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無機物ツイート

No.1 12/05/29 23:43
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あ+あ-

【マリコさんは天然でいらっしゃいますか】


僕の彼女は、マリコさんという。

「一歳年上の女房は、金の下駄を履いてでも捜せ」

――などと昔は言ったそうだが、僕はその一歳年上の彼女を、格安シューズショップで2足目1000円と歌われた黒革靴を履いて見つけた。

いや、見つけたというなら、その当時はナイキのスニーカーだったかもしれない。

というのも彼女は大学時代の先輩で、社会人三年目を迎える僕と彼女の関係は、かれこれ七年にもなる。

彼女が大学を卒業し、一年後に僕も卒業して、ナイキのスニーカーを革靴に履き替え、東京ライフをあらかた身に付けた二年目の夏に、マリコさんは晴れて僕の彼女になった。

ちなみに、僕が彼女をマリコ“さん”とお呼びするのは、彼女が僕をカズモリ“くん”と呼ぶからだ。

そして、彼女がなぜ僕をくん付けで呼ぶのかというと、「なんか、恥ずかしくって」とのことである。

もとより梅屋くん鍵谷さんと呼び合っていただけに、さんくん付けの呼び方はすんなりと身についた。

もっとも、僕は彼女より一層恥ずかしがり屋なので、マリコさんなどと呼んだのは付き合った2、3日程度のことで、以来「なあ」とか「おまえ」と、はぐらかして呼んでいる。

この話を弟にしたら、「兄さん。それは彼女に嫌われるから、もっと頑張ったほうがいいよ」と、モテ男らしい助言をくれた。

この弟、わが梅屋家の血の中に漂うほんのわずかな美男要素をすべて掻き集めて生まれてきたらしい、一族きってのイケメンである。

頭脳においては僕も負けてはいない――いや兄として負けるわけにはいかないが、容姿に恵まれているとはとても言いがたいありさま。

遺伝子の出し惜しみをしたな、と、思春期には無益に親を恨んでみたりしたものである。

とはいえさすがに今や社会人、男は顔ではない。

そして、女もまた顔ではないのだ。

たとえイケメン弟の彼女が、「こ、これお前の彼女!?」と思わず写メに食い入るほどの美少女であっても、である。



「そりゃもう、びっくりした」

僕が弟の彼女の話をマリコさんにすると、彼女は「へええ」と大きな目をきらきらさせた。

「やっぱり、イケメンは違うのねえ」

「あいつ、本当に梅屋の人間なのかねえ」

のほほんと言うマリコさんに、僕ものほほんと答えてコーヒーをすすった。

ちなみに、マリコさんが美人か否かと問われれば、僕は迷うことなく「まあ、普通」と答える。

いや、今にも殴りかからんと拳を握った女性諸君、落ち着いて欲しい。

だいたい、「自分の彼女を自慢する」という行為をサラリとこなせる技量が、僕にあろうわけがないではないか。

彼女曰く「カズモリくんとお付き合いしてから、4人ほど交際をお断りした」らしいので、それなりにモテているらしい……とだけ言っておく。

そしてもちろん、僕が告白をしたのだから、その容姿を僕が愛していないわけがない。

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