キミに触れたら
これは"キミとワタシ"という作品から思いついた、フィクションの物語です…
下手ですが、ご意見ご感想お待ちしています🙇
新しいレスの受付は終了しました
~序章~
彼女の名前は相川真琴(アイカワ マコト)…今年で40になる……
真琴がまだ中学生の頃、彼と出会った…
何故、彼女は変わったのか………
何故、彼女は彼に恋をしたのか……
何故、彼女と彼は別れなければいけなかったのか………
全ての答えは…ここにある
~1~
今年も真琴の嫌いな季節…夏がやって来た……
この暑い中…今日も娘の唯は彼(正確には彼女…)を家に呼び、熱々ぶりを披露している……
《まったく…見てるコッチが暑いのよねぇ……》
唯の彼…柳玲…彼女は性同一性障害だ……
その事で真琴と唯は何度か揉めた…しかし5年もの間、玲を想い続ける娘の姿を見ていると…"力になりたい"そう思わずにはいれなかった…
そして今、玲は外見も男の体となり…結構タイプだったりする……
《やっぱ……似てるなぁ…》
気がつくと…真琴は玲を見つめていた……
「お母さん??何で玲の事そんなジッと見てんの?まだ反対するつもり?!」
「反対なんて…もうしないわよ……」
本当に?!と疑う娘を見て溜め息が出る…
《21にもなって…まだまだ子供なんだから……玲君…どこが良いんだろ……》
「ちょっとトイレ……」
唯がリビングから出て行く…真琴と玲は2人きりになった……
~2~
沈黙の部屋……真琴は玲に勇気を出して聞いてみる…
「ねぇ玲君……お父さん…元気?」
「父ですか?…ええ、まあ元気ですけど……真琴さん…父と知り合い…なんですか??」
「…古い……知り合いかな…………もう20年近く…会ってないから…」
なにかワケありな喋り方をする真琴を、その心まで読もうとするように…玲は見つめる……
…その目が……
「お父さんに……似てるね…」
「……そうかな?」
「前より似てると思う……やっぱ男性ホルモンで、玲君目つきとか…変わったよね」
「ハハッ……中身は変わって無いですけど」
照れたように半分顔を隠して笑う…その仕草までが"彼"に似ている……
嫌いになったはず……それなのに…こうやって"彼"に似た玲の姿を見ていると、昔の気持ちが蘇る…
「仲良さそうじゃん…」
気がつくと扉の前に唯が立っていた……
「もしかして…妬いてんの?」
意地悪そうに玲が聞く…
「妬いて無いッ!!」
怒った唯の耳元で玲が何か呟き、2人は唯の部屋へ上がって行った……
「見せつけちゃって………羨ましいなぁ…」
リビングに真琴の溜め息が響く……
~3~
つけていただけのテレビを切ると、ソファに寝そべり目を閉じる……
《少しくらい…過去に浸っても……良いよね…》
私がまだ15才の頃……彼に出会った…
彼に出会った事…後悔はしてない……本気で人を好きになる事が出来たから…
誰かを想うだけで、弱くなったり…強くもなれる……
キミに会えなかったら……私は…どんな人生を歩んでたんだろう…………
~4~
夜の繁華街…真琴はいつもの様に、中学の制服を着たまま地面に座っていた……"客"が話しかけて来るのを待って…
しばらくすると1人の高校生くらいの男が寄って来た…
「そんな所座って…何してんの?」
両手をポケットに入れ、機嫌悪そうに話しかける男……
「見て分かんないならどっか行ってよ…邪魔だから」
「邪魔なのはあんただろ……用も無いのにそんな所座るな」
《何よコイツ…………》
「ねぇ……暇してるなら…どっか行かない?」
睨み合う2人にスケベそうな中年男性が割って入る
《やっと来たぁ~!!》
行くぅ!!といつもの甘えた声を出そうとした時、高校生の男がキッパリと言う…
「無駄だよおじさん…この子、ここに座ってたいんだって」
《ハァっ?!》
「そ…そうなんだ……」
中年男が残念そうに去って行く…
「じゃあ俺も……帰るかな…」
「待ってよ!!何で邪魔すんの?!おかげで1人目の客、逃がしちゃったじゃない!!!」
「客ぅ??さっきの男が?!俺にはただのオッサンにしか……」
キョロキョロとさっきの中年男をもう一度見ようと探す男…
《なんなのよ……コイツ………》
~5~
"客"が何なのか説明する代わりに、真琴は夕ご飯を奢ってもらう事にした…
「何が食べたいんだよ??」
「えぇ~別に何でも良いけど」
「なら俺が食べたい物で良いな?」
そう言う彼に付いて行く…そこは高そうなレストランだった……
「もしかしてあんた……金持ちなの?」
「"あんた"じゃなくて柳清司(ヤナギ セイジ)…お前は?」
「"お前"じゃなくて相川真琴……」
「俺の真似すんなよ!」
そう言いながら笑う彼…その笑顔は眩しい程かっこいい……
「…真似したんじゃないもん」
見とれそうになった真琴は慌てて下を向いた
テーブルに案内され、席に着く…それは真琴が今まで来た事が無い雰囲気の店だった……
メニューを見るが、全く分からない…
「何食べる??」
真琴の心を見抜いた様にわざとらしく聞く清司…
「…1番高いやつ……」
「良い性格してんじゃん…面白いから許すけど」
ニッと笑い、慣れたように清司は注文を済ませる…
「やっぱ……金持ちなんでしょ?!」
「………親がね……」
それから料理が運ばれて来るまで、2人の間に会話は無かった……
~6~
「それで…"客"って一体なんの事だ?」
