空を見上げて
…パパ
これから
美月のもとへ
行きます
逢えるかは
わからないけれど…
お義母さんにも
美月にも
逢えるかな…?
優月をよろしくお願いします
…ごめんなさい
新しいレスの受付は終了しました
私は
その事にものすごく動揺して
朝起きた時から今まで美月が少しでも動いていたかどうかを
一生懸命思いだそうとした
…でも思いだせなかった
朝起きてから
たった今まで
バタバタと家事をしたりしていて
美月が動いたかどうかすら気にもとめていなかった
美月がお腹の中を動くことが
当たり前になっていて
少しも気にしなかったのだ
…昨日の夜は確かに動いていた
修一と電話をしている時
1ヶ月前ほどに家具屋で美月のために選んだタンスが
やっと届いたと
修一が言ってきた時
美月はいつも以上に激しく動いていて
『タンスが届いたのが伝わったのか、嬉しくて美月がすごく暴れてるわ(笑)』
と確かに修一に言ったのを覚えている
修一はすごく喜んで
『じゃあさっそくタンスの中に美月の服を入れておくよ』
と言っていた
だから間違いなく昨日の夜は動いていたのだ
でも今日は…
もしかしたら
少しだけ動いていたかもしれない
私が気がつかなかっただけかも…
私は祈るように
いつも美月に話しかけていた時と同じように
人指し指と中指で軽くお腹を叩いて
『みーちゃん』
と声をかけてみた
何度かそうやって
声をかけてみたが
…それでも
美月は動かなかった
私は母に
美月が動かなくなった事を
激しく動揺しながら話した
半泣きになっている私に
『出産が近いのよ。 出産が近いと動かなくなるものなのよ』
と母は気にもとめない様子で
テレビを見ていた
確かに妊娠の雑誌で
出産間近になると
胎動が少なくなると見た記憶がある
私は部屋に行って
雑誌を引っ張り出してきて
その部分を何度も何度も読み返した
まるで
自分に
大丈夫
絶対に大丈夫
と言い聞かせるかのように
自分自身を納得させて安心させるように…
…何十回も読んでも
それでも
やっぱり不安は消えなかった
横になったり
お腹を撫でてみたり
お腹を軽く叩いてみたり
いろんな事をしたけれど
美月は少しも動かない
私は
もうボロボロ涙がこぼれてきて
『お母さん… 動かないよ… ちっとも動かないの… どうしよう… どうしよう…』
泣きながら母に
すぐ病院に連れて行ってくれるようにと頼んだ
テレビを見ていた母は泣きじゃくる私に驚いて
『大丈夫だって! 出産が近いのよ! 』
と笑っていた
それでも
どうしても今すぐに病院に行きたかった
単なる心配症と笑われたっていい
美月が元気なら
どんなに笑われたってかまわない
母の言葉にも
耳を傾けずに
ただただ
『お願いだからぁ… お願いだから病院に連れていってぇぇ…』
と泣いて泣いて止まらない私を
母は呆れたような顔をしながら
渡辺産婦人科に電話をいれてくれた
その時間はまだ昼休憩の時間帯だったが
先生が診察してくれるというので
私と母はすぐに病院に向かった
私は車の中で
ずっとずっと
お腹をさすり続けていた
亡くなった父や神様に
どうか美月が無事でありますように見守ってください
と祈り続けていた
10分後
私達は病院についた
昼休憩中だというのに私達を待っていてくれた先生と助産師さんに私と母は頭を下げた
ベッドに横になり
お腹にゼリーを塗られて
エコーの機械を当てられる…
何度も何度も
先生は
エコーを見ていた
位置をかえて
何度も
何度も…
いつもより
長い時間をかけて
先生はエコーで美月の状態を見てくれている
私も母も
エコーにうつる
美月の姿を
ただ黙って見つめていた
『… … 赤ちゃん ……亡くなっています』
私は
心臓をもぎ取られたかのような
強いショックをうけた
母も黙っていた
なんで… ?
なんで… ?
嘘でしょ… ?
どうして………
どうして…………
私は
ただ涙があふれて
この状況が把握できなくて
身体をブルブル震わせながら
声にならないような声で
泣いていた
先生は
これからの事を
母に説明していたが
私の耳には
聞こえているはずの先生のその声もまったく
入ってこなかった
助産師さんは
泣いている私の肩を
ただ黙って抱いていてくれた
『声をあげて泣いていいんだよ… 今は誰も患者さんはいないからね… 』
助産師さんの
その言葉で
私は今までにあげたことのないような
大きな大きな声をあげて泣いた
産まれてから
今まで生きてきた人生で
一番泣いた
辛いとか
悔しいとか
悲しいとか
そんな感情で泣いているわけじゃなく
…あるのは
ただ
絶望だけだった
美月が亡くなった
そんな事信じられるわけがない
…だって
……だって
昨日の夜はしっかり動いていた
……いつ?
………いつ亡くなったの?
私がバタバタ忙しく
家事や
祖父母の世話をしていたから…?
祖父母のオムツを替える時に
身体中に力をいれたから…?
ちゃんと休まなかったから…?
階段を走って登ったから…?
…私のせいだ
全部
全部
私のせいだ…
『私が… 私が悪いんです… 私が… 動いてばっかりいたから… だから… 私が悪いんです… 』
泣きじゃくる私に
『今はまだ原因はわからないけど、お母さんがどうしたから、とかそういう事ではないですよ。 お母さんのせいじゃないからね。』
先生は泣きじゃくって自分を責める私を
優しく優しく
私のせいなんかではないと
話してくれた
『…これは事故みたいなもので誰にでもありうる事なんです。』
とも言ってくれた
でも
事故
私の中では
そんな言葉で簡単に片付けられない
一週間前に
ううん
昨日にでも
陣痛促進剤を使ってでも
無理矢理出産してれば良かった…
そうしたら
美月は死なずにすんだのに…
母はずっとうつむいていた
もしかしたら
母が飛び歩いていたせいで
私が動かざるをえなかった事を
後悔していたのかもしれない
先生は
『明日入院してください。』
と言ってきた
明日から2日かけて
子宮口を広げ
子宮口が開いた時点で陣痛促進剤を使って
出産することになる
というような事を言っていたと思う
説明をうけた私と母は
無言で病院を出た
車を運転しながら母は
『…千春 ごめんね』
と謝ってきた
私は無言だった
そもそも
母が不在だったことが美月が亡くなった理由かどうかもわからないのに
今そんな風に謝られても
なんて答えていいのかわからなかった
それに
今さらになって
美月が亡くなってみてやっと
自分が飛び歩いていたことを後悔して
謝ってこられても
私にはとてもじゃないけど許すことなんかできなかった
それに母が謝るべきなのは
私ではなく
美月にたいしてだ
私と母が謝るべきなのは
美月と
修一と
高森の両親…
…私は
修一に何と言って
美月が亡くなったことを
伝えたらいいのか
わからなかった
自宅に戻った私は
部屋に入って
携帯をずっと持ったまま見つめていた
…なんて伝えよう
昨日の夜
きっと修一は美月のために届いたタンスに
美月の洋服を閉まっていたに違いない
もうすぐ
産まれてくる
私達の愛する美月のために
一枚一枚丁寧に
美月の洋服をしまっていたに違いない
幸せをかみしめながら…
ベビーベッドももう組み立ててリビングに置いたよ
とも言っていたな…
ベビーメリーも用意して
家の中は
すっかり美月一色だよ
と笑っていたな…
ごめんね…
ごめんね…
修一…
美月…
美月が退院する時のために
私が丁寧に丁寧に縫ったベビードレスを
クチャクチャに掴みながら
私はまた泣いた
出産したばかりの美月のために
病院で着せようと思って持ってきた
肌着
ベビー服
靴下
帽子
カバンの中から全部ひっくり返して
全部かき集めて
それを抱えて泣いた
泣きすぎて
喉がカラカラだった
頭も痛かった
水を飲もうと
台所へ行くと
母はダイニングテーブルの椅子に座り
テレビを見ていた
…どうしてこんな時にテレビなんて見れるの?
