‡喪‡

まだ
空にのぼっていないなら

手をふりますから
でてきてください

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老人は一人窓の外をみながら毎日電話をしていました

田の手入れが足りぬようだと呟き



いつしか途切れ途切れになり

人の電話を介して話
とうとう
無言になりました

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電話の着信発信履歴をみました


指がもう動かなかったのに
私の番号を間違えて何度
何度押したのでしょう


亡くなった
後に

知りました

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病状が良くありません


何度も連絡を受け
その都度部屋を覗きにいきました


いくと目を開き
元気な声で


ああ
きたの？


うん
あいにきたんだ


ありがとう
大丈夫




悪化しては
意識をとり戻し


最後に
大丈夫とは
いわなくなりました

わかる？


握り返す手が

こんなに小さくなっていたのかと



痛くない？


と
ききながら
握りしめました

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今
目の前の写真で

なぜか笑顔で
私を見つめる


彼がいます


この写真をもらった時は

こんなに
じっと

みつめた事はありませんでしたのに

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この笑顔は
私に向けられたものではありませんでしたから…


この写真を撮ったのは私の母が癌で亡くなる直前に

二人で温泉に行って撮ったものです


この写真を撮った次の年

母は亡くなりました

随分昔の話です


母はこの写真がすきでした

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お父さん

おやすみなさい
今日は
此処まで


教えて頂いた言葉を一つ一つ
書いていきましょうか
疑問を一つ一つ書いていきましょうか


あなたが大好きです

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今日は
おやすみなさい

お父さん

今日は
助けて頂きました

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リアルな事は
書いちゃいけない

も


ヒットする文字は
書けない…

も

教えてもらった

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よい事も
ひとにみせると
悪になる
人の世の常
おそろしきか

よきかなも
我が身が一番罪人なりかと
罪の深さに
言葉もうせた


みにやさし
言葉おそろし
みにやさし
言葉かなしか



これに
つきますね

父さん

また
封印だな

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