それは突然…
空想を膨らませて、おもいつくままに書いてみます…
しかも気まぐれで…
すぐに閉鎖する鴨しるないけれど…
だから…目を通しても…無駄になるかもしれないよ。
がははっ!
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『魚が上手に食べられないの?じゃあ…お皿の上は骨と身でごちゃごちゃ状態? 』
『その通りっ!!唯一俺がきれいに食べることが出来るのはシシャモだけ…しかも頭から丸ごと食べるんだけど…』
『あははっ…シシャモじゃあ誰が食べても残すものは何も無いじゃない。』と言うので
『そうだ!ホッケならきれいに食べることが出来るよっ。きれいに骨だけ残してねっ。』と言うと
『真一ったらまるで子供みたい…ムキになって…』と…亜矢は笑った。
『俺は今…亜矢とこうしてたわいもない会話をして2人で笑っている時が一番リラックス出来るんだ。弱い自分も格好悪くて情けない自分も全てさらけ出すことが出来、本当の自分でいられる…それは俺にとっては初めての経験で、特に俺が好きな人、愛する人の前で自然にいられるのは…亜矢…君がいつも自然体でいてくれるからなんだよ。本当にありがとう。』
そう言うと亜矢は
『それは私も同じだよ。以前…真一が私のこと全部が好きだよって…全てをさらけ出して欲しいって言ってくれたでしょ?私…それまでは真一に気に入られるようにいつも綺麗にしていなきゃ…とか、可愛い女でいなきゃ…なんて肩に力が入ってしまっていたんだけど、あの言葉を聞いて…そして実際に真一と沢山話をして、本当に真一の前でなら私の全てをさらけ出せると感じたから…だから私も自然体でいられるの。』
と…亜矢も言ってくれた。
『初めて会ったマスターの店のカウンターで《名前は真一…どこにでもいる極普通の男です。》と特別自分のことをアピールすることも無く真一は淡々と自己紹介してくれたでしょ? 私…そんな真一がものすごく新鮮に見えたの。今までの私の周りに近づいて来る男の人と全然違うから…目がギラギラしている訳でもなく、ただ上辺だけの優しさを取り繕うような軽さが始めから真一には感じられなかったし…ねっ。それと…びっくりするかもしれないけど…私…男の人は…真一が初めてなんだ…。
キスは何度かしたことがあるけど…それ以上はすごく怖くて…周りの子は皆…次々に経験していき…当然私も経験者だと勝手に思われてしまい…。』と言った。
私は正直驚いてしまい…
『えっ…今まで何人もの男性から付き合って欲しいと…告白とかされたのでは?』と聞き返すと…
『たしかに告白されたことは数回あるけど…いつも無理して格好付けている男の人や、女なんて高価なプレゼントを渡して少し強引に誘えば付いてくると思っている人ばかりで、私のことを全て愛してくれていると感じられる人は1人もいなかったから…だから…真一と話をしているうちに全く飾らない真一のことを好きになってしまったの…。初めて1つになった夜も…本当は恐くて恐くて…泣き出してしまいそうだったんだけど、真一は真っ直ぐに私の全てを見てくれて、優しく愛してくれたから、気付いた時には恐怖心はどこかに消え去ってしまい、ただ安心して躰を任せることが出来たの…。
こんなにも素敵な気持ちにさせてくれて…本当に嬉しかったし、幸せを感じることが出来たから…私もお返しに真一を気持ち良くさせてあげたいと…思って…私のちょっとエッチ小説から集めた知識をフル活用したのよ…でも…ぎこちなかったでしょ?私…』と亜矢は頬を染めて私に言った。
『そうなんだ…俺は初めから亜矢に好かれるなんて思ってなかったんだよ。こんなに可愛くて綺麗な亜矢が俺のことを気に入ってくれる筈もないと思い込んでいたから…だから淡々と自己紹介もしたと思うし、その場を楽しく会話が出来ればそれだけでも嬉しかったんだ。』
『でも…不思議ね…。今はこうして真一と同じことを思い、同じように感じている自分が…自然体でいられることも、こうして恥ずかしいと思うことも言葉にして伝えてる…。乙女チックなど物語を信じていて本当に良かった…』
私は亜矢がとてつもなく愛おしく思えた。
亜矢と話していると時の流れを忘れてしまう…
壁に掛かったアンティーク調の大きな掛け時計はもつすぐ10:00になろうとしている…
『そろそろ帰ろうか…』と亜矢に言うと
『本当だ…もうこんな時間になってる。』と亜矢も驚いている。
2人で席を立ち、歩き始めるとシェフの榊原さんが小走りに出てきて…
『気に入ってもらえたのならいつでもまたお二人でいらして下さい。今夜は有難う御座いました。』と言うので
『ご馳走さまでした。本当に美味しかったです。またぜひお邪魔します。』と言って…
店の階段を登っていった。
街は少し北風が強くなり、空には綺麗なオリオン座が輝いていた。
明日の朝は寒くなりそうだ…そんなことを考えながら亜矢の肩を抱き寄せて駅への道を二人で歩いた。
亜矢は急に立ち止まり私に『目を閉じて…』と言い、私が目を静かに閉じると…
私の体に腕を回してキスをしてきた。
そのキスは亜矢と初めてキスした時と同じ甘い味がした。
亜矢は赤いヒールを履いたその両足のかかとを上げて私と唇を重ねてきた。
『私…真一に出逢うことが出来て本当に良かった。真一に包まれていると思うと何も怖くない…。』
そう言う亜矢の細い躰を私は無言できつく抱きしめた。
亜矢の柔らかな髪が風に吹かれて舞い踊り私の頬を撫でる…ほんのりと甘い香りがした…。いつもの亜矢の香りだった。
さっきまで頭上で輝いていたオリオン座の星達はは北から南へと流れる雲に隠れてしまった。
師走の夜の街はどこか寂しく、行き交う人の多くはうつむきがちに足を早めて駅への道を急いでいる。
その冷えて疲れた体を温めてくれる家族の待つ家へと向かい…。
