虐待、養子、死別、不倫…波乱万丈な私の半生日記

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2010/02/21 15:03(更新日時)

30数年前の12月、
私は大阪のとある町で産まれました。

当時
母、17歳高校生。
父、19歳大学生。


私の父の父親(私からみれば、父方の祖父)は警察官。

私の母の両親は共に教員。

昔堅気でお堅い考えの両祖父母を説得し切れずに私を産んでくれた私の両親は、
「入籍も許されず親の反対を受けたままでも、夫婦二人でこの子(私)を育てる」と決意し、母は高校中退後に未婚のまま産んでくれたそうです。


ただ…
現実はそう甘くはありません。

親の援助もない学生二人で生活しながら、子供を育てるのは容易ではありませんでした。


両家の親は、「せめて●●くん(私の父)が大学を卒業するまで、■■ちゃん(私の母)が復学して高校を卒業するまでは、子供を施設に預けておいてはどうか?
お互いが学業を全うしたら結婚は認める。すぐに子供を施設から呼び戻せばいいし、私たちもいくらでも援助をする。」という提案を私の両親に出し
私の両親は両祖父母からのその提案を受けたそうです。


そして私は
ある施設に預けられました。


当初は1年ぐらいで親元に戻る予定だった私が
実際に親子で暮らすのが10年以上も先になってからでした…。


続きます

No.1162617 (スレ作成日時)

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No.151

「毒らしい考え方やな(笑)


でも俺は…


俺はそんな事、
毒にはさせたくない・・・」



「私は、請求されれば慰謝料を払う覚悟はあります。
自分のした事に対する責任なので、
磯部部長に庇ってもらう必要はないです。

でもそれは
【慰謝料を払うから、早く離婚して】という意味ではないです。



【離婚】は、あくまでも磯部部長ご夫妻の話し合いです。


ご夫妻の話し合いの結果がどうなろうと、
私には口出しする権利はありませんし、
どんな結果であっても、私は求められれば慰謝料を払うし、社会的制裁を受ける覚悟も出来ています。

でも…磯部部長ご夫妻の話し合いが終焉するまでは、
磯部部長とは『上司部下』の関係に留めておきたい。

磯部部長を好きと思う気持ちが、止まらなくなるから・・・」



初めて、自分の気持ちを告げました。







強く抱き締め、キスをしてから




「毒・・・巻き込んでごめん」
磯部部長は言いました。





私は
首を横に振るしか出来ませんでした。

No.152

慰安旅行から半月ほどで
お盆休みに入りました。



その年のお盆休みは、
広島に来てから最も寂しい休暇でした。


会社の人はみんな帰省中。

雪子や中村夫妻は海外旅行中・・・。



1人ぼっちの休日も、3日目には暇をもて余し
奈良に帰省中であろう磯部部長の事が頭を離れませんでした。




お盆休みは、
残りあと3日。
長いなぁ…





とりあえず今日は、ジムにでも行こうか・・・と
準備を始めた時



携帯が鳴りました。




磯部部長からでした。




「いま新大阪に居るんやけど、

1時間半後に、広島駅で会える?」




【話し合いに、何か進展があったのかな】


そう直感しました。

No.153

「離婚が決まったよ。

盆明けに俺が慰謝料を振り込んで、
嫁さんがそれを確認次第、離婚届けをこちに郵送してくれることになった」


知り合ってから
ちょうど一年。



あの夜から
8ヶ月が経っていました。

No.154

またひとつ
罪を背負ってしまった。






お母ちゃんの死

さくらの死

真治さんとの、
一方的な離婚。





そして、
磯部部長の離婚。








でも今回は、
私が全ての原因。
私が仕向けたこと。
私が望んでいたこと。


「毒・・・
離婚したのは、俺と嫁さんの問題や。

俺らは、
毒に離婚させられたんじゃない。

夫婦二人で話し合いをした結果、離婚をしたんやで。

毒が気にすることではない」



私の思いを見透かしたかの様に
磯部部長は言いました。






いざ離婚が現実になると、
想像していた以上に罪悪感を感じました。






でも心の片隅では


私と磯部部長との未来を考えて
「嬉しい」
と思っている、






醜い私が
確かにいました。

No.155

二人で早めの夕食を食べた後、
磯部部長が言いました。



「バーかどこかで飲み直す?


それとも・・・



爽やかな匂いの、俺んちに来る?(笑)」






「バーに行こう♪






この前さ、
雪子に、めちゃ面白いバーを教えて貰ってん♪



ピアノの生演奏してくれる、オカマ・バー!



