富田さくら

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2009/06/12 01:06(更新日時)

『富田さん。中へどうぞ』

富田さくら22歳。彼氏はいない、結婚もしていない。社会人2年生の、暇とお金を持て余した、どこにでもいるOL。

そんな私が今いるのは産婦人科。


富田さくら…実話まじりのフィクションです。性に関して不快な点が多々あると思います…

No.939789 (スレ作成日時)

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No.251

3月1日。


高校卒業。



勉強なんてそっちのけで恋愛話に花咲かせた仲間達。


最初は『キスって舌入れるもんなの~❓』なんて、初々しく、生々しい会話で盛り上がったっけ❓

今じゃみんなバリ2になってるね笑‼


グループ内で仲間割れした時期もあったけど、すぐまた仲良しに戻った。

頻繁にみんなで撮りに行ってたプリクラ。一体いくら注ぎ込んだっけ❓


交換しては手帳に丁寧に貼って、みんなで見せ合いっこ。元カレとの2ショットは必ず油性ペンで男の顔を塗りつぶしてた。みんなやる事一緒だったね。

そんな仲間とも今日でお別れ。



それぞれ違う道を歩み始めるけど…

高校での思い出はみんな一緒だね。



これからの進路に夢と希望を膨らませ、


寂しい涙。嬉しい涙。
涙の中、卒業した。

No.252

やっぱり江田さんからの連絡は無かった。


卒業式がいつかも言ってなかったし、バイトを辞めてさほど時も経っていなかったが、私から連絡する勇気も無かった…



2重に折った制服のチェック柄スカート、バーバリーのマフラーにラルフで統一してた白のカーデと紺のハイソックス。全部脱ぎ捨て、次の日地元から一番近い自動車学校まで申し込みの手続きに行った。



目標は専門学校に入学するまでに取得💪なんてはりきっていたが、同じ地元の子達が集まるこの学校。時期も重なり、生徒は知った顔触れ。

頑張って毎日通ったが、プチ同窓会的な気分だった。最低でも1日3時間は授業を受けるようにしていたが、終わった後はみんなで近くのファミレスやカラオケでたむろして…結局取得までの進みは予定外で…遅かった…汗。

No.253

切りが良い。4月になったらピッチから携帯に買い換えよう。そう考えていた3月末週。



ギリギリセーフとでもいっておこうか…

江田さんからの着信…
諦めていたが少し期待していた私は張り切って通話ボタンを押す。


『ハイ‼さくらで~す💕』


こんな風に媚びをうるように出た記憶がある。



『おぉ。元気か❓』



江田さんはやっぱり卒業式の日を知らなかった。


でもデートの約束は覚えてくれてた様で、来週にでも…と約束してくれた。



専門学校入学という楽しみの前に、もう一つの楽しみが出来た。



江田さんとデートの前に、私は携帯を買いにいった。どの会社にするか迷ったが、江田さんと同じDoCoMoにすることにした。

No.254

そしていよいよデートの前日。



当時ミニスカに厚底ブーツが定番だった私の普段着。

学生に人気の雑誌にもよく載っていたEGOISTというショップで、大人の江田さんと釣り合うように膝ちょい上まであるタイトスカートとカシミヤもどきの半袖ニット、ビニール素材のジャケット風を買った。

そして同じビルにある靴屋でヒール高めのミュールを買い、香水も買わなくちゃ。
Tの香水はスポーティで、どことなく子供っぽい。
雑誌のランキングで常に上位だったアリュールを買った。



家に帰り試し着をする。うん。違和感ないじゃん。



今まで原色ばかり取り入れた元気系だった私の服達。初のオネエ系(今はオカマちゃんの事を言いますが、当時はお姉さんっぽい大人系のファッションの事を言ってました💦)にワクワクしながらも、これからもこんな感じで行こう‼なんて決心までしてた…汗。