一緒に泣いて欲しいわけではない
同情して欲しいわけでもない
…でも
車の中での謝罪が本心ならば
こんな状態の時に
テレビなんて見れるもの?
『……お母さんはいいよね 里桜も野映もいるからさ……… 美月1人くらいいなくなったところで…… どうとも思わないんでしょ……?! 』
私は
こんな時でも平気でテレビなんて見ていられる母の姿が
許せなくて
悔しくて
信じられなくて
また泣いた
3ヶ月前には
弟のところに
2番目の女の子の
野映が産まれていた
野映が無事に産まれたから
美月が亡くなってもいいなんて
母は思っていないことくらい
私だって充分にわかっていた
やり場のない怒り
やり場のない悲しみ
…それをただ
母にぶつけたかっただけだ
母は大声で泣きながら怒鳴る私の姿に驚いていた
『お母さんのせいだよ! お母さんが家にいなかったから! あんなの里帰りなんかじゃないもん!』
私はまた泣いた
母は黙っていた
何も言わずに黙っていた
…もしかしたら
泣いていたかもしれない
私は
冷蔵庫に入っているお茶のペットボトルを手にとると
おもいっきり冷蔵庫のドアをしめた
部屋に戻り
泣きながら修一に電話をかけた
修一の仕事の最中になんて今まで一度も電話をかけたことなんてなかった
さっきまでは
なんと伝えたらいいのか分からなくて
なかなか電話をかけられなかったが
今は
感情のまま
修一の携帯の番号を押していた
私からの着信に
修一は当然
陣痛がきたんだ!
と思っていたようだった
だから
電話に出てすぐ
すごく嬉しそうに
『陣痛きたのか?』
と聞いてきた
私は
泣きながら
泣きじゃくりながら
『……………美月が死んじゃった……………………』
と伝えた
思いもよらぬ言葉に
修一は言葉を失っていた
『……………………………………なんで?…………………………………』
修一もまた
それを言うだけで精一杯だったようだった
『………わからない ………わからないの でも……… 死んじゃっ………… っ… うっ…… うっ……』
もう言葉にならなかった
お腹を一生懸命さすりながら
ただただ泣いた
修一はずっと黙っていた
さっきまで聞こえていた
修一の電話の向こうの電話のベルの音や
賑やかな声が聞こえなくなって
あたりが静かになったことを考えると
修一はどこかに移動したのだろう
『………………だから……… 戻ってこいって……… だから……… 何度も言ったじゃないか……… 』
修一は声を押し殺して泣いていた
私は
ただただ
『ごめんなさい…… ごめんなさい……』
と謝った
電話を持ったまま
何度も頭を下げて謝った
言葉もなく2人で
ただただ泣いた
『……とにかく実家に電話しなきゃ ………俺 何て言えばいいんだよ…… あんなに楽しみにしているお母さんに……… なんて言えばいいんだよ……… 教えてくれよ……… 』
高森のお義母さんの事を想ったら
なおさら辛くなってきたのか
修一はさらに激しく泣いていた…
電話を切った2時間後
修一が実家にやってきた
玄関を入ってすぐの
私がいる部屋に
修一は黙って入ってきた
修一は
部屋に入ってくるなり私のお腹に抱きついて
今度は大きな声をあげて泣いていた
会社の中ではさすがに大きな声では泣けなかったのだろう…
私は泣きながらまた
修一に謝った
…何時間泣いただろう
電気もつけず
真っ暗な部屋で
私達は泣いていた
私に怒鳴られた後に
どこかに出かけて行った母が帰ってきた
修一の車が置いてあるのを見て
母が私の部屋に入ってきた
『…電気もつけないで』
電気をつけた母は
私のお腹に抱きつきながら泣いている修一の姿を見て
ひどく驚いたような顔をしていた
『修一さん… 』
声をかける母の言葉を修一は無視していた
…修一の気持ちはわかる
あんなに私の母を嫌っていた修一自らが
『里帰りさせてください』
と母に頭を下げて頼んで
その上に高森の家から大金も持たせてもらった
その里帰りで
私は家政婦のように
家事や祖父母の世話をさせられて
挙げ句の果てに
美月まで亡くなった
となれば
修一じゃなくたって怒るだろう
修一は私のお腹から少し離れて
後ろに立っている母の顔も見ずに
『高森家は… 千春に家政婦がわりをさせるために村上家に里帰りをさせたわけではないです』
…修一の声は
怒りで震えていた
私のやり場のない怒りが母へ向いたように
いや…それ以上に
修一や高森の両親にとっては
美月が亡くなった事の全責任は
私の母にあると
思ったのだろう
母は黙ってうつむいたまま
部屋を出ていった
修一は
母が部屋を出て行った後も
ずっと
ずっと
怒りで肩を震わせていた
『…明日入院だって』
私は
昼間に先生から聞いた
これからの事を
少しずつ
修一に話し始めた
私の口から
突きつけられた現実を伝えるのは
身を斬られるほど
辛くて
切なかった
でも
母の口から修一に伝えたら
修一は怒りで狂ってしまうんじゃないかと思ったら
私の口から言うしかなかった…
それを聞いても
修一はまだあきらめきれないように
『みーちゃん… 』
『みーちゃん… パパだよ…』
『みーちゃん… ホラ… ママのお腹を蹴ってごらん… 』
一生懸命
私のお腹を撫でながら
声をかけていた
泣きながら
何度も
何度も…
それでもピクリとも動かない
私のお腹を見て
修一はまた泣いた
2人でどのくらい泣いたかわからない
…こんな修一を見るなんて
私は
美月を失った悲しみと
修一への申し訳なさで
このまま美月と死んでしまいたい
そう思った
それでも
そうしなかったのは
まだ美月が生きてるかもしれない
…その望みを捨てきれていなかったから
産まれてみたら
元気な産声を聞かせてくれそうな気がしたから…
奇跡が起きるかもしれない…
また何事もなかったかのようにお腹の中で動き始めるかもしれない…
そう考えを変えたら
少しだけ希望の光りが見えてきたような気がした
修一はずっと泣いたままだったが
『…明日の午後から一週間有給をもらったから明日また来るよ』
と言って
泣きながら帰っていった
修一が家に帰ったあと
私はずっと
仏壇に手を合わせ
何時間も
何時間も
奇跡が起こることを祈り続けた
翌朝
目が覚めたのは10時を少しまわっていた
…もしかしたら悪い夢でも見ていたのかもしれない
私はまたお腹の美月に声をかけてみた
…でもやっぱり動かなかった
…夢じゃなかった
また涙はこぼれてきたが
私が今すがれるものは
奇跡
それだけだ
私は奇跡だけを信じて
ゆっくりと入院の準備を始めた
昨日入院の説明を受けた時
助産師さんが気を遣ってくれて
『昼休憩の時間帯に来院してくださいね』
と言ってくれていた
午前中の診察の時間帯は
そんなに混んでいない病院とはいえ妊婦さんも当然いる
