色んな出会いありますね…2…

レス236 HIT数 28159 あ+ あ-


2015/08/28 07:14(更新日時)

機種変したら、どういう訳か投稿できなくなってしまったので、今までの「色んな出会いありますね」の続きのスレを立て直します…またまた宜しくお願いします。

感想スレもありますので、宜しくお願いします。

No.1695005 (スレ作成日時)

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No.101


小さい頃、たまにラジオから流れてきた曲…懐かしいオールディーズナンバー…


バンドを正面に見れるカウンター席に座る…


とりあえずビール…


運ばれてきたビール…キンキンに冷え冷え…


「じゃあ、久しぶり!乾杯!」


【久しぶり!乾杯~!】


グラスをあわせ、一杯目のビールを飲み干した…

No.102


暫く飲んで、懐かしい話で盛り上がった…


アレから…の話や今現在の話…


敦子はアレから…


蒲田ちゃんとディズニーランドへ行ったらしい…

マネージャーは3年の夏まで続けていたらしい…

在学中は彼氏はいなく、卒業後に彼氏が出来たが、プー太郎君に嫌気が差し、1ヶ月もしないうちに別れたらしい…

俺からよりを戻そうと連絡が来た時は、迷ったらしいが、よりを戻すまという事に抵抗があって断った…との事。

じゃあなんで今回会いたいなんて言ったの?