次の日。昨日買ったこれらの服を身にまとい、せっかく縮毛矯正してた髪にボリュームを出すためコテで巻き巻き。エゴの店員さんをイメージしながらセットした。

No.255

約束の時間は夕方。


待ち合わせ場所に10分早く着いた私は、まだ江田さんに番号を知らせていなかった携帯から電話した。


『おぉ、携帯に変わってんじゃん。俺が買ってやるっつったのに』



江田さんは、やっぱり私だってわかってくれてた。超が付くほど嬉しかった。



『今車で向かってるから待ってろよ』



ファミレスの駐車場から出てくるのを見たことがある、江田さんの車であろうシルバーのアリストが来るのを待った。



が…私が着いてから20分経つが江田さんは現れない…
あまり待つのに慣れてないせいか、まだ約束の時間から10分しか過ぎてないのにすごい不安になる…



どうしよう…このまま来てくれないかもしれない…



私は携帯の画面を見つめ、泣きそうになりながらも江田さんからの連絡を待った。

No.256

それから10分待ったが、やっぱり来ない。



ウザがられるの覚悟で江田さんに電話した。



『お前何泣きそうになってんの❓』



声でバレたのか…


『江田さん来ないから…』



『俺ずっとお前の前で待ってるんだけど。』


は❓



そういえばさっきから白のセルシオが目の前に停まってる。

運転席を見ると、ひさしぶりに見る江田さんが手を上げてる。

固定観念ってやつか…


てっきりシルバーのアリストとばかり思ってたから…目の前の白の車を気にも止めてなかった。



ってか江田さんも江田さんだよ。普通降りてくるとか…なんかあるでしょ❓



車の助手席に乗りこんだ。

隣りで江田さんが大笑いしている。

からかわれていた…

No.257

江田さんは私よりも早く来ていたそうで、
まだ着いていない風に装い、待つ私をずっと観察していたそうだ…


私の携帯番号を知らないはずの江田さんが、着信が私からだって当たり前のように分かってくれてたと思って、嬉しかったのに…



見てたんだったら分かるはずだよ…



悔しいとかガッカリとかじゃなくて…ショックだった。




『そんな顔すんなって』


まだ笑ってるし…



でも、こんな高級車の助手席に乗ったのも、隣りに素敵な大人の男性がハンドルにぎってる事も、私にとって全部初めての事で…ドキドキは止まらなかった…

No.258

『携帯の代わりに何か別の買ってやるよ』



江田さんはファッションビルが建ち並ぶ街まで車を走らせた。


立駐に車を停め、
私達が通うビルとは違う、大人なショップがテナントとしてたくさん入るビルまで歩く。


江田さんは歩くのが早い。私は小走りで後ろから付いていった。




『好きなの選べよ』



今まで入った事のない高級感漂う、私は知らなかったブランドのショップ。
私が昨日買った服とは素材も値段も全然違う…


こういうのって遠慮しとくべきなのか…


『こんな高いの買ってもらえないよ…』


『おいおい、中まで入って何も買わずに俺を店から出させるつもりか❓』


なんのプライドか知らないが、買ってもらったほうがいいようなので遠慮なく選んだ。



朋ちゃんの歌の歌詞をマネして、花柄のワンピにレザーのジャケットを選んだ。



『お、いいじゃん。』


その格好に合うミュールとバッグまで買ってもらい、総額10数万…


とても自分では買えない…


嬉しいような申し訳ないような…



『さっきのお詫びも兼ねてるから』


そう言ってショップ袋両手に歩く江田さんの後ろをまた小走りで付いていった。

No.259

『こんな高い物…ありがとうございました』


車に乗り込み、ドアを閉めてからお礼を言った。




『体で返してくれればいいからね💕』




あ゛❓



『嘘嘘‼お前すぐ顔に出るな。マジウケる‼』



なんだ…嘘か…

この時、本当は江田さんとなら…って思ってた。


まだ私は高校卒業したばかりで、そんな私からすれば江田さんくらいの年齢は皆'オジサン'。でも江田さんはオジサンには見えなかった。それだけ魅力的でかっこいい大人の男性だった。



