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重い女

No.367 12/05/23 08:33
きら ( ♀ sdWbi )
あ+あ-



長い夜が明けると――…



スーパーやコンビニでは、カップ麺やレトルト食品、缶詰やパン類の棚がスカスカで、中でも極めて水が入手困難になった。



石油コンビナートが火災し、それによって多くのガソリンスタンドが閉店を余儀なくされる。



燃料単価は高騰し給油量が制限されながらも、営業している数少ないスタンドのどこもは、車が長蛇の列を作っていた。



連日報道される悲惨な状況に胸が痛み、たくさんの悲しみと不安を抱えてながらも皆、日常を取り戻す事に必死だった。




―――――――――



――――――




「涼子さ~ん」



「うん?」



――4月。



平常勤務に戻っていた会社に私と綾香の二人だけで、この日奈緒美は休みをとっていた。



「奈緒美さんと坂木さん…

残念だったですね」


「あぁ…うん…

仕方ないよ

まさかこんな事態が起きるなんて思いもしなかったんだから」



相変わらず余震は止まず、倒壊した家屋や倒れた電柱等、まだまだ震災の爪痕があちこちに残っていた。



誰しもそんな恐ろしい天災が待ち構えているなど予想もつかなかった2月下旬。



奈緒美と坂木さんは入籍し夫婦になった。



『あんたが離婚記念日ってあっけらかんと言うから、んじゃあたしは結婚記念日にしてやったのさっ(笑』



豪快に笑いながら言った奈緒美の彼女らしい気の使い方だ。



そんな奈緒美を祝福したくて、気の知れた仲間だけで3月13日(日)に小料理屋を貸切り二人の結婚祝いをする予定だった。



「涼子さんと綾香の二人で、お祝いしてあげませんか?!

奈緒美さんにはいつもお世話になってるから何かしてあげたくて…」



いつも奈緒美に怒られふて腐れている綾香だが、ちゃんと奈緒美の気持ちが伝わっててちょっと嬉しくなった。



「そうだね

今はまだ色々落ち着かないから、来月あたりで考えてみよっか」


「はい!」


「綾香ありがとね

私一人じゃ全然頭回らなかったから」


「綾香が言わなくても奈緒美さん、自分から催促してきそう(笑」


「確かに~!!」


「「あははは!」」





――あの日の夜。



余震と窮屈な車内で私は眠れずにいた。



外に出て煙草を吸いながらケータイを開く。



無事を知らせるあっちゃんからの返信メール。



このたった一通のメールを読み返していたら、急に私の心を寂しさで一杯にした。



離婚してから連絡できずにいた事に申し訳なく…




―――


遅くにごめんなさい


先月の14日に正式に離婚しました。


もっと早くに連絡すべきで、しかもこんな時に言う私をお許し下さい


―――END




数日経過しても…




あっちゃんからの返信はなかった。

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