運ばれた料理を食べ終わり、真琴はその美味しさに浸ってボーッ……としていたので、清司の急な質問に少し驚く
「…ここで言うのは…ちょっと嫌かも……」
「なら外で話そ…」
カードで支払いを済ませると、2人は店から出た
「さ、早く教えろ」
《強力だな…………》
「客ってのは……アレだよ…Hとかして………お金貰うの…」
「それって…援助交際ってやつ……だよな?」
さっきまで笑っていた清司の顔が、今はどんな表情なのか見るのが怖くなり……真琴は俯き頷いた
「……なんで………そんな事してんの?お前まだ中学生だろ?親は知ってんのかよ?!」
「そんな質問されても…困るんだけど……」
「良いから答えろよ!そういう約束だろ?!」
《確かに……そうだけど…》
奢って貰ったんだし、仕方ない……真琴は重い口を開いた………
~7~
「お父さん……酔うとすぐ暴力振るうの…それが嫌になって、お母さんは出てった………それからお父さん…余計お酒増えちゃって……私が働かないと生活していけないから…………」
「それで…体売ってんのか?他に良いバイトあるだろ?!なんでこんな……」
「中学生の私に出来るバイトなんて……それにこれが1番稼げるの!!」
「……そんなに金が…必要なのか?」
「…………………」
俯いたまま…真琴は黙る
《やっぱ駄目だ…こんな金持ちのお坊ちゃんに……分かるわけない…》
「そんなに金が欲しいなら……俺がやるよ!!」
財布から取り出したお金を、無理やり真琴の手に押し付ける…
「やめてよ!!…私が家の事話したのはそういう約束だったから……同情されたくて話したんじゃない!!アンタになんて……分かんないよ!!」
渡されたお金を清司に投げつけ…真琴は駆けて行く……
「分かるかよ!!金の為に体売る気持ちなんて……分かりたくねぇっての!!!」
後ろから聞こえる清司の叫び…真琴は悔しさと虚しさで、涙が溢れた…
~8~
「お母さん?そんな所で寝てたら風邪ひくよ?」
「ん~…………」
「しょうがないなぁ」
唯は部屋からタオルケットを持って来て、それを真琴にソッと掛けた…
「…りがと……………」
「おやすみ」
「あれ…真琴さん寝ちゃったんだ……」
階段から玲が眠そうな顔でおりて来る…
「そっ、だから今夜は私がご飯作るね!!……ってその嫌そうな顔はなによッ?!」
「俺が作った方が…良いんじゃない?」
「良いの!!練習してけば私の料理も美味しくなるって!」
「……無理だろ………」
ボソッと呟いた玲の一言は唯に聞こえていない…
何作ろうかなぁ~とご機嫌な様子でキッチンへと向かった……
…その後ろ姿を見ながらため息をつく玲…
《…胃薬……準備しとかなきゃ………》
~9~
清司と出会って一週間…あれ以来彼は真琴の前に来なくなった……
《邪魔されないからちょうど良いや…》
そう思いつつも、学生が通る度に目で追ってしまう…
「真琴ちゃん!!!俺だよ…覚えてる?!」
髪の薄くなったサラリーマンが寄って来る…
《誰だっけ…コイツ……ま、良っか…》
「覚えてるよ~!!また会いに来てくれたんだぁ…嬉しいッ!!」
甘えた声で男の腕に抱きつく……男は照れた様に笑い喜んだ…
《男なんて…バカばっかり……》
そして2人はホテルへと向かった…
~10~
ホテルから出て、タバコに火をつける真琴…
吐き出す煙と一緒に、心の中のモヤモヤしたものを出そうとする……
《今夜は……もう帰ろうかな…》
そんな事を考えていた時…目の端に清司の姿が飛び込んで来る
「清司ッッッ!!!!」
思わず叫ぶ真琴…その声に足が止まった清司の横から
綺麗な女の人が見えた…
「知り合い?」
見下した様な目で真琴を見る女…
「…いや……人違いじゃないの?…行こう……」
女の手を握り、清司は去ろうとする……
「逃げるなぁ!!柳清司ッッ!!!!」
自分でバカだと思いながら…真琴はまた叫ぶ……
周りの視線が…痛かった
~11~
真琴の思う男のイメージ
すぐにHしたがる…
暴力的…
Hの最中ワザと出してる声を本気にして喜ぶ…
甘えたら簡単におとせる…
そんなイメージしか無かった真琴…男はバカとしか思って無かった……
そんな中会った清司
それまでのイメージとは全然違って…
少し強引で…でも優しかった……
なんとなく気になってた清司…その彼がこっちに向かって来る……
冷たい真顔で…
「なに?」
「なにって……」
「用が無いなら一々呼ぶな…迷惑なんだけど」
「…ごめん……でも…また話したかったから…」
「今は無理……見て分かるだろ?」
《やっぱ…彼女………》
「…………ごめん」
はぁっ…
清司が溜め息をつく…
「……ごめんってば…」
「………分かったよ…」
そう言うと真琴の頭をポンポンと叩き
「また来るから!!」
という言葉を残して、女の元へ小走りで向かって行った…
女が清司の手を握り、真琴を睨むとそのまま歩いて行く
睨まれた事も気にならない位…真琴の心は踊っていた……初めて誰かに撫でられた頭…
小さくなっていく清司の後ろ姿を見ながら、何度も撫でられた頭に触れた
~12~
「ただいま……ッ!?酒臭っ…」
アパートに帰った瞬間、真琴の鼻をつく酒の匂い
「遅いんだよぉ!!金はッ?!金はどこだ!!」
「無いよ!!今日は給料日じゃないから…」
「はっ…給料日だと?!お前が何やって稼いでるか…知ってんだよッ!」