…との俺の問いに…

無償に顔が見たくなっただけ…

との事…

嬉しいような、複雑な気分…


回りの客が立ち上がり、曲に合わせて踊り始めた…

敦子も立ち上がり踊っている…

敦子の腰つき、他の誰よりも色っぽく妖艶に見えた…


9時を回った頃…


「そろそろ出よう、俺明日も仕事なんだ…」


【え~~っ!もう帰るの~?やだ~~!】


「仕方ないでしょ…また来ようよ…」


【本当ぉ~?絶対に約束だよぉ~!】


「うん、約束するよ…」


そう言って会計を済ませ、店を出た…

No.103


【少し歩きたい…】


敦子が言う…


「そうだね、少し歩こう…」


下心が無いなんて言うと嘘になる…
若干の期待をもって、日比谷公園方面へ歩いた…


【あの時は迷惑かけちゃったね…改めてごめんなさい…】


「本当だよ、何で俺んちの電話番号しか言わなかったんだよ…」


【え?そうなの?酔っ払ってたから記憶にないよ…】


「マジかよ!ひたすら俺んちの電話番号しか言わなかったらしいよ…」


【ごめんごめん…】


日比谷公園の交番前で、そんな話をする…

No.104


その頃…

新宿で飲む予定だった奈穂子が、職場の仲間と銀座で飲んでいた…


【やっぱしたまの銀座はいいよねぇ~…】


【そうそう、なんか雰囲気違うよね…絡んでくるおっさんとかいないしさ…】


【つい遅くなるね…って今何時?】


【もう9時だ…】


【え?マジ?明日早番だし、帰るか…でも少し飲みすぎたかな?ちょっと散歩して帰ろ…】


奈穂子を含む3人は日比谷公園方面へと向かった…

No.105


俺と敦子…


【こうやって二人で歩くのって、久しぶりだね…】


「そだね…」


敦子の左腕が俺の右腕に絡む…


「歩きにくいな…」


【いいじゃん!久しぶりなんだから…ちょっとは甘えさせてよ…】


「甘えさせてよ…って、じゃあ何でまた付き合おうって言った時に断るんだよ…」


【だってさ…】


「だって何だよ…また忘れられたりするのが嫌なんでしょ?」


【まぁ、うん…】


「仕方ないよ…万が一あの時敦子が許してくれていたら、忘れるなんて事は無かったけどね…」


【100%じゃないでしょ?】


「そりゃまぁ、俺じゃなくてもね…」


【100%の人を探してます…】


「そっか…」


そんな話をしていると、前から誰か歩いてくる…3人…女性の声…


街灯も少なく、暗くて狭い遊歩道…


左端に寄る…


すれ違う直前、遊歩道に出ていた、木の根らしき物につまづき前のめりにに転倒しそうになった…


「うわっ!」


腕を組んでいた敦子も転倒しそうになった…


【きゃっ!】


元ヤンの敦子…


【おいコラ!ちっと待て!】


「いいから!」


【だってし~君!】


思わず声を荒らげる敦子…

No.106


奈穂子達…


『外は暑いけど、夜なのに、結構公園内は涼しいんだね…』


【うんうん、だからアチコチにカップルさんがいるんだね…】


『色んな事しちゃってるんじゃないの?』


【やっぱし帰りますか?】


『そ~だね…』


そう言うと、3人は公園内の中央付近まで行き、遊歩道方面へと引き返した…


【うわっ…真っ暗じゃん…】


『もう、今更引き返すの面倒だから、このまま行こう…』


【前から人が来るよ…2人か…?カップルっぽいよ…】


『ほらほら、あんた達端に寄って道開けて…』


すれ違い様…何かにつまづく音…


「うわっ!」


『ヤバッ!行こう!』


早歩きでその場を立ち去ろうとする…


後ろで怒鳴り声…その中に“し~君”という単語が聞こえた…


『ちょっと待って!今“し~君”て聞こえなかった?』


【どうだろう?よく聞こえなかったけど…】


『いや、確かに“し~君”て聞こえた…』


奈穂子は来た道を戻った…


【奈穂子ぉ~…】


『ごめん、先帰ってて…明日はちゃんと行くから…』


【分かった…気を付けてよ…】


そう言うと、3人は奈穂子と他の2人に別れた…

No.107


暗くて見えないとはいえ、人とのすれ違い様にコケた…というのが恥ずかしく、足早にその場を去った…


【し~君大丈夫?】


「あ、うん…ど~もないよ…ちょっと恥ずかしかったね…」


そう言いながら、公園を出た…

No.108


擦れ違ったカップルを追う奈穂子…


『し~君てアダ名、結構いるよね…まさか、し~君が浮気なんてね…』


そう呟きながら、来た道を戻る…


公園を出た…


通りに出て左右を見ると、左100m程先にカップルを見つけた…


奈穂子は気付かれないように後を追う…


信号待ちをしているカップルの背後に迫る奈穂子…


カップルの男は奈穂子に気付かない…奈穂子もまだ顔を確認していない…


男の背後3mの位置で、男を見つめる奈穂子…その時、隣の女性と仲良さそうに腕を組み話をする男の顔が、車のライトに照らされてハッキリと見えた…


『し~君…』


ナニかをしているところを見た訳ではない、聞いた訳でもない…でも奈穂子の目には、目の前の二人は完全に恋人同士に見えた…つまり奈穂子にしてみれば浮気である…


奈穂子はその場を黙って立ち去った…

No.109


何も知らない俺…


「今日は楽しかったね~!」


【うん、楽しかった!また飲みたいね!】


「そだね…そんなに頻繁には無理だけどさ…」


【だね…】


歩きながら駅に向かう途中の会話…この時、明日起きる出来事など知る由もない…





【またね~!】


「うん、また…」


電車を降り、駅のホームを歩く敦子の姿を見えなくなるまで見つめていた…

No.110


夜11時過ぎ…


帰宅した俺に姉が声をかける…


【ついさっき、奈穂子ちゃんから電話あったよ…帰ったら何時でもいいから電話ちょうだい…だってさ。】


「奈穂子から?なんだろう…こんな時間に…」


若干の胸騒ぎを抑えながら、奈穂子に電話する…


すぐに奈穂子が出た…


『あ、し~君?』


「おう、どうした?」


『うん…明日って仕事だっけ?』


「うん、新宿で即売会…最終日。」


『そっか…夜会える?』


「いいけど、最終日で撤去もあって、会社に戻るから、何時になるか分からない…」


『いいよ…構わない。』


「じゃあ、確実なとこで、夜11時に地元の駅で…」


『分かった。来なくても待ってる…』


「来なくても…って…行くよ。大丈夫だよ…」


そう言って電話を切った…


何か様子がおかしいな…少しずつ大きくなる胸騒ぎ…

No.111


即売会最終日…

休日だけあって、この日も忙しかった…

昼休憩なんて、最初から取れるなんて思ってもいなかった…

逆にこの時期の即売会で、ゆっくり飯食えてると不安になる…


最後の客の買い上げ品を化粧箱に入れ終えると、間も無く撤去作業が始まる…


皆休日出勤しているので、早く帰りたくて殺気だっている…とはいえ夜7時過ぎ…


商品撤去が完了したのは夜8時過ぎ…
会社に戻り片付けと伝票整理、客注リストと別誂え表と家紋の注文表をまとめ、会社を出たのは10時ちょうど…


奈穂子との約束は、地元の駅に11時…
予定通りに着きそうだ…


アホな俺は、この時間からのHはキツいな…とか思ってる…
若いせいか、体力もありアホな事を考えるだけの体力的余裕もあった…


駅に到着…


改札を出た正面に、ファーストフード店がある…

コーヒーを飲む奈穂子を見つけ、店内に入る…


『行こう…』


「え?行くの?何か飲みたいよ…」


『いいから…』


何か様子がおかしいと思いながら、奈穂子と一緒に店を出た…

No.112

Hっぽい雰囲気はなし…


?マークが頭を掻き回す…一体どうしたというんだ?


