色んな出会いありますね…2…
機種変したら、どういう訳か投稿できなくなってしまったので、今までの「色んな出会いありますね」の続きのスレを立て直します…またまた宜しくお願いします。
感想スレもありますので、宜しくお願いします。
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あるバレンタインデーに敦子に会い、チョコレートを貰い軽い食事をおごってもらった。ホワイトデーに会社で扱っているリュックをプレゼントしようと思っていた。
ホワイトデー前日、俺は社販でリュックを買おうと、昼休みに会社近くの銀行に向かおうとした。
すると…
【花山君、ちょっとこれ手伝ってくれない?】
そう言われると俺は…
「社販でリュックを買いたいので、これから銀行に行きたいのですが…」
と、やんわり断ろうとした…
が…
【すぐ終わるから。】
と言って大量のポーチが入った段ボール箱5ケースを俺の前に持ってきて、中身のポーチの〈made in Korea〉を綺麗に剥がすよう命じられた…
これはすぐ終わるどころか、残業する勢いになってきた…
銀行が閉店する時間になっても終わりそうになく、社長も出かけている様子なので俺は化粧箱にリュックを入れ、近くのコンビニに持っていき宅急便の手配をした。
しかし、それを社長に見られていたようだ…
午後7時過ぎに剥がし作業を終えた頃…
【花山君、ちょっといいかな?】
と、社長に声をかけられた。
また何か用事を頼まれるのか?
等と思いながら事務所に向かう。
【これなんだけど…】
目の前に出されたのは宅急便の控えのコピー。
続けて…
【これお金払った?】
払っていない…
「いや、でもそれは…」
言いたいことは沢山ある。しかしそれを許さない社長は、俺の言おうとする理由に被せるように矢継ぎ早にまくし立てる。
【お金を下ろせようがなかろうが、時間があろうとなかろうと、結果はひとつ、あなたは金も払わずに会社の商品を私的に送ろうとした。これどう思う?】
どうにもならない状況…
「でもそれは…」
【でももへったくれもない!事実はひとつしかないんだよ!花山君!】
クビか…
【とりあえず明日は来なくて良い。社内会議で決めて明後日の朝に連絡する。】
結果はどうなろうとこの会社を辞める決意をした。
バブル時代…
求人雑誌は分厚く、履歴書を送れば即採用されそうな勢い…
でも俺は、慎重に次の会社を選んだ。
4つの会社に絞り、業種も地域もこれまでと同じような所で、繊維問屋で人形町、堀留町、馬喰町界隈にした…最終的に馬喰町のタオル問屋か生地問屋に絞った。
先にタオル問屋から内定をもらい自分の意思を3月28日までに返事をしてほしいと言われた。しかし生地問屋からは3月30日じゃないと返事が出せないと言われ困った…
自分としてはどちらからも返事をもらってから返事をしたいと思い、その旨をタオル問屋の採用責任者の営業部長に伝えた。
【君自身の事だから、こちらは待ちますよ。】
と言っていただいた。
俺は生地問屋からも内定をいただいても、タオル問屋に入社することを決めた。
4月2日…
「おはようございます!花山と申します!今日からお世話になります!よろしくお願いいたします!」
新卒の新人より1日遅れでの入社挨拶。
無事にタオル問屋(スダタオル)に入社出来た。しかも年齢が22ということで大卒扱いの待遇での採用。鞄屋での退職の経緯等も全て話し、俺的にはマイナスイメージかと思っており、入社した事自体ラッキーだったが、まさかの待遇に、この会社を最後にしようと決めた…
3日間の社内での研修と商品センターでの研修を終え、営業職採用の俺は先輩社員(布和さん)と同行しながら営業の実践研修に出かけた。
配属部署の担当先は全て百貨店…いわゆるデパートである。
俺にはきらびやかなイメージしかないデパートだが、説明を聞き実際に中身を見ると理想と現実のギャップに驚いた…
でも、そのギャップの中に驚くような出会いがあった…
この出会いが俺の人生を大きく左右するなんて、この時は微塵にも思っていなかった…
同行初日は布和さんも俺と話したかったのか?または俺の緊張を和らげてくれるためにそうしてくれたのか?昼前から出かけた割には、何軒かある得意先のうち、1軒のみにとどまった…
昼飯をご馳走になり、お茶をしながら色んな質問に答え、色んな話をした…
布和さん自身、高校野球経験者で名門の習○野野球部出身者だ…とはいえ、布和さんの時代は不作の年だったらしく、地区予選も4回戦が最高だったらしい。
そんなこんなで初日が終わった。
普段は営業に出たら殆ど直帰だが、この日は俺と、俺より1日早く入社した同期の歓迎会を予定していただいており、会社近くの居酒屋に戻った…
とても感じの良い雰囲気…長く続けられそうに思えた。
翌日も布和さんと同行。
この日は布和さんのド定番コース。まずは千葉県船橋市にある百貨店。