私達も人の流れに飲まれるように2人寄り添いながら家路を急いだ。
部屋に帰りヒーターのスイッチを入れて私達はコートを脱ぎ、ソファーに座った。まだほんのりとアルコールの残る顔で亜矢は私をジッと見つめている…。
横に座る亜矢を抱き寄せて私の太腿の上に寝かせ、その頬から耳にかけて優しく撫で上げると…
『ちょっとくすぐったいけど気持ちいい…』と亜矢は笑う。
亜矢のブラウスのボタンを1つずつゆっくりと外しながらその膨らみを優しく揉む…亜矢は横たわったまま少し腰を上げてスカートのホックを外しジッパーを下げてチャコールグレーのスカートを自分で脱いだ。
『まだ少し寒いね…』と体を丸めている。
私はソファーの隅に綺麗に丸められいる膝掛け用のブランケットを亜矢の躰にそっと掛けてバスダブにお湯を入れに行った。
シャワーを使ってお湯を溜めると、入る時に浴室全体が温まるからいいよって以前亜矢に言われていたので少し温度を高めに設定してシャワーを勢いよく出した。
リビングへ戻ると…亜矢は疲れていたらしく子供みたいな優しい寝顔で静かに寝息を立てている…。
お湯が溜まるまでの間、私はCDプレイヤーのスイッチをONにしてボリュームを調節した。
ロン・カーターの奏でるウッドベースのJAZZYで優しいサウンドが部屋の中に静かに響き渡り、私は冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを片手に亜矢の隣に腰を下ろしてその優しい寝顔をずっと見ていた。
今日1日の慌ただしかった出来事が思い出された。
本契約を目前にした今頃になって、相手先からのディスカウント目的の揺さぶりに役員一同が動揺する中で…私達が揺るぎない信念を維持したまま、あくまでも強気な姿勢を取り続けることが出来たのも…今、ここで静かに寝息を立てて寝ている亜矢のおかげだった。
見た目には可憐でか弱い女性のように見える亜矢の風貌からは想像が出来ない程の、先を冷静に読む力と、それに裏付けられた自信…。
私は人生を突き進む上でかけがえの無い女性とこうして出会い、これからも共に歩んで行ける…そう思えることさえもがとても幸せだった。
ピーピーっと電子音が鳴りお風呂に湯が溜まったことを知らせた。
私は亜矢の肩を静かに揺すり
『お風呂に湯が溜まったから顔だけでも洗ってきなよ…』と起こすと
『いけない…眠ってしまったみたい…』と…目をキョロキョロさせている。
『真一はどうする?お風呂に入る?』と聞くので
『俺は入るよ。亜矢は疲れているみたいだから顔だけ洗ってもう休めばいいよ。』というと…
『じゃあ私も真一と一緒に入ろっと!私先に入ってるね。すでにスカートも脱いでるし…』と微笑みながら起き上がると浴室へ行った。
雨は夜更け過ぎに~♪雪へと変わるだろう~♪Silen tnight~Holly night~♪ルルル~♪と浴室からシャワーの流れ落ちる音と共に亜矢の口ずさむ歌が聞こえてくる。
私はよく冷えたミネラルウォーターを2本持って亜矢の待っている浴室へと向かった。
裸になり浴室に入るとモヤモヤとした白い湯気とレモンの良い香りが浴室全体に充満している。
『良い匂いだね…入浴剤入れたの?』と聞くと
『ピンポーン!好きな匂いに包まれていると疲れが取れるらしいんだ。真一のコロン…たまに柑橘系のを付けるでしょ?私…あのレモンのような香りが大好きだから…』と言いながらバスダブの中で体を横たえている。
『俺…2種類のコロンをその日の気分で適当に使い分けているんだけど、もう一方のブルガリの方は亜矢はどう思う?俺は少し甘い香りなので、付けすぎると頭が痛くなりそうだからほんの少ししか付けないんだけど…』と聞くと
『私…あの香りも好きだよ。女性なら誰でも好きな香りの1つじゃないかな。香水って…付けた直後と時間が経過してからとでは香りが変わるんだよ。だからお風呂上がりに付けると次の日はほのかな落ち着いた香りになるの…。だから頭が痛くなるようなキツい匂いはきっと多めに付けすぎたのか、付けた直後の匂いだと思う。エレベーターでそんな人と出くわしたら…私も真一みたいに頭が痛くなるからねっ。』と笑う…
『亜矢がいつも付けている香水は何てやつなの?俺はあの香りが大好きなんだけど…』と聞くと
『私は香水は付けてないよ。きっと私の元々の体臭じゃないかな…ほのかなローズ系の香りでしょ?』とイタズラっぽく言う。
『冗談です。あれは香水じゃなくてボディクリームの香りなの…。ボディクリームなら付けすぎて失敗する事もないし、色々試してみたけどあれが一番使いやすいからねっ。』と言った。
『俺に隠れてバラの花をパクパクと食べているのかと思ったよ!』とツッコミを入れると…
間髪入れずに『なんでやねん!』と亜矢が返す。
2人でしばし大きな声で笑った。
『真一…ごめんね。お風呂のお湯くらい私が溜めないといけないのに眠ってしまって…』と亜矢が急に言うので
『そんなこと気にするなよ。亜矢だって疲れが溜まっているんだし、別に俺は蛇口を捻るだけだから…何とも思ってないよ』と言うと…
亜矢は『今夜も…私が…体…洗ってあげようか?』と舌先をペロッと出してはにかみながら言った。
『えっ…いいの?じゃあ…丁寧に優しく…そして激しくお願いします。』と笑いながら言い私は椅子に腰を下ろした。
亜矢は両手にボディソープをたっぷりつけて私の両腕から洗ってくれる。時々パンと張った筋肉を揉みほぐすようにマッサージしながら…。『ここ気持ちいいでしょ?疲れている時は初めは痛いけど、だんだんと気持ち良くなってくるんだよ。』と言いながら私ね首から肩…そして背中と…順に洗ってくれる。
私の正面に亜矢が立て膝で座り首から胸に手が移動してきた時…私は両手を伸ばして亜矢の形の良い乳房を撫でる…。
