ドラゴンボーイ

「随分浮腫んでるね。痩せているのにお腹は出てる。皮膚はガサガサ。お母さんも同じ感じね。」
「お漏らしもするんです。私も頻尿ですが。あ、失礼（目薬）ドライアイでして。泌尿器が悪いようなんです」
「水が、体の中で巡らなくて水毒になってんのよ。水神様に祈願しなさい。水が怖いという事は？」
「あります。飲むと下したり頻尿になったり、水に触れるとケアしても皮膚が荒れます。海水浴もしません、海風や水着の素材だけでかぶれるんです。」

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終わり!?😲

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少なくとも、そのお寺は水天宮ではなかった。水天宮はどこにあったか帰ってから調べる事にし、買い物をして帰宅した。清潔な家、きれいな水を使い、新鮮な野菜や無添加調味料を使った夕食をつくる。一皿一皿、一さじ一さじ計量して。
夕食の支度をしたはいいが・・・電話をする。「いらないよ」「もうつくったわよ」「いつも外で食べてるのに、何でつくるの？」。

夜遅く、夫が帰ってきた。

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お、終わり？😓

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随分たって、夫が帰宅する。
「飲んで来たの？」
「送別会だって行ったろ？何で用意するの？飲んで帰る事なんかたまにでしょ。」
「いつも外食ばっかりじゃない！昼食もお弁当も、夕食も用意するのに、外食や買い食いで済ませる！それに太ったんじゃない？」
「俺も中年だから、若い頃よりは太るかな。外食で金なんかかけてないじゃん。駅蕎麦屋とか、牛丼屋とか、コンビニおにぎりとかで」
「貴男はそんな生活してるから、疲れ易いのよ」
「仕事大変だから、疲れて当たり前。野菜だって結構食べてるし、バランス位考えてるわぃ」
「私は家族の健康を考えて！」
「お前こそ、病的な体じゃん。なんなの？バカ高い大量の健康食品とかさ、健康グッズとか、無農薬野菜とかさ。味つけはないし、肉も油もないし、量はやたらに少ないし。どこの宗教？自分で具合悪くしてんじゃん。」
「あなたはスポーツドリンクや炭酸をよく飲むし、塩や砂糖や脂質や肉が好きで、ボリューム系ね。これだから外食慣れてる人は体を悪く・・・」
「俺の仕事が、熱い所で力仕事だってわかって！脱水させる気か？カロリーだってお前の何倍も使うし筋肉も必要なんだよ！」
「お米と野菜中心で、動物性のものや塩や砂糖や油は体に悪いし、いらないのよ！男だってカロリーも1400以下にした方が・・・。大食はよくないし、時々断食するといいわ。飲み物は水かお茶にして、コーヒーはやめなさい。煙草も！朝多め、夜は軽く、夜８時以降に食べるのも、11時以降に寝るのも・・・」
「このクレイジー！いつ俺が健康診断でひっかかった訳？俺を殺す気か！病気なのはお前じゃん！顔色悪いのも、家で寝てばかりなのも！お前の健康管理なんか誰が受けるか！疲れるのはお前のせいじゃん、家にいたくないのも！」

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「出て行けよ・・・子供は俺が面倒を見る。もっとちゃんとした物食わせてやる。」
「何ですって？子供は母親がいなければ！貴男みたいな好き好き勝手な摂生の人に任せれない」
「バカか？好き勝手な不摂生はお前だ！ろくな物食べさせない母親が？それで体を鍛えるために運動に通わせたいとか、不気味な健康食品とか、虐待だよ。水だって買わなくていいから、水道水で十分だし。」
「でも、お寺で神の水が必要だって・・・」
「はぁ？寺？いくらかけたの？もう我慢できない。」
「病気の子供のためだからお金かかっても仕方な・・・」
「出て行け！！」

