水の檻
今日から新しいお店‼
スカウトされたんだから、風俗業界でも私はまだまだイケるって事だよね♪
年は少しごまかしてるけど、この業界じゃ当たり前だし問題なし。
でも新しい店長ちょっと怖い感じだな…。
新しい職場はお店っていうか、マンションの一室だけど今月だけで一時的みたいだし。
会員制だから安心だよね。
早く慣れるように、まずは笑顔だ‼
「さなちゃんお客様入ったよ~」
「あ、はーい♪」
「2名様、常連客だから頑張ってね」
「え…?2名?って?」
新しいレスの受付は終了しました
私はずっとSM孃でやってきた。
2人調教なんてやった事ない。
ボーイさんに言わなきゃ…
「あの…2人調教なんてした事ないんですけど…」
「え?調教?あ~…いいから部屋行って」
「え…でも道具とかも」
「お客さん待ってるでしょ、いいから早く奥の部屋ね」
肩を優しく押されて部屋に迎わされた。
必要な道具は部屋にあるのかな?
まぁいいや
よし、M男2人調教して指名客にしなきゃ!
「よろしくお願いします!あれ?なんで立ってるの?正座で待たなきゃお仕置きだよね」
男1「……あ?」
男2「何この女、ツンデレ頼んでねぇよなぁ」
え?え?なんでこんな反応なの?
普通なら喜ぶはずなのに?
少しパニックになりかけた瞬間に
痛っ!
腕を引っ張られて体が太った男に引き寄せられた。
「こんな事するなんて奴隷失格よ!」
少し震えながら言った。
女王様と奴隷の関係、それを崩しちゃいけない。
それが私の仕事だ。
でもそれを覆す言葉が耳に入った。
「奴隷?奴隷はお前だろ。ソープ来てんのにイメクラプレイなんかオプション入れねーよ、なにキャラ狙ってんの?」
言い終わる前に口に入れられた。
ソープ?
聞いてない、知らない。
私は女王様で罵ったり、いたぶったりするのが仕事のはずだ。
こんな洗ってないものなんて、軽く踏めばいい筈なんだ。
…ゴホ…ゴホッ
吐き気がする。
咳で涙が出てくる。
いきなり髪の毛をつかまれる。
男2「ちゃんと即尺しろよ」
頭をつかまれ揺すられる。
私が奴隷?
知らない、聞いてない…
混乱した脳に次に響いた言葉は
「フィストやっか、ローション取って」
フィスト?
フィストなんてやった事ない!
この客異常だ、内線で止めてもらわなきゃ!
…内線がない
どうしようどうしようどうしよう
男1「何逃げてんの?焦らしとかいらないから」
男2「ほら足広げろよ」
押さえつけられて身動きが取れない。
叫んで助け呼ぼう!
「すいません!助けっ…」
分厚い手で口をふさがれた。
男2「嫌がるそぶりいいねぇ、燃えるねぇモゴモゴ言ってるぞコイツ」
違う!
本当に嫌なんだ!
声にならない声を出した時に、冷たい感触が走った。
男1「さて、指3本からいきますか」
男2「は?5本でいいだろ」
男1「お前みたいな変態と違ってじっくりいきたいんだよ!」
男2「一緒に来といて変態とか笑わせんじゃねーよ」
私の恐怖とは真逆に楽しそうな男達。
この場所を理解しかけたその時に
…ズッ
激しい痛みが体の中心にきた
「ん~~~っ!」
ふさがれた口から声が漏れる。
痛みで涙がでる。
男2「手の甲までいってんじゃん、ってか指3本じゃねーし」
笑ってる。
痛がってるのに笑ってる。
男1「このままいっちゃいますかぁ!」
やめて!
お願いやめて!