手も繋がず無言で歩く…


暫く歩くと、公園がある…街灯が一つしかなく、辛うじて互いの顔が確認できるくらい…


木製のベンチに座る…


『フ~…』


奈穂子が溜め息をついたタイミングで俺が話しかける…


「一体どうしたの?」


俺の問いに暫く無言だったが、ゆっくりと話始めた…


『…っちゃったね…』


小さい声…聞き取れず、聞き返す…


『やっちゃったね…』


「え…?何を?俺が?何かした?」


『フ~…そりゃそうなるね…』


訳が分からない…
奈穂子の態度と言ってる意味が分からない…


俺は苛々し始めた…


「何なの?奈穂ちゃん?一体何が言いたいの?はっきり言ってくれよ…」


『うん、じゃあ言うね…』


「言ってくれ…」


『あのさ、し~君浮気したでしょ?』


「え?浮気?してないよ…」


まさか昨日の事、誰かに聞いた?いや、誰かに見られた?いきなり頭の中はパニック状態になった…


奈穂子から見たら、俺は明らかに狼狽えていた…


『し~君分かりやすいね…』

No.113


「わ、分かりやすいって何が…?」


頭の中は大慌て…


『今、し~君の頭の中の状態が…手に取るように分かるよ…』


きっと奈穂子は、昨日の事を見たか確実な事を聞いたかして知ってるんだな…そう思った…


そう思ったら少し落ち着いた…


暫く黙って煙草を吸う俺…


それを見た奈穂子は…


『諦めが早いんだね…』


「うん、もう逃げも隠れもしない…いつ知ったの?」


『日比谷公園で擦れ違ったでしょ?し~君転びそうになって…』


「転びそうになって…?あ!あの時の?」


『そう、でも最初は気付かなかったけど、一緒にいた女の子が“し~君”て言って…まさかと思って、後を追ったの…で、信号で追い付いて…』


「顔見ちゃった…?」


『うん…人違いであって欲しかったけどさ…』


「元カノだよ…それに、奈穂ちゃんと付き合う前にヨリを戻したいって言ったけど断られた…今回はどういう訳か、誘われて…懐かしさもあって、つい…でも何もしてないよ…」


『ふぅ~ん…でも私には、普通に仲の良いカップルに見えた…私からすると完全に浮気だよ…許せないよ!』


冷静に話しても涙が溢れ、声が荒くなる…


「ごめん…」


『浮気しない人を探します…もう年が年だしね…』


「ごめん…」


『謝らないでよ!情けなくなるでしょ…』


「…………」


『ま、いっか…最後に目閉じて…』


平手打ちかと思いきや、キスか…と思い、目を閉じてその場に立つ…


次の瞬間、首筋に激痛が走る…!
奈穂子が俺の首筋に吸い付いている…!

No.114


「いててててて~~!!!」


物凄い勢いで俺の首筋を吸う奈穂子…俺はたまらず奈穂子の頭を鷲掴みして、首筋から引き離した…


「痛ぇ~な!何するんだよ!」


思わず叫ぶ!


『これで暫く遊べないわね!』


「バカじゃねぇの!?遊ぶも何も相手がいねぇよ!」


『知るか!サヨナラ!』


「怖ぇよ!お前!じゃあな!」


後味は悪かったが、いい思い出は沢山あった…


次の出会いはいつだろう…

No.115


夏も終り秋になり、やがて冬が来る…俺は相変わらず忙しくしている…


敦子とは、あれ以来何度か食事に行ってはいるが、特に何もない…


千秋や鶴川、藤枝とも普通に仲良く仕事をしている…


年が明け、俺はこの社会人専門学校を卒業しようと決めた…


ここでは色々学ばせてもらった…良い上司、先輩、同僚、後輩、得意先に恵まれた。
色々あったので居づらいということもあった…


ここにいる間、社会も激変した…


消費税導入、天皇陛下崩御、湾岸戦争、バブル経済…色々…


1月半ば、退職願を提出した…


かなり引き止めていただいたが、俺の気持ちは固く、受理された。


3月退職…


ちなみに、同じ日に退職する2コ上の女性の事務員さんは、京都の組紐屋さんと結婚し寿退社…


送別会の一週間前に、30軒程の呉服店のリストを渡され、アポなし新規開拓ツアーを命ぜられた…


結果、半分は門前払い、4分の1は買ってくれたが、口座は開けず現金払い…7軒の新規を獲得してツアー終了…


送別会当日の夜まで働いた…俺が送別会に参加したのは、二次会の途中から…


殆どいないんだろうな…と思い、スナックのドアを開けると、全員が待っていてくれた…
これには泣けた…
朝まで飲んで吐いて大騒ぎした…


良い出会いでした…

No.116


次へのステップへ行く前に、一人旅を計画していた…


3年間勤めたので、退職金が出た…手取りで17万程…それを使い、車で一人旅…


計画は、一般道や国道で、東京~大阪~徳島~高知~愛媛~神戸~京都…を巡る旅…京都以降は気が向くまま…


4月1日の0時スタート…

No.117

「行ってきます…」


玄関で母親に言い、家を出る…


ナビの無い時代…ロードマップと勘で西を目指す…


千葉街道で都内へ…3年間の思い出の詰まった日本橋を目指す…


道路元標には、午前1時前に着いた…


国道1号線に入る…いよいよだ…


川崎~横浜を通過し、箱根の芦ノ湖に着いたのは午前3時…眠気はなかったので、自販機で缶コーヒーを買い、先を急いだ…


静岡駅前を通過したのは、午前6時ジャスト…夜通し空いている道を走ったので、恐ろしく早い…9時には愛知県に入る…


今思うと、その土地土地の朝食グルメを堪能すれば良かったかも…
コンビニのパンやおにぎりは避けておけば良かったな…勿体無い事をした…
昼もそうだ…特に関西圏に入っていたのに、街道沿いのラーメン屋さん…関西圏でラーメンか中華なら、少なくとも餃子の王将でしょう…


淡路島に渡る甲子園フェリー…タッチの差で乗れず、2時間あまりの足止め…そうなると、余計に寄り道して色々楽しめば良かった…後悔。


午後5時過ぎ、フェリーで淡路島に渡る…
島内のビジネスホテルを探しながら、少し観光する…


宿を見つけ、チェックインしたのは午後7時…


夕飯は、海の幸の定食とビール2本…


やっとご当地グルメっぽい食事…

No.118


高知県内に、幼稚園の頃から年賀状や暑中見舞いをやり取りしている先生がいる…
今回の一人旅では、4/2に先生に会いに行くことを事前に手紙で伝えてある…
ちなみに、4/5は京都の友人に会いに行く予定…