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貴重品だけ持って、私は一人締め出された。
その夜は近くの健康ランドで寝た。お風呂は気持ちいい、冷たい鉱泉を飲んだ。朝、ランドで食事をとる。「この味噌汁も漬け物も塩辛い。やっぱり外食は嫌」。息子が心配だった。そして「神の水ってなんなのか気になった。

夫からメールが来て、「朝食をとらせた後、俺の実家に連れて行って、出勤した。夜には連れて帰るつもりだ。当分そうだろう。これから保育園を探す。」と。

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やっぱり神水の事か？どこかで売っているのだろうか。そのお寺に聞いてみよう、お寺にはそれらしき物はなかった。

東京に飲泉許可ある所は少ない。高尾付近位しか知らないし、徒歩で行って神水を息子のために持ち帰れない。

お寺は東上線上にある。私は電車で向かった。

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お寺に着いた。
相談にお金はとらなかった。良心的だ。
「神水？ここから電車一本で宇都宮の二荒山神社にあるわよ。あそこなら、今日中に帰れるじゃない。ついでに餃子でも食べて来なさいよ。色んな種類があって面白いのよ。お土産用もあるわ。
今日は寒いわね。鷲宮に駅から近い温泉があるから、寄って行ったら？」
「やっぱり神水の事なんですか！？」
彼女は爆笑していた。
「高尾もいいわね。家族で行ったら？色んな観光施設があるし、天狗と山伏の所で、とろろ蕎麦が名物なの。混んでる時は混んでるけど、そうでもない日もあるわよ。」

何故、爆笑されたのだろう。わからない。
神水の事とは違うのか。

でも私は宇都宮に向かっていた。

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電車に乗って、外の景色を眺めていた。昼には着いていた。
なんだ、この大きな餃子の像は。

駅をうろついてる時、メールが来た「どこに居るの？去年親もホームに入って実家もないでしょ。急に長野の仕事をする事になった。しばらく家を開けなきゃいけない。夕べは言い過ぎたよ、今日は帰り早いし、今日は寒いし帰って来てもいいよ」。

ころころ変わりやがって！でも帰ろうかな。。。

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言われた東鷲宮の百観音温泉は、その通り駅からすぐだった。

わあ、凄い量の自噴泉！わぁ、わぁ、お湯熱くて長湯したら、少し皮膚が赤く！酸性っぽいお湯だ。凄くいいお湯だ。
出た後、凄くお腹がすいた。こんなにお腹がすく事ってあんまりなかったかなぁ。何か美味しい物沢山食べたり飲んだりしたい。

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でも、家族は私を待っていると思い、早く帰ろうとする。
しかし、「夕食は一緒に済ませた」と、ケロリとした絵文字メールもあり、デパートの「はーべすと」で一人で食事した。工場の野菜だから、安全、味もよい。行列ができている。でも、本当に安全な食事を用意できるのは自分だけだから、外食は好きじゃない。

明日の食材をオーガニックショップで買い、帰宅すると、主人と息子は早々に寝ていた。
私も眠った。

二人は日も開けないうちから起き出した。
息子がはしゃいでいる。
「パパは、今日は夜勤だから、市場でせりを見て、買い物に行くって！」
「ごめんね・朝ご飯の準備は、ママはもうお買い物したの」
二人は少しがっかりしたようだけれど、怒ってはなく、三人で朝食をとった。ああ、幸せだ。

「昨日はどうしてたの？」と聞いたし、聞かれた。
宇都宮の神社詣り、と言うと夫が爆笑していた。
「何？お前旅行してたの？お土産はないの？」

そして・・・。

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>> 12 携帯電話をいじっている。
「貴方、食べながら行儀が悪い」
「道路情報見てたんだよ。道は混んでないって。江ノ島辺りまで軽く流すか～。お前、早く着替えろ。サザンのＣＤどこ行ったかな。シラス買おうぜ。」
「ちょっと貴方・・・」
「夕べはパパと餃子つくってね、パパは凄くお料理好きなんだって。美味しくて、二人でみんな食べちゃった。おばあちゃんとはガストでケーキ食べたんだ。」
「まぁ・・・」

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