私の人生
人を
馬鹿にしやがって❗
小学五年の時
学校から帰ると
母が父方の
親戚一同を集めて
父と見知らぬ綺麗な
女の人を祭り上げる
ように怒鳴り散らしていた
あぁまたか
今思い返せば子供ながらに
母親の泣き顔と
罵声に対して
嫌悪感すら
あったように思う
そういえば小学三年の頃母親に手を引かれ
大阪鶴橋の小さなアパートを一軒一軒
父親を探し歩いた記憶が鮮明に残ってる
割り箸の袋に
“来ました゛
と置き手紙を残し
角の喫茶店の
名前が“街゛
こんな難しい漢字が
読めると誉められたが母親の気持ちの底にはこんなに子供が
大きくなったに
父親は何をしている
と責めの気持ちが
有ることは 常々感じるような子供だった
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私の名前は千秋
祖母 父 母 兄 の
五人家族 父親は
私が小さい時から
居ないに等しい
存在だった
もの心ついた頃から
母親の罵声の中で
育った
母は
私が中学に上がる頃から男が出来ていた
それを見ていた兄は
自然と高校時代から
三畳の部屋に
引きこもるように
なりだした
私は高校を卒業して
梅田の婦人服販売の
店に勤めだした
勤め出したものの
何かやり切れない
何時も心の中が不安で誰かに甘えたい
誰かに支えて欲しい
という欲求が激しかった
“ふー゛やれやれ
一日立ち仕事で
脚もパンパン
先輩達の新人イジメ
から解放され出口へと向かう
タイムカードを押し
帰宅を急ぐ
夏風が心地好くすーっと吹いてきた
ねぇお茶しよう
振り返ると
キリリとした上品な
顔立の男がたっていた
スラリとした脚
細身なのだか
服の上からでも
わかるような適度な
筋肉質の身体
こんな綺麗な男がいるんだと思った
私は彼のキリリとした顔立ちに見とれていた
何喋ったのかさえ
思い出せずにいた
太い眉毛 一重だが
スッキりした流れるような切れ長の目
薄い唇
ただ顔立ちで惹かれている自分が居た
次の日の帰宅時間
何時ものように
会社の裏口付近で
タイムカードを押し
変わりない日常を終えようと一歩踏み出した時 “ちあきちゃん゛
と呼ぶ声がした
祐一だった
くったくのない笑顔
笑うと目尻が下がる
胸がしめつけらるような息苦しさ……
中学時代テニス部に
居た二ツ年上の
憧れの先輩にも
この息苦しさが
あった…懐かしい息苦しさ………
横を通り過ぎて行く
先輩達を尻目に
優越感さえ
おぼえた……
祐一は毎日 毎日
会社帰りに迎えに来た
なぜか自分の仕事の
話しはしたがらない
ただ
“今日はナンバに行った゛“ 今日は 尼崎゛“ 明日は神戸゛
その程度だ
毎日会うたびに
祐一と寝たいと
願うようになった
触れてみたい
抱きしめたい
守りたい
18歳のコスモスが
咲く頃
私は祐一に誘われる
ままラブホテルに
入った
何度かは来ていたが
こんなに好きな人と
一緒に来たのは
はじめてだった
そして
こんなに愛して
くれているだろうと
感じる人と
ホテルに来るのは初めてだった
祐一の手がそっと
千秋の髪に触れた
“愛してる゛
“少し待って゛
千秋はシャワーを浴びに浴室へ向かった
祐一は?
千秋は祐一にシャワーを促した
“俺千秋に会う前に
浴びてきたんだ゛
“そう?゛
不信に思いながらも
その時はまだ
なんの疑いも無かった
シャワーから
出ると 祐一はもう
ホテルのガウンに
着替えて ベッドに寝転んで手招きを
している
千秋は戸惑いながらも顔を赤らめ シーツの
中に潜り込んだ
祐一は電気を消した
かすかに輪郭ぐらいにしか見えない祐一の顔
その胸に千秋は
顔を埋めた……
どれ程
夢に見たことか
愛してる
愛してる
祐一の手がそっと
千秋の小ぶりの
胸に滑っていく…
あっっ…
飛び上がるような
感覚に襲わる
うめき声が漏れた
祐一の薄い唇が
吸い付くよに千秋の
胸に吸い付く
と…同時に細く長い
指が 千秋の太股から腰にかけ何度も
何度も 滑っていく
腰から頭の上まで
ゆっくりゆっくりと
微かな電気がはしった
祐一の唇が
千秋の首筋をとらえた
あぁ…
千秋は甘い吐息を
漏らした
と 同時に頭の中が
真っ白になる
千秋は雲の上に自分がいるように錯覚を起こした
何度も…
何度も…
うぅ… 祐一は
同時に果てた
千秋は放心状態で
目をつぶったままで
横たわる
シャシャ
ライターに火をつける音がした
ダンヒルの独特な音
が響いた
何気なく千秋は祐一に擦り寄ろうとする
えぇっ❗
嘘❗
千秋は自分の目を疑った
ライターの微かな
灯から浮かび上がる
祐一の肩には
目を大きく見開いた
龍が踊っていた
祐一……
これ❗
何?