建物の裏手の社員通用口から入店許可証を見せ、鞄から出したそこの百貨店のロゴが入ったバッジを付け入店する。俺は入店者名簿に名前を記入して取引先バッジを付け入店した。
この一連の流れは前職でも経験があるので滞りなくこなす。布和さんもちょっと頼もしく思えたらしく誉められた。何気ないことだけど嬉しく思った…
5階でエレベーターを降り、薄暗い通路を抜けると売場のバックヤードに出る。
自社商品の在庫が置かれているスチール棚に私物を置き売場に入る。
売場の責任者らしき男性と名刺交換、リーダー格の女性社員に名刺を渡す。そして自社で派遣している、いわゆるマネキンさんへ挨拶。少し売場をウロウロして同業他社の営業さんを見つけ挨拶。その後、売場で自社商品を紹介され、機能、用途、売価、ブランド等の説明をしていただいた。
一つ一つメモをする…覚えることが沢山有るが、やり甲斐のある仕事。
この場には2時間程いたろうか…中身の濃い話をいただいたのであっという間だった。
再び電車に乗り千葉へと向かった。
千葉に着く。
とりあえず昼飯…布和さん行き付けの蕎麦屋があるようで、そこでご馳走になる。
けやきという名前の店。体して高くはないがそこそこの量。
腹八分目、残りは喫茶店のアイスコーヒーで満たす。
一服の後、次の客先へと向かう。
どこの百貨店も同じような入店手続き…この百貨店、○越も同様。
社員用エレベーターで6階まで上がり、バックヤードへ…布和さんに対し挨拶をする女性社員いわゆるデパガ…
売場に出て一通り挨拶をする。そして一連の流れでこの売場の仕組みの説明を受ける。
一段落ついたところで、布和さんがキョロキョロし始め、誰かを探している。
「どうしました?誰か探してます?」
【うん、うちの発注担当さんなんだけど…】
「うちの?ですか?マネキンさんじゃなくて?」
【そう、ツッチー…土田さんて娘なんだけどさ…飯かな?いつも遅いし。】
「そうですか。じゃあ少し売場をウロウロしてきます。」
そう言ってバックヤードを出ようとした時、俺の後ろの社員用エレベーターが開いた…
【あ!ツッチー毎度!】
【あら布和さん来てたの?】
俺の背後でそんな会話が聞こえた。
振り向いて、ツッチーの顔を見た…その瞬間、物凄い衝撃が俺を貫いた!
なんとそこには数ヵ月前まで飽きるほどsexしまくっていたしのぶちゃんがいた!でもよく考えると、やりまくっていた時しのぶちゃんは高校1年生…この時点でここにいるはずがない…名前も違うし…
なんた事を考えながら、呆然と突っ立っていると…
【こら花山、ツッチーに見とれてないで挨拶しろ!】
「あ、はい!えっと、スダの花山です。」
【土田です。】
この時、何の根拠もないが、もしかしたらこの子と結婚するかも…と思った。
【まだ入社間もないから、ここ担当になるか分からないけど、たまに顔を出させるので宜しく。】
担当になるか分からないけど…という言葉に不思議と不安感はなかった。それよりこの子と結婚するかも…という予感の方が大きかった。
それから何度か布和さんと同行を繰返し、4月下旬に人事異と同じタイミングで正式な配属先と担当先が決まった。
俺のメインの担当先は、これまで布和さんと何度か行った船橋○武と千葉○越となった。思わず頭の中でガッツポーズ…
当時の会社の勤務態形は、平日1日と日曜日…土曜日はフレックスで会社に出社せずに最低5時間勤務…である。
○武と○越を比べると○越の方が数字も大きくメインであることから、○越のて定休日に合わせて火曜日を指定休にした。
一人で営業に出るようになり、○武の売場も○越の売場も大分慣れてきた。
売場もそうだが外商、県内各地にあるギフトショップの仕事にも余裕が出てきた。
お中元の特設コーナーも縮小になる7月下旬、○越の売場に出入りしている仲良くなった同業他社の営業さんが言い出しっぺで、売場の社員さん達とお中元お疲れ様会をすることになった…
勿論そこにはツッチーも参加する。
お疲れ様会とはいえ、特に形式ばったものではなく、仕事帰りにちょっと寄り道レベル。先に問屋数名が店に入り、ある程度の人数分の席を確保した。
店内の残務処理等を終え一人また一人店に入る…ラーメン屋さんだが餃子が美味いと評判の店。
全部で10名程集まり雪崩式に乾杯。
そこそこ飲み食いしてると、あちこち席を移動し始める…俺はそのタイミングでトイレに行く。
トイレから戻ると、俺の席の隣にツッチーが座っている。
若干のドキドキを抑えながら…
「ツッチーお疲れ様!」
【あ、お疲れ様でーす!】
というお決まりの挨拶から、普段の仕事の事や、趣味だのなんだのとこれまたお決まりの会話…
そこへ…
ツッチーと同期で一番の仲良しの秋山さん、通称「アッキー」が会話に入ってきた…
【何々なに~?仲良さそうじゃん!ツッチー彼氏に言っちゃうよ!】
な、何ぃ~~!?彼氏ぃ~~!?
