…それは
「使用済み」の
「大人のオモチャ」

であった。


【彼女たち】が、
愛し合う時に
使うのだと言う。

ピ○クローター
電マ
バイブ
ペニバン
ア○ル用バイブ…


通販かなんかで
使用されたであろう、
伝票が貼られたままの
小さなダンボールに、

裸のまま
入れられていた。



別に、女同士で
どんなオモチャを使おうが
別に構わないし、
何とも思わない。

(私も、ピ○クローターは
使ったことあるし)


でも、

「私達は、コレを使うのよ~」

と、わざわざ
他人に見せるものでは
(絶対に)ないと思う。

しかも、
何度も何度も
使用されたのか、

バイブなんて、
ところどころが

薄茶色や
薄黄色に

変色していた。

(バイブの色が
白かった為)



年季が入った
大人のオモチャを見せられ、



【うわっ!!】

【きっっったねっ!!】


と 思ってしまった。


いくら 洗ってあっても、
消毒してあっても、

汚く 感じてしまうものです。

(ア○ル用なんて、特に……)


No.232

更に
気持ち悪いことは 続く。


シキリマさんと
フカミさんは

2人で個別に
ホームページを
立ち上げていたが、

「カウンター」のチェックが
自意識過剰を 超えていた。

カウンターとは、
何人の人が
ホームページに訪れたのか、
チェックする為のものである。


カウンターの
アカウントページにて

「今日だけで
何人訪れたのか」

「何のワード検索して
どう訪れたのか」

「いちげんさんか、
リピーターか」

…これらをイチイチ
チェックして、

2人でゴチャゴチャと
言い合うのだ。


「あ、この人
携帯から来てやがる」

だの

「その検索でたどり着いたか~」

だの。


私が立ち上げていた
ホームページにも
カウンターは設置していたが、
そんな細かいこと、
全く気にしたことが
なかったので。

荒らしに
遭ったわけでもないのに…

コレに対しても、
ドン引きしてしまった。



この2人の
ホームページ。

1日の閲覧数…

15~20人 でした。


しかも、
「更新」を押したり、
自分自身のアクセスも
カウントしてしまう為、

純粋な 閲覧数は
分からない状態。


たった数人のアクセスに、
そこまで躍起になって

【馬鹿じゃねーの?(笑)】



と 思ってしまった。

しかも、
シキリマさんの
描く絵…


幼稚園児が描くような
芸術的な絵だった。

指が 6本あったり。
デッサン以前の問題。


その画力で、
18禁のBL漫画を
描いていた。


【自分の絵柄(画力)に
気付いてないんだね…】


フカミさんは
「字書き」なので、
作品に関しては
何とも思わなかったが、

フカミさんの作品の
挿し絵に、
シキリマさんの絵が
使われていて、

【作品のレベル、
落としちゃってるよ…】


と、思わざるをえなかった。


No.233

この2人の家に
泊まった時、

6人の サークルメンバーと
私を入れた 7人で、

銭湯に行こうと
盛り上がった。

私も、あの
汚い風呂を使うのは
絶対に嫌だったので、
大いに賛成した。



7人で
近所の銭湯へ行くと、

銭湯の入口付近に
禿げたオジサンが 独り
立っていた。


シキリマさんが
そのオジサンを見て、
フカミさんに
耳打ち。


(ねーねー、あのオヤジ!
私達のこと、ずっと見てきてない?)

(ほんとだ!気持ち悪~っ!)


禿げたオジサンを
チラチラ見ながら
私達は 銭湯へ入り、
脱衣場へ。

脱衣場で
服を脱ぎながら、
先程の 禿げたオジサンの話が…。

『やーだー!
ナニあのオッサン!』

『気持ち悪~っ!
ずっと私達を見てたわよ!』

『変態よ!変態!!』



私を除く 6人で
ギャイギャイギャイギャイ。

禿げたオジサンに
非難轟々。

















………












(…イヤイヤイヤ!)

(あのオジサン、
ただ“立ってただけ”だから!)

(私達のこと、
ちっとも見てなかったし!)

(オジサン、こんな
“低レベル”の集団に
興味湧かないから!!)



6人+1人。

綺麗な人
可愛い人

ただの一人も 居なかった。

いかにも「オタク」で、
私を除く全員が
「処女」であり、

男性経験が 一度も無い。

恋愛すら
したことが無い人も居た。





自意識過剰にも

程があんだろ。





シキリマさんが

「私、ロリ系のFカップ!」

なんて
自慢していたが…



【ただの
チビデブだから】


と 思ってしまった。


シキリマさん

一重瞼で、
うっすい顔だった。

何の特徴も無く、

あんなに印象深い人なのに、
顔は ハッキリと
思い出せない。


対する フカミさんは
ウー○ー ゴール○バーグに
ソックリであった。


No.234

そして、この6人。

「2ちゃんねる」のチェックも
かなり激しかった。


痛々しいホームページや
痛々しい同人誌について

散々叩きまくる
嫌なスレッドが
2ちゃんねるにはあった。

この頃が、一番
「叩き」が盛り上がった時期らしく、
2ちゃんねるへの
誹謗中傷の書き込みが原因で

サイトを閉鎖したり、
他のジャンルに乗り換えたりが
続出していて……

本当に メチャクチャであった。

(今現在は、
そう言った「叩きスレッド」は
存在しない)


この 2ちゃんねるでの
誹謗中傷。

この6人に教えられ、
私は初めて知った。


初めて知った私は、
シキリマさんと
フカミさんに

強制的に
スレッドを見せられた。



シキリマさんと
フカミさんは、

パソコンに張り付くだけじゃ
気がおさまらないようで、

外出中は、
携帯からも
2ちゃんねるをチェック。

「今、こんな書き込みがされた」
と、リアルタイムで
他メンバーにメールで報告。

そして、
叩かれている
当ホームページに
遊びに行くのだ。


シキリマさんと
フカミさんで

「こりゃ~叩かれるわ!」
「この日記はイタイ!」

とか、言い合うのである。

叩かれるのは、
絵柄や作品よりも、

ホームページにある
「日記」での発言が
ネタになることが多かった。


“生意気な発言”が
日記内にあると、
2ちゃんねるの叩きスレにて
「大炎上」を起こす。


大炎上は、
日記のコメント欄では
絶対に起きない。

みんな、
コソコソと日記を読んで、
コソコソと叩いて楽しむ。


「日記コメで大炎上なんかさせたら、
“ネタ”が無くなるからヤメロ!」

と言うのだ。



2ちゃんねるの
叩きスレで、

私の誹謗中傷も
見付けてしまう。


見付けてしまった

……と言うか、

シキリマさんから
「余計な報告」が
入ったのである。


No.235

シキリマさんは、私に

必死に「アドバイス」を
してきた。


「日記、消さないでね!」
「無反応に徹して!」
「消したら
“このスレ見て消したんだ”
“ライカはここを見ている”
って思われて、
更に叩かれるから!」

「これからの日記は、
少し“控え目”に書いてね!」

「あのスレの書き込みは、
サイト存続に、大いに関わるわよ!」







……


そんな、オーバーな…。



叩きスレッドは、
IDが出ないスレッドで、
自作自演もヤリ放題のスレだった。

だから、
一人の人間が、
10人くらいの書き込みに
見せることも可能である。


取り敢えず、
日記の更新は
暫く、控えることにした。




「知らぬが仏」

見ないのが、一番なのに。

叩きスレの存在も、
私自身 叩かれていることも、

知りたくなかった。




叩きスレを知ったことで

私は 怖くなってしまい、

同人活動そのものに
ブレーキをかけるように
なってしまった。



そして、

この 6人の存在にも

疲れ切ってしまったのである。





シキリマさんに群がる
カルト宗教のような

「変な集まり」に

すっかり やられてしまった。



東京の同人誌即売会には、
この6人
必ず参加する。

東京に行くと
必ずついて回ることになる
厄介な6人。




もう 嫌だ。




私は、6人の中でも
まだ常識のある一人に、

「アンタ達、気持ち悪い」
「特に、シキリマさんが。」
「シキリマさんが教祖の
カルト宗教団体みたい」
「アンタ達が居るだけで、
同人誌即売会を楽しめないから。」
「同人界から、去ることにするわ」


…↑かなり“遠回し”に
このことを伝え、

私は、同人誌を描くことを
すっかり 止めてしまった。


ホームページも
勿論 閉鎖した。


No.236

ちなみに。


シキリマさん。

当時25歳。
身長/144センチ。
体重/50キロ代後半。
血液型/O型。
自称「ロリ巨乳」。

趣味は
メイド服のコスプレ。

髪型/癖毛のボブ。黒髪。
一重瞼。短い睫毛。
丸い顔。色白。

(顔の特徴はよく覚えているが、
薄い顔過ぎて、
殆ど思い出せない…)

化粧は一切しないのが
「ポリシー」なんだとか。

所謂レズ。
「ドS」「攻め側」

男性経験無し。

シキリマさんが
自分でも言っていたが、
仕切るの 大好き。
リーダーシップ取るの
大好き。



-----



フカミさん。

当時29歳。
身長/150センチ代。
体型は普通。
血液型/A型。

趣味は
シキリマさんと同じ。

髪型/
手入れのされていない
ボサボサのロン毛を
一つに束ねている。
黒髪。

こちらも化粧一切無し。

色黒で、奥二重。
フカミさん自身も
言っていたが、
ウ○ピー・ゴールド○ーグに
ソックリである。

所謂バイセクシャル。
「ドM」「受け側」

男性経験無し。

仕切りたがりではあるが、
シキリマさんの
我が強すぎて、
シキリマさんのペースに
やられている感じである。







今現在は…

この2人、
ジャンル移動したのか?
同人界から去ったのか?

ホームページが
いつの間にか
消えていた。

他、4人の内
2人のホームページは
まだ存在するが、

更新が、
3年前で 止まったままに
なっている。


No.237

話は風俗に戻る。


慣れ親しんだ店と、
ずっと片想いの ウエダさんと

お別れするのが辛くて。

私は、
新店舗で働くのは
お断りしようと 考えていた。

指名客とのお別れも
少し 寂しい。

私のことを、もう何年も
指名で来てくれている
お客も、何人か居たし…。

新店舗に、
指名客を流しても良いとは
言われたが、

マッサージがメインの店に
今の店の指名客が
流れてくれるとは…
到底、思えなかった。



-----



ウエダさんとだが、

時々、
メールをするように
なっていた。


ウエダさんとの
メールのキッカケは、

1日入店体験をしに、
やったら遠い場所から
わざわざ来てくれた女の子が居て、

(確か、往復で
3時間くらい……驚)

その子の帰りの送りが、
眠くて眠くて辛い。

女の子が乗っている
「行き」はまだ大丈夫だが、

女の子を送り届けた後の
「帰り」が、
話し相手も居なくて
俺独りだから、
とてもとても、自信が無いと。

だから、
「俺が居眠り運転しないように
メールを送り続けて欲しい」
と言われたのが最初であった。


どんなメールの
やり取りをしたのか
すっかり忘れてしまったが、

ウエダさんがふざけて

「今度、家に遊びに行くから」
「待ってろよ(笑)」

と メールしてきたのだけは
よく覚えている。


これがキッカケで
仕事が終わった後、

ウエダさんの気紛れで
メールをするようになった。

(私の方から
メールをすることは無い)


片想いの ウエダさんから
メールが入ると、

私のテンションも
そりゃ~ 上がる上がる。

ウキウキしながら
メールを返した。





そして、そのうち

ウエダさんからの


「今度、家に遊びに行くから」

の頻度が
高くなっていった。


私は

「遊びに来るワケがない(笑)」

と、100%
冗談としか捉えていなかった。



だって、
タチバナ社長からの
制裁がね…。

罰金、100万円だし。


No.238

ウエダさんは、
極端に
タチバナ社長を 恐れていた。

ウエダさんから
直接 聞いた話だが、

どうやら
タチバナ社長には
「色んな借り」があるらしく、
頭が上がらないと。


「色んな借り」とは
具体的に何なのか。

さすがに、
ソレを聞く気にはなれなかった。

多分
「お金」のことだろうと
何となく検討はつくけども…。



だから尚更、

私の家なんかに
遊びに来る筈が 無いのである。


でも、
ウエダさんからの
「遊びに行くから」は

随分と しつこく続いた。


私は毎回
「嘘付くでねぇ!」
とか、
「あ、タチバナ社長が見てるよ!」
とか、
「罰金100万!」
とか、

おふざけメールを
返すのだが。






















ウエダさん、


とうとう



私の家に
本当に 来てしまった。





私は ずっと
「来るワケ無いし(笑)」
と思っていたから、
ウエダさんが来る準備も
何もせず、

テキトーに着替えて、
だらしなく過ごしていた。

インターホンの
「ピンポーン」に
ビックリして…







頭の中では、
「家に入れてはダメだ」と
分かっていた。

完全な、ルール違反。



でも、
ウエダさんを好きな気持ちが
溢れてくるばかりで…

嬉しくなってしまって、
つい
部屋に 通してしまった。


No.239

心臓が、バクバク言ったまま
ずっと止まらない。




部屋に 違和感。




だって、
私の部屋に

ウエダさんが居る。


有り得ない人間が
立ってる。



ライカ
「な、何しに来たんスか……」

ウエダさん
「だから、遊びに来た。」

ライカ
「社長にバレたら
 殺られますよ!」

ウエダさん
「だから、絶対内緒ね。」

ライカ
「……勿論です。
 私の命も無いですから。」

ウエダさん
「何かさー、
面白いテレビゲーム、無いの?」
「ライちゃん、
ゲームオタクだから
詳しいんだよね?」





ウエダさんと私は、
格闘ゲームで 盛り上がった。


ウエダさんが来たのが
深夜の3時頃。

帰っていったのは
朝の5時頃。


ウエダさん
「実はこれから、
タチバナ社長達と
草野球、やるんだよね」

ライカ
「………はぁ???」
「一睡もしないでですか??」

ウエダさん
「草野球した後に、
早番の受付もやるんだよ。」
「こんな徹夜、
結構ザラにさせられてる。」



どうやら、草野球は
お店のスタッフ全員
強制参加らしい。


ライカ
「た、大変ですね………」
「お疲れ様ッス。」

ウエダさん
「今日は、
いい気分転換になったよ。」
「ありがとうね。」

「…また来るから。」



「………
ああ、そうだ。」

「絶対に、内緒だからね。」

ライカ
「言われなくても
分かってますって」

ウエダさん
「おつかれっした~。」



…そう言うと、
ウエダさんは 出て行った。



一睡もしないで 草野球。

そのまま 早番の受付って………。

タチバナ社長、
スタッフに
無茶させ過ぎ(呆)



私は、ウエダさんの

「また来るから」に

胸が躍ってしまった。



夢でも
見ているかのようだった。


No.240

舞い上がらないように、
調子に乗らないようにしよう。


ウエダさんのことは、
期待しないでおくことにした。

きっと ウエダさんは、
「気分転換」と称して
色んな女の子の家に
たまに 遊びに行くのだろう。

タチバナ社長に
バレない頻度で。



ストレス、
溜まる仕事だもんね。



私は 本気で
そう捉えていた。

だから、
相変わらずメールは
ウエダさんの方から
送られてくるのを
待つばかり。

私からけしかけることは
絶対にしなかった。


帰りの送りの車では、
私はひたすら
NINTENDO DSと
にらめっこ。

誰とも 話すことはなく、
話し掛けられるのを
待つばかりであった。





ウエダさんが
初めて遊びに来てから

1ヶ月半後。



私は 相変わらず
帰りの送りの車内では
NINTENDO DSを
ポチポチ。

帰りの送りは、
私が一番最後の時が
多かった。

それでも、
ウエダさんとは
一言も喋らずに終わる。

2人きりになったんなら、
何か喋ればいいものを。


「お疲れ様で~す」
と 挨拶だけを交わし、
車から降り、
家の中へ入る。

テキトーな部屋着に着替えて、
コンビニのオニギリを
モグモグしながら
BSチャンネルを観て…

深夜の3時頃。
ウエダさんから
久し振りにメールが。



「もう直ぐで、
ライちゃんちに着くよ。」

「ゲーム用意して、待ってて。」





……


はぁ??


“もう直ぐ”って…!



車の中では
一言も 喋らなかったのに。

予測不可能なウエダさん。



今日 遊びに来るなんて
思ってもみなかった私。

慌てて、歯だけ磨いて待った。


メールから
僅か数分後。

「ピンポーン」と
インターホンが鳴る。



玄関を開けたら
スーツではなく
私服のウエダさん。

私が突っ込むと、

「風呂入って
着替えてきた。」


No.241

黒いTシャツに、
クラッシュジーンズ。

新鮮な ウエダさん。


私は 冷静淡々を装ったが、
内心は
かなりドキドキしていた。

店のスタッフは
必ずスーツ(黒服)だから。

私服姿は、
ウエダさんじゃなくとも
なんか ときめく。



ウエダさんを
部屋に通して、

ウエダさんと
また格闘ゲームをやる。

格闘ゲームをやりながら、
ウエダさんに話し掛けた。



ライカ
「女の子の家。
アチコチ、行くんですね。」

ウエダさん
「………。」
「はぁ?」

ライカ
「だからー、
気分転換に、色んな女の子の家
遊びに行ってるんですよね?
って。」

ウエダさん
「…。」
(コントローラーを
ガチャガチャしながら)

「ライちゃんちが、
 初めてだけど?」

ライカ
「またまた~。」

ウエダさん
「本当だって。」

ライカ
「………。」

ウエダさん
「社長にバレたら
殺されるようなことを、
複数人の女の子に
やると思うか?」

ライカ
「なんで、ウチなんですか?」

ウエダさん
「………。」
「さぁ。なんでだろ。」



淡々と話しながら、
私達は ゲームを続けた。

そして




ウエダさん
「このゲーム、
前にやったよね。」
「他に、何か無いの?」

ライカ
「2人で出来るゲームは
コレしかありませんね」

ウエダさん
「………」
「う~ん……」

「ならもう、やめるか。」
「眠くなってきたし。」



私は
(次までに、
2人で出来るゲーム
追加しといた方が
良さそうかも??)

と考えていた。

ウエダさんが
飽きないように。



ウエダさん
「ライちゃん。
ベッド、貸して貰える?」
「また今日、草野球があるんだよね。」






……

ここで寝る気かよ!!!
((((((゚Д゚;))))))


心の中で、
大いに突っ込んだ。


No.242

ウエダさんは

電気を消して、

何食わぬ顔で
ゴロンと
私がいつも使っているベッドに
寝そべってしまった。


私は
「仕方が無い…」

と言って、押し入れから
布団を一組出し、
ベッドの横に敷いて
その中に入った。








…………








………………



ウエダさん
「ライちゃん。」
「“ここ”に、来ないの?」

ライカ
「……」
「はぁ???」

ウエダさん
「“ここ”に
来ないのか?って。」

ライカ
「なんで私が、
ウエダさんの“隣”で
寝なきゃならないんスか…」

ウエダさん
「だってここは、
ライちゃんのベッドだから。」

ライカ
「じゃあ、場所変わってください」

ウエダさん
「えー。……やだ。」




ウエダさんと、
一緒に寝る。

もう、
頭の中が
グチャグチャだった。



…取り敢えず、
私は

ウエダさんの横に
背中合わせで
寝てみた。



私は 改めて


(何をやってるんだろうか…)

(この状況って、なんだ??)


と、混乱した。



しばらくは、
背中合わせのまま
お互いに 黙っていた。

何を話して良いのかも、
よく 分からなかったし。




そうして 固まっていると、

ウエダさんは
ゴソゴソと動き出し、

私の方を 向いた。



そして

私のブラのホックを
片手でつまんで
外してしまった。



急に、
心拍数が上がるのを
感じた。

ウエダさん、
まさか…




まさか ねぇ。


No.243

ウエダさんは
ブラのホックを外すと、

その手を
前の方に回してきて



私の胸を
揉みしだいてきた。


私は思わず

「ん………っ」

と 声を漏らしてしまった。




「凄く、やわっこーい。」

しばらく揉んでから、
ウエダさんは

「コレ、邪魔なんだけど。」

と言ってきた。
ブラをどけてくれと。


すっかり、
変な気分になってしまった私は、
何も言い返すことなく、

ブラを外して、
ベッドの下に置いた。



「ああ、俺、
勝手に 触ってるから。」

「ライちゃんは
気にしないでね。」



(…ムチャクチャ言うなよ!)



ウエダさんは、
揉むだけではなく、

乳首を 優しく
つまんだり、
指の腹で 擦ったりしてきた。


凄く気持ち良くて、

私の口からは
自然と声が漏れる。



そして、

ウエダさんの手は、
私の ズボンの中へ…。



胸で感じていた
私は、

ぐっしょりと
濡れてしまっていた。



「随分、濡れちゃってるね。」

ウエダさんは、
私の尖った秘部を

指の腹で 擦ったり、
弾いたり…



私は、凄く恥ずかしくて、
ぶるぶる震えながら
声をかみ殺していた。




そして、
またもや

「コレ、邪魔なんだけど。」

と、ウエダさん。
今度は、ズボンを脱いでくれと…。


私は 言われるがまま
ズボンと下着を脱いで、
また ベッドの下に置いた。


ウエダさんは、
下半身の突起物に
容赦無く、刺激を与えてくる。


乳首の責めから
興奮していた私は、
アッと言う間に

イきそうになった。



ライカ
「う、ウエダさん…」
「わたし、もう
イッちゃいそ……」

ウエダさん
「いいよ、イッても。」
「…ほら………っ」


指を 激しく激しく
動かして、
突起物に 更なる刺激。


ライカ

「イッ…イく…」
「イく、イッちゃぅ……!!!!」



No.244

ウエダさんの責めに
耐えかねた私は、

思いっきり
果ててしまった。



ハァ… ハァ… ハァ……



グッタリしていると、
ウエダさんからは
立て続けに
また責められた。

イッたばかりだから、
優しく 優しく。



快楽の波は、
また直ぐにやってきた。


ライカ
「あっ……ああっ……」
「もう、イッちゃいそう」

ウエダさん
「え?もう?」
「ライちゃん、やらしーね。」



(やらしーのは
アンタの方でしょーが!!)



ウエダさんからの
優しい責めにやられ、
アッと言う間に
2度目の絶頂。


息を切らしていると、

今度は
指を挿入してくる。


グチュッ
グチュッ と、

卑猥な音を立てながら、
激しく 中を
掻き回してきた。


あまりの気持ち良さに、
私の喘ぎ声は、
更に激しくなった。


「あぁん…っ」
「あんっ…ああっ」

「ダメェ…ダメッ…」
「そんなにしたら、また」


ウエダさん
「また、イッちゃう??」


背中側から
抱きかかえられるような
体勢から、

私は 普通に横になって
仰向けで、開脚。

私の脚の間に、
ウエダさんが
居るような形に変えた。



ウエダさん
「ライちゃんの顔、
よく見えて、いいね」

ライカ
「恥ずかしいこと…
言わないでください……」



ウエダさんからの
激しい責めが
また始まった。

グチュグチュ、
ビチャビチャと、

卑猥な音が
部屋中に響き渡った。


いやらしい音に
気持ちは更に高まり、

私は
3度目の 絶頂。


「ダメッ…ダメッ…」
「またイくっ…」
「イくうぅ!!!!」



激しい 指の責めに

私は 潮を噴いてしまった。



ウエダさん
「へぇ…凄いね。」
「ライちゃんって
ほんと、やらしーね。」


私の愛液と
潮で汚れた手指を見つめながら
ウエダさんは
笑っていた。


私は ただただ、
恥ずかしい気持ちて
いっぱいだった。


No.245

ニヤニヤしながら、
ウエダさんは 更に続けた。

「あ、あたし…」
「もう、無理です!」


ウエダさんに
止めて止めてと
首をブンブンと
振って見せた。


でも、
ウエダさんは 止めない。


「大丈夫だって。」
「ライちゃん、やらしーから。」
「もう一回くらいは。」


そう 言い終えると、
また激しく

中に指を突き立て、
グチュグチュと
掻き回してくる。


あまりの快楽に、
また 直ぐに絶頂の波。


ライカ
「いやっ…」
「もぅ、いやぁっ」

ウエダさん
「でも、気持ちいいんだよね?」
「また絞まってきたよ」


指の動きが
更に更に 加速する。

4度目の 絶頂。



「イくっ…」
「またイく」
「イッちゃうぅ!!」

「ああああああっ!!」



また大量に 潮を噴く。
ニヤッと笑う
ウエダさん…。


ライカ
「もう、もう無理ですっ」
「やめてください………」

半分泣きながら
ウエダさんに言った。







……


「はい、おしまーい。」

「…気持ち良かった?」



ウエダさんは
スッと手を引っ込めると、
また 体を反対側に向け
寝る体勢になってしまった。



私は 拍子抜け。

これから てっきり………。








ライカ
「…あのー。」

ウエダさん
「なに?」

ライカ
「しないんですか?」

ウエダさん
「ナニを??」

ライカ
「ナニをって…。」
「ウエダさんの ここ。」
「かなり 元気なんですけど。」

ウエダさん
「ああ、ほっといていいよ。」

ライカ
「い、イヤイヤイヤ…」
「そうもイカンでしょ」

ウエダさん
「ライちゃん。やらしーなぁ。」
「じゃあ、俺は
動かないから。」

ライカ
「…は???」

ウエダさん
「ライちゃん、上に乗って。」
「勝手に動いてね。」



No.246

上に乗って、
動いてくれと…。


メチャクチャ恥ずかしいけど、
ウエダさんが
欲しかった私は、
直ぐに 上に乗って

一気に、串刺しにする。



ウエダさんは
「うっ………」

っと、少し 顔をしかめた。


ウエダさん
「凄く、せまいね…」
「久し振りの、感覚だよ」

ライカ
「ウエダさん。
彼女、居ないんですか?」

ウエダさん
「……。」
「………うん。居ないよ。」

「あのさ、
動いて、欲しいんだけど。」



妙な“間”が
少し気になったが、

私は、夢中になって
腰を振ってみせた。

ウエダさんの熱が
凄く 気持ちいい。








ウエダさんと
繋がってる。

ずっと 想い続けてきた
ウエダさんと…。


まだ、
夢でも見ているような…

フワフワした感じが
抜けきっていなかった。



「よし。」
「今度は、俺が動くよ。」


上下逆になり、
ウエダさんは
激しく 打ち付けてくる。


私は、思い切って、

ウエダさんの
クビに
しがみつき、

顔を 近付けてみせた。



(ウエダさん……

キスは、してくれるだろうか?)


セックスよりも、
ウエダさんとのキスが
何よりも 緊張した。


ウエダさんは
私に
真剣な眼差しを向け、
目を閉じながら…

唇を重ね、
舌を 絡ませてきてくれた。



凄く、凄く、

幸せな気持ちになった。




あのウエダさんと
キスまでしてしまった…

まだ、夢見心地であった。




「はぁ……そろそろ、かな」

ウエダさんは
腰の動きを加速。

バチバチと
更に激しく打ち付けながら、
私の、下半身の突起物を
親指の腹で刺激してくる。


私には、
5度目の快楽の波が…。


「ウエダさん…っ」
「わたし、また…」

「イくぅ!!!!」




「絞まる!!」
「うっ……………!!」



私の中から
引っこ抜き、


「びゅるっ!!」
と、私のお腹の上に
勢い良く ぶちまけた。



No.247

アチコチ汚れた箇所を
キレイに拭いて、


また 私達は
背中合わせで

横になった。


お互いに
何となく

気まずいよーな………。





ウエダさんは

ポツリポツリと
話し始めた。




ウエダさん
「ライちゃんってさ…」
「もしかして、鈍感?」

ライカ
「…はい??」

ウエダさん
「あのさー。」
「俺が、どんな覚悟で
ここに来てるのか…」

「分かってる?」

ライカ
「………??」

ウエダさん
「これ、バレたらさ…
罰金だけじゃ、済まない。」
「ボコボコにされて、
多分、仕事無くなる。」


「俺は知ってる。
他に、バレたやつが居てさ。」
「立ち合い、させられたから。」



お店の女の子に
手を出したのがバレた
スタッフが
数年前に居たらしく、

タチバナ社長と、
社長より 更に上の
会長(?)と、

他のスタッフ 総出で、

そのスタッフは
顔の形が変わるくらいに
ボコボコに 殴られたらしい。

殴られた後、
給料から天引きされる形で
100万円の罰金刑。

タダ働き同然で
しこたまコキ使われ、

それに耐えかねた
スタッフは、
女の子と2人で逃亡。

スタッフと女の子は
そのまま行方不明に。
(逃亡成功、と言う意味で)



…以前、
サド店長から聞いた話と
差ほど変わらなかった。




ライカ
「………。」
「もしかして、
ウエダさんって…」

「私のことが、
好きなんですか??」


ウエダさん
「…じゃなかったら、
こんな危険なこと、しない。」

ライカ
「他の女の子の家にも
遊びに行ってるんですよね?」

ウエダさん
「だーかーらー、
行ってないってば。」

「危険を犯してまで、
どーでもいー女の子の家になんか
行くワケないでしょーが。」










…………。






ウエダさんが、

私を 好き…。







こんな

私なんかを…………。






全然、



全く、







ピンと 来なかった。


No.248

私は、
更に質問してみた。



ライカ
「あのー、」
「いつから、私を
好きなんですか?」

ウエダさん
「…………」
「……わかんない。」
「いつからだろーね。」







「ライちゃんはさ、
お店の為に、凄く
頑張る子だよね。」

「頑張って、
ダイエットもしてさ。」

「女の子が少ないと、
早番から通しで
お店に出てくれたり。」

「1ヶ月も
休まないで働いたりさ…」



「一生懸命な ライちゃんに
心、打たれたの かな…」







「痩せて、
可愛くなっちゃったしね。」





私は、
黙って聞いていた。

全然、ピンと来ないから。

ただただ、
ウエダさんの声に
耳を傾けるしか無かった。




そして






ウエダさん
「ライちゃん、
バレバレなんだよっ。」

ライカ
「………え??」

ウエダさん
「みんな、気付いてるよ。」
「女の子達も、社長も。」

ライカ
「…………っ!」





どうやら、
私の
ウエダさんに対する
気持ちは、

とても 分かり易く
表現されていたらしい。

私は、
あまり 出さないように
していたつもりだったのに…。



ウエダさん
「もうちょっと、
引っ込めておかないと。」





「ああ、それと…」

「俺の彼女、
なんだけど。」





「数ヶ月前までは
居たんだけど。」

「好きな人が
出来たからって。」


「…別れちゃった。」






「自分の気持ちには

嘘付けないよね。」





その
“好きな人”とは

私のこと なんだろうか…。




あまりにも
信じられない話で、

私は ただ
呆然としてしまった。


No.249

「はぁ…。」
「寝る時間、無くなっちゃった」


ウエダさんは
ベッドから降りる。


「俺、そろそろ行くわ。」
「じゃあね。」



ウエダさんは
相変わらず 淡々としていた。

そう言えば
普段から ウエダさんは
あまり 笑わない人だった。

飄々としていて、
掴みどころが無い。

何を考えているのか
よく 分からない。

喜怒哀楽の波が
あまり無い。








ライカ
「あのー。」

ウエダさん
「…はい、何でしょう。」

ライカ
「ヨウコさんと、
親しくしてましたよね。」

ウエダさん
「………」
「……あぁ。」

「あの子ね。
キレイかもしんないけど、
性格、悪いから。」

ライカ
「え…」
「…………。」

ウエダさん
「俺は、好きじゃない。」



ウエダさん
「ライちゃんは
珍しいタイプかもね。」



「この仕事、してる割には…」
「あんま、
スレてないって言うか。」






「じゃ、遅刻するから。」






名残惜しく
する様子も無く。

ウエダさんは
草野球へ 行ってしまった。



ウエダさんから
「ライカが好きだよ」
とか
「付き合おう」
とか

ハッキリ 聞いたわけじゃない。

でも、
タチバナ社長からの
制裁を覚悟で、

2度も 遊びに来てくれた
行動を見ると、

本気で 私のことを
好きで
いてくれているのかも
しれない。



でも………

ウエダさんは
私の気持ちを 知っていた。



私の気持ちを利用して、

ヤりに来ただけ???




自分に
自信が無さ過ぎて、

どうしても、
前向きに捉えることが
出来なかった。


No.250

コトがあってからも、
ウエダさんは
いつもと変わらず。

私に対しても、
他の女の子に対しても、

淡々と接し、
仕事をしていた。

帰りの送りも
相変わらず。

あまり、喋らない。

私との会話なんて、
殆ど 無かった。



あまりの
“変わらなさ過ぎ様”に
私の不安は
どんどん 膨らんでいった。



何だかんだ
言ってたけど…

結局は、

ただ 溜まってただけか、
もしくは
「枕営業」ってヤツか。

風俗の黒服が、
お店の女の子と 寝る。

この業界では
よくある話である。


タチバナ社長は

枕営業なんかは
俄然、反対で、
絶対にやらない。
俺が許さない。
と 豪語していたが、

ウエダさんは
社長を無視して
枕営業を しているのかも。

他の女の子とも
寝てるのかも…。




私を好きな素振りが
全く無い。

そう言えば、
メールも
しなくなっていた。


でも、私から

「本当に、私を
好きなんですか?」

なんて、

お店の中や、
帰りの車の中では
聞く気には なれなかった。



…と言うか、

あまり しつこく
聞くべきではないと
思った。





私は、ひたすら

ひたすら、

ウエダさんからの
モーションを
待つしか 出来なかった。



もどかしく
辛い

毎日が続いた。


No.251

アレから
1ヶ月後。

ウエダさんは
相変わらず。

顔も、態度も
淡々としていて
変わることは 無かった。





進展が 全く無く、
精神的に
参っていた時、


深夜の3時頃。
また ウエダさんから
メールが入った。



ウエダさん
『新しいゲーム、買った?』

ライカ
『買ってませんよ』

ウエダ
『なんだ~。』
『また行くから。
面白いの見つけたら、
買っといてね。』




私はそれから、
返信は しなかった。



(また、遊びに来る??)

(…本当なの??)