その日はそのままドライブして、車の中でいろんな話をした。

私がファミレスで見たアリストは仕事用だった。

高級車2台所有ってどんだけ金持ってんだよと思いながらも、
今日は江田さんとたくさん話せる💕質問にも答えてくれる。


それでも会話の流れは自然と私への質問に変えられていて、結局年齢は42歳、O型だという事しか聞き出せなかった…。

No.260

待ち合わせから2時間くらいの短いデートだった。



これから仕事があるから家まで送れないと、高過ぎる交通費を差し出す江田さん。


『ここからだと300円もあれば帰れますから』


と、受け取るのを拒否したが、

夜は危ないから、と、タクシーで帰るよう言われ、
たったそれだけの事で
'守られてる'
'大事に思われてる'
なんて、まだ若かった私は勘違いしてた…。


それから言われた通りタクシーで帰った。

それでもお釣がカナリ返ってきたから…

私はパスケースにマジックで
'❤江田さん❤'
と書き、そのお釣を入れた。



江田さんとの会話は今までにない楽しさがあった。


歳のわりには最近の流行も知ってたし、
学生男子にありがちの'俺俺'と、ガッツいてないし、いっぱい喋ったのに疲れを感じるどころか癒された感じだった。

No.261

江田さんへの想いは
'憧れ'から'恋'へ変わっていく中
専門学校に入学。

プログラミングをメインに勉強するこの学科。

圧倒的に男子が多かった。



4人しかいない女の子の中、同じ匂いのする可奈と仲良くしていた。



休憩時間、2人で喫煙所まで走り、彼氏はいるのか、とか、今まで何人と付き合って、どんなエッチをしたかとか…初っ端から生々しい話をしていた…汗。



入学して3日目、ふれあいがどうのこうのって
1泊2日の研修があった。



まだよくクラスの人達を把握していない中


可奈と2人でクラスの中で目立ってる男を遠くから見ては
『アイツ絶対デカいよ』

『アイツはあ~見えてテク無しっぽそう…しかも小指くらいしかなさそ~😂』


なんて本当に女❓って聞きたくなるくらいの下ネタが続く。ノリの良い可奈と話すのがすごい楽しかった。

No.262

そんな可奈と仲良くする毎日。

周りからは楽しそうに見えたのか。


自然と男の子も集まるようになり、4月末にはグループが出来ていた。



江田さんとは…

相変わらず自分からは連絡する勇気がなく、
週に1度、気が向いたかのように来る江田さんからのメール。内容はアッケラカンだが、全て保護するくらい一喜一憂していた。



そして5月。大型連休ゴールデンウィークに、親睦を深める為オール②連日しようと、クラスの子達と予定していた。


ボウリングやカラオケで2日間徹夜しようという、くだらない遊びだ…



なんだかんだ言っても楽しみにしていた。

No.263

そしていよいよゴールデンウィーク前日。


学校が終わってその日の夜からの約束。



家に帰り、シャワーを浴びて念入りにメイクする。

服はこの前江田さんに買ってもらったヤツを着ていこうか迷ったが、もったいなくて止めた。



身支度を終え、待ち合わせ場所まで急ぐ。



そんな時江田さんからの着信が鳴った。



足を止め電話に出ると
『明日の夕方逢えないか❓』


と言う。


クラスの皆との計画は今日と明日のぶっ続け徹夜遊び。
きっと今日の夜中にはみんなダウンして計画はオジャンになると思ってたし、もし続行したとしても途中で抜けだそうと思い、江田さんと逢う事にOKした。

