めぐりあい~夢のあと…
彼「「俺の事愛してる」って言って」
私「まだ知り合ったばかりだからわからないよ」
こんなやりとりのあとで一年間私は、この彼から騙され続けた…
まさか、自分の初恋がこんな形で終わるなんて思ってもみなかった…
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初めて彼に会ったのはネットの中だった。
なんとなく暇つぶしにチャットに参加してたら、その中に彼がいた。
私は当時19歳。
あまり社交的ではない私は、男性と交流する機会は皆無に等しくて。
初めて私の事を「女の子」じゃなく「女」として扱う男性と知り合ってどきまぎした。
「仲良くチャットしよう」
「なんだか、君の事好きになってきちゃった」
「会いたいよ」
彼とはネット上で知り合ったものの、毎日📨や📱で会話していく内に、すぐそばにいつも彼がいるような錯覚に陥らせた。
いわゆるネット依存症ってやつだと思う。
恋人がいない寂しさをネット上で癒すなんてありえないと人は言ったけど、そんなの関係ないくらい彼はすごく優しくて、私が欲しい言葉をたくさんくれた。
彼と親しい間柄になっていくまで、そんなに時間はかからなかった。
彼は27歳で、会社員をしているらしい。
彼は北海道に住んでいて、私は沖縄に住んでいた。
幼い私は、日本の端と端の恋なんだと浮かれてた。
現実的に彼と会うのは容易ではない。
初めの頃、私は「寂しさが紛らわせたら遠くても構わない。」と思ってた。
毎日夜中までする彼との📱が幸せで、その📱がないと私は不安になっていった。
彼とは毎晩10時くらいから深夜2時まで📱や📨をしていた。
今思えば、中毒に陥ってる感じ。
体は彼からの毎日の束縛に苦しいと思う反面、心は彼を求めて夜中までいつまでも冴え続けた。
おかげで自分のしたい事はほとんど出来ず、当時大学生だった私は授業中彼の事ばかり考えていて、朝から晩まで彼一色で、生まれて初めての恋に酔いしれていた…
彼との📱のやりとりはいつも日常的な事に始まり、
📱の最後は…
彼「沙紀、愛してる」
私「…私も…愛してる」
って言って終わる。
会った事もない人の事を好きになれるのか…みんな疑問に思うと思う。
でも当時の私は、リアルに恋愛した事なくて、こんな形でも愛し合ってるって信じてた。
今になって思うと、あれは恋に恋してる自分に酔いしれて、本当の愛だと錯覚していただけだったんだと思う…
彼との付き合いが始まり3ヶ月を過ぎた頃夢をみた。
彼には奥さんがいて、奥さんが彼の横に座って泣いていた…
黒髪が長くてきれいな人だった…
私は胸騒ぎがして目覚めた朝、彼に急いで📨した。
「こんな夢を見た、なんでこんな夢見たんだろう?」
彼からはこの事について何も返信して来なかった。
ホワイトデーの日、私は🏠でゆっくり休んでいた。
その時、チャイムが鳴った。
誰からか私宛てに贈り物だ。
誰からか想像つかなくて、送り主の欄を見ると、彼の名前。
私はびっくりして包装紙をとり箱を開けた。
中にはクッキーと紅茶が入っていた。
私はバレンタインデーはただの📨で済ませてたから、まさか、お返しがもらえるなんて思ってなかったし、その時は遠い📱友達(疑似恋愛中)くらいにしか思ってなかった。
今思うと、彼は📱や📨の中だけの人じゃなく、現実に生きててこうして贈り物をくれたと思うと胸が踊って、初めての恋はなんて素敵なんだろうと感動した。
それからの私は現実に恋人がいるような気がした。ただちょっと遠くてなかなか会えないけど、📱ですぐあなたを近くに感じられるからいい、それが幸せなんだって思って半年が過ぎた。
その間写真の交換もした。
初めて彼の姿を見たら正直ゾッとした。
普通の顔立ちなのになんだかとても嫌な気がした…。
でも、彼の雰囲気が嫌だとしても、性格が好きだし、こんなに尽くしてくれるのに贅沢言ったらだめだって自分に言いきかせた。
今思えば、第一印象が大事とは本当にそうなんだと思う。
自分の感じた感覚を信じていたら良かった。
彼との付き合いを友人に話した。
友人は「会った事ないなら、そんなの恋人じゃない!」って言ってきた。
私は悲しくて悲しくて泣きながら彼に訴えた。
「会った事ないなら恋人とはいえないの?私は辛い」
彼はしばらく黙っていた…
「俺達会おうか?」
私は嬉しかった反面、やはり初めて実際に会うのは怖かった…
私は彼を必要としているものの、実際に会うのは怖いと思った。
彼は北海道で、私は沖縄。簡単に会える距離ではないから、一度会いにきて、もう会いに来ないと言われたらどうしよう…
でも自分でもこの恋がどうなっていくか知りたかった。
