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マッチングアプリで知り合っていきなりお泊まりを誘われました
以下の点に留意していれば、女性にモテやすくなれるでしょうか?
子どもができたら

キミに触れたら

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レンカ( 1fuT )
08/02/14 19:14(更新日時)

これは"キミとワタシ"という作品から思いついた、フィクションの物語です…


下手ですが、ご意見ご感想お待ちしています🙇

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No.597343 07/07/31 15:03(スレ作成日時)

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No.1 07/07/31 15:04
レンカ ( 1fuT )

~序章~
彼女の名前は相川真琴(アイカワ マコト)…今年で40になる……

真琴がまだ中学生の頃、彼と出会った…



何故、彼女は変わったのか………


何故、彼女は彼に恋をしたのか……

何故、彼女と彼は別れなければいけなかったのか………




全ての答えは…ここにある

No.2 07/07/31 15:05
レンカ ( 1fuT )

~1~
今年も真琴の嫌いな季節…夏がやって来た……


この暑い中…今日も娘の唯は彼(正確には彼女…)を家に呼び、熱々ぶりを披露している……



《まったく…見てるコッチが暑いのよねぇ……》

唯の彼…柳玲…彼女は性同一性障害だ……

その事で真琴と唯は何度か揉めた…しかし5年もの間、玲を想い続ける娘の姿を見ていると…"力になりたい"そう思わずにはいれなかった…

そして今、玲は外見も男の体となり…結構タイプだったりする……



《やっぱ……似てるなぁ…》

気がつくと…真琴は玲を見つめていた……


「お母さん??何で玲の事そんなジッと見てんの?まだ反対するつもり?!」

「反対なんて…もうしないわよ……」


本当に?!と疑う娘を見て溜め息が出る…

《21にもなって…まだまだ子供なんだから……玲君…どこが良いんだろ……》


「ちょっとトイレ……」

唯がリビングから出て行く…真琴と玲は2人きりになった……

No.3 07/07/31 20:55
レンカ ( 1fuT )

~2~
沈黙の部屋……真琴は玲に勇気を出して聞いてみる…

「ねぇ玲君……お父さん…元気?」

「父ですか?…ええ、まあ元気ですけど……真琴さん…父と知り合い…なんですか??」


「…古い……知り合いかな…………もう20年近く…会ってないから…」

なにかワケありな喋り方をする真琴を、その心まで読もうとするように…玲は見つめる……


…その目が……


「お父さんに……似てるね…」


「……そうかな?」

「前より似てると思う……やっぱ男性ホルモンで、玲君目つきとか…変わったよね」


「ハハッ……中身は変わって無いですけど」

照れたように半分顔を隠して笑う…その仕草までが"彼"に似ている……


嫌いになったはず……それなのに…こうやって"彼"に似た玲の姿を見ていると、昔の気持ちが蘇る…

「仲良さそうじゃん…」
気がつくと扉の前に唯が立っていた……


「もしかして…妬いてんの?」

意地悪そうに玲が聞く…
「妬いて無いッ!!」

怒った唯の耳元で玲が何か呟き、2人は唯の部屋へ上がって行った……


「見せつけちゃって………羨ましいなぁ…」

リビングに真琴の溜め息が響く……

No.4 07/08/01 21:51
レンカ ( 1fuT )

~3~
つけていただけのテレビを切ると、ソファに寝そべり目を閉じる……

《少しくらい…過去に浸っても……良いよね…》



私がまだ15才の頃……彼に出会った…



彼に出会った事…後悔はしてない……本気で人を好きになる事が出来たから…


誰かを想うだけで、弱くなったり…強くもなれる……


キミに会えなかったら……私は…どんな人生を歩んでたんだろう…………

No.5 07/08/01 22:14
レンカ ( 1fuT )

~4~
夜の繁華街…真琴はいつもの様に、中学の制服を着たまま地面に座っていた……"客"が話しかけて来るのを待って…



しばらくすると1人の高校生くらいの男が寄って来た…


「そんな所座って…何してんの?」

両手をポケットに入れ、機嫌悪そうに話しかける男……

「見て分かんないならどっか行ってよ…邪魔だから」


「邪魔なのはあんただろ……用も無いのにそんな所座るな」


《何よコイツ…………》

「ねぇ……暇してるなら…どっか行かない?」

睨み合う2人にスケベそうな中年男性が割って入る

《やっと来たぁ~!!》
行くぅ!!といつもの甘えた声を出そうとした時、高校生の男がキッパリと言う…


「無駄だよおじさん…この子、ここに座ってたいんだって」

《ハァっ?!》

「そ…そうなんだ……」
中年男が残念そうに去って行く…

「じゃあ俺も……帰るかな…」

「待ってよ!!何で邪魔すんの?!おかげで1人目の客、逃がしちゃったじゃない!!!」


「客ぅ??さっきの男が?!俺にはただのオッサンにしか……」


キョロキョロとさっきの中年男をもう一度見ようと探す男…


《なんなのよ……コイツ………》

No.6 07/08/01 22:53
レンカ ( 1fuT )