午後は出産した人や産まれた赤ちゃんのための面会時間も始まって
賑やかになる
だからきっと
誰もこない昼休憩の時間帯
と言ってくれたんだろうな…
あの助産師さんの
優しさにまた涙がでてきた
本当なら
陣痛がきて出産するための
嬉しいハズの入院
…でも私は
………
……………
希望はまだ捨てていないのに
でも…あきらめている自分もいて
…入院準備をしながらやりきれない思いでいっぱいだった
入院準備を終えた頃
『ご飯食べていきなさい』
と母が声をかけてきた
考えてみたら
昨日の夕食も食べていない…
でも…
とうてい食事をする気分にはなれなかった
お腹も空いていない
『…いらない』
そういう私に
『赤ちゃん産むのに体力つけないと身体がもたないわよ。 出産は体力勝負なんだから!』
と少し怒ったような口調で言ってきた
…別に美月と一緒に死ねるならそれでいいけど
私は
なぜ母に怒り口調で言われなければいけないのか
わからなかったし
苛立ちもした
でも
また喧嘩になるのも嫌で
私は食事をとった
体力をつけろと怒るわりには
いつもと変わらない質素を超えた粗末な食事
…里帰りさえしなければ
頭の中はそれだけだった
無言でさっさと食事を済ませて
私はまた部屋にこもった
昼すぎに
病院に向かうために
修一が迎えにきた
修一はやはり母に挨拶をすることもなく
車の中から
『今、着いたよ。出てきて』
と私に電話をよこした
私も
母の顔もロクに見ずに
『行ってきます』
とだけ言って
荷物を持って家を出た
病院についた私達は
入院の書類などを記入した
私は昨日の助産師さんに案内されて
3階にある病室へと進んだ
本来は2階が病室らしいが
私のように死産や流産で入院する人は3階の病室らしい
2階の踊り場へと進むころ
オギャー オギャー
とかわいい声で泣く赤ちゃんの声が聞こえてきた
胸がしめつけられそうだった
苦しくて
切なくて
悲しくて
涙があふれてくる
…私は聞こえないフリをして
助産師さんに気づかれないように涙を拭い
足早に3階の病室へと進んだ
修一は診察室で先生から
これからの事を聞いていた
今の段階では美月の死因は原因不明だということ
これから行う処置
出産までにおおよそ予想される時間
先生からの説明をうけて
修一も病室へやってきた
私達は無言のまま
しばらく一緒に病室の窓から見える外の景色を眺めていた
…そして処置が始まった
子宮口を広げるために
海草でできている細い棒を子宮口へと入れていく
…辛くて
苦しかった
痛くて痛くて
涙もでてくる
起き上がることすらできずにいる私を見るのが辛かったのか
修一はどこかに行ってしまった…
夜も
痛くて
苦しくて
満足に眠られなかった
美月が
元気で産まれてきてくれるなら
産声を聞くことができる幸せな出産なら
この痛みの先にまつ
光り輝く幸せ
そのために耐えることもできる
でも…
産声のない
おめでとうの言葉もない
悲しい出産のために
この痛みに耐える必要はどこにあるというのか…
わからなかった
確かに私は少しずつ
現実を受け入れることができ始めていた
でも
たとえ亡くなっていても美月がこのまま
私のお腹の中にいてくれるなら
それもいいと思っていた
出産して
美月の顔も見たい
美月を抱っこしたい
それも本当だ
…でも
産んでしまえば
その後に待っているのは
悲しすぎる別離…
遠い遠い空へ
私の愛する美月を
還さなければならない…
この痛みが
美月との別れのための痛みだと思うと
胸が苦しくて
気が狂いそうだった
…神様なんて
この世には
いない
少なくとも
私の人生に
神様は
…もう必要ない
翌日も
海草の棒によって
開いてきた子宮口を
さらに広げるために
さらにまた海草の棒を増やした
その時間は
私にとっては恐怖以外の何ものでもなかった
修一は午後の面会時間になると
逢いにきてくれた
昨日修一がどこに行ったのかは聞かなかった
修一だって
修一なりに
心の中で
ふんぎりをつけようとしているのだと思った
痛みで
顔を歪めて
布団にもぐって
泣いて苦しむ私を
ずっと
ずっと
布団の上から
さすり続けていてくれた
私の好きな飲み物や
私の好きな食べ物を
たくさん
買ってきてくれた
母も毎日お見舞いにきてくれていたが
修一は母のことは
無視したままだった
私もまた
母とは話す気持ちにはなれず
無視したわけではないが
無言のまま
母との時間を過ごした
夕方
私の子宮口の広がりを見てくれた助産師さんが
『明日 薬をいれて出産になりますね』
と教えてくれた
…明日
美月に逢える
…明日
美月を抱ける
お腹の中にいるのも
今日で最後
私は
ずっと
お腹をさすり続けた
亡くなってても
私が愛しく思う気持ちは
届いているよね…?
翌日
朝10時すぎから陣痛促進剤をいれた
それでも
最初のうちは
少し痛いかな…?
程度だった
痛いかどうかと聞かれれば
痛い感じはする
痛いような
痛くないような
お腹が強めに張るくらいの痛みだった
お昼をすぎた頃
また陣痛促進剤をいれた
少しずつ痛みは強くなり
1時間くらいの間隔だった痛みも
30分くらいの間隔で痛んできた
そして
それから少しして
高森の両親が病院にやってきた
『…千春さん 』
『美月ちゃん…』
お義母さんは
涙ぐみながら
私のお腹を撫でてきた
あの気丈なお義父さんも
お義母さんの後ろで
涙ぐんでいた
『…申し訳ありません ……本当に ………ごめんなさい 』
泣いて謝る私に
『……千春さんが無事ならそれでいいから』
お義母さんは優しかった
少しずつ強まる陣痛の時も
お義母さんは
黙って私の腰をさすっていてくれた
陣痛の間隔が狭まったかと思えば
また間隔が伸びていく
なかなか
陣痛が進まなかった
…早くこの痛みから解放されたい
…でも
お腹から出てきてしまえば
永遠の別れはすぐそこにある
…複雑だった
夕方4時すぎに
また陣痛促進剤をいれた
だんだん
痛みは強くなってくる
子宮が収縮する痛み
本当なら
美月が元気なら
私の子宮収縮に合わせて
美月も私の中から出ようと頑張るのだろう
でも
美月はこの世に出たいと思っているわけではなく
…ただ私の身体に無理矢理出されているだけ
そう思うと
身体の痛みよりも
心の痛みで
どうにかなってしまいそうだった
日が落ちる頃には
陣痛も5分間隔を切り
痛みはピークになっていた
痛みでもう何も考えられなかった
こんな痛みがあるのかと
信じられなかった
ベッドの柵につかまって
悲鳴にも似た声で
ひたすら痛みが引く時を待った
助産師さんの誘導で分娩室に修一と一緒に移動して
分娩台にあがる
いきみたいのに
痛みで腰がひけてしまう
『赤ちゃんの頭が見えてるから腰をひかないで!』
…美月の頭がもう見えている?