No.264

電話を切り、また待ち合わせ場所に急ぐ。小走りではあるが、別の楽しみも出来た私は心はスキップしていた。


まずは飯ってことで、居酒屋での待ち合わせ。


みんなはもう来てお酒を飲み始めていた。



『さくら~遅い💢』


可奈が叫んだ。
もう酔ってるのか❓


楽しい場はビールがすすむ。

何杯飲んでもおいしいビールはじょじょに私の気分を気持ち良くさせ、テンションは上がる一方。

ふと気付いた。クラスの子じゃない男がいる…


『あの人誰❓』

可奈に聞くが、可奈は完全に酔ってる。


『おい‼お前誰だ‼』

可奈がまた叫んだ。

No.265

『智也って言いま~す』


クラスの中に隣りの県出身の直人という子がいた。直人と智也はオナ高で、現在2人共それぞれ違う学校ではあるが進学の為こっちに出てきて1人暮らしをしているそうだ。


新しい生活に友達は少なく、
今回の私達のこのしょうもない遊びの事を直人から聞き、智也もついて来たのだと。



可奈が叫んでからというもの…心を開いたかのようにうちらのそばから離れない智也…


可奈は酔ってノリが良かったが、私は平気で肩組んだり顔を触ってくる智也のウザさについていけず、どんどん酔いが冷めていく…



私は自分のグラスを持ち、直人の横に移動した。



『あんたの友達相当たまってんね。マジウザいんだけど。』


『アイツ、まだ学校に馴染んでないらしくてさ…寂しそうだから連れて来たんだよね。ま、ほっといてくれていいからさ』


直人は私のグラスにビールを注ぎながらそう言うが、私には智也は女に飢えてるようにしか見えなかった。

No.266

居酒屋を後にボウリング場へ向かう途中、智也は酔ってフラフラしてる可奈を介護していた。


『直人、あれほっといたら可奈ヤバいかね❓』



智也が可奈に何かするんじゃないかと心配したが、
直人は『智也はそんな奴じゃない』と言う。
それに可奈も智也を嫌がってなさそうだからほったらかしにしていた。



私はこの日、初めてのボウリングな事に気付き、投げ方も分からず3ゲームのスコアのアベは50以下だった…

残念すぎて笑えない…💦



その後カラオケで朝まで歌う予定だったから、私はもう少しだけココに残り、練習がてら投げる事にした。


それに、直人ともう1人、高倉という子も付き合ってくれる事になった。

No.267

黙々と投げる3人。


高倉がストライクばかり打つから、悔しくて2ゲームで止めた。



すっかり酔いも冷めた私達はみんなが居るカラオケに向かう。



ドアを開けると案の定、ほとんどの子がダウンして、歌ってる子なんていない。


可奈は寝ていた…

『私帰ろうかな…』



予想通りここで計画はオジャンになったが、
今は夜中の2時。

JRの始発まであと3時間くらい待たないといけないという事で、


私と高倉は可奈を連れて、近くで一人暮らししている直人の家で暇を潰させてもらう事にした。

No.268

学生の一人暮らしといえば1K。すごく狭いが、
『風呂とトイレが別なだけまだマシ』
と言う直人。

テレビとベッドに占領された狭いスペースに4人も入ると暑っくるしい。


可奈をベッドに寝かせ、私は散乱する雑誌の山に何かおもしろいものはないか、と、ほじくり始めた。




出て来る出て来る。エロ本が。



顔射ばかりを目にしたから
『直人こんなん好きなわけ❓』
と聞くと

『男の夢だ』
なんて馬鹿げた答えが返ってくる…



江田さんはどうなんだろ…


私は密かに江田さんと体を重ねる日が来るかも…なんて期待していた。

No.269

この頃の私は、2人の男しか知らない。


しかも初体験は相手も初めてで、お互い無知なまま、本能のままに動いていた。


2人目も童貞で、こちらも上に同じ。



性に関する知識がゼロに近い私が、果たして大人の江田さんと釣り合う動きができるのか…

何故か焦りだす。



女の私が男の直人の家で、こんな事頼むのは非常識なのはわかってる…

ダメ元で頼んでみる。

『AV貸して』



直人は

はぁ❓

と言いながらもロッカーをゴソゴソあさくり、一本のAVを差し出す。


『コレ、女の人に人気の男優のヤツ。』



そう言って貸してくれた。

No.270

『女もそんなん見て1人でやるわけ❓』



高倉がニヤつく。



『まぁね』


なんて格好つけたつもりで言ってみたが、

年上の男性と、もしかしたら…な時に備えて勉強

なんて恥ずかしくて言えなかった。



今考えると1人でやる自分を想像される方が恥ずかしいですね…💦
本当馬鹿でした😭



始発の電車が出る時間になった。



『直人、可奈よろしくね』


そう言って寝ている可奈を直人の家に置いて高倉と2人で駅へ向かった。



駅までの道のり。
高倉は付き合っている彼女との惚気話で1人盛り上がっている。


眠い私は

『ま、頑張れ』


と、適当に返事していた。

No.271

おそらくこの日からだろう。


彼女がかわいい、とか、一生大切にする、とか…ノロケではあるが男の人の誠実な気持ちを高倉によって初めて知った私は、

少しずつ高倉に心を開き、

江田さんの事も相談に乗ってもらうようになり…


もちろん高倉の相談にも乗る…
のち、本物の'嫉妬'を知る…





家に帰りつき、部屋に入るなり借りたAVをデッキにセットする…



私は中学男子にでもなったかのように、
音量を最小にし、
寝ている家族にバレないように、
誰か部屋に入りそうになったらすぐスイッチが消せるように
ヒッソリと見始めた。

No.272

初めて見る他人のその行為に、
勉強どころか興味の嵐…💦

今までに経験のないプレイに吐き気すら襲ってきたが、


直人が言っていた、男優のチョコボール○井さんが女の人に人気なのも、なんとなくわかるな、って思ってもみた。
でも私にはまだ早い💦なんて恐怖にも似た感覚だった。



そろそろみんな起きちゃう…



睡魔と戦うのも限界だった私は、お風呂にも入らず
借りたAVをベッドの下に隠して寝た。

No.273

昼過ぎにメール受信の音で目覚めた。



可奈からだった。



内容は、私は生理的に無理だった智也と付き合う事になったというものだった。

私達が帰ったあと、直人の家の近くに住む智也とガチあい、今も一緒にいるそうだ。

居酒屋で意気投合していた2人を見ていた私は否定もできず、

『おめでとう』

と軽く返信し、


ムダ毛処理用のカミソリを持ってお風呂に入った。



念入りにムダ毛を処理する。


江田さんに逢うなら、手の指の毛一本すら残すことは許されない。

そんな乙女心も無駄になるなんて思いもせず、
自分を1ミリでも輝かせる為に一生懸命だった。

No.274

まだメイクに慣れているとは言えない18歳。
お手本は4つ年上のayuだった。

目を真っ黒に縁取り、マスカラタップリ塗りたぐる。その上さらにつけまつ毛。その黒すぎる目の周りにはラメ入れてなんぼ。眉下と目下にはキラキラな白いパウダーで光沢を出す。比較的色白な私はこんなメイクが一番似合うなんて思っていた。

