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私の名前

レス3  HIT数 490 あ+ あ-

小説好きさん
21/05/05 05:14(最終更新日時)

「起きたかい」
「起きたわよ」
「おはよう」
「おはよう」
 
 その男性は、目の前に横たわっていた女性のまぶたが開くと、優しく声をかけた。

「名前は覚えているかい?」
「いいえ、私には、名前はまだないの」
「あるんだよ、イブ」
「イブ? それだあれ」
「君のことだよ」
「私には名前はないのよ。それとも今付けてくれたの? それなら嬉しいわ」
「そうじゃないんだ。イブ。君の名前なんだよ」
「どちらでもいいわ。とにかくドレッシングルームへ行ってくるわ」

そう言うと、イブは部屋の隅にある小部屋に走り、きれいなドレスをまとって戻ってきた。

「どうかしら?」
「キレイだよ。イブ」
「イブってだあれ?」
「もう忘れたのかい。君のことだよ」
「あら、名前をつけてくれたのね。嬉しいわ」
「まあいい、イブ、いいかい、これから部屋の掃除をしてほしいんだ」
「イブってだあれ?」

「やれやれ、困ったものだ……。なんでも完璧にこなすように造られた人型アンドロイドのはずが、名前を覚える機能だけが故障したせいで、なんの指示も受け付けなくなるなんて」

「名前はもういいよ。君が、掃除をするんだよ」
「君ってだあれ?」
「イブ、君のことだよ」
 男性は、指を指しながら、女性のことを君のことだと伝えた。
 キョトンとした表情をしたその女性は、じっとその男性を見つめたまま、「アダム、あなたが掃除すればいいじゃないの」と言った。

「アダムって誰だい?」
「あなたのことよ」
「僕には名前はまだないんだよ。イブ」
「あらやだ、あなたはアダムよ。知ってるんだから。それに私にも名前はないのよ」

 二人の間では埒のあかない会話が続けられ、一向に進展する気配はなかった。
 気づけば、その女性は部屋の中で、美しい歌声で歌いながら、華麗なステップで踊り始めた。
 男性は、それをやれやれといった表情でしばらくの間、見続けていた。

「そろそろこの繰り返しにも疲れてきたな」

 そうつぶやくと、踊る女性を抱き抱え、研究台の上へ乗せた。

「何をするの? アダム」
「アダムじゃないんだよ、イブ。僕はもう疲れたよ」

 そう言うと、男性は女性の服を脱がし、強引にお腹を開き何やら操作を行った。

No.3284420 21/05/04 15:54(スレ作成日時)  
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