出せッ!!と言いながら真琴を殴る…床に倒れ、蹴られながら……真琴は本気で…家を出たくなった………
《でも家を出てどこに行く??こんな子供…どこに泊まるの?男の所??そんなの……嫌だ……男に頼るなんて……絶対……絶対嫌!!》
財布からお金を出すと、真琴の父はフラフラと家を出て行こうとする…
かすれた視界の中で…真琴の目に入ったのは……
……台所の包丁…
~13~
《こいつを殺して…私も死ねば良い……そうしたらきっと…楽になれる……》
包丁へと伸びる手…
……なぜだろう…ふいに清司の顔が浮かんだ…
《怒る……だろうな…きっと怒る……まだ2回しか会ってないけど…なんとなく…分かるよ……》
こぼれる涙を拭い、
握った包丁を片付け真琴は部屋に戻った…
《明日になれば……またキミに会える…そうしたらもっと、素直になりたい………》
そんな事を考えながら…眠りにつく……
『お母さん!!』
遠くから聞こえて来る声
《誰かが呼んでる………"お母さん"って……私…子供いないのに………人違い……かな……ま……良いや…………もう少し…寝ていたいの………》
もうろうとする意識の中……真琴はこのまま…夢へと溶けていく………
~14~
「よォ……」
気まずそうな顔でやって来た清司は、肉まんを真琴に渡す
「ありがと…」
「…こないだ何言おうとしてたんだ?」
指で肉まんの包みをいじっている清司…
「謝りたかっただけだよ……ん~これ美味しい!!冷めちゃうよ?」
「…ん……だな…真琴は進学すんの?てか今何歳??」
「今15だよ!……進学は…無理かな…別に高校行きたくないし…」
なんとなく清司に嘘をついた……本当は少し…高校に憧れていた真琴……
「そっか…まぁ、自分の好きなようにするのが1番だろ!!」
「清司は??今何歳?」
「俺?…これでも高3…まだ17だけど」
「大学行くの??」
「……ああ…」
それからはしばらく無言で肉まんを食べた2人…
「そろそろ…帰った方が良いかな?……俺がいたら…"客"……来ないんじゃ…」
「……今日は…そんな気分じゃ無いし…」
「………そっか………なら……俺とデートしない?!」
「はぁっ!?私の事からかってんの?」
「俺はいつだって本気だよっ!!行こ!」
半ば強引に真琴の手を握り歩いて行く清司…
手を繋ぐのが嬉しかったのは、真琴にとってこれが初めての経験だった…
~15~
「高校…ほんとは行きたいんじゃないの??」
それから数週間、時々会いに来ていた清司が突然言った言葉…
「なによ?……だから行きたく無いんだって!」
本当に?と疑った顔でしつこく見つめて来る……真琴は諦めたように溜め息をつく
「……ほんとは…少し……ちょっとだけ…行きたいけど……でも…諦めてるし………良いんだ…」
「やっぱりな…………諦める事無いよ!!俺も協力するから!」
「協力??"客"になってくれるとか?」
「違うッ!!!だから…俺もバイトしてみようと思ってて……社会勉強の為に…でも金は俺持ってていらないから、お前にやろうかと思って…」
《清司…………ありがと……本当に…本当に嬉しいよ……》
"ありがとう"…その一言は涙で言葉にならなかった……
「実は……もうバイト始めてて…これ…やる!!」
茶色の封筒……清司が帰った後も、ずっとそれを……握り締めていた…
~16~
その日から高校受験の為の貯金と、怠けていた勉強を真面目に始めた真琴
「勉強、分かんない所あれば教えてやるよ!」
清司の言葉があったから頑張れた…
清司という支えがあったから…
お金の為に抱かれる度…増えていく不安と悲しみ……それでも清司に触れられただけで、綺麗になっていく気がして…
「清司ッッ!!受かったよ!公立の高校!!私でも受かれたぁ!!!」
「まじで!?やったじゃん!!あ~すっげぇ嬉しいんだけど!!」
喜ぶ真琴に抱きつき、自分の事のようにはしゃぐ清司……真琴は…もう気持ちを抑える事は出来なかった………
「清司!!」
「ん??」
「……私…清司が好き…大好きなの……付き合って下さいッッ!!!」
突然の告白……清司の気持ちも同じと思って…振られるなんて………真琴は考えいなかった
「………ごめん……………今のまま……友達のままじゃ…………ダメかな……………」
清司の言葉に…真琴の頭は真っ白になる……
「……だよね…ハハッ……彼女……いるもんね……ごめん……今の…忘れて…………」
気がつくとベッドの中、涙で顔はグシャグシャだった……
~17~
振られてから…清司に会うのが気まずくなった
《言わなきゃ良かった……もう…今までみたいに話せない……会いたくないよ………》
携帯など持っていなかった真琴…連絡手段なんて無かった……
そして翌日から、場所を変えて"客"を探すことにした
《これで……もう会う事は無い…………寂しいけど……良いんだよ…これで………》
ぶらぶらと歩く…何度か誘われたが、行く気にもなれない……
「………帰ろ……」
《これじゃ来た意味無いじゃん…家で寝ときゃ良かった……》
~18~
「真琴!!!!!!」
聞き慣れた声に呼び止められる
「ったく…探したんだぞ!!心配させんな……」
「……………なに?」
迷惑そうな声を出す………"素直になれない"それは真琴が直したいのに直せない性格…
「俺……言えなかった事あってさ………………」
「なによ?早く言って」
「…………………留学……するんだ…」
