海堂尊『桜宮サーガ』を語る🌸🏥🚑
海堂尊先生の『桜宮サーガ』シリーズを感想を綴る部屋🌸🏥🚑。
『チーム・バチスタの栄光』をスタートに架空都市桜宮市を中心に東京霞ヶ関、北は北海道雪見市、大阪浪速市、ドイツ・ブリュッセル、アメリカやフランスなどを舞台に繰り広げられる医療サスペンスシリーズ📖。
16/08/25 08:58 追記
ネタバレがけっこうしてると思いますのでこれから海堂尊作品を読もうとするひとは見るのを控えた方がよろしいと思います📖。
16/09/22 10:02 追記
どの作品もおすすめだけど今年読んだ中での1、2はこれ!
『輝天炎上』
『ブレイズメス1990』
気になる方は本屋で手にしてお読みください。
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『カレイドスコープの箱庭』で田口先生の肩書きにAiセンター長を残したのは高階病院長にしたらいずれはいつかは再びAiセンターを桜宮に作ってほしいからでしょうか。
Aiセンターの理念や思想は『肖像』のラストで綿毛になり世界へ飛んでいったのはおそらくひとつの事実。
『箱庭』での講演会も綿毛がひとつ飛んでいったプロセスのひとつ。
気の毒なのは彦根先生。若干、失意ある表現を早くに見せたのは浪速府での戦いに敗れたからか。
田口先生、速水先生というふたりの先輩を前にした時はいくぶん元気を取り戻し白鳥さん桐生先生そして島津先生を加えた同窓会(?)でたぶんに麻雀で元気を取り戻せたでしょう、と信じたい。
だけど未来を書いた『モルフェウスの領域』ではAiセンターについては特に触れられてなかったのは話題にすべき事柄ではなかったということ。
『箱庭』ではとりあえず理念や思想は綿毛になったから講演をしてアメリカの人たちに伝えてくださいということ。
だけど医療の世界は広いようでせまいのか。
でも大学病院では日々、大なり小なりの諸問題はある。それをリスクマネジメント委員会や長は解決しないとならない。
その辺はちゃんとした会社とおなじ。ちゃんとしていない会社は組織に問題があっても放っておかれ悪意ある人物が育って仕事に支障をもたらす。
『箱庭』を読むとそんな雰囲気は感じた📖。
『肖像』のボーナストラックの高階病院長と速水先生との再会からも『箱庭』の本編にもつながってた。
『肖像』ボーナストラックで如月翔子に再会したことは速水先生の性格から『箱庭』では一切、触れられてなかった。
『極北ラプソディ』で花房さんにフラレたことも語ってないのは性格でしょう。
むしろ速水先生は彦根先生がたびたび極北市民病院に顔出しをしてるのに、雪見市救命救急センターをたずねないことを訊ねてた。
速水先生のスピードスターぶりに誰もが振り回されたくないのは同じ時を重ねた者同士だからか(苦笑)。
『ラプソディ』の主人公今中先生は半月ではあったけどこき使われることに充実した日々ではあった。これも物事や立場が変われば見方がちがうことのひとつ。
『桜宮サーガ』はいろいろな立場で読める醍醐味。
『スリジエセンター』や『スカラムーシュ・ムーン』はまだ文庫にいたってないみたいな📖。
『カレイドスコープの箱庭』を読んでる途中。
Aiセンター爆破事件からおよそ三ヶ月後の物語になるみたい。Aiセンター爆破事件を“ケルベロス・デザスター”と呼ぶセンス。
だけどさすがに病院内では田口先生にちょっかいを出すと火の粉が自分に降りかかるジンクスがあるというのも納得。
『肖像』でもだんだん白鳥さんと立場が似てきてる雰囲気。病院長の立場は高階病院長に『肖像』のラストでひっくり返したからそのまま。
だけどシリーズが進むごとに話がスムーズになっていってる雰囲気もある。『モルフェウスの領域』でも意見は少しに物事はスムーズに、というところに『箱庭』はよく似てる。書き手が同じだから当たり前か📝。
だけどむかしは医者の主観で患者の病気が決められたとあるけどいまは医者はいろいろな意見や症状を患者に伝える。
だけど医者の主観で医療ミスがないとは言えない現実もある。
カレイドスコープ=万華鏡のように物事は立場や気持ちが変わればちがうものに見えるのか。
『桜宮サーガ』シリーズを通して医療従事者、官僚、警察関係者、患者、マスコミなどいろいろな立場の人物が行き交ういろいろな立場で読めるのもある。
『外科医 須磨久善』これもまた強烈な一冊。
『ブレイズメス1990』に匹敵する。
『外科医 須磨久善』はノンフィクションとして綴ってるからありのままの現実。もちろん筆者である海堂尊先生の受け取り方や感受性、気持ちや書き方などにもよる。
だけど実在の須磨久善先生は『ブレイズメス1990』の天城雪彦先生や『チーム・バチスタの栄光』の桐生恭一先生のモデルなのは伝わる📖。
だけど安住の地を手にしても須磨久善はつねに前や先を歩くという生き方。
須磨久善先生の半生は『ブレイズメス』の天城雪彦先生にとても重なる。
また架空の桜宮サーガ同様に現実の医者たちも現実の壁にいろいろぶつかりながら苦悩や葛藤してるのも伝わってくる。
そんな一冊かもしれない。まだ最後まで読めてませんが。
『輝天炎上』のヒロイン冷泉深雪、彼女が活躍する姿をまた見たいもの。
天馬くん、別宮葉子との三角関係の行く末△。
若干、まじめな性格ゆえに融通が利かないところあるし正義感のかたまりみたいな一面もある。
『輝天炎上』に書かれてる範囲でもよきお嬢様なのがうかがい知れる。
だけど世の中の汚れた一面に触れたことがないから裏側を知った時は悩む側面を見せる📝。
天馬くんが『螺鈿迷宮』で医療の裏側をある程度知り彼は納得はしないながら一医学生であるからなにもできないのを理解している。
『輝天炎上』では同じ班である彼女を時に諭す役目を担う📝。
ある意味、『螺鈿迷宮』で社会に触れる天馬くんの以前の姿が冷泉深雪と表現できなくもない。
ただ男女のちがいのニュアンスが碧翠院事件の受け取り方をちがうものにしてるかもしれない📝。
直接的に立ち会ったのと間接的に聞くのもまたちがうだろうし。
けどこれらの物事の受け取り方がちがうのは『桜宮サーガ』においてもよくある。
当事者だからできることや感じること、もしくはマスコミの人間としての感想など。立場により異なる。
そのなかで海堂先生は正しいことは正しい、間違っていることはちがうと作品内で主張している📝。
医療ドラマはまだまだブームでしょうか。
『輝天炎上』だったかな。医療ドラマがブームだから解剖に興味があるとかないとかみたいなくだりがあったような📝。
小説の『桜宮サーガ』シリーズがまだまだ謎が埋まらない。
シリーズを読んでると必ずしも主人公側が推理を解決してハッピーエンド、あるいは問題が解決してしあわせになったという終わり方は『バチスタ』の頃から変わらないのが伝わる。
『田口白鳥シリーズ』は後味が必ずしもよくなく事件は解決したけどなにかしら東城医大に残す終わり方。
『極北シリーズ』にしても『クレイマー』で一旦は病院は守られた。だけど『ラフソディ』でなんとか経営はいくけどなんやかんや市との折り合いがつかない。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』にしてもヒロインたちは解決したとしても生まれてくる赤ん坊たちの先はわからない、不透明なまま。
曽根崎理恵は母親に説得され赤ん坊を医学に利用しない守ろうという姿勢に変わったところで『マドンナ・ヴェルデ』は終わる。
天馬くんたちから見た『螺鈿迷宮』『輝天炎上』にしても桜宮姉妹との因縁は本当に終わったのか、と
黒崎教授は高階病院長や田口先生たちほど目立たない存在ではあるけど『ブラックペアン』からのバブル時代の院内競争や教室を持ったりそれなりに当時から権威や権力はあったと思われる。
それは『田口白鳥シリーズ』にも継承され教授という地位にいて高階病院長とは院内において必要悪という形で対をなしていると考えられる。
対立なき組織では高階病院長のワンマンになるおそれがあるからあえてわざとそうさせたうかがった見方ができる。
バブル時代に教授や教室が分化しなおかつ時代に追いつけ追いこせのなか権威が疲弊してる現状もあるけど残し次世代に伝えなくてはいけないことは多くある。
黒崎教授の実力は高階病院長や天城雪彦に及ぶところではなかったかもしれない。だけど手術や現場においては必要不可欠な医療を知っている人物かもしれない。
佐伯前病院長からは常識人な扱いかもしれないけど常識人だから後々、高階病院長や藤原看護師たちと共にバランスが取れているかもしれない。
『ブラックペアン』や『ブレイズメス』では登場人物としての扱いはよくないかもしれないけど描かれてないところでは深く考えているのではと考えられる。
『ブレイズメス』ではたしかに自分の教室の範疇に及ぶところを天城雪彦に言いたい放題されておもしろくはない。発言もさしてしてない。
だけどなにかは考えている節はあったと思われる📝。
『輝天炎上』のラストで本当に桜宮すみれ・小百合姉妹は亡くなったようには思えない。
怨念や情であれすみれや小百合は天馬くんに何らかの思いはある。
すみれにいたっては田口先生にわずかでも思いを残し彼がAiセンター長であったことに意外な思いを抱いている。
必ずしも東城医大=田口先生への思いは比例してない、と思う。そんな想いを残してる女性がすみれ共々亡くなるだろうか……。