【毒女】って店(笑)」





「名前がまた、ええな(笑)」








磯部部長夫妻が離婚に至ってしまったのに、

私は償いどころか、
奥様に詫びることすらしていない。



だからせめて



磯部部長夫妻の離婚が成立するまでは、

節度ある関係を守り続けたい・・・




完全な自己満足。

そんな事ぐらいじゃ許されない。




分かっていたけれど、
私にはもう、それぐらいの事しか出来ませんでした。

No.156

そんな風に、【自分で作った自分への決まりごと】


それを守るために
『バーへ行きたい』と言った私。


「爽やかな匂いは、まだお預けやな(笑)
よし、【毒女】へ行こう!」



磯部部長は、そう言った私の気持ちを
察してくれたようでした。





とは言え、


仕事仲間に出くわす心配がない、二人きりの休日。


二人でしたいことは、たくさんありました。



厳島神社へ行こう。
見たい映画があるねん。

営業車でドライブしよか。

牧場へも行ってみたい・・・




私達は、ここぞとばかりに
したいこと…セックス以外のしたいこと…を満喫しました。


私の人生で
過去にないぐらい幸せで、充実した夏休みとなりました。

No.157

非日常的な3日間は瞬く間に過ぎ、

盆休みも明け、すぐに日常が始まりました。


盆が明け数日経った金曜日の夜、
久しぶりに
大槻さん、磯部部長、私の3人で
飲みに行くことになりました。


休暇は彼女と海外旅行へ行っていたという
大槻さんの土産話を聞き終えると、



磯部部長が口を開きました。



「俺さ、今日





離婚してん」







「今日!?
えらいタイムリーですね!!



でも…マジですか?


部長、頻繁に帰省してたじゃ…
ああ…
離婚の話し合いやったんですか…

俺…」




大槻さんの言葉を遮り、
磯部部長は続けました。



「ま、今までもずっと単身赴任で
【夫婦】なんて言えるような結婚生活じゃなかったからな。
遅かれ早かれ、いつかは離婚してたと思う。




さぁ!




次は絶対に幸せになるぞ~!!」




後半の言葉は、
私に対して言ってるように聞こえました。

No.158

「毒!
お前、今日は先に帰れよ」


酔い始めた大槻さんが言いました。


「なんでよ!?」



「磯部部長の新たな独身生活の門出を祝して、
男同士で祝いをせなアカンねんや。
気が利かん女やなぁ…。
だから毒はいつまでも…」




「はいはい。
部長をダシに、
セクキャバ巡りですか?

自分こそ・・・そんなんやから
いつまでも彼女が結婚してくれへんねん」


「アホか!
俺はな・・・

結婚して貰われへんのじゃなくて・・・」



磯部部長が割って入りました。




「頼む・・・
これ以上







俺の為に喧嘩をするのはやめてくれ(笑)」




大槻さん発案の、
キャバクラツアーは却下され、




私達は家路につきました。

No.159

途中で大槻さんを下ろし、二人きりになったタクシーの中で
磯部部長が言いました。



「あんな場所で離婚を報告して
ごめんな」




私は
わざとあんな場所で言ってくれた、
磯部部長の気遣いを感じていました。




「ううん…
気を遣ってくれて、ありがとう」



二人きりで聞けば、私が返答に困ってしまう【離婚報告】も

大槻さんが居れば、私に負担がかからない。



【ズケズケしていてデリカシーに欠ける人】


それが
磯部部長に対する最初の印象でした。


でも本当は違った。


磯部部長を知れば知るほど

他人に細やかな心遣いが出来ると同時に
自身もかなりデリケートな人であることが分かっていきました。



磯部部長の底抜けな明るさは、
そんな自分のデリケートな部分を隠す鎧。



それが、
本当の磯部部長でした。

No.160

「雪子に貰った美味しいワインがあるんですけど、
良かったウチに来ますか?」


タクシーを降りると、
私は無意識に誘っていました。



「俺のウチには、
奈良産の日本酒【春鹿】があるけど?」




「ってか、俺ら…


酒をエサにしないと、相手を誘えんのか?(笑)」





春鹿を持って、
磯部部長が私の部屋に来ることに決まりました。



「毒の部屋だって
俺の部屋と同じ、爽やかな匂いがしてるがな(笑)」



「女も1人暮らしが長いと、
オッサン臭が出てくるんです(笑)」



冗談を言いながらも、


二人はベッドへ雪崩れ込みました。












その週末の私たちは、ほとんど外へ出ることもなく
私の部屋で過ごしました。





食べる
寝る
お酒を飲む
セックスをする



その繰り返し。





お酒や食材が尽きれば、
二人で手を繋いで
深夜にコンビニへと向かう。





そんな小さな【外出】でさえ、
私には新鮮で楽しくて…本当に幸せでした。



【私のせいで離婚した】という罪悪感は常にありましたが、




それよりも

私は目の前の幸せに酔いしれていました。

No.161

互いの過去を埋めるように、
たくさん、たくさん話しもしました。


「磯部部長のお母さんは?」


今まで全く話題にならなかったことを疑問に感じながら、
私は尋ねました。


「あぁ…おかん?
離婚の時に、絶縁された」




磯部部長が離婚話を持ち出した日、

奥様は、すぐに自分のご両親に相談に相談したそうです。



そして奥様のご両親が、磯部部長のお母さんを呼び出し
離婚騒動を報告したそうです。




その時初めて、息子の不始末を知った磯部部長のお母さん。

その数日後、

お母さんは磯部部長に電話を掛けてきたそうです。

No.162

お母さんは言いました。


「洋子さん(奥さん)のご両親から聞いたんやけど
あんた、不倫してるんやて?