朝早めに起き、チェックアウト…一路高知を目指す…


ここまで名物らしい名物を見たり触れたりしていなかった…


衝撃的だったのは、鳴門の橋から見下ろす渦潮…思わず車を停め外に出て、渦潮を見た…物凄かった…


…が、予想通りパトカーに発見され、スピーカーで怒られた事は、鮮明に覚えてる…


徳島に上陸…俺はここで神に出会う…

No.119


徳島県内の国道を走ると、池田町という文字…

池田町…

当時の高校野球時なら誰もが知る、泣く子も黙るやまびこ打線の池田高校…


その分岐点から池田高校まで約14km…目的地からするとそこは、寄り道に見えるかもしれないが、俺にしてみればその約28kmは、神に出会う為の参道に思えた…
その神に出会えなくても…


俺はその道を丁寧に進んだ…


やがてその神がいる聖地が見えてきた…


普通のグラウンド…一軍は別か?そんなことを思いながら、グラウンドのネット脇にある草っ原のちょっとしたスペースに車を停めた…


ユニフォーム姿の野球部員が数名グラウンド整備をしている…俺は車を降り、ネット越しにその姿を見ていた…


すると、ネット伝いに麦わら帽子を被り、鎌で伸びた草を刈りながら、こちらに歩いてくる老人がいる…


深めに被った麦わら帽子…帽子の横から見える白髪…四角い輪郭…日焼けした肌…背格好、その立ち振舞い…オーラ…


体の芯から込み上げるものがあった…そして涙が自然と出た…


その老人が俺の目の前に来て立ち止まる…


改めて見た…

No.120


まるで後光が射しているよう…


神が口を開く…


【そこは球が飛んで来よるから、も少し奥に停めたらええ…】


「は、は、はい!」


何故か車を移動せず、その場を去ってしまった…


たった一言の会話…神に触れた気がした…そして勿体無くも、その場を去ってしまった…


何故…


等と思い返しもしなかった…その場の同じ空気を吸えただけで満足だった…


感無量…とはこの事か…そう思いながら、元来た道を戻り、再び高知へ向けて走った…

No.121


神との出会いの余韻を残しつつ、先を急いだ…


四国は海のイメージだったが、徳島から高知へ抜ける国道は、殆どが山の中だった…
綺麗な川、豊かな緑、アルプスにでも来ているかの様な清々しさ…


海、川、うどん、タオル…という俺の四国のイメージに、山が加わった…


やがて高知市内にに入る…


高知といえば、はりまや橋…これは見ておこう!と意気込んだが、知らない内に通過していた様だった…


後で調べたが、はりまや橋は、日本三大がっかりの1つに数えられていた様だった…
ちなみに残りの2つは…札幌市時計台と沖縄首礼門又は、清水の羽衣の松のどちらか…だそうだ…


目指す宿毛はもうすぐ…

No.122


地図を見て、あと1時間くらいで到着というところで先生に電話を入れる…


先生の名は、柴田先生。


待ち合わせは、港にある公園の駐車場…


よく考えると、暑中見舞いや年賀状のやり取りはしてるが、顔は幼稚園の頃から見ていない…
しかも幼稚園児だった俺の記憶は曖昧…というか、殆ど覚えてなく当時の写真のみ…
先生の記憶に頼るしかない…


幼稚園当時、俺は4歳…先生は21歳との事…17年振りの再会…


俺は21歳…先生は38歳…あり?なし?先生は確か独身…


等とアホな事を考えながら、待ち合わせ場所を目指す…


陽も大分傾いた午後6時過ぎ…少し遅れ気味で港に着く…公園の駐車場に入る…駐車場の片隅に1台の軽自動車が停まっている…


「あれ…かな?」


そう言いながら近付く…


軽自動車には誰もいない…違うか?


俺は軽自動車に横、2台分のスペースを空け、車を停め、先生を待った…

No.123


1~2分して…


コンコン…と誰かが車の窓をノックする…
窓を開けると、天海祐希似の女性がそこにいた…


【花…山…君?】


ゆっくりと尋ねられる…


「はい…柴田先生ですか?」


【そうそう!し~君、変わらんねぇ~!】


懐かしさと嬉しさのあまり、車から出て握手した…


No.124


【し~君、変わらんね~!桃組の頃のままやわ~!】


「先生こそ、写真のままですよ~!」


【もう、おばちゃんだよ~!】


「そ~んな事ないっすよ~!」


少しの間懐かしさに浸り、話をした…


【さて、そろそろウチに行こうか…疲れとるやろうから、風呂の準備もしちょるよ…】


「はい!有難う御座います!甘えさせていただきます!」


【お!いい子じゃねぇ…】


先生の軽自動車に先導され、公園を後にした…


足摺岬方面へ海沿いを10分程走ると、赤い瓦で一階建ての一軒家がある…6m程の道幅の私道を挟んで、すぐそこは海…波が打ち寄せている…


そこが先生の家だ…


未婚…離婚歴はあるかないかは分からない…とにかくその時点では、独身だ…
子供もいない…
いかにも漁師をしています!と日に焼けた顔が物凄くカッコよく、とても60を過ぎた体とは思えない、筋肉質なお父さんと二人暮らし…