亜矢は何も言わずに私の胸から徐々に手を下げていき…熱くなった私のぺニスにそっと手を添えて優しく敏感な先を撫でてくれる…。
私も我慢大会じゃないのに…声を抑えて亜矢の褐色の乳首を指先で転がすと…
あぁ…気持ちいい……我慢したのに私が先に声を漏らしちゃった…と言いながら…
亜矢は泡に包まれた右手でペニスを優しく扱きながら左手で私の太腿を洗ってくれた。
亜矢の手は私の全身を滑るように洗ってくれた。シャワーで泡をきれいに洗い流してくれたので、私はシャワーノズルをそのまま受け取り、亜矢をバスダブの淵に座らせた。
亜矢の正面に座りそっと亜矢の脚を開き、シャワーを敏感な蕾に当てると…ピクッと体を反応させて…
『あぁ…気持ちいぃ……真一の目の前で恥ずかしいけど…気持ちいいの…また…エッチで淫らな自分をさらけ出してしまう……』
と切ない声を漏らす…亜矢…
私はシャワーを当てたままで亜矢の少し口を開けたピンクの秘部に中指をスルッと入れて静かに指を出し入れする…
亜矢は…全身の力が抜けたように私の肩にもたれかかり…荒い呼吸を繰り返している…
人差し指も加えて2本の指でゆっくり出し入れをすると
あぁ…ん…真一の指が2本も私の中に入ってる……と言いながら俯く…
私は2本の指を亜矢の中で左右に回転させながら上下左右を刺激する。
亜矢の耳元で『俺…また亜矢が感じてお漏らしするところを見てみたい…』と言いながら亜矢の中で 2本の指を軽く曲げて先で膀胱の裏側を少し強めに刺激する。
初めはゆっくりと亜矢の反応を確かめるように静かに…
うぅぅ…そこ……ダメ…あぁ……と声を漏らす亜矢…
『お風呂だから思いっきり漏らしてもいいからね。』と言うと…
『私が…またお漏らししても真一は私のこと嫌いにならない?』
『亜矢が俺を嫌いにならない限り俺からは絶対に亜矢を嫌いにならないよ。』と答えると
『嬉しい…じゃあずっとこうして一緒にいられるのね…真一とずっと愛し合ってもいいのね…』と言いながら唇を噛み締めてお漏らししないように我慢しているのがわかる。
私は指先の刺激するスピードを少しずつ早めていく…
『あぁ…ダメ…やっぱり恥ずかしい……うぅ…漏れそう…あぁ…ぁ…ぁ…』
と言いながら最後の抵抗を試みる亜矢…
私は指の動きを最高まで早めて亜矢の秘部を刺激すると…
『ダメ…力が入らない…漏れちゃった… あぁ…全部…漏れちゃった…』
と言いながら亜矢の秘部から黄金のサラサラした液体が吹き出した。
亜矢ガクッと全身の力が抜けて私に体を預けた。
力の入らない状態の亜矢の体を抱えてバスダブに入れる…私も亜矢と向き合う姿勢で一緒に入る。
『そんなに見つめないで…恥ずかしいから…』と亜矢は言う。
私は少し放心状態に陥った時に亜矢が見せる素顔が好きだった。
普段、皆の前で見せる亜矢は清楚でありながらも本人は気付いてないかもしれないが、大人の女の色気が放たれていて、男達が入り込む隙が無く、男を萎縮させてしまうようなオーラのようなものに身を包んでいる。
特に初対面の時などは、その雰囲気に圧倒されることが多い。
しかし…その威圧的とも言える雰囲気も一言二言と会話が進み、亜矢がニコっと微笑んだ瞬間に…濃い霧がサァーッと消えて無くなり、まるで朝陽が昇るきれいで穏やかな海が姿を現すように亜矢は優しい雰囲気に変わるのだ…。
亜矢は無意識に自分の周りに壁を作ってしまっているのかもしれない…。
でも私はそんな亜矢のギャップがたまらなく好きだ。
優しくて暖かい雰囲気を身にまとう亜矢が…そしてそんな亜矢が私の前でだけ見せる妖艶な姿が…好きだ。
『亜矢…とても綺麗だよ。』と言いながら亜矢の大きな瞳につい吸い込まれてしまいそうになる…。
亜矢は『真一にそう言われると本当に嬉しい…。真一が言うとたとえ歯の浮くようなキザな言葉でも自然な表現の1つで、真一は心からそう思って言ってくれているのが分かるから…。
亜矢は私の右脚を自分の肩の上に乗せてレモン色の揺れる湯の中で私の内股を優しくなぞり…私のペニスに手を伸ばすと…
優しく…その細くて長い指を絡ませてきた。
袋の裏側からツゥーっと撫で上げたり、2つのタマタマを指先で転がしたり…
私のペニスが燃えるように熱く、硬くなると…亜矢は私の左の脚も肩に乗せて…
『滑らないように気を付けてね…』と言いながらその温かな唇でペニスにキスをしてきた。
私の腰の下に自分の膝を入れて私を支え…亜矢は強く優しく舌を絡ませながら吸い込む…
『うぅ…おぉぉ…』
足の先から脳天までまるで一気に電流が流れるように私の体を快感が突き抜けていく…
亜矢の薄くて綺麗な唇からは妖しく光る唾液が漏れている…。
亜矢は頬を凹ませて根元まで吸い込み…舌を硬くなった茎に絡ませて…先端の方まで何度も何度も顔を上下に動かし続ける…
ピクンと私の腹筋が収縮する…
『ねぇ気持ちいい?』
と…私に問いかけながら同時に両手で私の脇腹からお尻の頬を手のひらで撫でる…
細く長い亜矢の指が私の肛門の周りを優しく撫でて…思わず私が『うぅぅ…』と声を漏らすと…
『我慢しなくてもいいからね…イキそうになったら私の口の中に一杯出して…』
と言いながら亜矢は夢中になって私のペニスを吸い続けた…。
私の目の前には…今朝の役員会議の席に凛とした態度でファイルを片手に入ってきた亜矢からは想像が出来ない程に妖艶な亜矢がいる…
決して皆の前で見せることのない…淫らな姿を私の前にさらけ出している…。
私は『亜矢…もうイキそうだ…』と告げると
亜矢はより動きのスピードを上げて私からの放出を待ち望むかのように激しく顔を動かし始めた…
私は体の奥底から湧き上がってくる放出時の快感に身を委ねて…一気にドクン…ドクンと…亜矢の温かな口の中に全てを放出した…