…美月に逢いたい
…美月に早く逢いたい
…美月を抱きしめたい
もう頭の中はそれだけだった
『みーちゃん 頑張れ…』
私は痛みに叫びながらも美月の名前を呼び続け美月を励まし続けた
私のその叫びを聞いて
私の手をずっと握りしめていた修一もまた
『みーちゃん… 頑張れ…… 頑張れ… ママと一緒に… 頑張れ…』
泣きながら美月を励ましていた
美月の頭が常に見えている状態になってからは
陣痛の時のような痛みではなく
陰部が焼けつくように熱くて
裂けてしまうような強烈な痛みが続いた
あまりの強烈な痛みに私はパニックになり
そして過呼吸状態に陥った
袋で呼吸をしながら
無我夢中で
ただ頑張った
どのくらいの時間が経ったかわからない
21時34分
『高森さん! 赤ちゃん産まれましたよ!』
3195㌘
美月は産まれた
あれほど辛くて苦しかった痛みも
美月が産まれてからは嘘のように退いていった
美月が産まれた瞬間
オギャー
美月の産声が聞こえた気がした
…でも
おめでとうございます
もなく
美月の産声も聞こえない
ただ静まりかえる分娩室
その現実が
あまりにも耐えられなくて
静まりかえる分娩室の中
私は大きな声で泣いた
美月を出産したあと
1時間半くらい
産後の私の状態を観察するために
私はそのまま分娩台の上で休むことになった
美月が亡くなった事が判ってから
今まで満足に睡眠をとっていなかったこともあったし
痛みから解放された安堵感もあって
私はすぐに眠りに落ちた
『………高森さん 』
1時間半後
助産師さんに声をかけられて
私は目が覚めた
病室に戻るため
歩こうと一歩を踏みだすが
会陰切開した後が痛くてとても普通には歩けない
手すりにつかまりながらゆっくりとゆっくりと病室へ進む
分娩室から病室に戻るまでの間
他の病室から赤ちゃんの泣き声が何度も聞こえてきた
その度に胸は締めつけられたが
不思議と涙は出なかった
やっとの思いで病室に戻ると
修一と高森の両親が待っていた
『赤ちゃん今連れてきますね』
助産師さんはそう言って病室を出ていくとすぐに
お風呂に入れてもらって
おくるみにくるまれた
キレイになった美月を連れてきてくれた
初めて抱く
愛する我が子…
なんて愛しいんだろう…
美月は
3200㌘近くもあったので
どこからどう見ても
普通の赤ちゃんだった
色白で
ぽってりとした頬
ツンと上を向いた鼻は修一に似ていて
薄い唇と
眉毛の形は私に似ていた
今にも
目を開けて
オギャーと泣き出しそうなのに…
…その目は固く閉じたままだった
修一と高森の両親は
心から愛おしむように
かわるがわる
美月を抱っこしていた
美月が生きていたならば
どれだけ幸せに満ちあふれた空間になったことか…
その小さな目をあけることも
その小さな瞳で
ママとパパを見ることも
その小さな唇で
ママのおっぱいを飲むことも
…その小さな口で
ママ パパ と呼ぶこともない
………その小さな手でママとパパのぬくもりに触れることもできない
美月の姿を見ると
ただ美月がかわいそうで
ただ美月に申し訳なくて
涙だけが
とめどもなく溢れてきた
美月を抱きながら
叫びながら泣いた
ごめんね
ごめんね
ごめんね
ママのせいだね
ごめんね
美月を強く抱きしめて
何度も
何度も
謝った
近くのホテルに泊まる高森の両親を
病院の玄関まで見送った修一が部屋に戻ってきた
『ちょっと見てごらん』
修一がカーテンを開ける
『………ん? 』
昨日と変わらない景色に首をかしげると
『違う違う(笑) 上だよ上 月を見てごらん』
空を見上げれば
本当に美しい月と星空が広がっていた
私達が
美月の名前を決めた時に
2人で思い描いたような
幻想的な月…
美しい月…
美月…
『美月はきっとあの月から俺と千春のことを見ていてくれる。』
修一は美月を抱いてそう言った
…まるで
悲しみにくれる修一自身を
自分自身で立ち直らせようとしているかのように
私も
美しい月をずっと見つめていた
少しして
私の母も病室にやってきた
母は美月を抱きながら泣いていた
父が亡くなった時には一切泣かなかった母
幼い時から私は母が号泣している姿を見たことがない
その母が
美月を抱いて
今こんなにも泣いている…
『…ごめんね …ごめんね』
美月を私に抱かせて
母は
私と美月と修一に深く頭を下げて謝ってきた
『お母さん…』
私は何も言えなかった
修一もまた
何も言えずにいたようだった
私はその日
亡くなっている美月と添い寝をして
深く深く眠った
次の日
美月は助産師さんに連れて行かれた
まだ暖房が必要な季節だから
死後あまり暖めるのは遺体にとって良くないらしい
修一は
午前中のうちに死産証明書の提出やら
小さいながらも行うことにした葬儀の打ち合わせにと
バタバタしていた
亡くなった父や先祖の眠るお寺のご住職に母が話しをしてくれて
明日そのお寺での葬儀が決まった
午後からは修一と私で先生から今回の件の話しを聞いた
美月の死因はわからなかった
臍帯が必要以上にねじれていたわけでもなかった
胎盤と臍帯を結ぶ位置が悪かったわけでもない
臍帯が美月の首に巻き付いていたわけでもない
解剖してみないと原因は解明しないと言われたが
こんなに小さな身体にメスを入れるのは
あまりにも偲びなく
かわいそうで
私達は解剖を断った
産まれたままの姿で
空へと還してあげたかったから
病室に戻りしばらくすると母が見舞いにやってきた
『明日のお葬式に雅樹と真耶さんが来てくれるって言ってたけど… どうする? 』
母が聞いてきた
高森家は高森の両親だけが明日の葬儀に出ることになっていた
まだ独身の妹さんや
不妊治療を行っているお義姉さんには
死産という形で亡くなってしまった美月の姿を見せない方がいいだろう…
そう修一と高森の両親で考えたからだ
『申し訳ありませんが高森の家からも両親しか出席しませんので、弟さん夫婦には欠席していただきたいんです』
私が何かを言う前に
修一が母にキッパリとそう告げた
『……里桜と野映は来ないわよ? 杉本さんのご両親に預けるって言ってたから 』
母は
修一が子供の姿を見るのが辛くて
それで弟夫婦の出席を断ったのだろうと思ったらしい
『…いえ そういう事ではなくて。 うちの姉や妹ですら出席しないのだから、弟さん夫婦にも来ていただかなくて結構です』
修一の強めの口調に
『……わかったわ 雅樹には明日の葬儀は出席しなくてもいいって伝えておく 』
母は少し悲しそうだった
私は弟には出席してほしかった
弟には美月の姿を見て欲しかった
ふと脳裏に
父の一周忌の時の
3ヶ月前に産まれたばかりの野映を妊娠したと
幸せそうに微笑む弟家族の姿が浮かんだ
私が自分の幸せを重ねて描いたあの光景…
きっと野映を出産した時
弟の奥さんは喜びの涙を流し
弟は野映を抱きながら微笑んでいたに違いない
里桜はお姉ちゃんになれたことに
ピョンピョン飛びながら喜んでいただろう…
…弟はともかく
弟の奥さんには来て欲しくない
きっと
亡くなった美月を見て
無事に野映を産めたことの幸せをかみしめるのだろう
人の不幸を目の当たりにした時
同情の裏には必ず
『自分はこうならなくて良かった』
『自分はこうならないように気をつけよう』
そんな思いに繋がるものだから……
もともと私は弟の奥さんに対して
【デキ婚で弟をハメた嫁】