この前江田さんに買ってもらった、花柄のワンピにレザーのジャケットを羽織って

何度も鏡を見てはナルシストのように自分の姿に納得し、緊張する自分に自信を付けた。



待ち合わせは18時。


場所はこの前と同じ所。



ホストかキャッチか知らないが、目の前で私の通行を妨げる若い兄ちゃんの着こなせてないスーツと江田さんを比べる。



『ちょっといい❓うちの店で働かない❓』


こんな時

その若い兄ちゃんが安っぽく見えてた。


決まって『まだ高校生です』って言って追い返す。そんな嘘がまだ通用する。

でも江田さんには1歳でも年上に見られてたい…まだ子供な私だけど…
力一杯背伸びしてた私を大人の女性として
接して欲しかった。

No.275

江田さんは前回のようなイタズラもせず、
車から降りてタバコを吸いながら私を待ってくれていた。


今朝、初めて見たAVの興奮がまだ残っていた私は江田さんの目にどのように映っていたのだろうか…


暗黙の了解かのように、車は市内のもっとも地元から離れたラブホに向かう。


部屋の選択の時、一番広くて一番値が高い、最上階の部屋のボタンを当たり前のように押す江田さん。


狭いエレベーターの中、江田さんにバレないよう、緊張で震える両手を必至で隠した。




部屋に入ると、あの、狭く、チャチく、みたいな、あからさまな感じがまったく無く、

広々とした部屋にキングベッドがドンと構え、フカフカなソファーがL字にテーブルを囲む。
まるでスィートルームな部屋だった。



はしゃぐ私をおもしろそうに見る江田さん。


やっぱり私はまだまだ子供だね…

No.276

お腹すいただろ❓と、なんやかんや注文する江田さんに、『パフェが食べたい』と言うと、3種類頼んでいた。


今考えると鳥肌が立つが、


そのパフェの生クリームをわざとホッペに付け、『江田さ~ん、顔汚れたから拭いて』
なんて甘えてブリっ子していた。



ここに来て3時間ほど経つが、
まるで家のようにくつろいでいる江田さん。


楽しんでる私を眺めてるだけで、
一体何を考えているのか…



『江田さん…一緒にお風呂入ってくれませんか❓』



私の、精一杯のモーションだった。

No.277

石鹸で、タオルを使わず手で丁寧に私の体を洗う江田さん。



ヤバい…


私の性感帯を触れそうで触れないその手に、なんとも言えない快感が襲う。


'じれったい'なんてまだ知らない。


絶頂も知らない私は首筋を撫でられるだけでイッた気分だった。



バスタブの中、向き合ってお湯に漬かる。

大人の江田さんの、その大きくて丸い瞳に見つめられるだけでドキドキの中の緊張がほどけ、身を任せる準備ができた。



お風呂から上がり、ベッドへ向かう。

今まで童貞君との過去しかない私は、

江田さんの、大人ならではの、そのねちっこい愛撫にただマグロ状態で構えていた。


耳元で唇が触れるか触れないかの距離で吐息をかける江田さんが、今朝のAVに出てきたチョコさんと重なる…

No.278

女性の皆様、'潮吹き'を経験された事はありますか❓

私はずっと嘘だと思ってました。
どうせ尿だろ。
男を興奮させる為のパフォーマンスなんだろ、と。


江田さんの深爪の指が私の中で踊る。


この時'潮吹き'が尿ではなく、本物だったと知った。



'イク'とは違うが、私にとって、どことなく安心感に似た、気持ちいい、と言うよりは、心地よいものだった。






事が終わり、江田さんの腕枕で寝たフリをしていた。



一部始終を思い出すと、鼻血が出そうだった。



過去の男どもとは、突かれるだけの気持ち良さに1日に何回も、まるで猿のようだったが、

こんな1回で十分満たしてくれた江田さんがテクニシャンに見えて…


私はそんな江田さんの大人の魅力にどっぷりハマっていった。

No.279

この日、てっきりお泊まりだと思っていたが、
江田さんはまだ仕事が残ってると言い、夜中にホテルを後にした。


また、家まで遅れないからと、前回よりも多い交通費を差し出し、タクシーが掴まりやすい通りで降ろされた。



江田さんからこんなデートのお誘いが週1でかかってきた。



私は、ただホテルに行くだけのデートの為、江田さんを想いながらゴージャスにめかし込む。


これが'大人の恋愛'だと信じきって…



溜まるに溜まった江田さんから差し出される交通費の釣銭。服でも買え、と、返済を求める素振りは一切無く、
'❤江田さん❤'とマジックで書いたパスケースには、10枚の千円札を1枚の万札に両替したりして地道に軽量させていたが、後、チャックが閉まらないほどの万札でパンパンになった。

No.280

そんな増える一方なパスケースとは逆に、

朋ちゃんの真似して買った私のPRADAの財布の中身は減っていく…
遅かったが無事自動車免許も取得し、試験料の支払いも終えた。通帳の残高は昨日携帯料金が引かれ、わずか千円を切っていた…

ヤバい💦



時給が少しでも高い所がいい。

高倉のバイト先が女性スタッフを募集してると聞き、紹介してもらえたおかげで
夕方18時から24時までの、割りと時給の良い居酒屋のアルバイトを始めることができた。



江田さんからお誘いがくるであろう土曜日は、シフトから外してもらってた。



お金が無いって怖い💦
給料日までの一ヵ月間、
友達からの遊びの誘いも断り、ただアルバイトに励んでいた。

No.281

そのバイト先には、高倉の彼女もいた。


大学に通う浅子は高倉の言う通り、可愛くてちっちゃくて色白で…女である私でさえ'守ってやりたい'と思わせる魅力を持っていた。
『高倉からいつも浅子ちゃんの事聞いてるよ~』


そんな会話から、一気に浅子と仲良くなれた。



浅子にとっては、彼氏と同じ学校に通う私を、学校での彼氏の様子を伺うための材料でしかなかったように感じたが、

所詮友達なんてそんなもん。


マブになるまでは発展しなかった。



2人のラブラブぶりにウザさを感じていたが、よく3人で遊んだりもしていた。


江田さんとホテルで密会のようなデートしかしない私は、

3人でいる時、浅子に対する高倉の態度を、嫉妬のようなまなざしで、影からジッと見ていた。

No.282

女の勘ってヤツか…


浅子はそんな私にすぐ気付き、
自分を守る為、
彼氏である高倉を私から離すかのように、
遊ぶのも止め、
口も聞かなくなった。


せっかく慣れた居酒屋のバイト。
そんな浅子の事を気にする事も無く、辞める気もない、
そこまで大人じゃない私は図々しくも、バイト先で高倉と、浅子が知らない、学校のクラスメイトや先生の話をわざとしていた。