新しい女が出来たから、洋子さんと離婚したいんやて?


結婚はママゴトと違うんやで!



洋子さんのご両親、泣いてたわ。


【結婚前に妊娠させられ、若い洋子は可能性を奪われた。

流産しても娘のそばにいてくれず、転勤…転勤…。

挙げ句の果てには
不倫されて離婚なんて、娘が哀れ過ぎる。
あなたの息子さんのせいで、洋子はボロボロや】って…。



あんたは、お母さんに何の恨みがあるのんな?



私は女手ひとつで
子供らを育ててきたのに…こんな事をして!


お前なんか
二度と私の前に現れるな!」




お母さんは
磯部部長に絶縁を告げたそうです。

No.163

仕事仲間にはバレないように注意しながらも、
私たちは可能な限り一緒に過ごしました。


平日は、
飲みに行く時には必ず誰かが加わり
私の部屋に泊まっても、明け方には必ず自室へ戻る磯部部長。

週末は、
私が二人分の食料を買い出しに出掛け、
二人で部屋から出ずに過ごす…




独身同士の付き合いとは言え、
オープンには出来ない付き合いが続いていました。



それでも私は
充分満足でした。


この上ない幸せを感じていました。



29歳の誕生日の前日までは・・・

No.164

公な付き合いは出来なかったけれど

幸せで、平穏な日々が4ヶ月ほど経ちました。


目前に迫っている
私の29歳の誕生日、クリスマス、
そして正月休み中の磯部部長の誕生日…


二人で過ごす初めてのたくさんのイベントを前に、
私は胸を高鳴らせていました。



営業回りの帰りに買ったクリスマスプレゼントを鞄に忍ばせて、
私は会社に戻ろうとしていました。









プルルルル…




私の携帯が鳴りました。





発信者を確認すると、



磯部部長の携帯からでした。








仕事中に、
互いの携帯から携帯へ連絡があるのは、これが初めて。





課が違う私たちの間には、二人で交わすべきオフィシャルな連絡事項などほとんどないし、
もしあるとしても、会社の電話を使用するはず。







着信音を聞きながら、
私は嫌な予感を感じました。

No.165

「何かあったんですか?」




「会社に、毒宛ての内容証明が届いてる。


内勤の藤山が受け取ったらしい。

藤山が、俺に知らせくれた」




「奥さんから…ですね?」



「元奥さんからや」



私は重い足取りで

会社へ戻りました。

No.166

正確には元奥さんからの内容証明ではなく、
元奥さんが依頼した弁護士からの内容証明でした。



そこには、
「磯部夫妻が離婚に至った原因の一部は、私にある」


「よって、期日までに500万円の慰謝料を振り込むか、何らかの返答をすること」


「これに応じない場合は、公の場で争うつもりであること」


そのような内容が記されていました。



会社の会議室。



私の向かいに座る藤山さんは、
私が内容証明に目を通すのを待ってから言いました。




「磯部部長に、大体の話は聞きました。

私ひとりなら…この一件は自分の胸に留めておきたいのですが、
内容証明を受け取った内勤フロアには、内勤メンバー全員が居合わせていましたし、


それに…



浅川部長もその場に居たんです。



浅川部長が知っているとなると、
会社に隠し通すのは難しいかと…」

No.167

浅川部長と磯部部長は、ライバル同士。

年明けに辞令がでる【広島支店支店長】の座を狙い、

二人は無言のバトルを繰り広げていた矢先でした。



浅川部長は多分、
自分の昇格の為なら、平気で部下である私をも売るだろう。




藤山さんも、
それを見越しているようでした。



「磯部部長は、なんと言ってるんですか?」



「ご自分で社長に話す、と言っています」



「分かりました。
ご迷惑を掛けてすみませんでした。」



「僕は、磯部部長に任せます。
だから毒さんも…。

それから…
困ったことがあれば、僕に相談して下さいね。


会社の弁護士に頼めば、誰かいい弁護士を紹介できると思います。

社長に黙っておくことが出来なくて…すみません」




「ありがとう。」




私の鞄からのぞくクリスマスプレゼントが

ひときわ場違いな様に見えました。

No.168

藤山さんが会議室を出ると、
続いて磯部部長が入って来ました。


「社長には俺が報告するから、毒は何もしなくていい。」



「はい」



「毒…毒はいつも仕事が順調やのに…こんな事になってしまって…ごめんな」



「いえ、大丈夫です」



「内容証明の返答期限は年明けやから、
その事は…休みの間にゆっくり考えよう」



私たちの話は手短に済み、
私はまっすぐ営業フロアに戻りました。


「毒、ちょっと」
荷物を置くとすぐ、浅川部長に呼び出され、次は応接室へ連れていかれました。


「この一件は・・・

もう社長に報告済みやから。


社長の指示が出れば、速やかに従うように」




はやっ!
もう告げ口したんかい!