亜矢は私のペニスと肛門の収縮が収まるまで…ずっと…私を吸い込み続けた…
亜矢はゴクンと…それを飲み込み…静かに私の腰を支えていた膝を伸ばして私に抱きついてきた…。
亜矢の大きくて形の良い胸が私の胸の上で潰れてしまうかと思う程にきつく私を抱きしめてきた。
私はその時初めて、愛する女性からきつく抱き締められることの心地よさにも似たやすらぎを感じた…。
バスタオルで体を拭き、全裸のままベッドに2人で横たわる…。
気が付けば…BGMは先程流れていたロン・カーターのウッドベースの曲から、すでにハーブ・アルパートの切ないトランペットの曲に変わっていた…。
亜矢は隣で私の方に体を向けてその脚を私に絡ませてくる…
亜矢の薄くて柔らかな股間の茂みが私の腰骨あたりを優しく撫でる…。
『欲しいのかい?』
と聞くと…少し恥ずかしそうに黙ったまま上気した顔で頷く亜矢…
私は体を起こして亜矢にキスをした…。
舌先を少し開いた唇から差し込み…亜矢の舌先と絡ませた。亜矢も私のキスに応えるように強く私の舌を吸った…
亜矢の耳を指で軽く撫でながら、耳の後ろから首筋へとキスの雨を降らす…。
亜矢の両腕を枕の方に上げて、綺麗に手入れされたその脇の下に舌を這わせると…
はぁぁ…と吐息を漏らす亜矢…
脇腹からツゥーっと舌を滑らし何度も脇の下を舐める…
うぅぅ…あぁ…
と…亜矢の躰は心地良い快感の波のはざまを漂いはじめた…。
私の舌が亜矢の躰を 舐め上げるたびに、その形の良い胸がプルンと揺れる…
豊かな乳房を支えるように優しく揉み…小さくツンと上を向く乳首を口に含み唇で挟む…。
すぐに乳首は硬くなり先端の色も薄い褐色からピンク色へと変化する…。
舌先を尖らせてその乳首を転がすようにチロチロと舐め、乳輪をなぞると…
はぁん…気持ちいぃ…と…
亜矢は切ない声を上げて躰をくねらす…
。
私は亜矢の豊かな乳房を両手で真ん中に寄せて、2つの乳首を同時に口に含み…強く吸い付いた…
そして口に含んだまま舌先をチロチロと動かし硬くなった乳首を刺激した。
亜矢は左右の乳首が同時に吸われたためか…少し大きな喘ぎ声をだした…
もう…ダメかも…
また力が入らない…
あぁ…ぁ…
イッちゃった…
亜矢はまだ始まったばかりの前戯で1度目の絶頂を迎えた…
亜矢の躰は私が思う以上にとても感度が良かった…。
そのことを亜矢自身は恥ずかしく思っているようで…
『私…真一に胸を触られただけでイッちゃうなんて…すごく恥ずかしい…。他の女の人もそうなの?』と私に聞いてくる。
私は『俺もそんなに沢山の経験がある訳ではないけど…亜矢は特に感じやすいタイプみたいだね…。でもそれは恥ずかしい事じゃないよ。むしろ…とても幸せなことなんじゃないかな…』と言うと…
『どうして?1度のセックスで何度も何度もイッてしまうような女は…淫らで遊んでいる女のように見えるでしょ?』と言うので
『亜矢がそんな女じゃないことを俺は知ってるし、俺の愛撫で感じてくれているのが分かるから俺は嬉しいよ。』と言った。
『ありがとう…じゃあ激しく感じて…何度も何度もイッちゃっても真一は私を見る目が変わらないのね? 良かった…真一も私としている時は同じ様に何度もイッてね…』と亜矢は言った。
私は手を伸ばして亜矢の脇腹を手でなぞりながら…膝の内側に舌を這わせ…少しずつ上へと移動していった。亜矢の脚を押し開き…内股から秘部の近くへと…。
もう少しで敏感な蕾に近づく…というところで反対の脚に移動して亜矢を焦らす…
はぁ…はぁ…と呼吸が荒くなっている…
また同じ様に内股をゆっくりカーブさせながら舌が這い上がり…蕾へと近づく…
私の目の前にはパックリと口を開け、十分に濡れて淫靡に光る亜矢のクレバスと、その向こうにうっすらとした茂みと綺麗な胸の膨らみが見える…
少しずつ顔を近づけ尖らせた舌先を蕾に当てて下を細かく揺すると…
躰をピクッと反らせて
うっ…うぅぅ…はぁ…ん……
と言いながら亜矢は両手で無意識に私の頭を股間に押し付ける…
『もっとして欲しいのかい?』と聞くと…
黙ったまま大きく頷いて脚をより広げる…
私は亜矢の秘部から溢れ出し、すでにシーツにまで届こうとしている愛液を舌先ですくい上げながら…その上のプクっと膨らみ顔を出している小さな蕾を舐め上げた…。
あぁ…ん…ん……あぁ…あっ…あっ…はぁはぁ…
っと…喘ぐ亜矢…
『ねぇ…どうして真一には分かるの?私の感じるポイントが…あっ…いや…あぁ…』と…
亜矢は喘ぎながら私に問い掛ける…
『そんなこと言われても俺にも分からないけど…ただ…頭の中で想像して、俺がこんなことを亜矢にされたいな…とか…されると気持ちいいだろうな…って思うことをしているだけだよ。あとは…亜矢の感じる姿を沢山見たいから…かな。』と言うと…
『ありがとう…真一…私…この歳まで男の人を知らなかったって言ったでしょ?でも…時々…エッチな空想をしながら独りでパンティの上から触ったりしていたの…。だから1人でするオナニーと男の人とするセックスはあまり変わらないのでは…と思っていたの…でも…全然違うって真一が教えてくれた…。』と亜矢は言った。
私は…亜矢が本当に俺に対して全てをさらけ出してくれているのが分かった。
『そうか…じゃあもうオナニーなんてしなくてもいいね。俺がいつでも亜矢をイカせてあげるから…。でも…亜矢が独りでエッチなことを想像してオナニーしている所を見てみたい気もするなぁ…』と言うと…
『いやん…本当にいけないことをしているような罪悪感を持ちながらしていたのよ…。でも…真一がしてくれなくなったら私…また1人で慰めちゃうと思う…』と亜矢は言った。
私は亜矢の口をキスで塞ぎ、今度は右手の指先を細かく震わせて亜矢の股間の蕾を刺激した。
『あぁぁ…すごい…』
と言いながら亜矢はシーツをぎゅっと握りしめた。