『肖像』で美智さんから聞いた小百合の患者への治療を田口先生は遠くから見守っていた。
今後は小百合先生が田口先生を見守っているのが自然に思うが📝。
海堂尊先生がいつか田口先生のラブロマンスを書いてくれないか気になる。過去の桜宮姉妹との恋愛かあるいは遠くない未来の恋愛ロマンス📝。
『螺鈿迷宮』新装版を買ってしまったorz。
あとがきの方が目当てになっているけど。
海堂先生の本は上下に分かれてることが多いから一冊にまとめられているのはいいこと📖。
『螺鈿迷宮』はドラマもおもしろいし原作はまたホラー。
“安楽死”や“自殺サークル”などいまの時代のキーワードを散りばめながら碧翠院の謎を落第生の天馬大吉、姫宮香織、白鳥圭介と共に解いてゆく📝。
雰囲気は『桜宮サーガ』のなかではバブル三部作品同様に昭和時代を色濃く残す。本書自体は『田口白鳥シリーズ』同様にバブル後の時代ではあるが📝。
怖いけどたまに読みたくなる一冊。
後日談である『輝天炎上』と読むとさらに謎や魅力が深くなる📖。
『玉村警部補の災難』の「青空迷宮」かな。
ところどころに既存のミステリーについてメタフィクション的に人物に語らせてました。
Ai(オートプシー・イメージング)、DMA(デジタルムービー・アナリシス)が使われているのは一部の作品つまりは海堂尊作品だけと暗に示してた。
『相棒シリーズ』は単発な物語のなかに『桜宮サーガシリーズ』に近い話はある。
『桜宮サーガ』は多彩な方と思われる。もとが『バチスタ』からの医療ミステリー。
だけど読み方しだいではぜんぜんちがう読み物になるでしょう。『夢見る黄金地球儀』から他シリーズから読むとぜんぜんたがうらしいけど。
私は作家さんのことをさほどくわしくないまま自然とのめり込んだから違和感はさほどない。
『ブレイズメス1990』はあとがきに西尾維新さんが『ブレイズメス』を推しながら書かれてたので本編もだけどあとがきに驚いた。
作品中の村雨府知事はほんと橋下徹さん📝。
作品中の浪速府独立、カジノ構想などは橋下徹府知事市長時代を彷彿させる📝。
だけど橋下徹さんには彦根先生みたいなブレーンや黒幕がいたかどうかはわからない。
歴史の影には英雄の背後に参謀や黒幕、ブレーンがいたとしてもふしぎはない。
『ナニワ・モンスター』を読むと一種のシミュレーションなのが伝わる。海堂先生の本はゲーム『シムシティー』に喩えられるけど『ナニワ・モンスター』は私的にはシミュレーション。
インフルエンザウィルス・キャメルを用いた浪速府などへの経済封鎖を用いた中央と地方の見えない戦争。
この戦いは彦根先生と村雨府知事の勝利に終わる。だけどそれはほんの序章にすぎない。
『スカラムーシュ・ムーン』で再び戦いが起こる。未読だけど(苦笑)。
『桜宮サーガ』全般を読むと医療従事者が金勘定ができなく事務長を困らせるという。
高階病院長にしても医療のことはわかるけどお金のことになると少々、無頓着。速水先生ほどでないにせよ。
『極北クレイマー』の室町病院長にいたっては院内にあちこち軋轢を抱え平松事務長と仲がよろしくない。そんな意味では破綻はすでに今中先生が来るまえにしていたとも表現できる。
だけど『極北ラプソディ』になり世良先生が病院長になってからなにかがおかしくなったのか平松事務長は身体をこわす。
世良先生のやり方が悪いわけではないかもだけどかえって神経を使うことになったかもしれない。
病院経営の難しさが事務長という地位にある人物を通して見えなくもない。
金勘定と患者を治療や救うことが社会経済からはアンバランスなんだろう。
政治家が己のスローガンを実現したいならその専門分野のプロかそれに近い思想や思考を持ったブレーンが必要不可欠。
『ナニワ・モンスター』を読むと彦根先生がそのポジションに近い。本当に優秀か実現可能かはまた別な話かもだけど📝。
彦根先生の場合はデフォルメが強調されているけど余計なところを省けば考え方はシンプルかつなもの。表現が彦根先生はシャープ。
だから作品内で人々は彼のスカラムーシュ(大ボラ)に振り回されていく。
だけど、本質自体はごく単純。
しかし、現実には医療や政治の世界には古き慣習や制度を捨てられない人々がいる📝。
そこを彦根先生は巧みに攻撃していき斑鳩室長は頑なに防御する📝。
『ナニワ・モンスター』のひとつの本質はそこにあると思われる🏥×🏢。
もし村雨弘殼府知事と白鳥さんが出会ったらどうなるのか。
だけど『ナニワ・モンスター』では厚労省の霞ヶ関内の地位や評価も低いのも露。三流官庁と呼ばれるのは不祥事やスキャンダルに弱いというのもあるでしょう📝。
シリーズ全体が医療小説な点があるから必然的に厚労省が矢面に出る。
厚労省内で白鳥さんや姫宮さん、坂田さん八神くんらが活躍することで中身が伝わる📝。
なかには『極北クレイマー』のサーベイヤーみたいな天下り団体や組織も書かれている。
白鳥さんは天下りに興味はなくてもまだまだ今後、警察庁や斑鳩室長と対決がないとは言い切れない。
『弾丸』で露になった司法と医療の対立、『肖像』で桜宮Aiセンターは炎の中に消えた。
だけど、決着は浪速府なる新たな地に移す。
村雨弘殼府知事が本当に中央へ反旗を翻せれるかも鍵🔑。
『螺鈿迷宮』『ブラックペアン1988』は別に新装版を持ってた方がいいかな。上下巻では読みにくい時がある📖📖。
『螺鈿迷宮』はなかばホラー、『ブラックペアン1988』は『田口白鳥シリーズ』につながる原点。
海堂尊作品は基本的に長い。『極北シリーズ』とて『クレイマー』と『ラプソディ』で実質は二部作品、本では『クレイマー』が上下で『ラプソディ』の中身が四部に分かれている壮大な物事。
そこに市民病院が破綻する経緯や再生があって赤字問題、ドクターヘリやドクタージェット構想など長いなかにいろいろなことが盛り込まれている📝。
海堂尊作品は一度では理解できない内容や容量がある。情報量が半端ない📝。
『ナニワ・モンスター』を読むと斑鳩室長の存在感が強烈に残る。
不祥事案件がルーレットにならないだけ命拾いしたと誰もが思う。
『弾丸』でも霞ヶ関の闇の部分を握っている斑鳩室長。医療従事者である東城医大の面々や彦根先生だけでは太刀打ちできないのではとよぎってしまう。
白鳥さんでさえ寄らず近づかずというところのラインに思える。
『弾丸』では加納警視正から斑鳩室長への打診があったことで東城医大を命からがらしてる。
だけど白鳥さんも加納警視正もまだまだ若い官僚でしかない。『祝祭』の時にようやく自分たちで会議を主催できるだけの若輩者。
斑鳩室長は北や浪速府にいろいろ人脈や人間関係があるのが侮れない。
とうてい白鳥さんたちはまだまだ立ち向かえない存在と思う。
彦根先生の日本三分計画、医療庁建設これらが斑鳩室長への攻撃でしょうね。
だけど斑鳩→鎌形ルートから浪速府の死後画像センターの扱いがどうなるかが決戦📝。
『ブレイズメス1990』を読むたびにいろいろ考えさせられる。
天城雪彦の考え方はたしかに日本では受け入れらない思想。
だけど、日本とフランスでは文化や風習もちがえば医療についての考え方もちがうだろう🇯🇫。
命を賭けにする(みたいな行為)のはたしかに人道的にも反するとは思う。だけど、そこに救える命を見いだすのが天城雪彦。
だけど、世良先生が天城先生をモンテカルロから引き離したことは読むたびに罪にも思える。
『弾丸』や『肖像』での高階病院長の後悔たるやとてつもなく深く誰もわからない悔やみがあると思える📝。
『ブレイズメス』は作品内でいろいろなことを問いかけをしている📝🏥。
本当に本質なる答えは『スリジエセンター』に書かれているんだと思う📝。
『ブラックペアン1988』『ブレイズメス1990』『伝説』『凱旋』を読んで『極北ラプソディ』を読むと(『ブレイズメス』と『伝説』に『スリジエセンター』あるけど未読)世良先生と花房さんの恋愛関係は長いもの。
『桜宮サーガ』シリーズはフィクションですから、みな何かしら挫折したらすぐに病院を去ってしまう。現実的に考えたらたんに辞表を出すだけでなく引き継ぎもあると思うけどそこはドラマだから📝。
海堂先生はドクターヘリなどの描写などにはきびしい指摘をしながらも去り際はドラマティックに書く。去り際の描写は同業者のお医者さまからクレームないのか疑問。
『極北ラプソディ』でも手紙一枚で花房さんは速水先生に別れを告げてるけどあらかじめ桃倉センター長に辞表を出した可能性はあると思う。
佐伯清剛病院長、高階権太病院長、そして田口公平。
佐伯病院長と高階病院長は似たようなタイプかもしれないけど田口先生が病院長になるというのは実際どうなんだろう。
もちろん『極北シリーズ』の今中先生みたいに臨時的であれ市民病院の病院長になる例もある📖。
高階病院長は未来の東城医大をどう見てるのか気になる。
もちろん『チーム・バチスタの栄光』以前以降と人間関係は築かれている。厚労省の白鳥さんをはじめ白鳥さんの秘書の姫宮さん、彦根先生についている桧山シオン先生。
警察関係者では加納警視正、玉村警部補。
医学生では天馬大吉、冷泉深雪。
マスコミ関係は別宮葉子。
リスクマネジメント委員会、Aiセンター長を経て人間関係はかなり構築されている📝。
だけどこれに極北にいる速見先生、旧来の島津先生としても安易に未来のビジョンはいささかぼやけている。
バブル三部作での佐伯清剛病院長の願いは叶わなかったとみるべきでしょう。
では高階権太病院長の思惑は?