といい印象は持っていなかった
今まで満足に話したこともないし
話すつもりもなかった
だから
明日の美月の葬儀に
弟の奥さんになんて出席してもらうつもりは最初からさらさらなかった
…でも弟は違う
弟には叔父として美月を見送ってあげて欲しかった
私は修一に
弟を葬儀に参列させてほしいと頼んだ
修一は
私の母に断った理由と同じことを私に言ってきたが
私は
とにかく弟だけは…
と頭を下げた
美月を見送るのは
人数が多い方が美月も喜んでくれる
とか
村上家からは母1人しか参列しないのだから人数を合わせた方がいい
とか
いろんな理由をつけて修一に頼んでみた
修一は最後まで
いい顔をしなかったが
私が頭を下げて頼むのを見て
『…じゃあ弟だけなら』
としぶしぶ承諾してくれた
私は母にすぐに連絡して
弟に明日出席するようにと伝えてもらうことにした
兄が音信不通な今
弟だけが
唯一頼れる兄弟だ…
弟なら
同情とかではなく
血の繋がった姪の死を
心から悼んでくれる気がした…
しばらくして
母から
【雅樹明日出席するそうです。】
とメールがきた
良かった…
美月…
おじさんに逢えるよ…
どんなことでも
私は心の中で美月に語りかけていた
3時くらいになり
私は出産後初めてシャワーを浴びた
ペチャンコになった
私のお腹をあらためてよく見たら
切なくて
悲しくて
辛くて
やりきれなくて
涙がどんどん溢れてきた
…もっとお腹の中に入れておきたかった
…いや
もっと早く陣痛が来ていたら
美月は死なずに済んだのに…
ペチャンコになったお腹は
明日の美月との別れをさらに突きつけているように感じた
今朝から飲み始めた
母乳をとめる薬もそうだ
身体は美月のために
母乳を作っているのに…
…それを美月は飲むことはない
悪露も普通にあったので
身体を清潔にしなければいけないのはよくわかっていたが
美月のいなくなった自分のお腹を見るのが
悲しすぎて
苦しすぎて
辛すぎる現実から目をそらすように
私はそれから退院するまでのしばらくの間シャワーを浴びなかった
夕食後
助産師さんが美月を部屋に連れてきてくれた
『今日はお父さんと赤ちゃんとお母さんの3人で川の字で寝てみたらいかがですか』
修一は
思ってもみなかったその申し出に
すごく喜んでいた
部屋も
和室の特別室を使っていいと言ってくれた
…嬉しかった
本当に…
特別室に移動した私達は
畳に敷いてある2組の布団
その真ん中に敷いてある赤ちゃん用の小さな布団に美月をそっと寝かせた
美月はもう冷たくなっていた
その冷たさがまた切なくて
私達はまた泣いた
氷のように冷たい美月を
暖めてあげたかった
私の体温の全てを使っても
私の命を差し出しても
美月の身体に再び血が通うなら
それでもかまわない
美月のために死ねるなら本望だった
…明日なんてこなければいい
…永久に今が続けばいい
目を閉じてしまえば
明日は来る
目を閉じなくても
やっぱり明日はくる
私と修一は
冷たくなった美月の顔を髪を撫でながら
明け方まで起きていた
いつまでも
美月の顔を見つめていた
そして写真を撮った
美月を抱く私
美月を抱く修一
美月と私と修一の3人で撮った写真
美月がこの世にいた証…
死産だから
戸籍に載ることはない
高森 美月
この名前は戸籍には残らない
…でも
美月は私と修一の
かけがえのない
何にも変えることのできない
初めての我が子…
窓の外には
昨日と同じく
美しい月が
寂しく
輝いていた…
翌朝
明け方に寝たのに
6時前には目が覚めて
また美月をずっと
眺めていた
この愛しい姿を
一生忘れないように
何十年経っても
少しも色褪せずに
私の記憶にあるように…
朝食が運ばれてくる頃
修一は
9時半に美月を迎えにきます
と助産師さんに頭を下げて
高森の両親の泊まるホテルへと帰っていった
朝食が運ばれてきた時に
美月は助産師さんに連れて行かれた
私は
妊娠中に美月のために丁寧に丁寧に縫って仕上げたベビードレスを助産師さんに渡し
『これを着せてあげてください…』
と頼んだ
美月の葬儀は10時から
火葬は11時半からと聞いていた
私はどうしても
葬儀には出たくなかった
火葬場で
美月の入った棺が
焼かれる瞬間のことを考えただけで
気が狂いそうだった
『千春はここにいた方がいい』
私の気持ちを考えてくれたのか
昨日
修一は自ら私にそう言ってきてくれた
…母親として
我が子の最期を見届けることが
本当は一番なのかもしれない
でも…
でも…
どうしても
それだけはできなかった
時間が
1分…
1秒…
進むだけで
私は辛かった
美月とお別れの時間が近付いてくる…
一緒に死ねたらどんなに幸せだろう…
美月…
美月…
美月………
私は朝食を目の前にしても
一口も口に入れることもなく
ただただ泣いていた
たくさん
美月に伝えたいことはあるのに
今はもう
美月の名前しかでてこない
本当は
今すぐにでも
助産師さんのところから美月を奪って
一緒に3階のこの病室の窓から飛び下りてしまいたかった
それなのに
それすらできない自分に腹がたって
何もかもが思い通りにならなくて
苦しくて 悔しくて
許せなかった…
朝食の時間が終わって
先生による産後の内診が終わった後
ベビードレスに身を包んだ美月が再び私の部屋へやってきた
『お母さん 洋裁上手なんですね。 美月ちゃんにピッタリ! すごく似合っていてかわいい!』
助産師さんは
ベビードレスを着た美月をすごく褒めてくれた
渡辺産婦人科の助産師さんはいつでも
どんな時でも
亡くなった美月を
まるで生きてるかのように
接してくれていた
美月という名前をつけたと話した時も
『素敵なお名前ですね~! 素敵なお名前つけてもらってよかったねぇ』
と美月に微笑みかけてくれた
朝食が運ばれてきた時も
『美月ちゃん お母さんこれからお食事だから看護師さんのところで待ってようね』
と優しく美月を抱いてくれた
命のとまった美月を
まるで生きている他の赤ちゃんと同じように接してくれた
…どれだけ嬉しかったか
『……ありがとう……ございま……す 』
美月を抱きながら
泣いて泣いて
涙のとまらない私を
優しく 優しく
背中をさすっていてくれた
…そして9時半
修一が美月を引き取りに病院にきた
病室に入ってきた修一を見て
私はまた泣いた
『……お願いだから ………お願いだから 美月を連れて行かないで……… 一生のお願いだから…… なんでも言うことを聞くから……… お願いします ……お願いします 』
私はベッドの上に正座をして
ひたすら修一に頭を下げた
頭をこすりつけながら
土下座して頼んだ
『俺だって… 俺だって嫌だよ……… 連れて行きたくないよ……』
修一もまた泣いていた
修一が来たことを受付で知った助産師さんが病室に入ってきた
美月を抱いて
泣き叫んでいる私を見て
『辛いね… 切ないね… 悲しいね… いいんだよ… たくさん泣いていいんだよ… 』
そう言って私を抱きしめて一緒に泣いてくれた
『辛いけど… 美月ちゃんをお空に還してあげましょうね… いつかまた必ず逢えるから… 』
助産師さんの
優しい声
優しい言葉
優しい温もりに
あれだけ泣き叫んでいた私が
みるみるうちに不思議なほど落ち着いていった
美月の顔を見る
どんなに辛くても
どんなに泣いていても
いつだって
美月の顔を見ると
不思議と笑顔になれた
