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きまぐれ澪たんロード②

No.220　22/06/18 10:29
澪（みお） ( NFUqye ) あ+あ-

耳が聞こえなくなって良かったと思うことが一つだけある。

それは、見ず知らずの人の親切や優しさに触れる機会が多いということ。

聞こえないことがコンプレックスで、なかなかそのことを伝えることができない人は結構いる。聞こえるフリをしちゃうのだ。子供の頃の私がそうだったように。

実際、聞こえない障害は、目で見てわかる障害ではない。
言葉も明瞭に話せるとしたら、自分から言わない限り誤魔化せるシーンが多い。

だが、社会人になって以降、私は自分の耳が不自由であることを出来る限り伝えるように努めた。

それを知人は、「自分の障害を人に押し付けている」と批判した。
その人は生まれながらの軽度の聴覚障害者なのだが、自分が聞こえないことを隠して生きてきた。私はそのことを批判したことも否定したこともない。昔は自分もそうだった。辛かったと、痛みとして理解できるからだ。
その人にとっては、見ず知らずの人にさえ躊躇することなく「私は聞こえない」「私は耳が不自由だ」とハッキリ伝える私の姿は、「自分は頑張っているのに、こいつは頑張る気がない」風に映ったのかもしれない。

（つづく）