龍を指差しながら
頭の上に
ある 電気に千秋は
手を伸ばした
青く鈍ったように
光る龍
真っ赤な目
両肩にそれは
はいっている
入れ墨………
祐一は
“隠していて悪かった 実は俺〇〇会の
〇〇組の者なんだ゛
言葉が出なかった
千秋は服をどう着たかわからない
走ってホテルから
逃げるように飛び出した
何件もある
ラブホテルの横道を通り川沿いを走り抜け
やっと駅に着こう
とした時
見慣れた黒のBMが
クラクションを
鳴らしながら
千秋の前を
塞いだ
千秋❗❗
乗れ❗
千秋は立ちすくんだ
乗れと言ったら
さっさと乗れ❗❗
千秋はその罵声の
ような声に立ちすくんでしまった
そう 子供の頃に罵声をあびせながら
怒鳴り散らす母の声
と重なり
その場にへなへなと
座り込んでしまった
恐怖感が波の
ように押し寄せる
鼓動が踊るように激しく波打つ……
バン❗
ドアを閉める音が
すぐ脇を通りすぎる
車のクラクションの音に掻き消された
煌々と燈るラブホテルのネオンが目に映る
その瞬間千秋の腕が
祐一の細長い手に
捕まれてBMの中に
引きずり込まれた
小刻みに震えるのが
自分でわかった
そう あの罵声のような大声が
トラウマのように
千秋に纏わり付いてる
“千秋…゛
何時ものあの優しい
声が聞こえてきた
“千秋 騙すつもりな んてなかった 悪か った
でも言ってしまえば 千秋を失いそうで…
祐一は語りだした
“俺 親が居ないんだ
と言うより行方不明 なんだ あちこち
親戚の家に 預け
られ 育ったんだ゛
だから 千秋を
俺 失いたく無かっ た゛
本当にすまない
その横顔が切なく
ハンドルを握りしめるその細く長い指先も
愛おしく
なんとも言えない
感情がこみあがってくる
ダメ… ダメ…
頭の中ではしきりに
もう一人の自分が
叫んでる
でも心が納得して
くれない
祐一の細く長い指が
千秋の小さな手に
纏わり付いた
祐一は私を大切に
してくれている
あの忌まわしい家から逃れられる
かもしれない
父親の子供と
いうだけで 母親から
けなされ 蔑まれ
そうあの忌まわしい
家から………
幸せになりたいだけ
楽しく暮らしたいだけ
祐一なら
助けてくれる
祐一なら人も
こわがる存在
ヤ〇ザだし
私も守られる
幸せになりたい…
人一倍その思いが強
すぎて思考能力が
劣っていた
千秋は会社を辞めた
祖母は既に他界していた
父親は相変わらず行方不明
兄は会社の寮に入っている
母親は苦労の代償と
祖母が所有する小さな土地を売り
自由気ままに
男と遊び歩いている
再三 父親の兄弟が
財産分けをと要求してくる叔父叔母に
罵声を浴びせる母親に対し
飽き飽きしていた
財産分けは当たり前
なのにと考える千秋にも
訳わからんクセに
うるさいんじゃ❗
と罵声…
千秋は何も言わずに
家を飛び出した
線路沿いの 1LDKの
マンション
それが祐一の住まい
だった
線路までは50㍍は
あるが国が線路沿いを買い取り見渡す限り
広々としている
菜の花が咲きみだれていた
一駅行けば京橋で
賑わっているが
なのにそこだけ
都会から置いていかれたような雰囲気を
醸し出している
裏に100㍍も行けば
駅が近いせいか
人々が忙しく行き交いまたそれも
菜の花畑とは
うってかわり
違う雰囲気で祐一
のマンションを挟み
別世界のような
不思議な感じのする
街並である
マンションの一階が
リバーサイドと言う
ラウンジ
千秋はそこで働き始めた
水商売に抵抗が無かった訳ではない
ただやはり昼の仕事よりお金に惹かれた
一週間程経ったら
水商売にも
慣れてきた
案外楽しいものだと
感じた……
普通のOLだった
千秋の堕落の
始まりだった
二週間程たったら
祐一が
“俺今日当番だから… 仕事あけたらこいよ゛
“当番って?゛
“事務所の電話番や゛
“うん゛
夜中の2時
店の前に祐一の車が
停まっていた
“千秋ねぇさんですか ?゛
見知らぬ男が声を
掛けてきた