『ケルベロスの肖像』で東城医大を潰すまいとする信念はある。そしてその信念を継ぐのが田口先生と彦根先生のふたり。
けど高階病院長の意図は見えないまま。
過去の悔恨があるのは伝わるけど田口先生にそんな思いはしてほしくないからでしょうか。
不定愁訴外来で患者さんの不満をなくしていくことは一見、ちいさいことにみえて実は大きな貢献やささやかなしあわせを与えてるとも作品内でいわれ『桜宮サーガ』の他シリーズにも不定愁訴外来の噂は飛んでいる。
不定愁訴外来がひとつのきっかけや基点の可能性はある📝。
黒崎誠一郎、この人物は常に新しいことをする人物と向き合うのが役目に思える。
『凱旋』では速水先生に、バブル三部作では高階先生や天城雪彦に。
古い旧来の体質や黒崎誠一郎が病院長になれる器ではないかもしれないけど何かしら人物もしくは組織と対立することに意義があるように思える。気概がないと『ブレイズメス1990』で佐伯病院長は評しているけどちゃんと下の者である世良先生に配慮している。
気概がないのはある程度、自身の中でやり尽くしたか後進の者に任せる意志があるのかあるいはほんとに気概がないのか(苦笑い)。
けどちゃんと読めばいちがいに気概がないというのはむずかしい人物に思える。
『田口白鳥シリーズ』でも『凱旋』では速水先生の必要性を説き『弾丸』では高階病院長不在のなか代行をおこないテレビドラマにエキストラ出演する。
方向性がズレているのかわざとなのかはわからないけどちゃんと組織運営や病院のことを考えられる人物と思う📝。
『ブレイズメス1990』凄まじい一冊。
完全に天城雪彦の独壇場の作品といえるくらい。
だけど、高階先生と対立してしまう構図が後々のスリジエ(さくら)の木を摘み取ってしまうのだろうか📝。
後半にわずかだけど『チーム・バチスタの栄光』の桐生恭一が小児科心臓手術のことで出てきた📝。若き日の桐生先生。
一見、ファンサービス程度に見えることでも海堂尊先生は伏線を張っているように読めてします(苦笑い)。
しっかりとバブル三部作と称されるシリーズは『チーム・バチスタの栄光』から始まる『田口白鳥シリーズ』に繋がっている。
また生前の桜宮葵、また桜宮の銀獅子こと桜宮巌雄先生も登場してた。
因縁がひとつひとつ紡がれてゆく雰囲気がしてた📝。
原作小説の物語が複雑、テレビや映画にする端折らざる得ないところが『桜宮サーガ』は多い。
ドラマや映画だと白鳥さんの登場は早いけど原作小説だと後半からしか現れなかったり活躍してないようにみえあんがい活躍している📝。
原作の『凱旋』だと『沈黙』と同時進行の物語のために一見、活躍してないように思えるが一語一句や挙動を細かく読んでたら実はこうだったいう具合にある📖。
映画『ケルベロスの肖像』では姫宮さん天馬くん兵藤くんなどの人物がいない。
『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』は原作では表裏一体。『田口白鳥シリーズ』のラストであり裏で活躍する天馬くん、『螺鈿迷宮』の真相がわかる解決編でもある。
映画『ケルベロスの肖像』で納得しないのは別宮葉子を犯人にしている点。原作ならすみれなのに。別宮葉子を犯人にするならオリジナル人物をつくって欲しかったところ📝。
そこ以外はほぼ納得な作品、映画『ケルベロスの肖像』。
『桜宮サーガ』シリーズを読むといろいろ勉強になる。法医学者や警察関係者は己の領分を守りながら医療を自分たちにいいように利用したい、死者には個人情報保護法は適用されない、警察は管轄ごとに死体の扱いは異なるなど。
我々の知らない社会はいろいろ目に見えない制度や法律などで成り立っている。フィクションな面はもちろん一部あると思いますが。
ただ医療においてはドラマの影響で格好よく見える一面ありますが、『桜宮サーガ』シリーズの本を読むといくつか時々、冷たく残酷な現実をまざまざと見せられる。
医療には光もあれば闇もある。作家である海堂尊先生が時々、作品中に『ゴジラ』『ガメラ』『ウルトラマン』『ゲゲゲの鬼太郎』など他作品の名前を出される(笑)。
それらのフィクション作品と医療の現実を見せられるとゴジラやウルトラシリーズが持つ科学文明の光と闇にあながち似てなくもない。
夢物語だったフィクションで語られてことが現実に起きると、語られていたこと現実の現在が科学を通して逆行しているのではないかという提議。
高度に発達した科学や医療技術は人のためにあるはずだけど、現在はそこに既得権益や利益が絡んだり患者にすぐさま適用されるわけではなかったり、必ずなにか障害や闇がある📝。
『モルフェウスの領域』を読むと全般的にふたりの大人の男女とコールド・スリープされた少年の三角関係に映る△。
もちろん医療問題への提議もあるけど、物語としていえば未来に目覚めるであろう眠り姫になった涼子さん、見守る西野さん、そして後見人になった佐々木アツシくん。
涼子さんは眠っていた頃のアツシ少年を愛し彼が覚醒してからも愛してたと思う。
だけど、西野さんもアツシ少年を見守る彼女を慈しみ愛してたと思われる。
涼子さんは真相を知らずにコールドスリープし西野さんはコールドスリープした彼女を見守る後見人にアツシ少年に依頼した。
輪廻の輪と同じようにトライアングルがコールドスリープをとおしてまわっているように映る物語。
涼子さんが目覚める時に西野さんとアツシ少年、正しくはその頃にはアツシ少年は少年ではないのだけど、その先がどうなっているのか……🕙。
『桜宮サーガ』ではいくつか架空の県に名称が変えられている。
大阪は浪速府、青森県は津軽県のように。
あえて架空の名称にすることでフィクションの側面もあるかのように思われる📝。フィクションの中でのに日本、もしくは日本地図のシミュレーション📝。
ドクタージェット構想、日本三分計画の図式が目に見えてくる。一見、関係ない事象がひとつひとつ重なりあう📝。
けど少なくてもAiの思想は施設ひとつを破壊しても思想にかたちはない。
『肖像』で彦根先生は負けはしたかもしれないけど思想は言葉や文章、本や論文を通じて伝わるもの。そういう意味では綿毛のようなもの📝。
浪速においての戦いは私はまだ未読だからわからない。
道州制より一歩も二歩も推し進めた日本三分計画。
なかなか現実には無理そうな点。現実には中央におんぶにだっこして地方自治のなかには中央あっての地方という考え方の自治も当然ある。
『桜宮サーガ』シリーズにおいてもAi関係では白鳥さんと彦根先生は手を結んでいるけど白鳥さん曰く、彦根先生は国家転覆を企む反乱分子でもある。
だけど医療庁が霞ヶ関に建つことはなさそう。厚労省など旧来の体質が現在にいたるも存在している。
となると、『桜宮サーガ』シリーズでは浪速府が医療庁が建つことができる新天地ということになる。
しかし、斑鳩室長と彦根先生の戦いは司法と医療の戦争でもある。またカマイタチ鎌形もまた彦根先生と因縁ある人物のひとり。
彦根先生は創造と破壊の両方の一面があるとも『ナニワ・モンスター』でいわれている📝。虚実一体となっている彦根先生の言葉ともかぶる。
加納達也警視正の捜査は思考でするもの。
この辺、白鳥さんも加納警視正も互いに相性は良くないものの行動原理は相似し重なる。
『玉村警部補の災難』で斑鳩室長と加納警視正が会う場面を玉村警部補にその場にいて見ているわけだけ、無声狂犬(サイレントマッドドッグ)と電子狂犬(デジタルバウンドドッグ)というふたりが桜宮にいることが後に桜宮に何かをもたらすと示唆されている。
この“何か”ははじめはてっきり『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』のAiセンター破壊と思ったけどどうやら別なことのように思われる。
少なくてもAiセンターの破壊に加納警視正は関係してないわけだし📝。
桜宮イコール東城医大と考えるのも早計に思われる📝。
すでに作品中で出てきた人物か施設、あるいはまったく作品中に出てきていない何かか📝。
『モルフェウスの領域』の未来科学センター(コールドスリープセンター)は何事もなく運営されていた限り、警察の存在は全然みえない。斑鳩室長の標的にさえされてなかった様子📝。
斑鳩室長が目標にしてるのはAiセンター(死後画像センター)、『田口白鳥シリーズ』『ナニワ・モンスター』から徹底してマークしている印象さえある。
論文も書かずにセンター長になるひとは現実にはいないでしょうね。
『桜宮サーガ』というフィクションならでは📝。
けど論文を書かないことには『モルフェウスの領域』でコールドスリープ被験者の佐々木アツシくんのことは世に知らされないままなのは世間にとってはふこうなこと。
『モルフェウスの領域』では高階病院長は引退をしたいけど黒崎教授や田口先生は首を縦に振らない。おそらくまだ経営が不安定な状況が目に見え不安がある可能性は否めない。
コールドスリープについてはとりあえず論文を相手より先んじて提出することでイニシアチブを取ることができる旨もある。
ということは前向きに考えたら『モルフェウスの領域』で論文書かずの田口先生が論文を書くことは未来の病院長のはじまり?
コールドスリープ中に病気の成長が止まるかゆっくり成長するかなどのデータは現実にはまだまだ少ないと思う。
病気を持つ被験者の成長度合いやコールドスリープといっても必ずしも同じ機械が使われるわけではないから個体差やちがいは何らかの形で生じると思う。
けどまだまだこの辺は現実が追いついていないからまだ先と思う。
先と思うことさえいまの時代は数年後に実現してたり法律が施行されてることもあるからいちがいには言えない。
だけど、データがないこてには現在はおろか未来に役にたたないと意味をなさない。
この辺は開発者や医療関係者もあたま悩ましているしいずれコールドスリープが実行されたら悩むところと思う📝。
高階病院長が部下に仕事を丸投げするのはある程度の信頼に部下がいるからでしょう。
速水先生にしてもたしかにオレンジ病棟は赤字だったとしても彼の医療技術は信頼に足ると値した。黒崎教授のように相容れない点はあったかもしれないが桜宮の医療には必要な存在と認めていた。
田口先生、速水先生の後を継いだ佐藤先生、放射線科の島津先生など各部署部門に信頼を置かないと組織のトップは成り立たない。
黒崎教授はナンバー2に位置し組織内のバランスを取るために時にむかしの遺恨も若干ありながら必要な存在として対立する。コメディリリーフな一面もあるけど(苦笑)。
組織のトップがいいのか中間管理職がいいのか部下としてこき使われるのがいいのか、そういう立場も各作品ごとで異なる考え方をしてしまう📝。
『肖像』で田口先生にAiセンター長を任すというのは上司としてはことの推移を見守らなければいけないのになまじおもてに出てしまった。
組織のトップが孤独というのもうなずけなくもない。
彦根先生が作品内であちこち移動してるらしいのが『ナニワ・モンスター』でわかる。
『アリアドネの弾丸』の別件がおそらく『ナニワ・モンスター』で村雨府知事と共に日本各地を移動してた。
左翼右翼でもない医翼。医療庁についても張ったりであれ大ボラであれ大きく見栄を張っておそらく仮に実現可能域なら通常通りにまとめるんでしょう。反発者が少ない程度には。
組織の上と下を説得しまとめようとする説得力。府知事も市長も町長など各首長がいる。
日本の各地方のGDPはその気になれば外国にも匹敵する。それはひとつの魅力でしょう。
47都道府県では地域としては多すぎる、道州制としてもやや多い。ならば関東、東日本連合、西日本連合と三つに分ける📝。
海堂尊作品はいずれ現実が追いつくこともあるから『ナニワ・モンスター』もいずれは何年後に追いつく可能性も否定はできない。
村雨弘殼府知事は全盛期の橋下府知事もしくは市長そのまんま(笑)。
もし橋下徹に彦根先生みたいな大ボラ吹きが接触してきたら彼はどうしたのか。
海堂尊先生自身におそからく解剖医を悪く言うつもりはなくただ実態をもとに小説のなかで書き起こしていると思う📝。
作品内で警鐘を鳴らし伝えることで医療低下の現状をなんとかしようとしている。
彦根先生も結果的かどうかはわからないけど死者の声に耳を傾けろ、という桜宮巌雄先生とおなじことを伝えている📝。
解剖とAiは共存できるだろうし『輝天炎上』で解剖医はAiを説明できないけど解剖はできる、放射線科医は解剖はできないけどAiはできる。そこは持ちつ持たれつであり役割分担にも思える。
これはどんな世界や分野にも言えるだろうけどそこに利益や利権を求める者たちがいる。それが弊害を生んでる。
現実社会のありきたりな表現だけど“ひずみ”(みたいなもの)。
海堂尊先生の作品は現実に直接間接的に影響を与えている点はある。
死体画像にCT導入への働きかけは『伝説』にも記されているように現実には行われておらず、逆に一般人の我々はそれが行われていると思い込みする。
『伝説』によると死体へのCTの働きかけは海堂尊先生が知り合いからの助言や本人自らが行動したことで国へ働きもある。
ドクターヘリの導入なども作品内で問題提議されてるから結果的に現実に影響があってドクターヘリは配備されている。
海堂尊先生が各作品で書いてることはだんだんと現実の方が追い越そうとしてる部分もある📝。
政治的なことになるとさすがに日本三分計画(現実には日本道州制)などはさすがに追いついてないと思うけど、報道に出る出てない面があると思うから一概には言えないと思われる📝。
『桜宮サーガ』は何気ない一言や一文でさえ登場人物、あるいは地域地方の未来さえ左右してることがある。
だから現実においても伝わらない知らないところで物語や時代は動いていると言えなくもない。
無関係な事象はないのかもしれない📝。
『ナニワ・モンスター』の鎌形さんみたいな人物はどの程度いるものだろうか。
『桜宮サーガ』の人物はだいたい一見、腹黒そうや闇に堕ちてそうな人物はあんがい根っこは純粋な人物がいる。
鎌形さんもそのうちのひとり。故郷を日本と呼ぶ人物。
何より検察という立場にありながら自らのお膝元である霞が関にガサ入れする芯の通った捜査。
厚労省にガサ入れされびびってしまう八神課長。彼は悪いことしてないけど自分の所属してる組織にガサ入れあったらふつうにびびる。
霞が関の闇の部分を見てしまう八神課長。八神課長はだんだん転落していくみたいで気の毒。
斑鳩室長が警察庁の闇の部分だからありとあらゆるところに手を伸ばしまた本人の采配しだいで力を行使される。
東城医大が『弾丸』で助かったのは加納警視正からの配慮あってのこと。
それにしても『桜宮サーガ』において桜宮に因縁が集束していくのだろうか?