頭を殴られた様な衝撃…心の中で"行かないで!"そう何度も呟いたのに…出てきた言葉は、全く違うものだった
「………あっそ……頑張って………」
「……それだけ??」
「それ以外に……なに言えっての?」
「………だな……………はい……これ…多分最後の……じゃあ、お前も頑張れよ!!」
強引に渡された茶色の封筒……
しばらくして中を開けてみる
《あれ?手紙が入ってる……》
『昨日言えなかったけど
俺も好きだった』
《清司……………!!》
急いで清司の後を追う……しかしもう遅すぎた…
"好きだった"…過去形のその言葉が……真琴の胸を締め付ける………
もう少し……素直になれたら…
後悔だけが…涙となって溢れていく………
~19~
それから清司が会いに来る事は無かった
真琴は高校生になり…体を売るのをやめ、飲食店でのバイトも始めた
「相川さんっ!!2番のテーブル注文まだだよ!!急いで行って!」
「はいっ!!!」
《夏休みなんて…客が増えて大変なだけだよ……暑いし…》
溜め息をつき、テーブルへ向かう…
「いらっしゃいませ!!ご注文はお決まり…………って……清司………」
「……真琴ッ?!」
懐かしい顔……少し日焼けをし、ちょっとたくましくなった清司の姿…
「元気そうだな!!ここでバイトしてんだ?安心した!!!」
「誰だよ!?清司の彼女とかッ?可愛いじゃん」
一緒にいた友達が楽しそうに騒ぐ…
「違うよ!!ほら、早く注文するぞ!!!」
否定されて当然……だけど少し真琴の胸はチクッと痛んだ…
「真琴…ちょっとこっち来て……」
「……何?」
「明日……暇??せっかく会えたんだし…遊ぼうよ?」
「……明日バイトだから…ごめん」
「そっか……なら仕方ないな…頑張れよ!!」
清司が帰るまでの間……それを意識したせいか…真琴はいつもならしない失敗をしてしまい、余計に緊張してしまった……
~20~
午後7時…バイトが終わり真琴は店の扉を開け、ポケット取り出したタバコに火をつける…
「疲れたぁ~」
バイトが終わった後の疲労感…そして充実感
《今日は清司にも会えたし!!気分良いや!》
スーパーで買い物を済ませ、アパートへと向かった
「ただいま~」
返事の無い静まりきった室内、真琴はもう慣れっこだ
シャワーを浴び、買って帰った弁当を食べると眠りについた……
~21~
ー数週間後ー
「いらっしゃいませ!」
つい期待してお客の顔を見てしまう…清司が来るのは、いつも閉店後だと知っているのに
あれから時折清司は真琴を訪ねて来る…ありきたりな会話しか交わされないが、真琴はそれで充分だった
「お疲れさま!!」
笑顔で投げられた缶ジュースを嬉しそうに受け取る
「またジュース??私ビールの方が好きなんだけどなぁ」
「何言ってんだよ!お前まだ未成年だろ!?お酒とタバコは二十歳になってからだ!!」
堅い事を言う清司に、変わんないなぁ…とつい苦笑いをしてしまう
「ねぇ清司……彼女とは…どうなったの??」
「何だよ!?急に…」
動揺した様子から、まだ別れていないのが分かった
《……べつに……良いけど…私と付き合ってるワケじゃないし………》
拗ねた様子の真琴に、清司はちょっと困った顔をする
「ちゃんと……別れるから…それまで、待っててくれるか??」
「えっ?!」
嫌ならいいんだ…照れながらボソッと呟く清司に、真琴は思わず抱きついた
「清司っ!!私待ってるよ!!だって清司の事大好きだもん!!!」
「真琴……ありがとう」
~22~
夏休みが終わりに近づくと、清司は留学先へと帰って行った
『また夏休みに会いに来るからな』
別れ際清司が言った言葉
つい緩む口元で繰り返し言ってしまう
「夏休みにまた会える」
季節が巡り、日差しが強くなっていく
嫌いだったはずのその暑さも心地よく感じてしまう……
2人を待っているのが
"別れ"
だと気付く事なく……
~23~
「夏休みだぁ!!!!もう清司は日本に帰ったかなぁ???」
大きすぎる独り言を言いながらバイト先に向かう…唯一、清司と繋がっているそのバイトを変えるのはやっぱり嫌で……
「…………あれは……」
交差点の向こう側にいる人混みの中、清司と女がいるのが見えた……
《あの時の女だ………》
忘れられない位…印象に残る女……
自然な茶色の長い髪…意志の強そうな、くっきりとした二重………
信号が青になる…少し迷ったが、そのまま進む事にした……
近づくにつれて分かるのは…2人はなんだか気まずそうな顔をしていて、会話も無いという事……
《別れ話し、してくれたのかな…》
すれ違う手前で清司と目が合う
ニコッと微笑みかけたが、一瞬驚いた顔をしただけで視線は反らされた
~24~
《なんで……会いに来てくれないのかな………》
日本に帰ったはずなのに、なかなか清司は会いに来ない…
視線を反らされた事もあり、真琴は不安な日々を過ごしていた
《彼女と…別れられなかったのかな……ってダメだ!!すぐ頭の中嫌な事考えちゃう…》
「相川さん!?相川さんッ!!料理冷めちゃうでしょ!!!早く!」
「あ……はいッ!!!」
もう…とあからさまに怒った顔の店長……
「相川さん…最近やる気無いみたいだけど……このままこのバイト続けたいなら、ちゃんとしてくれなきゃ…困るから」
「はい……本当にすみませんでした…」