“はい゛
祐一よりまだ若い
二十歳そこそこの
ひょろっとした
男だった
BMWに乗ると
西山です にぃさんから噂は聞いてます
千秋はなんだか
照れて西山の顔をみれなかった
車がとあるマンションに着いた
三階の奥 それが
事務所だった
事務所には祐一が
一人ソファーに
寝転びながら本を
読んでいた
お連れしました
西山が祐一にハキハキと伝える
おう
千秋は事務所に
はじめて入った
綺麗に並べられた
靴
ついたての向こうは
すぐに 皮張りの
ソファ 左隅に 机
目の前に大きな
〇〇会 〇〇組の
額縁 どれもこれも
立派なものだった
祐一がすぐに
何処かに電話をかけてアイスコーヒー三つ
を喫茶店に頼んだ
すぐに喫茶店の
コーヒーを若い男の子が持ってきた
失礼します
何も言わず靴を脱ぎ
上がって
ラップをとり
珈琲を一人ずつの
前に差し出す
その手が震えている
それを見て二人が
大笑いをしている
何時もの事らしい
千秋も大笑いをしていた
明け方千秋は事務所を出て祐一の車で
西山が連れて帰った
ベッドの中で千秋は
考えた
何故あんなに笑った
んだろぅ
祐一と居ると
一般人はヘラヘラする
千秋は楽しさまで感じるようになっていた。
次の日の昼頃
自宅に電話が鳴った
祐一からだ
事務所に社長が来ている 挨拶にくるようにとの電話…
考えこむ
“社長…゛
千秋は急に怖くなった
と同時にまた電話が
鳴る
もしもし?
中学時代からの親友
真由美からだ
会社に電話し
同期入社の
チカから電話番号を
聞いたらしい
千秋は真由美に事情を説明した
真由美に
“ずぐに逃げるように 言われた
“今すぐに❗゛
その言葉が頭の中を
グルグル回る
今すぐ……
荷物なんていいから
今すぐに…
千秋は荷物をまとめ出した
ピンポン~
ピンポン~
千秋~迎えにきたぞ
おーい
千秋は慌てて
平静を取り戻そうと
するが胸がつかえるようで返事が出来ない
部屋の隅に
身を潜め震えていた
身体が動かない
ガチャガチャ
ドアの開く音
千秋!
靴の脱ぐ音
トイレの開く音
千秋❗❗
おい❗❗
言いようのない
恐怖感が押し寄せた
コラ‼‼‼
返事せんか‼‼
千秋は目を見開き
恐怖に怯えた
何してるんや❗
返事しろや~~
と、祐一が小さな鞄を見付けてた
“なんやこれ゛
中を探りだした
ブラ 下着 財布には
なけ無しのお金
みつかった………
千秋は小さな身体が
一層小さくなる
祐一はみるみる顔が
変わる その瞬間…
顔から火がふいた
ギャアァ‼‼‼
祐一が千秋の長い髪を引きずった
顔を殴られ
お腹を蹴られ
千秋は意識を失いそうになる
ごめんなさい
ごめんなさい
もうしません
ごめんなさい
涙ながらに訴えた
千秋はやっとの事で
ベッドによじ登ろうとした
俺を裏切るのか
祐一が声を
押し殺したような
罵声をあびせた
ごめんなさい
千秋の目から涙が
あふれた
俺をまた一人に
するのか
もうそんな事考えない絶対考えない
そうでも言わなければ祐一はまた逆上する
千秋の声は震えていた
千秋………
痛かったか
すまない……
祐一は千秋の頭を
なぜながら
頬をなぜた
すまない
そういいながら
自分が殴った千秋の
頬にキスをした
祐一の手が薄いブラウスの上から乳房を
なぜた
嫌………
千秋は心で叫んだ
だか祐一の唇が
千秋の首筋をかすめた
あっ…………
声が漏れた
祐一の手がブラウスの中で乳房を掴んだ
もう千秋の頭から
殴られた事などは
消えている
祐一の唇が乳房を
噛んだ
千秋はとろけるような感覚をおぼえた
いつもと違う…
違う…
今まで感じた事が
ないような興奮が
千秋を襲った
あぁ………
祐一の手が恥部に
触れたとたんに
どうにでもなれと
思った
ズキズキと波打って
いる
下着をはかざされ
シーツに愛液が
付くほど興奮していた
祐一の物が千秋の中に入った
あぁ…
あぁ…
あぁ…
もっと
もっと
龍が千秋を見つめていた
千秋は