ウエダさんは
私のことが 本当に好きで
遊びに来ているのか、

私の気持ちを利用して
ただ ヤリに来ている
だけなのか、

はたまた、
枕営業なのか。




ウエダさんが
あまりにも
態度に出さないから、

もう
マイナスイメージしか
頭に浮かんで来なくて、

ただただ、
苦しいだけだった。



ウエダさんは、

私と 何がしたいのか。

私と 最終的には
どうなりたいのか。


全く、
見えてこなかった。




それからまた
数日後。


深夜の3時頃。





「ピンポーン。」


今回は、ウエダさんと
メールのやり取りは
していない。

ウエダさんだと思わず、
時間帯も時間帯だし、
私は無視していた。


すると、
携帯に電話が…。



ウエダさんからだ。



ライカ
「はいはい。」

ウエダさん
「ライちゃん?」
「今どこに居るの?」

ライカ
「…家、ですけど。」

ウエダさん
「じゃあ開けてよ~」


No.252

ビックリして、
私は慌てて
ウエダさんを通した。


ウエダさん
「早く、入れてくれないと。」
「社長に見つかったら、
大変大変。」

ライカ
「メールしないで、
いきなり来るからですよ」

ウエダさん
「そうか、そうか。」
「そうだよね。」

ライカ
「この時間帯のインターホン
誰か分かってないと、
気持ち悪くて、出られません」

ウエダさん
「………うーん。」
「…サプライズ?」

ライカ
「ウエダさんじゃあ、
サプライズには なりません」

ウエダさん
「…。」
「冷たいなぁ。」



ウエダさんは
また 私服姿だった。

黒いジャケットに、
中には白いTシャツ。

ジーンズも 黒かった。



ウエダさん
「新しいゲーム、買った?」

ライカ
「買ってません」
「…もう、来ないと
思ってたので。」

ウエダさん
「-----------」


ウエダさんは
少し上を向き、

考えるような
素振りをしてから

一呼吸置いて…
淡々と、話し始めた。


ウエダさん
「バレないように、
俺も、必死だから。」
「出さないように、
意外と 苦労してるんだよ。」



…そんな風には
全然 見えない。

私には、差ほど
興味が無いように見える。




私達は
テキトーにゲームをした。

でも、ウエダさんは
直ぐに飽きてしまったようで、

また ベッドへ。



私は、

(また溜まってるのか?)
(この間と、同じ流れ?)

と、勘ぐってしまい、
あらかじめ
釘を差しておくことにした。



ライカ
「いきなり来られたので
シャワー浴びてないから、
今日は無理ですよ」

ウエダさん
「……………。」



「……ん???」

「別に、する気無いけど。」

ライカ
「…!」

ウエダさん
「今日は
メチャクチャ眠いんだよね。」



…しまった。

何だか
墓穴を掘ったように
なってしまった。



ウエダさん
「もしかして…ライちゃん」
「するつもりだった??」



No.253

“したくない”
と言えば、嘘になる。

やはり、好きな人からは
触れて貰いたいもの。

でも、ハッキリ
「実は、したいです」
と言うのは、さすがに
節操が無さ過ぎる。


でも…

“今日”出来なかったら、
次はいったい、
何ヶ月後になるのか
分からない。

そもそも、

私を、本当に好きでの
セックスだったのか、

私の気持ちを利用して
ヌいているだけなのか、

枕営業なのか…



ウエダさんの
気持ちが、
全然 伝わってこない。




…でも…

…いや…

…だって…

…う~ん…





色々、ごちゃごちゃ
考えていたら、

何も 言えなくなってしまった。


黙ったままの私に、
ウエダさんは
少し微笑んで 言った。


「シャワー、
浴びてないんだっけ。」

「なら、
俺と入ろうか。」



ウエダさんは
私の腕を掴んで、

少し強引に
風呂場へ引っ張って行く。


ライカ
「え??」
「いや…」
「あの~っ」

ウエダさん
「今更“恥ずかしい”は
無いよね。」

ライカ
「いや、恥ずかしいですけど」
「…とても。」

ウエダさん
「俺、散々
ライちゃんの裸、
店で見てるから。」
「大丈夫。」

ライカ
「店は薄暗いですから」
「明るいところでは…」


「って、ちょっと(汗)」


片手で
ブラのホックをつまみ、
ハラリと
簡単に外してしまう。


ウエダさん
「ほら、脱いで脱いで。」

ウエダさんはもう既に、
パンツ一丁の状態。


(ウエダさんは
“ボクパン派”か…。)


(この間した時は、
部屋を暗くしていた為
パンツまでは分からなかった)



私は 諦めて
一緒に入ることにした。


No.254

一緒に入る

と言っても、

ごくごく普通に、
洗うだけ。

“特別”なことと言ったら、
お互いの背中を
流したことくらい。

あとは、
独りで入るのと
差ほど変わらなかった。




…でも…………

ウエダさんは
メチャクチャ“元気”に
なっていた。



ライカ
「あの~…」

ウエダさん
「…はい、何でしょう。」

ライカ
「元気、ですね(汗)」

ウエダさん
「そりゃ~ね。」
「裸のライちゃんが
こんなに近くに
居たんじゃね。」


下半身は
やたら元気なのに、

相変わらず
口調は淡々としていた。



シャワーから上がって
体を拭いている時、
ふと 思い出し、
ウエダさんに 聞いてみた。



ライカ
「そう言えば…

ウエダさんは
見回りの時に、
女の子と お客のやり取り見て、
元気になったりしますか?」


お店では、
お客や 女の子が
「ルール違反」をしていないか、

女の子が
「手抜き」をしていないか、

スタッフが頻繁に
女の子と お客の状態を
覗きに来るのだ。



ウエダさん
「…いや。全く。」
「ピクリともしない。」

ライカ
「……はぁ」
「そうですか」

(やっぱりね。)

ウエダさん
「見回りって
あくまで“仕事”だし。」
「覗きたくて
覗いてるワケじゃないのよ。」


「………あぁ。」
「でもね。」

「最初の半年は
かなり ヤバかったけどね。」

ライカ
「へえぇぇ~」
「なんか、意外です」

ウエダ
「やっぱり、最初はね。」
「女の子も
演技なのか 本気なのか
パッと見、分からなかったし。」

「でも、今じゃ~
冷静に 見ちゃうから。」
「女の子、痛そ~!とか。」
「大変そ~!…とかね。」




…なるほどね。

私は「ふむふむ」と
真剣に聴き入ってしまった。


No.255

バスタオルを巻いたまま
寝室に 戻ってきた。

ウエダさんは
「シャワー浴びたら、
眠気、どっか行ったなぁ」
と言う。


私は、
「前」のことを思い出すと…
やはり 熱くなるし
ムズムズしてくるし
自然と、濡れてきてしまう。



時計を見ると、
もう 4時半を過ぎていた。

もう直ぐで
多分
お別れの時間だ。



ウエダさんは
私に 問い掛けた。


ウエダさん
「…で。」
「ライちゃん。」

ライカ
「はい、何でしょう?」
(ウエダさんの真似)

ウエダさん
「する? しない?」
「したい? したくない?」


ウエダさんの
下半身を見ると…

まだ、元気なままである。
腰に巻いた バスタオル越しに
それが分かる。

…何となく、
気恥ずかしい。



ライカ
「…うーん。」
「ウエダさんが
“どうしても”と言うなら」

ウエダさん
「俺もー。」
「ライちゃんが
“どうしても”って言うなら。」

ライカ
「いやいや。」
「ウエダさんが…

「ライちゃんが……



………。




お互いに、
一歩も譲らない。




いつまでも
進まなくて。

とうとう、
ウエダさんが
折れるような 形になった。


ウエダさん
「…あのさ。」
「お互いに
“したい”ってことで。」

「…もう、いいよね。」

ライカ
「…………。」
「そうですね」
「なんか、疲れました」

ウエダさん
「なら、決まり~。」
「ライちゃん。
寝そべって。」


No.256

ベッドに、
仰向けに 横になる。

バスタオルを
巻いた上から、

ウエダさんは
私の胸を 揉んできた。


「相変わらず、柔らかいね。」

バスタオル越しに
浮き出て見える
胸の突起物を

指でこすって
刺激してくる。

タオル越しの
指の感触が、

また 何とも…。



気持ち良さに、
浸ってしまう。

下半身も
更に熱くなってきた。



ある程度
揉みしだき
刺激を与えた後、

ウエダさんは
私のバスタオルを
剥ぎ取って、

直に 揉み始めた。



(じれったい…)

(早く、早く
もっと下に………)



恥ずかしくて
そんなことは
言える筈も無く。



ウエダさんは
私の胸を
ギュッと 中心に寄せ、

左右の乳首を くっつける。

「すごいね。」
「くっついちゃった。」
「ライちゃん、
キョヌーだね。キョヌー。」


冗談を言いながら、
ウエダさんは
左右の乳首を同時に
舐めてくる。


左右の
敏感な2カ所を
同時に責められ、

体中に、ビリビリと
電気が走るような感覚に
襲われる。


あまりの気持ちよさに、
我慢出来ず
声をあげてしまった。


「あっ…」
「あぁん………んん…」


ウエダさん
「気持ち、よさそーだね。」

ライカ
「………………っ」

ウエダさん
「あ、やめないで。」
「声 出してね。」


ウエダさんの舌は
やっと
乳首から離れ、

徐々に
下半身へと 近づいてゆく。


でも、
かなり スローペースだ。



(はやく……はやくっ………)



ウエダさんは 多分、
わざと 焦らしてる…。


私の気持ちを
汲み取るように、
ウエダさんは
意地悪そうに 言った。

「あとは、
どこを 触って欲しいの?」


No.257

なかなか、
一番触れて欲しいところに
辿り着かない。


ウエダさん
「教えてよ。」
「じゃないと、わかんないよ。」

ウエダさんの責めは、
一番 触れて欲しい場所を
通り越し、内股へ…



ライカ
「そこじゃ、なくて…」

ウエダさん
「どこ?」

ライカ
「もっと 上………」



恥ずかしくて
そう言うのが やっとだった。

“ここに触れて”
と言うことが 出来ない。

ウエダさんは
内股に キスを繰り返す。



ライカ
「やだ…」
「もう、辛いです……」



本当に、辛くて辛くて。
私は 半泣きの状態になった。


ウエダさん
「もー。」
「仕方無いな~。」
「やっぱ、やらしーね。
ライちゃんは。」


そう言うと、
中心の 一番感じる部分に
顔を近づけ、凝視する。

ウエダさん
「まだ、触ってないのにね。」
「こんなになっちゃうんだ。」

「……」
「…垂れてきて、
シーツ 濡れちゃってるよ。」


興奮し過ぎて、蜜が
どんどん溢れ出て来る。
シーツに、シミを作るくらいに。

グッと指をあてがい、
パックリと 開いてみせる。
更に凝視する
ウエダさん……

「糸、引いてる…。」
「ほんと やらしーね。」

私は、恥ずかしくて
死にそうになった。


ライカ
「そんなに、
見ないでください……」

ウエダさん
「えー。」
「こんなに濡れる子
珍しいから。」
「……見とく。」


指で 秘部のアチコチを
こじ開けながら、
凝視を続ける。


ライカ
「お願い…」
「お願いだから」

「やめて…」


恥ずかしくて
恥ずかしくて

顔を 手で覆った。


No.258

▲▼休憩▼▲

過去の出来事なので、
ところどころ 曖昧で

多分、矛盾とかあります。

申し訳無いです。


ホームページを立ち上げた
23~24歳あたりから
ホームページとは分けて
ブログも始めていて、

忘れたくない出来事や、
印象深かったことは、
かなり詳しく
書き残しています。

(言った文言に至るまで)



ウエダさんとの
くだりあたりは、

過去のブログを見て、
台詞などは
そのまま引用しています。




分かりづらい部分は
沢山、あるかと思いますが、

引き続き
宜しくお願いします。


No.259

▲▼休憩(追記)▼▲

ちなみに

登場する人物名ですが、
殆どが、実名です。


名前がかぶって
分かりづらい場合のみ
変えて表記しています。


No.260

 
「………あ。」
「いじめ過ぎたか。」


私は 恥ずかしさのあまり
何も言えず。

顔を 手で覆ったまま
震えてしまっていた。

“初めて”の時よりも、
“2度目”の方が
ずっと 恥ずかしかった。


ウエダさん
「仕方無いな~。」

ウエダさんは
相変わらず 淡々としている。



やっと、
一番 触れて欲しい部分に
舌を這わせてくれた。

焦らされ過ぎて、
パンパンに膨らんだ
私の秘部は

数回の 舌の往復で
達してしまう。


ライカ
「もう、もうダメ!」
「イッイくぅぅぅ………!!」

脚を内側に閉じ、
ブルブルと 震える。
歯を食いしばる。

ウエダさんの頭を
内股で 強くギュッと
挟んでしまった。


ウエダさん
「ライちゃん、痛いよ~。」

ライカ
「はぁ…はぁ…」
「ごめん なさい…」


これだけじゃ、
全然 足りない。

もっと
して欲しい。

もっと
私に触れて欲しい。



普段、
ウエダさんに
感情を ぶつけにくい分
爆発しそうになる。



でも、


(私の気持ちを
利用してるだけかも…)

(枕営業かも……)



マイナスな気持ちが
ブレーキになり、

気持ちを 出し切れずにいた。


No.261

出逢いが、
お店じゃなかったら。


友人の紹介だったり、
合コンだったり、

別な職場での同僚や
先輩だったり。


「普通」の出逢いだったら、
こんなに不安には
ならなかっただろう。

こんなに
マイナスな考えには
ならなかっただろう。


ウエダさんは、
タチバナ社長に
「借り」があると言っていた。

だから、
タチバナ社長を
裏切るような行為は
多分 しないだろう。

だから、
タチバナ社長が嫌悪している
「枕営業」では
ないのかもしれない。



…でも、
社長を裏切れない と
言うことは、

これ以上の進展は
有り得ない と言うことになる。


仮に、
本気で私のことを
好きでいてくれているとしても


社長から離れて
私と“どうこう”と言う選択肢は
ウエダさんの中には 無い…。



2人で

ご飯を食べに行ったり
カラオケで歌ったり
ゲームセンターに行ったり
映画を観たり
ドライブしたり




「お付き合い」を
しているならば、

「当たり前」に
するであろうことが
全く出来ない。



社長に見つかったら、
タダでは済まない。

私と
外で会おうなんてことは
絶対に無いのだ。



1ヶ月に一度
コソコソ会って、
コソコソやって。

ただ、それだけ。


ウエダさんからは

「好きだよ」
「愛してるよ」

の 言葉も無い。






……



好きな人が
そばに居るのに。

好きな人に
抱かれているのに。




私は無性に
悲しい気持ちに
なってしまった。


この人とは、
「先」が無い。

「未来」が
見えてこない。



前戯の最中だと言うのに、

私は
涙を 流してしまった。


No.262

「…んー~??」
「ライちゃん…どうしたの?!」
「どっか、痛かった??」


保安球の小さな灯りでも、
私の涙は 見えたようで

ウエダさんは
心配そうに
私の顔を 覗き込んできた。



私は 聞きたかった。

『私を、本当に好きですか?』
『私と、どうなりたいですか?』




…でも、

「重い」「面倒」と
思われるのも嫌だったし、

私の方から問い掛けて、
ムリヤリ聞き出すのも
嫌だった。

それに、
私から聞き出した場合、
「その場しのぎの嘘」を
つかれることも考えられる。



私から、何も言わなくても、

ウエダさんの方から、
自然と 言葉にしてくれるのが
ベストだと思った。



そうなると やはり…

待つことしか 出来なかった。




ライカ
「ああ…すみません」
「何でもないです」

ウエダさん
「………。」
「…本当に?」

ライカ
「はい、本当に…」
「大丈夫です。」

ウエダさん
「………。」

ライカ
「すみません。」
「シラケちゃいましたね…」

ウエダ
「…いいや!」
「大丈夫。」

「俺は、続きをする気
マンマンだから。」



そう言うと、
ウエダさんは

私の涙を
右手で拭い、

優しく
キスをしてくれた。



セックスで味わう
快感よりも、

優しい キスの方が

何倍も、
幸せな気持ちになれた。



ウエダさんは
キスをしたまま

固くなった熱を
私の秘部に あてがった。


ウエダさん
「…ごめん。」
「我慢、
出来なくなってきちゃった。」

ライカ
「いいですよ。」
「入って…きてください。」

ウエダさん
「足りなかったら、

「…また 後で、
たくさん、イかせてあげる。」


No.263

ウエダさんは
そう言うと、

「グッ…!」っと
ひと突きで、
私の 奥の奥まで
侵入してきた。

中から来る
強い快感に、
声が漏れてしまう。



ライカ
「あぁんっ……!!」

ウエダさん
「………」
「相変わらず、狭いね。」

「痛くない?」

ライカ
「…気持ち、イイです……」

ウエダさん
「……よかった。」
「なら、動くよ。」


私の腰を掴み、
激しく 打ち付けてくる。

奥に、奥に、
打ち付けられる度に、
喘ぎ声が出てしまう。

声を出さずには
居られない。



ライカ
「あんっ…あんっ…
はぁんっ…やんっ…!!」


「ぅんっ………」


ウエダさんは
私の喘ぎ声を
遮りたいのか、

先程とは 全然違う
強引で、少し乱暴な
キスをしてきた。

私も、それに答えるように、
舌を 強く強く 絡めてゆく。


ウエダさんは
キスをしながら

胸の突起物も
責め始めた。

手のひらで 揉みながら、
親指の腹で
優しく こねくり回す。


ライカ
「んんっ…ふんんっ…
んっ…ぅんん………!!」

中から来る、
重く激しい快感と、

胸の突起物から来る
ビリビリとした快感と…

強引で、
いやらしいキスと…



私の中から、
熱いものが
込み上げて来るのを
感じた。


ライカ
「はっ…はぁっ…」
「ウエダさん…」

「あ、あたし……」


「で、出る…
……出るぅっ…!!」



ウエダさんの熱を
挿入させたまま、

私は 潮を噴いてしまった。

熱い液体が
ほとばしるのが分かる。



ウエダさんは
何も言わず、

私の 奥に奥に、
更に強く 叩き付ける。


そして、
胸の敏感な部分を
刺激していた 親指の腹を、

今度は、
私の下半身の
固い突起物にあてがい、

コリコリと
いじくり回してきた。



ライカ
「あ…っ!」
「だめっ…ダメッ……」

ウエダさん
「…ダメ、じゃないでしょ?」



No.264

潮を噴くのとは
また別な快感が襲ってきた。


ライカ
「イッちゃう!」
「いっ…イくぅ」

「ヒギィッ………!!!!」



あまりの強い快感に、
歯を食いしばり
のけぞってしまった。


ウエダさん
「…………っっっ」
「…凄い、
締め付け……だね…」


ウエダさんは
少し 顔をしかめたが、
淡々とした雰囲気は
相変わらずだった。



ライカ
「ウエダさんは………」

ウエダさん
「……?」

ライカ
「ウエダさん…は……」
「あまり、
気持ち良くないんですか?」

「あたし… あたしは」

「こんなに、気持ちイイのに………」



ウエダさんの、
あまりにも
変わらなさ過ぎる態度に、

私ばかり
一方的に気持ち良い思いを
しているような…

寂しい気分に
なってしまい、

つい 聞いてしまった。


初めてした時も
そうだったけど、

ウエダさんは
そこまで、表情も変わらず。

セックスの最中ですら、
何を考えているのか
分からないような感じであった。




ウエダさん
「…………。」
「なに、言ってるの。」

「我慢、してるの。俺は。」

ライカ
「…え……?」

ウエダさん
「ライちゃんの 中。」
「気持ち、良過ぎるの。」

ライカ
「…………。」

ウエダさん
「あまり、テンション上げると
アッと言う間 だから。」
「頑張って、抑えてるんだよ。」



「………………はぁ……。」


「我慢するの、キッついね。」


少し微笑みながら、
ウエダさんは 言った。





「それに……」



No.265

「どっちかって言うと。」
「自分が良くなるよりは、
ライちゃんに、良くなって
貰いたい……かな。」

ライカ
「え……」

ウエダさん
「…え~と…。」
「それに、ほら。」

「ライちゃん、可愛いから。」
「感じてるとことか、
喘いでるとこ、
いっぱい見てたい…
って言うか。」



ウエダさんは
ソッポを向きながら、
そう 話してくれた。

少し、照れ臭そうに。



ウエダさん
「話してたら、
少し、落ち着いてきたよ。」

「また、動いていい…?」


私は 何も言わず、
首を コクコクと
縦に振った。



ウエダさんは 再び、
腰を激しく
叩き付けてきた。

ぐしょぐしょに
濡れてしまっている
秘部からは、

ヌチュッ…ヌチュッ…と、
いやらしい水音が
聞こえてくる。



イッて
間もない私は、

快感の波が、再び
中からジワジワと
やってくるのが

直ぐに分かった。



ライカ
「あんっ…あんっ…!」
「私……もぅ………」

「くるっ……」

ウエダさん
「…………っ」
「ライちゃん……
やらしーなぁ。」
「もうなの?」

ライカ
「…うん……もぅなの…」
「くるの…」


「中からっ…」
「中から、」

「くるのぉっ………!!!!」



下半身の
突起物でイくのとは違い、

ズン…とした
大きい、なだらかな
快感の波が 襲ってきた。


中が、
キュ~ッと締まり、
ブルブルと痙攣しているのが
よく分かった。



No.266

「凄い、しまる…っ」


顔を少ししかめながら、
更に強く、早く
腰を打ち付けてくる。


「俺も そろそろ…」
「限界、かも。」






「……………ぅっ…!」



私の中から
慌てて引っこ抜き、

腹の上に
熱を撒き散らした。






-----


2人で
またシャワーを浴びる。

汚れたところを
軽く 洗うだけだが。

…スキンシップは無い。



この人は、
恋人同士のような
「甘い雰囲気」は、
好きではないのかもしれない。


セックスの後、
余韻に浸ることも
無かったし…。




私は、
ウエダさんと
このような関係に
なったことを

後悔し始めていた。



お客が来なくて 暇な時間、
店の受付の裏側で

内心、凄くドキドキしながら、
ウエダさんと
どうでも良い話を楽しむ。


時々、来ていたメール。
「居眠り運転しないように、
相手になって欲しい」
とか、
「眠れないから、
メールに付き合って」
とか…。

嬉しくて嬉しくて、
仕方が無かった。


こうして、
ウエダさんが
お忍びで
来るようになってから、

ウエダさんは
おそらく警戒したのだろう。

私との会話も、メールも、

一切、しなくなっていた。





こんなに
寂しい気持ちに
なるくらいなら、

ずっとずっと、

『片想い』で いたかった。



ウエダさんとの、
「先」が見えない。

私は、
タチバナ社長よりも
「格下」の存在で、

ウエダさんは
タチバナ社長を捨ててまで、
私とどうこうと言う気は
一切無い。



結局は、要するに…

私は、
【都合の良い存在】
なのだろうと。




既婚者と、
付き合っていた時のことを
思い出してしまう----


No.267

ウエダさんは、
タチバナ社長と
「結婚」していて、


私とは「不倫」の関係に。


タチバナ社長(奥さん)に
絶対にバレないよう、

私の家に コソコソやってきて、
やることやって
数時間で帰る。


ウエダさんは、
本当に、私のことを
好きで居てくれてる。

でも、
奥さん(タチバナ社長)と
別れるつもりは無い…。








既婚者(ハルカワさん)と
付き合った時と 同じだよ…。







-----




ウエダさん
「そろそろ、帰らなくちゃ。」
「今日も、(朝の)9時半には、
店に居ないと。」


時計を見る。

時間は、朝の6時を
回っていて、
外が 明るくなり始めている。


ウエダさん
「やばい、やばい。」
「外、明るいじゃん。」
「社長に見つかったら、大変。」


「それじゃあ、お店でね。」






「………」




「ライちゃん??」





ライカ
「…あ。」
「あぁ…はい。」

ウエダさん
「どうしたの?」
「ずっと 黙っちゃって。」

ライカ
「何でもないですよ。」

ウエダさん
「…また、」
「また、来るから。」

「ゲーム、買っといてね。」

ライカ
「そこまで言うなら、
ウエダさんが買ってください」

ウエダさん
「俺、ゲームに詳しくないから。」
「何が面白いのか、知らないし。」

ライカ
「自分で調べてくださいよ。」

ウエダさん
「そんな時間、無いよ…。」

ライカ
「…………。」


ウエダさん
「じゃあ。」
「本当に、行くね。」


ライカ
「……」




「さようなら。」

「ウエダさん。」
















……





ハグも、キスも無く。
そそくさと出て行った。



これが、
ウエダさんに会った
最後であった。


No.268

私は、そのまま一睡もせず。
(眠れなかった。)

朝の10時頃
タチバナ社長の携帯に、
電話した。


社長
「おぅ。ライカか?」
「珍しいな~、お前が
俺に直接連絡よこすなんてよ!」

ライカ
「タチバナさん…」
「お話、したいことが
あるのですが……」

社長
「………。」
「うん。わかった!」
「お前が、俺に直接連絡を
よこすってことは、
“それなり”のことが
あったんだろ?」

ライカ
「…」
「はぃ…」
「すみません……」

社長
「どうした?」
「泣くな泣くな!」

ライカ
「……すみません…」

社長
「う~んと、そうだなぁ。」
「ライカ、今日は
“新店舗”の方に、一緒に行くか!」

ライカ
「…新店舗、ですか?」

社長
「俺も、新店舗のことで
お前と話したかったからさ~」
「まぁ、こっちの話しが
“ついで”ってことでよ」

ライカ
「…わかりました。」
「ありがとうございます」

社長
「今日の夕方4時頃、
新店舗の店長と俺で、
お前んち行くから!」
「それまでに、少しでも
気持ち、落ち着けてな」

ライカ
「はい…」
「ありがとうございます」
「よろしくお願いします」





タチバナ社長は、
私に優しく、
気を使ってくれた。



…そう。

タチバナ社長に
何もかもを話し、

罰金でも 何でも、
「制裁」を
受けようと思ったのだった。


今の店で働くのは、
もう、酷でしか無くなった。

毎日毎日、
ウエダさんに会うのは
もう 辛いだけ…


ウエダさんとは
多分これからも ずっと、

いつ 終わりが来るのか
分からない
「体だけ」の関係が
続くだけなのだろう。


話すだけ、
メールだけで
満足していたのに、

ウエダさんが
私の家に
来てしまったことによって、
「欲」が出てしまった。






でも、もう

【都合の良い女】
【セックス フレンド】

のような状態になるのは、
絶対に 嫌だった。






私のような、
価値の無い女が
辿る末路は


所詮、
こんなものなのかもしれない。


…そうも 思った。


No.269

夕方の4時頃。

予定通り、
タチバナ社長と
新店舗の店長が

私を迎えに 来てくれた。

新店舗の店長は、
以前にも会ったことのある
ニイミさんだった。


ニイミさん
「ライカちゃん、
久しぶりだね~」
「半年振りくらいかな?」


相変わらず、
少しやつれ気味に見える
ニイミさん。

食べても食べても
太れない体質と、
多忙を極める
この仕事のイメージから、
「やつれ」「虚弱」「干物」など
散々の言われようだった。

ニイミさんは、
別の市にある系列店の店長で、

今は、新店舗の店長を
メインとして
働いているようだった。

人が足りなくて、
店長掛け持ちらしい。



ライカ
「“やつれ”さん。」
「お久しぶりです。」

ニイミさん
「ライカちゃん、
いきなりきたね~」

私は笑いながら、
ニイミ店長の
車に乗り込んだ。

助手席には、
タチバナ社長が。


社長
「はい、お疲れさ~ん」
「気持ちは落ち着いたか?」

ライカ
「はい、すみません。」
「気を使わせてしまって…」

社長
「いいのいいの!」
「話は、新店舗で
ジックリ聞くからさ。」



-----



比較的、新しいビルの中に
新店舗はあった。

高級感が漂う
マッサージのお店。

出来たばかりで、
店内は 清潔感が溢れ、
かなり綺麗だった。


でも、
女の子の待機室は
相変わらず(笑)
とても狭い。


お店が暇で
お客が居ないと言うことで、
私は、待合室に通された。



-----



社長
「…で、話と言うのは?」
「あ、ニイミ。
ライカちゃんに、
飲み物持ってきて~」

ニイミさんは、
私に烏龍茶を出してくれてから、
また受付に戻る。


タチバナ社長と 私。
面と向かって
2人で話をするのは、
初めてである。

タチバナ社長の
「ただ者ではないオーラ」は
相変わらず健在だった。





ライカ

「……」

「ウエダさんの、ことです。」


No.270

社長
「ウエダが、
どうかしたのか??」


私は、意を決して
タチバナ社長に
すべてをブチまけた。


タチバナ社長は
どっしりと構えたまま、
静かに 聞いてくれていた。




社長
「………」
「そうか~。」

「ついに、やっちまったかぁ。」

ライカ
「…???
ついに???」

社長
「…いや。実はさ、
前々から、気になってたんだよね」

ライカ
「気になっていた?」

社長
「うん。」
「お前の
ウエダに対する気持ちは、
もう かなり前から
知ってたんだけど。」

ライカ
「はぁ…。( ̄o ̄;)」

社長
「でも、お前の性格考えたら、
“お前から、間違いを
起こすようなことは、
絶対に無い”って。
確信してたからさ~。」
「だから、お前のことは
放っといたんだ。」

「間違いを起こすとしたら、
ウエダからだろうってね。」
「だから、かなり
目を光らせてたんだけど。」

「…そうか~!」
「草野球のタイミングなら、
俺にもスキがあったわけだ。」


草野球のある前日は、
タチバナ社長は必ず、
睡眠を 多く取っているらしい
(スタッフには
徹夜とかで参加させてるのに(汗)。

「タチバナ社長が寝ている」
タイミングで、
ウエダさんは 私の家に
遊びに来ていたようだ。


社長
「ウエダの、お前に対する気持ち。」
「ウエダは
ひた隠しにしてたみたいだけど、
ムダムダ無駄!
俺には全部、お見通し。」

ライカ
「…………。」

社長
「好きな人が、
遊びにきちゃったら…
そりゃ~、部屋に入れちまうよなぁ…」
「お前は、悪くないよ。
気にすんな。」

ライカ
「私……あ たし………」
「“都合のイイ女”は
やっぱり辛くて……」
「先が見えなくて、
寂しくて、悲しくて……」

「私からの、一方的な
片想いをしていた時の方が
ずっとずっと、楽しくて……」


ウエダさんとの
経緯だけじゃなく、

気持ちと言う気持ちを
全部 吐き出して、


私は 散々泣いた。


No.271

タチバナ社長は
立ち上がり、
鼻を荒げて言った。

「アイツ…
ま~たやりやがって。」
「もう二度と、
こんなことが起きないように
なんとかしなくちゃならんね!」




………

…………


………………



ライカ
「“また”???」
「“また”って……」

タチバナ社長
「アイツ、前にも
やらかしたんだよ。」
「別店舗でだけどな。」

ライカ
「……………」
「はぁ!?(゚Д゚;;;)」

社長
「俺と、会長とで、
タップリ絞ってさ~」
「罰金100万、払わせてよ。」
「かなり激しく、
釘を刺したつもりだったんだがなぁ」

社長
「…しかも………」



「女の子を、
妊娠させちゃったんだよ。」





ライカ
「……… ポカ---(゚A゚;)---ン」





サド店長から、
女の子とスタッフが
逃亡した話は聞いたが、

ウエダさんの話は
全くもって 初耳で、

そんな“噂”すら
聞いたことがなかった。


サド店長が話していた
逃亡事件よりも
「前」の出来事らしく、

50万だった罰金が、
100万に値上がりしたのは、
ウエダさんが切欠らしい。

女の子を
妊娠させてしまった。

傷付けたと言うことで、
罰金を「倍」にしたんだとか。




私は、

ただただ 驚くばかりで、

唖然としていた。



おそらく、
ウエダさんと決別したのは
間違いでは なかったのだろう。


ウエダさんは
タチバナ社長には
「借り」があると言っていた。

その、「借り」の中には、
この過去のことも
含まれているのだろう。

(こう言うのは
“借り”とは言わないような
気もするが…)


No.272

タチバナ社長は
頭を抱えた。

「う~ん…」
「ウエダのやつ、
どうすっかな~……」

そう言うと、
受付で暇を持て余していた
ニイミさんがやってきた。


ニイミさん
「ウエダ君が、どうかしたんスか?」

社長
「はぁ…。」
「お前にも、話しとっかぁ」

タチバナ社長は
私の方を見て、
渋い顔をしながら言った。

社長
「“示し”をつける為にも、
全部のスタッフに、
話さなきゃならないんだが…」
「ライカ、構わないか?」



私は、
深く頷いてみせた。



ニイミさんも
会話に参加。

私は改めて、
ニイミさんにも
経緯を説明した。

ニイミさんは
タチバナ社長とは違い、
少し、私を責める言い方を
してきた。



ニイミさん
「それは、ライカちゃんも
悪いよ。」
「ダメなことだって
分かってるんだから、
門前払いにしなくちゃ。」
「ウエダ君を、部屋に通した
ライカちゃんも悪い。」

「……でも、
ライカちゃんの気持ちを
知っていながら、
遊びに行ったウエダ君は
更に悪い!!」

ライカ
「はい…そうですよね……」
「すみませんでした。」
「本当に、ごめんなさい…」

タチバナ社長は、
ニイミさんを制止した。

社長
「ニイミ、もういいよ。」
「これは、“男と女”の
問題だから…」
「片想いしか、
考えられなかった相手が
遊びに来ちまったら……」

「…部屋に、通しちまうだろ。
そりゃ~、嬉しいもんなぁ。」

ニイミさん
「…………。」

社長
「は~ぁあ。」
「俺も、丸くなったなぁ。」
「…歳かな??」

ニイミさん
「俺も、そう思ってたとこです(笑)」
「タチバナさん、歳取ったんだな~と。」

社長
「ニイミ、お前なぁ(笑)」

「まぁ、前の俺だったら、
ライカのことは
怒鳴り散らしてただろうし…

ウエダのことなんて、
直ぐにでも、ブン殴りに
飛び出してただろうなぁ」



No.273

もう、あそこでは
働けない。

毎日が、
辛くなってしまったと。

罰金なり払って、
辞める覚悟もあると…。


タチバナ社長に
重ねて気持ちを伝えた。




社長
「いやいや、お前が
辞める必要は無いよ。」
「俺達からの話ってのは、
新店舗での話なんだよね。」

ライカ
「は、はぁ…。」

社長
「前にも話したろ。」
「こっちで働かないか?って。」

…そう言えば、
タチバナ社長から
そう お願いされていたことを
すっかり 忘れていた。

ここ2~3ヶ月は
ウエダさんのことで、
頭がいっぱいいっぱいだった。

ウエダさんとのお別れが
寂しくて…
新店舗行きは、
保留にしていたのだった。



社長
「実は、お前に、
こっちに来て欲しい理由の中に
“ウエダ”があったんだ。」

ライカ
「は…?」

社長
「ウエダが、
お前のことが好きだって、
もうバレバレだったから。
ウエダが間違いを起こす前に、
ライカを新店舗に移そうってな…」

ライカ
「…。」
「そうでしたか…」

社長
「やっぱりな。」
「女の子と黒服って、
くっつくと、あまり良いこと
無いんだよな~…」



当人同士だけでなく、
店の雰囲気も 変わってしまう。
ウエダさんが、
いくらポーカーフェイスで
うまく隠しているつもりでも、
不思議と伝わって、
女の子や、お客にまで
影響を及ぼすと…。



社長
「お前も、ウエダも、
戦力になる。だから、
どちらもクビにはしない。」
「ただし、
お仕置きを受けるのは、
ウエダだけだ。」
「まぁ、ウエダは
2度目だからな…。(怒)」





ウエダが
遊びに行かなければ
良かっただけの話だから。


お前の片想いは、
店の為に 頑張る力に
変換されていたから。

かえって 良かったのにと。


社長は 更に付け加えた。



こうして私は、
この日から
新店舗で働くこととなった。


No.274

~数日後~



ウエダさんから来た、
一通のメール。







【ライちゃんなら、
分かってくれると思ってたのに…】


【ガッカリだよ。】









“分かってくれると
       思ってたのに”




この言葉に、
全てが集約されているのでは
ないでしょうか…。




2~3年後。

ウエダさんは
店を摘発され、

逮捕されました。



ニュースで
報道されてしまったのです。

報道人に
インタビューまで
求められていました。





タチバナ社長から
解放されたのか


タチバナ社長の元から
逃げ切ったのか


どちらかは
分かりませんが、


系列でも何でもない、
全く別の店の
店長を努めていたようで。



「売上金の一部は、
暴力団に流れていた」

と、ニュースでやっていたので

ウエダさんはおそらく、
そちらに「仲間入り」を
果たしたのでしょう。



まぁ、
タチバナ社長率いる店も、
893関係と
繋がっていたのかも
しれませんがね…。




ちなみに、
ニイミさんの情報だと、

ウエダさんは
創○○○の 人間です。

○○○会の人間でも
893入りを 果たせるのですね。



…よく、知りませんが。



新店舗にて
全てをブチまけた時、
ニイミさんが
そう言っていました。


No.275

新店舗は、
とても快適だった。

仕事は、
前の店より ず~っと楽。

でも、給料は高い。
「保証金」まである。

(保証金=
お客が一人も付かなくても、
持って帰ってこれる給料のこと)

店内は綺麗だし、
女の子も、
可愛い・綺麗な子しか居ない。


女の子に関しては…

ぶっちゃけ、
前の店は、本当に酷かった。
前にも書いたが、
30代後半・80キロ級の
女性ばかりで、

私も 実は
凄く嫌だった。



何故、この人達は
風俗で働こうと思うのだろう?