凹む浅子を見たかったんじゃない、
ただ、高倉の愛情を独り占めしてる浅子が羨ましかっただけ…



それが原因かはわからないが、浅子はバイトを辞めた。


それでも高倉と続いている事に嫉妬する…



今日も江田さんに抱かれながら、性格の悪い私を一切隠し、
『朝まで一緒に居たい、手を繋いで街を歩きたい』なんて本音は言えず、物分かりの良い女振る。



もし本音を言ってしまえば、そこで終わりな気がしてた…



虚しい気持ちも必至に隠し、江田さんに教えてもらった体勢で、少しでも可愛いって思われるよう、演技にも似た動きで踊る私を見て満足してる江田さん。


そんな自分の気持ちをごまかす事に少し疲れを感じてきた頃だった。

No.283

COBOLの授業中、真っ黒のパソコン画面に
意味のわからない英文を繋ぎ合わせ、プログラミングの練習をしている最中、
バイブにし忘れた私の携帯が教室中に鳴り響く。

私の着信音は時代遅れではあるが、相変わらず好きだった朋ちゃんの歌…💦恥ずかしい…
まだ3和音とか4和音だったと思う。


『お~い‼授業中は音鳴らすなと言ってるだろ~』

先生に、私の携帯だとバレないよう、慌てる様子も見せず、
ただ鳴りやむのを待った。



しつこい…誰❓


トイレに行くと言い、教室の外に出て、私の携帯にしつこく鳴らす相手を睨むように画面を開いた。
折畳み式携帯、通称パカパカ携帯がハヤりだしたのもこの時代だ。


知らない番号だった。


『…はい💢❓』


誰なのかわからないのに、
わざと不機嫌そうに取った。



『江田と申しますが。』


女の、ハキハキした性格を連想させる、ドスの効いた声だった。

No.284

…コウダ❓誰❓


ピンとこなかった。



『どちら様ですか❓』


『江田武志の妻です。』




この時、週1デートをする江田さんの下の名前を聞くまで、
本当に気付かなかった…



妻と名乗るその女は、
私達がいつ、どこで逢っているのか知っており、
また、私の通う学校や年齢、どこに住んでいるかまで調べあげていた。



『江田の姓は、私の実家の姓なの。武志は婿養子なのよ。』


女は、江田さんが勤める会社の社長令嬢で、小企業ではあるが、その会社の取締役を身内で固めてることまで話す。


まるで'あなたが入るスペースはどこにも無いのよ'と言わんばかりに…



そんな難しい説明はどうでもいい。



江田さんが既婚者だったなんて…


ショックが大きすぎて、声も、涙すらも出てこない…

No.285

『一夜限りのお遊びなら結構だったのよ。』



そんな'妻'としての余裕な発言も、今の私にはどうでもいい。


今すぐ江田さんに逢いたいっ…


どういう事なのか…
ちゃんと江田さんの口から聞きたいよ…



授業中だからと言い、ドスの効いた攻撃的な声に聞き飽きたころ、電話を切った。


教室に戻らず、喫煙所に向かう。



江田さんに今すぐにでも電話したかったが、
こんな状況でも、物分かりの良い女を演じる。

私から電話はしなかった。

No.286

良く考えればわかる事だった。


初めてのデートの時、まるで周りから誤解されないよう、私と並んで歩くのを避けるように早歩きだった江田さん。


付き合うとか、彼だの彼女だの、肩書きとも言える代名詞を一切利用しなかった事。


2度目のデート以降、ホテルのみで、泊まらず夜中には仕事という名目で必ず帰っていた事。


住んでる場所が近かった私を家まで送ろうとしなかった事。




それに…


江田さんの左手の薬指には
私と逢う直前に外したのであろう、リングの後がしっかりとついていた事を知ってた。



江田さん、でもね…


私が'違う'と深く信じていれば、それは全て現実ではないんだって…


疑う事を避けてたんだ。



そんな私は江田さんにとって、都合が良かっただけの女だったのだろうか…

No.287

江田さんの奥さんは、余裕な言葉ばかりを並べていたが、
最後に
『2度と逢う事は許されない』
と言っていた。



江田さんはこの事を知らないのか…

いつもと変わらずデートのお誘いの電話があった。



『いつもの時間にいつもの場所で。』



現実を知ったショックは確かに大きかったが、
なぜだろう…


既婚だという事を秘密にしていた江田さんを責める気になれなかった。



むしろ、自業自得と思っていた。



そんな中、いつものホテルでまた抱き合う。
なんだ…何も変わらないじゃん。


江田さんは果てる寸前、私をキツく抱き締める。


もうそろそろかなと思った時、


『結婚されてたんですね』



ピタっと動きが止まり、調子が狂ったのか、私の中でダラダラと果てやがった。

No.288

慌てる江田さんの間抜けな姿は、

'妊娠されると困る'、
とでも言いたそうな焦り様。

そんな江田さんの姿を見て、初めて涙が出た。



週に1度、性の処理の為に何故私を選んでいたのかは知らない。


もしかすると、他にも女はたくさん居たのかも知れない。


他にヤる女がいながら奥さんとの性生活も有るのかもしれない。


聞きたい事は山程あったが、


いつだって落ち着いた印象しかなかった江田さんが、
不発のようなスッキリしない果て方の後
奥さんにバレてるカモと心配でもしているのか…初めて見せるその焦り顔は
裸の私が横に居るなんて忘れてる…そんな江田さんを見てるだけで、
奥さんの尻に敷かれてると分かる…