~5~
"客"が何なのか説明する代わりに、真琴は夕ご飯を奢ってもらう事にした…

「何が食べたいんだよ??」

「えぇ~別に何でも良いけど」


「なら俺が食べたい物で良いな?」

そう言う彼に付いて行く…そこは高そうなレストランだった……

「もしかしてあんた……金持ちなの?」

「"あんた"じゃなくて柳清司(ヤナギ セイジ)…お前は?」

「"お前"じゃなくて相川真琴……」


「俺の真似すんなよ!」
そう言いながら笑う彼…その笑顔は眩しい程かっこいい……


「…真似したんじゃないもん」

見とれそうになった真琴は慌てて下を向いた


テーブルに案内され、席に着く…それは真琴が今まで来た事が無い雰囲気の店だった……

メニューを見るが、全く分からない…

「何食べる??」
真琴の心を見抜いた様にわざとらしく聞く清司…


「…1番高いやつ……」
「良い性格してんじゃん…面白いから許すけど」

ニッと笑い、慣れたように清司は注文を済ませる…

「やっぱ……金持ちなんでしょ?!」


「………親がね……」


それから料理が運ばれて来るまで、2人の間に会話は無かった……

No.7 07/08/01 23:05
レンカ ( 1fuT )

~6~
「それで…"客"って一体なんの事だ?」

運ばれた料理を食べ終わり、真琴はその美味しさに浸ってボーッ……としていたので、清司の急な質問に少し驚く


「…ここで言うのは…ちょっと嫌かも……」

「なら外で話そ…」

カードで支払いを済ませると、2人は店から出た

「さ、早く教えろ」

《強力だな…………》

「客ってのは……アレだよ…Hとかして………お金貰うの…」

「それって…援助交際ってやつ……だよな?」


さっきまで笑っていた清司の顔が、今はどんな表情なのか見るのが怖くなり……真琴は俯き頷いた

「……なんで………そんな事してんの?お前まだ中学生だろ?親は知ってんのかよ?!」


「そんな質問されても…困るんだけど……」

「良いから答えろよ!そういう約束だろ?!」

《確かに……そうだけど…》


奢って貰ったんだし、仕方ない……真琴は重い口を開いた………

No.8 07/08/02 14:18
レンカ ( 1fuT )

~7~
「お父さん……酔うとすぐ暴力振るうの…それが嫌になって、お母さんは出てった………それからお父さん…余計お酒増えちゃって……私が働かないと生活していけないから…………」

「それで…体売ってんのか?他に良いバイトあるだろ?!なんでこんな……」


「中学生の私に出来るバイトなんて……それにこれが1番稼げるの!!」

「……そんなに金が…必要なのか?」

「…………………」

俯いたまま…真琴は黙る
《やっぱ駄目だ…こんな金持ちのお坊ちゃんに……分かるわけない…》

「そんなに金が欲しいなら……俺がやるよ!!」

財布から取り出したお金を、無理やり真琴の手に押し付ける…


「やめてよ!!…私が家の事話したのはそういう約束だったから……同情されたくて話したんじゃない!!アンタになんて……分かんないよ!!」

渡されたお金を清司に投げつけ…真琴は駆けて行く……


「分かるかよ!!金の為に体売る気持ちなんて……分かりたくねぇっての!!!」


後ろから聞こえる清司の叫び…真琴は悔しさと虚しさで、涙が溢れた…

No.9 07/08/02 15:49
レンカ ( 1fuT )

~8~
「お母さん?そんな所で寝てたら風邪ひくよ?」

「ん~…………」

「しょうがないなぁ」

唯は部屋からタオルケットを持って来て、それを真琴にソッと掛けた…

「…りがと……………」
「おやすみ」

「あれ…真琴さん寝ちゃったんだ……」

階段から玲が眠そうな顔でおりて来る…

「そっ、だから今夜は私がご飯作るね!!……ってその嫌そうな顔はなによッ?!」


「俺が作った方が…良いんじゃない?」

「良いの!!練習してけば私の料理も美味しくなるって!」


「……無理だろ………」
ボソッと呟いた玲の一言は唯に聞こえていない…

何作ろうかなぁ~とご機嫌な様子でキッチンへと向かった……





…その後ろ姿を見ながらため息をつく玲…

《…胃薬……準備しとかなきゃ………》

No.10 07/08/02 16:04
レンカ ( 1fuT )

~9~
清司と出会って一週間…あれ以来彼は真琴の前に来なくなった……

《邪魔されないからちょうど良いや…》
そう思いつつも、学生が通る度に目で追ってしまう…

「真琴ちゃん!!!俺だよ…覚えてる?!」

髪の薄くなったサラリーマンが寄って来る…

《誰だっけ…コイツ……ま、良っか…》

「覚えてるよ~!!また会いに来てくれたんだぁ…嬉しいッ!!」

甘えた声で男の腕に抱きつく……男は照れた様に笑い喜んだ…


《男なんて…バカばっかり……》

そして2人はホテルへと向かった…

No.11 07/08/03 17:25
レンカ ( 1fuT )

~10~
ホテルから出て、タバコに火をつける真琴…

吐き出す煙と一緒に、心の中のモヤモヤしたものを出そうとする……

《今夜は……もう帰ろうかな…》

そんな事を考えていた時…目の端に清司の姿が飛び込んで来る



「清司ッッッ!!!!」
思わず叫ぶ真琴…その声に足が止まった清司の横から


綺麗な女の人が見えた…

「知り合い?」
見下した様な目で真琴を見る女…

「…いや……人違いじゃないの?…行こう……」
女の手を握り、清司は去ろうとする……


「逃げるなぁ!!柳清司ッッ!!!!」


自分でバカだと思いながら…真琴はまた叫ぶ……

周りの視線が…痛かった

No.12 07/08/03 20:20
レンカ ( 1fuT )