知り合って8ヶ月後、ついに会う約束をした。
明後日は、彼と会う約束をした日。
沖縄まで彼が来てくれる。明後日、空港まで彼を迎えに行く予定だった。
その日もいつもと変わらず彼と📱しようとしたら、私の📱がおかしい。
なぜか、いつもは📶は圏内であるはずなのに、私の📱は誰にもかけられないように圏外になっていた…
おかしいと思い家族の📱は圏内📶かどうか確かめた。
…みんなちゃんと圏内だった…
私はデートは明後日なのにと焦って電話会社に電話した。
電話会社の人は困惑していた。
誰も触るはずのない所がいじられて私の📱だけ圏外になっていると…
今思うと、私を守ろうとする不思議な力が、彼と連絡取れないようにしたのではないかと思う。信じないかもしれないけど。
次の日にはまた📱は圏内に戻っていた。
いよいよ、彼と会う日がやってきた。
私は彼を空港まで迎えに行った。
彼を待ってる間、私は緊張で両手が冷たくなり、汗ばんでいた…
「怖い」「でも会いたい」
という思いが交互に浮かんだ。
彼の乗った飛行機が空港に到着した。
その時、私の📱が鳴った。
彼からだ…
そして目の前に彼が📱しながら現れた。
「初めまして、沙紀」
私はその時、生まれて初めてデートを経験してかなり舞い上がった。
恥ずかしくて彼の顔が見れない…
お昼ご飯を食べる時間になったので、2人でランチを食べる事になった。
私は彼と会えた感動で胸がいっぱいで、半分以上残してしまった。
またいつも📱してる相手なのに実際に会うと恥ずかしくて、顔が見れない…
ご飯を食べた後、店を出て歩いていると、
彼「手をつなごっか?」と手を差し出した。
私「…うん」
私は初めて男の人と手を繋いで顔が真っ赤になった。
彼「こんな事で照れて可愛い」
この恋の幸せの絶頂はこの時が最高だったのかもしれない
彼に抱きしめられるととても安心した。
その直後、なんともいえない嫌な感じがして汗ばんだのを今も覚えている…
私は困惑した。
大好きな彼なのに、待ち望んだ瞬間のはずなのに、早く終われと思っている…
結局、体が強ばってしまい、私は途中で眠りについた…
目が覚めると彼は、たばこを吸いながらソファーに座っていた。
彼は言った
「あ~ぁ、別の女探そうかな」
私は困惑して
「何でそんな事言うの?」
彼はそれに対して何も答えなかったが、私が受け入れなかったから怒っている…
私は困惑した。
彼は本当に私の事愛してるのかな…
翌日、彼がもう二度と来ないような不安に襲われた私は、彼を不安そうに見た。
彼「大丈夫だよ。ちゃんと📱繋がってるし、また会いに来るから」
彼は昼過ぎの便で北海道へ帰って行った。
私は緊張で胃が悲鳴をあげていて、彼が帰るとなんだかほっとした。
それからも彼との📱や📨のやりとりは続いた。
当時の私は、たった1度会いに来てくれた彼を現実の彼氏と錯覚していた…
それからしばらくして私は、友人と旅行に行った。
そこで、彼を驚かせようと思い、彼には秘密にしてお土産を彼の自宅の住所に送った。
次の日彼から突然📱
彼「勝手な事するな!何で内緒で送ってきた!?」
私「!え…何でそんな事言うの?意味わからない…」
突然怒鳴られて私は黙ってしまった。
彼「…ごめんごめん、お返しとか気にしないといけないから、気をつかって欲しくなかったんだ…」
と彼は慌てて我に返ったように私に謝った。
ある時彼は私にこんな事を話した。
彼「何度か見た夢なんだけど、女の人の名前が掘ってある墓標があって、その前にその女性が履いてた靴が置いてあって、それらがずらっと何人分も並んでるんだ。怖いよ…」
私は「ホラーかなんか視すぎた?大丈夫だよ。」って返事した。
最初に会って2ヶ月後再び彼とデートした。
その日の前日も📱は圏外になった。
電波が途切れる中📱した。
彼「…く…待ってる…ら」
私「絶対行くから」
デートの当日無事に彼と落ち合う事ができた。
デートの次の日には📱は圏内に戻っていた。
2回目のデートの後、しばらくして、突然彼からこう言われた。
彼「俺達別れようか?」
私「何で?何でそんな事言うの?」
彼「沙紀にはもっとふさわしい人がいるよ」
私「何でそんな事言うの?」
私はその時は納得いかなかったが、後で考えたら、どうしてそんな言われ方したのか今はわかっている…
やがて月日は流れ、冬になった。
X'masの夜、彼と会えなくても📱で彼と過ごせるって信じて私は楽しみにしていた…
でも毎晩深夜2時くらいまで続いた📱は、そのX'masの夜は繋がらなかった…
次の日私は彼に尋ねた。
私「何してたの?」
彼「X'masだったからシャンパン飲んで寝てた」
私「だからって電源切る事ないんじゃない?」