登場人物のすべてではないにせよ、遠く北海道極北にまで東城医大の血脈はありまた今中先生も東城医大を耳にする。
浪速府においても徳衛先生は不定愁訴外来を耳にする。
インフルエンザウィルスで経済的孤立化する浪速府。
『ナニワ・モンスター』は中央対地方のシミュレーションの前哨戦ともみえる。
村雨弘殼府知事はまさに大阪府知事、市長をつとめた橋下徹さんを彷彿させる一面はある。
インフルエンザ『キャメル』が何らかの形で浪速府に持ち込まれその結果、経済的封鎖をされ孤立。村雨弘殼府知事の地方の独立を阻む。
一方で監察医について踏み込み監察医の在り方について語る彦根先生。
機能しているようで実は機能していない監察医。
舎人町を村雨弘殼に案内する彦根先生。
『ナニワ・モンスター』は町の診療医、検察、そして府知事と視点が異なる物語がありながら浪速府を舞台にしているのはかわりない📝。
『ナニワ・モンスター』だとウィルスや感染症は作品内の徳衛先生の持論だと、空港での水際検査は何も役に立たないという。空港で検査しても他から人はいくらでもやってくるから。
ただ作品内でのインフルエンザウィルス「キャメル」は海外に渡航歴がない人物から発症し世間に発覚する。
この「キャメル」に感染した人物、子どもだけどいつどこで感染したかは作品内では不明なまま。子どもの行動範囲から推測されるに家や学校、あるいは塾などの習い事場、もしくはほんのたまに遠出した際の行き先くらい。だけど、子どもの行動範囲を考えたら限られるはず。
どこかで潜在的に感染した者から感染したと考えられる。
謎のままだけど。
ちなみに『ナニワ・モンスター』内でうがいがインフルエンザウィルスなどに役に立たないことは名言されている。
私は習慣として外出した際にしてる。
『ブラックペアン1988』の因縁が長い時を経て『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』に至る。
患者の身体、あるいは人生を救うためにペアンを残したことが災いする。
『桜宮サーガ』のシリーズを読むと医療ミスやたらいまわしという表現は安易にできなくなると思う。
本当の医療ミスもあれば『バチスタの栄光』のように意図した殺人もある。たらいまわしにしても救命救急に対応できない病院もある。
医療が不測の事態に陥り病状不明な患者をむやみに受け入れることはできない。速水先生みたいな人物であれば助けられるかもしれないけど凡庸な医師には不可能。
『伝説』での速水先生が去ったオレンジ病棟、『極北ラプソディ』で一度は破綻した市民病院の世良先生と今中先生の現状。
『極北ラプソディ』では救命救急は雪見市救命救急センターに託すことでバランスを取っているともいえる。だけど、おそらく世間から見ればそれはたらいまわしかもしれない危うさ。
『ブラックペアン1988』で佐伯清剛病院長は若き日の高階先生を試そうとする。
必ずしも新しい医療技術は否定してない。だけど、失敗は許されない失敗は認めるという医療の難しい観点も書かれている。
渡海先生が存在感が凄い。だけど、佐伯清剛病院長の真意に気づいていないのがこの人物のふこうなところ📝。
佐伯清剛病院長を一方で憎しみに近い感情を持ちながら一方ではちゃんと認めているところもある複雑さ。
ふと思うけど、『ブラックペアン1988』で佐伯清剛病院長はともかく渡海先生が去ってしまう。
そしてその後に、速水先生が“天才”もしくは“ジェネラル・ルージュ”として名を馳せる。
天才は同じ病院にふたりは要らないというあらわれではないかと思う。
『伝説』でまだ研修医の速水先生を“天才”と感じながら世良先生は東城医大を去った渡海先生にも思いがある📝。
海堂尊先生が書く登場人物はデフォルメ部分が強調される面が目立つけど意外に真摯な一面もある。ある一面が強調されるとある一面が弱く薄く見えるのは人間にありがちなこと。
強引な手腕や上司の命令などはたしかに部下からはいやなもの📝。
だけど、そんな組織の上に立つひともある種の孤独を抱えている。
『弾丸』や『肖像』での高階病院長は取り返しのつかない過去をいまだに胸に秘めている。よかれと思って罪滅ぼしのつもりでAiセンターを建てても桜宮小百合から怨恨を持たれる。
『極北ラプソディ』の世良先生も医療請負人という立場があり病院をなんとか黒字にしたものの先が見えない市民病院。
組織の大小に関わらず、トップに立つ者の悩みや孤独、葛藤。自分の行いが地域の未来を左右する📝。
ある意味、白鳥さんや田口先生、加納警視正、玉村警部補みたいにひとに使われたまにひとを使うくらいの中間管理職くらいがあんがいふつうにしあわせに思えなくもない。
白鳥さんや加納警視正とて霞ヶ関、それぞれ厚労省や警察庁からしたらまだまだ下っ端に近い中間的な職にあると思う。
室長や警視正といっても手腕が振るえる範囲はあんがいちいさいかもしれない🏢。
日本三分の計は各作品を読むと、着実に水面下で進んでるように思える。
現実の日本道州制は遅々として進むどころか話題にさえ上がらなくなったけど。
『桜宮サーガ』で日本三分の計が私が読んだ中で最初に目にしたのは『極北ラプソディ』次に『輝天炎上』そして『ナニワ・モンスター』。
もし他に読者がいたらまた私とはちがう順序でしょう📝。
『ナニワ・モンスター』はざっと目を通したけど、医療というよりは政治色が濃い雰囲気。医療が無関係ではないけど。
『極北ラプソディ』は世良先生の背景を書きながらそこに彦根くんがわずかにかんでいる。
『輝天炎上』では白鳥さんの前で彦根くんは堂々と日本三分の計があるのをはっきり明示している。『弾丸』での彦根くんの謎の行動が明らかになるのが『ナニワ・モンスター』。
たまたまだろうけど私が読んだ順番は、トリックが明らかになって理にかなう。
けど日本三分の計は果たしてどうなったのか。気になるところ📖。
『極北クレイマー』で木村署長は西園寺さやかと斑鳩室長らに利用されたかわいそうな人物。
中央に返り咲きたい気持ちは理解しないでもないけど、三枝先生を逮捕した影響や批判受けて極北の署長のまま。
三枝先生の逮捕が市民のためではないという影響や結果だった📝。
また利用された広崎消防士もこの人物もまた被害者。『極北ラプソディ』で消防士を続けながら極北市民病院が変わってしまったことから本音から吐き捨てる。
この人物が三枝先生を逮捕させるきっかけを与えたにしても法的には罪にならない。彼は母子がなぜ死んだのか知りたい気持ちを西園寺さやかに利用されただけ。
広崎消防士については一個人やひとりの人間としては間違えてはいない。
だけど間違いなのは正体のわからない西園寺さやかに利用されたこと📝。
『桜宮サーガ』シリーズを読むと、社会のいびつな構造が見えてくる。
目に見えない物事が浮き彫りにされていくというか📝。
もちろん医療従事者に限らずマスコミの人たちも日々、伝えていると思う。
だけど、職種や職業、環境などによって物事の受け取り方は異なる📝。
『極北クレイマー』から『極北ラプソディ』に至るまで概要としてであるが、『極北ラプソディ』の冒頭に書かれている。
極北市民が世良先生に裏切られたことを。だけど、中には『極北ラプソディ』で亡くなった田所さんみたいに医療費不払いの人々もいる現実。
極北の医療を壊したのは市役所であり市民そのものという冷たい現実も向こう側にある📝。
市民を先々代、そして先代の室町院長が甘やかしたツケと言えなくもない。
世良先生が行ってるのは彼らの真逆。だけど、世良先生は伝える。
“医療はボランティアではない”、と。
財政破綻した市や地域は他人事ではない現実。それは医療も無関係でいられないひとつの現実。
『極北クレイマー』の室町院長と続編『極北ラプソディ』の医療請負人である世良雅志院長。
室町院長は赤字のまま病院経営、それでも彼なりに経営を立て直そうとサーベイヤーを呼んで審査をしてもらえことのひとつの案📝。
対して世良院長は徹底して削るとこは人員を含め可能な限り削る。できることはするできないことはしないと徹底している。なおかつ診療代を払わない患者のカルテは破り捨て今後は一切、診ないという対応。
極端な話としては室町院長は緩いところもあり、世良院長は徹底してきびしくする。
『極北シリーズ』ではまともらしい答えが出てくるのは『極北ラプソディ』のほんとラスト📝。
主人公である今中先生の目を通して一般市民である読者に問い語りかける。
室町院長が市長や市民病院の医者や看護師との板挟みにもなってるいうのもじっくり読めば伝わる。コミカルに表現されてはいるけど。
世良院長はメディアやネットを使って地方と中央に訴えるやり方。ある意味、いまの時代にかなった方法。
だけど『極北シリーズ』を読むと今中先生の立場になって自然と考えさせられる。海堂尊先生の表現力が幅広く深い📝。
『田口白鳥』シリーズの田口先生は物語のはじめの段階では、出世競争に加わることなく論文ひとつ書くこともない平々凡々な不定愁訴外来の医者。だけど、バチスタの調査を任じられてからはリスクマネジメント委員会、Aiセンター長と任されながらも相も変わらず。
高階病院長を少しばかり憎々しげに思っても、結果的には大学病院を支えることになる。
田口先生自身がある程度、東城医大に愛着があるから守れたといえる。
この辺は『極北クレイマー』の今中先生はややちがう書かれ方をされてる。
もとからよその市民病院に飛ばされた身の上なことや室町院長に面倒ごとを任されぱなっしだったこと。また病院改革は姫宮や市長の声がなかったら進まなかったこと。
彼自身の真面目な性格や医療についての考え方がまわりに理解されない。なにより上司である室町院長が理解してくれないのも結果的には齟齬をきたす。
だけど『極北クレイマー』のラストで今中先生は物語のはじめ頃は大学病院に戻ることを願っていたのに、最後は市民病院に残る形になる。
投げ出すことはかんたんだけど、根づくことのむずかしさを知りながら市民病院を一医者として守ろうと決める。
非常勤から一時的とはいえ病院長になる点はある意味、サクセスストーリー。
続編『極北ラプソディ』ではさすがに非常勤ではないらしいものの、世良院長のもとにただひとりいる男性医者になってしまう。
『極北クレイマー』のサーベイヤーが登場し市民病院を審査するところがあったけどあらためて読むと天下り機関そのものだなと実感。
審査にお金がかかり審査後の改善後もお金がかかり医療現場にどう役に立つのかいささかわからないことばかり。
前半に登場した姫宮香織は直接間接的ながら現場に反映させ主人公の今中先生の助けになった。
あらためて読むとうまい具合に比較されて読者に考えるように伝わっている📖。
だけど、一方では西園寺さやかによって三枝先生逮捕の手が忍び寄る。
広崎消防士、この人物が真実を知ることは“パンドラの箱”なのかどうかというのが遺族にとって疑問に感じる。
『肖像』の飯沼さんも“パンドラの箱”を開けられた人物のひとり。
医療ミスという現実や実感、言葉の難しさがあると思う📝。
白鳥さんも加納警視正もなぜ忙しい合間にゲームをクリアできるんだ?
フィクションだから、という理由は置いといても白鳥さんは『ナイチンゲールの沈黙』で、加納警視正は『エナメルの証言』の物語前とはいえふたりとも官僚であり公務員なのに。
白鳥さんに限っていえば『ナイチンゲールの沈黙』や『アリアドネの弾丸』で空腹の描写がある。
つまり普通に業務や役割を果たしている痕跡はある。
だけど『弾丸』で東城医大が危機なのにDMAのなかにあるゲームをクリアできるのか?