~11~
真琴の思う男のイメージ
すぐにHしたがる…
暴力的…
Hの最中ワザと出してる声を本気にして喜ぶ…
甘えたら簡単におとせる…

そんなイメージしか無かった真琴…男はバカとしか思って無かった……



そんな中会った清司
それまでのイメージとは全然違って…
少し強引で…でも優しかった……

なんとなく気になってた清司…その彼がこっちに向かって来る……


冷たい真顔で…


「なに?」

「なにって……」

「用が無いなら一々呼ぶな…迷惑なんだけど」

「…ごめん……でも…また話したかったから…」
「今は無理……見て分かるだろ?」

《やっぱ…彼女………》
「…………ごめん」


はぁっ…
清司が溜め息をつく…

「……ごめんってば…」
「………分かったよ…」


そう言うと真琴の頭をポンポンと叩き
「また来るから!!」

という言葉を残して、女の元へ小走りで向かって行った…


女が清司の手を握り、真琴を睨むとそのまま歩いて行く


睨まれた事も気にならない位…真琴の心は踊っていた……初めて誰かに撫でられた頭…


小さくなっていく清司の後ろ姿を見ながら、何度も撫でられた頭に触れた

No.13 07/08/03 20:57
レンカ ( 1fuT )

~12~
「ただいま……ッ!?酒臭っ…」

アパートに帰った瞬間、真琴の鼻をつく酒の匂い
「遅いんだよぉ!!金はッ?!金はどこだ!!」
「無いよ!!今日は給料日じゃないから…」

「はっ…給料日だと?!お前が何やって稼いでるか…知ってんだよッ!」

出せッ!!と言いながら真琴を殴る…床に倒れ、蹴られながら……真琴は本気で…家を出たくなった………


《でも家を出てどこに行く??こんな子供…どこに泊まるの?男の所??そんなの……嫌だ……男に頼るなんて……絶対……絶対嫌!!》

財布からお金を出すと、真琴の父はフラフラと家を出て行こうとする…



かすれた視界の中で…真琴の目に入ったのは……

……台所の包丁…

No.14 07/08/07 10:15
レンカ ( 1fuT )

~13~
《こいつを殺して…私も死ねば良い……そうしたらきっと…楽になれる……》

包丁へと伸びる手…



……なぜだろう…ふいに清司の顔が浮かんだ…

《怒る……だろうな…きっと怒る……まだ2回しか会ってないけど…なんとなく…分かるよ……》


こぼれる涙を拭い、
握った包丁を片付け真琴は部屋に戻った…



《明日になれば……またキミに会える…そうしたらもっと、素直になりたい………》


そんな事を考えながら…眠りにつく……



『お母さん!!』

遠くから聞こえて来る声

《誰かが呼んでる………"お母さん"って……私…子供いないのに………人違い……かな……ま……良いや…………もう少し…寝ていたいの………》


もうろうとする意識の中……真琴はこのまま…夢へと溶けていく………

No.15 07/08/07 10:16
レンカ ( 1fuT )

~14~
「よォ……」
気まずそうな顔でやって来た清司は、肉まんを真琴に渡す

「ありがと…」


「…こないだ何言おうとしてたんだ?」

指で肉まんの包みをいじっている清司…

「謝りたかっただけだよ……ん~これ美味しい!!冷めちゃうよ?」

「…ん……だな…真琴は進学すんの?てか今何歳??」

「今15だよ!……進学は…無理かな…別に高校行きたくないし…」

なんとなく清司に嘘をついた……本当は少し…高校に憧れていた真琴……


「そっか…まぁ、自分の好きなようにするのが1番だろ!!」

「清司は??今何歳?」
「俺?…これでも高3…まだ17だけど」

「大学行くの??」

「……ああ…」


それからはしばらく無言で肉まんを食べた2人…

「そろそろ…帰った方が良いかな?……俺がいたら…"客"……来ないんじゃ…」

「……今日は…そんな気分じゃ無いし…」


「………そっか………なら……俺とデートしない?!」

「はぁっ!?私の事からかってんの?」

「俺はいつだって本気だよっ!!行こ!」

半ば強引に真琴の手を握り歩いて行く清司…

手を繋ぐのが嬉しかったのは、真琴にとってこれが初めての経験だった…

No.16 07/08/07 10:17
レンカ ( 1fuT )

~15~
「高校…ほんとは行きたいんじゃないの??」

それから数週間、時々会いに来ていた清司が突然言った言葉…


「なによ?……だから行きたく無いんだって!」
本当に?と疑った顔でしつこく見つめて来る……真琴は諦めたように溜め息をつく

「……ほんとは…少し……ちょっとだけ…行きたいけど……でも…諦めてるし………良いんだ…」

「やっぱりな…………諦める事無いよ!!俺も協力するから!」

「協力??"客"になってくれるとか?」

「違うッ!!!だから…俺もバイトしてみようと思ってて……社会勉強の為に…でも金は俺持ってていらないから、お前にやろうかと思って…」

《清司…………ありがと……本当に…本当に嬉しいよ……》


"ありがとう"…その一言は涙で言葉にならなかった……


「実は……もうバイト始めてて…これ…やる!!」

茶色の封筒……清司が帰った後も、ずっとそれを……握り締めていた…

No.17 07/08/07 10:18
レンカ ( 1fuT )