No.125


家に上がり、お父さんに挨拶…


【おう!よう来たのぅ!千葉からじゃと?まぁ、まず一っ風呂浴びて、飯でも食おかぁ!】


「はい、お邪魔します!有り難く頂戴いたします!」


そう言うと、奥の部屋で風呂に入る準備をした…


四畳半程の広さに裸電球1つの照明、薄暗いけど物凄く落ち着く雰囲気の浴室、木製の浴槽とスノコ…タイル張りの壁…旅の疲れが抜けていくのが分かる…


風呂から上がり茶の間へ行くと、丸いお膳の真ん中に、大皿で鰹のタタキがある…それを囲むように海の幸が満載…


【おぅ!上がったか!まぁ、そこに座りぃ!】


「失礼します…」


お父さんの反対側に正座をする…


【こらこら、そんな座り方すんじゃねぇよ!足崩せ!】


「は、はい!」


そう言って俺は胡座をかいた…

No.126


乾杯のビールを煽った後、目の前に置かれた日本酒一升…先生とお父さんと俺とで酒を酌み交わす…


美味い鰹と海の幸…美味い酒と昔話…ついつい酒も進む…


3人で一升はあっという間…二升目も半分を過ぎた頃、旅の疲れと最高の風呂と美味い酒が効いて俺はその場で眠ってしまった…


ガタンガタンガタン…!すぐそばの窓の外の雨戸が音を立てている…俺はその音で目を覚ました…


雨は降っていないが、台風が近付いているようだ…


【し~君、おはよう!】


先生が朝御飯の準備をしながら、俺に声をかける…


「あ、おはようございます。すみません、なんか俺、寝ちゃったみたいで…」


【気にしない気にしない!朝御飯出来てるからどうぞ~。】


「あ、いただきます…」


そう言って俺は味噌汁をすすった…俺にしてはかなりの量の日本酒を飲んだはずなのに、二日酔いが全くない…やはり楽しい酒だと二日酔いはしないのか…そんな事を考えながら、朝御飯を食べた…

No.127


【し~君は次どこ行くん?】


朝御飯を食べ終え、荷物をまとめる俺に先生が声をかける…


「次は…明後日までに京都の友達の家に行きます…とりあえず、海沿いを北上して、あちこち見ながら宇和島辺りで泊まります…」


【そ~かぁ~…じゃあそんなに急がないんだね…せっかくやから、一緒に足摺岬行こか?台風来とるけど…】


「いいんですか?」


【ええよ、今日は市場も暇やしな…】


「先生、市場に勤めてるんですか?」


【そうや、あ、言っとらんかったねぇ…父親の手伝いみたいな仕事や…】


「幼稚園の先生は?」


【し~君達が卒園してすぐこっち来て、ちょっとやっとったけど、何となく合わない気がして、辞めたんよ…】


「合わなかったんですか?俺にとっては、最高の先生でしたよ!」


【ありがと…そんなん言ってもろて嬉しいわ~…でもまぁ、色々とあるんよ…】


…色々と…のとこで表情が曇った…まぁ、大人だし色々ありそうだけど、深くは聞かないことにした…


10時過ぎ、先生の軽自動車に乗り、足摺岬を目指す…

No.128


足摺岬付近は案の定大荒れ…それでも一通り案内してくれた…


誰もいないレストランで食ったカレーは美味しかった…


海中水族館では、海が荒れていたため、小魚が数尾波に揉まれていた…


午後2時頃先生の家に戻った…


お父さんは留守…


お茶を飲んでいよいよ出発…


「本当にお世話になりました…」


【気を付けて行きや…】


「手紙書きます…」


【うん、待っとる…】


会話を終えると、俺はゆっくり車を走らせた…


俺は小さくなっていく先生の姿をずっとミラーで見た…
先生はずっと手を振っていてくれた…

No.129


台風の規模は、思ったほど大きくなく、足摺岬での状況がピークだったようだ…

宇和島方面に続く空は晴れていた…


途中のドライブインで、バケツに水を入れ、簡単な洗車をした。

No.130


左に見える海は綺麗で、ただ通り過ぎるのが勿体なくて、ドライブインや商店に停まりながら国道を北上した…




どれだけ走ったか…松山市に入った…喉が渇き、立ち寄ったボーリング場…
駐車場に車を停め、自販機でコーラを買う…


この日は松山に泊まることにした…


宿を探した…出来ればビジネスホテルがいいんだけど、飛び込みでは中々見つからない…
電話帳で調べ、電話をかけるが見つからない…
仕方がないのでラブホテルに泊まることにした…

ラブホ(当時の…)は不経済…食事のサービスもないのに、宿泊料金はビジネスホテルとほぼ同じ…でも車中泊はキツいので、ラブホに入ることにした…


畑の真ん中に、その場の風景にはとても不釣り合いなラブホのネオンがひとつ…そこに泊まることにした…


フロントに入ると、一人での利用はダメ…との事…ショックを受け、コーラを買ったボーリング場に戻った…


ボーリング場の前にはバス停があった…屋根が付いていてしっかりとした作りのバス停…


そのバス停に、大きなボストンバッグを持った女性がいた…


俺はダメ元で、声をかけに行った…

No.131


年齢は少し上か…奈穂子と同じくらい…小柄で、若い頃の小泉今日子に似てるという印象…


「こんにちは。」


横から除き込むように声をかける…


【…………。】


こちらを見るが、勿論警戒…


「旅行ですか?」


【…………。】


まず何か会話が始まらなければ…


時刻表を見た…
1日に10本も走ってないローカルバス…しかもこの時点で終バスもない夜の7時半…


「バス、無いですよ…」


【…………。】


突破口が見つからない…次でダメなら諦めよう…


「どこから来たんですか?俺は千葉から車で旅をしてます…」


【岡山…】


反応した…


「岡山?岡山ってここから随分ありますよ…どうやって行くの?」


【バス…】


ムチャクチャだ…

No.132


「良かったら車乗る?」


【………乗ってどうするん?】


「う~ん、言いにくいんだけど、ビジネスホテルも取れなくて、泊まるとこがなくて…ラブホ入ったら、一人ではダメ…って言われて…野宿も嫌だし、一緒に泊まってくれる人探してた…」