《このままじゃクビになる…ここを辞めたら、清司に会えなくなるのに……なさけないよ…》
ため息をつきながら家へと帰る……
《明日からは、ちゃんと働かなきゃ……………》
睡魔に襲われ、そのままベットに倒れ込む……
~25~
体が重い……瞼をゆっくりと開ける
「……ここは…」
「やっと起きた………心配かけないでよね!!」
視界の中に安心した表情の唯が入って来る
《そうだ……私…寝てたんだ……》
コンコン…
静かな部屋に扉をノックする音が、不自然な程響いた…
「唯?真琴さんは??」
「今起きた…ほんと……寝過ぎだよ………」
「まぁ…起きたんなら良かったじゃん……」
足元が近づき…玲が覗き込んできた
「清司??」
「はぁ?!」
何言ってんの?!と唯は呆れた顔をしている…
「真琴さん…俺は玲ですよ……父さんじゃない」
意識がだんだんはっきりしてくる…
そうだ……
「清司は…あなたみたいな明るい髪じゃ、無かったわね……その髪はあなたのお母さんにそっくりだわ…」
困惑した顔の玲…唯には清司との過去を話してあったので、特別驚いた顔はしていなかった
「でも…よく似てる……私の大好きな………あの人に………」
愛しそうに見つめて…母が……キミに触れた……
一瞬だけ…憎しみがこもってるように見えたのは……きっと、気のせいじゃない
序章第一部完…
第一章 空白の一年間
…玲編…
~25~
ソッと寝返りをし、隣りを見つめる…そこには穏やかな顔で眠る唯の姿があった
寝つきが良い唯を少し羨ましく思う…携帯を開き、時間を確認する
「…もう2時か……」
そう、今は夜中の2時…最近いつもなかなか寝つけない……
理由は分かってる…
もう一度俺は隣りに眠る唯を見つめる……
その頬に手を伸ばそうとして…………やめた…
"彼女"とダブって見えたから……
「ユイ………………」
思わず口に出してしまった名前……
…由……
俺は確かに…あなたの事が好きだった……でも……唯には…言えない………
あなたと過ごした一年間は……まだ…誰にも言えないんだ…………
~26~
唯と出会って、付き合って……別れて…
別れてから五年後…唯から手紙が届き、俺達はまた付き合い始めた
でも俺は…本当は一年前に日本に帰国していた事を、唯に話していない……
『一年間何してたの?』
そう聞かれるのが、怖かったから……
『他の女性と付き合ってた』
そう言ったら怒るだろう…でも事実だ……
遊びじゃなかったから…
だから今も……こうして彼女を思い出し…辛くなる…………
眠れないのは…罪悪感のせい……
唯に言わなきゃいけない……言って嫌われるのが…傷付けるのが怖いから
そして…彼女を傷付けてしまった……
罪悪感
こんな事になるなら……あの時、会わなければ良かったのにな…
……中学校の同窓会
行かなきゃ……良かった
~27~
もともと彼女は、俺の中学校の先生だった
中2、中3と担任だった彼女……その頃は特別な感情なんて無かった……
…多分……
"いじめ"にあってた俺は…それを誰かに気付いて欲しかった……
性同一性障害だという事を…誰かに分かって欲しかった…
担任だった彼女…
何かを感じとった様なその目が、好きだった。
彼女なら、分かってくれるんじゃないかって…期待してたのかもしれない
ただ期待するだけで、それを伝える事は無かったけど……
帰国してすぐ、同窓会の案内が来た…
いじめてた奴らに会いたいとは思わない……会った所で、今のこの体をなんて言われるのかも…少し怖いし
それでも同窓会当日、会場の入り口まで行ってしまったのは
彼女に会えるのを、心のどこかで期待してたせいだと思う。
~28~
―同窓会会場入り口―
「ここまで来たくせに、なに迷ってんだよ……」
苛々しながら店の前をぶらぶらと歩く、10分近くこんな感じだ…
「ってか…俺何しに来たんだろ……会いたい奴なんていないのに………」
《そうだよ…会いたい人なんていない……会ったところで、話したい人もいないし。》
わざわざ来た理由…何となく分かっていたけど……それを認めるのも嫌だったから、俺はそのまま帰ることにした…
ポケットに手を入れ、ダルそうに歩き出す…
《……あれは…》
正面から歩いて来る女性…よく覚えている……
《泉水…由(イズミ ユイ)先生………》
6年前と変わらない姿…その姿に、思わず感動してしまった……
懐かしさがこみ上げてくる……話したい…でも、俺だって気付くワケ無いし………
何より…先生にこの姿を否定されるのが、怖かったから
俺はそのまま通り過ぎることにした…。
「どこ行くつもり?」
すれ違ってすぐ、その声に引き止められる
「………」
あまりに急で、予想して無かった事だったから…俺は言葉に詰まって
振り返る事すら出来なかった
「会場、そっちじゃないでしょ?柳玲」
~29~
「……よく…分かりましたね………」
「可愛い教え子だもん。それより、行かないの??」
この人にごまかしは通用しそうにない…俺は振り返り、ぎこちなく笑う
「なに?私見て苦笑いするなんて…相変わらずだな。」
クスリと微笑み、俺の手を握り引っ張る先生
「ちょっ……どこ行くんです?!俺、同窓会には………」
「近くに良い居酒屋あるから、そこ行こうよ!実は私も同窓会…行きたく無かったからさ」
『じゃあ何しに来たんだよ??』
そう言おうかと思ってやめた…同じ質問を聞き返されそうだったから……