~16~
その日から高校受験の為の貯金と、怠けていた勉強を真面目に始めた真琴

「勉強、分かんない所あれば教えてやるよ!」


清司の言葉があったから頑張れた…
清司という支えがあったから…


お金の為に抱かれる度…増えていく不安と悲しみ……それでも清司に触れられただけで、綺麗になっていく気がして…






「清司ッッ!!受かったよ!公立の高校!!私でも受かれたぁ!!!」

「まじで!?やったじゃん!!あ~すっげぇ嬉しいんだけど!!」


喜ぶ真琴に抱きつき、自分の事のようにはしゃぐ清司……真琴は…もう気持ちを抑える事は出来なかった………



「清司!!」

「ん??」



「……私…清司が好き…大好きなの……付き合って下さいッッ!!!」


突然の告白……清司の気持ちも同じと思って…振られるなんて………真琴は考えいなかった



「………ごめん……………今のまま……友達のままじゃ…………ダメかな……………」

清司の言葉に…真琴の頭は真っ白になる……

「……だよね…ハハッ……彼女……いるもんね……ごめん……今の…忘れて…………」


気がつくとベッドの中、涙で顔はグシャグシャだった……

No.18 07/08/07 10:19
レンカ ( 1fuT )

~17~
振られてから…清司に会うのが気まずくなった

《言わなきゃ良かった……もう…今までみたいに話せない……会いたくないよ………》


携帯など持っていなかった真琴…連絡手段なんて無かった……

そして翌日から、場所を変えて"客"を探すことにした


《これで……もう会う事は無い…………寂しいけど……良いんだよ…これで………》

ぶらぶらと歩く…何度か誘われたが、行く気にもなれない……


「………帰ろ……」

《これじゃ来た意味無いじゃん…家で寝ときゃ良かった……》

No.19 07/08/07 10:20
レンカ ( 1fuT )

~18~
「真琴!!!!!!」

聞き慣れた声に呼び止められる

「ったく…探したんだぞ!!心配させんな……」
「……………なに?」


迷惑そうな声を出す………"素直になれない"それは真琴が直したいのに直せない性格…


「俺……言えなかった事あってさ………………」

「なによ?早く言って」

「…………………留学……するんだ…」


頭を殴られた様な衝撃…心の中で"行かないで!"そう何度も呟いたのに…出てきた言葉は、全く違うものだった


「………あっそ……頑張って………」

「……それだけ??」

「それ以外に……なに言えっての?」


「………だな……………はい……これ…多分最後の……じゃあ、お前も頑張れよ!!」


強引に渡された茶色の封筒……


しばらくして中を開けてみる


《あれ?手紙が入ってる……》


『昨日言えなかったけど
   俺も好きだった』

《清司……………!!》


急いで清司の後を追う……しかしもう遅すぎた…

"好きだった"…過去形のその言葉が……真琴の胸を締め付ける………



もう少し……素直になれたら…

後悔だけが…涙となって溢れていく………

No.20 07/08/09 22:51
レンカ ( 1fuT )

~19~
それから清司が会いに来る事は無かった


真琴は高校生になり…体を売るのをやめ、飲食店でのバイトも始めた


「相川さんっ!!2番のテーブル注文まだだよ!!急いで行って!」

「はいっ!!!」


《夏休みなんて…客が増えて大変なだけだよ……暑いし…》

溜め息をつき、テーブルへ向かう…


「いらっしゃいませ!!ご注文はお決まり…………って……清司………」

「……真琴ッ?!」



懐かしい顔……少し日焼けをし、ちょっとたくましくなった清司の姿…

「元気そうだな!!ここでバイトしてんだ?安心した!!!」


「誰だよ!?清司の彼女とかッ?可愛いじゃん」
一緒にいた友達が楽しそうに騒ぐ…

「違うよ!!ほら、早く注文するぞ!!!」


否定されて当然……だけど少し真琴の胸はチクッと痛んだ…


「真琴…ちょっとこっち来て……」

「……何?」

「明日……暇??せっかく会えたんだし…遊ぼうよ?」

「……明日バイトだから…ごめん」

「そっか……なら仕方ないな…頑張れよ!!」


清司が帰るまでの間……それを意識したせいか…真琴はいつもならしない失敗をしてしまい、余計に緊張してしまった……

No.21 07/08/16 11:49
レンカ ( 1fuT )

~20~
午後7時…バイトが終わり真琴は店の扉を開け、ポケット取り出したタバコに火をつける…

「疲れたぁ~」

バイトが終わった後の疲労感…そして充実感

《今日は清司にも会えたし!!気分良いや!》



スーパーで買い物を済ませ、アパートへと向かった



「ただいま~」

返事の無い静まりきった室内、真琴はもう慣れっこだ


シャワーを浴び、買って帰った弁当を食べると眠りについた……

No.22 07/08/16 11:49
レンカ ( 1fuT )

~21~
ー数週間後ー


「いらっしゃいませ!」
つい期待してお客の顔を見てしまう…清司が来るのは、いつも閉店後だと知っているのに


あれから時折清司は真琴を訪ねて来る…ありきたりな会話しか交わされないが、真琴はそれで充分だった


「お疲れさま!!」

笑顔で投げられた缶ジュースを嬉しそうに受け取る

「またジュース??私ビールの方が好きなんだけどなぁ」

「何言ってんだよ!お前まだ未成年だろ!?お酒とタバコは二十歳になってからだ!!」

堅い事を言う清司に、変わんないなぁ…とつい苦笑いをしてしまう


「ねぇ清司……彼女とは…どうなったの??」

「何だよ!?急に…」


動揺した様子から、まだ別れていないのが分かった

《……べつに……良いけど…私と付き合ってるワケじゃないし………》


拗ねた様子の真琴に、清司はちょっと困った顔をする


「ちゃんと……別れるから…それまで、待っててくれるか??」

「えっ?!」


嫌ならいいんだ…照れながらボソッと呟く清司に、真琴は思わず抱きついた


「清司っ!!私待ってるよ!!だって清司の事大好きだもん!!!」

「真琴……ありがとう」

No.23 07/08/19 21:12
レンカ ( 1fuT )