ゲームの内容中身にもよるだろうけど、一日24時間は変わらないはず。
そしてネットゲームを三日でクリアした加納警視正。
謎すぎる、としか表現できない(苦笑)。
ようやく『玉村警部補の災難』読めた。
間々に今回の主役となる玉村警部補と従来の田口先生が各々の事件の顛末を語ってくれるオムニバス形式。
「東京都二十三区内外殺人事件」は『イノセント・ゲリラの祝祭』の文庫に収録されてたからさほど新鮮味はない。
むしろ他の三編、それぞれテレビ業界の殺人事件、医療被験者のアリバイ崩し、そして本人を別人へと生まれ変わらせる生業と事件が多彩。
短編ながらそれぞれ短く主要な『田口白鳥シリーズ』のミッシングリンクになってる。
桜宮科学捜査研究所、『輝天炎上』で天馬くんたちがレポート取材として出てきたけど桜宮市警直轄みたいな。
加納警視正と斑鳩室長、このふたりがやはりというか桜宮の未来を握る官僚なのはたぶん間違いない雰囲気を漂わす。
それに加納警視正は何かと玉村警部補とお遍路に行きたがる口癖も変わらない(笑)。
ちょっと意外なのは玉村警部補がネットゲームにハマッてた一面。比較的、『桜宮サーガ』の内ではマジメな人物と思ったのに意外だった📝。
なんだかんだ田口先生と役柄や役割上、似ている一面は多くある。
『玉村警部補の災難』はふつうにと表現すれば語弊あるけど、刑事ドラマとしてふつうに読める一冊📖。
『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』後の東城医大の再建は困難を極めたかもしれない。
多くの事件が起きた大学病院ということもありおそらく批判が集中したことは想像に難くない。
だけど、桜宮市民からの要望があった可能性もあるしAiとすみれによって暴かれたかつてのブラックペアンの一件についても高階病院長が飯沼さんに誠心誠意謝罪した可能性もないとは言えない。
あるいは高階病院長同様に飯沼さんの父親を手術したかつての同僚、後輩がかつての手術の経緯を説明したかもしれない📝。世良先生などが。
ひょっとしたらいずれ医療裁判と病院再建という形で物語が書かれる可能性もないわけではない📝。
海堂先生は間々をうまく埋めていける作家さんと思う。
『輝天炎上』で天馬くんは別に陽の目を見るために死因究明をテーマにしたわけではない📝。
だけど、社会の壁にぶつかりながらも巌雄先生からの言葉はしっかり胸に秘めている。
清川司郎教授という同門の先輩から痛い洗礼を受けながらも教授や医学社会がむずかしいことを知る。
対照的にヒロインたる冷泉深雪がまっすぐに書かれてるんですよね。まっすぐなことがいけないのではなく彼女は天馬くんの内に邂逅として存在する桜島姉妹や別宮葉子とはあらゆる意味で対照的に書かれている📝。
まっすぐかつ正のかたまりのようである。それは読んでる読者からも眩しい存在かもしれない。
だけどまっすぐなゆえに悩み葛藤する。
彼女のまっすぐさが『輝天炎上』以降、海堂尊先生はどうもっていくのか。気になるところ。
ちなみに『輝天炎上』のラストは実は冷泉深雪視点ではなく別宮葉子だったりする(苦笑)📖。
『輝天炎上』を読んだ印象では桜宮小百合・すみれは死んだようには思えない。
小百合は復讐するために、すみれは復讐はしたいけど一方は東城医大や田口先生を守ることで苦悩を抱えている。
心情的か結果的かは微妙だけど、すみれは城崎や彦根先生、そして天馬くんを使うことで一度は東城医大を守っている。
最終的には小百合に出し抜かれた形にはなったにせよ📝。
だけど、ラストを読む限りにはふたりが亡くなったとは思えない。
天馬くんは少なくともすみれに信頼を置いている。
余談ではあるにせよ、東城医大が『モルフェウスの領域』で存在してる以上、小百合・すみれはどこかで見ている可能性はあると思える📝。
いずれ復讐の機会をうかがっているのか。あるいは『ケルベロスの肖像』や『輝天炎上』とは異なる物語の結末に向けてか……?
『輝天炎上』の二部の桜宮小百合、三部の桜宮すみれ。
この章を読むと死人が実際に蘇ってるみたいで直に怖い📖。
ホラー小説ではないけど、公でふたりは死んだことになってる。当然、死亡届も出されてるはず。
トリックの上にさらにトリックを重ねてた『螺鈿迷宮』。
だけど思うのは巌雄先生は東城医大に復讐を心から望んだでしょうか?ということ。
『螺鈿迷宮』で素直に敗北を白鳥さんに認めていて多くのデータを残し託した📝。
ここの意味は本来、『ケルベロスの肖像』でAiセンターの形で結実してる。古いデータも桧山シオンの解析で充分に見れる素材になってる。
Aiセンターが崩壊した時にそれらのデータも火の中に消えたか?あるいは東城医大にかろうじて残ったか疑問。
データを共有してたら残ってた可能性もまたある。使える使えないかはまた東城医大の判断にもよるが。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』の三枝茉莉亜の姪であることが『輝天炎上』で桜宮小百合(姉妹)に明かされる📝。
産婦人科であるマリア・クリニックと死を司る碧翠院桜宮病院もまた対だったのか思わせる。
もちろんマリア・クリニックは未来はわからない病院。いちおう『祝祭』でなぜか白鳥さんはマリア・クリニックの存在は知ってたけど📝。
桜宮一族と三枝ファミリー(あえて一族では呼び名はしにくいので)の間に過去に何かあったんでしょうか?📝
三枝久広先生を『極北クレイマー』で罪に陥れた桜宮小百合、しかし三枝茉莉亜先生は年の功か経験かわからないけど彼女が行ったことを看破している。
いったい桜宮一族と三枝ファミリー、親族関係と思われるけどここまで隔たりがあるのはなぜか。
片や産婦人科を営み、代理出産をして神の領域にさえ踏み込む曽根崎理恵先生。だけど出産そのものは死とは真逆。
“生・老・病・死”のはじめ、“生”はファーストステップ📝。
『輝天炎上』で解剖医が少ないことや試験、論文などあって経歴を重ねないといけないことなでも負担のひとつなんでしょう。
『イノセント・ゲリラの祝祭』で西郷綱吉は競争率が低いから教授になれた背景があったけど📝。負担が大きいのはなり手が少ない現状。
また解剖は遺体を傷つける損壊するデメリットや遺族感情、気持ちもある。これらは海堂作品他で触れられてもいる。
だけど解剖医と警察の関係もまた市民感情からしたら納得できない一面もあると思う。犯罪の隠蔽やもしくは見逃す危険性📝。
『桜宮サーガ』内ではAiは可能な限りガラス張り。各作品でAiの優位性は証明されている。
だけど、優位性を見せれば見せるほど斑鳩室長たち警察側は執拗に妨害もする。
『肖像』で桜宮小百合が過去の医療ミスとされた一件を暴露したことで東城医大は非難された。
そして病院経営から撤退する意思や姿勢はあった。
だけど、白鳥さんの悪運の強さや田口先生の機転があって難は逃れたと見るべきでしょう📝。
もちろん田口先生が病院長代行になり白鳥さんや黒崎教授たちの支援があっても市民から果たして同意を得られたかが疑問。
白鳥さんが支援したと思われる未来科学センター(コールドスリープセンター)で利益は生み出されたとは思うけど。
『モルフェウスの領域』はヒロインである涼子視点で語られ未来科学センターについては当然、触れられる。だけど、東城医大については中盤からしか触れられてない。
『肖像』から『領域』までの詳しい顛末は具体的に不明なまま。
具体的にどんな形で東城医大が再建できたかわからない。書かれてるんでしょうか?📝
『桜宮サーガ』でも会議が順調に進むように書かれることは全般的に少ないように思われる📝。
『田口白鳥シリーズ』『極北シリーズ』においても。
普通の一般的な会議でも意見は出ないか言いたくても言えない黙殺されるかというのが一般的な範疇と思われる。
『桜宮サーガ』においては会議が順調に進むことは結局、事件の前兆のように書かれてる雰囲気ある。つまり物事が順調に進めば何者かが密かに暗躍している。
『極北クレイマー』でも姫宮が極北市民病院に一時、参入しリスクマネジメント委員会で警鐘を鳴らした。だけど彼女が去った後に皮肉にも三枝医師は逮捕された。
会議が順調だったり丸くおさまる時ほどその後に何かが起こる📝。
建設業者から半額でやりたいというならふつうそちらにいく。
マリッツイアさんこのひと何者?桜宮小百合、そして天城雪彦と何らかの関係や因縁ありそうだけど謎すぎる。
ただおそらくマリッツイアさんに陣内教授が頼まなければAiセンター自体は無事だった可能性は否めない。Aiセンターが碧翠院に酷似した建物にならなかっただろう。
『モルフェウスの領域』の未来科学センターはおそらく桜宮小百合もマリッツイアさんも関わってないふつうの建築業者でしょう。
物語は彼らに触れらてなかったし📝。
けっして医療従事者が建築業者に無頓着というわけでもないが『肖像』では桜宮小百合の罠にはめられるべくしてはめられたとすべきでしょう📝。
『輝天炎上』を恋愛モノとして読んだら天馬くんが主人公、別宮葉子がヒロインなわけだけど冷泉深雪が新規のヒロインになるわけだ。
だけど、彼女は桜宮一族とは天馬くんや別宮葉子とちがい桜宮一族に一切の因縁はないように思われる📝。
恋愛小説なら当然、別宮葉子のライバルとなるわけだが『桜宮サーガ』としての位置づけはどうなるのか。
少なくとも冷泉深雪が東城医大に愛着や帰属意識があって彼女なり真面目に医学に勤しんでるのは伝わる人物。
深読みかもしれないけど遠くない未来に天馬くんが桜宮小百合・すみれ姉妹にたぶらかされ(?)東城医大に仇をなす存在になった時に冷泉深雪が相対する存在になるのか……?📝
あるいは何らかの事態が生じて上記とは逆の立場になる因果関係が将来にないとはいえない。
ふと思うけど天馬くん別宮葉子さん冷泉深雪たちの世代は昭和の終わり頃か平成か。
天馬くんが『螺鈿迷宮』の冒頭、でんでんむしこと碧翠院のむかし語りの雰囲気からしたらおそらく昭和世代と思われるぽい📝。
おそらく昭和後半世代だろうと思われる。
天馬くんは落第生、別宮葉子さんは記者、冷泉深雪は優等生三者三様だから、それでも天馬くんは冷泉深雪と浪速にふたりだけで勉強しにいきながらもほんの少し手を出した程度といちおうオオカミにならないで紳士的対応を果たした。
天馬くんはそれこそ田口先生より女性に恵まれてるのになまじ『螺鈿迷宮』での桜宮すみれ・小百合姉妹に関わったことで他人とは異なる人生を歩んでると思う。
田口先生は大人だからたびたび作品内で邂逅しある程度、割りきってると思う。
だけど、天馬くんにとっては碧翠院のことはあまりに衝撃的でありほんの少し前のことであって現在進行形である。現在進行形なのはつねに胸や心に在るということ。
『螺鈿迷宮』から『輝天炎上』までの登場人物で印象に残るのは高原美智さん。
『螺鈿迷宮』で数少ない亡くなることのなかった唯一の患者。
『ケルベロスの肖像』では田口先生たち医者側から、『輝天炎上』では医学生としての天馬大吉から語られ末期癌であり癌が全身に転移してたのに長く生きてた。
田口先生にとっても桜宮すみれの影響や影が彼女を通して見ることができた数少ない人物と思われる。また天馬くんにとっても自らと同じ碧翠院の生き残りであり亡きご両親と同じくらいの親代わりの存在でもあった。
おそらく高原美智さんの治療に薬などはそんなに使われてなかったでしょう。必要程度の治療はあっただろう。
だけど、看護師の献身的な看護より自らが生きるぞという芯や内に秘めたものの方が病気に打ち勝つ姿勢があらわれてたと思われる。看護師にとっては日々、疲労だろうけど。
こういう患者さんも実際の医療現場に多くいるでしょう📝。
日本では安楽死は認められてないけど海外の一部の国では認められてる。
だけど『螺鈿迷宮』の碧翠院ではそれが為されてた。
『螺鈿迷宮』は『田口白鳥シリーズ』とは異なり物語が一線を画してる。雰囲気としては戦前戦中戦後、いずれにもあてはまるくらいおかしくない物語📝。
『輝天炎上』では天馬くんの言葉を借りて冷泉深雪に伝えられる。聞いてる側にしたら正しい聞き方や受け答えもできるしまた間違った聞き方受け答え方もまたできる。
それもまた正しい間違い問わずそれもひとつの聞き方。
天馬くんにとっての正しいヒロインは別宮葉子さんと思うけど冷泉深雪のポジションはまた鏡写しではないだろうか?