私は暫く眉間に軽くシワを寄せて感じている亜矢の顔を見ながら指先を震わせて、その敏感な蕾を弄んだ…。亜矢の鎖骨の周りはうっすらと汗ばんでいるように見える…
『あっ…あっ…あっ…ダメ……うぅ……すごい…また力が入らない…漏れちゃうかも…あぁ…』
『いいの?真一…またイッてもいい?…私だけ先にイッちゃってもいい?あぁぁ…イク…イクぅ……』と…
亜矢は足の指先までピンと伸ばして全身を硬直させ…ビクン…ビクン…と躰を波打たせると…ガクっとして…
ハァハァと荒い呼吸をして2回目の絶頂を迎えた…。
『ねぇ…真一はどうやって指を細かく動かしているの?』
と亜矢が聞くので亜矢の目の前で実演してみせた。
すると亜矢は『へぇ…こんなに速く細かく指が動かせるんだ…だから…』と妙に納得している…。
『俺はギターが趣味で昔から弾いているからフィンガーピッキングは得意中の得意なんだよ。』と教えてあげた。
『じゃあギターじゃなくて亜矢のあそこを弾くのも上手な筈ね。私も沢山良い音色で鳴らなきゃ…ね』と言うので
『亜矢のボディが良く鳴るから、俺もそれに負けないように演奏テクニックを駆使して…より良い喘ぎ声を出させるようにしているんだよ。』と…
ギター解説もどきの説明をした。
亜矢はうふふ…と笑った。
私は再び亜矢の股間に手を伸ばして、泉のあるクレバスを撫でた。
亜矢の泉はまだ十分すぎる程に濡れている…
亜矢はスクっと起き上がると私にキスをしてきた…そして私の耳の中に細い指を入れて優しく動かし…耳たぶを口に含んで舌を這わせた…。
耳の裏から首筋…そして鎖骨…と順に下に降りていき…私の乳首を舌でチロチロと舐めてチュパチュパと音を立てながら吸い付く…
私は、うっ…と思わず声が漏らした…
『私…真一の厚い胸板と、はっきりと6つに割れた腹筋が大好き…。スラッと細いだけの男の人が多い中で、真一は決して作られたマッチョじゃなくて、鍛えられた自然な筋肉が衰えることなく残っているから…』と言いながら…
その舌を私の脇腹からヘソの下へと移動させていく…
亜矢は向きを変えて私の上に跨る…
私の目の前に亜矢の小振りで形の良いお尻と、その割れ目からはピンク色のその中までもが丸見えになる程にパックリと口を開けている…。
亜矢は私の足の指を口に含み、指の間にまで舌を這わせてくる…
くすぐったいような…それでいて全身の力が抜けてしまうような…そんな不思議な感覚が全身を突き抜けていく…
内股を優しく撫でながら亜矢の口は確実に目標に向かって移動を続ける…
いきり立ったペニスに到着すると…
亜矢は…その根元から硬い茎に沿って何度も優しく舌を這わせた…
うぅ…ん…
次第について快感の波が大きくなる…
尖らせた舌先で円を描くように先端に舌を這わせると…亜矢はその温かな口の中にパクッと含み、柔らかくて温かい舌を先端から茎の根元まで静かに絡めながら吸い付いてくる…
『もう我慢出来ないよ…亜矢の中に入りたい…』と私は言って上体を起こした…
亜矢の肩を抱き、静かに躰を横にして、脚を開き…その間に入り込む…。
キスをしながら私は腰を深く沈めていく…
あぁぁ…と亜矢は少し大きく声を出す…
亜矢の温もりを確かめながら私は静かに…ゆっくりと亜矢の中へと入っていった。
私は一番奥深くまで挿入すると…動きを止めた。
亜矢の温もりをしっかりと感じたかったからだ。
亜矢のあそこの中の襞が纏わりつくように静かに蠢いているような気がした…
そして時々私の根元の方からぎゅっと締め付けてくる…。
私は少しずつ腰を前後に動かし始めた…
亜矢は私の動きに合わせるように喘ぎ声を漏らす…
あっ…あっ…あぁぁ…
私の肩に腕を回して上半身を密着させるようにしながら…
私は腰のストロークを少しずつ変化させながら浅く…深く…と動かし続ける…
うぅっ…あっ…あっ…気持ちいぃ…
下半身を密着させて亜矢の敏感な蕾にも刺激が伝わるように気を付けながら腰を細かく動かすと…
す・すごい…あぁぁ…はぁぁ…
亜矢は髪を乱し体を仰け反らせて激しく喘ぐ…
亜矢の両手を引っ張って体を起こし、私はゆっくりと後ろに倒れる…
亜矢は下になった私にキスをしながら、貪欲に快感を貪るように腰を上下に動かし始めた…
ベッドのきしむ音が少しずつ大きくなる…
いぃ…あぁぁ…奥に…当たってる…
唇を噛むようにしながら夢中で腰を動かす亜矢…
私は手を伸ばして結合部の亜矢の敏感な蕾に指先を当てる…
亜矢の腰の動きが振動になり優しく敏感な蕾を撫でる…
亜矢は刺激が強すぎたのか…腰の動きを止めた…
『中に真一が入りながらクリトリスを触られたら…腰を動かせなくなっちゃう…本当に…力が抜けてしまうの…』と言う…
私はそんな亜矢から一度体を離し、四つん這いの姿勢をとらせた。
胸を布団に押し当てて腰だけを高く突き出す…そんな挑発的な格好だ…
亜矢の脚を広げて間に割って入り、クレバスに一気に根元まで突き刺す…
あぁぁぁぁ…と大きく喘ぎシーツを握りしめる亜矢…
枕を口に押し当てるようにして声を殺しているのが分かる。
私と亜矢はまるで獣のように互いの体をぶつけ合った…
私の腰の動きに合わせて大きく亜矢の胸が揺れる…
結合部の愛液はすでに白く濁り…私の恥骨の部分まで濡らしている…
親指の腹でその愛液をすくい上げ亜矢の肛門に当てて優しくマッサージしながら腰を前後に動かす。
亜矢は雌豹が獲物を狙いじっと待っている時のように体を反らせている…
いぃ…あぁぁ…ダメになりそう…はぁぁぁぁ…
亜矢は恍惚の表情を浮かべて後ろを振り向き私の方を見た…
『あっ…あん…イキそうなの…あぁぁ…ダメ…本当に…もうダメ……はぁぁぁぁ…真一も…一緒にイッて…お願い…イッてもいい?…あぁぁぁぁ…』
『イッてもいいよ…俺がよく見てるから…思いっきりイッてごらん…うっ…俺も…もうイキそうだ……』