婿養子だもんね…



何かがプチっと切れた。

No.289

それから服を着て、何も言わず1人で帰った。



帰り道、何を血迷ったのか…コンビニで、おいちゃんらが飲んでそうなワンカップを2本買い、一気飲みした。



それからどう帰ったのかは覚えていないが、
朝、私はちゃんと自分の部屋のベッドで寝て居た。丁寧にちゃんとパジャマに着替えている。重たい瞼が気になり、鏡を見ると、目が力一杯腫れていた。



今日が日曜で良かった…



夕方、だいぶ目の腫れは引いた。バイト先の居酒屋までチャリをこぐ。



いつもと違う私を心配そうに見ている高倉。
今日はとても暇な日曜ということで、私と高倉はいつもより早い時間に上がらせてもらった。



『富田、何かあった❓』



高倉には江田さんの話を何度かした事がある。


奥さんからの電話の事や、昨日の事を簡単に話した。

No.290

『お前その男にガツンと言ってやったの❓』


そんな事どうでもいい…


無言になる私に、高倉は江田さんの携帯番号を教えろと言いだした。


たかがクラスメイトの女の為に、一体何をしようとしているのか…



高倉のジーンズのポケットに入ってる、サイレントにされた携帯が光で着信を知らせるのが見えた。きっと彼女の浅子からだ。


私は着信に気付かない高倉に、教えてやるような事はしない。


江田さんの事で辛くなった気持ちを利用して、高倉のまっすぐな優しさに触れようとしていた…



『もういいんだ。辛いけど、これ以上江田さんの奥さんにも迷惑かけたくないから…』



本音な訳がない。


そう言っておけば、高倉は私を健気な女の子と思ってくれるだろう…


高倉はそんな私を抱き締め、そっと頭を撫でてくれる。



高倉の胸にうずくまり、ポケットの中で虚しく光り続ける携帯を、上から眺めていた。

No.291

10分くらいだろうか…
悪女のような気分で
高倉の胸を借りながら、嘘泣きしていた。



私達はまだバイト先の休憩室にいた。

他のバイトの子の足音が聞こえ、パッと高倉の胸から離れた。
高倉は直ぐさまポケットから携帯を取り出す。



着信履歴を確認だろう携帯をまたポケットにしまう。



『どっか行く❓』


優しい高倉は、泣いてる私を放っておけなかったのだろう…


『浅子ちゃんに悪いよ…私嫌われてるし。
1人で大丈夫だから…また明日学校でね。』

また本音とは逆の言葉で健気を演じる。



高倉はそんな私を多少なりとも'守ってやりたい'と思ってくれたのだろうか…

思ったとしても、それは'女'としての私ではなく、'友達'としての私に過ぎないのに…

No.292

不思議と江田さんの事は1日で吹っ切れた。


何も知らされず、壊れるのを恐れ自ら現実を知ろうともせず…ワガママも言わず、物分かりの良い女のフリしてた。
身形だって、OL向けの好きでもないファッション誌を買い込んで参考にした。
恥ずかしい思いしながらもクラスメイトの直人にAV借りて予習しようとした。
江田さんは私の体だけが目的であって、こんなに頑張って大人ぶらなくてもよかったのだ。
ひょっとすると高校の時の制服で逢っていた方が喜んでたかもね…