やはり浅川部長は

そういう仕事だけは早かった・・・

No.169

>> 168 初めまして。
私は父親が違う子供を3人育ててるジングルマザーです。
それも、双子を二度授かり双子が二組居ましたが、娘は小学校にあがる前に白血病と悪性脳腫瘍で亡くなっています。
最初の旦那とは死別で、旦那は蜘蛛膜下で他界。
亡くなった旦那の両親が凄くいい両親でよく、三男を連れて遊びに行ってます。
さくらちゃん頑張りましたね。
私は2度目の妊娠の時は先に子供を授かり、相手からは全て私が悪く思われており、認知をしていただいてませんが時々『娘を殺した母親に明憲くん(三男)は貴女に任せられないから早く明憲くんをこっちに渡しなさいよ』って言われてます。
お互いがんばりましょうね😃

楽しみにしています。

No.170

すぐに就業時を終え、私たちは別々に家路につきました。


帰り道、大槻さんに呼び止められた私。


「毒…

浅川部長から聞いた。

毒は・・・広島の数字の半分以上を一人でやってるから、
毒がおらんようになったら…



…俺が思い切り尻叩かれるやんけ!


だから…辞めるなよ、会社。



俺に出来る事があったら、何でも言ってな。
相談料は高いけどな(笑)」



大槻さんなりの、温かい言葉でした。



私が帰宅して1時間後に、
磯部部長は私の部屋を訪れました。



「社長、なんて言ってた?」


「既に浅川から聞いてたみたい」


「うん、知ってる…」



「それで、何て?」


「明日の夕方、社長がこっちに来るらしい。

話はその時にって」



良くて転勤。
最悪の場合は退職。


【自業自得】




私は覚悟を決めました。

No.171

翌日、熊谷社長は
夕方頃に広島支社に来ました。


まず磯部部長が社長室に呼ばれました。


どんな話をしているのか気が気ではなく…


と…


ものの10分程で、
磯部部長が社長室から出て来ました。



続いて、社長も出て来ました。




あれ?
私は?





「毒!
帰る用意をしろ。
行くぞ。」




社長に言われ、
私は慌てて荷物をまとめました。

No.172

>> 171 良かったです
続き待ってました😊
生い立ちが所々にてて…

自分の人生振り返りながら読んでます

No.173

フロアを出て、社長と共にエレベーターに乗る私。


重い沈黙を破るように、社長が言いました。




「なぁ、毒…






牡蠣の旨い店、知ってる?」





「は…はい」





最後の晩餐…かぁ。




私たちは、
国際ホテル内の料理屋へ向かいました。



個室へ腰を落ち着けると


「そんな神妙な顔するなよ。
今日は牡蠣の為に広島へ来たのに、
せっかくの牡蠣がマズくかるだろ?」




「社長…私の処分は…?」




「処分?
なんで処分しないといけないんだ?