それに…その時は久しぶりに繋いだ手のひらの感触に、ただ緊張していた
それと………唯の事を思い出し…切なくなった
《性格はアレだったけど…可愛かったから、今頃彼氏いるんだろうな………》
唯が他の男といる姿…それをちょっと想像しただけで、言いようのない怒りと嫉妬に襲われる……
《あ~駄目だ…唯の事考えちゃ……》
頭を振る…唯の事考えても悲しくなるだけだし、何とか唯以外の事に意識を集中させなければ……
とりあえず俺は…目の前にいる先生を観察する事にした。
~30~
昔よりも髪が短くなったせいか、活発的な印象を受ける…
《もう30いってるはずだよな??》
「先生、今何歳だっけ」
「ちょっとぉ…いきなりそんな質問しないでよ~ほんっと変わんないんだから……」
「それはお互い様…先生も、全然変わんないじゃん」
「そう?ありがと!!」
歳を言うつもりは無いらしく、そこから会話は無くなった…
……それは良いとして
《いつまで手握ってるつもりなんだろ…》
先生の手は温かくて、唯の手よりもほっそりしていた
「はいっ!!着いたよ~……最初に言っとくけど、ワリカンでお願いね」
着いた店は、結構オシャレな居酒屋…というかバーだった
「良いっすよ……俺が奢りますから」
「良いの!!ワリカンが良い!!!」
《怖っ……何こだわってんだよ…》
先生の勢いに迫力があったので…結局ワリカンで飲むこととなった……
店内に入る…ほどかれた手のひらが、ちょっとだけ……寂しそうに見えた
~31~
注文を済ませたところで、先生の顔が少し近づく
「あのさ…ずっと聞きたかったんだけど……何があったの??」
「主語…抜けてて質問の意味分かんないです」
本当は何が聞きたいのか分かってたけど…ちょっとからかいたかった
先生は聞いて良いのか、不安そうな顔で言う
「……その…体の事なんだけど…………」
「………………」
俺の表情を伺いながら…言葉を選んでいる様だ
「…柳…君って……やっぱり性同一性障害……なんだよね?……」
「……引きました?」
軽く聞いたフリをしたけど……内心、凄く不安だった………
「引くわけ無いでしょ!!……でも…やっぱり…そうだったんだね………同じ質問…あの時、してあげたら良かったのに……ごめんね……」
"あの時"とは、中学の頃の事だろう…俺を気づかう先生の優しさに……俺は…あの時………伝えたら良かったって…後悔した………
「先生は、悪く無いです……先生に分かってほしいって思いながら…何も言わなかった俺が、駄目だった…」
もっと早く…性同一性障害だと言う事を先生に言えていたら………
でも怖くて、あの頃はただ"助けて"のサインを送るしか出来なかった……
序章が微妙な所で止まり、第一章にかわった事でびっくりさせたのならごめんなさい🙇
真琴の話しは後半で序章第二部として書きます😣
この作品は
キミとワタシ
の続きなので、読んでない方はそちらも読んでみて下さい😃
感想などお待ちしています✨
~32~
過去の話しを、少しずつ俺は語り出す……
物心ついた頃から…自分の体に違和感を感じていた事
それでも自然と体が男になるんじゃないかと、夢のような期待を抱いていた……
初潮がきて、嫌でも現実を知ることになったけど
男になる事は出来ない…なら自分は一体なんなのか?
……分からない
何の為に女として産まれてきたのか?
……分からない
この体が女なのだから…やはり俺は女なのでは?
…それは違う!!俺は男だ…男なのに
…………何故??
…何故………何故???
繰り返される自問自答……そればかり考えているのに、答えが分からない
俺は意を決して、厳しい両親に相談する事にした
…でも母に
『僕………』
と言った瞬間、その表情が引きつるのが分かった
『くだらない事言ってないで勉強しなさい。』
俺の顔を見ずにそれだけ言うと、母は部屋から出て行った…
母親のあんな顔を見たのは初めてで……俺は二度と相談なんてしない…そう心に誓った…
~33~
きっかけは
『なんでそんな男みたいなの?』の一言
中学にもなれば"性"への関心も高くなる…
そんな中、相変わらず髪が短くガサツな態度の俺を…変に思うのも無理はない
だがその一言で俺はこれ以上、人に"何か"を言われるのが怖くなった…
人混みから外れた様に過ごす俺は、暇な生徒たちには良い標的(マト)だったに違いない……
…最初は……ささいな事から始まった
先生が『数人でグループを作って』と言う…
俺の周りで次々とグループが出来る中、俺は1人それを眺めていた
クスクスと、その様子を笑いながら見るクラスメート
徐々に酷くなるいじめ…
…シネ…キモイ…ウザイ…キエテ……
2年になりクラス替えがあるまでの辛抱だ……そう我慢してきた俺の担任になったのが、あなただった………
まだ若いせいかクラスの女子や、男子からも人気があった
「『先生、意外と胸あるよな』なんて言われてるの………知らなかっただろ?」
悪戯っぽくそう言い先生を見ると、少し照れた様に視線をそらす…
その姿が、ちょっと色っぽかった……
~34~
……話しがずれたので戻すけど…
俺の期待とは裏腹に、いじめが無くなる事はなかった……
着たくない制服…
うんざりする程の女扱い……………そしていじめ
俺の中で、どんどんストレスが溜まっていく……
クラスから外れた俺の存在に気付いたあなたは、放課後や休憩時間に何度も話しかけてくれた……
