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いつか、誰かに必要とされたい。
14/03/14 07:19 追記
‡‡‡①
http://mikle.jp/thread/2068693/
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それから半年、仕事に真面目に取り組んで、周りからも
『さとしは変わったな』
と言われるようになっていた。
さゆりちゃんとは友達関係が続いていて、ちびとも含めて会ったりすることもあった。
3人で、食事をしたり遊びに出掛けたり、ちびとさゆりちゃんとだけで出かけることもあった。
時々、さちから連絡が来ていないか携帯を見るとドキドキしたが、あれ以来いっさい連絡はなかった。
[さち…]
『ねぇ、女2人旅行ってもいいよね?』
俺の部屋で3人でたこ焼きをしている時にさゆりちゃんが言い出した。
ちびは、器用にたこ焼きをかえす。
『旅行?』
『じゃーん』
ちびが某有名遊園地のパンフレットを取り出した。
二泊三日で行く予定だと言う。
『気をつけて行ってこいよ』
遅めの夏休みをそれぞれが楽しむことになった。
工場に頼んで車を借りて、2人を駅まで送る。
『じゃ、行ってきま‐す』
2人はまるで姉妹のように見えた。
急いで工場に戻り、仕事をすると、3時過ぎには仕事が終わってしまった。
『さとし、お前明日から2日休め!夏休みだ』
所長のはからいで急に夏休みに。
[ちび達と一緒に行ったから良かったかな]
何もすることがなく、風鈴の音を聞きながら、部屋でタバコをふかしながら夕陽を見ていた。
携帯がなり、画面を見るとさちからの着信。
『もしもし』
俺は、慌てて電話をとった。
『久しぶり、元気だった?』
懐かしいさちの声。
俺は、思わず返答に迷っていると、
『かけちゃだめだったかな?』
『違うよ、さちの声が聞けて嬉しくてちょっと感動してた』
『何か、凄い口説き文句だね』
さちが、嬉しそうに笑うのがまた嬉しかった。
『食事しない?』
さちからの誘い、
『さらってもいい?』
俺の本音。
『それは困るな~』
さちが、くすくすと笑う声がする。
『わかった、食事だけ』
俺は、さちに会えるのが嬉しくてたまらなかった。
『じゃ、迎えに行くね』
電話が切れた瞬間に思わずガッツポーズをした。
[さちの中にまだ俺がいた]
『久しぶり』
さちの車に乗り込むとさちは軽く笑顔を見せた。
[だめだ、抱き締めてキスして自分のものにしたい]
いっきに気持ちがたかぶった。
『ねぇ、何食べるか任せてもらっていい?』
『いいよ』
俺は、自分が落ち着くように必死で言い聞かせていた。
『ここね、この前接待で来て美味しかったんだ』
一部屋づつ個室になった料亭だった。
案内された部屋からは行灯でうっすら明るく照らされた中庭が見える。
床の間には掛け軸が下げられていて、高価そうな坪が置かれていた。
向かい合わせで席につき、さちの後ろのふすまの奥が気になった。
[開いたら…まさかな]
綺麗に盛り付けられた料理に美味しい日本酒が次々に運ばれてくる。
『何だか殿様になった気分だね』
『そうね、殿どうぞ』
さちがお酌をしてくれた。
全ての料理が終わった頃に
『お酒お願いします』
さちが日本酒を注文した。
『ここのお酒美味しいのよね』
さちは、どんどんお酒がすすんでいた。
『ちょっとお庭を見ましょうか』
さちはふらふらと立ち上がると中庭側のガラス戸を開けた。
秋風が、2人の頬をそっと撫でた。
『会いたかったのよ』
さちが、俺の胸にしなだれかかる。
俺は何も言えず、肩も抱けずにただ固まっている。
『さとし君、彼女とか出来た?』
さちが、酔ってとろんとした目で俺を覗きこむ。
[頑張れ、俺の理性]
今すぐにでも押し倒したいのを必死で耐えていた。
『俺、そんなにもてないよ』
さちは、俺の胸に手をあてると
『こんなにいい男なのにね』
俺の耳元に唇を当ててそっと話しかける。
もう片方の手は、俺の太ももに添えられた。
さちのいい匂いが鼻につき体温が伝わる。
誘われている、それはわかっていたけれど、もうセックスだけの関係に戻るのが嫌だった。
『じゃさ、さちの男にしてよ』
俺は、頑張って冗談っぽく言う。
[頼む、これ以上刺激しないでくれ]
そう願っていた。
さちは、俺の唇を指でなぞると、
『ねぇ、私達戻れないの?』
さちからの提案。
俺は、さちの指を握りしめて自分の胸に当てて、
『さちが、俺だけのものになってくれたらね』
さちを見つめた。
『はぁ……』
さちが、大きなため息をついた。
それ以上何も言わなくてもそれがさちの答えだとわかった。
『わかった、正直に話すからちゃんと聞いてね』
さちは、俺から少し離れて座って話し始めた。
『私、彼氏なんていないの…生まれてからずっと彼氏なんていない』
『え?それって…』
『セックスするのに最適な相手を選んできたの。面倒になるのが嫌だから、いつも彼氏がいるって話してきたわ』
さちの話しがよくみえない。
『嫌なのよ、好きだとか愛してるとか…そんなの全部戯れ言でしょ?』
さちが、俺に尋ねる。
『さとし君を初めて見た時にピンときたの、あなたは私と同じだって…誰も信用していないし、必要ともしてないって』
さちの言葉がナイフのように刺さる。
『私の母親はばかな女で…』
さちの母親は妻子もちの男と不倫して挙げ句にさちを妊娠。
妻とは別れるという言葉だけを信じてさちを出産して待ち続けた。
さちが幼稚園に入った頃にその男は転勤がきっかけでさちの母親と疎遠になり、さちが小学校に入学する頃には、連絡も途絶えがちになり、さちの母親は精神の状態が不安になりはじめた。
『明日は遠足、私は楽しみでリュックを枕元に置いて眠った夜に…』
さちの母親はアパートの部屋に火をつけた。
幸いにも隣に住んでいた学生がすぐに異変に気がつきさちと母親を助け出してくれたものの、母親はそのまま入院。
さちは、母親の姉夫婦に引き取られることになった。
姉夫婦は、さちをとても可愛がり、1人息子もさちをとても可愛がった。
さちの心も少しずつ癒え始めた頃…
『私が中学に上がってまもなくして、親戚の家で不幸が急にあり…』
先に眠ってしまっていたさちを息子に託して、夫婦は深夜に親戚の家に向かったその夜に…
『私は、それまで大好きだったその兄に乱暴されたのよ、それからもずっと…』
頭もよくて優しくて皆に信用されていた兄がまさかそんなことをするなんて、誰も信じないだろう。
『誰にも言うな』
口止めもされていたけれど自分がそんなことをされているなんて口が裂けても言いだせなかった。
短大の卒業を控え、その兄から逃れる一心で、1人暮らしを心配する夫婦を説得して、家を出る準備を始めた。
が、兄は勿論、猛反発で妨害を始めた。
『私は、ある夜兄が部屋に入ってくる前にビデオをセットして、2人の行為を録画して…』
これ以上、自分の邪魔をするならこれを世間に公表するぞと脅したと言う。
『私は、クズのような女から産まれて悪魔のような男によって支配され続けた…だから、他人は信用しないわ』
さちが泣き崩れるのを只抱き締めるしか出来なかった。
俺は、封印した過去をこじ開ける覚悟を決めた
『さち、俺は、母親に犯されかけたんだよ…』
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