今も
美月の顔を見ると
不思議と笑顔になれた
『みーちゃん また逢えるよね? 天国のおじいちゃんと一緒にいい子にして待っていてね… 』
美月の冷たい頬にキスをした
『ありがとう… ママのところに来てくれて。 ありがとう…』
美月が最後に見る私が笑顔であるように
私は必死で満面の笑みを作った
修一は
一生懸命涙をぬぐって
『じゃあ… 行ってくるよ』
大切そうに美月を抱いて
病室を出ていった…
修一がお寺に美月を連れて行って私の持たせた
美月への手紙
オモチャ
数枚の洋服を棺の中に入れている間
高森の両親は私の実家で修一の連絡を待っていた
美月が亡くなってから
私の母と高森の両親が顔をあわせるのは初めてだった
『……どうぞ 』
母が差し出したお茶に高森の両親は一度も口をつけなかった
美月が亡くなった原因がわからない今
高森の両親もむやみに母を責めることはできなかったのだろう
それでも心中は
母に対しての怒りで凄まじかったと思う
待ちに待った待望の初孫
美月のために
いろんな物を用意して
臨月に入った頃には
美月とみんなで旅行に行けるようにと8人乗りの車まで買い換えていた
美月が亡くなった時
間違いなく修一は
私が修一に愚痴っていた内容を高森の両親に伝えただろう
千春さんが家政婦がわりをさせられたから
美月は亡くなった
美月の死因は不明でも
一生高森の両親は母を恨み続けるのだろう
…そして
修一からの連絡を受けて
お寺で美月の葬儀が始まった
美月の葬儀の間中
修一は泣いていた
ずっと声をあげて泣いていた
高森のお義母さんも泣いていた
私の母と弟は
黙ってうつむいて
美月の冥福だけを祈っていた
私はその時間
母に頼んで持ってきてもらったお経の本を見ながら
美月のためにお経を唱えていた
もう何もしてあげられないから
私にできる事は
美月を天国で少しでも早く
高い位に昇らせてあげることだけ…
初めて読むお経は
途中でつっかえたり
止まったりして
お坊様が読むような流暢なお経では全然なかったけれど
美月のためにしてあげられている
この事は
今の私の唯一の救いになっていた
11時の火葬を考えるのは苦しすぎて
病室の時計は一切見ないようにした
美月のためにお経を唱えることだけに集中して
何度も何度も繰り返しお経を読んだ
葬儀を終えて
火葬場に向かった修一達
お焼香を終えた後
係りの人が美月の棺をゆっくり運び
そして扉を閉めた
修一はもう泣き叫んでいた
葬儀では泣かなかった母も泣いていた
高森のお義母さんは
修一を抱きしめて
修一に負けないくらい泣き叫んでいた
いつまでも
いつまでも………
美月が煙となって
空へ還って行った頃
私はまだお経を読んでいた
泣きながら
お経を読んでいた
みーちゃん…
苦しかったね…
辛かったね…
こんなことになるのなら
ママ
里帰りなんかしなきゃ良かったよ…
みーちゃんが亡くなる前の日の夜
いつもより激しく動いたのは
苦しかったからなんだよね…?
ママに気がついて欲しかったんだよね?
ママ…
気づいてあげられなかった…
ごめんね…
悪いママだよね…
ごめんね…
もう一度
もう一度だけでいいから
ママのお腹に戻ってきてくれるかな?
みーちゃん…
愛してるよ
あなたは
いつまでも
パパとママのかけがえのない宝物だよ
今はゆっくり
神様のもとで休んでね…
修一に頼んで棺に入れてもらった美月への手紙を
天国で美月が読んでくれることを祈りながら
私はただお経を唱え続けた
火葬を終えて
美月は大人用の骨壺の1/3くらいの大きさの骨壺に入って
修一に抱かれて私達の元へ戻ってきた
修一が病室に来る前に
弟が私のお見舞いにやってきた
『姉ちゃん… 』
弟は黙って椅子に座っていた
私もまた黙って
美しく広がる青い空を眺めていた
『実は… 里桜と野映の間に1人… 真耶…流産してるんだ。』
弟はポツリと話し始めた
『…そうなの? いつ…? 知らなかった… 』
初めて聞く話しに驚く私に
『里桜が1歳半くらいの時だったかな… 流産してからしばらくはずっと真耶は自分を責めていてさ…』
弟夫婦は弟夫婦なりに辛いことがあったんだと
その時 私は初めて知った
『…だから真耶なら姉ちゃんの気持ちとか少しは分かると思うんだ。 もう少し落ち着いたら… 姉ちゃんさえ良ければ… 真耶と話しをしてみないか?』
弟は弟なりに
私の心の状態を心配してくれているのだと感じた
『何か月の時に流産したの…? 』
『結局は心拍は確認できなかったから… 3ヶ月になる手前くらいかな…』
……私の状況とは違う
その時の私はそうとしか思えなかった…
心拍が確認できないくらいの妊娠初期で流産した弟の奥さんと
予定日までもうすぐで死産した私とでは
…悲しみの大きさは全然違う
私には
そうとしか思えなかった
それに
弟夫婦には元気な里桜も野映もいる
私には
もう美月を抱くこともできない…
『…一緒にしないでよ』
私は弟の顔も見ないで
窓の外を眺めながらそう言った
『…俺は男だから 女の人の気持ちはよくわからないから… ごめん 』
弟は謝っていた
『でも… どんなに小さくても真耶にとっては里桜と同じくらい大切な子供だったみたいだから… 』
弟はきっと
子供を失った痛みは
妊娠初期でも
妊娠後期でも
一緒なんだよと言いたかったのだろう
…私だって
この世で自分だけが辛い
そんな事は思ってない
お腹にいた週数で悲しみの深さが決まる
そんなことだって思ってない
…でも
私と同じ
臨月近くに死産した人でなければ
私の気持ちは理解できないだろう
…そう思ったのも本当だ
『…ごめんね でも大丈夫だから 』
そう言って
弟の申し出を断った私に
『わかった』
と弟はうなずいていた
弟が帰った後 少ししてから修一が病室にやってきた
風呂敷に包まれた
小さな位牌と
小さな小さな骨壺を
大切そうに抱いて
『戒名をいただいたよ』
修一は小さな位牌を見せてくれた
美しい光りとなって
早く私達の元に再び戻ってこれるように
そういう意味のこめられた戒名だと
修一は教えてくれた
美しい光り…
素敵な名前をつけてもらったね…
美月が火葬された事は
耐えがたいほど
切なくて
苦しいものだったが
この小さな骨壺に
美月は確かに眠っている
その事実だけが
今の私にとって
最大の救いだった…
私は退院するまでの間
美月の遺骨を抱えて眠り
美月の遺骨を横に置いて食事をとり
可能な限りの範囲で
美月と共にいた
そして美月の葬儀から3日後
私は美月とともに退院した
3週間後に
産後一ヵ月経った私の診察があるために
その診察の日まで私は実家にいることになった
修一も退院した翌日から仕事に戻っていった
実家に戻った私は
一日中美月を隣りにおいて
布団に横になって過ごす
朝と晩には必ずお経も唱えた
お経を唱えている間だけは
心が安らかな気持ちになれた
美月が亡くなった事を知った叔母達は
かわるがわるお見舞いに来てくれていた
…でも
みんな口を揃えて
『次があるわよ 』
『早く次を作ったらいいわよ』
『あまり悲しみすぎると赤ちゃんが悲しむわよ』
本人達は私を励ましていてくれるつもりだったのかもしれない
でも私には
その言葉のひとつひとつが辛くて悲しかった
父の一番上の姉にあたる
千津子おばさんに言われた一言
『産まれてから亡くなる方がずっと辛いよ』