私は、68キロあった時、
本当に自分が嫌で…
だから、変わろうと
必死に努力をしました。

スタッフから、
馬鹿にされたくない。

迷惑な客の
処理係だなんて、
真っ平ゴメン!

…68キロで
風俗(本番サロン)に居たとき、
自分が惨めで惨めで。



だから、
変わろうともせず、
何食わぬ顔で働きに来る
「地雷」の人達の神経が

全く、理解出来なかった。

そのクセ、
お客が回ってこないと、
散々文句を言う。

お客を回して貰えていた私は、
「地雷」の彼女達からは
目の敵にされていた。




気持ち悪くて、
視界に入ってくるのも嫌で、
ウエダさんに
愚痴ってしまったこともあった。

「彼女達が、信じられない」
「何故、変わろうとしないのか?」
「恥ずかしくないのか?」

と…。



でも、新店舗では
「目に毒」な女の子が
一人も居ない。

むしろ、見た目で
一番劣るのは、私であった。


「好きな人」は
もう居ないが、
新店舗でも、私は
躍起になって働いた。




ウエダさんに関しては、
あんなに長い間
好きだったのに、

「過去の人」になるまでには、
差ほど 時間はかからなかった。



No.276

「お客との
店外デートは禁止」


このルールは、
前の店と 変わらなかった。

でも、私は
「新店舗」を利用し
お客と 散々遊んだ。

新店舗だから、
「初めて」のお客が殆ど。
常連が、まだまだ少ない状態。

スタッフが
お客の顔を覚える前の、
「今」がチャンスだった。



指名欲しさではなく、

真剣に恋愛をすることに
すっかり疲れてしまい、

完全に、ヤケになっていた。



「も~~~、疲れた。」

「真剣に恋愛とか、
馬鹿馬鹿しい!」

「私が真剣になったって、
何も報われない。無駄なだけ。」


「徹底的に、遊んでやる!!」




私は、

【今日が初めて】
【私好み】

のお客に、
片っ端からメアドを教え、
メールがあったお客には
「もう店には来るな」
「私と遊ぼう」
と返信し、外で会うだけにする。


まぁ、
「片っ端」と言っても、
最終的に、遊んだ男性の数は
5~6人程度であるが。


ご飯食べて、
飲みに行って、
ゲーセンやら
カラオケやらに行って、


遊んだ1日の〆は
私の家でセックス。


遊び感覚だから、
お互いに 気楽で良かった。



No.277

新店舗では 基本、
女の子が「責め」で、

お客は
リクライニングソファーに
座ったままの状態で、
サービスを「受ける」のみ。

マッサージをした後、
最後は手で抜いてあげるのだ。


でも、中にはやはり
「触りたい」と言うお客は
いるので、
女の子の服を脱がさず
触るのはOK。

ただし、女の子を
リクライニングソファーに
寝かせたり、舐めたりは禁止。



私は、こんな状態でも、
お客から責められて
イきまくっていた。

お客がリクライニングに
座ったままの状態で、
私の秘部を ………

グチュグチュと
こねくり回す。

中に指を挿入し、
ガンガン突きまくる。

お客に
指を突きまくられるのと同時に、
下半身の突起物が
お客の手のひらに当たり
快感が 倍増され、

私は潮を噴きながら
イッてしまう。

水っぽい愛液が、
脚を伝って流れて行き
床に 広いシミを作っていた。




店での接客中も、

プライベートでも、

私は 快楽を貪った。



「気持ちイイことを
       楽しもう」



ただ それだけだった。




【都合の良い女】は嫌。
【セックス フレンド】は嫌。




そう思っていたが、
「恋愛感情」の無い相手に対しては
別に どーでも良かった。


快楽の為に、
お互いにお互いを
利用すればいいと……


No.278

店の外でよく遊んだのは、
5~6人の中でも、
2人の男性。



カズキ君。当時で21歳。
大学生。AB型。

年上の女性が
好みなんだとか。

いかにも今時の男の子だったし、
彼女も居たり、居なかったり。

「彼女が生理だよ~」
「喧嘩が続いて、ヤらせてくれない~」
「別れちゃった…(;_;)」

と言う時に、
私と飲み歩いたりしては
ヤリまくっていた。




もう一人は、コウさん。
当時で27歳。A型。
内科医。
フルネームや、本名は知らない。
私よりも、一つ上。

同時は女性不信で、
恋愛は怖くて出来ないと
言っていた。

今でも、たま~に
メールする。




この2人とは、
数え切れないくらい

セックスを楽しんだ。

2人共、
私をイかせることに
夢中になってくれる人で、

一度のセックスで、
数え切れないくらい
イかせられる。

潮も、何度も噴いたし、
大量に飛び散った。

よくやったのは、
目隠しに、ローター。

ローターを
一番感じる突起物に当てながら
挿入してもらい、
激しく突いて貰う。

ローターの振動が伝わって、
男性側も
更に気持ちイイらしい。


カズキ君も、コウさんも、
2度・3度は当たり前に
達していた。


長い時は、半日くらい
し続けていたこともあった。
(相手はカズキ君。)



この2人がメインで、
他3~4人と
ローテーションで、

ほぼ毎日、
セックスしていた。

セックスするのは、
仕事の1~2時間前が多く、

休日は、カズキ君と
遊んで埋まる日が多かった。




セックス中毒に
近い状態だったかもしれない。

前にも書いたが、
恋愛感情は
一切湧かなかった。

ウエダさんのことで
疲れていたのかもしれない。

ウエダさん…
と言うよりは、


ハルカワさん

カンザキさん

ウエダさん


この3人で
疲れてしまった感じだった。



No.279

>> 278 ■訂正■


同時は女性不信で、
恋愛は怖くて出来ないと
言っていた。


当時は女性不信で、
恋愛は怖くて出来ないと
言っていた。

No.280

こんな風に
すっかりスレてしまっていた時期…


とある、一人の
お客に出逢った。


名前は、コウスケさん。
年齢は私の3つ上で
当時で28歳。

コウスケさんは、
体型が「私好み」で、

鍛えてあって、
ガッチリしていて
ちょっとゴツいくらいだった。

身長も
そこそこある。



コウスケさん
「サービスを
受けに来たワケじゃないんだ。」
「楽しく喋ろう」


コウスケさんは
そう言って、
サービスを受けようとは
しなかった。

でも、
決して 安い金額を支払って
入ってきたワケではないのに、
何もせずに返すのは
私の気が済まなくて

「せっかくだから、
していこうよ!」

と サービスをしてみるも、
勃ちはすれど
全く イく気配無し。


コウスケさん
「俺、多分 出ないよ(^^)」

ライカ
「え…(゚A゚;;;)」

コウスケさん
「こういう店で、
イッたこと無いんだよね。
それに…」

ライカ
「???」

コウスケさん
「イくことよりも、
ライカちゃんに
興味湧いちゃったから。」

ライカ
「…はぁ。」


サービスは諦めて、
コウスケさんとは
時間ビッチリ
楽しくお話しした。

コウスケさんは
体格が物語る通り、
仕事は肉体労働だった。


コウスケさん
「はは…楽しかった。」
「それじゃ、
また来るから!」

ライカ
「ああ、待って待って!」



私は、
サワヤカなコウスケさんに
好感を持ち、慌てて
メアドを書いた名刺を渡した。

コウスケさん
「え?いきなりいいの??」

ライカ
「いいですよ。
私、あなたの“鍛えた肉体”が
とても気に入りました。」

コウスケさん
「え(^^;)いきなり
体目当てか~」


コウスケさんは
また 指名で来ると
言ってくれた。

私との会話が
そんなに楽しかったのだろうか?


No.281

1ヶ月後。



また、コウスケさんが
来てくれた。

コウスケさんとは
営業メールをするに
止まっていた。


コウスケさんは
ぶっちゃけ、

顔は
決して 好みではなく…
所謂「ゴリラ顔」と
いうヤツである。


セ○レを何人も作り
散々やりまくってはいたが、
コウスケさんを相手に
セックスは ちょっと…

考えられなかった。


店で お喋りしかしない
コウスケさんに対し、
性欲が 全く湧かないのである。

私の場合、
「知らない相手」の方が、
体の関係には なりやすい。


コウスケさんとは
最初に喋り過ぎて、
知り過ぎてしまったのである。




2度目…

コウスケさんは
延長までしてくれた。

でも やはり、
お互いに、一切触ることなく
お喋りで 終わりである。



コウスケさん
「俺、ライカちゃんの雰囲気と、
声が気に入ってるんだ」

ライカ
「“声”…ですか??」

コウスケさん
「ライカちゃんの声のトーンが、
俺の波長と合うのかもね」







2時間ほど
楽しくお喋りをし、

コウスケさんは
笑顔で帰っていった。


「また来るよ!」と
言い残して。



No.282

コウスケさんと
「健全」なやり取りをする中、

私は相変わらず、
遊びまくっていた。


この頃は、

若くて
体力もあって、
攻めるのも
攻められるのも大好きな、

カズキ君とばかり
遊ぶようになっていた。


カズキ君が
彼女と別れると、
遊ぶ頻度が劇的に増える。


カズキ君は、
ゲーセンやカラオケ
外食など、

セックス以外の事も
私と一緒に楽しんでくれて…

それが凄く
嬉しかった。



でも、やはり
恋愛感情は湧かない。

カズキ君は
私より 5つ年下。

多分、
「弟」のような
感覚だったのだと思う。





カズキ君との
“やり取り”は
こんな感じ。↓


カズキ君との
とある1日。






カズキ君
「ライカ~?
どうしたの?」

カズキ君と
私の家でゲームをしていた時、
下の階から「声」が
聞こえてきた。

私は、窓を開け、
下の階からの声を確認。


ライカ
「あら~………」

カズキ君
「どうしたのさ~??」

ライカ
「下の階の人……
多分、ヤッてる最中。」

カズキ君
「え!!マジで!?」

カズキ君も
窓から頭を出し、
喘ぎ声を確認する。

カズキ君
「げっ。マジだわ~」

ライカ
「窓、開けてヤッてんのかな?」

窓の開閉状態までは
確認出来なかった。

私が 窓を覗き込み続けていると、
カズキ君が 後ろから
私の胸を、鷲掴みにしてきた。

ライカ
「きゃっ…!」

カズキ君
「ライカ、
やっぱりノーブラだ。」

カズキ君の前では
完全無防備な私。

カズキ君
「乳首、勃ってるよ~」

カズキ君は
部屋着の布越しから
胸の突起物を

指で擦ったり、弾いたり……


ライカ
「あっ…やめてよ~」

カズキ君
「俺達の声もさ、
聞かせてやっか、下の住人に。」
(ニヤリ)


No.283

カズキ君は、激しく
少し乱暴に揉みしだきながら、
胸の突起物を
人差し指と 親指で
クリクリとつまんでくる。

気持ち良くて、
全身が熱くなってくる。


ライカ
「んっ……」
「カズキ君、やめてよ…」

カズキ君
「やだよ~」
「ライカ、嫌じゃないクセに」

カズキ君は
私の部屋着を
胸の上までまくし上げ、
胸を直に揉んできた。



ライカ
「外から見えちゃうよ!」

カズキ君
「大丈夫だって~」
「ここ、高いしさぁ」

(と言っても6階)

「それに、見られたいんじゃないの?」
「ライカ、変態だもんな~」


そう言うと、
カズキ君は
私のズボンと下着を
まとめて下ろしてしまう。


ライカ
「え…ちょっと!」

カズキ君
「もう糸引いてんじゃん」
「エロいね~ぇ」

ライカ
「そう言うこと言わないでっ」


下ろした下着と
私の秘部との間には、
愛液の糸が…。



No.284

私の背中側に立っていた
カズキ君は、

私のズボンを下ろすと同時に
しゃがみ込む。

糸を引く愛液を
ニヤニヤしながら眺めると、
今度は
私のお尻の割れ目に
両手の親指をあてがい、

パックリと
開いてみせた。


ライカ
「やだ…そんなに見ないで」

カズキ君
「すっげ、エロッ…」
「もうグッチャグチャ…」

そう言うと カズキ君は
“入り口”のヒダを
指でグチュグチュと
小刻みにかき混ぜてきた。

ぴちゃぴちゃ
   ピチャピチャ

卑猥な水音が
たくさん聞こえてくる…


カズキ君
「やらしー音…」
「ライカ 聞こえてる?」

ライカ
「やっ…やだぁ」
「やめてよっ」

カズキ君
「この音、エロくてたまんねー」
「舐めていい?」

ライカ
「……………ぅん…」


カズキ君は
私の前側に回ると、
屈んで
秘部に顔をうずめ
むしゃぶりついてきた。

舌先を、上に下に。
興奮して
パンパンに腫れ上がった
私の秘部を、
激しく攻め立ててくる。


ライカ
「あっ…あぁ…!!」

カズキ君
「窓開いてるから
声が外に漏れちゃうね」

ライカ
「ぅっっっ……!」

カズキ君
「声を我慢してるのも
コーフンすんね」


舌先で
突起物を攻めるのと同時に、

私の中に
指を2本 侵入させてきた。

グチャグチャに濡れた
私の中は、
すんなりと 2本の指を
受け入れる。


ライカ
「あぁ………っっっ!!」

カズキ君
「潮、噴かせてあげるから」


そう言うと、
メチャクチャに激しく
私の中に 2本の指を
ガンガン突き立ててきた。

ジュポジュポ ヌプヌプ
グチュグチュ…

濡れた音が、部屋中に響き渡る。

快楽の波が、
ズンズンと湧き上がってきた。



ライカ
「あぁ…ああ!!」
「そんなにしたらダメだよ…!!」



No.285

カズキ君は
夢中になってむしゃぶりつき、
中に指を突き立てる。

カズキ君と
私の相性は、凄く良い。
私が達するのに、
そう 時間はかからない。


快楽の波と同時に
潮を噴射する熱も
グングンと 湧き上がってきた。



ライカ
「もうダメッ…イきそう!」

カズキ君
「いいよいいよ」
「どんどんイッて」

ライカ
「イ…くぅ………アッ…!!!!」




私は
歯を食いしばりながら、
絶頂に達する。

達すると同時に
潮を大量に噴射した。


足のスネあたりで
履いたままになっていた
ズボンと下着は

大量の潮で
ビチャビチャになっていた。







はぁ… はぁ…
    はぁ… はぁ…




カズキ君は立ち上がると、

「もぅ、我慢できねー…」

立ちバックの体勢で
私の中に
灼熱の杭を 打ち込んできた。



ライカ
「ヒィッ……!!!!」

カズキ君
「イッたばっかだから
締まってスゲー!!」


バチン、バチンと
肉と 肉が
ぶつかり合う激しい音と、

接合部分の
グチャグチャとした
卑猥な音と、

声を我慢する、
荒い吐息が


部屋中に響き渡り、
更に興奮が加速する。



カズキ君
「ヤベッ…もぅ出そう」
「ライカ、エロ過ぎなんだって」


ライカ
「…もう、出そう??」

カズキ君
「大丈夫だよ。
いつもみたいに、2回ヤるから」



カズキ君
「ダメだ、出るっ……!」

ライカ
「カズキ君、こっちに…」

カズキ君
「わかった……」
「うっ……………!!!!」



私は、カズキ君の熱を
口で受け止め、飲み込む。

私が、完全に満たさせる
瞬間であった。



私達は、窓は開けっ放しのまま、
そのままの体勢と体位で
2度目を開始。



私は いつものように
散々イかされ、

全身は
体液と言う体液で
ベトベトになった。



No.286

もう一人の
セックス フレンド

コウさん
(名前、変えれば良かったですね(汗)
コウスケさんではありません)
とも、こんな感じに
激しく過ごしていた。

ただ、カズキ君と違うのは、
コウさんは
ただ私の家に来て、
ヤッて帰るだけと言うこと。

外で遊んだりは
一切無かった。

その代わり、コウさんは、
趣味が 私と同じく
「テレビゲーム」なので、
家の中で テレビゲームで
盛り上がることが多かった。


ちなみに、
カズキ君の当時の見た目。
身長は、168センチ。
茶髪に、ピョンピョン跳ねた
ホスト風の頭。
片耳にピアス。
体型は普通…よりも
少~しだけ、多い感じ。
(+5キロ程度)


コウさんは、
身長170センチ。
黒髪で、普通に短い髪型。
黒縁メガネ。
「いかにもマジメ」という見た目。
体型はスリム。
仕事帰りに、私の家に
寄ることが多かったので、
大抵はスーツ姿だった。



-----



コウスケさんに、
お店に来て貰ったのは
2~3回程だった。

最後に店に来てくれたのは、
私の誕生日。

…と言うか、
「この日は誕生日だから、
遊びに来て欲しい」
と、私からお願いしていた。


私の名前が書かれた
誕生日ケーキと、

途中、目に入った焼き鳥屋で、

焼き鳥と
オニギリまで
買ってきてくれた。

…しかも焼き鳥は、
お店のスタッフや、
女の子達の分まで…(*゚∀゚*)


「こんな時間まで、
お疲れ様(^O^)」
「お腹、すいたでしょ?」
「美味しそうだったから、
コレにしちゃった。」


焼き鳥は、
5本入りのものを
10パックくらい
買ってきてくれていた。

相変わらず、
コウスケさんとは
楽しくお喋りするばかり。

誕生日だったので、
コウスケさんは奮発して
3時間くらい居てくれた。

…その間に、
フロントに預けていた
コウスケさんからの焼き鳥…

スタッフに
結構食べられていて。

私は
マジに怒った。(笑)



No.287

コウスケさんは、
お店に来ても

毎度毎度、
お喋りしかしないので…
何だか 申し訳無く感じてしまい、

「もう、お店には来なくていいですよ」
「外で会いましょう!」

と、メールでお願いした。

楽しくお話するならば、
外での方が、更に楽しく
過ごせるだろうと。


コウスケさんは
「本当にいいの??」
「お客さんと外で会ったりなんかして…」
と、かなり遠慮がちだったが、
私が何度かお願いをすると
「そこまで言うなら…」と、
申し訳無さそうに折れた。



-----



実は、前の店の指名客でも、
2人だけ、外で会って
「健全」なお付き合いをしていた
元お客が居た。

サトシさんと、リュウさん。

サトシさんは、当時40歳。
私のパ○ズリ目当てで
何年も通ってくれたお客さん。

リュウさんは、当時38歳。
ごく普通の、良いお客。
家庭が冷え切っていて、
私に相談や愚痴を漏らしていた。



この2人は、
「店の外では求めない!」
と、キッパリ線引きしていた
本当に 良い人達で、
私が前の店を辞めた後は、
「メシ友」となった。

リュウさんとは、
スキーに行ったりもした。




この2人は、
コウスケさんのことについて、
随分と相談相手になってくれた。
(↑後日記載)



No.288

コウスケさんと
メアド交換をしてから…

実は、コウスケさんからの
メールでの「押し」が、
かなり強かった。


「ライカちゃんのこと、
本気で好きになりそう!」

「ライカちゃんのことが
頭から離れないよ(>_<)」

「ライカちゃんのこと
考えてたら、
眠れなくなっちゃった(^^)」



…こんなメール、
一度たりとも
貰ったことの無い私は、

ただただ、戸惑うばかり。


恋愛に疲れていた為、
何度も何度も

「今は、充電期間なんだよね」
「申し訳無いけど、
今はどんな人間が相手でも
恋愛は出来ないよ」

と、キッパリ
お断りをしていた。


それでも
「押せ押せ、ドスコーイ」
のメールは
ずっと続いていた。

コウスケさんと
外で会うまでに
時間がかかったのは、

このメールも
原因にあった。





「男友達」として

外食や セックスを
楽しんでいたかった私にとって、

コウスケさんからの
そう言ったメールは
重いだけだった。


何度断っても引かず、
お店にも、
呼べば遊びに来る
コウスケさん。
(しかも必ず延長で。)


…コウスケさんの
気持ちを利用して

お店に来て貰うのが
心苦しくなってきていて…。


-----


コウスケさんと
初めて外で会ったのは、

風がまだ 少し冷たい
春の時期だった。

私は、
準備に手間取ってしまい
待ち合わせ場所に、遅刻(最低)


私が遅刻をした為、
コウスケさんは

「本当は、来ないんじゃないか?」
「来る気が無いのでは?」


と、疑っていたらしい。



No.289

待ち合わせ場所に見える
チョロQのような、小さな車。


車好きのコウスケさん。
敢えて小さい車にしてみた、
とのこと。



「遅れます、ごめんなさい!」
と メールで連絡していたものの
初日に30分も遅刻とは…。


コウスケさんは
遅刻はしたが、
来てくれた私に驚いた。


コウスケさん
「本当に来ちゃったんだ!」
「俺が悪い人間だったら
どうするのさ~?」

ライカ
「う~ん…」
「まぁ、それはそれで、
私の人生 ここで最期でもいいです」

コウスケさん
「そ、そんなぁ(^^;)
ライカちゃん…冗談だよ」



私自身に
そこまでの価値は無い。

私は、本気で言った。



コウスケさんとの
初めてのデートは、

ボーリング
ドライブ

ドライブスルーで
ファストフード…



とても 楽しかった。

メールでは「押せ押せ」
だったコウスケさんだが、
外で会った時は
そんな雰囲気は一切無く。

明るく、人懐っこい。

そして、無類の子供好きであった。




…でも、

時々見え隠れする
「影」のようなものが

私は、凄く気になっていた。








その「影」は、
次に会った時から

少しずつ
大きくなっていった。




No.290

コウスケさんは
ことある毎に

「俺は、いつ死んでも
構わない人間だから」

「誰も俺には付いて来れない」

「みんな、俺からは離れていくんだ」


…こう言う
言い方をしてきた。



コウスケさんは
過去に とても辛い何かが
あったんだろうと…。

まだ、そこまで親しくない間柄。

ズケズケと聞き出すのも
デリカシーが無いと思い、

私からは、直接
「一体、何があったの?」
とは、この時点では聞かなかった。





【誰も俺には付いて来れない】


私は、コウスケさんの
この言葉に、

“反発”してやろうと
いう気持ちになった。


私は、他の人間とは違う。
私は、居なくならない。

コウスケさんに、
ついて行こうと…。





コウスケさんに対しては
相変わらず 恋愛感情は無く、

“良き友”であった。



コウスケさんも、
私からはもう
「友達」としか
思って貰えないのだろうと、

私への熱は冷め、
諦めたような感じだった。


コウスケさんとは
何度か会って(健全に)遊んだが、

コウスケさんから
メールが来ることは、
ただの一度も 無くなった。



私から誘わないと、
コウスケさんとは
会えないような感じだった。



No.291

コウスケさんに対して
恋愛感情が無く、
性欲も湧かない為、

連絡が 1~2ヶ月滞り、
会わない時も多かった。


コウスケさんの方から
連絡が来ることは
無くなってしまったので、
コウスケさんと会うには、
私から連絡するしか無かった。




コウスケさんと会わない間は、

やはり
カズキ君か、コウさんと
セックス。

もしくは、
前の店の元お客と
健全に遊ぶか。




ヤケクソになっていた
この時期。

やはり、
セックスの時間が
大半を占めていた。

コウスケさんを
気に掛ける気持ちよりも、
性欲の方が 勝っていたのである。




-----




カズキ君
「うわぁ…ライカ
もう濡れてんの?」
「相変わらずエロいな」

ライカ
「カズキ君、お願い…」
「早く」

カズキ君
「早く、何だよ?」

ライカ
「早く、舐めて…」

カズキ君
「どこを?」

ライカ
「ここ…」

カズキ君
「いやだーっ。まだ。」
「もっと見てからね~」



カズキ君は
私の秘部をパックリ開き、
ジロジロと
舐めるように凝視する。


ライカ
「もぅ…いやぁ」

カズキ君
「見られるの、好きなんだね。」
「溢れて垂れてきてるよ~」

ライカ
「……………////」

カズキ君
「ほら、ライカ見える?」


カズキ君は
置き型の鏡を持ってきて、
鏡に私の秘部を
写して見せた。

秘部のフタやヒダを
ヌチャヌチャと指で掻き分け、
中の中まで………


カズキ君
「もっと、脚開いてよぅ」

ライカ
「やだぁ、もう無理っ…」

カズキ君
「いいから開けって」
「すっげエロいから!」


カズキ君は
力ずくで、

私の脚を開かせ、
四つん這いの体勢にさせる。



私の秘部は
いやらしく口を開け、
ヒクヒクさせていた。



No.292

カズキ君
「欲しい欲しいって。
スゲー口開いちゃってんね…」
「ここも、ほら…」


私の一番感じる突起物を
指でめくり上げ、
それも鏡に移し込んでくる。


ライカ
「やっ…剥かないでよ!」

カズキ君
「剥いたここにさぁ、
ローター当てたら、
どうなっかな~?」

ライカ
「そんなことしたら、
すぐにイッちゃうよ…」

カズキ君
「だよね~。」
「でも、ライカは
何度もイケちゃうから!」


そう言うと、
カズキ君は勝手に
引き出しを開け、
ローターの入った小さな巾着を
出してきた。

ニヤニヤしながら
中からローターを取り出し、
丸いスイッチを
親指で、クルリと回す。


“ヴーーーン……”
と、振動音が聞こえてきた。


ライカ
「…あっ…………!!」

振動音が聞こえてきて直ぐ、
めくり上げられた突起物に
震えるローターを
チョン…チョンと当てられる。


ライカ
「あっ…やだっ…!!」
「感じ過ぎて、ジンジンする…!!」

カズキ君
「ほら、脚閉じたら
ダメだってば~」


頭のてっぺんから
足の先まで、

快感が 雷のように駆け巡る。
脚に力が入ってしまい、
つい、内股を閉じてしまう。


チョン… チョン…と

焦らすように
ローターをあてがう。


当てたと思ったら、
直ぐに離してしまう。

イきそうで、イかない。



興奮だけが、
どんどんどんどん
盛り上がってゆく。



鏡を見てみると、

私の秘部は、
ヨダレをダラダラと垂らし、
だらしなく 口を開けていた。


ライカ
「カズキ君、辛いよ…!」
「イきたい…イきたいよぉ!!」



No.293

カズキ君
「イきたいの?」
「もー、仕方無いな~」

カズキ君は
ローターの振動を止め、

自分の
反り立ったモノを
私の目の前に出してきた。


カズキ君
「イきたいんなら、
まずしゃぶって。」


私は、言われるがまま
夢中で口に含み、

喉の奥に
カズキ君の先端をぶつける。


カズキ君
「うぉ………すげ…っ」
「ディープスロートってやつ??」


喉の奥にぶつけても、
不思議と「おぇっ」とは
ならない。

むしろ、コレは得意だった。

何度も何度も往復させ、
喉の奥にぶつける。

カズキ君は突然、
慌てて口から引っこ抜いた。


カズキ君
「おぉ~っと!」
「ダメダメダメ~ッ」
「出そうになったよ!」

ライカ
「出せば良かったのに…」

カズキ君
「ダメダメダメダメ~」
「今日は、ライカの中で
イくって決めてあるのー。」


そう言うと、
四つん這いの体勢の私に、
ギンギンに反り立った杭を
一気に奥まで挿入してきた。


ズンッ…!!と
強く強く、奥をひと突き。

私は、たったそれだけで
軽くイッてしまった。


ライカ
「ひぅう~…っっっ!!」

カズキ君
「うわ…絞まった!」
「もしかして、今ので
イッちゃったの??」

ライカ
「か……かるく…………」

カズキ君
「ライカ、興奮し過ぎだって~」

ライカ
「だって、カズキ君が
焦らしまくるから………」



私がそう言い終えると、
激しく激しく、
私の中に 杭を打ち付けてきた。

パンッ パンッ
バチンッ バチンッ ……

部屋中に、
体がぶつかり合う音が
響き渡る。

そして、
腰を打ち付けながら、
私の一番感じる突起物に
ローターの振動を
あてがってきた。


ヴーーーーーン……



ライカ
「ひあぁ!!」

カズキ君
「振動が、俺の方まで来る…!」


No.294

奥に奥に
強く打ち付けられる杭と、

ローターの
小刻みの振動で、

2度目の絶頂も
アッと言う間であった。


ライカ
「イクゥ…もう、もう」
「ダメェ………!!!!」

カズキ君
「し、絞まる絞まる!」
「やべっ…俺もイきそー」

カズキ君も
アッと言う間に
果ててしまった。


カズキ君
「呆気なかったな~」

ライカ
「もう一回、すればいいじゃん」

カズキ君
「さすがライカ、エロいね~ぇ。」
「彼女もこうだといいのになぁ…」

ライカ
「彼女…??」
「カズキ君、もう彼女出来たの?」


この間、別れたばかりだと言うのに。


カズキ君
「大学通ってるとね。
合コンやら多いからな~」
「それだけ、出逢いも多いから」

きっと、私と違って
好きになってから
付き合うのではなく、

付き合ってから
好きになっていって、

好きにならなかったら
別れる。


順序が逆なんだろうな…。





ライカ
「じゃあ、
会う回数、減らさないとね」

カズキ君
「寂しくなるけどな~」
「そうしないと、やっぱダメだよね?」

ライカ
「ダメだよね?って…(汗)」
「彼女、居るんでしょ?」

カズキ君
「ライカのエロは
貴重だからな~」
「下半身が、寂しくなるわ~」


ライカ
「………………。」








私は 何となく

虚しさを 感じるように
なっていった。


No.295

もう一人のセックス フレンドの
コウさんにも、彼女が出来た。

彼女が出来たのに、
私に会いに(ヤリに)来る理由は、
カズキ君と 同じ。




「こんなにエロい子は
        貴重だから」




私の存在価値は、
最早 下半身しか無いのだろうと…

少しずつ、徐々に

虚しく感じるように
なっていった。



思い返せば、

ハルカワさん
カンザキさん
ウエダ店長




「性欲」が
抜けた状態の私だったら
愛してくれていたかどうか。

怪しいものであった。


私から「性欲」を取ったら
何も 残らないんじゃ…。



セックス フレンドの存在は
私から求めたこと。

セックス フレンドからしてみれば
私は“ダッチワイフ”みたいなもの…


外食に、ゲーセン。
セックス「以外」のことを
私と楽しんでくれたのは、
カズキ君だけであった。













何となく


虚しさと
寂しさを感じていた時期…





事態は 急展開した。














新店舗が摘発され、
店長、スタッフ、女の子達…


留置場に
連れて行かれてしまったのである。



No.296

たまたま、運良く
私の休みの日に起こった。


お店の女の子の一人から、
私の携帯に 連絡が入る。



「…あ、ライカさん?
大変なことが起きたんです!」

「お店、摘発されちゃって…
今みんな、留置場に居るんですよ!」

「アレコレ質問されて、
私は今、釈放されたとこです!」





「マッサージ」の店なのに、

「抜き」のサービスがあった。


コレが、摘発理由だと言う。

お店は、暫くお休み。

復活の兆しは…
この時点では“皆無”であった。






女の子達は、
系列店に散り散りとなり
割り振られる形となった。






ここで、私が受けた扱いは、

「デブ」
「ブタ」
「ピザ」
「ババァ」

の巣窟である
系列店への 移動(異動?)であった。




何度か
ヘルプで行かされたことのある
店舗だったが、

女の子のレベルの低さは、
前の店の非ではなかった。

そんな「低レベル」の
女の子しか居ないのもあって、
店は、メチャクチャ暇。

メチャクチャ暇だから、
どんな客でも
入店させてしまう。


泥酔・外国人・893…

それはもう、
お構い無しに。


ヘルプで行かされた時、
泥酔の客を付けられ

怪我をさせられたことがあった。
「ヒダ」が切れて、大量出血。
客に怪我させられたのに、
次の日、自分の金で
産婦人科に行く羽目に。





低レベル店舗の店長は、
新店舗と同じく
ニイミさんであった。







… じょーだんじゃない!!