『輝天炎上』で恋愛関係に至らないにせよ友だちや同級生以上の関係ではあると思う。だけど恋人未満。
田口先生にほんと女っ気ないのだろうか。
『栄光』ではグロリアス・セブンのひとり大友さんに好意はあったが藤原看護師にじゃまをされ『凱旋』では如月翔子から本気やからかいともつかない言葉を向けられ決して魅力がないわけではないと思う。
高階病院長からの抜擢と同じで本人がある程度、自身について無自覚と思う。『領域』で如月翔子は“変わらないな”と思ったのは好意的な意味。恋愛感情はおそらくないでしょうけど密かに同僚として頼れる男性として見てる。
天馬くんは自分が別宮葉子と冷泉深雪とうら若き乙女ふたりに囲まれて若いし学生だからなおさら女っ気がないなと思うだけと思う📝。
世代によっての感覚を海堂尊先生は上手に書きわけてる📝。
天馬くんは東城医大に愛着はないとは言うけれど、彼なりに愛着や帰属意識はあると思う。
『螺鈿迷宮』の時は自らをモラトリアムと称し落第学生ではある。だけど『輝天炎上』では心をそれなりに入れ替え桜宮巌雄、白鳥圭輔というふたりの異なる人物からの影響が見てとれる節がある📝。
田口先生を甘く見ながらもやり込められたのを自覚し彼を卑怯と思いながらもAi会議に参加する。
これが以前の彼ならAi会議になんの興味さえ持たなかったと思う。
『輝天炎上』を読むと『田口白鳥シリーズ』の白鳥さんの役割を『輝天炎上』で彼が担ってたようにも思える。
もっとも『肖像』側の主要人物たちは田口先生を含め真相をほとんど知らないままだけど。
いろいろな読み方ができるのが『桜宮サーガ』の魅力に思える📖🌸。
田口先生みたいに過去の女性に思いを寄せながら浮いた話がひとつもないのと天馬くんみたいに別宮葉子さんと冷泉深雪さんのふたりの女性に挟まれるのどっちがしあわせななのか(苦笑)。
『肖像』の田口先生が桜宮小百合すみれ姉妹に思いを寄せるのと『輝天炎上』の天馬くんの三角関係(?)は対照的に書かれてる感じする📝。
田口先生は『領域』でも如月翔子からは“このひとは変わらないな”と変わらない印象を抱かせるのはある意味、スゴいことと思う。
『肖像』で次期病院長として高階病院長から推薦され受けながら彼をやり込める器なのに。数年経っても変わらない印象を抱かせる。
ある意味、田口先生が大物ではないかと思う。
天馬くんはまだまだ未来ある若者だからいい医者になれる素質はおそらくある。だけどそこに桜宮姉妹がどう関わるかで光にも闇にもなるかもしれない📝。
海堂尊先生がどこまで本気かは別にしても医療庁というのもひとつの思想📝。
スカラムーシュ(大ボラ吹き)・彦根くんは虚実どちらも使う巧みな話術。どちらも本当どちらも嘘とも取れる。
必ずしも田口先生は彼が後輩であっても思想はたぶん一致してないところはある。
田口先生は身内への評価はあまく優しくもある。
だけど村雨府知事は思想のズレや違いを理解してるのかベクトルはおなじでも到達するところは違うのを自覚してる。
医療従事者と政治家の感覚の違いもあると思う📝。
『肖像』のラストで彦根くんと斑鳩室長の会話で“勝ち負けはない”というけどAiセンターという税金でつくった箱モノを桜宮小百合の私怨で潰したんだから斑鳩室長には責任を取ってもらいたい。だけど『肖像』は物語の真相は闇に葬られてるから物語内の市民は知らないまま。
斑鳩室長は闇の中のひとにしか思えない。
『桜宮サーガ』をあとがきや『伝説』で『シムシティー』に喩えられてたけどシリーズを読むたびにそう思う📝。
はじめは『チーム・バチスタの栄光』で桜宮市を舞台にする東城医大から少しずつ話が広がり『イノセント・ゲリラの祝祭』で霞ヶ関になりここで医療におけるAiの役割が説かれてゆく🏢。
『螺鈿迷宮』で東城医大と対になる(?)碧翠院が舞台となり落ちこぼれ留年生である天馬大吉を主役として桜宮市の地域医療の光と闇が書かれる📝。
時が近い時期として『極北クレイマー』による地域地方医療も問われる。第三セクターや税金の無駄遣いによって地域地方病院がつぶれるかもしれない危機感を『田口白鳥シリーズ』の田口先生に似た今中先生を主人公に据えて語られる。
『極北シリーズ』においても東城医大の血脈を受け継ぐ速水先生が舞台にいることや後に世良先生が出てくることで桜宮市と東城医大と無関係でないことを匂わす。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』では東城医大とは別な意味で対をなす帝華大の清川先生が数少ないが活躍する。清川先生は『極北クレイマー』でもわずかながら活躍する場面があり彼なりに医療や産婦人科医を守ろうと奮闘する。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』は女性の出産や代理出産、流産など女性の生き方がテーマに思える。代理出産の在り方がテーマですけど📝。
物語を過去に移すと青春小説まんまな『ひかりの剣』、そして皮肉にも『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』につながる『ブラックペアン1998』。
また未来に目を向ければゴールドスリープ(冷凍睡眠)にいかなる法律が適用され被験者や被験者のまわりの人物たちが何を託せれるのか問われる。
『夢見る黄金地球儀』もまた『桜宮サーガ』の未来に位置する作品だけど医療よりは『ルパン三世』ぽいミステリー📝。
こちらにもわずかながら近未来の(といっても差ほど未来ではない)桜宮市が書かれてる。
過去、現在、未来だけでなく日本地図のまま描いてる雰囲気ある。
桜宮市をはじめとしていくつか架空の地名や地方都市を舞台にして📝。
『螺鈿迷宮』を初めに読んだ時は白鳥さん側の立場だったけど読むたびにむしろ碧翠院側に立ちたくなる気持ちも芽生える。
桜宮の闇や死を一手に引き受けてたことを考えたら桜宮の地にいる人々はその恩恵にあった。
だけど一方では法で禁止されてた安楽死の闇もある📝。
安楽死は厚労省である白鳥さんや姫宮香織には見過ごせない事実。患者にとって死がしあわせであっても見過ごしてはいけない“何か”がある。
『螺鈿迷宮』はそういうところを追求してる。病気に身を委ねたり負けるのではなく生きることに意味を見出だす“何か”📝。
天馬大吉くんを通して見る“生・老・病・死”の“死”。
内容が『ブラックペアン1988』より中身が昭和時代の名残が『螺鈿迷宮』にはそこかしこに残ってる。先にも書いたけど戦前戦中戦後という碧翠院を通して時代が見える。
ある種の怨念みたいに📝。
『螺鈿迷宮』での碧翠院側の立場に考えたら東城医大と戦おうと気持ちもまた理解できる。
自分たちが経営難になったからサテライト病院を潰してその役割も担おうというのはおこがましい。
高階病院長はそんな意味では大きく考えや判断を誤ったといえる。だけど『肖像』や『輝天炎上』で桜宮巌雄先生に敬意を持ってたのは本心からと思う。
結果的には碧翠院を潰したことはまわりまわって桜宮小百合の手で過去の医療ミスが明らかになり復讐はいちおう成される。
『桜宮サーガ』の桜宮市自体は架空の地方都市だけど現実に置き換えたら自分たちの住んでる土地にも大学病院や医療センター、診療所などある。そこにはむかしからの人々の歴史の積み重ねや営みある。
医療も地方自治のひとつでもあるのは『極北シリーズ』『ナニワ・モンスター』でも書かれてる。
知らないところで恩恵もあるのも事実📝。
『螺鈿迷宮』での白鳥さんの診療は医療の常識からいえばむちゃくちゃ。だけど患者が納得することも大切。白鳥さんなりの愚痴外来とも表現できなくもない←作品中ではそう表現されてませんが。
医療が市民に開かれたモノになるのも同時にむずかしいと思う。
官僚がそっちのけなのはやむをえないけど医療従事者がそうだとは限らない。
ある程度、医者と患者が世間話や愚痴ひとつ話すのも大切なことのように思える。
『田口白鳥シリーズ』で田口先生が主人公だけどさえなく出世に目も向けないけど不定愁訴外来(愚痴外来)という位置付けがあんがい大切なのかもしれない🏥。
『螺鈿迷宮』での白鳥さん、『極北クレイマー』の姫宮さんは田口先生が意図しないところで彼を見習っているのかも。『ナニワ・モンスター』の菊間父子も(笑)📝。
『桜宮サーガ』はたんに人物の行き来以外にも官僚や政治が大きく伝わりフィクションでもまわりまわって現実に伝わっていると思う。
一見、無関係な事柄や人物がとある物語ではたんにすれ違うだけの些細なことでも別な物語ではそれが主題の一部や欠片になっている。
白鳥さんが官僚のなかの異端児やモンスター、部下である姫宮さんと共に数少ない市民の味方として書かれている(と思う)。
Aiセンターを警察主導ではなく医療主導で動かすことで市民の手に委ねようとするも『肖像』で手酷くやられる。
代替案として未来科学センター(コールドスリープセンター(冷凍睡眠))。
Aiセンターの動きが浪速にあることを『ナニワ・モンスター』で掴んでいるけど浪速の地は手が届かないから聞きかじるだけ(みたい)。
『極北シリーズ』でのことをまんま自分の地元に置き換えたらふつうにこわいこと。病院がなくなるかもしれないんだから。病院や診療所の連携もさりげなく書かれてる。
『ナニワ・モンスター』もまた同様。
だけど『ナニワ・モンスター』を冒頭読んでこわいのは未知のウィルスがふつうに市井の人々に感染する恐怖。インフルエンザウィルスなどにも触れらながら📝。
一厚労省若き官僚である白鳥さんでも警察庁内部の非合法特命組織には手を出せないんでしょう。
加納警視正の動向もあるでしょうし。
だけど斑鳩室長より上がいるんでしょうか。いないわけではないだろうけど。
斑鳩室長側がどうしても悪役に見えてしまうのは否めない。白鳥さんに彦根くん田口先生をマークはしてる彼ら。
東城医大が『肖像』から『領域』までの間にも艱難辛苦はあったと思うけど。
白鳥さんは南雲杏子の存在を『弾丸』で思い出している。
碧翠院の生き残りは桜宮すみれ・小百合姉妹、そして南雲杏子だけ。
南雲忠義から捜査できそうだけど彼は警察寄りかつ斑鳩室長に近い存在。そこがまた斑鳩室長とは別にまた不気味📝。
『アリアドネの弾丸』あらためて再読したら斑鳩室長側たちやり方が乱暴。
彼らがいう“下策”では東城医大をつぶすのは不可能。たしかにマスコミや外、および読者からしたらセンセーショナルではある📝。