一気にテンションが下がったが、そこは平静を装って…
「へぇ~…彼氏いるんだ~」
と、精一杯の普通の声。
【そーそー、地下の受け渡しのトミウラ運輸の佐竹さん、あれ?花山さん知らなかった?】
「いや、知らなかったっすよ~…」
ほぼ感情の入っていない声で、精一杯明るく言う…そして続けて…
「でも、ほぼ毎日会えるからいいじゃないっすか?」
等と言ってみた。
【このところ会ってないよ。それにもう別れているようなもんだし…】
【え?ツッチーそうなの?】
【そうだよ、向こうは向こうで路線便に異動になったみたいだし、たまに本館の受け渡しで見かけるけど、最近声もかけないしかけられないし。】
【あ、そうなんだ~…じゃあ、花山さん狙っちゃいなよ!】
アッキーにけしかけられる…
「いや~…ははは!」
愛想笑いでその場を切り抜けるが喜んでいいのやらなんなのやら、お茶を濁しつつやり過ごした…
とりあえず割勘だが、同じ額を客から取ることは出来ず、ちょうどいいバランスで全員が支払った。俺はそれを取り纏め支払いをしにレジへ向かった。
会計をしている最中、皆外に出て…
【次どこ行く?カラオケ行く?】
等と話しながら歩き始めていた。
会計を済ませた俺は皆を追いかける様に後を追った…
が…ツッチーがいない。
キョロキョロしながら何気に振り返ると、店から出てくるツッチーが見えた。
「土田さん、どうしました?」
【ちょっとトイレ行ってた。】
「あ、そうすか。ところで、皆次行くって言ってますがどうします?」
【うーん、私はいいや…お母さんが成東駅に迎えに来てくれるんだけど、また連絡してお迎えの時間変えてもらうの面倒だし…明日休みなんだけどね。】
「あ、そうすか…とりあえず俺は少し付き合ってきます。」
【いってらっしゃい!帰りは気をつけて~…】
一瞬、何となく寂しそうな表情したのを見逃さなかった。
「改札まで送りますよ。」
【いいって、いいって】
「いやいや、送らせてください。」
【ごめんね、何か気を使わせたね…】
「そんなこと無いっすよ、俺がそうしたかっただけですから、気を使わないで下さい。」
顔は似ているが、そんな言動はやはり社会人の土田さん。その日を境にしのぶちゃんと比べることは無くなった。
今回のお疲れ様会の言い出しっぺである、同業他社、ライバル会社の竹田さんに次の店を聞いて土田さんと歩き始めた。
「土田さんは成東まで行くって事ですが、家はどこなんすか?」
【九十九里だよ。駅まで遠くて車がないと生活できないよ…】
「九十九里すかぁ~…暫く行ってないな~…俺海大好きなんすよ、車出すから今度案内してもらいたいっすね。」
【何もないけど、いいよ~】
何気なく言ったお誘いの言葉に、社交辞令でも乗っかってくれた…このチャンスは逃せないと思い、更に被せた。
「じゃあ、土曜仕事でタイミング合えば仕事終わりにドライブします?」
【え?あ、いいですよ。】
一瞬戸惑ったように見えたが、良い返事をもらえた。
「おはようございます!お電話代わりましたスダの花山です!」
受話器の向こうで少し弾んだ声で土田さんが話し出す。
【あ、花山さんおはようございます!土田です。】
「おはようございます。どうしました?」
【え?あ、今日どうします?どこに行けばいいですか?】
お互い狐につままれた感じで、一瞬会話が止まった…
俺は昨夜の話の、九十九里を案内してもらいたいと言った事を思い出した…
ただ、土曜の仕事終わりに…とは言ったが、いつとは言っていなく、チャンスがあれば本気で誘うつもりだった…ただ、この日だけはどうしても無理だった…
「あ、ごめんなさい…今日は午後から草野球の審判の講習会があって…すみません、言いっ放しで…」
【あ!あぁ…いやいや、こっちこそ早とちりしました!ごめんなさい…】
このチャンスは逃せない…俺は咄嗟に…
「火曜日休みですよね?朝からどっか行きません?」
【あ、いや、7月は繁忙期で隔週休みだから出勤なんです…】
「いや、いいですよ!仕事終わりに迎えに来ますよ!」
【でも悪いし…】
「そんなこと無いっすよ!そうさせてください!」
【じゃあ、分かりました。】
「土田さんの時間に合わせて来ますから、時間教えてください。」
【ちょっと遅いですよ…遅番だし…】
「構いません。」
【何もなければ7時半には上がれます。】
「分かりました!じゃあ今度こそ!」
そう言って電話を切った。
横で見ていた秋山さんがニヤつきながらその場を離れようとしたので、俺は人差し指を口に当て、シーをすると秋山さんはちょこっと頷いてバックヤードへ消えた。
冷静になって考えた…
いわゆる得意先様、お客様だ…変なことも出来ないし粗相も出来ない…いいのか?誘っちゃって?