ニイミさん
「ライカちゃん、
この店舗に来てくれないかな…」

ライカ
「要するに私、
“格下げ”扱いなんですね。」

ニイミさん
「違う違う!」
「そんなんじゃないよ。」
「ライカちゃんに、
盛り上げて貰いたいんだよ。」
「この店舗を。」

ライカ
「そんな低レベルの店舗、
行きたくありません。」
「私にも、プライドがあるんで!」

「やっと、醜い女の子達から
解放されたのに…
更に汚いデブ達と仕事しろって!?」

「じょーだんじゃありませんから!!」

ニイミさん
「ライカちゃん!
ちょっと言い過ぎだよ!」

ライカ
「“言い過ぎ”なんかじゃない!!」
「醜いまま、なあなあで、
変わろうと努力しない
女達と一緒になんか、
働きたくありません!!」







ニイミさんから
更に言い返される前に

携帯の通話を切った。



No.297

私は突然、

「無収入」となった。


摘発なんて、
全く予測していなかった私。


貯めていた貯金は、

「脂肪吸引」に
使ってしまったばかり。


銀行に残っていたお金は
たったの20万円であった。







-----




ここで、閑話休題??


私が受けた
脂肪吸引施術の話を
書いてみようと思います。


私が受けたのは、

「顔(アゴ・頬)」
「二の腕」
「腹(両わき腹・下腹・胃肉)」

…合計金額は
顔10万+腕14万+腹25万

計50万程度。


どこで受けたかは、
この値段の安さから、

調べてみたら
分かるかもしれない。

(今現在の
価格は分かりませんが。)



かなり、大手です。

でもかなり安い。



  • << 304 ■27歳■ 「無収入」になり 途方に暮れていた時、 (そう言えば最近、 コウスケさんに会ってないな…) と思い、 コウスケさんにメールした。 「店が摘発されて無くなった」 「いきなり無収入」 「弱音を吐かせてくれ~(涙)」 と言う内容で。 コウスケさんからは その日の夜に返信があった。 「大丈夫! ライカちゃんは、強いからさ(^O^)」 「何とかなるって!」 「元気出して!」 と言う内容であった。 “ライカちゃんは       強いから” …別に私は、 強くも何ともない。 コウスケさんには 「陰」があって、 いつもいつも 死にたがっているような 素振りを見せていたから。 だから… コウスケさんには 元気になって貰おうと ちょっと強気な女を 演じていたに過ぎなかった。 他の、元お客や セックス フレンドにも 同じようなことを言われた。 “ライカは強いから        大丈夫だよ” “落ち込むなんて   ライカらしくないな~” … 【ライカらしい】 って、何だよ。 【私らしい】 って、何だよ……… 知った風な口ききやがって。 私だって、 弱気にもなるし 悩むし 落ち込むし 凹むし …涙だって 流すし。 私は「人間」だよ。 「感情」があるんだよ。 弱気になることくらい 当然あるのに………… 【ライカらしくない】 って、なんだよ…!!!! それっきり、 私は 元お客とも セックス フレンド達とも 一切、会わなくなった。 コウスケさんに 連絡をするのも 辞めてしまった…。

No.298

■脂肪吸引■

最初に受けたのは
二の腕だった。


太ると、
直ぐに目立つのが

私の場合は二の腕で、

暑い夏なんかは
憂鬱な気持ちにさせられる。



脚の太さが
一番気になっていて、
コンプレックスではあるが、

まずは
狭い範囲の場所から
「試し」にやってみようと。

やはり、
いきなり「広範囲」の施術は
怖かった。




病院に電話し、
予約を入れる。

電話対応は
かなり丁寧であった。

まずはカウンセリング。
いきなり施術は出来ない。



どう言った内容だったか
詳しいことは忘れてしまったが、

「カニューレ」と呼ばれる
細い管を、
ヒジの窪みあたりから、
(ヒジを伸ばして、触ると
窪みが分かると思います)
上腕に向けて挿入し、
脂肪吸引するとのこと。

傷跡は、
まず残らないとも
説明を受けた。



先生は…

多分、40代前半。

妖艶と言うか、
何とも艶めかしい、
「男」の先生であった。

美形。
上を向いた長い睫毛。
クッキリ二重瞼。
高い鼻筋。
程よい膨らみのある唇。
色黒。




(この先生、どれだけ
いじったんだろ?)

と言うような
出来過ぎた顔立ちで、


(…気持ち悪っ…。)


↑私の率直な感想。





施術は 一週間後と言われた。



-----



一週間後。

私は銀行から
15万おろし、
意を決して 病院へ。


やはり、緊張する。



施術前、
前後左右の
バストアップ(二の腕)の
写真を撮る。

何の為に撮るのかは、知らない。
施術後の
苦情対策の為だろうか。



撮った後、
水性マジックで「あたり」を取り、
手術台へ。


まずは、右腕から。
左を下に、横向に寝かされる。
体のアチコチに
ガーゼ?メッシュ?のような
素材のカバーで覆い、
二の腕だけを
剥き出しの状態にする。

顔には、施術が見えないように??
タオルを掛けられた。





いよいよ施術。
まずは、麻酔をするのだが………



No.299

二の腕への、局部麻酔。

注射は6本。




……メチャクチャ、痛い。

あまりの痛さに

「うぐぅぅぅ………!!」

と 唸ってしまったし、
歯もメチャクチャ食いしばった。



笑気ガス??
ボ~ッとなるガスを
鼻から吸わされたが、

私には
全く 効かなかった。


【局部麻酔の、麻酔をくれ!!】

そう叫びたかった。



局部麻酔が終われば、
あとは何のその。

腕に、何か通されてる。
ゴソゴソと、何かを
やってるな~…

と言う 感覚しか無い。

20分程度で終了。



右腕が終わると、
次は当然左腕。

(また、あの注射の痛みを
味わうのか………!!)

(*д*;)
苦虫を噛み潰したような
渋い顔をしてしまった。

(顔にタオルが掛かっているから
表情は誰にも見えない。)





そして、左腕にも局部麻酔。

注射の激痛に、
またもや唸りまくる私。


ヴィィィィィィーン…

ズゴゴゴゴゴゴ………



何か吸ってるな~

と言う音。



こちらも
20分程度で終了。

吸引した脂肪の量は、
両方で300cc。
結構な量である。



吸引が終わると、

カニューレを通された傷は
溶ける糸で縫われた後
上から肌色のテープを貼られ、

「このテープは差し上げますので、
3ヶ月は、貼り続けてください。
傷痕を、消すためです」

…と言われる。



そして、

両二の腕~肩にかけ、
ビチビチの グルグル巻きにされ、
ロボットの肩のようにされた。


私は、
夏に吸引を行ったので、
「ロボ肩」を誤魔化せず。

外へは
(手術受けたんだよ!!)
(だから仕方無いし!!)
と開き直って出掛けた。


ロボ肩は、10日間はそのまま。

ロボ肩を外した後は、
皮膚のタルみ防止に
キツめのサポーターを
最低でも1ヶ月は付け続ける。


私は
タルむのが嫌で、

3ヶ月は 付けていたかな。


No.300


脂肪吸引した後は
病院から出されたオイルで
(鮫から摘出した油。
名前、なんだっけ??)
吸引した部分をマッサージ。


このマッサージがまた……

かなり、痛い。


脂肪吸引した箇所が
固くならないようにする為、
マッサージが必要なのだ。




そして、内出血もかなり酷く、
完全に消えるまで、
3ヶ月はかかった。

内出血、引力に従って、
徐々に下に降りていくんですよね…。

施術から2ヶ月後、
内出血は完全に
ヒジから下の位置に。

お客に、ちょっと引かれていた。


「ちょっと、手術をしまして…」
「ごめんね、怪我とかじゃないの」



…何となく、

お客には
“脂肪吸引した”とは
言えなかった。



脂肪吸引した箇所が
完全に「自分のモノ」になるまで、
半年はかかったと思う。




インターネットのサイトに
記されていた、
施術後の状態。


“腫れは2週間程で消える”
“10日間程、筋肉痛のような痛み”



…全部、嘘。

腫れは2週間なんかじゃ引かない。

筋肉痛のような痛みも
結構強く残り、

10日くらいじゃ
全然消えません。



個人差はあると思いますが、
やはり
3ヶ月~半年は待たないと、
「自分のモノ」には
ならないと思います。








次は
「顔(顎・頬)」の
脂肪吸引。



No.301

顔は、正確に言うならば
下頬~アゴにかけてを施術。
顔の下半分全体。


上頬(頬骨があるあたり)は
また別料金。


流れは
二の腕の時と同じで、


アレコレ説明を受けた後

写真を撮り、

水性マジックで「あたり」を
取ったら 手術台へ。

ガーゼ?メッシュ?
素材のようなモノで
顔以外の場所を全部隠す。

そして、局部麻酔。

またもや、片側6本。
計12本。


二の腕の時よりも
数倍痛い。

笑気ガスは相変わらず
全く効かず、

痛すぎて
「痛いィィィィィ…!!」
と唸ってしまったし、
涙が滲んだだけでなく
本当に泣いた(笑)


【局部麻酔の、麻酔をくれ!!】


(心の叫び)





カニューレの管は

耳たぶの裏側から差し込まれ
頬や下アゴまでを吸引する。

局部麻酔を受けた後は、
またもや
「あ~、なんか入ってるな~」
と言う感覚だけで、
痛みは全く無い。


施術時間は
30分程度だろうか。




またもや
鮫オイルを貰い、

カニューレを通した穴の傷を
目立たなくするテープも貰った。

顔は、
内出血や腫れは
あまり大したことなく、
髪が短かった私でも
特に問題無く過ごせた。

(大抵は、長い髪を利用して
頬の腫れを隠すらしい)


ただ、やはり
マッサージは必ず
やらなくてはならなくて、

痛いのを我慢しながら
2~3ヶ月はマッサージを続けた。

暫くは、顔の肉は固く、
こちらも完全に
「自分のモノ」になるまでは
半年くらいかかったと思う。








最後は
「腹全体」の脂肪吸引。


No.302

腹部全体…
下っ腹・胃あたりの肉
両わき腹。

4カ所を
まとめて吸引した。

量は およそ1Kg。



腹部全体の場合、
局部麻酔でも
「静脈麻酔」をかける。

背中の静脈から
麻酔液を注入。

大学病院から、
麻酔専門医を呼んで
麻酔を掛けて貰う。


施術の先生からは
「肋骨の上は、吸引出来ないから」
「肋骨の上の肉は、我慢してね」
と言われる。


写真、あたりを取るのは
お決まり。

手術台へ行くと、
麻酔専門医からご挨拶。

「よろしくお願いします」
「リラックスしてね」
「大丈夫だから」


笑気ガスを吸わされ、
背中へ麻酔の点滴が。

(痛みは無かった)

そして
寝かされた後、
尿管まで通された。

(こちらも痛みは無し)


カニューレの管は、恥丘から。
(アソコの割れ目の少し上あたり)

左右で1本ずつ通された。





うぃーーーーん……


ズゴゴゴゴゴゴ………!!




お~、吸っとる吸っとる。

二の腕や、顔なんかよりも
痛みが無くて
ずっと楽でした。




施術後、
オイルとテープを貰って終わり。

特に
「アフターケア」も無し。

脂肪が落ち着くまでの
補正下着のようなモノも無し。

先生からは
「兎に角、マッサージをやれ」
「マッサージをサボると
ボコボコのままになるから」

と、しつこく、強めに言われる。


内出血はやはり
徐々に下に降りて行き、

太ももが、真っ赤っかになった。
全く痛みは無いのに、
かなり痛々しかった。




先生に言われた通り、
マッサージは頑張ってみたが…

どう見ても、
失敗していた。


「一年間保証」
を謳っていたので、
半年後、もう一度病院へ行くと


「まだ脂肪が落ち着いてない」
「マッサージ、頑張って」

と言われただけで
誤魔化されてしまった。




下っ腹は
かなりペタンコになったのに、

胃あたりの肉が
全然吸引されておらず。

ヘソの上からの肉だけ
ボコボコと
余っている感じになった。


二の腕と、顔の時の傷痕は
うまく消えたのに、
(ヒジと耳たぶ裏)

腹部吸引の痕は
消えずに今も残っている。

(私はアソコの毛が薄いから。
あからさまに分かる。)



今現在、
腹部「修正」の為に
貯金している。

やはり「広範囲」の脂肪吸引は
“それなり”の病院じゃないと
ダメだと言うことが

よ~~~~く、分かった。


No.303

二の腕と顔は、
成功したのだと思う。

特に不満は無いし、
脂肪はつきにくくなった。



でも…

腹部はボコボコのまま。


以前は
体にフィットする
タートルネックの
ニットセーターやらを
好んで着ていたが、

腹のボコボコが
目立ってしまうので、

ニットセーターは 封印し、
体のラインが出ない服に
転向した。



水着なんて、以ての外。

脂肪吸引以降、
一度も着ていない。



「ポッコリ下っ腹」の
コンプレックスは消えたのに、

新たに
「胃肉ボコボコ」の
コンプレックスを
植え込まれてしまった。



“ガリガリ”になるまで
痩せれば良いのだろうが、

私は、努力しても努力しても

一週間絶食までしても

54キロを
下回ることは無く…。

ダイエットに
すっかり疲れてしまった。



「私は、いつまで
“我慢”していればいいの?」

「いつになったら
“普通”に食べられるの?」




沢山食べたいとは思わない。

私は
「普通」に食べていたいだけ。

でも、
普通に食べることすら
許されない。




食った分だけ、肉になる…。






【痩せたまま】育てられ、
成長している人を見る度に、

私は

父親の
【絶対に残すな】の教育を

…今でも恨んでいる。





かなり、恨んでる。



No.304

>> 297 私は突然、 「無収入」となった。 摘発なんて、 全く予測していなかった私。 貯めていた貯金は、 「脂肪吸引」に 使ってしまったば… ■27歳■

「無収入」になり
途方に暮れていた時、


(そう言えば最近、
コウスケさんに会ってないな…)

と思い、
コウスケさんにメールした。



「店が摘発されて無くなった」
「いきなり無収入」
「弱音を吐かせてくれ~(涙)」

と言う内容で。



コウスケさんからは
その日の夜に返信があった。


「大丈夫!
ライカちゃんは、強いからさ(^O^)」
「何とかなるって!」
「元気出して!」


と言う内容であった。



“ライカちゃんは
      強いから”



…別に私は、
強くも何ともない。

コウスケさんには
「陰」があって、

いつもいつも
死にたがっているような
素振りを見せていたから。



だから…

コウスケさんには
元気になって貰おうと

ちょっと強気な女を
演じていたに過ぎなかった。



他の、元お客や
セックス フレンドにも
同じようなことを言われた。


“ライカは強いから
       大丈夫だよ”

“落ち込むなんて
  ライカらしくないな~”






【ライカらしい】
って、何だよ。

【私らしい】
って、何だよ………


知った風な口ききやがって。



私だって、

弱気にもなるし
悩むし
落ち込むし
凹むし

…涙だって 流すし。



私は「人間」だよ。
「感情」があるんだよ。

弱気になることくらい
当然あるのに…………




【ライカらしくない】

って、なんだよ…!!!!




それっきり、
私は 元お客とも
セックス フレンド達とも

一切、会わなくなった。



コウスケさんに
連絡をするのも

辞めてしまった…。



No.305

それから数日後。



私から連絡しないと
コンタクトが取れない
コウスケさんから、

珍しく メールが入った。



「俺のおごりで、
遊園地にでも行かない?(^^)」

「絶叫マシーンに乗れば
きっと元気が出るよ!」



気晴らしがしたかった私は
直ぐにOKの返事を出した。





コウスケさんに
久し振りに会うと

チョロQのような車から
セダン型の
スピード重視の車に
変わっていた。


「思い切って
買い換えたんだ~」

コウスケさん好みに
エンジンをいじっているらしい。

遊園地までは
片道1時間半程。

ドライブ感覚で
楽しく話しながら
移動を楽しんだ。

その時もやはり
メールと同じことを言われた。



「ライカちゃんは
もっと強い子だと思っていたのに」

…この言われ方には
やはり腹立たしく感じたが、

「ライカちゃんの
意外な一面だね(^^)」

とも言われた。





私は、そこまで「強い女」に
見えるのだろうか?


自問自答してみたけれど



私は元々
他人には「殻」を被って
接してしまう。

自分自身を
さらけ出すことなんて
まず無い。

長い長い付き合いである
コムロさんにでさえ
本音は言わないし、
弱音も吐かない。

基本、他人とは
「楽しい話」しかしないし

大抵、
聞き役に回っている。

自分のことを話すのは
とても苦手で、

他人は、
私には それ程「関心」も
無いだろうから。








いつも私が
こんな状態では、


「気の弱いライカ」は
見えてこないのかも
しれない。





遊園地では
2人で絶叫マシーンに乗りまくり
大いに楽しんだ。


No.306

遊園地の帰り、
ファミレスに寄って
夕飯を済ませることにした。


夕飯はさすがに申し訳無く、
私の奢りで済ませようとしたが、
コウスケさんに
「いいからいいから(^^)」
と、止められてしまった。




ファミレスでの夕飯中、

「コウスケさんって、
実はロリコン??」

と言う話になった。


コウスケさんの「子供好き」が
“普通”ではないような
気がしていたから。


遊園地でも、
小さな子供を見ては
「可愛い可愛い」を連発。

「冬は、子供にモコモコの
つなぎを着せたい」
「モコモコのつなぎを着せて、
しゃがませると「もふっ…」として
メチャクチャ可愛い(*^o^*)」


…兎に角
かわいい 可愛い カワイイ。

そればかりだった。



「ロリコン??」
とは勿論、
冗談半分に聞いたのだが。





コウスケさん
「ロリコンではないよ(^^;)」

ライカ
「だから、店でも
私のサービス受けなかったんじゃ…」

コウスケさん
「違う違う。」
「ああ言う店には、
ホント、気分転換に
お喋りしに入るだけなんだ」
「俺、お酒好きじゃないからさ
飲み屋に行くよりは
いいかな~と思って」

ライカ
「ふーん…(¬_¬)」

コウスケさん
「いや、ホントだってば。」
「う~ん…」





「俺、結婚してたんだよね。」
「子供も居たしね…」
「だからかな~」













ライカ

「…え!!??」


コウスケさん

「あ、今は独身だよ(^^;)」
「結婚してたようには
見えないかな??」

ライカ
「うん。見えない。」
「ビックリして、
鼻からパスタ出そうになったわ」

コウスケさん
「あははは」
「俺もまだまだ、
若いってことかな~」








…衝撃的な 告白であった。


No.307


ファミレスで
夕食を終えた後、
私達はまた
ドライブを始めた。


ドライブ中、
コウスケさんから
色んな話を聞いた。


コウスケさんの
過去の話…





-----




コウスケさんが結婚をしたのは
コウスケさんが23歳の時。
お嫁さんは19歳。(←以下、前嫁)


コウスケさんと
前嫁との出逢いの
詳細は忘れた。

確か、コウスケさんの趣味の
車関係で知り合ったのだと
聞いたような気がする。

付き合って 一年で結婚。
そして、
ハネムーンベイビー。


前嫁は妊娠すると、
ブクブクとどんどん肥えてゆき

50キロ→96キロに
激太り。

前嫁の身長が170センチなので
コウスケさん曰わく
「山?岩?のようだった」と…。


産院から怒られて帰ってきても
何のその、お構い無し。

妊娠8ヶ月まで
警備員として働いていて、
ご飯もかなり少量なのに
この激太り。

どうやら、
かなりの間食を
していたらしい。



コウスケさんは、
前嫁の劇的な大変化が
かなりのトラウマのようで、
極端に太っている人を見ると
ブン殴りたくなる衝動に
駆られると言う。


子供が産まれるなり
コウスケさんに対しては
「構うな」「触るな」を連発。

挙げ句、
インターネットの
出逢い系チャットにハマり、

子育てそっちのけで
パソコンをカチャカチャ。

そのうち、
音声+映像チャットに
変わっていったらしい。


前嫁は
「退屈だ」「暇だ」を連呼。

コウスケさんが
「子供を保育園に預けて働きなよ」
と言うと、

「私には車も免許も無いから
保育園まで遠くて預けられない」
「親に頼るのも気が引ける」

などの言い訳をし、
一切、働こうとはしなかった。



子供が1歳半になった頃、

前嫁は
チャットで知り合った男の元に
行くと言い出す。

でも
「子供は絶対に渡さない」と言う。





(子供には、父親よりも
     母親が必要だろう)


そう思ったコウスケさんは
裁判で争うことは辞め、
離婚届をテーブルに置き

「じゃあ、元気でやれよ」
とだけ言い、仕事に出る。


仕事から戻ると、
家からは
前嫁と 子供は 消えていた。



No.308

コウスケさんは言う。


「あんな嫁でも
ずっと愛していた。」

「ずっと好きだった。」



だから、
離婚の話になった時

嫁と子供を殺して、
自分も死のうとまで
考えてしまったらしい。



裁判で
親権を争うことも考えた。

でも、弁護士からは

「前嫁が100%悪いので、
前嫁からは、財から子供から
何もかもを
徹底的に奪うことが出来ますよ」

「それでも、やりますか?」


…こう、言われたらしい。

前嫁を
ずっと愛していたコウスケさんは
(そこまで鬼にはなれない)と…
裁判で争うことを
辞めてしまった。



当時、職場の同僚からは

「顔付きが変わったな」
「最近、怖いですよ」
「間違いを起こしそうな
なんか嫌な雰囲気ですね」

と、何度も言われたらしい。


そして
コウスケさんの変わりように
見かねた上司は

「前嫁のことは、
もう諦めろ。構うな」

「時間の無駄だぞ」

「(前嫁のことを)
考えれば考える程、
“変な方向”に行きそうで…
最近のお前はコワい」


と コウスケさんにアドバイス。

尊敬していた上司からの
言葉だったこともあり、

「ハッ」とした
コウスケさんは

前嫁のことは
スッパリ切り捨てると
心に決めた。













別れた我が子のことが
ずっとずっと気掛かりで、


「ちゃんと育てられているのか?」
「ご飯はちゃんと
食べさせて貰っているのか?」
「虐待されてはいまいか?」


裁判を起こしていないので、
支払う義務はないが、
ずっとずっと
養育費を毎月振り込んでいると言う。


それに、
振り込みが無いと
前嫁から“催促”の電話が
架かってくるらしく、
それが何よりも嫌なんだとか。



前嫁が、
チャットで知り合った男と
再婚したかは定かではない。

調べれば分かるらしいが、

「前嫁のことは
もうどうでもいい」
「子供のことが
気掛かりなだけなんだ」
と言っていた。



No.309

私は、
「争ってでも
親権奪えば良かったのに」
と言った。

でも コウスケさんは
「子供にはやっぱり
母親が一番なんだと思うよ」
「それに…」


「あれ以上の時間を
前嫁に関わっていたら、
本当に、どうなっていたか
分からない…」

「殺してしまっていたかもしれない」


…そう 言い返した。






コウスケさんの「影」

何かと死にたがるコウスケさん。

そして「子供好き」




…全てが 繋がった。






それから
コウスケさんには、

私の「父子家庭事情」を話した。

父親でも
子育ては出来るものだと。




コウスケさんは逆で
「母子家庭」だった。

父親がDVで
離婚したらしい。

コウスケさんは
4人兄弟の末っ子。
姉や妹は居ない。男だらけ。

新品を買って貰ったことが
一度も無い。

母親は
某宗教家で、

盆正月、クリスマス、誕生日
何もかも一切無く、

とても貧乏に過ごしたとも…。



No.310

私の親友、コムロさんが
田舎の実家に
帰ることになってしまった。



コムロさんからは
度々愚痴を聞いていた。


「私の父が、
帰ってこい、帰ってこいって
かなりウルサいんだ…」

「帰るつもりも無いのに、
“こんな仕事があるぞ”って
求人見つけてきたりするんだよね」

「母は何も言わないんだけど、
兎に角、父が………」



…私は、

「子の気持ちを無視する親」

「子の意見を
尊重出来ない親」

「自分の気持ちを
一方的に押し付けてくる親」を

かなり毛嫌いしていた。
(今も毛嫌いしている)



我が子を心配する気持ちは分かるが、
コムロさんは、私より
2歳年上。
当時で28歳。

親の金を無心したり、
親に迷惑をかけて
生きてきたわけじゃない。

子供の好きにさせておいて
いい筈なのである。



帰る予定も無いのに、
親が勝手に求人探しだなんて。

気持ち悪いにも 程がある。


人様の親を
厳しく言うのは
お門違いなので、

コムロさんの前では
そこまで非難はしなかったが、

心の中では

(コムロさんは28だよ?)
(まだ子離れ出来ないなんて)
(有り得ない…!)
(気持ち悪い!!)
(コムロさんが可哀想だ)

と、メチャクチャに
思っていた。


コムロさんの兄弟姉妹が
みんな地元に居るから、

コムロさんも
地元で結婚し
幸せになって貰いたいんだとか。

コムロさんが
独り暮らしをする場所から
コムロさんの実家までは

車でたかだか
一時間半である。

滅多に会えない距離ではない。



でもコムロさんは
父親のしつこさに
根負けしてしまった。


コムロさんが
根負けしてしまうくらい
父親からは
しつこくされたと言うわけだ。


No.311

コムロさんの引っ越しを
手伝うことにした。

徒歩で
1分程度の場所にある
コムロさんの住むアパートは

新築のアパートで
かなり綺麗だった。




…でも

久し振りに
コムロさん宅へ行くと

かなり 汚かった。

ちょっと 引いてしまうくらい。

独り暮らしだと
こうも汚くなってしまうものかと…

(私も独り暮らしでしたがね。)


コムロさんは
「埃アレルギー」なのに

部屋のあちこちが
埃まみれ。


これは
コムロさんと同居中も同じで、
コムロさんのパソコンデスクや
テーブルの下は
かなり汚かった。

(コムロさんのスペースなので
私は掃除しなかった)


「埃アレルギーなのに
掃除はしないのか?」

と突っ込むと、

「埃が“舞う”と、
アレルギーが出るの!!」

と、逆(?)切れされてしまったので
そのことを指摘するのは辞めた。






引っ越し作業では
散々、物を捨てた。
まさに断捨利。
(字、↑間違ってる 多分…)

こんな狭い部屋に、
よくこんなに
捨てる物があったね~

…と言うくらい。


誰の引っ越しでも、
同じく↑この感想が出る。

自分の引っ越しでも
毎回そう思う。




コムロさんとの別れは
かなり寂しかった。

同じ部屋に住み、
同じ風俗業で、
同じ趣味を持ち…

困った時は
お互い様精神。

お互いに
必要以上に干渉すること無く、
程良い距離感を保てていて

あまりストレスなく
一緒に居られた。



コムロさんとは
今でも連絡を取り合っていて
たまに会っては
お喋りにランチ。

楽しく過ごせる。

何ヶ月も連絡が無くても、
関係が切れる心配が無い。


「いつまでも、大切にしよう」
と思える、唯一の親友である。



コムロさんは今、
フルタイムのパートをしながら

結婚して
新築一軒家に
夫婦で仲睦まじく
生活している。

子供はまだのようだが。



本当に偶然なのだが、

入籍した年月日が
私達と全く同じ日であった。

打ち合わせなど
本当にしていない。
本当に、たまたま偶然。


No.312

前に別れた、
ナルミさんの話も書いておく。


ナルミさんとは
同人誌即売会の会場で
時々 顔を合わせる程度と
なっていた。

後腐れの無い性格の
ナルミさんは、

何事も無かったかのように
私達に明るく振る舞った。


「ライカちゃん、久し振り!」
「いや~、私が仕事から帰ったら
部屋から電化製品消えてて!」
「ちょっと焦ったよ~」

と、同居解消した日のことを
笑いながら話していた。



でも、

ナルミさんの
身勝手な振る舞いに
疲れていた私達
(ライカ・コムロ・リンの3人)は、

ナルミさんとは
距離を置くようにしていた。

同人誌即売会の
イベントでだけ会って、

他のプライベートの時間は
ナルミさんには一切
割かなくなった。



-----



新店舗が
摘発される前。

私は
「僕と愛人契約して欲しい」
と言う、40代の男に当たった。

「一度のデートで10万円」
「勿論、飲食代は僕が持つし」
「好きな服だって買ってあげる」


…確かに
身に着けている金品や
服装や雰囲気なんかは
“いかにも”であったが…




「いやらしい下着を着用」
の条件と、

このオッサンの、強烈な
「腋臭(ワキガ)」に
堪えられそうになくて…。

(ワキだけじゃなく、
脚の付け根や、イチモツまで
ワキガ臭かった)


私はその男に

「私のかわりに、
私の友達を紹介するから」

と言った。




その友達こそ
ナルミさんである。

彼女は度々、
私やコムロさんに
「愛人契約」の自慢をしていた。


「今は80歳のジジィ相手に
SMやってる」
「月100万は貰えてる」

真実はどうか知らんが、
私もコムロさんも、

ナルミさんからの
この
「しょーもない」
「恥ずかしい」
自慢を聞かされるのが


何よりも 嫌であった。



No.313

そんなに愛人契約が凄いなら、
もっと契約させてやんよ。




私は
ナルミさんにメール。


「金持ちの、40代の男と
愛人契約してみない?」

「店の客なんだけどさ~」

「どうかな?
一回のデートで10万だって」



ナルミさんからは

「ちょっと待ってね~」
「取り敢えず、その男の
メアド知ってるなら教えて」

と返信があったので、
ワキガオヤジのメアドを添付した。











………



ナルミさんとは
これっきり。


連絡も無く、
会うことも無くなった。



いくら私から
「愛人契約について、どう?」
「お客が楽しみに待ってるよ~」

とメールしても
返信は無かった。



返信が無いまま、
そのままフェードアウト。
さようなら。





後々、
コムロさんから事情に聞くと、


「友達から愛人契約を
すすめられるのは、ちょっと…」


とのことらしい。

私はコムロさんに

「はぁ??」
「あんだけ愛人契約自慢しといて
な~にそれ!?」
「あの人の考えてること、
サッパリ分からないわ!!」

と言った。
コムロさんも

「私も、ぶっちゃけそう思う…」

と、小さく頷いた。





今でも、たま~に
コムロさんの携帯に
メールが入るらしい。

それによると、

いまだに
「昼」と「夜」をフラフラしていて、
今現在は「夜」なんだとか。



ナルミさん、
32歳です。

32にもなって
コレでは…

人生、終わってるわ。



前に、
「いざとなったら
生活保護受けるから」

なんて、
頭の悪い発言をしていた。



お前みたいな
“お気楽な独り身”の
“健常者”に
国が簡単に
金をよこすかっての(笑)



何はともあれ、

ナルミさんとは
離れて正解だったと

今 しみじみ思う。

ナルミさんの方から
離れてくれて、
かえって 都合が良かった。



No.314

>> 73 ■中学生■ 父親が、 整体の学校を卒業し、 開業することになった。 開業は、 父親の生まれ故郷ですると。 …私達はまた、 違う場所へ… 小学4~6年生時期の親友だった
シバタさんについて

すっかり書くのを忘れていたので
今更だけど書いておく。




シバタさんに再開したのは
18歳の時。

漫画の学校へ通うのに、
小学4~6年生の間住んでいた、
「都会」にある寮(女子学生会館)に
私が移ってきてからである。


シバタさんの住まいを
覚えていた私は
公共の乗り物を使い
シバタさん宅へ向かう。

いきなり訪問は
少し 気が引けたので、

手紙を新聞受けに入れてくる。

「久し振り、ライカです。」
「良かったら、ここに連絡ください」
「会ってお話がしたいなぁ」



…数日後、
シバタさんの携帯から
メールが届いた。


「久し振りだね、元気してた?」
「私は学校の先生してますよ」
「今度会おうね」



私は早速、
会う約束にこぎ着けた。

○月×日、
◇時に、△△のバス停にて
待ち合わせ。




私は
シバタさんに再開出来る日を
ワクワクしながら待った。


No.315

>> 314 ■訂正■



シバタさんに再開したのは
18歳の時。



シバタさんに再会したのは
18歳の時。

No.316

時間より少し早く、
待ち合わせ場所に到着した。

シバタさんは
まだ居ないようだ。


過去のシバタさんを
思い浮かべながら
キョロキョロしていると…

「あ、ライカちゃん??」

と、直ぐ隣にいた
女性に話し掛けられる。



…目を皿にして
よ~く見てみると………

顔は、シバタさんであった。





シバタさんは
6年会わないうちに、

とてつもない
「巨体」になっていた。






あまりの巨体っぷりに
直ぐ隣に居たのにも関わらず、

全く 気が付かなかった。



シバタさんは
小学校卒業時で
160センチ・66キロだったので
元々ポッチャリではあったが、

……そんな比ではないくらい
デカくなっていた。





ライカ
「や、やぁ~!久し振りだね!」
「元気してた??」

シバタさん
「うん、私はこの通り!」




シバタさんは
「自分が太っている」
と言うことを
自覚はしているようで、


「アルバイトが出来ないんだよね」
「この体型だと、
制服が入らなくて(汗)」
「お母さんが
“40キロ痩せたら、
40キロ分の本を買ってあげる”
なんて言うのよね~」


と、私から触れなくても
自分から話してきたし、

「今で、95キロもあるんだよ」

とも言っていた。



シバタさんは
音楽教師を目指していた。

オペラ歌手になる夢も
あるようで、

シバタさん曰わく

「声量を出すには
この体型が一番なのよ」


…だそうで。



でも、今の時代
「美意識」が高まってきていて

オペラ歌手=デブ

では、決してないし、
デブじゃないと
オペラ歌手として
活躍出来ないワケでもない。


シバタさんの巨体は、
ただの言い訳に
過ぎないのだろうと思った。


No.317

■訂正■



「私は学校の先生してますよ」



「私は学校の先生目指してますよ」




この時、シバタさんはまだ
大学生です。

学校の先生になるには
まだまだ早いですね。


間違えました。


No.318

久し振りに
シバタさんに会ってみると…





(…ん???)