~22~
夏休みが終わりに近づくと、清司は留学先へと帰って行った

『また夏休みに会いに来るからな』

別れ際清司が言った言葉

つい緩む口元で繰り返し言ってしまう
「夏休みにまた会える」


季節が巡り、日差しが強くなっていく


嫌いだったはずのその暑さも心地よく感じてしまう……






2人を待っているのが
"別れ"
だと気付く事なく……

No.24 07/08/19 21:13
レンカ ( 1fuT )

~23~
「夏休みだぁ!!!!もう清司は日本に帰ったかなぁ???」


大きすぎる独り言を言いながらバイト先に向かう…唯一、清司と繋がっているそのバイトを変えるのはやっぱり嫌で……



「…………あれは……」
交差点の向こう側にいる人混みの中、清司と女がいるのが見えた……


《あの時の女だ………》
忘れられない位…印象に残る女……
自然な茶色の長い髪…意志の強そうな、くっきりとした二重………



信号が青になる…少し迷ったが、そのまま進む事にした……



近づくにつれて分かるのは…2人はなんだか気まずそうな顔をしていて、会話も無いという事……


《別れ話し、してくれたのかな…》


すれ違う手前で清司と目が合う

ニコッと微笑みかけたが、一瞬驚いた顔をしただけで視線は反らされた

No.25 07/08/21 23:12
レンカ ( 1fuT )

~24~
《なんで……会いに来てくれないのかな………》

日本に帰ったはずなのに、なかなか清司は会いに来ない…

視線を反らされた事もあり、真琴は不安な日々を過ごしていた


《彼女と…別れられなかったのかな……ってダメだ!!すぐ頭の中嫌な事考えちゃう…》


「相川さん!?相川さんッ!!料理冷めちゃうでしょ!!!早く!」

「あ……はいッ!!!」

もう…とあからさまに怒った顔の店長……


「相川さん…最近やる気無いみたいだけど……このままこのバイト続けたいなら、ちゃんとしてくれなきゃ…困るから」

「はい……本当にすみませんでした…」


《このままじゃクビになる…ここを辞めたら、清司に会えなくなるのに……なさけないよ…》



ため息をつきながら家へと帰る……


《明日からは、ちゃんと働かなきゃ……………》





睡魔に襲われ、そのままベットに倒れ込む……

No.26 07/08/21 23:13
レンカ ( 1fuT )

~25~
体が重い……瞼をゆっくりと開ける

「……ここは…」

「やっと起きた………心配かけないでよね!!」

視界の中に安心した表情の唯が入って来る

《そうだ……私…寝てたんだ……》

コンコン…

静かな部屋に扉をノックする音が、不自然な程響いた…

「唯?真琴さんは??」
「今起きた…ほんと……寝過ぎだよ………」

「まぁ…起きたんなら良かったじゃん……」

足元が近づき…玲が覗き込んできた


「清司??」

「はぁ?!」

何言ってんの?!と唯は呆れた顔をしている…


「真琴さん…俺は玲ですよ……父さんじゃない」

意識がだんだんはっきりしてくる…


そうだ……


「清司は…あなたみたいな明るい髪じゃ、無かったわね……その髪はあなたのお母さんにそっくりだわ…」


困惑した顔の玲…唯には清司との過去を話してあったので、特別驚いた顔はしていなかった



「でも…よく似てる……私の大好きな………あの人に………」



愛しそうに見つめて…母が……キミに触れた……

一瞬だけ…憎しみがこもってるように見えたのは……きっと、気のせいじゃない





序章第一部完…

No.27 07/08/21 23:27
レンカ ( 1fuT )

第一章 空白の一年間
      …玲編…
~25~
ソッと寝返りをし、隣りを見つめる…そこには穏やかな顔で眠る唯の姿があった

寝つきが良い唯を少し羨ましく思う…携帯を開き、時間を確認する

「…もう2時か……」


そう、今は夜中の2時…最近いつもなかなか寝つけない……


理由は分かってる…


もう一度俺は隣りに眠る唯を見つめる……

その頬に手を伸ばそうとして…………やめた…


"彼女"とダブって見えたから……



「ユイ………………」

思わず口に出してしまった名前……


…由……

俺は確かに…あなたの事が好きだった……でも……唯には…言えない………



あなたと過ごした一年間は……まだ…誰にも言えないんだ…………

No.28 07/08/22 18:59
レンカ ( 1fuT )

~26~
唯と出会って、付き合って……別れて…

別れてから五年後…唯から手紙が届き、俺達はまた付き合い始めた

でも俺は…本当は一年前に日本に帰国していた事を、唯に話していない……


『一年間何してたの?』
そう聞かれるのが、怖かったから……



『他の女性と付き合ってた』

そう言ったら怒るだろう…でも事実だ……

遊びじゃなかったから…


だから今も……こうして彼女を思い出し…辛くなる…………



眠れないのは…罪悪感のせい……

唯に言わなきゃいけない……言って嫌われるのが…傷付けるのが怖いから

そして…彼女を傷付けてしまった……

罪悪感




こんな事になるなら……あの時、会わなければ良かったのにな…




……中学校の同窓会
行かなきゃ……良かった

No.29 07/08/23 14:05
レンカ ( 1fuT )