なんて事を考えながら、あっという間に火曜日を迎えた。
どうするか?いきなりだから変な雰囲気にもならんでしょうが、もし、万が一、そんな事になったのならば、大人のたしなみとしてはやっぱりゴムは必要…?いや、ここはあえて持たず、最初っからそんな事をするつもりなんて全く無い…という事をアピールするか?てか、そんな事はどうでも良い。持ってようが無かろうが分からないんだから、そうなったらその時の判断かそうならないように仕向ける…
そんな事を考えているうちに、○越近くの待ち合わせ場所に着いた。
30分前…
夕方に降った雨も上がり蒸し暑くなってきた…車のエアコンを付け、いつ土田さんが来ても涼しい状態にして準備した。
「途中で何か食べて行きましょう。お腹減ったでしょ?」
そう言いながら車を出した。
【あの、途中でご飯も良いんですけど、これ食べます?地下の豚カツ屋さんが、さっきキザエモンの前で売ってた。】
※キザエモン…○越の社員食堂の事。
それは大ぶりなメンチカツだった。
「あ、美味そう!いいんすか?」
【どうぞどうぞ!ソースかけますね。】
土田さんは添付の小袋ソースをかけ、白い紙小袋に入ったメンチカツを俺に手渡した。
「有り難う。美味そうだね!」
【ここの美味しいんですよね!】
そんな会話をしながら海に向かう。
俺のイメージでは、九十九里浜はかなり遠いイメージ…少し時間が気になった。
そんな心配をよそに、土田さんが口火を切った…
【花山さんは彼女さんとかいるんですか?】
「え?あ、今はいないよ。ちょっと間てまではそんなような人がいた…」
【へえ~…】
自分からそんな質問を振った割に薄い反応。
「じゃあ、土田さんは?」
という俺の質問に…
【う~ん…】
と言って黙ってしまった。
暫くの沈黙の後に、若干重たそうな口を開いた…
【アッキーから聞いたでしょ?受け渡しの人の事。】
「あ、うん…」
やや気まずい雰囲気。
【もう随分会ってないんだ…それに他の売場の同期の子からも変な噂聞いていて、今更それが本当でも嘘でもどっちでもいいけど…】
「噂?」
【うん、ドライバー仲間の女の子と付き合ってるらしい…まぁ、付き合ってなくてもいいんだけどね…大分冷めちゃったし。】
「そうか、まぁ、今日はもういいでしょ…せっかくのドライブだし。」
【あ、すみません…そうですね!】
それからごく普通のプライベートの話に集中した。
趣味から家族の事、付き合った人間の事、恋愛観、仕事の事、ちょっと下ネタ…かなり掘り下げて話した…こんなに自分の事を話したのはいつ以来か?てか、そんな話をした奴なんていたか?ってぐらい話した。
東金有料道路を経由して東金市内を抜け、九十九里浜まで1時間弱…予想より遥かに早い。
学校は夏休みだが平日だけあって、ここ九十九里片貝海岸は誰もいない…俺は海の家の駐車場に車を停め、近くの自販機でコーラを2本買ってきた。
「はい、どうぞ。」
【すみません、有り難うございます。】
「いえいえ、それにしても結構色々話したね。楽しかったよ!」
【そうですね!見た目と違う一面も見れましたし。】
「違う一面って…なんすか?」
【ははは!その内言います!】
土田さんがチラッと時計を見た…
【ここでいいです。】
人気が無く既に閉店している小さな雑貨店の駐車場に車を停めた。
「ここで大丈夫なんですか?家の前まで送りますよ。」
恐らくこの場所からすぐ近くなんだろうけど、あまりにも寂しい場所に、別れた後が心配になった。
【いや、本当にここでいいです。】
頑なに言う土田さんに、これ以上は言うなオーラを感じ…
「分かりました。じゃあ、ここで…」
【すみません、有り難うございます。】
そう言って土田さんは車を降りた。
「じゃあ、お休みなさい。」
運転席の窓を開け、土田さんに声をかけた車を出そうとした時…
【あの、また誘ったもらえますか?】
「あ、はい!喜んで!お盆休みにでも!」