と言う部分が
随分多く見られた。




彼女とカラオケに行くと…

どんな歌でも
マイク無しで
オペラ風に歌ってしまう。

(…サムい。)




シバタさんお気に入りの
漫画(アニメ?)に出て来る
魔法陣(?)のイラストを、

「これを待受にすると
運が良くなるんだって~」

「○○ってキャラが使う
魔法陣なんだけどね~…
ウンヌンカンヌン…」

なんて言いながら
携帯の待ち受け画面と
パソコンのデスクトップに
設定してある。

(カルト宗教かよ……)




「私が居なかったら、
この舞台は成功しなかったのよ」
「みんな、私の声を
“嫌い”って言うんだけど、
大学の○○先生だけは、
私の声を認めてくれて。」
「その先生が、
私を抜擢してくれたお陰で
舞台も成功したのよね~」

(……………。ふーーん…)







……



………………







シバタさんって、

こんな「変」な性格だったかな…?



小学生の時は
気付かなかっただけだろうか?


元々、私と同じく
“オタク”の気はあったけど…

ここまで「変」だったかな??



シバタさんは
兎に角
「自分自慢」が酷かった。

自分の声量・声質が
いかに素晴らしいかを
私に延々と語り、

カラオケルームでは
(頼んでも居ないのに)
アカペラまで披露した。






そして

「高校時代、ツカダ君とは
付き合う一歩手前だった」

「ツカダ君から告白された」


…とまで言うのだ。




ツカダ君とは、
小4~6年時に
仲良く遊んでいた
男友達である。


どうやら、
シバタさんとは
高校が同じだったらしい。



“こんな”性格で
“こんな”見た目の
シバタさんに、
ツカダ君の気持ちが
傾く筈が無い。


シバタさんの
妄想だろうと…………


そう 思うことにした。


No.319

シバタさんとは
これっきりである。


それから、
シバタさんには
何度もメールした。


「元気してる?」
「また遊ぼうね」


でも、
返信は一切無かった。



知らず知らずのうちに
私も、
シバタさんに
ドン引きされていたのかもしれない…





父親も
シバタさんのことは
よく知っていたので、

シバタさんの変わりようと、
一度遊んでから、連絡が
取れなくなってしまったことを
報告すると…




「お前は、小学生の頃と
あまり変わらないからな。」

「お前のことを、羨ましく
思ったんじゃないのか?」

「シバタさんのその性格は
“コンプレックス”の塊みたいだな」

「自分に自信が無いから、
それを誤魔化そうと
口ばっかりになってるんだろうね」





いずれにせよ、

久し振りの再会は

とても 残念な気持ちと言うか…



何とも言えない

モヤモヤした気持ちに
させられてしまった。





「時間って、
人をあそこまで変えるんだなー」


…初めて味わった
ちょっと嫌な経験だった。


No.320

ちなみに、

シバタさんは今現在

学校の先生(音楽)と
オペラ歌手活動を
両立しているようだ。

検索をかけると、
何件か引っかかる。



名字が変わっていないので、
おそらく、未婚のままだろう。



-----





話を、元に戻します。




「セックス フレンドや
 元お客には、もう
 二度と会わない」



…そう 決めたものの、

私の性欲は
相変わらずであった。



突然「無職」となり
ムシャクシャしていて、
ストレスが
溜まっていたのも
あったかもしれないが。




ヤりたい気持ちに堪えられず、
オ○ニーをする毎日。



携帯から
無料で見られる
エロ動画を見つけては、

(カズキ君から教えて貰った
無料サイトがあった)

携帯に
ダウンロードして

携帯を右手に、
左手は、アソコに…。



一番「濡れる」動画は

顔面騎乗位のク○ニや、

穴と、下半身の突起物、
2カ所同時責めである。


ちなみに
挿入の動画では
一切濡れない。
(むしろつまらない)




実際、

一番感じる突起物を
激しく舐められながら、

指でグチュグチュと
中をかき回されるのが、

一番感じて、
一番イきやすい。



一番「満足感」があるのは
やはり挿入なのだが。







(はぁ…)

(ヤりたい。)

(イきたいなぁ…)





私はモヤモヤとした気持ちで
繁華街に繰り出した。



No.321

ぶっちゃけ、
オ○ニーは 嫌いだった。
(今も嫌い。)


手や腕が
かなりダルくなる。

疲れる。

相手の男に
触って貰った方が
快感に集中出来るし、

何より「楽」だし。








私は珍しく、
短めのスカートを履いて
外出した。

素足に、短めのブーツ。



「今すぐにでも 舐めて欲しい!」
「入れて欲しい!」

「パンツをおろせば、
直ぐにヤれるよ!!」




…そんな気持ちの
現れであった。





繁華街に繰り出して、
ふと思い出したバーがあった。

前の風俗店で勤めていた時、
(ウエダ店長の店)
お店の女の子2人と私
3人で入った場所。

軽いおつまみと
キツ目のお酒と
レコードの店。

レコードで
音楽を流している。



記憶が曖昧だったので、
繁華街を
テキトーに フラフラしていた。

繁華街を、私独り。
ミニスカート。


…ナンパもされたが
無視して店を探した。


30分くらい歩いて
やっと見つけた。

とあるビルの、5階にあった。





店に入ると、
30代前半の

ヒゲの似合う
渋めのマスターが。


「いらっしゃいませ。」
「お好きな席へどうぞ」


私は迷わず
カウンター席へ座る。

おつまみが出され、
「何になさいますか?」

私は
「最初だから、緩めのヤツを…」
と、少し笑いながら言った。


店内には、
カウンター席の後ろの
2人用のテーブル席に
女性が2人居るだけだった。


(まぁ、まだ夜8時だしね…)


お酒を楽しみながら、
マスターと
たわいのない話をしていると…


夜10時頃。

一人の男性が
店に入ってきた。


髪の毛は、肩より短いくらい。
二十代前半~半ばくらい。
抑え目の茶髪。
帽子の似合う、
オシャレな人であった。


その男性は
どうやら「常連さん」らしく、
マスターとは
タメ口で話していた。



男性も
カウンター席。

椅子2つ分空けて
私から見て右側に座った。


No.322

なんとなく
携帯をいじりながら、

少しずつ飲んでいると…



「どうですか?」
「一緒に飲まれては?」


マスターが
そう言いながら、
私から2つあけて座っていた
男性の方を向いた。


(え……)

(う~ん。)


私は
少しだけ考えてしまったが、

お酒が入っているのもあって
直ぐに
(まぁ、いっか…)と。


その男性は、
少し照れくさそうにしながら
笑っていた。



ライカ
「えっ?…私で、良ければ。」

マスター
「では、隣へ。」

マスターは、男性に
私の隣に座るよう
案内した。


男性
「えーと……」
「今日は一人ですか?」

ライカ
「ええ。」
「何となく、飲みたくなりまして」

男性
「僕で良かったらなんですけど
一緒にお話しませんか?」

ライカ
「は、はぁ……」
「私なんかで良ければ………」

男性
「あ~~、良かった。」
「じゃあ、よろしく」

「僕は、サトシと言います。」
「あなたは?」


ライカ
「私はライカ
(この時は勿論、
本名の下の名前)です。」

サトシさん
「なら、
ライカちゃんでも
いいかな…」

「いきなり“ちゃん”は
ちょっと馴れ馴れしいかな」


ライカ
「いえいえ。」
「好きに呼んでください。」
「呼びやすい名前で」



サトシさんは、25歳。
私より、1つ年下であった。

仕事は、
音楽関係とだけ聞いた。

音楽が好きで、
このレコードのバーに
通っているとのこと。



私はと言うと、
年齢は26歳と
本当のことを言ったが、

仕事は
「メイク美容部員」だと
嘘を付いた。

実際、某化粧品会社に
正式な訪問販売員として登録し、
「アリバイ会社」として利用し
風俗業は隠していた。
ちゃんと
社員証もある。



何を話したかは
忘れてしまったが、

すっかり意気投合し
気軽にサクサクと
楽しく会話したのは
今でも覚えてる。


そして
深夜の1時をまわり

私達も
酔いが回ってきた頃…


No.323

お客のピークも過ぎ、
カウンター席には
私達だけ。

後ろのテーブル席には
2~3人程。



サトシさんからの
ボディタッチが

何となく
増えたような気がした。

「肩をポンポン」
から始まり、
私の腕を掴んで
少し熱心に話したり。


そして、
私の右太股に

左手を
乗せてくるようになった。


最初は、
本当に 軽く乗せるだけ。



私は、サトシさんの手に
反応することなく、

無視して
飲み続けていた。

サトシさんの顔は
どうしても見れない。

どう言う表情を
していればよいのか
よく分からなくて。



平然を装っていたが、
私は

「本来の願望」が
叶うのではないか?


…そう思うと、
内心では ソワソワしていて
落ち着いてはいられなかった。



楽しく飲みながら
会話していたが、


サトシさんの左手は
徐々に 徐々に
ゆっくりと


私の

スカートの中へ…。





内心、
凄く ドキドキしている私。


多分、もう 濡れてる。





私は
サトシさんの左手を
受け入れることにした。


グラスを
口にあてがいながら、

脚を、少しだけ開いた。




サトシさんも
私の態度に気付いたようで、

少しずつ 少しずつ

左手を 奥へ奥へ…。




私の下着の
右のわきから

サトシさんの指が
侵入してきた。




アソコが
ヌルヌルとしているのが
私にも分かった。


お互いに
沈黙したまま
飲み続けている。


でも
カウンターの下では
卑猥なやり取りが…。





サトシさんは
私の 熱い突起物を

人差し指と 中指で
優しく さすってくる。




ヌルヌル
     ヌルヌル…




突起物が
勃起しているのが
よく分かる。





私は
気持ち良くて

更にぼ~っとしてきた。



No.324

優しく優しく

感じる場所を
ピンポイントで
責めてくるが、

場所も場所だし

イくまでには
なかなか至らない。



でも、
下半身の突起物は
興奮して

パンパンに
膨れ上がっていた。




私はとうとう
我慢出来なくなり、




ライカ
「サトシさん…」
「そろそろ、帰りませんか?」

サトシさん
「そうだね。」
「少し、飲み過ぎたかも…」


ライカ
「今日は、楽しかったです」
「ありがとうございました」

サトシさん
「こちらこそ。」
「付き合ってくれて、ありがとう」



お会計は、
自分の分を支払おうと
カバンから財布を出したところ、

私よりも先に

サトシさんが
私の分まで
支払ってくれていた。



マスター
「サトシ君から
あなたのお代も
頂きましたので…」

マスターは
ニコヤカに言った。


ライカ
「え えぇっ!?」
「ご、ごめんなさい…!」
「そんなつもりは…」

サトシさん
「いいのいいの!」
「とても楽しかったから」




サトシさんに頭を下げ、
私達は一緒にバーを出て

エレベーターを使って
ビルからも出た。




ライカ
「サトシさん…あの……」

サトシさん
「なぁに?」

ライカ
「もう、遅いですけど
これからまだ、
時間あったりします?」

サトシさん
「僕は、明日は休みだから…
構わないよ。
だから飲みに来たんだ」

ライカ
「私も明日、休みです」
(本当は無期限でお休みだけど)


「あの……私………」

「わたし…」





サトシさん
「………」
「さっきの続き…する?」

ライカ
「…………っ」

私は、下を向いたまま
無言で ウンウンと
頷いた。



No.325

私達は 手を繋いで
ホテル街へと向かった。

お酒のせいで
頭が ふわふわ ホワホワしていて、
とても良い気分。

外の
少し冷たい風も
気持ちが良かった。



酒の力が無かったら
多分、こんな風には
なっていなかっただろう。





-----




ホテルの部屋に入ると、
2人でシャワーを浴びた。

ボディソープを
たくさん泡立てて

サトシさんは
たくさん泡のついた手で
私の全身を
優しく、いやらしく
洗ってくれた。


ソープで
全身が ヌルヌルしている。

サトシさんの手が
滑るように
なめらかに

私の肌を
スルスルと撫でていった。



サトシさん
「ライカちゃん…
スタイル、いいね。」

ライカ
「いやいや…全然。」
「ぷよぷよですよ」

サトシさん
「このくらいが、丁度いいよ。」
「触り心地もいいしさ…」



「胸も、結構あるよね。」
「どのくらいなの?」


私の背中側から
腕をまわしてきて、

私の胸を
大きな手で
優しく包んだ。


ライカ
「Dか…Eくらいかな」

サトシさん
「そーなんだ…」
「柔らかくて、気持ちいいね」



ソープの泡と一緒に

下から上に
ぐっ…と
胸を持ち上げて

ソフトに
揉み込んでくる。



私はずっと
ドキドキしっぱなしだった。




脂肪吸引の内出血が
脚の付け根あたりに
まだ少し残っていて
ビックリされてしまったけど、

「変なぶつけ方を
しちゃったんだ」

と、適当に嘘を付く。


吸引に失敗して
波打っているお腹は、

ずっと 力を入れて
引っ込めたまま
何とかやり過ごした。





泡を洗い流し
体を拭いたら

部屋を
薄暗くする。




そして、ベッドへ。



私が先に横になると

サトシさんは
私に覆い被さり

キスをしてきた。



お互いに、お酒くさい…。


完全に酔いが覚めない状態の
フワフワした感覚のままのキスは

とてもとても
心地よかった。


No.326

深いキスをしながら、
サトシさんは

私の胸に
手をあててくる。

優しく
揉み込むのと同時に

胸の先端も
優しく刺激。


気持ち良くて
思わず声が出る。




ライカ
「ぁん…っ」

サトシさん
「痛くない?」
「大丈夫?」

ライカ
「きもち いい……です」




サトシさん
「お店で、濡れてたよね…」

ライカ
「…………」
「はしたないですよね、私…」

サトシさん
「いきなり濡れてたから。」
「ちょっと、ビックリしたよ。」

ライカ
「サトシさんに、触れられてたら…
ドキドキ してきちゃって。」

サトシさん
「僕の方こそ、いきなりゴメン」
「なんか、ライカちゃん見てたら
変な気分になっちゃって…
お酒の力に、任せちゃった。」
「僕の方こそはしたなかったよ。」
「ゴメンね…」

ライカ
「…いーんです……」

「わたし、多分」

「サトシさんと
飲み始めてから、ずっと」

「サトシさんと
エッチしたいって、

考えてたんだと思う…」



サトシさん
「…ほ、本当に?」

ライカ
「はい…」

「わたしの方が
ずっと、はしたないです」


サトシさん
「いやいや、むしろ嬉しいよ。」
「初対面女の子と
こんな風になったの
初めてだよ…」

ライカ
「そーなんですか……」

「わたしも、初めてです…」



「初対面の人と、意気投合して
一緒に飲んで」





「こんな…」






「あっ………」



サトシさんは
胸の突起物に
舌を這わせてきた。

舌を往復させたり
吸ってきたり。



私の興奮は
大きくなるばかりだった。

頭の中が
快楽で いっぱいになる。



私の下半身から
いやらしい蜜が
とめどなく 溢れてきているのが
よく 分かった。


No.327

「あの……」


突然、サトシさんは
行為を止める。




ライカ
「どうしたの?」

サトシさん
「あの…」
「ライカちゃん
彼氏、居たりする?」



そう言えば、
飲みながら
楽しく話している最中、

何故か
彼氏彼女の話には
ならなかった。

初対面だし、
話題にのぼっても
おかしくはない筈だったが。

何となく
タイミングが無かったのかも。



ライカ
「いいえ…」
「…」

「もう、暫く
彼氏は居ません」


サトシさん
「そ、そっか…」
「良かった。」


ライカ
「どうしてですか?」


サトシさん
「彼氏がいたら、
ここでやめてるとこだった。」
「さすがに、出来ないから…」


ライカ
「もう、3年以上いませんよ」


サトシさん
「そんなに?」


ライカ
「前の恋愛で、
疲れてしまったし…」
「それに私、
全然モテませんしね。」


サトシさん
「……。」

「いやいやいや。」
「少なくとも僕は、
ライカちゃんが、気になって…」
「バーのマスターに、
協力して貰ったんだよ。」


ライカ
「…え???」


サトシさん
「うんと…」
「いいなぁ…と、思ってさ。」

「でも、キッカケがなかなか…」
「その~」


ライカ
「そうだったんですね…」




だからマスターが
「一緒に飲まれては?」って
私に言ってくれたのか……。





サトシさん
「僕は勿論、
今は、独りだから……」


ライカ
「…あの……」

「もっと、触ってください」
「………わたし…」


サトシさん
「…うん。わかったよ。」
「僕も たくさん、さわりたい…」





サトシさんは
私の胸に舌を這わせながら

私の下半身に
手を伸ばした。



バーで
触られていた時とは
比べものにならないくらい

濡れそぼっていた。



No.328


…………



サトシさん
「…凄いね。」
「もう、こんなに…」


溢れる蜜は
シーツにシミを作り、

サトシさんの指には
糸が引いていた。



ライカ
「触って欲しくて
触って欲しくて……」
「ずっとずっと、
我慢してたから………」

「ご、ごめんなさい…」

「…して 欲しくて……」


サトシさん
「ライカちゃんって
やらしーんだね…」
「エッチが好きなんだ?」


ライカ
「う、うん……」
「とても、好き です…」

「はしたないです」

「あ あたし、インランかも…」




お酒の勢いで、
もう メチャクチャであった。




サトシさん
「うん。いいよいいよ」
「エッチな子、僕は好きだよ。」


サトシさんは 更に
私の下半身を
指で こねくり回してくる。


サトシさんの 責めは
とても優しく
とても丁寧であった。

激しいけど、優しい。
全然、乱暴じゃない。



クチュクチュ

ヌチュヌチュ…



いやらしい音が
嫌でも耳に入ってくる。


濡れている音に
滅法弱い私。

気分はより一層盛り上がり、
イきそうになる。




ライカ
「さ、サトシさん…待って」
「もう イッちゃいそーだよ…」


サトシさん
「イッてもいいよ」
「我慢しないで」


ライカ
「だ ダメ…」
「指、入れてほしー…」


サトシさんの指を
私の中に 誘導してみせた。



ぐんっ………!!

サトシさんの長い指が
一気に奥まで入ってきた。



ライカ
「ひぁっ………!!」


サトシさん
「痛くない??」


ライカ
「痛くない……」
「いたくなぃの………」

「だからお願い、もっと激しく…」

「グチャグチャにして」
「お願い…………」


サトシさん
「ライカちゃん…
本当に、やらしーね……」
「すごいね…」



No.329

私の
下半身の突起物に
手のひらが ぶつかるように

サトシさんは
指を激しく
出入りさせた。


ヌチュンッ ヌチュンッ
パチュン! パチュン!


サトシさんの手のひらに
勃起した 熱い突起物と
ヒダがぶつかる。


濡れて濡れて、
もう グチャグチャで


卑猥な音も
更に激しくなった。





ライカ
「あぁぁ…っ」
「あたし もぅダメ!」

「イッ…くうぅぅぅ……」




「ひあぁぁぁぁぁ……んっ!!!」




突起物からも
中からも

大きな快楽の波が
やってきて、

私を飲み込んだ。


快楽の波と共に
激しく「飛沫」も
撒き散らす。




サトシさん
「わあぁ…凄い」
「もしかして、潮吹いた??」


ライカ
「……ぁあん…っ」
「はんっ……」



私は、ビクンビクンと
背中を反りながら
跳ね上がっていた。






はぁ…  はぁ…


  はぁ… はぁ…



はぁ…






ライカ
「たくさん……
出ちゃいました…」


サトシさん
「潮吹く子、初めてだよ…」
「こんなに激しいんだね」




あちこちに飛び散り、

シーツにも
大きな水溜まりが出来ていて
ベチャベチャだった。


潮で濡れた場所に
バスタオルを敷いて

再び 前戯へ。




ライカ
「…もっと、イきたい……」
「足りない……です…」


サトシさん
「うん…」
「もっとたくさん
イかせてあげるね。」




サトシさんはそう言うと

私の陰部に顔を埋め
突起物に むしゃぶりついた。

舌を 上下左右に動かし
刺激を与え、
吸い上げ、

更に固く
勃起させようとする。



利き手の親指で
突起物の皮をひん剥き、

剥き出しになった
突起物の頂点を

更に舌で
激しく責め立ててきた。



No.330

「ひぃっっっ………!!」


突起物を剥かれて
激しく舐められ、

足の裏から、頭の上まで
電気が走っているかのよう。


感じ過ぎて、
ツンツンキンキンする。


舐めるだけじゃなく、
人差し指で
上下に クリクリクリクリ……


舌よりも、固い指の感触で
上下に刺激を与えられると




…漏らしてしまいそうになる。





ライカ
「ダメ…ダメッ……!!」
「オシッコ、出ちゃうぅ」

サトシさん
「いいよ。」
「ほら、漏らしちゃいなよ」

ライカ
「やだっ……やだぁ」
「恥ずかしいよぉ」

サトシさん
「……」
「仕方無いなぁ」



サトシさんは
私を浴室へ連れ出す。

浴槽に蓋をして
浴槽の縁に 私を座らせる。



サトシさん
「ほら、アソコ見せて…」


脚を ぱっくり開かせると
陰部も ぱっくり丸出しに。


サトシさん
「ほら…ここなら
思いっきり出せるでしょ?」
「お酒も沢山飲んだしさぁ」



「…沢山、出るかな?」




サトシさんは屈むと、
再び
私の突起物を剥いて
指で上下に 激しく小刻みに
刺激を与えてくる。

また
あのツンツンとした快感が
私の全身に走った。



ライカ
「ひぁっ…!!」
「ダメ、出るっ…」

「ホントに出るぅ!!」


サトシさん
「ほら、いいから出しちゃって」
「僕に見せてよ。」


小刻みに
激しく震える 指の刺激に
…もう、我慢の限界。




「あっ…」

「ああぁぁぁ……………」





背中をのけぞり

思いっきり開脚し………


私の股関からは

黄色い液体が
弧を描いた。



ビチャビチャビチャビチャ…

浴槽のタイルに
小水の水溜まり。




ライカ
「やだ…出ちゃった……」

サトシさん
「へぇ…」
「初めて見た。」
「女の子が、
オシッコしちゃうとこ。」


ライカ
「やだぁ………」




あまりの恥ずかしさに
私は 顔を手で覆い
下を向いた。



No.331

このプレイは
初めて付き合った相手
(ハルカワさん)とも
やったことはあるが…


やっぱり、恥ずかしい。





私が漏らしたものを
ざっと洗い流すと、

浴槽の縁に手をつき、
腰を突き出すように言われる。



次に
何をされるのか
容易に想像がついた。





ライカ
「はぁんっ………!!!!」


いっきに、奥までひと突き。

私の中は
サトシさんの熱で
ギュウギュウになった。

サトシさんの杭は
少しばかり 大きい。




サトシさん
「凄い、せまいね…」

ライカ
「サトシさんのが
大きいんです……」

サトシさん
「女の子はやっぱり
大きい方が好きなの?」

ライカ
「大き過ぎると、痛いから…」
「サトシさんくらいの
大きさが…ちょうど……」

サトシさん
「そっか…」




サトシさんは
激しく激しく
私の中に 打ち付けてきた。

風呂場での行為なので
体同士ぶつかり合う音が
余計に響く。


接合部分の

粘着質な音も………





ライカ

「あんっ」
「はんっ」
「あっ」
「あんっ」


「きもち、いい…っ」

「…いいっ…………」





サトシさん

(はぁ…)
  (はぁ…)

「お酒、入ってるから」
「長く、なりそう……」


ライカ
「長くて いいです」
「いっぱい、いっぱいして」






色んな体位でもしたし、
部屋の中にあった
「自販機」で
ローターと バイブを買い

それらを挿入したり…。




バイブプレイでも
かなり盛り上がった。

振動しながら
グリグリ動くバイブを
グチュグチュと挿入される。

挿入と同時に
突起物も刺激されるバイブで……



サトシさんに
感じまくってるところを
観察されているのかと思うと、

更に更に 興奮した。



No.332

私の陰部は
十分過ぎるくらい
グチャグチャに濡れていたが、
風呂場に備え付けの
ローションを敢えて使い、

私の全身を ヌルヌルに。



タオルで手を縛り
アイマスクで目隠しをし

胸の突起物にはローターを、

下半身には
2ヶ所責めのバイブを………




何度イかされたか
分からない。

快楽の限りを尽くし、
一晩中、
ありとあらゆるプレイを
サトシさんと楽しんだ。


サトシさんの
宣告通り、

お酒が入っているせいで
なかなかイかず。

長い長いプレイで
サトシさんがイッたのは
2回程だった。





でも……



ことを終え、
疲れ切って数時間寝たが、

起きてすぐ
「朝勃ち」を利用して

もう一度 セックスをした。



朝のセックスは
サトシさんのキスで起こされたあと、
胸の突起物を舐められ…


気持ちはいいが、
寝ぼけていて
ボ~ッとしていたので
されるがままであった。



ライカ
「ぅ……ん…………」
「きもち いぃ…」

サトシさん
「もう、ヌルヌルしてきてる…」




サトシさんは
私がまだ 寝ぼけているのにも
全く構わず、



胸の突起物に
舌を這わせたまま

下半身の突起物を
人差し指と 中指で

ヌルヌル ヌルヌルと
優しくさすってきた。



寝ぼけていても、
不思議と濡れてくるものである。


さすがに
イきそうになってくる
くらいになると

目は冴えてきて…



ライカ
「きもち…いいっ…」
「イッちゃう…」


サトシさん
「………」


サトシさんの舌と
指の責めが激しくなった。



ライカ
「いく、イくぅ」
「あああああ…っ!!」




私が達すると、
最早 ギンギンに反り立っている
サトシさんの熱を
私の中へ…。



昨日のセックスと違い

肌と肌を密着させた
とても 暖かいセックスだった。



No.333

「ライカちゃん、ごめん…!」


朝のセックスを終え、
二度寝から目を覚ますと、
サトシさんは
突然 謝ってきた。



ライカ
「え?え??」

サトシさん
「昨日は、無茶し過ぎた!」
「僕…あんなに
女の子に無茶させたの
初めてだよ…」

「オモチャなんて
使ったことなかったし…!」

「本当に、ごめんね!!」


サトシさんは
目をギュッとつむり→(>_<)

手を合わせて 謝ってきた。

その後、深々と頭を下げ
本当に 申し訳なさそうに
もう一度
「ごめんなさい…」
と言った。




ライカ
「あの…謝らないでください」
「全然、ムチャじゃありませんから」

サトシさん
「…………。」

ライカ
「むしろ…良かったです」

サトシさん
「…。」
「本当に??」

ライカ
「…昨日のこと、
思い出したら………」
「また……」



下半身が
ジンワリと
熱を帯びてくるのか
よく分かった。





ライカ
「私の方こそ…」
「ただの、インラン女ですよね」
「こんなんじゃ……」





サトシさんは
私が全てを言い終える前に

優しく 抱き締めてきた。




大事そうに、大事そうに
私を抱き締めながら

私の耳元で
囁くように言った。









「僕と…
付き合ってくれないかな…?」

「僕じゃ、ダメかな……」



No.334

昨日、サトシさんと出逢い

あれこれ色々話し

飲んでる最中から
私の体に触り

飲み終えた後
散々セックスをし………




そんな流れで
「付き合ってくれ」
と言われて


『はい、そうします』とは
流石に ならなかった。




私から見て
サトシさんは

(この時点では)
「セックス フレンド」と
何ら変わりないのである。




バーのマスターに
協力して貰ったらしいが、
マスターと
どんな打ち合わせをしていたのか。


サトシさん
「お、あの子、
直ぐにヤれそうな雰囲気じゃん」

マスター
「なら、私が彼女に声をかけて
切欠を作ってみますか?」

サトシさん
「頼むよ~」
「最近、人肌が恋しくてさ」



…こんなやり取りから
私を誘う流れを
作ったのかもしれないし。



付き合うには
順序も段取りも
メチャクチャ過ぎる。




ライカ
「…ごめんなさい。」
「今は“充電期間”だから。」
「誰も、好きになれそうにない…」

サトシさん
「あぁ…そっか……」
「恋愛に疲れたって
言ってたもんね………」

ライカ
「本当に、ごめんなさい。」
「サトシさんを嫌いとか、
好みじゃないとか
そんなんじゃないから……」



サトシさんは むしろ
私なんかには
勿体無いくらいの容姿だった。


背は180センチくらい。
手も大きい。

スラッとしていて
細身の筋肉質。
(細マッチョと言うやつか)

顔は、凛々しく
少しだけ彫りが深い。





私みたいなデブサイクは
「逆に」釣り合わない。



モデル体型の
可愛い女の子と
付き合えばいいのに…


No.335

ライカ
(サトシさんと私じゃ…
釣り合わない)

サトシさん
「………え?」
「何か言ったかい?」

ライカ
「サトシさん、
カッコ良すぎるんです。」

サトシさん
「そ、そんなこと無いよ…」
「全然、モテないし」






ライカ

(一緒に歩いてたら
恥ずかしいよ…
(…サトシさんの方がね。)




(バカにされるよ)


(“アイツ、あんな不細工
連れて歩いてるよ”ってね…)












これは
「僻み」なのだろう。

だから、声には出さない。
引かれるだけだから。


でも、僻んだ考えは
私の中で、止まらない。

自然と、僻んでしまう。

僻んでいるのが
「当たり前」の状態。



そして
この僻んだ考えは、
多分「正解」なのだ。

私の考えが、正しい。




私は、
「都合のイイ女」で
あり続けるのがお似合い。

“オナホール”のような存在。


ブチ込まれるだけ
ブチ込まれて

飽きられたら
音信不通。




最初から私は
「オ○ニーの道具」
「下位の生き物」なんだと
思っていた方が
傷付かなくて済む。








ライカ
「また、気が向いたら
連絡ください」

サトシさん
「…あ、メアド交換
してくれるの?」

ライカ
「ええ、是非。」

(また溜まってきたら
連絡すればいいよ…)






セックス フレンド

全部切った筈なのに。

また 出来てしまった。



サトシさんに
「セ フレ」の意識は
今は無いのかもしれないが


そのうち、私の存在は
ただの「ヤリ友」に
変わっていくだろう。






所詮
私の価値なんて、

そんなもんだ。



No.336

それから数日後。

仕事の無い私は
取り敢えず
派遣会社に登録した。



(面接なんかしたって
どうせまた落とされる…)



生活がかかっていて
早くに収入が必要なので、

「面接を何件も落とされる」
という状況になるわけには
いかなかった。


マンガの学校に通い出した頃、
面接をすれどもすれども
落ちまくり、

約半年間
アルバイトにありつけず
小遣いは仕送りの状態。

(20件以上は面接した)


ナルミさんからの紹介で
やっと清掃のバイトに
就くことが出来た…



18歳の時の
「面接三昧」の日々は
かなりのトラウマであり、

(直接面接なんかしても
私はどうせ落とされる、時間の無駄)

と 言う考えは
今も抜けないまま。


“就職”ではなく
“アルバイト”の面接で
コレなのだから………





私の挙動や見た目は

「相当なモノ」なのだと思う。




派遣会社に登録すると
直ぐに紹介が来た。

最初に働いたのは
弁当の仕出し屋。
朝5時~12時まで。
無料で昼食付き。

忙しい時だけの
スポット派遣だった。

私が働いたのは
3日間程。


次の紹介で働いたのは
某「黒い猫」の会社である。

荷物の仕訳作業。
この仕事も短期で、
忙しい間の数ヶ月のみであった。



生活はギリギリで
苦しかったが、

久し振りの
「汚れの無い仕事」に
私はすっかり
ハマってしまった。



派遣会社からの送迎有り。
時給840円+交通費(片道200円←安…)
派遣会社から+100円。

真面目に働いていたことを
評価され、
私は派遣社員の中でも
「リーダー」を任された。

リーダーは5~6人程いて

ヘルメットや
安全靴
ロッカーの管理をする。

派遣社員が
トイレなどでサボって
いないかの監視役も。



リーダーの中に
女性がもう一人。

この女性と仲良くなる。
名前は、カナヤさんと言った。

背がスラリと高く、
おっとり美人。
私より2つ下の
当時24歳。


No.337

カナヤさんは
大学を卒業した後
そのまま就職難に。

取り敢えずの食い扶持として
派遣会社に登録した。


性格は、かなりのマイペース。

話し方や、動作がゆっくりで

話し声も小さめ。

恋愛は
一度だけ経験し、

振られてから一年も経つのに
いまだに引きずっていると
相談をされた。





取り敢えず、彼女の話は
また後述。



-----



派遣社員として
某黒い猫での仕事に
精を出している最中、


サトシさんから
初めての連絡(メール)が来た。

あれから
3週間くらい後の
平日の朝…。




サトシさん
「おはよ。元気してる?(^^)」
「今日これから、会えないかな?」



…随分急で
唐突な誘いである。



ライカ
「これから仕事です。
ごめんなさい。」



私は、現状の事実を
簡潔に返信した。





…なんだかな~、

と言った連絡だった。



平日の朝にいきなり
「これから会えないか?」
なんて………。

多分、サトシさんは
仕事が休みだったのだろう。

さて休みだ、どうしよう。
暇だな~。


そうだ!
この間ヤらせてくれた
ライカに連絡してみるか!