~27~
もともと彼女は、俺の中学校の先生だった
中2、中3と担任だった彼女……その頃は特別な感情なんて無かった……

…多分……

"いじめ"にあってた俺は…それを誰かに気付いて欲しかった……

性同一性障害だという事を…誰かに分かって欲しかった…


担任だった彼女…

何かを感じとった様なその目が、好きだった。


彼女なら、分かってくれるんじゃないかって…期待してたのかもしれない


ただ期待するだけで、それを伝える事は無かったけど……




帰国してすぐ、同窓会の案内が来た…

いじめてた奴らに会いたいとは思わない……会った所で、今のこの体をなんて言われるのかも…少し怖いし



それでも同窓会当日、会場の入り口まで行ってしまったのは



彼女に会えるのを、心のどこかで期待してたせいだと思う。

No.30 07/08/23 14:06
レンカ ( 1fuT )

~28~
―同窓会会場入り口―

「ここまで来たくせに、なに迷ってんだよ……」

苛々しながら店の前をぶらぶらと歩く、10分近くこんな感じだ…

「ってか…俺何しに来たんだろ……会いたい奴なんていないのに………」

《そうだよ…会いたい人なんていない……会ったところで、話したい人もいないし。》

わざわざ来た理由…何となく分かっていたけど……それを認めるのも嫌だったから、俺はそのまま帰ることにした…


ポケットに手を入れ、ダルそうに歩き出す…


《……あれは…》

正面から歩いて来る女性…よく覚えている……


《泉水…由(イズミ ユイ)先生………》


6年前と変わらない姿…その姿に、思わず感動してしまった……


懐かしさがこみ上げてくる……話したい…でも、俺だって気付くワケ無いし………


何より…先生にこの姿を否定されるのが、怖かったから


俺はそのまま通り過ぎることにした…。




「どこ行くつもり?」

すれ違ってすぐ、その声に引き止められる

「………」

あまりに急で、予想して無かった事だったから…俺は言葉に詰まって

振り返る事すら出来なかった

「会場、そっちじゃないでしょ?柳玲」

No.31 07/08/23 14:20
レンカ ( 1fuT )

~29~
「……よく…分かりましたね………」


「可愛い教え子だもん。それより、行かないの??」

この人にごまかしは通用しそうにない…俺は振り返り、ぎこちなく笑う


「なに?私見て苦笑いするなんて…相変わらずだな。」

クスリと微笑み、俺の手を握り引っ張る先生


「ちょっ……どこ行くんです?!俺、同窓会には………」

「近くに良い居酒屋あるから、そこ行こうよ!実は私も同窓会…行きたく無かったからさ」


『じゃあ何しに来たんだよ??』

そう言おうかと思ってやめた…同じ質問を聞き返されそうだったから……

それに…その時は久しぶりに繋いだ手のひらの感触に、ただ緊張していた



それと………唯の事を思い出し…切なくなった



《性格はアレだったけど…可愛かったから、今頃彼氏いるんだろうな………》


唯が他の男といる姿…それをちょっと想像しただけで、言いようのない怒りと嫉妬に襲われる……

《あ~駄目だ…唯の事考えちゃ……》



頭を振る…唯の事考えても悲しくなるだけだし、何とか唯以外の事に意識を集中させなければ……


とりあえず俺は…目の前にいる先生を観察する事にした。

No.32 07/08/24 11:03
レンカ ( 1fuT )

~30~
昔よりも髪が短くなったせいか、活発的な印象を受ける…

《もう30いってるはずだよな??》

「先生、今何歳だっけ」
「ちょっとぉ…いきなりそんな質問しないでよ~ほんっと変わんないんだから……」

「それはお互い様…先生も、全然変わんないじゃん」

「そう?ありがと!!」


歳を言うつもりは無いらしく、そこから会話は無くなった…
……それは良いとして


《いつまで手握ってるつもりなんだろ…》


先生の手は温かくて、唯の手よりもほっそりしていた



「はいっ!!着いたよ~……最初に言っとくけど、ワリカンでお願いね」

着いた店は、結構オシャレな居酒屋…というかバーだった

「良いっすよ……俺が奢りますから」


「良いの!!ワリカンが良い!!!」

《怖っ……何こだわってんだよ…》


先生の勢いに迫力があったので…結局ワリカンで飲むこととなった……




店内に入る…ほどかれた手のひらが、ちょっとだけ……寂しそうに見えた

No.33 07/08/24 11:06
レンカ ( 1fuT )

~31~
注文を済ませたところで、先生の顔が少し近づく

「あのさ…ずっと聞きたかったんだけど……何があったの??」

「主語…抜けてて質問の意味分かんないです」

本当は何が聞きたいのか分かってたけど…ちょっとからかいたかった


先生は聞いて良いのか、不安そうな顔で言う

「……その…体の事なんだけど…………」

「………………」

俺の表情を伺いながら…言葉を選んでいる様だ


「…柳…君って……やっぱり性同一性障害……なんだよね?……」

「……引きました?」

軽く聞いたフリをしたけど……内心、凄く不安だった………


「引くわけ無いでしょ!!……でも…やっぱり…そうだったんだね………同じ質問…あの時、してあげたら良かったのに……ごめんね……」


"あの時"とは、中学の頃の事だろう…俺を気づかう先生の優しさに……俺は…あの時………伝えたら良かったって…後悔した………


「先生は、悪く無いです……先生に分かってほしいって思いながら…何も言わなかった俺が、駄目だった…」


もっと早く…性同一性障害だと言う事を先生に言えていたら………
でも怖くて、あの頃はただ"助けて"のサインを送るしか出来なかった……

No.34 07/08/24 12:13
レンカ ( 1fuT )