【ほんなとこ行ったら変なことしよるじゃろぅ…】


「保証はないけど、しないつもりです…」


【男は皆、そがあなこと言いよるけえ…結局せん奴はおらんけえ…じゃけど、金もないし、一人も危険じゃし…】


「で、乗るの?」


【お願いします…】


無口の女性は何がツボだったのだろう?千葉から…って話から話し始めたけど…


とりあえず、食事をしてホテルに向かうことにした…

No.133


ラブホの入室を断られて、再びボーリング場に戻る途中には、食堂らしいところが見当たらなかった…
食堂を探すことにあまり時間を使いたくはなかった…


ボーリング場を覗くと、軽食コーナーがあり、ハンバーガーやホットドッグが食べれそうだ…
俺は彼女を呼び、中に入った…


注文をし、二人分のハンバーガーとホットドッグとジュースを持って席に着く…


「名前は?」


【やめません?名前とか歳とか聞くの…たまたま出会って、明日にはお別れするんだし…何も知らない方がいい…】


「まぁ、それもそうだね…」


そう言って、普通の世間話や今回のお互いの旅の話をした…


彼女は四国一周のバス旅行をしていたそうで、本当は松山市内に泊まる筈だったが、予約されてない上に満室で途方に暮れていたところに俺が声をかけたらしい…

No.134


食事を済ませ、車に乗る…


田んぼや畑の真ん中の道を戻る…少し行くと、遠くに赤や青のネオンが見えた…


“空室”のランプを確認して、ビラビラのシートがついた独特のゲートをくぐる…


フロントに入ると、またアンタ?ダメなものはダメ…と言いたげな顔をしたオバチャンが小窓から顔を出す…が、オバチャンは俺の横にいる女性を見て、声を失った…
と、同時に俺を見て…

“やるねぇ~…”

と言いたげな表情に変わる…

それを見た俺も…

“どうだ!”

とばかりに、ニヤリ…


鍵を受け取り、指定した部屋に向かう…


部屋に入ると、ダブルベッドにテレビ…テーブルとソファーの応接セット…冷蔵庫とコーヒーカップが2コしか入っていない食器棚…といった感じの普通のラブホ…


俺は旅の疲れをとりたくて、荷物をソファーに置いてすぐ風呂の準備をした…

冷蔵庫を見ると、一応ビールやジュース、つまみ等が入っていた…ビール一律500円、ジュース一律200円…つまみはジャーキー500円…どうなの?この価格設定…ホテル代は俺が出す…宿泊7000円。
冷蔵庫の物は彼女が…


風呂にお湯がたまり、俺は脱衣所で服を脱いだ…


【私も入っていい?】


まさかの混浴…?


全く期待していなかっただけに、一瞬戸惑った…

No.135


…が、特に断る理由もなく…普通に返事…


「あ、いいっすよ…」


と、言いながら風呂場に入り体をお湯で流す…


磨りガラス越しに見える彼女…ゆっくりと脱いでいる…
何となくドキドキ…
やがてドアが開き、彼女が入ってくる…


【せっかくラブホやし…楽しまんと勿体無いやんね…】


なんだ、結局警戒しながらヤル気満々じゃん…


セックスまでのプロセスを楽しみたかったのに、あっさり出来そうで少しガッカリした…
とりあえず、彼女の裸体を鑑賞した…


背はやや低め…髪はセミロング…痩せても太ってもないが、バストは大きい…Dカップ?Eカップ?という具合…陰毛は、薄めで面積は狭い方か…?声は少し低め…そんな感じの彼女…