…大方
こんな流れだろう。




こんな「テキトー」な
「会えないかな?」の連絡、

男の人なら
“普通”なのだろうか?



“普通”ならば
会ってから
3週間も空いていたら

「明日、仕事の後にでも
会えないかな?」

と言った連絡の仕方を
しないだろうか?



私は 敢えてイヤミに
更に返信を重ねた。




ライカ
「随分、いきなりで
急ですよね(・_・;)」
「今すぐ、
ヤりたかったんですか?」



20分後。



サトシさん
「う~ん(^^;)」
「また連絡するね(^O^)/」






否定も、肯定も無し。
多分、図星。





「振られたから、
もう、どーでもいいや。
一度ヤッちまってるし、
セ フレに転向!」



…そんなとこだろう。


No.338

更に一週間後。

また サトシさんから
メールが入った。

今度は、夜の8時頃。




「こんばんは(^^)元気?」
「今、時間あるなら
これから会えないかな?」



この間よりはマシだが、
またまた随分と
唐突な誘いであった。


私はまた

「ヤりたいんですか?」

と返してやろうかと思ったが、
取り敢えず「暇」なのは
事実なので、

「暇潰し」と
久し振りの「セックス」目当てで
普通に返信した。




ライカ
「暇ですよ。」
「遊びましょう。」

サトシさん
「今、家にいるのかな?」
「車で迎えに行くよ」

ライカ
「準備したいので。」
「○時に、○○で待ち合わせしましょう」

サトシさん
「分かったよ~(^^)」
「俺の車の色とナンバーは…」




「家」を教えるには
ちょっと抵抗があった。

ヤるのはいいが
私の部屋を
「ラブホ代わり」には
されたくないと思ったから。



シャワーを浴びて
髪をセットし
化粧を済ませ、

約 一時間半後
少し久し振りに
サトシさんとの再会を果たす。

“ヤりやすいように”
今日も短めのスカートで来た。



サトシさんは
車の窓を開け、

私を見つけるなり
手を振って見せた。


白いセダン型の
4ドアの車。
車内は、焦げ茶色。

カーコロンの匂い。



相変わらずサトシさんは
凛々しく
スマートな外見だった。


微笑みながら
私に挨拶。



サトシさん
「久し振り、だね。」
「元気だった?」

ライカ
「はい。」
「私は、元気でしたよ。」

サトシさん
「そっかそっか(^^)」
「じゃあ取り敢えず…
メシにでも行こうか?」
「お腹、空いてない?」

ライカ
「ええ…そうですね。」




サトシさんは
適当に車を走らせた。



No.339

サトシさんは
繁華街に向けて
車を走らせたが、

混んでいて
なかなか駐車場が
見つからなかった。


立体駐車場には
「満」の赤い文字ばかり。


繁華街に来てから
随分とウロウロしている。



サトシさんは
「ごめんねー。」
「せっかく来たのに…
なかなか駐車場が…」


なんて言いながら
少し困った顔をして
ハンドルをきっていた。


私は
(別に構わないけど…)
と思いながら、
ずっと車内から外を見ていたが


ふと、何となく
目線をサトシさんにやり

サトシさんの顔から
サイドブレーキあたりに
目線を落とすと………











(………??)




(サトシさん、
最早、勃ってる???)








ズボンの上からでも
分かるくらい

サトシさんの杭が
反り返っているように見えた。

サトシさんは
勃起すると

反り返った熱が
お腹に付くくらい
ギンギンに上を向く。


衣服の上からでも
かなり分かるくらいの
元気っぷりであった。



たまたま、
衣服が波打って
膨らんで見えただけだろうと

そう思ったが…



違う。
明らかに「テント」である。



男性はもよおすと
勃ってしまうことがあると
聞いたことがあったので、

私は
「お手洗い、大丈夫ですか?」
と聞いてみるが、


「え?」
「僕は大丈夫だよ?」

「ライカちゃん、
行きたいのかい?」


…との返事。






私は

思い切って
聞いてみた。







ライカ
「あの~…サトシさん。」

サトシさん
「なぁに?」

ライカ
「…」
「勃ってませんか?」

サトシさん
「………
「えっ!?」

ライカ
「勃ってますよね?」

サトシさん
「………っっっ!」
「あぁ………」

「…ごめん。……」


ライカ
「…………。」



No.340

サトシさんは
キョロキョロしながら
運転を続けている。




サトシさん
「………ご、ごめんね。」
「あ…引いちゃったよね…」

ライカ
「…いえ、別に。」
「引きはしませんけど…」

サトシさん
「………………(焦)」

ライカ
「エッチ、したいんですか?」

サトシさん
「ごめん…」
「ライカちゃんと会える!
と思ったら、
この間のこと、思い出しちゃって…」

「あんなに激しくしたの
初めてだったから……」

「いや、ほんとゴメン…」



私からは
何も言ってないのに、
サトシさんは勝手に
「ゴメンごめん」を連発した。

勃起がバレたのが
余程、気まずかったのだろう。




ライカ
「あははは…(^-^)」
「サトシさん、
謝ってばっかり。」

サトシさん
「だ、だって…
かなり失礼だよね…」
「いきなり、勃ってるなんて」

ライカ
「………いいですよ。」

サトシさん
「え??」

ライカ
「私の…触ってください。」



私は
服をめくり上げ、

右の胸を 露わにさせた。



サトシさん
「……………っ」



「……」
「い、いいの?本当に。」


ライカ
「構わないですよ。」

「私も“アレ”から
してないので……」

「サトシさんに
触って欲しかったですし」




この間のサトシさんとは
やはり違った。

この間は
「お酒」が深めに
入っていたから。

やっぱり素面だと、
こんな感じになるよね…。



躊躇う
サトシさんの左手を
手に取り

左胸の突起物へ…



ライカ
「ほら…」
「この間みたいに」

「いじめてみてください…」



サトシさんは
右手でハンドル操作し、


キョロキョロしながら

私の左胸を

揉んだり
軽く引っ張ったり
優しく つまんだり。



ライカ
「サトシさん、
優しく触るから…」

(はぁ…)

「きもちーです…」



No.341

最初は
申し訳無さそうに
触っていたサトシさんも、

徐々に徐々に
「ほぐれて」いって

かなり大胆に
触るようになってきた。



サトシさん
「相変わらず、
ライカちゃんは
エッチだね…」

ライカ
「この間のサトシさん、
激しかったから……」
「私も、思い出したら
濡れてきちゃいます」

サトシさん
「もしかして…」

ライカ
「………」

サトシさん
「もしかして、
ライカちゃんも…」
「最初から、濡れてたの?」

ライカ
「濡れてるとこ、
見たいですか?」

サトシさん
「……え???」



私は スカートを捲り上げ
下着を露わにし

運転席にむかって
お尻を突き出してみせる。


当然、
車内はそこまで広くない。

突き出したお尻は
運転席側の方に
かなりはみ出しだ。



サトシさん
「あああっ」
「待って待って!」
「外から見えちゃうよ!」

ライカ
「見られても、構わないし…」

サトシさんは
困惑しつつも

下着越しに
盛り上がった私の陰部を
指でさすってくる。




サトシさん
「うわ……」
「もう、こんなに…」

「下着越しでも
糸引いちゃってるよ……」


セックスの期待をし
興奮していたのは
私も同じだった。

だから
この間使ったバイブも
しっかり持参。



サトシさんは
下着越しに

ぐちゅぐちゅと

私の突起物を
指の腹で
掻き回してくる。


下着越しの
布が擦れる感じが

更に快感をあおいだ。



ライカ
「はぁん…っ」
「きもち、いーっ…」


くちゅくちゅ…
コリコリ…


サトシさんは
執拗に
同じ箇所ばかりを責めてきて…

かなり無理な体勢なのに
もう、イきそうになる。




ライカ
「ぁん……もう
イきそーです……っ」

サトシさん
「もう、イきそうなの?」


サトシさんは
中指と人差し指を

更に激しく、
小刻みにスライドさせた。



No.342

サトシさんは
無茶な体勢のまま

なんとか運転をこなし、

人気も、
街頭も少ない場所に
車を一旦停止させる。


サトシさんが
ギアを入れる度に
刺激がストップしていたから


もどかしく、
尚更ムズムズとさせられていた。




サトシさんは

下着をズラし
わきから、指を挿入。


布越しではなく、
直接、突起物を刺激してきた。



ライカ
「あっ…あぁっ」
「きもち良すぎる…!」

サトシさん
「イッてもいいよ」
「ほら………」



サトシさんは
長くて
少しゴツゴツした指を

私の「穴」の中へ…




グチュグチュ
グチャグチャと

中を掻き回してきた。



ライカ
「ああん!」
「待って待って!」

サトシさん
「……」

ライカ
「出ちゃう!出ちゃう!」
「こんなとこで出たら
大変だよ……!!」

サトシさん
「じゃあ、やめる?」

ライカ
「中に、指は……」
「待って」

「本当に、出ちゃうから…」


サトシさん
「うん、分かったよ」


サトシさんは
指を引っこ抜き

突起物の刺激に
集中させた。



ライカ
「ああ…もぅダメッ」
「イくっイく…」

「イクゥぅぅぅ………!!!」



全身をブルブルさせ、
私は絶頂に達した。

ヌルヌルだった下着は
更にグチャグチャになる。



サトシさん
「ライカちゃん…」
「僕…」

「勃ち過ぎて、痛いよ…」

サトシさんは
股関をおさえて
苦しそうにしていた。


No.343

「ホテル、行く?」


サトシさんは
苦しそうに言う。

でも もう、
ホテルもご飯も
面倒臭かった。

サトシさんの
反り返る熱を、
早く 鎮めてあげたいしね…




私は何も言わず
運転席のサトシさんに
向かい合わせになって
跨がった。


ライカ
「座席。」
「もう少し、後ろに下げて…」
「あと、倒して。」

サトシさん
「ここでしちゃうの??」

ライカ
「うん。」
「サトシさんの、ここ。
苦しそうですから…」


私は
勝手にベルトを外し
勝手にチャックを下ろし…

パンツの穴から
反り返ったモノを

ボロリと引き出した。




サトシさん
「ラ、ライカちゃん…」

ライカ
「もう、入れても
いいですよね?」

サトシさん
「…うん………」



サトシさんの先端は
蜜が溢れかえっていて
もう少しで
垂れて流れていきそう。



ライカ
「男性でも、濡れるんですね…」


サトシさんに跨がり、
反り返っている先端を
私の局部にあてがう。

「にちゃ…」と
卑猥な音が響いた。



サトシさん
「うっ………」

ライカ
「これだけでも
気持ちいいですか?」



いっきに奥まで
突き刺してみようと思ったが

少し
焦らしてみることにする。



サトシさんの
ギンギンの杭を

私のヒダや
突起物に

ぬちゅぬちゅと
こすりあわせてみた。



先端や、カリに
私の突起物が引っかかり
たくさん擦れて

私まで 気持ちいい…



サトシさん
「き、気持ちいい…」
「ヤバいって」

ライカ
「私も、気持ちーです…」

サトシさん
「…ヤバい…良すぎるっ」
「これだけで
イきそうだよ………」


私は
サトシさんの胸に体を預け
小刻みに
腰を振り続けた。


突起物への刺激が
思いの外気持ち良く…
私まで
早くもイきそうになる。



ライカ
「擦れて…気持ちいい」
「私まで、イッちゃいそ…」


No.344

ここまで上り詰めたなら
もう一度……

私は
更に小刻みに
早く腰を動かし、

下半身の突起物を
サトシさんのカリや杭に
グチュグチュと………



ライカ
「あぁん…っ……イくっ」
「またイくっ……!!」

サトシさん
「僕も、ホントやばい!!」


ライカ
「イッ………くうぅぅぅ…!!」



サトシさんの胸に
ギュッとしがみつきながら
ブルブルと震える。

震えながら、
勃起する突起物を
激しく激しく擦り付け
サトシさんの杭も刺激し

イききった後、
すぐさま
サトシさんの反り返る熱を
串刺しにした。




グンッ……!!

と来る、快感の波。
大きめの
サトシさんの杭は
私の中を いっぱいにする。

ミチミチと…
音が聞こえてきそうたった。




サトシさん
「待って待って!」
「動かないで…」

ライカ
「もう、イきそうですか?」


意地悪をして、
ゆっくりゆっくり…

動いてみせる。



サトシさん
「う、動かないで…」
「出そう……」

ライカ
「早く、楽になりましょうよ」


サトシさんの言葉を無視して
私は 再び
激しく腰を上下に振った。

私の中が
サトシさんで満たされる。

奥から来る
重い快楽が、またたまらない。

私の陰部は
更に濡れそぼり、
水音も激しくなる。




サトシさん
「ダメ…ッ」
「このままだと、中に…」

ライカ
「いいですよ」
「中に、ください…」
「(生理が)
終わった、ばかりなので
大丈夫です」



サトシさん
「あぁ………」
「ダメだ、」
「ダメだ……っ」


「うっ!!!!」




とうとう
堪えられなくなり
サトシさんは
私の中に 熱を放出。

何となく
あたたかいものが
私の中に来たことが
わかった。



サトシさん
「やばい…」
「中に、出しちゃった」

ライカ
「大丈夫ですよ」
「終わったばかりですから」

サトシさん
「で、でも……」

ライカ
「いいんですって。」
「もし何かあったら
私独りで、何とかしますから」

サトシさん
「え…………」



No.345

ライカ
「私、前に一度
自分独りで、何とかしたこと
あるんで。」
「サトシさんに
迷惑はかけませんから。」
「不安にならないでください。」


サトシさん
「…………」

ライカ
「今日も、
気持ちよかったです。」
「ありがとうございました。」

サトシさん
「あの…」
「お腹は?空いてないの?」

ライカ
「もう、いいですよ。」
「本来の目的は、
果たせたはずです。」

サトシさん
「………。」



サトシさんは
俯きながら運転し、
待ち合わせをした場所で
私をおろした。



ライカ
「それじゃあ、お休みなさい」
「さようなら。」


サトシさん
「うん………おやすみ。」













もう二度と、
サトシさんから
連絡も来ることは無いし、


もう二度と、
会うこともないだろう。







そんな気がしたので


私は敢えて
「さようなら。」
と言って 別れた。








私の予感は的中し、

サトシさんからは 二度と
連絡が来ることは無かった。



私の態度に ドン引きしたのか、

妊娠が 怖かったのか。








多分、後者だろう。



No.346

それからはまた、
コウスケさんと
遊ぶ機会が増えた。

私もお金が無いので
2週間~1カ月に一度。

私の希望で
全て割り勘。
(ガソリン代だけは別)

コウスケさんとは
ドライブとボーリングで
過ごす機会が殆どで、
ご飯は、ドライブしながら
ファストフードが多かった。



コウスケさんとは
兎に角、ひたすら楽しく
笑って過ごした。


「そう言う雰囲気」に
なることが絶対無く、
勿論、喧嘩も無い。

100%健全に
過ごすことが出来た。


心から安心して
付き合うことが出来る人で
とても信用していた。








コウスケさんとだけ
遊ぶようになってから、半年。




(あれ…)

(何だか、寂しいなぁ。)





コウスケさんと散々遊んで
家まで送り届けてもらい
別れたあと


とても寂しく
感じるようになっていた。




コウスケさんと
初めて風俗で出会ってから
一年後のことだった。



No.347

コウスケさんは 多分、
もう 私のことは
好きではないかもしれない。

完全に
私を「友達」として
見ているかも。



そう思って、
遊んだ帰りに 聞いてみた。




ライカ
「コウスケさんってさ、
まだ私のこと好きなの??」

コウスケさん
「…え??」
「当たり前じゃんか(^O^)」
「どうして??」

ライカ
「なんだ~、まだ好きなのか~」
「もうとっくに見切り付けて
完全に“友達”として
見てるんだと思ってたよ」

コウスケさん
「好きな気持ちがなかったら
こんなに遊んでないと思うし、
俺からもメールしてないよ」

ライカ
「ははは…そっかそっか。」
「それに、コウスケさんからは
“変な雰囲気”が一切無いから」
「なんか想像付かないわ~」

コウスケさん
「???」
「変な雰囲気って??」

ライカ
「う~んと…」
「ヤりたい!…とかさ。」

コウスケさん
「え?そう??(^^;)」
「妄想はしてるんだけどな~」

ライカ
「妄想!?」

コウスケさん
「そう!」
「ライカちゃんに~
柔道着を着せて~
きゃー(>∀<)!」
「…みたいな、あらぬ妄想」

ライカ
「柔道着!?」
「なんじゃそら!?」




コウスケさんは
私に柔道着を着せて
セックスしてみたいらしい。

あまりにも冗談っぽく
ふざけて言うので、
ちっともいやらしさが無く

その発言に
私は大爆笑した。



コウスケさんの雰囲気が
「爽やか」と言うか。

「健全さ」しか無く、

コウスケさんと私が
セックスするなんて。

本当に、全く想像出来なかった。




その コウスケさんの
「健全さ」に、
惹かれていったのだろう。

勿論、それだけではないけれど。



ヤりまくって
「汚らしい」私が

コウスケさんと会うと
とても「クリーン」になれる。

清々しい。
晴れ晴れする。

心が洗われるような感覚。



No.348

コウスケさんを
私の部屋に呼んで
ゲームをしたり

夕食を振る舞ったり
したこともあった。


でも コウスケさんは
寝る時間になると

「じゃ、そろそろ帰るね」
「明日からまた仕事だから(^^;)」

と、さっさと帰ってしまう。


“そのように”
持ち込もうとか、

わざと変な雰囲気にしたりなど

コウスケさんの態度からは
微塵も感じられなかった。











コウスケさんの振る舞いや
態度が

“普通”なのかもしれない。





「男はみんな、
兎に角、ヤれりゃいいと思ってる」
「穴があったら入りたい」
「部屋に呼ぶ=ヤる」




私はずっと
そう思ってきた。

嫌われたくなくて
つなぎ止めておきたくて

第一に考えるのが
「セックス」だったし

【セックスさせないライカなんて
要らない。価値無い。】

男はみんな
私をそう思うのだろうと…。




だから、私からすれば
コウスケさんの態度が
かなり「特殊」に見えた。


コウスケさんは
私と ヤろうとしない…。









コウスケさんを
「好き」なのかどうなのか

まだ 曖昧であった。

自分でも
よく分からなかったが、

私は
コウスケさんの気持ちを
受け入れることにした。



付き合っていくうちに
もっと好きになる。
恋愛感情が、ハッキリしてくる筈。

そう 思った。


No.349

そう、決意してから
2週間くらい後。



いつものように
コウスケさんと楽しく遊んだ後、

「うちでお茶でもしてったら?」

と、私の部屋に招いた。


コウスケさんとは相変わらず、
ゲームしたり、
パソコンでオモシロ動画を見たり、
私のペットのハムスターを
見たり撫でたり…




夜10時頃、
「さて帰ろう」となった時、
私はわざと 話を引き伸ばして
コウスケさんが
もっと居るように仕向けた。


私はずっと
(何て言おう?)
(何て言おう??)

(どのタイミングで言おう??)


と考えていた。


手に汗握る。



いやいや、
コウスケさんはもう
私を好きでいてくれて
いるのだから

私が緊張する必要は
無いのだが。



長い間「友達」だったので、
何よりも「照れ」が
私からの告白を邪魔した。



「付き合おう」だなんて

今更だなぁと………。




でも、
今日を逃したら
もう 次は無い。

ずっとずっと
友達のまま。



そんな気がした。










会話を引き伸ばすのも
限界に近づいてきた

夜の11時頃…。





コウスケさん
「俺、いい加減帰らないと(^^)」

ライカ
「あ、うん…そうだね」
「長引かせてゴメンね」

コウスケさん
「本当は、ずーっとずーっと
こうやって
お話してたいんだけどね(^-^)」

ライカ
「はは…そうだね。」











「…………」








「…わたし。」



コウスケさん
「ん???」


ライカ
「私、コウスケさんと…」

「お付き合い。
してみようかな……」



コウスケさん


「…。」






「…え???」

「ほんと!?」










「やったー!!(^-^)」





コウスケさんは
私の後ろから
ギュッと 抱き付いてきた。


No.350

後ろから抱き付かれた私。

心拍数が
突然上がるのを感じた。


コウスケさんの
「男性っぽい」においと
コウスケさん愛用の
香水のにおい。


仕事で鍛えられた体。筋肉。
(コウスケさんは肉体労働)

筋肉は
フカフカしていて
とても 心地よかった。



後ろから
抱き付かれただけなのに、

コウスケさんと
私の 心の距離は

グッと 近付いた。





コウスケさん
「凄く、嬉しい(^^)」
「明日からまた
仕事頑張れそうだよ」

ライカ
「はは…そっかそっか」

コウスケさん
「それじゃあ、またね。」

ライカ
「うん…また連絡する。」




コウスケさんは
帰っていった。


コウスケさんが
帰ったあと


もの凄く
寂しい気持ちになった。


(もっと、ずっと
一緒に居たいなぁ………)






帰ったばかりなのに、
コウスケさんから
直ぐにメールが来た。

「すごく嬉しいけど
今は寂しいよ~(>_<)」
「ずっと一緒に居たいね」



私は
「仕事が終わったら
私の家に帰っておいでよ」

と 返信した。


No.351

コウスケさんは
肉体労働で サービス業。
車修理の仕事をしていた。

詳しいことは知らないが、
車を直したり、
タイヤ交換をしたり。

兎に角、
かなり体力を使う仕事らしい。

そして、
タイヤ交換時期の繁忙期

11月~1月末までと
春先の3月~4月半ばまでと

休みが一切無くなるし
仕事の帰りも、午前様になってしまう。




-----



告白から
次の日。


コウスケさんは
仕事が終わると、

真っ先に
私の家に帰って来た。

そして、第一声が

「ライカちゃん!」
「俺のメシを作ってくれ~!」

…であった。

私は「勿論いいよ」と
快く返事をした。


この時に食べたのは
カレーライスだった。



そして、夜。

ご飯も、シャワーも終えて

「いよいよ」であった。



私は
「一緒に寝よう」と誘った。






コウスケさん
「…いいの?」
「一緒に寝ても。」

ライカ
「いいに決まってるじゃん」

コウスケさん
「そ、そっか…」
「俺たち、付き合ってるから
もう構わないのか~」



コウスケさんと私は
セミダブルのベッドに
背中合わせで横になった。



ライカ
「…」
「あのさ。」

コウスケさん
「ん?なぁに??」

ライカ
「ちゅー、しよっか。」

コウスケさん
「うん(^-^)」


コウスケさんは
嬉しそうに
ニコニコ微笑んでいた。



ライカ
「なんだか、はずかしいな~」

コウスケさん
「…そうかな?」
「じゃあ、目つむって~」




……


私の唇に 衝撃が走った。

コウスケさんの唇が
思いのほか
柔らかかったから。


(筋肉だけじゃなくて
唇もフカフカなんだなぁ…)


唇だけじゃ足らず
舌も絡めてみる。

とても、心地良いキスだった。


コウスケさんも
気持ちが良いのか、
キスの合間に
声を漏らしていた。



No.352

深い深いキスで
すっかり「出来上がって」しまった私は

先へ進みたくて
仕方がなかった。


長くて深いキスが終わると、
私は コウスケさんを
誘導する。





ライカ
「…多分……
もう、濡れてると思う…」

コウスケさん
「え?もう??」

ライカ
「触ってみて………

って言うか、コウスケさんだって
もうこんなになってるし」

コウスケさん
「あ。バレた??(^^;)」

ライカ
「とりあえず…
私のを、触ってみて。」




私は、コウスケさんの手を取り
下着の中へ 持って行った。


やはり、私の陰部は
かなりヌルヌルで、
コウスケさんを受け入れる準備は
もうすっかり出来ていた。



コウスケさん
「凄いね…」
「もうこんなに………」

「どうするのが
一番気持ちいいの?」

ライカ
「横に、コチョコチョしてみて」


コウスケさんは
指の腹で
私の下半身の突起物に
左右小刻みに刺激を与えてきた。


クチクチ…
ヌチヌチ……


私の下着からは
いやらしい水音が
聞こえてくる。




ライカ
「あ……っ」
「あっ……!」
「気持ちいい…っ」

コウスケさん
「きもち、いいの?」

ライカ
「うん」
「すごくイイッ」

「もっと、もっと……!」




私の突起物は
どんどんどんどん
膨れ上がっていく。


コリコリ…
クリクリ……


コウスケさんの責めも
少しずつ激しくなっていった。


グチュグチュ

ヌチュヌチュ……



絶頂が
もはや近い。



ライカ
「久し振り、だから…」
「もう、ダメッ」


「イく…………!!」




No.353

まだ 恥ずかしさが
完全に抜けておらず、

達した時
声を我慢してしまった。


コウスケさんは相変わらず
「受け」の体勢で
ガツガツはしてこない。


恥ずかしいが
また私が「率先」しなくては
先に進めないような感じだった。




ライカ
「入れるよ。いい?」

コウスケさん
「待って…」
「ゴム着けないと」

ライカ
「要らないよ」
「それに、買って置いてないし」

コウスケさん
「え……」


躊躇うコウスケさんを無視し
私は 上に跨がり
コウスケさんの熱を
私の中に ズブズブと沈めてゆく。



コウスケさん
「…う………」
「キツい…………」

ライカ
「イッたばかりだからね」

コウスケさん
「久しぶりの、感覚だよ」
「何年振りだろう?」
「あったかいね…」

ライカ
「……」
「動くよ」



私は 腰をこすりつけるように
前に後ろに 激しく激しく振った。

自分の一番感じる場所に
ズンズンと来るように。



体を伏せ、
コウスケさんに
抱き付くような体勢になる。

腰を浮かし、
ゆっくりと杭を抜き

カリのギリギリまで来たら、
ゆっくりと 腰を沈めてゆく。

ゆっくりと抜いたら
時には ズンッ…!!と
思いっきり中に突いてやったり。


コウスケさん
「繋がってるとこ
丸見えだね……」

「うぅ…入ってく……」



自分の杭が
出たり入ったりする様子を
コウスケさんは
ずっと見ていた。



コウスケさん
(はぁ…) (はぁ………)

「ダメだ、もう…」
「久しぶりだから
出そうだよ…」



コウスケさんは
私を後ろへ押し倒す。

コウスケさんと
私の体勢が 逆になった。



ラストスパートをかけ、
コウスケさんは
激しく激しく 打ち付けてきた。

パンッ パンッ パンッ

体と体が ぶつかり合う音が
部屋中に響き渡る。



コウスケさん
「ああ……っ」
「出る、出るっ…」


「うっ…!!!!」



コウスケさんは
出る直前で引っこ抜き、

白い熱を
私の腹の上にブチまけた。



No.354

余韻に浸りながら
コウスケさんと話をしたが、

仕事でも疲れていた
コウスケさんは

話しながら、寝落ちしてしまった。








私は、凄く
幸せな気分だった。


(この人とはきっと、
ずっと楽しくやって行ける)



今までの恋愛のような
辛い思いは
多分 することは無いだろうと……




ちょっとガサツだけど
とても優しい コウスケさん。

自分から話すのは
あまり得意じゃなくて、

私から話題を振らないと
沈黙が続いてしまう。

「今まで、辛いことばっかで(^^;)」
「ライカちゃんに
楽しく話せるようなことは、
少ないんだ」


思い出してしまうから、
自分の辛い話はしたくない。
愚痴るのが大嫌い。



だったら、
私が楽しい話をするしかないよね…



私はよく、
風俗で出会った
「オモシロ接客」の話を
コウスケさんにしていた。


お客は勿論
“普通じゃない”人達も
沢山居た。


「奴隷」になりたい
Mのオジサン。

イきそうになると
涙を流すオジサン。

「女の子と付き合ってみたい」
ゲイ克服の為に
風俗に通うお兄さん。
(男相手じゃないと
勃たない人だった)


他にも
書ききれないくらい。



出逢いが風俗だからか、
コウスケさんは全く気にせず

むしろ
ゲラゲラ笑いながら聞いていた。



ライカ
「嫌じゃない?接客の話なんて」

コウスケさん
「オモシロ過ぎる!」
「もっと聞かせて」

「だってライカちゃんは
“仕事”でやってたんだから」
「俺は全く気にならないよ(*^^*)」



コウスケさん、実は風俗の
「黒服」「送迎」「用心棒」も
経験していた。


色んな仕事を
経験しておきたいと、
半年毎に
職場を転々としていた時期が
あったらしい。


今の仕事(車整備)に落ち着いて
(当時で)約4年だと言う。


No.355

コウスケさんとの
半同棲生活が始まった。


私達はお互いに
「極度の寂しがり屋」で、
好きな人とは
常に一緒に居たい人間だった。


過去の遠距離恋愛や

いつ会えるのか分からない
ジリジリと待たされる恋愛に

ほとほと懲りていた私は
尚更であった。


週末だけに会うとか、
とても堪えられない。



コウスケさんは
自分の家には帰らず、
私の家に 真っ直ぐ
帰ってくるようになった。

駐車場の空きが無く、
コウスケさんは仕方無く
私の家のそばの
コインパーキングに停めていた。

だから、
月の駐車料金が
とんでもないことに。

管理会社に連絡し、
駐車場が空いたら
直ぐに使わせて欲しいと
お願いしたが、
なかなか空くことは無く…。


お金が足りなくなると
コウスケさんは仕方無く
自宅の方へ帰っていた。



-----



コウスケさんと
半同棲生活を開始して
約3ヶ月後。


仕事帰りに
ふと、何となく立ち寄った
ペットショップに

生後4ヶ月の
可愛いワンちゃんが居た。


ミニチュアダックスの
スムース(短毛)。オス。

色はパイボールド(まだら)。

目はクリクリで
綺麗な紺色。

何とも 整った顔立ちの
可愛らしいワンちゃんだった。


私は一目惚れ。

「どうしょ…飼いたいけど
お金がなぁ………」

私が凝視していると
ペットショップの店員さんに
「抱っこしてみますか?」
と聞かれ、
私は「はい!」と。


その子を抱っこすると、
元気が良すぎて
私の腕から飛び出し
走り去ってしまった。

店員さんは
慌てて追い掛け、
抱っこして捕まえると、

また私に抱かせてくれた。




店員さん
「模様が、珍しくて。
かえって、売れないんですよ…」

ライカ
「え??そうなんですか??」
「こんなに可愛いのに…」

店員さん
「好みが別れるんですよ。」
「顔は、かなり可愛いんですけどね…」

ライカ
「はい!私もそう思います!」



私は店員さんに
「また来ます」「売れませんように!」
と伝え、その日は帰った。



それからと言うものの、
週に2~3回は通い
その子に会いに行き、
ショーガラスケースを凝視したり
抱かせて貰う日々を送った。


No.356

1ヶ月 ペットショップに通い…

「その子」は
まだショーガラスケースの中に居た。



「ああ、良かった…」
「まだ売れてなくて」


ペットショップに
会いに行く度に
私は ホッと 胸をなで下ろした。


そして 値札を見てみると…
生後5ヶ月を過ぎたせいか

格段に 値段が下がっている…!!



(これを逃したら、
もうこの子には会えない!)

(絶対に後悔する!!)