序章が微妙な所で止まり、第一章にかわった事でびっくりさせたのならごめんなさい🙇


真琴の話しは後半で序章第二部として書きます😣


この作品は
キミとワタシ

の続きなので、読んでない方はそちらも読んでみて下さい😃


感想などお待ちしています✨

No.35 07/08/24 18:14
レンカ ( 1fuT )

~32~
過去の話しを、少しずつ俺は語り出す……

物心ついた頃から…自分の体に違和感を感じていた事

それでも自然と体が男になるんじゃないかと、夢のような期待を抱いていた……

初潮がきて、嫌でも現実を知ることになったけど


男になる事は出来ない…なら自分は一体なんなのか?

……分からない


何の為に女として産まれてきたのか?

……分からない


この体が女なのだから…やはり俺は女なのでは?

…それは違う!!俺は男だ…男なのに

…………何故??


…何故………何故???


繰り返される自問自答……そればかり考えているのに、答えが分からない

俺は意を決して、厳しい両親に相談する事にした

…でも母に
『僕………』
と言った瞬間、その表情が引きつるのが分かった

『くだらない事言ってないで勉強しなさい。』


俺の顔を見ずにそれだけ言うと、母は部屋から出て行った…


母親のあんな顔を見たのは初めてで……俺は二度と相談なんてしない…そう心に誓った…

No.36 07/08/29 15:32
レンカ ( 1fuT )

~33~
きっかけは
『なんでそんな男みたいなの?』の一言

中学にもなれば"性"への関心も高くなる…
そんな中、相変わらず髪が短くガサツな態度の俺を…変に思うのも無理はない

だがその一言で俺はこれ以上、人に"何か"を言われるのが怖くなった…


人混みから外れた様に過ごす俺は、暇な生徒たちには良い標的(マト)だったに違いない……


…最初は……ささいな事から始まった


先生が『数人でグループを作って』と言う…

俺の周りで次々とグループが出来る中、俺は1人それを眺めていた

クスクスと、その様子を笑いながら見るクラスメート

徐々に酷くなるいじめ…

…シネ…キモイ…ウザイ…キエテ……


2年になりクラス替えがあるまでの辛抱だ……そう我慢してきた俺の担任になったのが、あなただった………

まだ若いせいかクラスの女子や、男子からも人気があった


「『先生、意外と胸あるよな』なんて言われてるの………知らなかっただろ?」


悪戯っぽくそう言い先生を見ると、少し照れた様に視線をそらす…

その姿が、ちょっと色っぽかった……

No.37 07/08/29 15:44
レンカ ( 1fuT )

~34~
……話しがずれたので戻すけど…

俺の期待とは裏腹に、いじめが無くなる事はなかった……

着たくない制服…

うんざりする程の女扱い……………そしていじめ

俺の中で、どんどんストレスが溜まっていく……

クラスから外れた俺の存在に気付いたあなたは、放課後や休憩時間に何度も話しかけてくれた……
でも俺には言う勇気が無くて、素っ気ない態度をとる事しかしなかったけど………本当は凄く…嬉しかった

No.38 07/08/29 20:53
レンカ ( 1fuT )

~35~
男のフリをして、女の子と付き合いだした…

性自認が男だから、騙しているという感覚は無くて…男として接して貰える嬉しさで俺は調子に乗っていた……


あまりに幸せだったから……なかなか切り出せなかった…体は女だって、言えなかった………

いつかばれると思っていたけど、彼女なら…分かってくれると信じてた

……現実は残酷だって…忘れてたんだ




彼女の兄に殴られながら…頭の中に響くのは…

彼女が言った『頭おかしいんじゃない?!』って台詞


好きな人から言われる

"キモイ"って言葉は、他の誰が言うよりも心に刺さって……涙が止まらなかった



……もう死にたい



本気でそう思った……

心の中を探しても
出てくるのは…

辛い…………辛い記憶と



死にたいって



感情だけ……………………………


この体のまま生きていくのに………何の意味も無い


血まみれのシャツのまま………殴られた痛みも感じないくらい……俺の頭は、死って言葉で溢れてた……………

No.39 07/09/01 00:16
レンカ ( 1fuT )

~36~
死のうとしてた俺を助けてくれたのが…美里って子だった

彼女は初めて俺を"男"と認めてくれた、たった1人の人でも………いるのといないのとでは全然違う

美里に怪我の治療をしてもらい、家へと帰る……両親の反応は予想以上に酷かった

ガーゼが貼られた頬を父さんにまた殴られた…

…ここでも言われたのは『頭がおかしい』って台詞

1日に2回も言われた…好きだった人と実の両親……でも大丈夫、俺には支えてくれる人ができたから


母さんが必死に俺を説得しようとする

『あなたは女なのよ、女以外の何ものでもないの!!!馬鹿な考えはやめて』って

泣きながらそう言う母さんを見るのは、正直辛かった……でも俺は変えられない………俺が"男"だってことを。

No.40 07/09/01 00:17
レンカ ( 1fuT )