「ぐぅっ…」
ものすごい圧迫感と痛みが襲う。
男1「コイツいけるいける。ちょ、見ててグーにするから」
男2「よし、いってみよー!」
声にならない痛みがきた。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
足がバタつく、我慢できない。
男1「…なぁ、お前もしかしてM女じゃねーの?」
男2「ん?」
痛みのせいか失禁した私に聞いてきた。
痛くて首を縦に振るしかない。
だって聞いてない、自分がMになるなんて聞いてない。
男1「ダメだ萎えた、つかボーイ呼ぼうぜ」
男2「だな、でも俺出したいんだけど」
髪を掴まれ口にあてがわれた。
嫌だけど痛い思いするよりずっといい。
男2「舌からませろ、手も使え」
言われようにする。
早く終わらせたい、早く早く早く。
舌をうねらせながら指でなぞる。
男2「よし…しごきながらケツ穴舐めろ」
嫌だ、絶対嫌だ。
でも痛いよりはいい。
変な味がした。
手を動かしながら舐め続ける。
男2「強弱つけろ…今のままでいい」
男2「あ~、イクぞ!飲め!」
口の中で一瞬膨らんだ後、苦味が広がった。
男2「ふぅ…お前さ下手だけど何なの?」
男1「ちょ、ボーイ呼んだほうが早いって」
男2「いや、なんか最初から変だったじゃんコイツ」
私は精液臭い口のまま話した。
SMクラブの女王様で働いてた事…
ここにはスカウトされて来た事…
男2「あ~それ上手い具合に丸めこまれたね」
男1「ここはM女ばっかりの店だよ、わからなかった?」
「知らない!聞いてない!」
男1「うんまぁ、それはそっちの問題で俺らは金払ってる訳」
男1「ここは女の子をオモチャにできる、そーいう店。で、俺はまだ楽しんでない」
男1「俺らはまだマシなほう。クソ食わせたり食ったりもあるよ」
…店辞めよう
…そう思った
「ボーイさんに聞いてきます。」
ドアに向かった私に男が叫んだ
男1「だから俺がまだ満足してねーだろ!」
男1「とりあえず料金分働け」
また
男の股間に
顔をうずめた
男1「ケツ重点的にな、舌入れろ」
舌をとがらせ、表面から奥へ舌を入れる。
右手は動かしたまま。
どっちも休む事は許されない。
不意に親の顔が浮かんだ。
涙が出て止まらない。
私は女王様のはずなのに。
罵って、奴隷に合わせたムチを打ってたのに。
今の私は手を突っ込まれて、こんなところを舐めている…
男1「う…イクから飲め」
口に含むと膨張したそれがビクンとはぜた。
苦い、でもコーヒーのような苦さだ。
男1「掃除しろ」
…え?
男1「お掃除フェラだよ、早くしろ」
柔らかくなったそれをゆっくり舐めまわす。
屈辱的でまた涙が出た。
男1「とりあえずさぁ、店長に聞いたほうがいいって」
男2「だな、今回はクレームだわこれ」
満足なフィストもアナル挿入もできなかったクレームだ。
もうクレームがきてもいい。
この店は辞めよう…
男2「あ、でも待って。まだ時間あるからやりたい事あるんだよね」
やりたい事?
もう下半身は痛くて限界だ
男1「何よ、やりたい事って。俺なんか萎えたよ…」
男2「二輪刺しやらなきゃだろ、お前!」
男1「おぉ!だよな!」
二輪刺し…
聞いた事はあるけどまさか本当に…?