それからだんだんと彼からの📱の時間は短くなっていき、誰かと話し中の事が多かった…
私は彼にまた尋ねた。
私「最近📱中の事が多いけど誰とそんなに話してるの?」
彼「仕事の話を会社でしてるんだよ」
私「…何か変…」
彼「俺の事疑うなら調べていいよ」
と彼は、私に彼の職場の電話番号を教えた。
私は自分が騙されてるんじゃないか心配になってきた。
気が引けたけど、彼の職場に娘の母のふりをして📱をかけた…
彼の上司「はい。○○社です。」
私「すみません、沖縄から電話してる者なんですが、○○○○さん(彼氏の名前)はいらっしゃいますか?」
彼の上司「はい。いますよ…代わりますね」
私「いえ…実はその方と娘がお付き合いさせてもらってるんですが…その方は独身ですか?」
彼の上司「…」
私「どうか教えてください。娘が可哀想じゃないですか。」
彼の上司は重い口を開いた…
私「結婚してるんだってね…」
彼「騙すつもりなかったんだ…ただ沙紀がいつも寂しいって俺を呼んだ気がして、いつもそばにいた…」
私「よく奥さんにバレなかったね…」
彼「寝る部屋は別々だからいつも10時から深夜まで📱出来たんだ」
彼「今妻とはセックスしてないよ」
私「何で?」
彼「沙紀の事思うと、裏切れないって思って妻の事抱けなかった」
私は彼のすべての言葉は嘘だと思った。
「愛してる」なんて言葉、彼にとっては私を騙す魔法のようなもの。
「結婚しよう」とか言ってきたけど、全部嘘じゃないか…
愛してなんかないじゃないか…
私はガタガタ震えて必死に耐えた
私「…さよなら」
彼「待ってくれ!もう一度だけ会いたい」
私「…」
彼「最後にまた沙紀の事抱きしめたいんだ」
私「…やめて!!」
私「もういい…」
私はそのあと📱を解約して新しい📱を買った。
そこに愛がないのに何を期待して待つのかわからないし、彼の奥さんの気持ちを考えたら本当申し訳ない気持ち半分、良かった…自分の旦那じゃなくてと思い、📱電話の解約とともに全てリセットしたと思っていた…
私は初めての相手が既婚者なんて信じられなくて、自分の鈍感さに呆れた。
それから涙が枯れるまでところ構わず泣いた…私を見た道行く人は頭がおかしいと思ったに違いない。
でも何日か経って私はまた非通知で彼に📱をかけた…
彼「もしもし…」
私「私…沙紀」
彼「沙紀か…また戻ってきてくれるの?」
私「いつもあなたはこんな事してるの?」
彼「…以前住んでた所でも、同じ事してたら向こうがしつこくてさ…家にまできてうちのにもバレたよ」
彼「で…仕方ないから引越したよ」
私「ほかにもたくさん騙したんだ?」
彼「そんなつもりないよ…俺恋多き男だし」
私は彼の本性を知りどんどん冷めて、怒る気力をなくした。
こんな男どうでもいいって思った。
私「でもあなたの住所に手紙や写真、贈り物した時よくばれなかったね…」
彼「あぁ…郵便局止めにしてたから沙紀からのものは全部郵便局に取りに行ってたんだ」
彼「突然送ってきたお土産は母に見られて、怒られちゃったよ…また何か変な事してるんじゃないかってね」
彼「妻とセックスしようと思ってもだめなんだよ。子供産んだ女はお母さんって感じで女を感じなくて…」
私「…あなたの事よくわかった。もう二度と📨も📱もしない。さよなら」
彼「いつでも📱してね」
私「…」
📱を切ると私はまた泣いて、泣いて胸に込み上げる思いに悲鳴をあげて夜を明かした…
彼と別れてから半年間私は不眠症に悩まされた…
最初は眠れるのだけど、毎晩同じ時刻にふっと目が覚めて眠れなくなる…
寂しくて辛くて、押し寄せる悲しみに毎晩胸を痒きむしられる思いがした。
見返してやる。
私の事ばかにしたあいつに釣り合わないような女になってやる…
それから私は、ある国家資格を取るために猛勉強を始めた…
その後…騙した彼はまた女性を騙し続けた…
ある女性と彼は結婚の約束をして騙していた…
心底彼を愛してたその女性は、思い詰めて彼の家を訪ね、奥さんと子供がいる事を知った。
そして、彼をホテルに呼び出した。
女性「結婚してたの!?」
彼「うん…でももう奥さんとセックスしてないよ…君が好きだから」
女性「そっか…じゃあ…永遠の愛誓ってよ」
彼「!!」
女性はあらかじめ隠しておいた包丁で、彼の胸を何度も何度も刺した…
女性「これであなたは永遠に私のもの…」
彼「…」
因果応報…彼はそして死んだ。
彼は寂しい人生だった…
たくさんの女を愛しても愛しても満たされない、砂漠をさまよっているような不安といつも戦ってきた…
彼にとっての安住の地は「死」だったのかもしれない。
(終わり)
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