会社は利益が一番や。



毒がおらんようになったら、広島は間違いなく傾く。
毒を辞めさせたところで、何の特にもならん」



社長はビールを一口飲んで続けました。



「その代わり


今後、社内に悪影響を及ぼしたり
仕事がおろそかになる様なら
すぐにでも辞めてもらうからな」





「はい。ご迷惑を掛けてすみませんで・・・」




社長の携帯が鳴り、謝罪の言葉は尻切れトンボになりました。

No.174

「毒。
1時間後にもう一人来るから」


電話を終えた熊谷社長が言いました。



「今から来るのは俺の知り合いでな、
広島で弁護士をしてる奴なんや。

俺の前では話しにくい事もあるやろうから、とりあえず顔だけ合わせとけ。

後日、その弁護士にゆっくり相談したらいい。」




「ありがとうございます」




現れた弁護士は、
私の想像していた【弁護士像】とは
かけ離れた人でした。


明るい色の髪。
歳も若く、34歳。


聞けば、
社長のご友人である弁護士の方が、ご自分の右腕としていた弁護士さんだそう。



「うちの若い者が不手際を起こしてな。
すまんが後日、相談に乗ってやってくれんか?」



社長が本題を切り出し、
互いに挨拶と名刺交換を済ませた後は
普通の会話が繰り広げられました。


意外にも、その弁護士さん…宅間さんは、雪子の店の常連であることも分かり、
話も弾みました。

No.175

料理屋を出ると宅間さんは帰宅され、

私と社長は雪子の店へと向かいました。


「あら♪熊谷社長♪
お久しぶりです♪」


またもや、飛びっきりの笑顔で熊谷社長を迎える雪子。


社長が呼び出したのか、
雪子の店には磯部部長の姿がありました。


ワインが進むに連れ


「磯部!!
毒は俺の秘蔵っ子なんや!!
悪影響を与えたら承知せんぞ!!」


「毒は、いつも全店のトップ。我が社の貴重な人材だ。
仕事の妨げになるような付き合いはするなよ!!」


「毒は、俺の可愛い娘みたいな存在だ。
泣かせるような真似はするなよ…」


酔いが回るにつれ、クドいくらいに繰り返す社長。


社長のお気持ちは嬉しく、本当に有り難いけれど、
それは私の営業成績が良いがゆえ。



私が可愛いがられ、大切にされているのは、営業成績が良いから。




もし来月、私が全店トップじゃなければ?


磯部部長との付き合いのせいにされるだろう。




私は、そのプレッシャーに身震いしました。



私ばかりを猫可愛がりする社長に、
磯部部長もムッとしていました。

No.176

帰りのタクシーで二人切りになった時


「社長は、毒のことがめちゃくちゃ可愛いんやな」


いつもと全く違う表情で、磯部部長が言いました。



恋人同士ではなく、ライバル視した目。


恋人同士であっても、実際には同じ営業で働く同志。



既存客の管理がメインの磯部部長と
新規契約がメインの私…役職や分野は違えど、同じ社長の下で働く人間。


社長に認められたくて働く者同士。



ライバル意識が皆無なわけはありません。



「こういう場合は、男である上司が責められてしまうよね…。ごめんね。

それに社長は、私にプレッシャーを掛ける為にわざと言ったんやと思うよ」




「そやな。変なこと言ってごめん」




磯部部長は謝りましたが、




私に対するライバル心と葛藤しているようでした。



この頃を境に、
私たちはギクシャクし始めました。

No.177

それから数日後、
私は宅間さんと会いました。


私の退社は早くても8時。


宅間さんの事務所も8時までなので、
互いの勤務終了後に、食事をしながら会うことになりました。



年末の慌ただしさに加え、昇格査定を控えた磯部部長は
連日深夜近くまでの仕事。


「今日、宅間さんと会うけど、磯部部長も同席する?」


一応尋ねましたが


「ごめん。今日はちょっと無理やわ」


予想通りの答えでした。

No.178

「ごめんなさい…

実は…宅間さんにご依頼する事は何もないんです…」


互いのビールジョッキを合わせた後、
私は言いました。



「何もない…って?」



私は
磯部部長との今までの経緯を話し、内容証明を見せました。




「請求されている500万を、払うつもりです。
保身して、値切ったりしたくないんです。
私は奥様の望まれている通りにするつもりです」



「う~む…
でも500万だよ。法外過ぎる。」



宅間さんは面食らっていました。

No.179

「すみません…せっかく来て頂いたのに、仕事にならなくて…」



「それは構わないよ。
でもさ…【1回だけの関係】であった事実を度外視しても、不倫期間は8ヶ月でしょ?
8ヶ月で500万は…法外やね。

攻め方によっては、【正当な理由なく夫婦の同居を拒んだ】として、婚姻関係が破綻であったとの主張できるよ。

それに、会社に内容証明を送ったことによる【名誉毀損】で勝てる可能性もある
払うとしても100万が打倒だと思うけど…」



「いいんです。
奥様の傷が500万だと言うのなら、私は払うつもりです」



「じゃあ、今後の誓約書だけ交わさないとダメだよ。

二度と金品を請求したり、名誉毀損行為をしないという誓約書か公正証書が必要やね。
それは司法書士でも出来るから、紹介するよ」



「じゃあ、高くついても構わないんで
その公正証書を弁護士である宅間さんにお願いしてもいいですか?」



話はすぐにまとまりました。

No.180

互いの弁護士を通して、奥様との誓約が成立した時点で500万を振り込むという段取りがまとまり、
私は宅間弁護士と別れました。



帰宅するとすぐ、磯部部長が来ました。


「早かったんやな、毒。
弁護士は何て?」



まさか丸々全額払うなんて言えず


「250万で話をまとめるように、奥様の弁護士と交渉してくれるって」



「そっかぁ…
ごめんな、毒。

洋子(元奥様)にはこれ以上相手女性(毒)を調べたり、
慰謝料請求をしないって約束させたのに…。

あいつ、離婚成立後も探偵を雇い続けて、毒のことを突き止めたんやろうな。



毒…


その慰謝料の半分しか無理やけど、
俺に払わしてくれるか?」



「いいよ。
これは私が払うべきモノやねんから」



「じゃあ…せめて50万だけでも払わしてくれへんか?