私は
いつも会う店員さんに言った。



「この子をください!」







私は、ローン契約をし、

一目惚れしたワンちゃんと、

ケージ
ドライフード
水飲み用の容器
(ペットボトルを
セットするタイプ)
ペットシート

↑「初めてセット」を購入。

ペット保険にも加入した。


コウスケさんに連絡し、
仕事が終わったら
ペットショップまで
迎えに来て貰うように頼んだ。


しばらく、
ワンちゃんを抱っこしながら
店員さんとお話をして
時間を潰す。

「凄く可愛い!」
「売れ残ってたなんて
信じられない…」
「これから、よろしくね」


ワンちゃんと一緒に
記念撮影。
店内に、貼り出すらしい。





しばらくすると
コウスケさんが迎えに来た。




コウスケさん
「これ、どうしたの??」


コウスケさんは
「初めてセット」の
大きいダンボールを見て
驚いていた。


ライカ
「見て見て!」
「めっちゃ可愛いでしょ~?」
「いつも話してる
ワンちゃんだよ!」


コウスケさんと
ワンちゃん

初めてのご対面。



コウスケさん
「随分、イケメンだな~」
「あ、オスでいいんだよね?」

コウスケさんは
ニコニコしながら
ワンちゃんを抱っこしていた。


No.357

私達2人で
悩みに悩み抜いて
やっと決まった名前。


「コタロー」


コウスケさんが
「和風の名前がいい」
と言って、最初に出した
名前だった。


コタロー
末永く、よろしくね。
ず~っと一緒だよ。




コタローを
購入したはいいが…


私が住んでいた部屋は
「ペット不可」であった。

そして コタローは

一匹で留守番をさせると
かなり吠える。

当然、寂しいのだろう…。


コタローの鳴き声が
アパートの通路に響き渡り
「バレる」のも
時間の問題となった。




ライカ
「引っ越さなくちゃ」
「ペットOKのとこに」


コウスケさん
「そうだね。」
「コインパーキングも
限界だし…」
「家賃も勿体無いんだ。
俺の部屋には
殆ど帰ってないからね」



私は、実家の父にお願いし、
引っ越しが終わるまで
コタローを預かって貰うことにした。


私の父も
コタローを大層気に入って

「ウチの子になるか?」

と、ニコニコしていた。
実家にはすでに
2匹のミニチュアダックスが居たが
明るいコタローなら
仲良くやっていけるだろう。





私達は
本格的な「同棲」の為、

まずは
私はコウスケさんの部屋に
寝泊まりし、
コウスケさんの部屋の荷物を
まとめることにした。


コウスケさんの部屋は
前妻と 子供さんの「思い出」が
あちこちに散らばっていて、

兎に角、物が多かったからだ。



要らないものが
ワンサカ出て来たし、

やはり「男の部屋」とあって
細かいところは
結構汚い。



「これは要らない」
「これも要らない…」

「これは…
コウスケさんに聞いてみなくちゃ」



ゴミステーション行きと
保留とで

物を分けていると、

コウスケさんの
前妻の
日記が出て来た。


No.358

前妻の日記。

私は、何となく
パラパラと読んだ。

子育てのことや
コウスケさんのこと

色々書いてあったが
ジックリ読むのは
やはり 躊躇った。


「パラパラ…」の中には

子供さんが
便秘で悩んでいたことや、

コウスケさんと
仲直りを試みたようなことが

書いてあったと思う。




(私が入り込む領域ではないな…)
そう 思った。




私は
コウスケさんが帰ると、
日記のことを報告した。



コウスケさん
「日記??」
「そんなもの書いてたんだ…」
「全然知らなかったよ」


ライカ
「捨てるなりとっとくなり、
コウスケさんの好きにしてね」


コウスケさん
「あ、捨てていいよ」
「興味無いから(^^;)」


ライカ
「なら、コウスケさんが捨ててよ」
「私は知らな~い」




結局、私もコウスケさんも
日記の存在は忘れ
捨てることすらせず…

今も、「どっか」のダンボールに
入ったままになっている(はず)。



No.359

■26~27歳■

コールセンター勤務について
書いていきます。

色々 ありました…。



風俗を辞め、派遣会社に登録。

弁当→某黒い猫

その次に働いたのが
コールセンターの「発信」だった。

固定電話の業務で
「マイライン登録」をさせるよう
「営業」の電話を散々架けまくる。


マイライン登録と言うのは
簡単に言うと…

●市内
●市外県内
●県外国内
●国際

この4つを
別々の電話会社に登録。
通話料を安くしよう!
と言うサービス(?)のこと。

例えば、

「市内」の通話料は
「KDDIが一番安い」とする。

「市外県内」の通話料は
「SoftBankが一番安い」とする。

「県外国内」「国際」の通話料は
「NTTが一番安い」とする。



この場合、

●市内(KDDI)
●県内市外(SoftBank)
●県外国内(NTT)
●国際(NTT)

このように登録すると、通話料を一番安く済ませることが出来る。

だから、
市内に電話するとKDDIから請求が、市外県内に電話するとSoftBankから請求が、県外国内・海外に電話するとNTTから請求が来るようになる。

ただし、「基本料金」は、電話線を引いた会社からの請求になる。
大半は、NTT東西からの請求だね。



私はこの「マイライン登録」の
奪い合いに加勢していた。



電話越しで

「我が社の通話料が一番安いから、マイラインを全部我が社に登録しませんか?」
「明細書も、一枚にまとまりますし、便利ですよ~」

と言うようなことを、お客に言う。
マイライン登録の変更には、一回840円かかってしまうので、「無料じゃないならやらない」「固定電話使ってないし」と断られてしまう。

それに、マイライン登録を各社バラバラに申し込みしたこと自体を、スッカリ忘れてしまっているお客が大半で、

「マイライン登録ってナニ?」
「そんな登録はしていない」

と始まる。


今更、固定電話のサービスなんて、誰が興味持つかよ。今はみんな携帯電話じゃんか…。

時給が高いから、何とか頑張って働いていたが、「ここの電話会社アホや」と常に思いながらやっていた。

しかも「歩合制」ではなく、契約数が多かろうが少なかろうが、全く関係無かった。

ただ、やはり契約数が少ないと、上司からはかなりいびられるので…「追い詰められるのが嫌だから」頑張ってこなしていた。


No.360

コールセンターの上司で、
砂川という人が居た。

この砂川さんが、
私にメチャクチャ言ってきた。


勤め始めの初日から
毎日毎日、いびられる日々。



「アンタ、日本語わかる!?」

「コッチはなぁ、
アンタが覚えるまで
待ってられないんだよ!!」

「こんな仕事はなぁ、
1ヶ月もすれば
もう“プロ”だよ!!プロ!!」


ヘッドホンをつけて
四六時中 私に張り付き
私とお客の会話を聞いていて、

散々な
ダメ出しをされた。


挙げ句、
勤め始めて1ヶ月後
派遣会社から
「翌月から、別な仕事を紹介…」
と言われた。

要するに
「コールセンターはクビ」
と言う意味である。

でも、たった1ヶ月で
見切り付けられるのが悔しく
時給が高くて惜しかったのもあり、
私は派遣会社に食い付いた。



ライカ
「たった1ヶ月で“クビ”ですか?」
「砂川さんからの差し金ですよね?」
「私、そこまで“ポンコツ”ですか?」


派遣会社
「…申し訳ありませんが、
翌月からは…」


ライカ
「ふざけないでください。」
「具体的に、砂川さんからは
どう聞いているんですか?」
「具体的に、私のどこが悪いって??」
「と言うか、生活が掛かってるんですよ」
「いきなりクビだなんて
メチャクチャ困るんですけど」


派遣会社
「本当に、申し訳ありません。
新しい仕事、見つかり次第
直ぐに連絡差し上げますので」



弱々しい
派遣会社からの返答に
とても イライラさせられた。



ところが次の日。
派遣会社から
手のひら返した返答が。


「やる気があるようなので
クビは撤回になりました」



…一体、どういうことなのか。

派遣会社に
直接給料を取りに行った時、
コールセンター紹介に関する
責任者から 話を聞いた。


No.361

「アレは、
一種の“はっぱかけ”だから」
「クビは、気にしないでください」



“気にしないでください”…

はぁ???



ライカ
「砂川さんからの差し金ですよね?」

派遣会社の責任者
「え、えぇ…」

ライカ
「私、そんなにダメですか?」
「電話では、
そこそこ仮契約は出来てるんですよ」
「ナニがダメなんですか?」
「聞かされてますよね?
私の何が気に入らないのかを」

派遣会社の責任者
「ま、まぁまぁ、落ち着いて。」
「君の成績が悪いとかじゃ
ないんだよ。」
「それに、君だけじゃないんだ。
“クビ”の言い渡しをしたのは」


ライカ
「…はぁ???」
「ナンデスカそれ???」



派遣会社の人も
明確なことは言わなかった。

砂川さんからの要求、
もしかしたら
“イヤイヤ”だったのかもしれない。

「クビを言い渡して、
はっぱかけてくれ」

だなんて。
まぁ、あまり
やりたくないわな。



私は、
先程も書いたが
そこそこ“仮”契約は
取れていた。

電話でアレコレ説明し、
「マイライン登録、必ずします」
と“口約束”が出来たお客にのみ
「申込書」を送付する。

申込書を返送してもらい、
初めて「契約成立」になる。


マイラインの申込書を
「資料」として送るのは
厳禁であった。


リーダーと呼ばれる人達が
お客との会話を聞いているので、
「資料」として送ると
リーダーからかなり怒られる。


「固い口約束」をさせ、
申込書を「必ず」返送するように
お客を説得させる。


「近くに、カレンダーはありますか?」
「カレンダーの○日のところに
“マイライン申込書返送”と
メモをお取りください」

とまで、電話越しで指示する。
(困惑する客が大半)



私達の成績は
申込書の「返送率」が
一番重要視される。

申込書を沢山送り、
いかに沢山返送して貰うか。


申込書の送付数は
1日に20通あれば
「優秀」であった。

私の送付数は
平均で15通ほど。

そこまで
悪い数字ではなかった。


返送率の方は
「公表しない」ことになっていて
(何故??)
上司に聞いても
「良い・そこそこ・悪い」
と、曖昧なことしか聞けなかった。



No.362

勤務を始めてから1ヶ月で
クビを言い渡されたわけだが、

たった1ヶ月では
明確な返送率は出ない。

電話を架け、申込書を送り、
到着するまで
2週間はかかるからだ。


だから尚更、
「クビ」に納得が行かず
頭にきてしまい
食い付いてしまった。



申込書が到着したら
「直ぐ」に返送して貰うよう
お客にお願いするのだが…

電話での説明が
印象に残らないものだと
お客は 忘れてしまい、
返送してくれない。


そして、届いてから
時間がたった申込書は
「もう期限が切れている」
と思い込み、
返送してくれなくなる。

申込書に「期限」なんてものは無く、
何ヶ月・何年後に送っても
別に構わないわけだが、

電話越しで
「直ちに返送願います」
とお客に説明しているのもあって、
時間が経ちすぎると
「期限切れ」と思うのは
仕方が無い。



だから、
わざわざ「カレンダーメモ」まで
させるワケだが、
大抵の客は
「そこまでさせるの??」
と困惑する。


中には
「詐欺」だと思い込み、
終始疑いっぱなしの客も居る。

…と言うか、この御時世
詐欺と疑ってかかる客が
半分以上なのである。



こういう客には、
「資料」として
申込書を送っても
いいと思うのだが…

それは
断固として「禁止」のままだった。


No.363

私は、砂川さんが
大嫌いであった。


『日本語わかる?』

『アンタが覚えるまで
コッチは待ってられない』



よく こんなことを吐く人が
“上司”やってられんなぁ

と思った。


こんなヤツが原因で、
仕事辞めてたまるか!!

お前は私を嫌いなんだろう?
気に入らないんだろう?


…残念でした!!
辞めてやんないから(笑)
ずっと居座ってやるわ。



私の
歪んだ根性であった。




でも、私の「大嫌い」の感情は
あながち ハズレでもなかった。


砂川さんの
他人を見下すような発言が原因で
辞めるオペレーターが多発。

あちこちのコールセンターを
盥回しにされていて、
上部で問題になっていると

砂川さんとセットで
上司をやっている、
女性の川上さんから聞いた。


聞いた…と言うか
川上さんが
愚痴を「つい」漏らしてしまったのを

私の耳が
たまたま拾ってしまったのだ。


川上さんは
「い、今の聞こえた?」
「ゴメンゴメン、忘れてくれな」
と言った。



川上さんは
コテコテの関西人。

関西弁・関西訛で
チャキチャキ、ハキハキと
仕事を教えてくれた。



川上さんは、
優秀な上司のようで、
全国のコールセンターを周り、
初心者のオペレーターに
手取り足取り
教えているらしい。



川上さんが
他のコールセンターに
行ってしまうのと、

砂川さんが
他のコールセンターに
飛ばされてしまうのと、

ほぼ 同時期であった。

若干、川上さんの方が
早く居なくなってしまう。



川上さんが
先に居なくなり、

砂川さんの
独壇場が続いた
2週間程が

一番 辛かった。


「ブレーキ」が無くなった
暴走車の如く、

「気に入らないヤツ」を

徹底的に、
コテンパンに
のしていった。


私に対しても
更に酷く
当たるようになっていた。


No.364

砂川さんは

腕を組み、
ずっと私の後ろに仁王立ち。

仁王立ちしながら
ヘッドホンをし

私と客とのやり取りを
聞くようになった。


会話が終わり、
例え「申込書送付」となっても
散々なダメ出し。



「何だ?今のトークは」

「今ので、返送されてくると思うか?」

「“資料送付”じゃないんだぞ」

「もっと客に
返送意識・申込意識を持たせろ!」

「アンタの返送率、
メチャクチャ悪いんだよ」

「わかってんのか?」
「あぁ!?」



…なんだ コイツは。

チンピラがやる
借金取立か何かか??


やる気を削ぐような
物言いしかしてこない。


私は、悔しくて悔しくて。

でも、泣いたり、
言い返したりはしなかった。


砂川さんの前では
「無表情+はい。」を
貫き通した。



砂川さんの言うことに
無表情で
「はい。」「はい。」「はい。」


それ以上の反応は
絶対にしてやらないと
決めていた。



(どうせコイツ、居なくなるし)

(好きにほざいてろ)



そんな私の態度が
気に入らなかったのも
あったのだろう。

尚更 イビリは加速した。



「お前には
日本語が通じないようだな」

「言葉のわからない赤ん坊か?」

「ホント戦力にならないな」

「なんでココに来たんだ?」

「お前みたいなのを
給料泥棒って言うんだよ(笑)」


“アンタ”から
“お前”に変わった。



ここには
書ききれないくらい
メチャクチャに言われた。

それでも私は
無表情を突き通した。



No.365

砂川さんが
居なくなる日が来たが、

特別、何かをするわけでもなく。
「何となく」
居なくなったような感じだった。

誰かに、惜しまれるわけでもなく…。


「あー良かった。」
「のびのびと仕事が出来る」
「息も普通に吸える(笑)」


オペレーターからは
こんなことばかり
言われていた。




砂川さんが居なくなってから

私は、
どうしても「返送率」が気になり
もう一人の、大人しい上司
佐々木さんに頼み込み
ムリヤリ聞き出した。

佐々木さんは
妻子持ちで、子煩悩。
一見温厚そうだが
眉間には、いつもヒビが入っている。



佐々木さん
「ライカさんの返送率は
45%ですね」

ライカ
「45%……はぁ………
半分も無いんですね」

佐々木さん
「いえいえ。
かなり、良い方なんですよ」

ライカ
「…………え」

佐々木さん
「他の方の返送率、
見てみてください」


佐々木さんは
名前の部分をスクロールして隠し、
返送率の数字だけを見せてくれた。


20%…25%……
中には5%なんて数字もあった。


ライカ
「私、砂川さんに
アンタの返送率は
メチャクチャ悪いって……」

佐々木さん
「い、いやいや…
そんなことは、無いんですよ」



…釈然としないモノを
感じた。



佐々木さん
「これからも、この調子で
よろしくお願いしますね」



佐々木さんは
にこやかに言った。




後日、
別のリーダーから聞いたが


「砂川さんが個人的に
ライカさんのトークが
気に入らなかっただけだから」

「全然気にしなくていいよ」

「数字は取れてるんだから」




…だそうだ。



No.366

コールセンターで、
私は「独り」を
貫き通していた。


他人からは
嫌われることが 多かった私。

風俗でも、
女からは散々だったし。


(独りの方が、気楽でいい)


休み時間も、ずっと
携帯アプリをしながら
昼食をとっていた。

でも、
勤務を始めてから
3ヶ月…4ヶ月も経つと
いい加減
「向こうから」
話し掛けられるようになる。


話し掛けられると
冷たく突き放したり、
無碍にも出来ず。

自然と、親しくなって行った。



特に親しかったのが
土居さんと、藤崎さんだった。
どちらも女性。


土居さんは、当時で21歳。

飾り気は無く、
ハキハキ元気な印象。
いくら親しくなっても
堅苦しい敬語は抜けないまま。
一回り年上の、彼氏が居る。


もう一人の藤崎さんは
当時で23歳。

まさにアジアンビューティー。
艶やかなストレートの黒髪。
整った顔立ち。
そして、バイリンガル。
英語がペラペラだった。
彼氏が海外に居る。


土居さんも、藤崎さんも、
上司からは一目置かれていて
私よりも 優秀だった。


私達は、いつも3人で
行動していた。

休み時間も、帰る時も。


たま~に、
プライベートで
ランチも楽しんだ。


この3人で、
砂川さんの愚痴も
散々言いまくった。

砂川さん、
もう 居なくなったのに。


私はこう言われた。
私はこうだった、ああだった。


砂川さんの“イビリ”が
かなり広範囲だったことを
この時 初めて知った。

むしろ、
砂川さんの“お気に入り”は
極々「ひとつまみ」だったと
言うことも。



No.367

この仕事を始め、
3~4ヶ月が過ぎた頃

また、喫煙が復活した。


風俗をやめてから
一度も吸っていなかった。


土居さんと、藤崎さんが喫煙者で、
2人が吸っているのを見ていたら、
無性に吸いたくなってきた。

ヘビーではなく
1日に5~10本程度で
会社に居るとき限定の
喫煙ではあったが。


土居さん・藤村さん・私
3人で、昼食を終えた後は
喫煙室に居るようになった。


喫煙室に
出入りするようになってから…

とある人に
よく 話し掛けられるようになった。




名前は、雁(かり) 慎治さん。
40歳・男性。
髪型は、ビシッとしてる感じで
体型は細身。背は低い。
メガネを掛けている。

オヤジギャグを連発し、
手当たり次第
「今度、みんなでカラオケにでも…」
と誘いまくっていた。


ぶっちゃけ
かなり鬱陶しい。


でも
仕事はかなり出来る人で
常に 成績は上位だった。

上位と言うか
一位、二位を争うような感じ。
(でも返送率は不明)


同性からは特に
「雁さん!」「雁さん!」と
崇められているように
(私からはそう)見えていた。





この、雁さんだが…


メチャクチャ 臭い。


「生乾きのニオイ」を
かなりキョーレツにした感じで
雁さんが居ると
あたり一体は「汚染」され
近寄れなくなる。

ニオイに敏感な女性からは
かなりの顰蹙を買っていて

女性オペレーター→上司に
苦情が何件もいっていた。




私は、この 雁さんから

【ロックオン】
されてしまっていた。



No.368

>> 367 ■訂正■


土居さん・藤村さん・私
3人で、昼食を終えた後は
喫煙室に居るようになった。


土居さん・藤崎さん・私
3人で、昼食を終えた後は
喫煙室に居るようになった。



名前を間違えました。

No.369

仕事をする時、
ホワイトボードに書かれた席に
着席することになっていた。


日によって
架ける「リスト」が違う為、
リストの種類で
席分けをさせられる。


出勤すると、
もう 席は書かれていた。

でも、
オペレーターから希望を出すと、
少しならば
席替えも可能だった。



雁さんは、何かと理由を付け
私の隣に 来たがった。


「トークで悩んでたりしないかい?」
「僕のトーク、教えてあげようか?」


仮契約ではあるが
バンバン契約を取りまくる
雁さんのトークは
確かに 気にはなっていた。

でも
雁さんのお節介が…


凄く、気持ち悪かった。



私は
雁さんの体臭?
(服が臭いだけ??)
に我慢しつつ、

「今度、教えてください」

と、軽く流していたが…




これが、良くなかった。

雁さんは
「今度、教えてください」
を真に受けてしまい、
私にしつこく、執拗に
迫ってくるようになった。


「僕に何でも聞いてよ」
「今度、飲みに行こうよ」
「その時に、トークを
メモったらいい」


私は散々流してきたが
あまりにも執拗で

いい加減 かわし切れなくなり…



とうとう
飲みに、行ってしまった。



雁さんは
仕事は出来る人だから。

上司も、かなり
雁さんプッシュだし…

「無碍」にすれば
他のオペレーターから
顰蹙を買うかもしれない。


臭いけど…

きっと みんなが
雁さんを尊敬し、
見本にしているに違いない。


ずっと
そう思っていた私は
強く 拒否出来ずにいた。



「飲みに行く」
となると、雁さんは
すっかり舞い上がってしまい??

休憩室に置いてあった
クーポン誌から

クーポンを 何枚も
勝手に失敬。

クーポン誌なんて
コンビニで無料配布してるのに………



貧乏臭い「40歳」に
ドン引きしてしまった。


No.370

雁さんと飲みに行くとき、
きちんと コウスケさんに
断りを入れた。


「“例”の雁さんと
飲みに行ってくる」

「トークを教えてくれると。」

「“何か”があったら
電話するね……」



私は、雁さんの“危険度”を
あらかじめ
コウスケさんに
散々説明していた。


コウスケさんは
笑いながら
私の説明を聞いていた。


「そんな人も居るんだね(^^;)」
「まぁ、危なかったら連絡してね」


私を信用している??

……いやいや、
あまりにも 雁さんが
痛々しい男だから。

「有り得ない」
「それは無い」と
思っているのだろう。




仕事帰り、
雁さんと一緒に
居酒屋へ向かった。


雁さんは
切り取ったクーポンをガン見。

「どこがいい?」
「どこにする??」


お金の無い
十代・二十代の
学生ならまだしも…

コイツ
もう 40のオッサンだよ??

「見栄」もへったくれも
あったモンじゃない。



居酒屋で
雁さんから直接
聞いたのだが

雁さんには
子持ちバツイチの
彼女が居ると言う。


生乾き臭くて
ドケチで
40歳にして派遣社員
派遣社員歴15年の
(↑雁さんが自分で言っていた)
ギャグがつまらないオッサンに

まさか
彼女が……………。


私も
「彼氏、居ます」
「同棲してます」
「筋肉質で、私の好みです」
「喧嘩も無いし、仲は良いです」
と、彼氏が居ることを
かなりアピールし、

【予防線】を
張ったつもりでいた。



初回なのもあって、
仕事の話と
お互いの 彼氏彼女の話をし

普通に終わった。



でも、雁さんの
「チビチビ飲み」には
かなり ドン引きした。


「そろそろ帰らないと…」
「彼が心配するんで」
と言うと、

「わかったわかった」
「この一杯を飲んだら帰ろう」

と言いながらも

「長居」を企み
コップ一杯のビールを
かなりチビチビと
スローペースで飲むのだ。


No.371

この“チビチビ飲み”のせいで
公共の乗り物の最終に
間に合わなくなりそうになった。

いくら
「もう時間が無い」
と言っても、全く聞く耳持たず。

いつまでもペラペラ喋り
ビールをチビチビチビチビと。



私は内心、
もの凄くモヤモヤしていたが


「仕事が出来る人」

「みんなから慕われている」
(…に違いない)

「嫌う方がオカシイ」
(…に違いない)



本気で そう思っていたから
職場の誰かに
ブチまけるでもなく、

雁さんのペースに
ずっと我慢していた。



何度か飲みに行き
(行かされ)
トークも教わったが、


「クーポン」と
「チビチビ飲み」は

ずっと変わらずで、
最終に間に合うよう
必ずダッシュする羽目に。


酔いが回ってのダッシュに
リバース寸前の時もあった。





私は 心底

雁さんのことも
大嫌いになった。

「大嫌い」と言うより

「気持ち悪い」
「気色悪い」と言うべきか。


生理的に
受け付けないものを感じた。



でも やはり職場では
「雁さんプッシュ」
「雁さんワッショイ」は
相変わらずであった。

男性の同僚からは
慕われているように見えていたし、

上司は
雁さんの仕事振りを重宝していた。




(きっと…
私だけではないはず)

(雁さんのトークを学ぶのに
雁さんと飲んだ人は
それなりに多いハズ)



そう言い聞かせて、
毎日毎日を 我慢して過ごした。



今思えば、何故直ぐに、
土居さんや 藤崎さんに
相談しなかったんだろうと…

大変 悔やまれるところである。


No.372

雁さんに付きまとわれてから
約3ヶ月。

季節は夏。



職場の人達は
基本的には みんな
仲良しであった。

仲良しと言うか、
精神的に 辛い仕事だからか
「仲間意識」が
とても強かった。

お互いに励まし合い
時には愚痴を言い合い
メゲずに頑張ろう。


常にみんなが
スクラムを組んで
頑張っているような感じ。



そのスクラムの中に
雁さんも 混ざっていた。


私は
ずっと疑問だった。


(雁さんって
何だか“スゲー”性格してるけど
本当に慕われているのか?)

(仕事さえ出来ていれば
性格は関係無い人達が
集まっている職場なのか?)



批判されるのが怖くて、
私はずっと
雁さんの愚痴は
誰にも言えずにいた。





そして“大問題”の
飲み会の日が やってくる。






真夏の暑い日。

職場の近くの公園で
小規模のビアガーデン?
が開かれていた。


職場のみんなで
仕事帰りに ビアガーデンに寄って
ドンチャン騒ぎをしていこうと
言う話になった。


集まった同僚は
20人くらい。

ビールジョッキ片手に
まずは乾杯。

最初はみんな
落ち着いて飲んでいたが

酔いが回るにつれ
みんな「各自」で
どんどん
メチャクチャになっていった。


土居さんなんかは
全く知らない団体の中に
いつの間にか混ざっていて、

どこの誰とも知らない
若い男性と
メアド交換をしていた。

…彼氏、居るのに。(汗)



当時26歳だった私は

(もう若くないし…
飲んでも、冷静で居よう)

と頑張っていた。


視界はかなり
グルグルしていたが、
気持ち悪くなることは無く、

良い具合にグルグルしていた。


No.373

酔いが回って
メチャクチャになっている中に
雁さんも居た。


雁さんは
寒いオヤジギャグを

いつも以上に連発。



「俺はね~、
何の取り柄もない男なんだよ」

「こうやって、冗談言って
笑いを取ることくらいしか…」






(いやいやいや。)

(全然笑えねーから。)

(コッチが恥ずかしいから
頼むからやめてくれ。)


そう、思っていたし
愛想笑いをしてやる気にすら
ならず……


雁さんのギャグには
ピクリとも反応してやらなかったが

他の同僚達は
そこそこに 笑っていた。



(私の笑いのツボが
オカシイだけなんだろうか…)




ちょっと 不安になった。

やはり、
雁さんを嫌う私の方が
オカシイのかもしれないと。




酔いが回った同僚達は
徐々に 散り散りになり、

収集が
つかない状態だった。

良い感じて 酔っていた私に
雁さんが迫る。



ボーッと
酔いに浸る私の手を
強引に引っ張り、

走り出したのだ。





ライカ
「は???」
「え?」

「えっ???」


雁さん
「これからさ、2人で飲み直そうよ♪」
「みんな、もうグチャグチャで
バラバラになっちゃったし。」
「ライカさん、明日休みだよね?」


ライカ
「は??…はぁ…。」


雁さん
「じゃあ行こうよ~」

「あ、俺酔っ払ってるから。」
「ライカさん助けてぇ~」
「転びそうになったら
俺を支えてね♪♪♪」




私が“シラフ”だったら
手を振りほどいて
逃げ出しているだろう。


でも この時の私は
先に書いた「不安」や
酔いもあって、


雁さんのペースに
飲まれっ放しの状態に
なってしまったのだ。



(これを“無碍”にしたら
同僚のみんなから、
白い目で見られるかも…)



頭が
あまり働かず。

振りほどける筈の手を
振りほどくことが出来なかった。


No.374


私はなんで

この人と

手をつないで

歩いているんだろうか…




頭が ボーッとする。

どーでもいいや………





雁さんは私を
カラオケに引っ張って行った。


「ここの「飲み放題」がさ
凄く安いんだよね~」

会員カードを出し、
やはりクーポンも……。


連れてこられたカラオケ屋は
私は初めての場所で、
会員カードまで
作らされる羽目になった。
(利用には必ず会員登録が必要だった)




個室に通される。






私と 雁さん。
2人きり。

周りには
誰も居ない。




私は 徐々に 少しずつ

酔いが 覚めつつあった。


雁さん
「飲み放題だからさ
どんどん頼みなよ!」


私は
(これ以上、酔うワケにはいかない)
と思い、最初の一杯で
遠慮しておいた。

雁さんは
ムリヤリ酒を追加しようとしたが

「これ以上飲んだら
マジ吐くんで。」
「勘弁してください。」

と キッパリ断った。




雁さんは
歌い出すと
“マイクを離さないタイプ”
と言うヤツで、


私には お構い無しに
勝手に バンバンと
曲を入れていった。


そして
曲の合間合間に

とんでもない発言をしてきた。



雁さん
「ライカさんって
胸、大きいよね」


ライカ
「…はぁ?」


雁さん
「ちょっと寄せたら
谷間、できちゃうでしょ~?」


ライカ
「…」


雁さん
「俺さぁ、ライカさんのこと
“ライちゃん”って呼ぶからさぁ」
「“ライちゃん”も
俺のことは“カリちゃん”って
呼んでよ~~~」


ライカ
「いえいえいえ!」
「そう言うのは勘弁してください」


雁さん
「え??
ライちゃん、俺のこと
嫌いなの!?」
「嫌いになっちゃった!?」


ライカ
「…。」
「そーゆーワケではありませんが」
「勘弁してください。」


雁さん
「あぁ…そう。」
「ライちゃんは
俺を嫌いなんだね…」


ライカ
「だから、
そーゆーワケではありません」





(最悪だ、このクソ野郎………)


No.375

ここで

「ああそうだよ」
「お前なんか大嫌いだよ!」
「こんの、クソ野郎がぁ!!」


…なんて 言ったら
何をされるか 分からない。

取り敢えず
適当に流すしか無いと思った。





雁さん
「いいよいいよ。」
「俺、ライちゃんに嫌われても~
俺は、ライちゃんを好きだから!」


ライカ
「彼女、居るんですよね?」
「マジ勘弁してください」


雁さん
「やっぱり俺、嫌われてる~!」


ライカ
「勘弁してください」
「そう言うのは、もういいんで。」


雁さん
「あっそ…。」
「まぁ、関係無いけどね。」





(関係無い…?)

(はぁあ???)

(コイツ、マジで私を
「下」に見てんな…💢💢💢)






※ここからは
以下…

雁さんの「迷言」↓




職場のエレベーターん中で
ライちゃんの胸が
俺の肘に
当たってたことがあってさぁ
(↑私は全く気付かなかった)

会社なのに
勃起しちゃって~~
我慢出来なくなってさぁ

会社のトイレで
オ○ニーしたんだよねぇ

家に帰ってからも
ライちゃんをオカズに
何回ヌいたか 分かんないよ~~

ライちゃん、
俺の為に ミニスカート履いてよ~

ミニスカート持ってない??
なら、俺の為に
ミニスカート買って~~~

この脚の太さなら
ミニスカート大丈夫だって~
(と言いながら
私の太ももをさする)

ライちゃん、
もし彼氏が居なかったら
俺と付き合ったでしょ?
付き合ったよね??

もしライちゃんに
彼氏が居なかったら
俺と、ホテル行っちゃう??
行っちゃうよね??

俺のチ○コ
かなりデカいんだよね~~~

勃起すると
腹につくくらいになるし

勃起するとギンギン過ぎて
すんごい痛くなるんだよね~

ライちゃん
俺のチ○コ
欲しいよね??

欲しくなっちゃうよね~~~

俺は
ライちゃんに嫌われても
俺はずっと
ライちゃんを好きでいるよ!

この歌を
ライちゃんに捧げるよ!
(何曲も連続で聞かされた)



No.376

(迷言続き)



ライちゃんの彼氏
鍛えてて 筋肉凄いんだって?

俺は昔、空手やっててさ~~
俺も 凄かったんだよ!

ほら、触ってみてよ~~~
(ムリヤリ、雁さんの
上腕を触らせられる)


↑「俺は昔、凄かった」
の武勇伝語りが暫く続いた。

ちなみに
雁さんは“ガリガリ”で
モヤシ状態である。


俺、ライちゃんを
イかせる自信、あるよ!

彼氏が居なかったら
ホテル行って
ライちゃんをガンガン
イかせまくるのに~~~


(↓今まで付き合った
女性の人数は?の質問に対して)

はぁ?ナニ??
もしかして
俺を馬鹿にしてんの??
(いや、してねーし💢)

俺、何年生きてると思ってんのよ。
付き合ってきた女は
20人以上居るよ…

(↑怒って答える意味が分からない)





取り敢えず
思い出せるだけ
書き出してみたが、

これだけでも
如何に「勘違い」をしている
痛々しいオッサンなのか
よく分かるだろう。

いくら
酒が入っていたとは言え
あんまりだと 私は思う。


これらの発言に対して
私は テキトーに流していた。

でも
「彼氏が居なかったら
俺とホテルに…」

に関してはキッパリと

「それは有り得ませんから」
「勘弁してくださいね!」

と、かなり強く拒否し、
言い返してやった。


それでも雁さんは
全くお構い無し。




雁さんは
「飲み放題」をいいだけ利用し
かなり酔っ払っていたが、

私は 最初の一杯でやめたので
カラオケから出る頃には
完全に「素」の状態であった。



会計の時、
カラオケ屋の店員が
雁さんの会員カードを

ちょっと 見えなくしたらしく

「今、探しておりますので」
「申し訳ありませんが
もう少々お待ちください」

と、丁寧に
対応していたにも関わらず、


雁さんは 店員に
かなりの悪態をついていた。


呂律が回っておらず
何を喋っているのか、
よく聞き取れなかったが、

店員を睨み付け、
何かをゴチャゴチャと言っていた。



私は
40歳のオッサンが
たかが 会員カードで…と

凄く 恥ずかしくなってしまい、

雁さんが
店員に向かって
悪態をつく度に、私は

「スミマセン」
「ホントすみません…」

と、深々と頭を下げ、謝った。



本当に 恥ずかしかった。
嫌だった。



No.377

カラオケでの会計は
8000円を超えていた。

飲み放題だったが
食べ物を随分と注文したからだ。

…主に、雁さんが。

私に断り無く。
勝手にバンバンと…。



手持ちが無かった私は
雁さんに会計を任せ、
「後日職場で返します」
と伝える。


私は内心

(お前がムリヤリ引っ張って
きたんだから、
お前が全額払えよ‼💢笑)
(ドケチの色呆けクソ野郎が…)

と思っていたが
流石にそうは言えなかった。




時間は
早朝の 4時半になっていて
もうすっかり
明るくなっていた。

繁華街に居た私達。



私は雁さんに
「どーやって帰るの?」
と 聞かれたので、

「タクシー代、無いんで。」
「適当に時間潰して
6時の始発で帰ります」

と答えた。

私のこの発言に
「金、貸すから。
タクシーで帰れ」

と、何故か
怒り心頭の雁さん。

私は
「これ以上は
(金を)借りられない」
「金欠なので
借りても返せない」

と突っぱねたが

「危ないから!!」
「返すのはいつでもいい!!」
「タクシーで帰れ!!」

と…かなり、しつこい。
しかも、かなりご立腹。



繁華街から
自分の家までタクシー…

ぶっちゃけ
お金が勿体無くて
絶対に嫌であった。

運賃が いくらかかるのか
いくらブッ飛ぶのか
想像出来なかったし。


強引に
タクシーに載せようとする
雁さんから

兎に角 逃げた。


雁さん……しつこい………。




「俺はなぁ、
お前を心配して言ってんの!!」
「何でソレが
分かんねーかなぁ!?」

「俺の、ライちゃんを
心配する気持ち…無視するんだ?」

「あーーー!!」
「いいよいいよ!!」
「お前なんか、
もう知らねーよ!!!!」





ライカ
「彼氏、呼ぶんで!!💢」
「これでいいですか!?💢」
「いい加減にしてください‼‼」




私は
カラオケ屋の前から

走って 逃げた。




かなりのダッシュで逃げた。


走りながら

私は泣いた。



涙が 止まらなかった。



No.378

何なんだ、アイツは………‼

一体、何なんだ‼‼‼





私は

雁さんのような
イかれクソ野郎に
振り回されていることに

もの凄く
悔しい気持ちになった。



(何なんだ…)

(一体、何だったんだ…!?)