だけど詰めがあまい。高階病院長が銃を扱えるにしてもプロではない。せいぜい趣味の一環程度。
素人がかんたんに相手を撃ち殺せるかというのかという初歩的な疑問もある。
それにコロンブスエッグは金属を吸着させる特質がある。
拳銃に限らずあらゆる金属を吸い付ける。
本当に高階病院長が気を失ってたか?という疑問も存在する。
仮に読者が犯行する立場になって考えたらむしろあちこちに穴がありすぎる。ただそれを合理的に説明する手段を持たないとならない。
むしろ“上策”で長く東城医大をつぶす算段をした方が合理的だったのではと思う。
『桜宮サーガ』で倒すべき黒幕は斑鳩室長でしょうか。
この人を間接的ながら止めることができるのは加納警視正くらい。
だけど東城医大を潰すことへの気持ちは桜宮小百合に匹敵するくらいは秘めてそう📝。
『ケルベロスの肖像』でとりあえずは終わってる。代理戦争として浪速決戦がある。
彦根くんは村雨府知事は高階病院長とはちがうとはあったけど。
『アリアドネの弾丸』をあらためて再読したら警察官僚は一方でAiを貶めながら一方では隷属させたい歪んだ思い。
医療従事者ほどに医療を透明な気持ちでは見れないあらわれ。
加納警視正や玉村警部補は東城医大にある程度の好感は得てる。だけど組織としては少数なことにかわりない。
官僚といっても若いし会議を設置するには白鳥さんたちでさえようやく場を開ける程度。
会議がなければ根づく芽でさえ土に埋められない。官僚の骨抜き会議を白鳥さんは打破するのもひとつの手。
八神課長にいいようにされては厚労省を内部から潰せない。
斑鳩室長をどうにかできるとしたら加納警視正と白鳥さん、『アリアドネの弾丸』で警察官僚の闇が斑鳩室長なのは明らかになったけど厚労省官僚である白鳥さんはうかつには手は出せない。
白鳥さんの立場からしたら碧翠院の生き残り桜宮すみれ・小百合姉妹から南雲忠義、そして斑鳩室長にたどり着かないと戦えないだろうか📝。
三枝先生が『極北クレイマー』で逮捕され大事になったわけだし。
彦根くんにとっても斑鳩室長は敵対視する存在対象。
『桜宮サーガ』で怖い人物なのは桜宮巌雄先生も怖かった。
だけど『螺鈿迷宮』を読むと巌雄先生は意図したところあるしあえて闇を背負うというの医療を守るためという確固した意思があった。
南雲忠義、死体を解剖しながら死体の身元を割り出す鋭さや才能は見事と思うけど。北の土蜘蛛の異名や斑鳩室長のもとにいること考えたら怖い人物。桜宮一族と親交あったにせよ怖い人物はかわりない。
『アリアドネの弾丸』の北山錠一郎や宇佐見警視は悪意が目に見えるぶんわかりやすい。
全体を把握したところ斑鳩室長が怖い人物📝。
『チーム・バチスタの栄光』の氷室先生も怖いけど。この人は道を間違えただけという可能性もある。
斑鳩室長は悪意や敵意は見えるけどやり方が目に見えないもしくは目に見えにくい。
『アリアドネの弾丸』のラストでのこの人に憤りする白鳥さんには共感する。おもてに出てきてるのにおもてに出てこないやり方。
海堂尊作品はあとがき解説が事細かに記されてる📝。
『ナニワ・モンスター』もまさにそれ。
二部の検察を舞台にしたところは一見すると別作品の様相📝。けど怖いのは斑鳩室長。
『桜宮サーガ』の最もな悪の存在に見えてしまう。もちろん斑鳩室長この人なりの正義はあると思うけど📝。
なんだか八神くんが気の毒。『イノセント・ゲリラの祝祭』では白鳥さんにハシゴ外しをされ『ナニワ・モンスター』では見てはいけない霞ヶ関の一面を見てどんどん格好悪くなる。
白鳥さんは『ナニワ・モンスター』ではほんの顔出し扱い。桜宮市と浪速のAiについての動き程度だから📝。
彦根くんと鎌形はまた相容れない同士でしょう。たぶん。
海堂尊先生の作品を読むと自身の体験や取材が生かされてるんだと思う。
たぶん医者としてできたことできなかったことあるいは医者としての理想や欠点など盛り込みながら。
作品内の田口先生の愚痴外来は経済的収益は現実には見込めない医療でしょう。
だけど、世の中にはそういうことも必要ですよと訴えてるメッセージもあると思う📝。
速水先生みたいに救命救急医療にヒロイックだけど経済的観念がなかったり彦根くんみたいに病理医なのに診断はネット越しに他人まかせだったりフィクションとしてデフォルメされてる。
個人的な主観ではあるけど『極北』シリーズがもっとも等身大にみえる医療に感じた。地域地方医療の在り方や第三セクターによる赤字など。
『極北クレイマー』では赤字による無駄遣いで市民病院が潰れかかるもラストで医療債権人の世良先生の登場によりラストだけ読めば『極北クレイマー』は光明が射すように思える。
だけど続編『極北ラプソディ』ではみごとに裏切られる。主人公の今中先生も読者も📝。
再び今中先生は迷いながら隣の雪見市救命救急センターに派遣(タダ働き)されながら答えはすでに出てることに気づく。
地域地方医療が何によって支えられ何が足りないのか見直せる作品。
そういう意味では身近な作品。
本来は医療があたたかくあつく看護するのが本来の方針ではあるんだろうけど、現実はそれがむずかしい世の中になってる。
田口先生の愚痴外来みたいなのは現実にどこまであるかといったらむずかしいでしょう🏥。
本当に病気である患者もいれば病気と思い込むことで病気やなにかとたたかう患者たちもいる。なにかしらちょっと不満のはけ口がほしい世の中。
『桜宮サーガ』の田口白鳥シリーズの愚痴外来もそのひとつ📝。
愚痴をいうことで不満を口に出すことで病気に負けないようになる。
『桜宮サーガ』の世界では田口世界の愚痴外来は北海道極北、浪速とウワサは少しずつ広がってるよう。『バチスタの栄光』でもとある人物が愚痴外来をしてみようかとつぶやいてた📝。
現実においては救急医療が一方では縮小されたりドクターヘリ配備などいろいろ山積。
救命救急医療が赤字になるのは採算が合わないのもひとつの事実。
速水先生みたいに“将軍(ジェネラル)さま”みたいな人物は少ないと思うけど。
速水先生はヒロイックに書かれてる。いわゆるオレさまキャラに近い。
なんせ『凱旋』においては三船事務長からは唯我独尊、部下である佐藤先生からは経済感覚がない。『極北ラプソディ』では桃倉センター長から備品の無駄遣いはするなと咎められる。
現実におそらくこんな人物いたらたぶん救命救急は潰れるでしょう。
現実的に考えたらぎりぎりの境界線で救命救急医療に携わってると現場は思う。
『伝説』においては速水先生が北海道にいってしまったオレンジ病棟を預かる佐藤先生や如月翔子らは佐藤先生の意思を受けてテレビ取材を受ける。
だけど冒頭は救命救急の彼らがヒマをしながらテレビのフライトドクターを見てる場面から始まりさっそくフィクションと現実が違うことを揶揄する。
この辺、些細なことだけど海堂尊先生が現実から辛辣に突きつけてる。
医療現場がドラマほど格好よくありませんと前提してる📝。
そのわりには速水先生の活躍は『凱旋』『伝説』『極北ラプソディ』ではドラマティックに書いてある📝。
『伝説』での佐藤先生如月翔子たちの活躍もきびしい言葉を向けながらこれもまた現実ですと示唆してる。
どちらもある意味、正しいと思う。フィクションの面で許されること現実では許されないきびしいこと両方がフィクションと現実の狭間に存在してる危うさ。
『桜宮サーガ』はフィクションではあるけどどこか現実を投影してる。
『桜宮サーガ』のシリーズを読むとどこまで医療ミスと呼べばいいのかわからなく。
もちろん『チーム・バチスタの栄光』の氷室医師みたいに意図した殺人はいけないが。
『ブラックペアン1988』のラストのように患者の身体や人生をまっとうするためにやむを得ずペアンが身体に残る事例もある。
このペアンが長い時と皮肉にもAiセンター創設という場を経てAiによって画像解析された形で『ケルベロスの肖像』で露になる。
医者がやむを得ず、という場合や事例があるのもおそらく事実もしくは事実に近い例もないとは言えない。
そういった医者の良心もあるのではないかとも思う。
だけど、当事者になった場合に多くは医療ミスと批判し涙する側にもなる可能性もまたある。
『伝説』の残照----2007の髑髏革ジャン男みたいにいくら愛する人を助けたいからといってこれから緊急手術におもむく医者や看護師に安易に医療ミスするなと言うのもどうかと思う。
『凱旋』『伝説』『極北ラプソディ』では救命救急の医療のむずかしさが問われてる📝。
助けられる命はあっても不幸なめぐりあわせはある。
『祝祭』の序章の“賢人と街人”、賢人が彦根くんを指しているかどうかはわからないけど彦根くんが日本だけで世界にも活躍してる病理医なのも事実。
西郷先生なども活躍してるけどいかんせん描写が少ない。
彦根くんはあちこちでスカラムーシュ(大ボラ吹き)してるのはたぶんに事実でしょう。
『ナニワモンスター』の鎌形さんが覚えていたことも含めかつての医師ストライキは事情を知る人物には彦根くんは警戒すべき人物。
彦根くんはあえてまわりから恨まれようと憎まれようと我が道をいき目的を達成しようとしてる。おそらくその道は引き返せない茨の道。
『祝祭』でゴルゴダの丘という表現あったと思うけど物語の進行しだいでは白鳥さんより先に十字架を背負うのではと思う。
彦根くんに関わる人たちは感謝と恨みが半分ずつなのでは。すべてではないでしょうけど📝。
『肖像』の桜宮市のAiセンター崩壊は『スカラムーシュ・ムーン』の前哨戦に過ぎなかったとも取れる。
けどあの不気味な斑鳩室長に勝てるか疑問。
斑鳩室長は『アリアドネの弾丸』で宇佐見警視と北山錠一郎を捨て石にする怖さ。斑鳩室長は底が見えない📝。
『ナニワモンスター』で検察側が書かれてるのもリアリティ。だけど主要な人物は大阪弁。
この辺の人物のディフオルメもまた海堂作品のひとつの特徴。あだ名も含めて📝。
だけど、検察のガサ入れ調査もあったと思うけどフィクションとはいえ迫力あった。鎌形なる人物、普段はサングラスをつけながら意外にも目はきれいというのは読んでてやや裏切られた感じ。
おそらくサングラスは社会で生きていくための装い、本心をまわりに悟られないため。
けど厚労省をガサ入れというのもまた驚いた。八神くんはまたやられたような対応。
白鳥さんと対になる八神くん『ナニワモンスター』『モルフェウスの領域』でどんどん転落していくように思える。
白鳥さんは出世を望んでないだろうから室長として企画を立ち上げ実のある(?)箱モノ事業をしていくだろうけど。