ごめんな、毒。
嫁さんとは口約束ではなく、ちゃんと公文書にするべきやった…

もし公文書にしてたら、毒に迷惑かけずに済ん…」


「迷惑じゃないよ。
何も償いをせずに、一生知らん顔は出来ないから。

私は、慰謝料請求してもらって良かったと思ってる」


「ごめんな、毒」



磯部部長は
疲れ切って見えました。

No.181

磯部部長の中で芽生えた、私への小さなライバル心と
年明けの昇格発表。


私の中で芽生えた
仕事に対する新たなプレッシャーと、
高額な慰謝料と、磯部部長の発する敵対心。



互いの重圧を心に秘めながら、
二人で過ごす初めての年末年始を迎えました。


近場の温泉旅行とディズニーランドへ行き、充分楽しんだはずなのに

何故かシックリこない休暇でした。



年末年始休暇も最終日となった日、

私の携帯が鳴りました。





実家からでした。

No.182

「この薄汚い恥さらしが!!」


電話が繋がるなり、
罵声が響きました。

「ごめんなさい…」


母の怒鳴り声は、
横にいる磯部部長にまで聞こえたようです。


興奮した母の話を繋ぎ合わせてみると、
磯部部長の前妻さんが実家に電話をしてきた様子。


当然の事ながら、
母は怒り狂っていました。


【他人の夫を寝取るなんて、最低な女】
【自分が良ければ全て良い。お前は昔から、そういう人間やった】

【やっと独立してくれたと思ったのに、いつまで私に迷惑を掛けたら気が済むの?】


母の言う通り。


私は、ただただ
謝るしか出来ませんでした。


『電話、代ろう。俺が謝る』


磯部部長がジェスチャーで合図し、
私は電話を渡しました。



「磯部と申します。
この度は本当に…」



何やら怒鳴る母の声。


「はい…申し訳ありませんでした。

はい…仰る通りです。

はい…

後日、改めてご挨拶に…」



「お前らの顔なんか見たくない!!」




電話は切れました。

No.183

「仕方ないよ」


謝ろうとする磯部部長を遮って、私は言いました。



「それだけの事をしたんやから…


でも、それ以前から…
門前払い食らっててんし(笑)」



私たちがした事によって、
傷ついた人の多さ
失ったものの大きさを
改めて感じました。

No.184

暗い気持ちのまま正月休みが終わり、

朝礼のあと辞令が発表されました。


磯部部長は、
昇格できませんでした。


見るからに落ち込んでいました。


いえ…正確には…
荒れていました。



廊下ですれ違った時に、磯部部長に声を掛けたのですが、
返事もない…



仕事初めということもあり、定時の5時になると


「飲みに行ってくる」

と磯部部長からメールが届き、


大槻さんを連れて早々と飲みに行きました。




会社でひとり、私が残業をしていると


宅間弁護士から電話がありました。


【先日、先方の弁護士と話し合いをした】とのことでした。


「今日はもう仕事は終わりなので、
今から事務所にお伺いします」



私は足早に会社をあとにし、宅間さんの事務所へ向かいました。



事務所前に付くと、シャッターの閉まった事務所の前で
宅間さんが待っていました。

No.185

「僕がいつまでも会社に居ると、
事務の女の子が帰れないんでね。
新年早々、残業させるのは悪いから(笑)。」



「すみません!!
てっきり8時まではお仕事かと…」


「いえいえ。
言わなかった僕も悪いんだし(笑)」



「小汚い店だけど、めちゃくちゃ旨い居酒屋があるんです。
良かったらどうですか?」



私たちは、その居酒屋へ向かいました。

No.186

【公正証書を交わした後に慰謝料を振り込む】

前妻さん側に異存はなく
公正証書の段取りと振り込み日の日程が告げられました。


美味しい料理とビールと、楽しい世間話に心がほぐれた頃、

宅間さんが言いました。


