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闇の中の天使

No.3 13/02/19 17:59
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

矢島は日下の目をじっと見て、「そうですね。これが最善の、そして最終手段とも言えるかも知れません」
その言葉に納得したかのように日下は深く頷くと、
「矢島君、会議であったとおり、このプロジェクトは内密に行われる。教委にも悟られないようにしっかりと進めてくれたまえ」
そう言い、ソファーから立ち上がった日下は厚みのある手でぐっと矢島の左肩を一度握ると、重厚なドアを開け、部屋から出て行った。

その場に残された矢島は、しばらくその場から動くことができなかった。
左の肩には日下の残した ‘期待している’という思いが込められた感触が強く残った。



「ああ、疲れたあ!」
曽根崎由香里は、スマートフォンの相手に嫌味を含んだように言った。

「どうでしたか?初日は」
電話の相手は疲れたと言う由香里の言葉を無視したかのように軽快な口調で問いかけた。
「どうも何も…、私、この年になってまた勉強することになるなんて思いもしなかったわよ」
「まあ、そうでしょうね」
由香里は「今時の子との会話なんてやってらんないわ」と不貞腐れたように言った。
「でも、やって頂かないと困ります」
「分かってるわよ」

由香里はワンルームに小さなキッチンの付いた狭いマンションにいた。
そこが今の由香里の生活拠点だ。
キッチンには冷蔵庫と電子レンジ、炊飯器など必要最低限の調理器具が備えられている。

部屋にはシングルのベッドがあり、木製の机と椅子が備えられている。
机に付属されている書棚には、高校一年生の教科書がずらりと並べられ、さっき帰宅した時に置いた学章が印刷されてある紺色の鞄が椅子にある。
由香里は、片手で薄茶色のブレザーを脱ぎ、暗赤色のネクタイを外してベッドに投げ出した。
電話からは、
「何か必要な物があればいつでも仰ってください」
と、抑揚はないが、聞き心地の良い声が聞こえた。


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