亜矢は四つん這いの自分の体を支えることさえ出来ずに、うつ伏せに倒れて、私のペニスをきつく数回締め付けて…ガクっと力が抜けた…。
私達はそんな亜矢の背中に覆い被さるようにして倒れ込み…
一滴も残すことなく全てを亜矢の中に放出した…。
部屋の中に2人の荒い呼吸の音が響き渡った…。
セックスの後の心地よい気だるさに包まれながら静かに流れる音楽に耳を傾けていた。
いったい何時になるのか時間の感覚の麻痺した状態のまま…私と亜矢はそのまま深い眠りの世界へと入って行った…。
明け方近く…不思議な夢で目覚めるまでは…。
その夢は…亜矢と運命的に出会い、互いに惹かれ…そして結婚…二人の子供にも恵まれて…まるで絵に描かれたような幸せな家庭を築いた私の目の前から…
ある日突然…亜矢が姿を消す…という夢だった…。
夢の中では…子育てのために亜矢は在宅勤務が認められ、育児の傍らでネットを使い、様々な書類を会社とやり取りをする…そんな日々を送っていた。
ある日…仕事を終えて帰宅すると、部屋は真っ暗で誰もいなく…
テーブルの上に『真一…とうとう夜の世界から迎えが来て、呼び戻されてしまいました。悲しいけど亜矢はまた夜の世界に帰らなければなりません。今まで本当にありがとう…亜矢は幸せでした。
でも心配しなくてもいいよ…悲しいのはこの手紙を読んでから1時間だけだから…。
真一の記憶の中から私の存在は完全に消滅し、私と出会ってから一緒に過ごした今までの時間はリセットするようになっているの…
ちょうどマスターの店で初めて出会ったあの夜から真一の第2の人生がリスタートするから…。
亜矢はこれからもずっと真一のことを見守っていくからね。』と書かれた手紙が一通置いてあった…。
『亜矢!亜矢!!亜矢ぁーっ!!』と叫ぶ自分の声で目が覚めたのだった。
今、こうして横で静かに寝息を立てて眠っている…亜矢の存在を確かめてからも心臓の鼓動の高鳴りはなかなか治まることはなかった。
その夢はあまりにもリアル過ぎて…暫くの間私は茫然と亜矢の寝顔を眺めていた…。
きっと…私はいつも頭の何処かで、いつかそんな日が来るのではないか…と…漠然とした不安を抱いているから…そんな夢を見たのだろう…。
私は絶対に亜矢を離さない…でも…亜矢の方から離れて行ったとしたら…
そして…亜矢との記憶が全て消え去り、あの夜から…人生がリスタートとしたとしたら…
私は…まともに生きていくことが出来るのか…いや…無理だ…そんなことは出来ない…。
亜矢という女性の存在はもはや私の人生そのものになっている…
猛烈な不安感が突然の巨大津波のように私の頭の中を襲ってきた…。
私の横で『う~ん…』と大きく伸びをして亜矢が目を覚ました。
少し眩しそうな目で私を見つめて微笑んでいる…。
『今朝も真一の方が早起きだね…。1つになった次の朝は私全然起きられない…。』
と何も知らない亜矢は少しはにかみながら私に言う。
私は夢で見た内容を亜矢に言おうと…言葉が喉元まで出てきたのに確かめることさえ…怖くて言い出せないまま…そのまま飲み込んでしまった…。
いつもいつの時も亜矢は俺の側にいてくれる!
そう自分に言い聞かせることしか出来なかった…。
朝日の差し込むリビングで…ゆったりとした時間が静かに過ぎていく…。
亜矢はルンルン♪と鼻歌を唄いながらコーヒーを持ってきてくれた…みたいだ…。
私は先程の夢のことが頭の中の80%以上を占拠し、コーヒーを持ってきてくれた亜矢に気付かなかったのだ。
『どうしたの?難しい顔をして…心配事でもあるの?』
と…私の顔を覗き込むようにして見る亜矢…
亜矢に言おうか…止めようか…と葛藤を繰り返す…
亜矢が目の前から消えて無くなることが、俺の記憶の中からさえ全て消え去ってしまうことが…私は本当に怖かった…。
亜矢の優しい顔を見ているうちに、亜矢の輪郭がぼやけて来る…
私は涙がこぼれ落ちる前に…亜矢に気付かれる前に…亜矢を抱きしめていた…。
『今夜、久し振りにマスターのお店に行こうよ。私…またMidnght loversを飲みたいな…。』
亜矢は私の涙には気付かなかったように、自然な素振りで話題を変えた。
『おっ…いいね。最近バタバタとしてしまい《e-touch》に行ってなかったからな…。じゃあ今日は午前中は部屋でゆっくり過ごして、午後から買い物を兼ねてデートをし、締めはマスターのところで乾杯!ということにしよう!』
と言うと亜矢は大きな声で『賛成!』と手を上げて言った。
亜矢の根っからの明るさが私をいつもの私に戻してくれた…
そんな気がした。
私は亜矢のいれてくれたコーヒーを飲みながら気持ちを入れ替えようと…した。
簡単には切り替えが出来ない程の衝撃的な夢だったけど、無理やり頭の片隅に追いやるようにして…
亜矢との楽しかった出来事を思い出したり、子供のように無邪気に笑う亜矢の笑顔を思い出すように努めた。
亜矢は先日ユニクロで買ったグレーのスウェットの上下を着て洗面所から戻ってきた。
動きやすいからとワンサイズ大きなものを選んで買ったのだが、亜矢はその少しダボっとした着こなし方がとても似合っていた。
スウェットの上からでもその形の良い大きな胸とキュッと締まったヒップラインが見てとれる…。
ソファーに腰を下ろして苦手な筈の私の飲んでいるコーヒーを一口飲んで…
『ああ…苦い苦い…砂糖やミルクを入れずによく何杯も飲めるよね…真一は…』と言う。
私が『ブラックコーヒーは子供にはまだ無理なの!』と言うと
『おこちゃま扱い?』と口を尖らせる。
私は亜矢を抱き寄せてスウェットの裾から手を差し込みその胸をさすりながら亜矢にキスをした。
『愛してる…』と…その時初めて私は亜矢に言った。