「毒さん…

こんな事を言うのは失礼なんですが…


お相手の方(磯部部長)と一緒になるおつもりですか?」




私は黙ってしまいました。



「どうしてですか?」



「はっきり言わせてもらいます。


繰り返しますよ。そういう男性は。




浮気を、ね」







私は言葉が見つからないまま、
深く頷きました。

No.187

身勝手なもので、
自分たちが浮気の末に幸を得たくせに

自分は浮気をされたくないと思う。



心の片隅に感じていた矛盾や不安を、ズバリと指摘された気持ちでした。



「ごめん…お節介ですよね」



黙る私を見て、
宅間さんが言いました。



「いえ。仰る通りです。
…分かってるんです」


「分かってる?」




そう。
分かっている。



宅間さんの言葉で、私は今まで逃げていた自分の気持ちと
そろそろ向き合わないといけないと感じました。

  • << 191 「え?バツ2?」 聞き返した私に 洋子さんはまた けたたましく笑いました。 「やっぱり? やっぱり聞いてなかったんだ(笑)」 「洋子さんの前にも、奥さんが居たってことですか?」 「そうよ!その通り。 私と付き合いだした時も、彼は既婚者だったんだけどね(笑)。 分かりやすく言えば、私たちも略奪婚だったわけ。 どう?ショックでしょう?」 洋子さんはまた、 けたたましく笑いました。 「私はあなたと違って要領がいいから、慰謝料を払わずに済んだけどね。 でも、バカ正直なあなたが可哀想だから 教えてあげようと思ってね(笑)」 その後、洋子さんは 自分たちが略奪婚に至った経緯を長々と話していました。 私は聞くともなしに相槌を打ちながら ガンガン痛む頭を抱え込んで居ました。

No.188

不倫の真っ只中にある時も、磯部部長が離婚に至った時も

私は【自分が磯部部長にとって特別な存在。私だから離婚に至った】とは思ったことがありませんでした。


私で良かったのか?
私が離婚させてしまって、良かったのか?

もっと他に相応しい人が居るのでは?


いつかは、その相応しい人が現れるのではないか?


でも
現に私は、磯部部長から家族…奥さん、お母さん、義理両親…を奪ってしまった。


私には、もともと【家族】なんて居ない。

でも磯部部長は、私のせいで
たくさんのものを失ってしまった…



私には計り知れない喪失感だろう…



その後の宅間さんとの会話は、
ほとんど頭に入っていませんでした。

No.189

少し飲み過ぎてしましたのか、
どうやってタクシーを拾ったのかも記憶にないまま家に着きました。


熱い風呂から上がると11時前。


体を拭いていると、携帯が鳴りました。


磯部部長の【帰るコール】だと思い、電話に出ると





「毒さん?」




聞き覚えのない、女性の声でした。

No.190

「磯部の妻です…あぁ…正確には元妻…になるのか(笑)」



「………」



「今、磯部はそばに居るのかしら?」




「いえ…居ません」




「私とあなた、同じ大学の同級生って、知ってた?」




「………いえ」




「キャンパスで、顔を合わせてたかも知れない女に、夫を取られるなんて…すごい偶然だと思わない?」



洋子さんが、けたたましい声で笑いました。



「今回のことは、本当に申し訳ありませんでした…」



「思ってもないこと、言わなくっていいって!」


洋子さんは、ピシャリと言いました。



「あなたに一つ、忠告してあげようと思ってね」




洋子さんは続けました。



「多分知らないと思うけど、
実はあの人…











バツ2なんよ」

No.191

>> 187 身勝手なもので、 自分たちが浮気の末に幸を得たくせに 自分は浮気をされたくないと思う。 心の片隅に感じていた矛盾や不安を、ズバリと指… 「え?バツ2?」
聞き返した私に