でも俺には言う勇気が無くて、素っ気ない態度をとる事しかしなかったけど………本当は凄く…嬉しかった
~35~
男のフリをして、女の子と付き合いだした…
性自認が男だから、騙しているという感覚は無くて…男として接して貰える嬉しさで俺は調子に乗っていた……
あまりに幸せだったから……なかなか切り出せなかった…体は女だって、言えなかった………
いつかばれると思っていたけど、彼女なら…分かってくれると信じてた
……現実は残酷だって…忘れてたんだ
彼女の兄に殴られながら…頭の中に響くのは…
彼女が言った『頭おかしいんじゃない?!』って台詞
好きな人から言われる
"キモイ"って言葉は、他の誰が言うよりも心に刺さって……涙が止まらなかった
……もう死にたい
本気でそう思った……
心の中を探しても
出てくるのは…
辛い…………辛い記憶と
死にたいって
感情だけ……………………………
この体のまま生きていくのに………何の意味も無い
血まみれのシャツのまま………殴られた痛みも感じないくらい……俺の頭は、死って言葉で溢れてた……………
~36~
死のうとしてた俺を助けてくれたのが…美里って子だった
彼女は初めて俺を"男"と認めてくれた、たった1人の人でも………いるのといないのとでは全然違う
美里に怪我の治療をしてもらい、家へと帰る……両親の反応は予想以上に酷かった
ガーゼが貼られた頬を父さんにまた殴られた…
…ここでも言われたのは『頭がおかしい』って台詞
1日に2回も言われた…好きだった人と実の両親……でも大丈夫、俺には支えてくれる人ができたから
母さんが必死に俺を説得しようとする
『あなたは女なのよ、女以外の何ものでもないの!!!馬鹿な考えはやめて』って
泣きながらそう言う母さんを見るのは、正直辛かった……でも俺は変えられない………俺が"男"だってことを。
~37~
しばらくして、父さんが俺の高校を建設中の"翼泉女学院"にすると言ってきた………そこは全寮制になる予定なので…俺の顔を見るのも嫌らしい
中学に行かなくなった俺の家に、あなたは何度もきてくれた…
それでも、俺はもう二度と行きたくなかった……あんな所。
美里が同じ高校に行くと言ってくれて、俺は凄く喜んだ……そんな時急に美里から『好き』って言われて…でも俺は友達として思ってなかった……だけど"ごめん"って言って嫌われるのが、怖かった…だから『良いよ』って
美里と付き合う様になって、高校に入学して……でも俺たちは"手を繋ぐ"ことすらしなかった
俺の気持ちを察した様に美里は『別れたい』って言ってきて……俺はこれで無理して付き合わなく良いって安堵したのと、やっぱ美里を傷付けたので………すごく後悔した
母さんの姉で翼泉の校長である橘の"オモチャ"になったのは、美里と別れてすぐだった………
橘は金だけは沢山持ってる、俺の性別適合手術の費用を出してくれるって約束で…俺は彼女が望む事ならなんでもした………そう……なんでも……
~38~
夏休みに行われる合宿に参加するように橘に言われる…俺と離れたくないらしい……
でも…行って良かったと思ってる……唯に会えたから
"ユイ"って名前に反応して、先生がこっちを見る…同じ名前……だったせいだろう
……唯と初めて出会ったのは、合宿打ち合わせの日…もう4年も前の話し……
~39~
その日俺は橘と一緒に商楽高校に来ていた。
橘は商楽の川本って教師と先に話しがあるので、俺はしばらくうろついていた………土曜なので来ている生徒はほとんどいない、静かな校内に響く吹奏楽の練習の音。
中庭を見つけ、外に出てみる……涼しい風が吹き抜けていた。
校舎の外観も結構きれいだな……なんて考えていた時、後ろの方から視線を感じた。
……ゆっくりと視線の持ち主の方を振り返る
2階の教室からこちらを見ていた女生徒………化粧してない所が良かった…しなくても充分可愛いのに…驚いた顔のまま、口元がポカンと開いていて……そのギャップに俺は思わず笑ってしまった。
商楽の生徒代表と知ったのは、その後行われたミーティングで……走って会議室まで来たらしく、乱れた髪を焦って直そうとしてる仕草とか…凄く可愛い…。
気がつけば俺は彼女の方ばかり見ていた、可愛いけれどちょっと天然…そんな第一印象通りの唯は……どんどん俺の中で大きくなっていく………。
この作品の元になった話
キミとワタシ
も興味があれば読んでみて下さい😃
キミとワタシは半分実話のストーリーです😣
唯の視点で描かれているので、読めばキミに触れたらを一層楽しめるんじゃないかと思います✨
~40~
合宿が始まり、俺と唯は同室になった…理由は唯が合宿メンバーの中で成績がトップだったから。
同じ部屋になったのは、嬉しかった。…けど俺が性同一性障害だと彼女は知らない……知った所で、分かってくれるとは…限らない。
部屋に荷物を運びに入る…ベットは2つ……初めて会った時、彼女は窓から外見てたな……そう思い唯に窓際のベットを残した。
合宿最初の内容だったのが、カレー作り…そこで事件は起こった。
唯が同じ学校の生徒2人に追いつめられていた……その姿にいじめにあっていた過去の自分が重なり、気がついた時には俺は唯とその女生徒の間に割って入っていた。