【あんまりジックリ見んといてよ…】


方言を使う女性…グッときた…
同時に俺のも反応…久しぶりに楽しめそうだ…

No.136

夜は長い…


素性も名前も知らない人間同士だ…明日にはお別れ…今まで誰にも見せることのなかった自分を見せる…お互いにそんな空気感になっていた…


互いの体を洗い合う…


まずは彼女の体を洗う…椅子に座らせ、後ろから…石鹸の泡を大量に泡立たせながら、素手で彼女の腹から乳房へと、持ち上げるように洗う…


時折、人差し指と中指で挟むように、既に固くなった乳首を責める…


【あ…あぁ…っ…あん…】


甘い声が漏れる…


同時に彼女の手は、俺の股間を探る…探り当て、掴み、ゆっくりとシゴく…


生暖かい手の感触と、石鹸のヌルヌルで気持ちいい…思わず固くなる…


頃合いを見計らって、彼女が向き合うように座り直す…


互いの顔を見て、どちらともなくキスをする…それは飢えた動物のように、唇が取れてしまう程激しいキス…


唾液が口の回りを覆う…滴り落ち、抱き合いながらキスをする二人の併せ合う胸で互いの唾液が混じり合う…そんなこと気にも止めず、互いの唇を貪り、舌を絡め続ける…

No.137


俺のモノは彼女の泡手でシゴかれて、カチカチに硬くなって脈を打っている…


入れたい…


言おうとしたが…


【コレ、入れて欲しい…】


先に言われた…


「まだだ…まずは舐めてもらおうか…」


【えぇ…?我慢できんよ…】


「ダメ…舐めて…夜は長いんだ、ゆっくりヤろうよ…」


そう言うと、俺は彼女の下半身に手を伸ばした…


【あぁぁ、舐めたいよ…それもまだなのぉぉっ…?】


俺は黙って彼女の下半身を責めた…


人差し指と薬指で、彼女の陰唇を広げる…既に濡れているそ陰口は俺の中指を生き物のように飲み込んだ…


【あっ…あふぅぅぅ…………】


俺は彼女の顔を黙って見つめ、反応を楽しんだ…


クチュクチュ…とイヤらしい音をたてる…


中指に続き薬指を挿入する…


【はぁぁぁぁ~ん……】


彼女と目が合う…


【は、恥ずかしい…あまり見んといてぇ…】


その感じている顔がたまらない…更に見続ける…同時に挿入した二本の指の動きを激しくした…


【あっ!あっ!あっ!あっ…!ダメ!もう!もう!イクッ!イキそうっ!】

No.138

クチュ!クチュ!クチュ!ブチュ!ブチュ!ブチュ!ブチュ!…


彼女の陰部はいやらしい音をたてる…


【あっ!あっ!あっ!イヤッ!イクッ!イクッ!まだイカさんといてっ!あっ!イクッ!イッちゃう!】


「イケっ!夜は長い!何回でもイケ!」


そう言うと俺は更に激しく手を動かした…


彼女は俺のモノから手を放し、風呂椅子に座りながらの後ずさり…やがて風呂の壁に背中をつけ、足を全開に開脚…もう成すがまま…


俺は彼女の胸を揉みながら、挿入した指の動きの速度を更に増した…


【………っ!イッ………………クッ!!!】


彼女は固く目を閉じ足をピンと突っ張り、声にならない断末魔をあげる…!


やがて彼女は、いやらしい液体を撒き散らせながら絶頂した…


「今度は俺だ!」


ぐったりしている彼女を立たせ、浴槽の縁に手をつかせた…俺は仁王立ちで後から彼女の秘部に自分の物を挿入した…


【あぁぁっ!堪忍してぇ!】


俺は無言で突く!


【あぁ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!イヤッ!もう!また…イクッ!】


「いいぞ!何回でもイケ!」


そう言いながら、更に激しく突く!


【あぁぁ!イクイクイクイクイクイク~~~~ッ!!!】


叫びながら彼女は床に片膝をつき果てた…


が…


俺はまだイッておらず、更に激しく動く…彼女もまたそれに反応する…


【あっ!あっ!あっ!もうダメ!死んじゃう!あっ!あっ!早く!早くイッてぇぇ~!!】


俺にガンガンに突かれながら叫ぶ彼女…

No.139


パンパンパンパン!……と、浴室に響く音…そして彼女の絶叫…


2度ほど繰り返した、絶叫とグッタリ…俺もそろそろか…


突き方を変える…下から突き上げるように突くと、また反応も変わり、俺の感じ方も変わる…


【あっ!あっ!アカン!アカンよ!またイクよ!凄い!スゴっ…!あっ!あっ!】


俺も間も無く頂点を迎えるので、腰の動きを加速した…彼女の絶叫にも拍車がかかる…


【あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!イクッ!イクよぉぉぉ~~!アカン!アカン!あっ!あっ!も、もう…!あっ!壊れるぅぅ~~!あっ!あっ!イッちゃう!イッちゃう!イッちゃう!あっ!あっ!………っ!】


最早何を言ってるのか分からないまま絶頂を迎えた…!


「イクぞ!」


【イ…………………っっっクぅ!!!!!】


俺は大量の精液を、彼女の背中に放出した…


腰からウナジにかけて流れる俺の液体…


彼女は頭を垂れ、両膝を床につき、両手は浴槽の縁に弱々しく乗せている…疲れきっている様子だ…


俺はシャワーをぬるま湯にして、彼女の全身を洗い流した…自分自身も同様にし、ゆっくりと二人で湯に浸かった…


【凄いね…コレ。】


彼女はそう言いながら、俺のモノを優しく掴んだ…


「足りない?」


【満足…でも今日はもっとして欲しい…】


「じゃあ、後でまたベッド行ってからね…」


【うん…】


夜は長い…


でも少しは眠ろう…

No.140

朝7時…
最後に時計を見たのは、5時前か…


枕元の時計のアラーム音で目覚めた…


濡れて冷えたシーツが、目覚めを余計に促進させる…


一晩中獣になり、互いの体の隅々まで舐め合い、何度も何度も何度も何度も絶頂に達し、互いの体液にまみれ、感じ、飲み…互いの体を噛み、掴み、揉み、引っ掻き、叩き…そして絶頂に涙を流した…


そんなことを思い返したら、モノが復活をした…流石に若い…


隣で寝ている彼女の秘部に手を伸ばす…


中指を挿入すると、中は彼女の体液で溢れていた…


クチュ…


挿入した指をゆっくりと動かす…


【あ……ん】


眠っていても敏感に反応した…


そして俺は朝のセックスを楽しんだ…彼女もまたそう…。

No.141


寝起きにも関わらず2Rをこなし、シャワーを浴び、ゆっくりとチェックアウトの支度をする…


部屋を出る前に、ベッドを見返す…お互いに顔を見合わせる…そしてちょっと笑って一緒に部屋を出た…


フロントの前で、昨日のオバサンと出くわす…


本来ラブホは、あまり従業員と利用客は出くわさないお約束…でも場所が場所だけに、アバウトな感じだ…


オバサンは俺に気づき、僅かな笑顔…俺はそれを見逃さず、ドヤ顔をしてみせた…


二人で車に乗り、瀬戸大橋を目指した…

No.142


今度こそは土地の物を食べよう…そう決めていた。


土地の物…左に広がる瀬戸内の海…やはり魚でしょう!