世界中の人間に、
声を揃えて
『バーカ』
と言われた気分だ。



そうだよ。



'❤江田さん❤'のパスケースの中の万札を数える。


30万近くあった。


これっぽっちのお金で江田さんは若い女の体を3か月も楽しんでたんだね。



ホテル代と合わせるとソープよりちょい高かったかもね…。



私なんて…

バカで、

金額付けれる程度の

それだけの価値しかない女だ…

No.293

私は月曜日、学校をサボった。

そのパスケースをバッグに入れ、

街へ向かう。


江田さんの財布と同じブランドの専門店で、パスケースの中の金額分だけ同じ財布を三つ買った。



店員さんは、来店して間もない客のお買い上げにニコニコだ。

『同じタイプの物を複数ご購入ということは…どなたかにプレゼントされるんですか❓』



『………。』


一つ一つ丁寧に梱包された商品を大きめの袋にひとまとめにしてもらい、その袋を片手に持ち、コンビニのゴミ箱へ捨てた。


江田さんの真似して選んだDoCoMoの携帯を解約し、
別の会社の携帯に買い換えた。



これで江田さんとの関係は全て精算完了。




梅雨も明けたというのに、叩き付けるような大雨…

私の代わりに泣いてくれてるのかと思った。

No.294

朋ちゃんが最愛の彼と破局した頃の事を思い出した。



テレビの向こうで仲良く歌う2人を見て、
ずっと憧れてただけに、自分の事のように悲しかった。


それからしばらくして復帰した朋ちゃんは、まるで別人で…

素敵な笑顔も無く…

違う人が作った曲を、まるで別れた彼に捧げるかのような歌詞で、
'無'な感じで歌ってた。



朋ちゃん…


私は朋ちゃんの完全な復帰を願ってた。


あの彼が居なくても、
あなたは充分輝けるのに…


そんなエールが届いたかはわからないが…


バラエティに姿を表すようになってからは

少しだけ元気を取り戻していたようだった…


どんなに辛かったんだろう…

テレビ見てるだけじゃわからない…



やっぱり恋愛って、惚れた方が負けなんかね❓



それなら惚れないほうがマシだよね…

No.295

昼過ぎ、3時限目が終わる頃、
大遅刻だが学校へ向かった。



休憩時間に教室に入り、可奈が寄ってくる…


『さくら~💢』



可奈は学校に来ていない私に電話をかけても繋がらなかったと少し怒ってる。



『ごめんごめん💦携帯買い変えてきた。』



赤外線で飛ばすなんて機能はまだない。


1人1人に新しい番号を教えてはワン切りしてもらう。意外と大変だった。



『高倉に少し聞いたよ…』


智也とラブラブしてる可奈には、江田さんの事を詳しく話してなかったが、いつもおちゃらけてる可奈が、心配そうに私の顔を覗き込む。

No.296

『あぁ、私遊ばれてたみたい‼』



惨めに思われないよう、明るく言った。



『よしよし、今日はパーっといきましょかー』



どうせしょっちゅう行ってるカラオケだろ、
と思いながらも、励ましてくれようとしてる可奈に
'ありがとう'
と思った。



本日最後の授業を受け、みんなでカラオケに向かう。


今日はバイトも休みだし、ゆっくりできる。


高倉も来ていた。




『大丈夫か❓』



私の横に座る高倉が言う。



『心配なら私と付き合ってよ。』



ビックリする高倉に
『嘘嘘‼』
と撤回する。



『俺、最近浅子とうまくいってないんだよね』

No.297

高倉から思いもよらぬ言葉が出てきた。



数ヵ月前、あんなにのろけながら彼女自慢してた笑顔はどこへ消えたのか…



『どうした❓』



浅子がバイトを辞めた頃くらいから、

束縛が酷く、今どこで誰と居るのかの催促の電話が増える中、

初めは、信じてもらえてない事が辛かったが、いつしか
'ウザイ'とさえ思うようになり、顔を合わせれば喧嘩になるそうだ…



浅子のそんな変化に私は少し責任を感じた…



『ごめん…』


『はぁ❓なんでお前が謝るの❓』



女のヤキモチや嫉妬を知らないのか…


高倉は笑いながらそう言った。

No.298

『ご飯付き合ってよ』

カラオケに2時間ほどいたが、
結局一曲も歌わずお時間ですコール。
お腹が空いていた私は高倉を夕飯に誘った。


『おぉ、』



駅から徒歩15分の場所に、ファッションショップや雑貨屋、飲食店、映画館などが入ったモールのような施設があり、
そこまで2人でチャリをこぐ。



この施設が出来たのは私が中学の時。昔は、大人の街…キャバクラや風俗、ラブホテルが集中する街と聞かされていた。


今でも歓楽街は健在で、その施設の周りには不審なおばちゃんが1人で立ってたりする。

大人になってから、
そのおばちゃんが何故立っているのか理解した。


ご飯を食べながら
お互いの傷口を広げるような話は避け、バイトや学校の話をしていた。


『私さ、プログラミング向いてないっぽいんだよね』


後、分野の中で最も難しいといわれていた国家試験に受かったくらい高倉は頭が良く、
私の悩みなんて理解できなかっただろうが、
『俺が教えてやってもいいよ』

なんて上から目線で応援してくれた。

No.299

ご飯を食べ終え、
屋台が並ぶ側へと無言で歩く。

ラブホテルのネオンが反射してる大きな川を眺めていた。



『あそこ、寄ってく❓』


ホテルを指し、冗談のつもりで言ってみた。



高倉がマジな顔してる…

ヤバい…冗談キツかったかな…


その瞬間私は手を繋がれ、引っ張られる感じでホテルのフロアまで連れていかれた…



どうするつもりなんだろ、と、抵抗もせず着いて行く。



そして部屋に入った途端、
ベッドに押し倒され、そのままヤられた。



本能とはこの事か…

後先何も考えず、理性の欠片も働いていない高倉。
幻滅すると共に、今年の夏、花火大会、誰と行こうか…
高倉の肩越し、天井を眺めながらどうでもいい事を考えていた。



高倉はアッと言う間にイき、
すぐ我に返ったかのように『ごめん』を連呼する。



謝られてもヒリヒリは治らない…

No.300

今まで浅子に嫉妬した事もあったが、
そんな熱い気持ちは一瞬で消えた。



処女じゃあるまいし、こんな事で傷ついたりしない。

自分にそう言い聞かせ、

明日からクラスやバイト先で気まずい思いしないように、



とにかく笑った。



『別にいいよ。』


そう言うしかなかった。




家に帰り、お風呂を終えてベッドに潜り込む。


ガリな男のアソコはデカい


これってカナリの確率で当たってる気がする。



そんな変な事を考えながら寝た。



この頃から…

私は恋愛の素晴らしさを見失ってたんだっけ…



もうすぐ19の誕生日を迎える夏だった。

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