……中学の時、俺の周りのクラスメート達は何もしてくれなかった……"見て見ぬフリをする"なんてそんな事…俺には出来なかった。
~41~
俺と橘の関係を唯に見られてしまう…1番見て欲しく無い人に……。…きっと彼女は俺を軽蔑しただろう…きっと俺は嫌われた。
関わらなければ、これ以上好きになる事はない…なのに俺は彼女の笑顔をもっと見たい…彼女の力になりたくて。
なるべく彼女を1人にしないように、気を使いながら接した……。でも俺は何を話せばいいのか分からない、部屋にはほとんど会話は無かった。
午後行われる自習でいつも唯の隣りに座る男…"桜井氷吾"。
仲良さそうに話す2人を見る度、俺は嫉妬に襲われる……。あんな風に話せたら…俺の体が男だったら、人目を気にする事もなく…彼女の側にいれるのに。
新しいレスの受付は終了しました
テーマ別雑談掲示板のスレ一覧
テーマ別雑談掲示板。ひとつのテーマをみんなでたっぷり語りましょう❗
- レス新
- 人気
- スレ新
- レス少
- 閲覧専用のスレを見る
-
-
うん。たまには打つべき…かな?1レス 38HIT 寡黙な人さん (30代 ♂)
-
女が弱者男を虐げるのは女が女自身の首を絞めているようなもの2レス 95HIT ニートだが (30代 ♂)
-
カンヒュ好きな方居ますか?0レス 28HIT おしゃべり好きさん
-
読めない名前が増えた理由14レス 228HIT おしゃべり好きさん (20代 ♀)
-
電気代4レス 139HIT 匿名さん
-
うん。たまには打つべき…かな?
20スロしかやらないです。 5スロやったのは10年くらい前かな。(空飛ぶモンティパイソン)
1レス 38HIT 寡黙な人さん (30代 ♂) -
お金の価値観
自民党の裏金問題をあれ程追求していた筈の、立憲民主党が、大串某とか岡田…(初心者さん21)
21レス 307HIT おしゃべり好きさん (20代 ♀) -
女が弱者男を虐げるのは女が女自身の首を絞めているようなもの
その洞察力と発想力を就職や金儲けに活かしてはどうでしょうか。 考える…(通りすがりさん2)
2レス 95HIT ニートだが (30代 ♂) -
投資してる方
基本は買った株は持ち続ける NISAが始まり紙幣価値等を考え…(社会人さん0)
3レス 113HIT 社会人さん -
競馬大好き!
皆さん! こんにちわ! ダービーオッズ! 出ましたね! …(通りすがりさん387)
433レス 10917HIT アキノ
-
-
-
閲覧専用
大人になってから限界まで我慢したこと1レス 89HIT 社会人さん (30代 ♀)
-
閲覧専用
高齢者の皆さんお茶でも飲みながら🍵4レス 165HIT 亀仙人 (70代 ♂)
-
閲覧専用
アプリで性欲解消最高(≧∇≦)1レス 117HIT 社会人さん
-
閲覧専用
地球が壊れている!81レス 768HIT 通りすがりさん
-
閲覧専用
作りたくない時はこれ10レス 279HIT 匿名さん
-
閲覧専用
大人になってから限界まで我慢したこと
3月くらいから、ずっとお腹の調子が悪いので ここんところ、綱渡り…(通りすがり)
1レス 89HIT 社会人さん (30代 ♀) -
閲覧専用
高齢者の皆さんお茶でも飲みながら🍵
ネットで調べると紅茶きのこは1970年代に話題となった健康法、とある …(自由なパンダさん2)
4レス 165HIT 亀仙人 (70代 ♂) -
閲覧専用
地球が壊れている!
続きます。 名とは、古来から、神事とされていたそうです。 神へ…(通りすがりさん0)
81レス 768HIT 通りすがりさん -
閲覧専用
友達100人出来るかな・パート3
ひいちゃんの友達スレあった〜♫ 私からも(っ´>ω<…(エア)
50レス 5820HIT ひいちゃん 1レス -
閲覧専用
アプリで性欲解消最高(≧∇≦)
さらっと犯罪行為告白しないでください。通報されちゃいますよ。(匿名さん1)
1レス 117HIT 社会人さん
-
閲覧専用
サブ掲示板
注目の話題
-
子ありと子なしはどちらが老後安泰?
子あり夫婦と子なし夫婦は、どちらが老後安泰? 子どものデキにもよるけど…
38レス 1278HIT おしゃべり好きさん -
昭和時代の方々に質問!
スマホやネット、SNSが普及した平成後期から令和の時代に産まれたかったと思ったことはありますか? …
25レス 631HIT おしゃべり好きさん -
女前の画像見つけた 女性の方意見求む
この子めっちゃ女前じゃないですか かわいいです~
24レス 564HIT 恋愛好きさん (30代 男性 ) -
子どもができたら
付き合って1年半の年上の彼氏がいます。 彼氏30代、私は20代後半です。 私の友人が子どもが…
16レス 316HIT 恋愛中さん (20代 女性 ) -
マッチングアプリで知り合っていきなりお泊まりを誘われました
マッチングアプリで知り合って、会うことになったのですが、1回目から泊まりでの旅行と言われました。 …
15レス 338HIT 恋愛好きさん (20代 女性 ) -
以下の点に留意していれば、女性にモテやすくなれるでしょうか?
僕は女性の方と接する際、主に以下の3点を意識しています。 1. 女性の方が髪型を変えた際…
7レス 294HIT 学生さん (20代 男性 ) - もっと見る