昼飯にするには少し早い時間…もう少し先に進むことにした…

No.143


お互いに腹が減っていたので、どんぶり物なんかがいい…と思いながら東へ車を走らせる…


香川県に入る…途端に讃岐うどん屋さんが目立ち始める…


「どういう事だよ…うどんしか無いよ…」


【そらそうや、香川県は讃岐うどんが名産やからね…石投げたらうどん屋さんに当たるっちうくらい…(笑)】


「マジ?知らなかった…」


無知な男…


「じゃあ、名産のうどん屋さんに入るか…」


店を探すまでもなく、街道沿いは選び放題…小綺麗な店に入る…


かけうどんに好きな天ぷら2個を選び会計…\280…メチャクチャ安い!


土地の物を堪能して瀬戸大橋に向かう…


【美味しかったね…】


「うん、美味かった!」


お別れが近い…


お互いに感じたのか、会話が少なくなっていった…
一晩だけの付き合いで、互いの素性も名前も知らない…でも情は出てくる。

No.144


右に瀬戸内の海を見ながら瀬戸大橋に向かう…時に山があったり市街地を走ったり…

会話もお互いのではなく、景色やら街並みやらの話になる…何となく、残り時間の事は話さないようにしている空気…


やがて瀬戸大橋を示す看板が目立ち始める…


もう会話すらない…


恐らく好きだの何だのという恋愛感情はない二人…情がわくというのはこの事か…と改めて感じていた…

No.145



「そろそろだね…」


沈黙に耐えられず、思わず話始めた…


【うん…】


「どうした?」


一番答えづらい質問をしてしまった…


【別に…】


まぁ、そうなるよね…


暫く走ると、いよいよ瀬戸大橋…


料金所を通過して本線へ…何気に彼女を見る…彼女も俺を見ていた…


【あぁ、やっと帰れる~!】


わざと憎まれ口を叩いている感じが手に取るように分かる…でも敢えて…


「え?嬉しいの?俺はちょって寂しいな…」


言ってみた…


一瞬彼女の顔が歪んだように見えた…でも…


【やっぱし家に帰りたいやんか~…一人旅も楽しいけど疲れるしぃ…】


「まぁね…」


彼女の気持ちを汲み取り、会話を合わせる…


終りが近づく…

No.146


本州に入って最初の下り口…児島IC。ここから一般道…倉敷駅を目指す。日も暮れていた…


海から遠ざかり、やがて市街地に入る…更に国道に入る…なんとなく街並みが賑やかになっていく…同時に終りも近い…


瀬戸大橋を下りてからは殆ど無言…俺もあまり話す気にはなれなかった…


暫く走ると…倉敷駅を示す看板が出てくる…

No.147


こんな時に限って信号に引っ掛からない…駅を示す看板が出てから、殆ど青信号で駅に到着してしまった…


ロータリーの端に車を停め、俺はタバコを一本吸った…


【んじゃ、行くね…】


「うん…」


【ありがとね…】


「うん…」


【結局お互いに名前聞かなかったね…】


「そうだね…」


【聞かないの?】


「ヤメとく…」


【そうだね…】


暫くの沈黙………


助手席の彼女を見る…


目に涙を一杯に溜めながら、彼女も俺を見ていた…


どちらからともなく、軽くキスをした…


【じゃね…】


そう言って彼女は荷物を抱え、小走りで駅に入っていった…


何度目の出会いか…濃厚な出会いだった…

No.148


さて、これから一泊挟んで京都の友人の家へ…俺は国道2号線を東に走った…


神戸市内のビジネスホテル…都市部だけあって、流石に高い…素泊まりで\6,000が最安値だった…


翌日は昼に勤めていた会社の本社前で待ち合わせ…休日ということもあって、誰もいないそうだ…


とりあえず、買い込んだビールとツマミを晩飯にして早目に眠りについた…

No.149


ちょっとは神戸の夜を楽しめば良かったと、後悔を残して京都へ向かった…


待ち合わせは正午…


俺は10分前に到着した。

No.150

【花山?】


何となく見覚えのある男が俺に声をかける…


「遠藤君?」


【おう!久しぶりやね~!】


「調子はどう?」


【う~ん、ボチボチやな…実は俺も会社辞めんねん…】


「え?マジで?辞めて何すんの?」


【家の仕事すんねん…水道工事】


「へえ~!凄いじゃん!次期社長だ…」


【いやいや、そんな大層なもんちゃうよ………って、立ち話もなんやし、昼飯まだやろ?王将行こうや…!】


「好きだね、王将…」


【ええやん、美味いし安いし…】


「まあね、行こうぜ!」


【うわ、久々に聞いた…ぜ…とか言う東京弁…それだけは相変わらずキショイな…】


「アホな…いいから早く行こう…じゃん!」


【出たぁ~!じゃん!めちゃキショ!】


「今のはわざとだ!いいから、早く焼き飯食いに行こう!」


……と、久々の会話を楽しみながらその場を離れた…

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