~37~
しばらくして、父さんが俺の高校を建設中の"翼泉女学院"にすると言ってきた………そこは全寮制になる予定なので…俺の顔を見るのも嫌らしい


中学に行かなくなった俺の家に、あなたは何度もきてくれた…

それでも、俺はもう二度と行きたくなかった……あんな所。



美里が同じ高校に行くと言ってくれて、俺は凄く喜んだ……そんな時急に美里から『好き』って言われて…でも俺は友達として思ってなかった……だけど"ごめん"って言って嫌われるのが、怖かった…だから『良いよ』って


美里と付き合う様になって、高校に入学して……でも俺たちは"手を繋ぐ"ことすらしなかった

俺の気持ちを察した様に美里は『別れたい』って言ってきて……俺はこれで無理して付き合わなく良いって安堵したのと、やっぱ美里を傷付けたので………すごく後悔した



母さんの姉で翼泉の校長である橘の"オモチャ"になったのは、美里と別れてすぐだった………

橘は金だけは沢山持ってる、俺の性別適合手術の費用を出してくれるって約束で…俺は彼女が望む事ならなんでもした………そう……なんでも……

No.41 07/09/01 00:18
レンカ ( 1fuT )

~38~
夏休みに行われる合宿に参加するように橘に言われる…俺と離れたくないらしい……

でも…行って良かったと思ってる……唯に会えたから


"ユイ"って名前に反応して、先生がこっちを見る…同じ名前……だったせいだろう



……唯と初めて出会ったのは、合宿打ち合わせの日…もう4年も前の話し……

No.42 07/09/01 21:56
レンカ ( 1fuT )

~39~
その日俺は橘と一緒に商楽高校に来ていた。

橘は商楽の川本って教師と先に話しがあるので、俺はしばらくうろついていた………土曜なので来ている生徒はほとんどいない、静かな校内に響く吹奏楽の練習の音。


中庭を見つけ、外に出てみる……涼しい風が吹き抜けていた。
校舎の外観も結構きれいだな……なんて考えていた時、後ろの方から視線を感じた。

……ゆっくりと視線の持ち主の方を振り返る


2階の教室からこちらを見ていた女生徒………化粧してない所が良かった…しなくても充分可愛いのに…驚いた顔のまま、口元がポカンと開いていて……そのギャップに俺は思わず笑ってしまった。


商楽の生徒代表と知ったのは、その後行われたミーティングで……走って会議室まで来たらしく、乱れた髪を焦って直そうとしてる仕草とか…凄く可愛い…。


気がつけば俺は彼女の方ばかり見ていた、可愛いけれどちょっと天然…そんな第一印象通りの唯は……どんどん俺の中で大きくなっていく………。

No.43 07/09/01 22:01
レンカ ( 1fuT )

この作品の元になった話
キミとワタシ
も興味があれば読んでみて下さい😃

キミとワタシは半分実話のストーリーです😣

唯の視点で描かれているので、読めばキミに触れたらを一層楽しめるんじゃないかと思います✨

No.44 07/09/01 22:07
匿名44 

>> 43 探し方が分からないので、ここにURLを貼っていただけませんか?

No.45 07/09/01 22:24
レンカ ( 1fuT )

>> 44 レスありがとうございます😃

貼り方がよく分からないので😣すみません🙇

過去ログの
本・読者・文学
のカテゴリー内にあります✨✨

No.46 07/09/01 22:26
レンカ ( 1fuT )

すみません🙇
貼り出来ました😣


http://mikle.jp/zatsudan1/dispback.cgi?bno=1&n=21254

No.47 07/09/01 23:05
匿名44 

>> 46 おおぉ~っパチパチパチ

ご親切にありがとうございましたm(__)m
では早速拝見します…

No.48 07/09/01 23:35
レンカ ( 1fuT )

>> 47 いえ✨
読んで頂けて嬉しいです😃

キミとワタシは思い入れのある作品なので😣沢山の方に読んでもらいたいと思っています🙇

No.49 07/09/02 16:45
レンカ ( 1fuT )

~40~
合宿が始まり、俺と唯は同室になった…理由は唯が合宿メンバーの中で成績がトップだったから。

同じ部屋になったのは、嬉しかった。…けど俺が性同一性障害だと彼女は知らない……知った所で、分かってくれるとは…限らない。

部屋に荷物を運びに入る…ベットは2つ……初めて会った時、彼女は窓から外見てたな……そう思い唯に窓際のベットを残した。


合宿最初の内容だったのが、カレー作り…そこで事件は起こった。

唯が同じ学校の生徒2人に追いつめられていた……その姿にいじめにあっていた過去の自分が重なり、気がついた時には俺は唯とその女生徒の間に割って入っていた。

……中学の時、俺の周りのクラスメート達は何もしてくれなかった……"見て見ぬフリをする"なんてそんな事…俺には出来なかった。

No.50 07/09/02 16:46
レンカ ( 1fuT )

~41~
俺と橘の関係を唯に見られてしまう…1番見て欲しく無い人に……。…きっと彼女は俺を軽蔑しただろう…きっと俺は嫌われた。
関わらなければ、これ以上好きになる事はない…なのに俺は彼女の笑顔をもっと見たい…彼女の力になりたくて。


なるべく彼女を1人にしないように、気を使いながら接した……。でも俺は何を話せばいいのか分からない、部屋にはほとんど会話は無かった。

午後行われる自習でいつも唯の隣りに座る男…"桜井氷吾"。
仲良さそうに話す2人を見る度、俺は嫉妬に襲われる……。あんな風に話せたら…俺の体が男だったら、人目を気にする事もなく…彼女の側にいれるのに。

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