カルネアデスの板

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おしゃべり好きさん
2024/08/29 19:47(更新日時)

あくまでも架空の話しです

私は身重な妻と旅行先の湖遊覧船でひとときまったりしていました

一月の寒い時期でした
が、とある重大なアクシデントにより遊覧船は沈没
乗客全ての方が冷たい水の中に…

「冷たい…駄目だな」
と、諦めてた時、目の前に救命ボートが

藁にもすがる思いでボートにしがみつきます
「助かった…後は救助待つだけ」と…

一人用のゴムボートに乗り込み安堵してると
「貴方…」と…

声の先を見ると冷えから顔面蒼白の震え切った妻が冷たい湖の中必死に浮いています。
「助けて…」
震えきった手がゴムボートに掛かります

このボートは一人様です

「まだ生きたい。やり残した事沢山ある」

私はなんの躊躇もなく、手で漕ぎました
力無い妻の手はすぐさまゴムボートから離れました
悲しそうに見つめる妻…

数時間後
私は航空自衛隊により発見され救助されました

そしてまた数時間後
妻の死亡が確認されました

遊覧船沈没での多大な犠牲者の中生存者は私一人でした

身重な新婚妻を亡くした

と、言う事で私はいく社ともわからない位のTV局新聞社等から取材されました
美談にしたかったんだろう

私はそんな数知れ無いインタビューの中ひたすら寡黙を通しました…

法律上「緊急避難」と言う法律があります
実際私は嫁がゴムボートに触れた際、彼女を振り解いたりしてません

「カルネアデスの板」

私は裁きを受けなくてはいけませんか？