【うん、待ってます!】
「それじゃまた明日!お休みなさい!」
【お休みなさい。】
そう言葉を交わし、俺は車を出した。
それから数日後…
いつものように○越の社員用のエレベーターを降り、バックヤードに入るとすぐ右に事務机が1つ…そこには土田さんが何か事務仕事をしている様子だった。
「毎度~…」
【あ、毎度~!】
いつものように明るい声がかえってきた。
「何してるんですか?」
【ちょうどイイところに来てくれました。】
周りを伺うように続けて言う。
【花山さんの会社は夏の連休って8月の13~17でしたよね?】
「はい、そうっすね…どうかしました?」
【この間、お盆休みあたりに出かけようって話してたじゃないですか?それなんですけど、私、13~17は全部仕事なんです…この期間、タオルで2人連休取っちゃうから、ちょっと取れそうになくて…休みも12と18なんですよ…ごめんなさい…】
「いやいや、イイっすよ!そんなん気にしないで…じゃあ、連休明けで最初の定休日はいつですか?そこにしましょうよ。俺も指定休だし。」
【えっと、26ですけど大丈夫ですか?】
「イイっすよ!大丈夫です!場所はどこがイイですか?」
【どこでもイイですよ!お任せします。】
「分かりました。考えておきますね!」
そう言って土田さんは売場へ行き、俺はバックヤードで仕事を始めた…
土田さんのしっかりした性格に少し怖さを感じた…恐らく結婚するって予感はそのまま変わらないが慎重に見極めないといかんという気持ちが大きくなった…
今思えば、何もお盆休み期間に会わなくても、その前でも1~2回は同じ日に休みってのが何回かあったはず…まぁ、この時点では特に付き合っている訳ではないから、無理に会う必要もないんでしょうが…
夏の名入れタオルやお盆前の出荷も終わり、俺はお盆休みに入った。
特に何もすることがないので、久々にしのぶちゃんとマミの顔を見に行った…
店に入ると2人はいた。部活も連休だそうでバイトに励んでいた。
注文を取りに来たマミが…
【あ、し~君久し振り!仕事どう?】
「まぁ、そこそこ…」
【あれぇ~?し~君雰囲気変わったね…何か少し大人っぽくなった。彼女でも出来た?最近遊びにも来ないし…】
女の勘は鋭いね…
以前、一般道で四国まで行った時の道を思い出し、明け方に家を出て日本橋から国道1号線で西に向かった。
戸塚から国道1号を離れ、海方面へ向かう。大船、鎌倉を抜けて海岸沿いの道へと入る。世間的にお盆休みなので午前7時過ぎ頃にも関わらず、既に渋滞が始まっている…
サーファー達を横目に江の島方面へ走る。
江の島を通過…過去の色んな事を思い出しながら通り過ぎ、小田原方面へ…
伊豆半島へ入る早川口に着く。
ゆっくり色々見たいので一般道を選択。
東伊豆の街並み観光スポット、絶景ポイントなんかを見て回り、当日のコースを考えた。ちょっと目立ったのは通り沿いにあるラブホテル…初めてのドライブなので、とりあえず値段は確認しつつも予定からは外した…
お盆休みが明け、いつもの日常に戻る…
俺はいつも通りの営業活動。
○越に行く…この日、土田さんは休み。知ってはいるが、何気にテンションが下がる。
土田さんのシフトを確認すると、今日(18日)は休み。明日出勤して明後日から盆休み5連休。連休明けの月曜に出勤して翌日は定休日…といった感じ。この定休日にお出掛け。明日から金曜まではすれ違いで、会おうと思えば土日のどちらかに会える…でもまだ付き合っているわけでもないし、まだ電話番号も知らないのでこちらから連絡は取れない…また土曜に売り場に電話が来るのを待つか?いやいや、電話ありきで仕事してもしょうがないし…とりあえず、次の月曜に話をしよう…
そんなことを考えながら売場のシフト表とにらめっこをしていた…
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