(何なの??
あの“未知なる生命体”は?!)




雁さんの言動が
全く理解出来なかった。

【普通の】人間のする
立ち振る舞いではないと…


私の範疇を 超えていた。


雁さんのような
非常識な40歳のオッサンを
受け入れる受け皿が
私には まだ無かった。




世の中には
非常識な人間が
まだまだ 沢山居る。


それは
頭では分かってはいるが…


ここまで“逸脱”している人間は
私の人生の中で、
雁さんが 初めてだった。






繁華街から離れた
街角のベンチで

私は、うなだれていた。



雁さんのような
非常識色呆けクソ野郎が

のうのうと
オメデタく生きていることに

私は 怒りを覚えた。



私は
雁さんを“否定”してやろうと

雁さんに
“堕落”を味合わせてやろうと

ベンチに座りながら
あれこれ 考えた。




まずは 上司に報告。

同僚(特に女性)にも
散々言いふらして
警戒するよう促そう。


雁さんが いかに
“最低のクソ馬鹿野郎”なのかを
みんなに分かって貰おうと…



(少しは痛い目見て
反省しろや、エロクソジジィめが)







私は

【復讐】に燃えた。



No.379

雁さんは 恐らく
人生の中で

「堕落」や「失望」を
味わったことのない

“頭が茹で上がってる”
“オメデタイ”
人間なのだろう。



ある意味
「幸せ」な部類の人間。



だから
あそこまで痛々しい性格で

実は
誰からも好かれていないのに


「俺を好きにならない女は異常」
「俺に群がらない人間は異常」
「俺に落とせない女は居ない」
「俺は慕われて当然」


と、
ずっと思い込んでいて
自信に満ち溢れているのだろう。


全く
謙虚さが無いのである。




多分、雁さんは
「精神病」の一種なんだと思う。
何て病名が付くかは知らんが。




多分…………
いや、



絶対に病気。

いや、病気と言うか
人格障害かも。





私は
夜が明けて
すっかり明るくなった

街角のベンチに座りながら

雁さんとの一連を
ブログに書き込んだ。


雁さんの「迷言」を
忘れないうちに
書いておこうと思った。




この ブログを書いてる最中、

私は数年振りに
ナンパされた。



ちょっと
頭がイかれた風の
小太り兄ちゃんだった。


ブログを打ちながら
無視しているうちに
始発の時間になったので

歩きながら
ブログを打っていた。

その間もずっと
小太り兄ちゃんは
執拗に誘ってくる。



「ホテル行こう」
「エッチしようよ」


「あ~~~
無理無理!!💢」
「彼氏居るから。」


「彼氏居てもいいじゃん」


「無理だって!!💢」
「っつかアンタ
タイプじゃないから。」
「バイバイ💢」



バイバイ💢と同時に
乗り物に乗って

扉が閉まる。

無事
サヨナラ出来た。



雁さんのことで
気が立っていた私は、

いつも以上に
キツい口調になっていた。






あの 小太り兄ちゃん……

マジ キモかったわ…



口調や雰囲気が
「普通」じゃなかったんだよね。

多分…○○だな………



No.380

朝方、無事自宅に到着。

コウスケさんは
まだ寝ていた。


朝7時半。
コウスケさんは
携帯のアラームで起きる。

私はコウスケさんに
「ブログ書いたから
読んで欲しい」
と言った。

口で説明すると
話が前後して
メチャクチャになりそうだったから。


落ち着いて、順を追って
説明出来そうにないから

書き足したり
入れ替えたり
削除したり

文章を整理して打った
ブログを読んで貰う方が
正確に伝わるだろう。



コウスケさん
「…ナニナニ??」
「どうしたって??」



「…………。」










「…(^^;)」

「アチャー…。」





コウスケさん
「やっぱりね。」
「俺は、遅かれ早かれ
こーなるんじゃないかと
思っていたんだよ(^^;)」


ライカ
「でも、雁さん
彼女 居るって…」


コウスケさん
「彼女居たって
関係無い人は沢山居るよ」
「それに、彼女居るって
“嘘”なんじゃないの?」
「見栄張ってるだけの
可能性もあるよ」


「ライカの言うような
痛々しい性格の人物ならね」


ライカ
「………うん。」
「そーだね…」
「“嘘”かもしれないよね…」



今日が
仕事休みで良かった。


取り敢えず
寝たり、ゲームしたり
1日は、好きに過ごした。


平日だったから
コウスケさんは仕事だったけど…。


夜は、気晴らしに
コウスケさんと
外食した。


外食中は
雁さんの話一色だった。

コウスケさんは
ゲラゲラと
笑いながら聞いていた。

「無事帰ってこれただけ
良かったと思わなくちゃ」



まぁ、
襲われなかっただけ
マシだったと言える。

でも
「オ○ニー」の発言は
かなり(精神的に)キツかった。





次の日。

私は朝から
土井さんと、藤崎さんに
電話した。



「今日1日は
ずっと私と過ごして欲しい」
「席も、2人で
私を間に挟んで欲しい」
「理由は、
会社で全部話すので!」

「お願いします!!」



No.381

土井さんと藤崎さんは
こころよく「OK」してくれた。


土井さん
「な、何かあったんですか!?」
「わかりました!」

藤崎さん
「よっぽどのことがあったんですね」
「了解ですよ~!」



職場に着くと…

なんとラッキーなことに
雁さんは休みだった。

ホワイトボードを見ると
どこの席にも
雁さんの名前が無い。

公休なのだろう。


土井さんと
藤崎さんに
席を挟んで貰う必要は
無かったが、

まぁ、いいか…と。



そして 昼休み。

私は、ここぞとばかりに
土井さんと 藤崎さんに

アライザライ
全てをブチまけた。

土井さんは
目をまん丸くし、
藤崎さんは
両手を口にあてながら、

2人とも
「マジか…」

と言う表情で聞いていた。





土井さん
「実は、私も…
2度ほど、雁さんと
飲みに行ったことがあるんです」


ライカ・藤崎さん
「え??」


土井さん
「ライカさんの時と
全く同じで。」
「帰りたい…と言っても
コップ一杯を、チビチビと
かなり粘るんです。」
「で、結局私は
終電に間に合わず、
彼氏に迎えに来て貰う羽目に
なったこともありました。」


ライカ
「ま、マジで…………」


土井さん
「お金が無いから無理です
って断ったら、おごるから!って。」
「申し訳無いと思って、
1000円分しか
飲み食いしなかったのですが…
次の日になって
『土井さん?昨日の1000円は?』
って…1000円徴集されたんですよ」



ライカ・藤崎さん

「………………。」





おごる

と言っておき、
無理に土井さんを誘った挙げ句、
次の日に
堂々と1000円を徴集……………



やっぱり

頭 イかれてる

雁さんって…





土井さん
「雁さんって、
仕事出来る人じゃないですか」
「だから、
雁さんを拒否したら
みんなに、変な目で
見られるんじゃないかって」


ライカ
「それそれ。」
「私も、そう思ってたんだよね…」
「だから
何となく断れなかった。」



No.382

でも
そうではなかった。


仕事出来るとか 知らん。
雁さんは、気持ち悪い。
頭イかれてる。
メチャクチャ臭いし。


…この感情は
私だけではなかった。

土井さんも
藤崎さんも
同じだった。



『多分、女はみんな嫌ってる』
『私だけじゃない』






私だけじゃないんだ…


ああ、そう。







なら、
私がみんなの「代表」になって

雁さんを
やっつけちゃうけど(笑)

いいよね??
それでも。





『みんなが嫌ってる』
と分かってからじゃないと
何もできなかった私。

我ながらに
呆れてしまうけど(笑)







…次の日。

雁さんは 何食わぬ顔で
出勤してきた。

私は
あからさまに「嫌」な態度を示した。

昼休み。
私の携帯に、
雁さんからの着信が
バンバンと入った。


私が
あからさまに避けるからだろう。

それと
早く金を返して欲しいんだと思う(笑)



雁さんは
「パケ放題」に入っておらず
携帯で
メールもネットもやらない。

パケ放題に入ると
メールやネット使い放題になる分、
基本料が上がるから。

職場のパソコンは
顧客の個人情報が詰まっており
情報漏洩防止のため、
業務の時間以外は
使えないように徹底管理されている。

だから、調べものは
他人の携帯を使う。
勿論、私の携帯も利用された。

それだけ
「ドケチ」なのである。



昼休みは勿論、
土井さんと 藤崎さんとで
過ごした。

3人で、
雁さんからの着信の
しつこさに怯えた。


「マジ気持ち悪い…」
「うわっ…しつこいんだけど」


土井さんと
藤崎さんに

雁さんの話を
みんなに広めるよう
頼んだ。


「雁さんに誘われても
絶対に乗らないで」
「オカズにされるよ(笑)」




昼休みが終わると
雁さんが近づいてきた。

上司が周知を喋っていて
みんな黙って聞いてるのに、


「ライカさん、ごめん!」

「タクシーのことは
ライカさんのことが
本当に心配で…」

「俺のこと、嫌いになっちゃった?」

「あ、ところで、お金なんだけど…」




一方的に 小声でペラペラと。

私は無言で
半分の4000円を差し出した。



No.383


雁さん
「あ~~~良かった。」
「これが無かったら
今月ピンチだったよ」



たかだか4000円で
「ピンチ脱出」ですか?

そんな金欠なのに
よくもまぁあんなに
遠慮無く 食いもん頼んだよな💢

しかも
「タクシー代貸す」
「返すのはいつでもいい」
とか言ってたよね…。




私は つくづく
(タクシー代借りずに
始発まで待って良かった)
と思った。



上司は続けて
ずっと周知を喋っている。

その間ずっと 雁さんは
ペラペラペラペラと
気持ち悪い“囁き”を繰り返した。



雁さん
「俺のこと、嫌いになっちゃったの?」

ライカ
「もういいですから。」

雁さん
「ねぇ…嫌いになっちゃったの?」

ライカ
「もう、いいですから。」

雁さん
「なら、
俺の顔見て言ってよ~~…」

ライカ
『も う い い で す か ら !!』





“俺の顔見て言ってよ~~…”




最っっっ高~~~に

気持ち悪かった。

鳥肌が立った。

殺意が湧いた。




私は
雁さんの顔は
見てやらなかった。


でも、
思いっ切り 目をカッぴらき
雁さんが居る方向を睨み付け


嫌悪感を丸出しにし
拒否してやった。




雁さん
「ああ…っそう!」
「俺のこと嫌いになったんだね!」

ライカ
「もういいですから!!」
「うるさい!!」


※↑私も小声です



雁さん
「分かったよ!」
「ならもう一切構わないから!!」




(是が非でも、そうしてくれ!!)



心の中で叫んだ。




周知が終わって
業務が始まると、

私は真っ先に
周知を喋っていた
上司の元に駆け寄った。



この上司の名前は
服部さんと言う。
チーフリーダー。

服部さんも、関西出身。

言葉は標準語でも
イントネーションが関西で
熱く語ると関西弁になる。



No.384

ライカ
「服部さん。すみません…」


服部さん
「…はい、何でしょう!?」


ライカ
「どうしても、
お話したいことがあるのですが。」
「いつでもいいので、
お時間を頂けますか?」


服部さん
「…えぇ!?」
「ライカさん………」


「…分かりました!」
「あと15分くらいしたら
呼びに行くから。」
「ちょっと待ってて。」
「下の階で話そう。」


ライカ
「わ、わざわざ別室で?」
「…ありがとうございます!」



服部さんは
私からの「話がある」の振りに
大層 驚いていた感じだった。


それを見ていた土居さんが

「あの~…」
「私も便乗してもいいでしょうか…」
「今のって、雁さんのことですよね…」
「私からも、言いたいことが……」



土居さんは
申し訳無さそうに言ったが
私は「勿論!是非!」と。

服部さんには
「土居さんからも話が」
と断りを入れ、
それもOKを貰った。



15分後
服部さんが私のデスクに来て

「行きましょう!」と一言。


私は土居さんも呼んで
3人で 下の階の会議室へ移動。


服部さんは
階段を下りながら

「一体、何の話やろ…」
「ドキドキするわ~~」
「ライカさんからこう言うのって
珍しいよなぁ……」


と 緊張?している感じだった。


会議室は
5~6人用の
狭い会議室で

「トップ」の人達 少数だけで
集まる時に使っている部屋だった。



服部さん
「ら、ライカさん……
話と言うのは??」


ライカ
「実は……
雁さんのことなのですが。」


服部さん
「ああ、雁さんと
ライカさんって、仲えぇよなぁ?」
「何かあったの??」



私は“仲えぇ”に
かなり渋い顔をし、
手を横に振って見せた。


服部さん
「えぇ?違うの??」
「お互いに、アドバイスとか
し合ってたんじゃないの?」



No.385

私は服部さんに、
遭ったことを全て話した。

私と一緒に、土居さんも。

私も土居さんも
似たような被害に遭っていて
凄く迷惑していると…。


ライカ
「雁さんは、
私をオカズにオ○ニーしていると…」
「そうハッキリと言いましたよ」
「職場のトイレで抜いてると」

服部さん
「………」
「そうか…」
「あの人、トイレ行くと
長いんは、そのせいだったり
すんだろか…」


土居さん
「雁さん、トイレ長いですよね~!」
「最低でも10分は
帰ってきませんよ!」


ライカ
「長い時は、
15分は帰ってきません。」


一同
「……」
「……」
「……」



服部さんは
頭を抱えた。

難しい問題だと。
デリケートな問題だと。


服部さん
「それ、酒の席での
話ちゃうの??」


ライカ
「酒が入ったら、
何を言っても許されるんですか!?」


服部さん
「そりゃ~……
そうやけど……」
「あぁ……(悩)」




まず、証拠が無いと。

“やった”と言う
明確な証拠が無いと
解決は難しいと服部さんは言う。


証拠も何も、
雁さん本人から
「オ○ニーした」と
言ってのけたんだが。



ライカ
「服部さんは、まさか」
「“私”がそんな目に
遭うはずが無いと
思っていませんか?」


服部さん
「え!?」
「いやいやいや…」


ライカ
「私みたいな、
化粧っけの無い“デブ女”を
狙う男なんて居ないと。」





書いていなかったが
風俗を辞めてから

私はみるみるうちに
肥えていった。

この頃の体重は
75キロもあったのだ。

コウスケさんとの同棲で、
コウスケさんと
同じ量のご飯を食べるようになり
激しく リバウンドしてしまっていた。


コウスケさんは
私が太ったことに
一切 気付いていなかった。


No.386

ライカ
「私は、自分を弁えてるつもりですよ」
「まさか、こんな私を
狙う男が居るなんて…。」

「でも、雁さん言ってました。」
「“ふくよかな女性が好み”
なんだと」



私は、風俗で
「デブ女」を散々見下げてきた。

だから、今の自分が
いかに醜いのか
もの凄く自覚していた。

私を狙う男なんて居ない。

油断し放題だったし、
油断してたって
何の差し支えも無い。

だから
雁さんの「飲み」の誘いに
ホイホイと乗った。


間違っても
私みたいなピザ女とは
“絶対に無い”。

いくら女好きの雁さんでも
私に対しては、絶対に無いと。


だから
雁さんとの一件の直後、
ナンパされたのも
有り得ないことだった。

あの兄ちゃん、○○だな…
と思った理由は ここにある。




でも、
そーでもなかった。

世の中、
「デブ専」って
本当に居るんだなぁ…と
身を持って知った。




ライカ
「私みたいなゴミ女でも
狙うんですよ。あの男は。」


服部さん
「いやいやいやいや!」
「んなこたないんやけど…」
(↑社交辞令)


ライカ
「取り敢えず、
被害が広まらないように
工夫してくださいね。」
「架電中、ホントうるさいです、あの人」


土居さん
「凄く話し掛けてきますよね…」
「頼んでも居ないのに
“教えようかぁ?”とか
一方的にベラベラベラベラ」


服部さん
「わかったわ。
取り敢えず、座る席は気を付ける」
「雁さんを
男で囲むようにするわ」
「他のリーダーにも
雁さんを注意深く見とくよう
伝えとく…」




この時は
ここで話は終わった。

次の日から 雁さんは
四方八方
男に囲まれる席となった。


取り敢えず
安心はしたが………



No.387

私は、落胆した。

雁さんは、周囲の席を
男性で囲うだけに留まった。

しかも
時間が経つにつれ、
ソレも緩くなってゆき…

雁さんの周囲には
若い人~オバ様年齢まで
普通に座るようになっていた。




でも

コレが良くなかった。


私ほどでないにしろ、
雁さんからの被害が
広がってしまったのである。




女性のリーダーが
業務中…

「ちょっと、お話があります」
「…いいですか?」

と耳打ちしてきた。
私はそれに従って
また下の階の会議室へ。

それには
土居さんも同行した。


土居さん
「雁さんの話なんじゃ…」

ライカ
「…。そうかもね…」



会議室に入ると
男性の同僚まで居た。

私達は、ちょっと驚いた。





女性リーダー
「雁さんについてなんですが」

土居さん
「ああ、やっぱり…」


ライカ
「被害、拡大したのでは?」


女性リーダー
「…ええ。」
「実は、若い女性から
苦情が多発していまして。」

【大学どこ?年齢は?など
質問責めに遭う】
【しつこく飲みに誘われる】
【業務中、頻繁に話し掛けられ
仕事に集中出来ない】
【体臭が酷くて具合が悪くなる】
【昼休み中、お酒を飲んでいるかも】

「…などなどですね。」
「多数寄せられています。」


ライカ
「お、お酒ですか!?」



昼休み中に
休憩室の冷蔵庫から
ワンカップの瓶を取り出し
チビチビ飲んでいるらしい

…とのこと。



男性陣からは

「確かに、
あの人しょっちゅう酒臭い」
「二日酔いかと思ったけど
違うのか??」
「ワンカップの瓶は
俺も見たことあるわ」

との声。




…開いた口が
塞がらなかった。


No.388

リーダーの女性からは

「雁さんの件に関して
少しでも何かあったら
即座に知らせてください」

「皆さんが気持ち良く働けるよう
良い環境作りをするのも
我々の仕事なんです」

…と言われた。


その会議?が終わり、
ゾロゾロと退室する時に

同僚の壮年男性の1人から
コソッと言われた。



「ライカさんの言っていた
雁さんのこと。」

「いくらなんでも、
それは無い、言い過ぎ…
って、思ってたんだけど
今の会議で“確信”に変わったよ」

「他の女の子からも
苦情が出ていたなんてね。」

「疑っちゃっててゴメンね。」




これを聞いて
私も“確信”した。



やっぱり、

【あんなデブ女にセクハラなんて
チャンチャラおかしいわ】

【デブサイクの被害妄想だ】


…そう 思われていたんだと。


私がもっと

若くて
痩せていて
可愛かったら、

とっくの昔に雁さんは
“クビ”になっていただろうと。

たかが「派遣社員」なのに
何故さっさとクビにしないのか。
疑問ではあったけど…


やっぱり
そういう理由だったのかと。



私は、自分を
“糞デブサイク”だと
きちんと自覚していた。

でも、悔しかった。


あんなメチャクチャなことを
散々言われ
脚まで触られ
嫌な思いをしたのに


何故
「やられっぱなし」のままで
居なきゃいけないのか。

何故
脳が煮えくり返ったクソ野郎が
まだ堂々と働いているのか。




私は

徹底的に

コテンパンにしてやろうと

色々 考えるようになった。



雁さんも
服部さんも

徹底的に
痛めつけてやろうと…。







そんな日々を送る最中、



私は 妊娠した。

コウスケさんとの子を。


No.389

生理が遅れていた。

私は
ダイエットや過食を繰り返し、
メチャクチャな食生活のわりには

生理だけは
キッチリ28日周期で来ていて
ズレても1日だった。


それが
一週間もズレている。

体調は、いたって普通だ。


ただ、
下腹部が チクチクと
痛むような感覚があった。



(早合点はダメだよね)

(10日ズレたら
検査薬を使おう)



妊娠検査薬は
一週間を過ぎてからなら
使えるが、

より正確な結果を知りたくて、
10日後に使おうと決めていた。




そして、10日後…


使用すると
バッチリ【陽性】であった。




私は 困惑した。


(父親が、何て言うだろうか?)

(また、メチャクチャな
説教をするんだろうな)

(怒鳴り散らしたりも
するんだろうな………)

(怒鳴り散らして
殴ったりもするかもね)



大好きな人との、妊娠。

正直、
嬉しい気持ちは
全く 無かった。



父親からの【恐怖】しか
頭には無かったのである。



コウスケさんに
「妊娠したかも」
「陽性だった」

と告げる。


私たちは
ずっと前に 婚約していて

「妊娠したら、
その時は結婚しようね」

と話していた。





コウスケさんは
こう言った。


「そうか~」
「妊娠したのか~」

「子供はまだ
早いかもしれないね」

「堕ろした方が
いいのかもしれない。」






頭をハンマーで
殴られたような

そんな衝撃が走った。


目の前が
真っ暗になって


その場に
へたり込んでしまった。


No.390

ライカ
「そ、そう……」

「コウスケさんは
そう、思うんだ……」


コウスケさん
「俺は、ライカ次第だよ」
「ライカが産みたいんだったら
そうすればいいだろうし」

「ただ、俺は
もう少し、2人の時間が
欲しいかな…って。」
「子供が産まれたら、
自分の時間なんて
全く無くなってしまうからね」




ライカが産みたいんだったら
そうすればいい


………???




なに コレ。

なに? この
【他人事】のようなセリフ。





ライカ
「“2人”の子なのに」
「なに、それ………」





私は メチャクチャに泣いた。

コウスケさんは
ただ黙って 私を宥めていた。





大好きな人との子を
妊娠したのに…


なんだ コレ。

全然嬉しくない。

むしろ
悲しい気持ちでいっぱい。



一度、堕胎していることは
コウスケさんには
もう 話してあった。


また 私に
堕胎しろと言うのか。

「人殺し」になれと。





産むか、堕胎するか、

答えが出ないまま



普通に働き続けた。



日々 悶々としていた。

お腹の子は
待っていてはくれない。

どんどん
大きくなっていく…



早々に
答えを出さなくては
ならなかった。


No.391

心の中は グチャグチャだった。

妊娠したことは、
この時点では
職場の人間には
告げていなかった。


…堕胎の可能性があるから。




私は
誰にもぶつけられない
内に秘めた感情を爆発させては

しょっちゅう
「行方不明」になった。


コウスケさんには
何も告げず、

暗い道を とぼとぼと
独りで歩いた。


冬の、寒い時期で
夜だから
気温は氷点下。


「このまま凍死すればいい」
「誰か、私を殺してくれないかな」



そんなふうに思いながら
あてもなく
テキトーに フラフラと歩く。

お金も 携帯も持たずに。



凍死を目論んで、
夜の公園で
一夜を明かしたこともあった。


でも
中途半端な寒さで
凍死には至らず。
眠ることも出来ず。

結局、
「寒い公園で徹夜しただけ」
と言う。


朝焼けの中、
フラフラと歩き
家に戻ると

コウスケさんは
必ず居なかった。



「家に戻ったら、
必ずおれの携帯に
連絡してね!」

そう、書き置きを残して
車で私を
探し回っていた。



書き置きには
絶対に 従わなかった。

着替えて、
一通りの荷物を持って、

何食わぬ顔をして
そのまま出勤し、

憎たらしい
雁さんを横目に

同僚と
和気藹々と仕事をした。



仕事から戻ると、
コウスケさんも居ない。

私を探した足で
そのまま出勤していた。



そして私は また
夜の道を とぼとぼと…。



時々だが
コウスケさんに
見つかることもあった。


No.392

「もう、“独り”の体じゃないんだよ?」
「いい加減にしてよ…!」
「もう、やめよう?」



私を偶然
見つけられた時、

コウスケさんは
こう言った。



ライカ
「ふざけんな!!」
「堕ろせっつったのは
どこのどいつだ!!」


コウスケさん
「ライカに覚悟があるなら
産もうよ…」
「俺は、ライカ次第なんだ」


ライカ
「何よソレ!!」
「まるで他人事じゃないの!!」
「“2人の子”なのにさ…!!」


私は、コウスケさんを
ムリヤリ振り解いて

暗闇の中、
家と家の間の
細い通り道(隙間)を
走って逃げた。



すっかりデブっていて
鈍臭い足取りだけど、

家と家の間に入ってしまうと
あまり目が良くなく、
(色盲に近い色弱です)
体格の良いコウスケさんには
不利のようで、


大抵は、逃げた私を
見失っていた。




そんなこんなで

コウスケさんとは
顔を合わせない日々が続き…


お腹の赤ちゃんは
妊娠10週を迎えた。


妊娠12週になると
堕胎の金額が上がり、

胎児を掻き出す手術から

人工的に陣痛を起こさせ
胎児を外に出す
「産みおろし」と言う
やり方に変わってしまう。



「産みおろし」での堕胎は
正直 怖かった。


前回の堕胎は、
妊娠11週目ギリギリで

静脈麻酔を使い
全く痛みを感じずに
堕胎したから。


それに
堕胎費用も

10万 → 15万に
跳ね上がる。


貧乏だった私にとって
5万でも
かなり痛い出費だった。




赤ちゃんは
待ってはくれない。

時は 刻々と過ぎていった。


No.393

嬉しくはないんだろうか。

“ライカ次第”だなんて
コウスケさんの意志や考えは
まるで無いような言い方。


不安なら
「不安」だと

子供が要らないなら
「俺は欲しくない」と

懐妊が嬉しいなら
「産んで欲しい」と



ハッキリと

言って欲しかった。



でも
私がどんなに
苦痛を訴えても

コウスケさんは

「ライカ次第」としか
言わなかった。





ライカ
「お腹の“爆弾”…
どーすんの?」
「待っちゃくれないよ」
「堕胎費用、
あと10日もすれば
値上がりすんだけど」



…もう、
投げ遣りだった。



コウスケさん
「だから、産もうよ。」
「ライカの中で、
答えはもう出てるじゃないか」


ライカ
「コウスケさんが
嬉しくないなら…堕ろすから」

「“2人の子”なのに。
まるで他人事だよね…」

「そんなんで産んでも
子供が可哀想なだけだから」


コウスケさん
「嬉しいよ。」
「嬉しいに決まってるじゃないか」

「でも、子育てって
凄く大変だから。」
「自分の時間やペースなんて
無くなってしまうんだよ…」

「だから俺は、もう少し
ライカと2人の時間が
あってもいいのかな…と思って
堕ろした方がいいと…」




私は
“答え”を出すために

コウスケさんの話を
ジックリ聞いてみることにした。


「堕ろした方がいい」
のショックで

妊娠がわかってからと
言うものの

気持ちは 常に荒れていて
落ち着くことがなく、

殆ど、寝ていなかったし
ご飯もあまり
食べていなかった。


「平然」を装うため、
職場での昼食のみを
ムリヤリ飲み込んでいた。




ご飯の味なんて

しなかった。


No.394

前にも書いたが、
コウスケさんは
「バツイチ」だ。


前妻は19歳。
コウスケさんは22歳。


年齢的に
「早い結婚」だったかも
しれない。


交際期間一年を経て結婚。

結婚する時は
お互いに「覚悟」を誓い
結婚したと言う。


式は挙げず
入籍だけ済ませた。


そして
ハネムーンベイビー。

前妻は妊娠中、
45キロも肥える。


産院から怒られたが
「お構い無し」だった。


コウスケさんと一緒に食べる
夕飯はかなりの少量なのに
どんどん肥えていったという。


コウスケさんが
仕事で居ない間、
かなりの量の間食を
していたのだと思われる。


結婚から10ヶ月半後
無事に女児を授かる。


子供が産まれてから、
前妻はすっかり
変わってしまった。


「うるさい」
「喋るな」
「触るな」


悉く、コウスケさんを
怪訝に扱うようになった。


「子育ては大変なんだ」
「イライラする」
「アンタはいいよね、
働いてられるんだもの」


コウスケさんは
それらに対し、

「子供を保育園なりに預けて
パートでもやればいいんだよ」

と言い返した。でも…


「一番近い保育園でも
結構遠い」
「私には車が無いんだ」
「保育園もパートも無理」

他にもアレコレ
変な言い訳ばっかりして、
一切 働こうとはしなかった。



「気分転換したい」
「働きたい」

と口うるさく言う割に、
言い訳ばかりして
全く動こうとしない。

コウスケさんは
理解に苦しんだ。


No.395

そのうち、
夕飯すらも 一緒に食べなくなり

コウスケさんが帰宅すると
冷めたご飯が 置いてある…

だけならまだマシで、
ご飯が無い時も よくあったらしい。



前妻は、結婚前の貯金で
パソコンを購入していた。

最初は、
調べ物や 通販くらいしか
使う機会が無かったのに


前妻は
「チャット」に
のめり込むようになってゆく。


前妻がチャットにハマってから
ますます家庭内は
酷いものになっていった。


前妻は、
自室に閉じこもり
出て来なくなった。


安いアパート住まいだったが
部屋は2LDKで、
コウスケさんの部屋と
前妻の部屋で
分けて使っていた。



チャットはそのうち、
タイピングから
「ボイスチャット」に変わり、

前妻の自室からは
チャットで
ゲラゲラと笑う前妻の声と、

時々、子供に当たり散らす声が
聞こえてくるようになった。


「うるさい!」
「あっち行け!!」


その声が聞こえると
前妻の自室から
我が子を非難させ、

コウスケさんが
ミルクを与えたり
オシメを替えたり
泣くのをあやしたり
遊んだりしていた。



コウスケさんが帰宅すると
前妻は必ず
自室に籠もっていて
出て来ないため、

前妻との会話は
一切、無くなっていた。




そんな毎日が続き…

ある日、食卓テーブルの上に

コウスケさんが
「メモ」を見つける。



そこには、

見ず知らずの
男性の名前と 住所が

前妻の文字で
書かれていた。


No.396

(体調崩してしまい
かなりあきましたが続き)


コウスケさんは
勿論問い詰めた。

「これ、誰だよ。」
「浮気してるだろ?」
「怒らないから
正直に答えてくれ。」


でも 前妻は
頑なに「浮気してない」と
真実を話すことを拒否した。



そんな日々が数ヶ月続き…

前妻が
いよいよ行動に移し始めた。


遠く離れたA市での
勤め先を決めていた。

求人をプリントアウトしたものが
パソコンデスクに
適当に置いてあったらしい。


ボイスチャットで知り合った男は
A市に住んでいるようだ。

コウスケさんが見つけた
「メモ」にあった住所は
A市であったから。





そして…

とある日



コウスケさんが帰ると
リビングのテーブルの上には

記入済みの離婚届が
置いてあった。


前妻は
「A市に引っ越すから。」
「彼のところへ行く。」
「子供は、絶対に渡さないから…」

と 言い出した。



コウスケさんは
ボイスチャットにはまる
前妻を見ながら

「お前に子育てが勤まるのか?」
「子供を蔑ろにして
毎日毎日パソコンに向かって
ゲラゲラゲラゲラと…」

「なのに、子供は絶対に渡さないって?」
「ふざけるのもいい加減にしろ!」


コウスケさんは
この時だけ
声を張り上げて
怒鳴ったと言う。


でも前妻は


ボイスチャットにハマったのは
アンタのせい。

アンタがちゃんとしてれば
ボイスチャットなんかに
逃げなかった。

アンタのせいで
毎日がストレスだった。



…こう
言ってのけたらしい。



No.397

「何としてでも親権を」


…そう思い、
弁護士の元に足を運んだ。

ここら辺のことは
詳しくは聞いていないが



「完全に、奥さんが悪い」
「100%奥さんが悪いです」

「だから、奥さんから
“全て”を奪うことは可能です」
「お金も、お子さんもね」


「あなたに、
奥さんの何もかもを
奪い去ることは出来ますか?」

【そこまでヤれますか?】




このように
弁護士に言われたらしい。



コウスケさんは
前妻を愛していた。

ブクブクに太っても
冷たくあしらわれても
浮気されても


それでもコウスケさんは
前妻を愛していたと…




だから
「そこまで鬼になれなかった」
と、コウスケさんは言っていた。



それに
コウスケさんの
職場の同僚や上司からは


「最近、顔付きがオカシイ」
「誰かを殺しそうな顔してる」
「怖いですよ」

と、指摘されていた。
社長からは

「もう、あんな女に関わるな!」
「時間の無駄だぞ!」
「それに、これ以上関わると
お前が“間違い”を起こしそうで…

正直、怖い。」



こう言われ、
「ハッ」としたと言う。



「前妻も子供も殺して
俺も死のうと
本気で考えていた」



この頃のコウスケさんは
かなり気持ちが荒んでいたと…。

それは
無理もない話だった。




コウスケさんは

心身共に 疲れてしまったようで

“戦うこと”を
やめてしまった。



「子供には“母親”が一番」
「子供が混乱してはいけないから
俺は二度と、子供に会うべきではない」
「再婚した相手が
“本当の父親”であればいい」



コウスケさんは
そう思うようになり

親権も アッサリ諦めたと言う。



「嫁が浮気しようが、何だろうが
親権に関しては
“男”の方が圧倒的に不利なんだ」

「子供と接する時間が
長い方が“勝ち”になるのさ」

「子供は“母親”が育てるもの…
この考え、日本は根強いしね」


No.398

「俺にも
悪いところはあったと思う」

「仕事、忙しくて
帰りも遅かったし…
繁忙期に入ると
帰りは午前様になるしね」

「前の俺は
性格も丸くなかったし」




気が短く、
言葉使いも 乱暴だったらしい。

(ちなみに
前妻も“ヤンキー言葉”を
使う人だったようで
旦那の母親からは
大層嫌われていた…)



確かに、コウスケさんは
とても不器用な人だ。


生まれ育った環境か
生まれ付きなのか

「喜怒哀楽」の表現が
とても下手なのだ。


特に分からないのが「喜」で、

本当に嬉しいのか
イマイチ伝わってこない。


だから
私の妊娠が分かったときも
全然嬉しい素振りが無いように感じ、

私は 尚更落ち込んだ。



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