祐一から逃げられないような状況に追い込まれていた
普段は
少しでも男と視線を
合わせたり
車ですれ違う男が
千秋をチラッとみただけで その車を追いかけ因縁をつけた
そのくせ祐一は
他の女がいるようだ
千秋❗
最近祐一は何処を
ふらついてるんや
後ろから声をかけてきたのは 組事務所の親分であった
あっ社長おはようございます
格安で車買わないかと名古屋から兄弟分が
きとるんや…
次の日
祐一が車が欲しいと
言い出した
女が影から支え
男を立てると言う
特殊な世界
千秋はピンクサロンに勤めだした
月収四十五万
指名を受けると
客に着き サービスを
始める サックは使用せずに ビールで男性のモノを消毒
口の中だしが
売りのピンサロだった
千秋はまだ20歳
一番若く スタイルもいい 売れっ子と
なり 指名だけで
一日 二十五人は来た
月の給料は60万に
跳ね上がり
事務所には奉納金として十万円を差し出すようになっていた
女をしのぎとする
組事務所であった
ピンクサロンの名前はキャンドゥ
キャンドゥの店長は
まだ27歳ほどで若く
隆と言う名前だ
身長が高く優しい
感じがする
堂々と世間をわたっているような
上品なものごしで
東京の大学在学中に
アルバイトでこのような経験を積み
大学を中退
大阪までやってきて
この会社に
入社したらしかった
千秋は祐一の監視
されている生活に疲れて
だんだんと隆に惹かれていった
仕事を終える頃
西山が迎えに来ていた
お疲れ様でした
西山がドアを開けて
千秋を迎える
横を隆がお疲れさん
と通りすぎる
千秋は心の中で
助けて 助けてと
叫んでいた
フーッと夏の夜風が
頬を染めた
千秋は車の中で
祐一と初めて出会った日を思い出していた
あの時 あの日
どうして出会ったのか
祐一は社長から
しのぎの女をひっかけてこいと言われ
梅田の繁華街にやってきていたのだった
千秋の頬から涙が
一筋こぼれ落ちる
西山は自分の彼女が
ソープ〇〇〇に
行くんだと言う事を
ペチャクチャ喋ってる千秋は窓を開け大きく深呼吸した
その声も
街の雑音に紛れて
遠くに聞こえた
少し早くきて
お茶でもしよう
仕事の話がある
店長の隆から昨日言われた
店の近くの喫茶店
一席 一席に
隣から見えないようについたてがしてある
大昔からあるような
喫茶店だ
『最近どうしたの
余り喋らないし
心配事?
何時も彼氏が迎えに 来て仲良さそう
だし』
隆は売れっ子である
千秋が店を辞められる事も恐れているが
同時に千秋に対し特別な感情があった
『違うんです
彼ではありません』
蚊が鳴くような小さな声
『どうしたの』
千秋は祐一を愛した事
ヤ〇ザであった事
今でも愛しているのか愛していないのか
わからない程
心が弱り考える事も出来ない事を洗いざらい伝えた
隆は黙ってきいていた給料を渡し
サッ出勤 出勤
隆はレシートを取るとさっさとキャンドゥへと向かった
千秋から
逃げるように…
毎日仕事を終えると
西山が迎えに来ているが今日は祐一がやって来ていた
千秋の身体で稼いだ
黒いスポーツカーで乗りつけていた
『おつかれさん』
隆がウエイターに
洗い物を任し出てくる何時もの光景
千秋が車に滑り込む
灰皿には真っ赤な
口紅が着いた
タバコの吸い殻が
夜のネオンに燈され
青や黄色に変わった
あれから三週間
隆は千秋の目を見ない
普通の女に見てほしかった
千秋は言わなければ良かったと後悔ばかり
していた
一ヶ月過ぎた頃
キャンドゥに出勤すると千秋は隆に
手紙とカギを渡された
トイレで読むようにと伝言を残して
『トイレの道具入れに 服と靴が入っている それに着替え
手紙にある場所の マンションの301
号室に行くように』
千秋は隆が救ってくれようとしている事に
はじめてきずいた
新しいレスの受付は終了しました
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