この言葉には
ただただ泣いた
千津子おばさんには
産まれてから一週間で亡くなった子がいると母から昔聞いたことがある
医療がまだそんなに発達していなかった時代
産まれてすぐに肺炎にかかり亡くなってしまったと聞いていた
千津子おばさんの悲しみに比べたら
私の悲しみなんてたいしたことないと
言われた気がした
子供を失った悲しみに
どちらの方が辛くて
どちらの方が辛くない
そんな事はないはずだ…
…誰も私の悲しみなんてわかってくれない
…私は
励まして欲しい
なんて一言も言ってないのに…
叔母が見舞いにきた後は
必ず美月の遺骨を抱いて泣いていた
退院してから3週間が経ち
私は診察を受けた
『順調ですよ。 後は生理がくれば次の妊娠は可能ですからね』
先生のその言葉に
安心したような
先生まで美月の事を
なかった事
にしているのかと悲しい気持ちで
順調と言われたのに心の中は複雑だった
その週末
夕方修一が迎えに来てくれて
私と美月は自宅に戻った
部屋にはもうベビーベッドはなかった
美月のために買ったタンスも物置として使っている部屋に置いてあった
…妊娠する前のリビングに戻っていた
ただひとつ違ったのは
カップボードの上に
高さ50㎝ほどの小さな仏壇が置いてあったことだけ…
修一が
高森の両親が買ってくれたと教えてくれた
私は位牌を仏壇にそっと置き
美月の遺骨もそこに置いた
『…今日からここがみーちゃんのお部屋だよ』
お線香を焚いて
水と赤ちゃん用のジュースを一緒に供えて
ゆっくりと手を合わせた
そして
その日から私達は
家族3人だけの生活が始まった…
私達が住む社宅には
当然のように幼い子供もたくさん住んでいた
朝には幼稚園バスが社宅の前に停まる
バスを待っている間の子供達のキャッキャとはしゃぐ声
『まどか! 飛び出したらダメよ!』
『ゆうすけ! 走り回らないの!』
バスの到着を遊びながら待つ子供達を叱る母親の声
バスが行った後も
ペチャクチャと井戸端会議を続ける母親達
社宅の隅にある滑り台と小さな砂場だけがある小さな公園では
まだ幼稚園に行かないような幼い子供が喜んで遊んでいる
『うわーん ママ~ けんちゃんがキックしたぁ』
『こらっ! けんた! こうたクンにごめんなさいしなさいっ!』
『ママが“いたいのいたいのとんでいけー”ってしてあげるよ』
昼の2時をすぎれば
朝出かけていったばかりの幼稚園児が続々とバスに乗って帰ってくる
『今日はここで補助輪なしの自転車の練習する~』
『はいはい ケガしないように頑張ろうね』
3時をすぎれば
小学生が帰ってきて
社宅の前でギャーギャーと騒ぎながら追いかけっこをしている
そんなのが毎日夕方6時頃まで延々と続いていた…
…耐えられなかった
特に耐えられなかったのは
同じ社宅に住む斉藤さんは
2人目の子が美月よりも1ヶ月くらい早い出産の予定だった
相変わらず人付き合いが苦手な私は
その話しは修一から聞いただけなので
斉藤さんとはずっと挨拶程度の関係のままだった
その斉藤さんが
私が自宅に戻ってからすぐ
産まれた赤ちゃんを連れて里帰りから帰ってきたのだ
『キャー かわいい~ 抱っこさせて~ 』
『本当にこのくらいの赤ちゃんって何時間眺めてても飽きないよね~』
『私ももう1人頑張ろうかな~(笑)』
斉藤さんの赤ちゃんは社宅のママ達のアイドルになっていた
毎日幼稚園バスの送迎のために集まる母親達は
斉藤さんの赤ちゃんに夢中で
自分達の子供の赤ちゃん時代の話しに花を咲かせていた
幼稚園バスの停まる場所の目の前にある私の自宅には
ママ達の声が全て聞こえてきていた
別に私に嫌がらせをしているわけではないのはわかっている
そもそも
必要な時しか外出しなかった私が妊娠していたかどうかなんて
みんなは知らなかったかもしれない
…でも
子供の声を聞くことも
子供や夫の愚痴を笑いながら話す母親達の声も
私には辛いだけだった…
あまりにも辛すぎる
朝から夕方までの時間
私は子供がまだ起きないような朝早い時間に洗濯物を干すようになった
修一を仕事へと見送った後は
家の全てのカーテンを閉めた
そして好きな音楽をヘッドホンをつけて聞いて
外からの声が聞こえないようにした
そして
死産によって子供を失った人達の集まるサイトや死産に関わるサイトを覗いていた
…私だけじゃなかったんだ
…私と同じく辛い思いをした人がいるんだ
サイトに書き込むことはしなかったが
私だけじゃない
そう思えることで
悲しい心がその時は少しだけ静まったような気がした
カーテンを閉め切って真っ暗な部屋で電気もつけず
ゆっくりな曲調の音楽を聴きながら携帯のサイトを見ているうちに
朝早くから起きていたせいか眠くなり
何時間も昼間から眠る日が多くなっていった
そしてそれはいつからか
修一が仕事から帰宅するくらいの時間に起きて
朝修一を見送ると眠りにつく
そんな昼夜逆転の生活になっていった
子供の声を聞かなくてすむ
子供の姿を見なくてもすむ
そんな生活が
私にとっては快適になっていたのだ
もともと夜中まで起きていることが多かったし
寝室へ行く時間も私達はバラバラだったので
私がそんな生活を送っていたことも
修一は気がつかなかったようだった
朝早く洗濯物を干し
修一のために朝食とお弁当を作る
美月の仏壇には水とお茶とお線香をあげる
修一が出勤するまでに掃除もすませていた
修一にとっては
私は悲しみから立ち直り
元通りの生活に戻ったと思っていたのだろう
修一が出勤してから昼間ずっと眠っているなんて思いもしなかったはずだ
そのかわり週末は
修一が家にいるので
生活リズムを修一に合わせるために苦労したが
たいていどこの家の子も週末は社宅の前でうるさく遊ぶこともなかったので
週末は昼間起きていることがそんなに苦痛ではなかった
…そして
美月の四十九日がきた
澄み渡った青空が広がった日
私と修一、高森の両親と実家の母は美月の葬儀を行ったお寺にいた
私が幼い頃から知っているご住職は
私に仏教の教えのことについていろいろと教えてくれた
四十九日を迎えると
亡くなった仏様はこの世から離れて天国へと旅立つという
徳の高い人ほど
早く亡くなるとも教えてくれた
現世は試練
その試練を受けることにより
天国での位があがっていくという
早く亡くなるほど試練をうけずに済むらしい…
だからこの世でなんの試練も受けないまま亡くなった美月はもともと徳が高い子だったと教えてもらった
そして
私が一番嬉しかったのは
この世の一生は
あの世では一瞬
この言葉には本当に救われた気がした
ママとパパを
天国で泣きながら美月は捜しているんじゃないか
それを思うと
かわいそうで胸が張り裂けそうだった
でも
この世の一生があの世では一瞬ならば
美月が後ろを振り向いた瞬間に私達は美月のそばにいることになる
美月が寂しさを感じる前に私達は側にいける
ご住職の話しのひとつひとつが
私の心に染みていった
高森の家は分家でしかも両親はまだ健在だったためお墓がなかった
四十九日になっても
美月の遺骨を眠らせてあげる場所がなかったため
お寺で預かってもらうことになっていた
『いつでも逢いにきていいんだよ』
ご住職は
優しくそう言ってくださった
美月の遺骨をご住職に託して
私達はお寺を後にした
『ひとつ区切りがついたわね 』
高森のお義母さんは