亜矢は『ずっと…いつまでも愛してるくれる?私は…真一と2人で共に年老いていくまでずっと真一を愛し続けるよ。たとえ真一が迷惑だと思っても…ね。』と問い返す…
『俺も同じ。亜矢と2人で年老いていくまで、その年代年代の愛し方をしていきたい…そう思っている。』と私は答えた。
『嬉しい…私…真一に嫌われてしまったら…誰も頼ることの出来る人はこの世界には1人もいないし…かと言って元の世界にはもう二度と戻れない…。』と言った。
亜矢の言葉を聞き…私の頭の中にガツンと強い衝撃が走った…。
私だけではなく亜矢も…言葉にはしないものの大きな…いや…亜矢にしてみれば大きすぎて1人では抱えきれない程の不安を抱えていたのだ…。
私は自分自身を恥じた…
私は自分の立場と亜矢の立場を入れ替えて考えれば簡単に分かる筈のことさえ、出来なかったのだ…。
私は…亜矢が元の世界に戻るということが、ただただ私のことに愛想を尽かし、私の側から離れて別の場所で暮らすということならば多分、亜矢を失う《怖い》という感情は生まれてこなかったと思っている。
元の世界に戻る=この世界に存在しないということであり、 あの素敵な笑顔ばかりでなく2人で楽しく過ごした全ての記憶が消滅する…そして何も無かったかのよに、あの夜の『e-touch』のカウンターから私の人生がリスタートすということに恐怖を覚えたのだ。
しかし亜矢は、すべての物を捨て去り、文字通り体1つで私のいるこの世界にやってきた…。私の他には誰一人頼れる人もいないこの世界に…。
私は改めて亜矢の決意の強さと、私の前では決して見せることはないが、かなり寂しい思いをしているのだな…と…思った。
『今日の午後の買い物のことだけど…私が真一へのプレゼントを選ぶ間、真一はどこかのカフェでコーヒーでも飲んでいて欲しいんだけど…それでもいい?』と…亜矢は聞いてきた。
『そりゃ嬉しいけど、俺はプレゼントなんてかしこまった物は要らないよ。こうして一緒にいられるだけで十分!』と言うと…
『真一がネックレスをプレゼントしてくれたみたいに、以前言ったようにいつも真一が身に付けてくれる腕時計をプレゼントしたいの…だから…1時間~2時間ゆっくり選びたいの…』と言う。
『ありがとう。じゃあ俺は本屋で好きな本を買ってカフェでコーヒーを飲みながら本を読んでるよ。あまり高価なものはダメだよ。まだ俺…似合う自信が無いからさっ!』と言うと…
『私のセンスの良さにビックリしないでよ。4人の部下を持つチーフにぴったりの物を選ぶから…』と亜矢は微笑んだ。
亜矢と別れて私は百貨店の中の本屋に立ち寄り趣味のギター関係の雑誌と、私の好きな幸田真音氏の投資ファンドの攻防を描いた小説を買い、通り沿いにある『Green Leaf』というカフェに入った。
通りに面した窓際の喫煙席を案内してもらい2人掛けの小さなテーブルに腰掛けた。
ブレンドコーヒーを注文して店内に流れるゆったりとしたインストゥルメンタルの曲に耳を傾け、煙草に火を付けて大きく息を吸い込んだ…。私の肺の中にゆっくりと煙草の煙が染み渡り、至福のひとときに浸る…
その頃…亜矢は…百貨店の中の時計店のショーケースの前で男性用の腕時計を眺めていた。
亜矢は店員さんからクォーツタイプの腕時計ではなく、メンテナンスさえ続けて行けば子供~孫にまで代々使うことが出来ると言う機械式の自動巻き腕時計を勧められた。
そうかぁ…と亜矢は納得しながら考えていた。
『ありがとう…もう少し考えてみます…。』と言い、他の時計屋を探すために通りに出ていった。
通りを歩きながら亜矢は先程の店員さんの説明を忘れないようにメモ帳に走り書きをした。
機械式の腕時計かぁ…何だか大きなのっぽの古時計みたい…。手入れさえ忘れなければずっと長い間使いつづけることが出来るんだ…と考えながら北風の吹き抜ける歩道を歩いていた。
私が窓際の席から街路樹が、吹き付ける北風に揺れ動くのをぼんやりと眺めていると…
通りの向こう側の歩道を、唇に右手の人差し指を当てて遠くの空を眺め、何か考え事をしながら歩いている亜矢の姿が見えた。
亜矢に向かい軽く手を振ってみたが亜矢は全く気付かない…
亜矢は次の交差点を左に曲がり私の視界から消えていった。
亜矢は通りを曲がり、少し歩いた所にあるブティックの入っている少し歴史を感じさせるビルの二階にある時計店に向かっていた。
コツコツコツとヒールの音を響かせて階段を登っていった。
その階段は二階の時計店専用の階段みたいで、少し広めの踊場からは時計店の入り口のオーク材で作られた重厚なドアへと向かい観葉植物が両側に綺麗に並べられている。
『御免ください…少し腕時計を見せて下さい…。』そう言いながら亜矢は店内へと入っていった。
落ち着いた感じのするご主人が『いらっしゃいませ。ごゆっくりご覧下さい。』と迎えてくれた。
様々なタイプの時計が壁に綺麗にディスプレイされている。
ショーケースの中にも様々なメーカーの腕時計がタイプ別に1つづつ上品にスペースを取りながら並べてある。
亜矢の目の中に1つの腕時計が止まった。白い文字盤の下に三日月が顔を出している…。
『あのぅ…この時計を見せて下さい。』と言うと…
ご主人は『このムーンフェイスの時計ですか?』と言いながらケースから取り出して亜矢の手の上にそっと置いた。『ご主人様への贈り物ですか?』と亜矢の目を見ながら微笑んで言う…。
『えぇ…ギラギラとしたいかにも高級な腕時計じゃなくて、さりげない存在感があり、付けている人の趣味の良さや人柄までもが黙っていても周りの人に主張できるような…そんな腕時計をプレゼントしたいのですが…』と言うと…
ご主人は『なるほど…』と頷きながら
『私はいつもお客様に言うのですが…最初に手に取られた物を購入することをお勧めします。』と微笑んだ。