男1「俺、前な」
男2「また俺が後ろかよ、まぁいいけど。あ、ゴム取って」
言われたまま部屋の隅にある備品の中から、ゴムを2つ取り渡す。
男1「俺は前だからゴムいらねえよ、ピル飲んでんだろ?」
「ピルは…飲んでません」
男1「あっそ、ボーイに言えばアフターピルあるから大丈夫。さて…」
私の股間に伸びた手が一番敏感な所に触れる。
でもゴム着けないって、まさか…
「あ…んっ」
痛みの後だからだろうか、いつもより感覚が鋭い。
思わず目をつぶり、男の腕にすがりつく。
「そこ…気持ちいいです」
男1「よく濡れてる、もうちょっと濡らそうか」
男の舌が私の乳首を舐める、ゆっくりと焦らすようにいやらしく動く。
「ぁ…んんっ…」
気持ちいい。
体を横たえ、クリトリスをいじられながら胸を舐められる。
これが正しいんだ。
私が痛い思いをする訳ないんだから。
しばらく男の愛撫に身を任せていると、声が聞こえた。
男2「後ろもほぐしておいて」
男1「オッケー、これだけ濡れてたらローションいらないわ」
快楽に飲まれていた頭と体が
現実に戻った
男1「アナルの経験は?」
愛撫されながら聞かれる。
でもこれは愛撫なんかじゃない。
準備、だ。
「んんっ…後ろの経験は…無い…んっ…です」
準備だとわかっても快楽が走る体で答える。
感じたくなんかないのに、不安と恐怖でいっぱいなのに。
私の体は私を裏切る。
男2「ラッキー!ケツ処女いただき!」
背後から、声が聞こえた
それからの私はまさに
「オモチャ」
だった。
私の背が150センチと低い為、彼らが思っていたプレイはできなかったので違うスタイルになった。
客に抱きかかえられる。
いわゆる駅弁という体位だ。
そして無防備になった後ろに挿入された。
「御輿じゃん!」
と興奮した声が聞こえた気がした。
私の中でリズミカルに動く感触が2つ。
不思議な事に、後ろの痛みは無かった。
無かったというよりも、じんわりとした快感がある事に驚いた。
男2「はぁっ…はっ…さすがケツ処女、入口しまるぜ」
男1「駅弁できる子で良かったよな、あ…やべ俺イきそう」
「気持ちいい…です…んはぁっ…私の中でイって下さいっ」
男2「了解、お前先にイけよ。俺は御輿をもう少し味わう」
男1「もうダメだ。先イクわ………射っせーい!」
イク時のかけ声に少し笑ったが、放たれた体液は私の体の中だった。
男2「お前はこれから四つん這いな、ケツあげろ」
言われたとうりにする。
もうそうするしか無い。
「…んあっ?」
後ろに挿入されているのに、快感が強まった気がした。
男2「バックだとこすれて気持ちいいだろ?気持ちよくなる部分に当ててるしな」
そういうものなのか…
ぼんやりと思った。
男2「あいつ生だったからスペルマンが溢れて垂れて、いやらしい事になってんぞ?」
私をあざける言葉にも、もう反応できない。
初めて味わう快感に、身を任せたかった。
笑われてもいい、今は。
どうしても抗えないから。
そういえばもう1人の人はどうしたんだろう?と目をやったら、タバコを吸いながらスマホをいじっていた。
男2「集中しろよ!」
接客中だし当たり前だ、怒鳴られた。
男2「はっ…はっ…俺もイクぞ、腰もっとあげろ」
終わりが見えてきた!
やめて欲しくない気も少しあるけど、今だけだ。
これが終わったら店辞めて、また別の店を探そう。
「お願い…もう少しですからまだイっちゃ嫌です…」
男2「うっ…あ…ダメだ、イく」
懇願した声で余計興奮したのか、達した。
(…計算通り)
終わった…。
改めて部屋を見ると、簡易なシャワーコーナーしかない。
「シャワーまだ浴びないならお先にいいですか?」
男1「あぁ、お疲れさん。浴びてきなよ。」
許可を得て先にシャワーを使わせてもらった。
最後は計算通りにイってくれたけど、きつかった。
中出しされたのが怖い。
なるべく掻きだして、アフターピルを貰おう。
とにかくシャワーを浴びて、綺麗にしたい。
全身を洗って、部屋に戻った。
テーブルに1万円が置いてあり、男達の姿は
無かった。
いちまんえん?
チップ?
制服にしている薄手のキャミを着て、事務室に急いだ。
「今の2名のお客様!部屋に1万しかなかったんです!足りない分、取り返して下さい!」
店長「クレームきたんだよね、なんかすごい嫌そうな顔したらしいじゃん。こっちまで謝ったよ。」
店長「まあ、1万貰えただけでも良しでしょ。あ、これ飲んでおけよ」
たぶん、アフターピルなんだろう。
飲まなきゃ妊娠しちゃうかもしれない。
持参していたミネラルウォーターで薬を飲んだ。
辞めたい事をいわなきゃ。
「店長、すみません。私このお店はキツいです。これでもう帰ります」
店長「はぁ?」
心底驚いた店長の声が響いた。
【水の檻】感想スレ作りました
浅知恵文章&駄文のくせにすみません
叩きや罵倒は栄養になるだろうと言われ…
豆腐メンタルですが、叩きも罵倒もダメ出しも栄養にしたいと思います。
感想スレを立てて欲しいと言ってもらえた時に、断ってしまってすみませんでした。
でも負けなかった。
もう辞めるし、どうでもいい。
「2人相手にして私の取り分、1万円なはず無いですよね?」
じっと店長の目を見つめる、目をそらしたら負けだ。
店長「あのさぁ、今までの店は知らないけど先に料金貰わなかった訳?」
確かにそうだ、緊張していて忘れてた
。
悲しそうな顔をしていたんだろうか?