歩きながら修一とそんな話しをしていた
私はそんな修一とお義母さんの後ろを
黙って微笑みながら歩いていた
顔は微笑んでいても
心の中では
『区切り』
そんな言葉を使うお義母さんへの不満でいっぱいだった
いつまでも悲しんでいてはいけない
美月のことは早く忘れた方がいい
そう言われた気がした
【時間が解決してくれる】
死産してからネットでもよくこの言葉を目にした
確かに死産した時よりは一週間後
一週間後よりは一か月後
昨日よりは今日と
たった一粒ずつでも涙は少なくなっていたようには思う
もしかしたら
いつの日か美月を思いだしても泣かなくなる時がくるかもしれない
でもそれは区切りをつけたからではない
美月を想う気持ちは
私がこの世の一生を終えるまで絶対に変わらない
絶対に……
そして私達は近くのお蕎麦屋さんで昼食をとった
母は祖父母の昼食の用意をしなければならないと蕎麦屋には寄らないでまっすぐに帰ったため
私達と高森の両親だけでお蕎麦をいただいた
『修ちゃんも千春さんも来月の連休にはこっちに来れるかしら。』
注文したお蕎麦を待っている間にお義母さんは私達にそう言ってきた
『そうだね。そっちに2人で帰るのも久しぶりだからね。 』
修一はもう帰るつもりになっていた
『今までは美月の遺骨があったから家をあけられなかったけど、今日で区切りがついたんだから帰ってきなさい』
お義父さんまでもがそう言ってきた
…私は行きたくなかった
行けばまた気を遣うだけだし
あちこち連れて行かれて見たくもない赤ちゃんの姿や妊婦さんの姿が嫌でも目に入ってくるだろう
今はまだ外出なんてしたくなかった
お願いだからそっとしておいて欲しい…
…でも私にはそんな事を言う権利なんてどこにもなかった
私の意見なんて誰も聞かずに
『じゃあ来月の連休ね。ひさしぶりにみんな揃うわね』
帰ることが勝手に決まってしまった
私はまた黙って微笑みながら
運ばれてきたお蕎麦を食べた
私の気持ちなんて
誰もわかってくれないんだ…
父親の修一ですら
私の気持ちはわかってくれない…
孤独だった…
高森の両親にとって四十九日が【ひとつの区切り】だったように
修一もまた
【ひとつの区切り】
をつけていた
それはその日の夜
いつもはとっくに寝室に行くはずの修一は
いつまでも寝ようとせずに私の側にいた
『明日仕事でしょ? 早く寝た方がいいよ?』
本を読みながらそう言う私に
『…いや あの… 』
何かを言いだしにくそうにしていた
『……どうしたの?』
不思議そうに修一の顔を見る私に
『ん…と 今日どうかなと思って…』
修一はちょっと恥ずかしそうに言ってきた
……それって
四十九日でひとつ区切りがついたから
夫婦生活も再開しようってこと?
修一は私の隣りに座り
私の身体を触ってきた
『ちょ… ちょっと待って… 私 そんな気分じゃないんだけど…』
修一は私の言葉を無視して
そのまま身体を触り続けた
『本当にやめて… お願いだから… 』
私は無理矢理修一の手を払いのけて席を立った
『…なんでだよ?』
私に払いのけられた修一は
なぜそんな事をされるのか理解できない
そんな顔をしていた
新しいレスの受付は終了しました
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
- レス新
- 人気
- スレ新
- レス少
- 閲覧専用のスレを見る
-
-
Wish Yumi Sugimoto
0レス 30HIT 小説好きさん -
ハルビン
4レス 104HIT 旅人さん -
『愛することには理由がある』
0レス 96HIT 自由なパンダさん -
神様の折り紙
2レス 124HIT たかさき (60代 ♂) -
呟きです(読んでもらえるだけで結構です)
2レス 119HIT 匿名さん
-
モーニングアフター モーリンマクガバン
南国のムードある夜の風景 イメージ画像です(作家さん0)
412レス 2600HIT 作家さん -
ニコニコワイン
マンゴー うちなんちゅは たいがいの人 マンゴーを 綺麗に…(旅人さん0)
432レス 16768HIT 旅人さん (20代 ♀) -
Wish Yumi Sugimoto
0レス 30HIT 小説好きさん -
20世紀少年
野球 小3ぐらいの頃は野球に夢中だった。 ユニフォームも持って…(コラムニストさん0)
36レス 953HIT コラムニストさん -
こちら続きです(;^ω^) フーリーヘイド
キマッたっ!!!!!!!!!(;^ω^) いやぁ~~~~!!我な…(saizou_2nd)
347レス 4103HIT saizou_2nd (40代 ♂)
-
-
-
閲覧専用
20世紀少年
2レス 116HIT コラムニストさん -
閲覧専用
フーリーヘイド ~読む前の注意書きと自己紹介~
500レス 5784HIT saizou_2nd (40代 ♂) -
閲覧専用
おとといきやがれ
9レス 293HIT 関柚衣 -
閲覧専用
ウーマンニーズラブ
500レス 3258HIT 作家さん -
閲覧専用
やさしい木漏れ日
84レス 3710HIT 苺レモンミルク
-
閲覧専用
20世紀少年
1961 生まれは 東京葛飾 駅でいうと金町 親父が働いて…(コラムニストさん0)
2レス 116HIT コラムニストさん -
閲覧専用
ウーマンニーズラブ
聖子の旦那が有能な家政婦さんを雇ったおかげで聖子不在だった機能不全の家…(作家さん0)
500レス 3258HIT 作家さん -
閲覧専用
フーリーヘイド ~読む前の注意書きと自己紹介~
やはり女性は私に気が付いている様である。 とりあえず今は、 …(saizou_2nd)
500レス 5784HIT saizou_2nd (40代 ♂) -
閲覧専用
今日もくもり
たまにふと思う。 俺が生きていたら何をしていたんだろうって。 …(旅人さん0)
41レス 1334HIT 旅人さん -
閲覧専用
おとといきやがれ
次から老人が書いてる小説の内容です。(関柚衣)
9レス 293HIT 関柚衣
-
閲覧専用
サブ掲示板
注目の話題
-
助けてほしいです
初めまして。 私は文章作るのが苦手ですが読んでください。 私は20年近くお付き合いしていて同棲し…
96レス 1307HIT 匿名さん -
子供の友達(という名の問題児)に怒っていい?
小学生の子供がいます。 近所の子が数人集まって遊びの誘いにくるのですが、一人外面の良い子の扱いに困…
14レス 206HIT おしゃべり好きさん ( 女性 ) -
富裕層になりたい
富裕層になりたい。 富裕層になって、下々の人間に、 「膝まづけ!!」 と、言ってみたい。
11レス 202HIT 社会人さん ( 男性 ) -
頼むから選挙に行ってくれ
頼むから選挙に行ってくれ… 誰がなっても変わらない 選挙に行く意味が分からない 行くのがめ…
13レス 228HIT おしゃべり好きさん -
俺はヒマ人だが、君もヒマ人か?
俺はヒマ人だが、、、ここに来る人はヒマだから来るのか?
25レス 231HIT 社会人さん -
心広くなったほうがいいかな?
お付き合いしてる彼には奥さんがいます そこは割り切って我慢しているのですが 来月後半に子供さんの…
42レス 827HIT 萌々香 (20代 女性 ) - もっと見る