洋子さんはまた
けたたましく笑いました。



「やっぱり?
やっぱり聞いてなかったんだ(笑)」



「洋子さんの前にも、奥さんが居たってことですか?」




「そうよ!その通り。
私と付き合いだした時も、彼は既婚者だったんだけどね(笑)。
分かりやすく言えば、私たちも略奪婚だったわけ。


どう?ショックでしょう?」



洋子さんはまた、
けたたましく笑いました。



「私はあなたと違って要領がいいから、慰謝料を払わずに済んだけどね。

でも、バカ正直なあなたが可哀想だから
教えてあげようと思ってね(笑)」



その後、洋子さんは
自分たちが略奪婚に至った経緯を長々と話していました。


私は聞くともなしに相槌を打ちながら
ガンガン痛む頭を抱え込んで居ました。

No.192

洋子さんの話によると、一番最初の奥さんと磯部部長の間には、
中学生になる子供もいるとのこと。





離婚成立後、
磯部部長は毎日私の部屋に寝泊まりし、自分の部屋で寝ることは皆無でした。


【磯部部長が帰宅したら、問いただすべきだろうか?】


【昇格出来なかった今、この話を持ち出すのは止めておこうか】


【でも…こんな重大なこと、黙っていられない…】



私は出口のない考えを巡らせていましたが、
その日は結局、磯部部長は帰宅しませんでした。

No.193

翌朝、私が出勤すると
磯部部長は既に着席して新聞を読んでいました。



昨日と同じワイシャツ…



どこかに泊まったんだ。



街の中心部から、タクシーで15分の自宅。


いつでも帰れる家に帰らずに何をしていたのかは…
明らかでした。

No.194

その日の私は、就業時間が過ぎても残業に追われていました。

年明けに入社した新人社員さんの為の資料を作り終えたのが、夜の9時。



磯部部長に電話すると、かなり不機嫌な声で

「いま家。今日はもう寝るから」



今日は、洋子さんに聞いた話をしない方がいい…


そう直感したけれど、
顔を合わせたら問い詰めてしまいそうな自分が怖くて



「分かった。
私はあと少し残業するから、
先に寝てて」と言い



私は雪子の店に向かいました。






「お腹ペコペコ!
何か作って!」



そう言いながら雪子の店に入ると



「あ!毒さん!
お疲れ様♪」




雪子より早く声を掛けてくれたのは




宅間さんでした。

No.195

「あ!宅間さん…

昨日はありがとうございました」


私が宅間さんに挨拶すると、

「あら?知り合い?」


雪子が私におしぼりを渡しながら言いました。


「うん。熊谷社長の紹介で、ね。
びっくりした?」



「そんなもん、ビックリせんよ。狭い街なんじゃけ。

それより…
なんで毒が弁護士先生を紹介されるん?
なんか悪さでもしたんじゃろ?
そっちの方がビックリじゃ(笑)」




雪子は意味あり気に笑いました。



私と宅間さんも、
目配せしながら苦笑いしました。



店には、
私と宅間さんと、
一組のカップル客のみ。


私が一杯目のワインを飲み干す頃には、
カップル客も店を出て行きました。


「今日はのんびりやね。バイトの子も休みなんや?」




「年明けは、いつも全然商売にならんよ。
だからバイトも休ませた。

毒、焼そばなら作れるよ。」



「うん、お願いします」



出来上がった焼そばを持って、
雪子が私達の向かい側へと腰を下ろしました。



「さ…聞かせてもらおうか(笑)」



雪子がニヤリと笑いました。

No.196

私と磯部部長のことは、
雪子も知っていました。

直接話した訳じゃないけど、
前回、私と熊谷社長と磯部部長で店を訪れた際の会話で
感付いた様でした。

「不倫話は吐いて捨てるほど聞くけど、
離婚までしたのなら、本物だと思うよ」


雪子は
昨日の宅間さんとは、違う意見を述べました。



「この先、色々不安もあるだろうけど、その気持ちを信じればいいと思うよ」




信じる…



信じたい。




でも、【この先の不安】に至る前に、



私はもう
騙されている…





初めて事情を話した人の前で


私は涙を流してしまいました。

No.197

「毒!?大丈夫!?」


「毒さん?どうしたんですか?」



幸せのスタートラインに立っているはずの私の突然の涙に、
二人は驚いていました。



「ごめん…
大丈夫…ごめん…」


「いいよ。いいよ。
気が済むなら、話してごらん」


二人の温かい言葉に私は

昨日、洋子さんと話した会話を告げてしまいした。




黙り込む二人。




長い沈黙のあと、
まず宅間さんが口を開きました。

No.198

まずは、宅間さんが口を開きました。


「毒さん…
まず、弁護士として言わせて下さい。


今後は絶対に前妻さんとの会話はしないで下さい。
それから…毒さんのご実家に前妻さんが電話をした事。どうして黙ってたんですか?
そういう事は、きちんと報告してくれないと困ります。」



一呼吸置いて



「次は毒さんの友人として言います。


やめておいた方がいい。

昨日も言った通り【浮気を繰り返す】
現に繰り返してるじゃないですか?

しかも前々妻との間には子供まで居たなんて…

詐欺ですよ、詐欺!
立派な詐欺罪です!
仮に毒さんがそんな事実を知っていたら…」



「まぁまぁ…宅間さん…
それはまた弁護士の意見に戻ってるね」


熱くなる宅間さんを、
雪子が制止しました。



「私も…


宅間先生と同じ意見。やめとき。別れ。
毒への気持ちが真剣やから離婚したんやと思ったけど…それが二度目となれば
ただの【簡単に家庭を捨てる男】じゃね。

間違いなく繰り返す。
やめとき。」



私が昨晩出した答えと同じ意見を、
二人は口を揃えて言いました。

No.199

「でも…

私は磯部部長から全てを奪ってしまった。

お母さん、奥さん、義理のご家族…それから昇格。


なのに今更…」



「それはお互い様です!
毒さんだって、ご実家に勘当されたじゃないですか!」



事情を知らない宅間さんは、言いました。



「それは違うんです。」


私は、
簡単な親子関係を宅間さんに話しました。




「毒さん…幸せになりましょうよ…
幸せになる道を選択して下さいよ…」



宅間さんは、泣いていました。

No.200

>> 199 【私達が何を言っても、決めるのは毒。
でも100人居たら100人が、『毒も同じ目に合うから、やめておき』って言うと思うよ】


これが、二人の意見でした。



分かっている。


私も、分かっている。


でも、磯部部長から全てを奪っておいて

今更『別れたい』なんて言えない。



一人になるのは、怖くない。


でも…職を失うのは怖い。



帰りたくない。



でもそろそろ帰らないと…



私は、雪子の店を出ました。


雪が降っていました。


【今夜に掛けて、大雪になる】


タクシーの運転手が教えてくれました。

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