泣きそうな顔をしていたんだろうか?
店長「辛かったね、お疲れ様」
ふいに優しい声をかけられて、涙があふれた。
止まらない。
店長「今日はもういいよ、帰ってゆっくり体休めて」
「…はい、すみません。退店の事ですが」
店長「それは借金返してからだよ」
………借金?
「…借金?なんて知らないですけど?」
店長「はぁ…借用書あるよ、見る?」
少し待ってから一枚の紙を見せてもらった。
========
・貸付金50万
・返済するまで移転せず返済する事
========
サインは私の字。
割り印もある。
逃げられない事がわかった。
スカウト、という事に私は舞い上がっていた。
書類にハンコも押した。
「形式だけだから」
という言葉を信じてしまった。
「…失礼します、お疲れ様でした」
店長「明日からまた頑張ってよ?ゆっくり休んでね」
怖い外見に似合わない言葉が薄っぺらく感じた。
自宅に向かったのはよく覚えてないのに、気付いたら玄関だった。
この家に入る資格が私にあるんだろうか。
「ただいま…」
「ママ!おかえり~!」
もう夜10時なのに、待っててくれた娘が抱きついてきた。
一瞬、ヒヤリとした。
「もう!まだ起きてたの?」
娘の頭をなでながら、笑顔で叱る。
夫「お疲れ~、今日も忙しかったんだな」
夫の圭一だ。
娘「お疲れ様、ママ」
泣きそうになる。
「うん、打ち合わせがややこしくなっちゃって。あ!冷やし中華作ってくれたの?ありがとう!」
不自然にならない程度に明るく振る舞う。
「ケイも仕事あるのにごめんね、ありがとう」
ケイ「レイだって頑張ってるんだからお互い様だよ、早く食べちゃいな?」
そして気がついた。
今日…
店で…
誰からも、私の源氏名を、呼ばれてない事に。
「ごちそうさま!キュウリいっぱいでおいしかった」
笑顔で夫に告げる。
ケイ「はい、お粗末でした。冷やし中華も今年はこれで最後だね」
カチャカチャと洗い物までしてくれる。
私は今の店について早く調べたかった。
ネットだったらきっと情報は集まる。
本当に「オモチャ」として扱うような店なのか調べたかった。
「ミナがちゃんと寝たか見てくるね」
そう言い、娘の部屋に向かおうとした時、強い吐き気がした。
急いでトイレに行き嘔吐する。
妊娠なんかじゃない、アフターピルの副作用だ。
個人差はあるけれど、私はひどいほうだったみたいだ。
胃の中が空っぽになった。
ケイ「具合悪いの?大丈夫か?」
ドアを隔てて、心配そうな夫の声がする。
「大丈夫!ちょっと疲れで貧血っぽくなっただけ」
吐き気はなかなかおさまらず、寝る頃には頭痛も出てきてグッタリしながら寝てしまった。
早朝に飛び起きた。
体の確認をする。
特に変な所は無い、いつもどうりだ。
「リアルな夢だったな…」
無意識に呟いた私に看護士さんが声をかけてくれた。
「おはよう、退院の日だけあって起きるの早いね」
「お世話になりました。まだ少し外の世界は怖いけど、退院てビール飲みたい!」
夜は美味しいビールが待ってるね、と微笑みながら答えてくれた。
両手を上にあげ、思い切り伸びをした。
長袖のパジャマの袖が下がり、手首の痣が見える。
悪夢のような出来事が、夢じゃなかった証拠の烙印として私の体に残った。
~~~終~~~
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