『店内の腕時計は全て手巻きのものか自動巻きのものばかりです。気に入って貰えたのなら此から先何十年も静かに時を刻み続け…きっと愛着を持って使って頂けると思いますよ。特にこのムーンフェイスの時計は満月~三日月までの変化が正確に表示されるようになっていて、普段なにげなく眺めているだけの月を、ほんの少しだけ意識して宇宙の神秘や遥か彼方の小惑星の事にまで思いを馳せることが出来て…素敵ですよ。私が自信を持ってお薦め出来る1つです。』と…言ってくれた。
茶色のクロコ皮のベルトに白い文字盤、金色に輝く小さな星達と変化する月…昼間はニコッと微笑む太陽の絵が現れて…飽きることのない表情を見せてくれる。
亜矢は『これを下さい。プレゼントにしたいので綺麗にラッピングをお願いします。それと…箱の中にこの手紙を入れて下さい…』と…ご主人に手渡した。
ご主人は『ようやく気に入ってくれる人に巡り会えて、この時計も喜んでいると思います。私が先代の父親からこの店を引き継いだ時から、この時計をお選び頂いたのはお客様で3人めです。全てご主人様へのプレゼントで…。今はもうこのスイスのメーカーも流行りのクォーツ時計しか作らなくなり寂しくなったのですが…40年前に製造された時計とは思えないでしょ?良い物は時の流れを超えて、さりげなく自己主張して来るものだと思います。だから…私は最初に手に取られた時計をお薦めするのです。』と言った。
亜矢は何気ないこの腕時計1つにも様々な物語が込められているようで嬉しかった。
真一の喜んでくれる顔が目に浮かび…何だかとてもハッピーな気持ちになった…。
『こんな包装でいいですか?』と…ご主人が見せてくれた。
私が想像していたよりもシックで落ち着いたラッピング…そして片隅に華やかに飾られた真紅のリボンがとても綺麗だった。
『素敵…』思わず言葉になっていた…。
『もしも故障したらいつでもお持ち下さい。責任を持って修理させて頂きますから…。ありがとう御座いました。』とご主人から時計を受け取り店を出た…。
亜矢は…自然にスキップしたくなるような軽やかな気持ちになるのを感じながら真一の待つ『Green Leaf』へと向かって行った。
『お・ま・た・せ!』
真一は煙草をくわえたままで本を読んでいた。立ち昇る煙をけむたそうに目を細めて…。
『ごめんね…ちょっと遅くなっちゃったね。でも…素敵な時計店を見つけたよ。色々な時計の話をしてくれて…思わず聞き入っちゃって…』
と言いながら『はい…プレゼント』
と私に手渡してくれた。
『ありがとう。今…開けてもいい?』と聞くと…
『私が開けてもいい?この包み紙とリボン…可愛いから…』
と亜矢が包みを開けた。中の箱だけになると
『ここからは真一が開けて…』というのでその箱の蓋を開けると…
なんだか落ち着いた中にも不思議な風格のある高価そうな腕時計が入っていた。
『いいの?こんな高そうな腕時計をもらっても…』と言うと
『実はこの時計…製造されたのは40年前なんだって。ビックリでしょ? 電池式のクォーツタイプと違って、機械式の自動巻きの腕時計なんだって…。だから子供や孫の代までメンテナンスしながら使えるそうよ…腕をかして…付けてあげる…』
そう言われて左腕を差し出し亜矢に時計を付けてもらった。
スーツを着ている時でもビシッと決まる…そんな大人の雰囲気の漂う格好良い時計だ…。
私は素直に喜んだ。
『亜矢…本当にありがとう。俺も頑張って早くこの腕時計が似合う男になるから…大切に使わせて貰うよ。』と亜矢にお礼をいった。
ふと…箱の中を見ると…手紙がはいっている…
『あっ…それは後で真一が1人の時に読んで下さい。恥ずかしいから…一応…私からのラブレターです…。』と亜矢が言った。
今…読ませて貰うよ。と…私は封筒を開けて一枚の便箋を取り出して読んだ。
真一さんへ
あの日…真一に出会ってから今日までずっと、私は真一の優しさに甘えてばかりで…ご免なさい。
私は真一が側にいてくれると思うだけで様々不安が消えてしまうと思える程幸せです。
真一もあまり男だからと頑張りすぎずに、もっと私に甘えて欲しいです。私も強がらずに真一に甘えるつもりです。
喜びも悲しみも淋しさも幸せも…全部2人で分かち合えたら…それ以上私は何も望みません。
これからもこんな私ですが宜しくお願いします。
亜矢
と書いてあった…。
私は亜矢の気持ちがスゥーッと私の胸の中に染み入ってくるのをはっきりと感じた。
目頭が熱くなり、溢れそうになる涙をぐっとこらえて…天井で緩やかに回るカサブランカファンを見上げた…
亜矢はそっとバッグからハンカチを取り出して私に渡すと…
『私は涙もろい真一も大好きだよ…』と優しく微笑んだ。
その言葉を聞き…一気に熱い涙が下の目蓋を乗り越えて落ちた…。
『亜矢…ありがとう…』私はそう伝えることが精一杯だった
亜矢が注文したローズヒップティを飲む間…
私は亜矢が時計店のご主人から聞いてきた、腕時計に関する色々なエピソードに耳を傾けた。
気づくと…腕時計のムーンフェイスはMidnight Blueの夜空に背景を変化させ、左下から三日月が顔を出し始めている…。
亜矢の言うように…今まで意識すらしていなかった星空を眺めながら、遥か彼方の小惑星に思いを馳せたり、最後の命を燃やして輝きながら夜空に長く尾を引き儚く消える流れ星のことを思った。
私は読んでいた本の間にしおりを挟み、亜矢に『そろそろマスターの店に行こうか…』
と立ち上がり亜矢と一緒に店を出た。
『今、お茶を飲んだばかりだからもう少しどこかで時間をつぶさない?私ちょっとロフトに寄ってみたいの…』と言う亜矢…。
『いいよ。じゃあ俺もシェーバーの替え刃を買おうかな。』と…
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