そうなると、素直に彦根くんとの関係が逆に足を引っ張る可能性がないとはいえない。すべてにおいて彦根くんと共鳴してるか否かで変わることもある。
Aiセンター設立が『肖像』で斑鳩室長、桜宮小百合によって破壊はされた。だけど浪速にAiセンターが設立される動き。
この浪速決戦もまた白鳥さんの運命を左右することになる可能性もある📝。
彦根くん対斑鳩室長の決戦は無縁ではない。
『桜宮サーガ』は一見、無関係な事柄のように見えてまわりまわって人物たちに大小関係なくわずかでも関わってくることある。現実と同じように📝。
わずかなニュースや記事ひとつでも人物たちはそれを気にする感覚がふつうにある。
『ナニワモンスター』の第三部ドラゴンの表紙の日本地図がなぜ関東、東日本、西日本とそれぞれが三分割された地図なのか奇妙に思ったけど『極北ラプソディ』のドクタージェット構想と結びつき合点がいく。
彦根くんはあちらこちらに人脈があるのも納得。
だけどいくつかは現実とシンクロした部分はある、フィクションである小説な点もある📝。
医療庁、ドクタージェット構想、日本三分割など現実としては不可能に近そう📝。フィクションとしてはおもしろい📖。
現実的に考えたら彦根くんみたいな存在はできるできないに関わらず官僚がもっとも嫌いそうな存在はおそらく間違いない。作品中においては白鳥さんのみは共鳴してる節はあるけど📝。
『桜宮サーガ』で物語を牽引するために白鳥さんみたいな人物を設定してるんだろうけど『イノセント・ゲリラの祝祭』と『極北クレイマー』にあるメタボへの皮肉。
白鳥さんは田口先生同様に出世は望んでないにせよ彼は厚労省に属すること厚労省を内部から崩してゆく。
Aiやコールドスリープ(冷凍睡眠)にしても国の税金あって成り立ちそれに救われる国民がいるのもひとつの事実。
白鳥さんのAiについての動きは『沈黙』『凱旋』で小さな枠組みとして東城医大に出され『祝祭』で花開く。
けど『肖像』で桜宮Aiセンターはつぶされる。
しかしAiの理念や理想はすでに桜宮市や日本を越えて世界に飛んでいる。
Aiセンターという箱モノはつぶされたに過ぎない。
桜宮すみれ・小百合姉妹また斑鳩室長と南雲監察医が今後、どう動くのか。
すみれも小百合も公には亡くなってる人物だからおいそれとおもてに出てこれないはず。
だけど田口先生たち東城医大にしたら不安要素ではある📝。
『螺鈿迷宮』で巌雄先生が白鳥さんのやることが光を当てれば必ず誰かが妨害すると言い残した。
それは斑鳩室長か南雲監察医かすみれ・小百合姉妹か。
あるいはまったく別な人物だろうか。
『モルフェウスの領域』の未来科学センター(コールド・スリープ)は涼子が眠りにつくことで法的に守られた。
だけど人物が生きている限りは物語は続く。
あらためて読み直すといろいろな形で医療について警鐘を鳴らしてる。
『凱旋』においての論理もまたひとつのあらわれ📝。
医療において過去、軽んじられてきたことが時代が平成になりモノの価値観や見方が変わってきたことで医療従事者たちは危機や窮地に陥ることになる。
患者を守るのもまた医者や看護師でもある。
『凱旋』において速水先生は論理を軽視してたといえる。だけどそれが必ずしも本心でもないと思いたい。
『極北ラプソディ』でも速水先生の考え方はドクターヘリを運営してる会社にしたら彼のやり方は会社の規則違反という壁にぶち当たる。
会社の大小に関係なくそこにもまた社会の論理がある。
どこかで何か得たら何かは手元から離さなくてはならない。
『凱旋』『極北ラプソディ』の速水先生の物語はどこかそんな一面ある📖。
東城医大においてのエシックスコミュニティは半ば無用の組織。
もちろん倫理的判断は組織に必要。だけどエシックスコミュニティは処罰権を持たないという。
もし沼田先生が処罰権を行使する立場にいたら『凱旋』で速水先生は懲戒免職は確実だった。
追求することはできても処罰権がなかったからなにもできなかったに過ぎない。
『栄光』『沈黙』『凱旋』を経て田口先生の名前が徐々に広がっていってる📝。
兵藤くんはともかくとして田口先生を認めていってたのは『栄光』の桐生先生、まったく真逆かつ速水先生とは少し意味が異なるヒーロー性質を持った人物だけど人を見る目はある。
『凱旋』の沼田先生も田口先生(背後にいる藤原看護師あって)がやり手であるのは物語の早い段階では認めてはいる。不本意ではあるだろうけど。
だけどエシックスコミュニティが東城医大の足を引っ張るのはいかがなものか(--;)。
頭脳を少し違った道に使ってしまったゆえの悲喜劇な人物。
沼田先生たちのエシックスコミュニティが東城医大の弊害のひとつなのもまた事実。
評判の悪さにおいてはおそらくこの上ない。
だけど必ずしも黒崎教授が沼田先生やエシックスコミュニティを推してるわけではないのは『伝説』や後々の物語の顛末を知ればわかること📝。
だけど組織内対立としては必要な一面もある🏥。
比較かどうかべつにしても三船事務長の厚労省役人としての杓子定規もある。
だけどエシックスコミュニティが半ば異常なのもある。ことごとく提案を下げていく。
エシックスコミュニティに明確に反発の意思を示してるのは田口先生の旧友でもある放射線技科の島津先生またはがんがんトンネルの魔人📝。
島津先生の部下である神田技師は沼田先生のグループのひとり。
『伝説』では反発の意思を示すものの『伝説』以降は会釈する程度の礼儀を田口先生にわきまえる。
『ジェネラル・ルージュの凱旋』で白鳥さんが三船事務長を“食い逃げ三船”と言ったのはある程度は事実でしょ。
だけど『ケルベロスの肖像』の時点や前後で逃げよう思えばたぶんにとんずらできたでしょう。
だけど彼はそうしなかった。Aiセンターをきっかけに東城医大の予算(の一部)が白鳥さんが握ってるから言い訳できない余地はあったしある程度の理解は示したとも考えられる。大人の事情として📝。
東城医大が経営難なことは『沈黙』の小児科、『凱旋』の救命救急の二本柱ですでに沈没寸前。
結果的には時代の流れや東城医大の経営の難しさからある程度切り離される。
昭和時代のバブル期のように巨大肥大化した組織のようにはならない。
『極北クレイマー』から『極北ラプソディ』の極北市民病院同様にある程度、組織として縮小化しなくてはならない。
必要性ある医療や業務は最低限残しながらやりくりしていく。
けど『チーム・バチスタの栄光』でその兆候はすでにあったと思われる。
病院長室より患者やお客さんあるいは医学生のための展望レストラン🍴が病院長室より“上”にある現実📝🍴。
『桜宮サーガ』においても役人には様々なタイプがいる。フィクションではあるしデフォルメもあるけど(苦笑)。
白鳥さんみたいに型破りな人物はおそらく現実にはいないし現実にいたらそれこそ霞ヶ関官僚(候補)になるのはむずかしい。
加納警視正みたいにキャリアでありながら『踊る大捜査線』のノンキャリアみたいに足まわりが軽いキャリアも現実に理解はあるだろうけど。
白鳥さんの唯一の部下である姫宮香織は有能ではあるが一見、どんくさい印象。それは第一印象なだけ。中身は有能かつ優秀。けど杓子定規。
東城医大の財布を預かる三船事務長にしても役人として体裁もあるから杓子定規な一面はある。
だけど三船事務長は現場を速水先生に見せられたことで少し考え方を軌道修正してる模様。
だけど東城医大が作品内で幾多の事件に遭うなかで経営難なことを事務屋や病院長に近しい者として一応の理解は示す。
加納警視正は東城医大にある一定のシンパシーを持ち三船事務長にしても東城医大を潰さないように配慮はする。
官僚や役人なりの距離の取り方は見えてしまうのは大人や官僚の事情からやむ無しというのもある。
エリート街道を歩く八神課長はなんだかんだで白鳥さんから“ハシゴ外し”される。
エリート故の悲喜劇。
『イノセント・ゲリラの祝祭』において役人が良くも悪くも杓子定規や“仏つくって魂入れず”の箱モノ事業の本質が書かれてる📝🏢。
白鳥さんだけが作品内で型破り。税金を使ってることに変わりないけど。
碧翠院桜宮病院をつぶすという行為はある一面においては正しい。
しかし結果的に光も闇も取り込めば耐えきれず自ら重荷となる。
東城医大が出した結論は桜宮すみれ小百合姉妹から憎しみを買ったが故にたびたび小百合と斑鳩室長から手を出されることになる。
『ケルベロスの肖像』で東城医大が高階病院長が過去の医療ミスが露になったのはやむを得ない。
だけど『ナイチンゲールの沈黙』の浜田小夜のように桜宮家の“闇”に取り込まれた者もいる。
ふつうに自首をしとけば『ナイチンゲールの沈黙』=ナイチンゲール・クライシスは大事には至ってない事件。
『ナイチンゲールの沈黙』は『螺鈿迷宮』への序章でもある📝。
海堂尊先生は意図して内山聖美先生みたいにちょっと小児科を甘く見てる先生や看護師などもいるということでしょう📝。
必ずしても聖人君子のように人物たちは書かれてないのも特徴。
田口先生のように愚痴外来を大学病院の片隅でしながら病院長や白鳥さんのムリを聞く。
あらためて読むと白鳥さんから田口先生へのルートはできてる。ある意味、高階病院長もしくは田口先生みずからがクッションになるかのように。
白鳥さんは『ナイチンゲールの沈黙』および『ジェネラル・ルージュの凱旋』と同時間内で動く物語のなか東城医大を動き回る。
基本は事件捜査だけど速水先生や島津先生と接触を持つことになる。
白鳥さんはたしかに他人に不愉快を与える人物ではある。ペンペン草も生えないくらい『バチスタ』にあったけど本当にそうだろうか思う。
たしかに生えないくらいのダメージを人物や組織は衝撃はあった。だけど瞬間ないし直後にある程度なのでは?と思う。
東城医大は鳴海先生という人物をバチスタ・スキャンダルで失った。
代わりにAIセンター推進という動きが後々、物語に浮上してくる📝。
田口先生は霞ヶ関の会議に出ることになる。
“身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあり”を体現してる印象もある。
加納警視正と玉村刑事の登場で背景に警察の存在が見えてくる『ナイチンゲールの沈黙』。
同時に『ウルトラマン』のパロディ特撮作品である『ハイパーマン・バッカス』それを愛するアツシ少年。
今作品のみの登場と思われる薄幸のヒロイン由紀。
小児科医療に関わる問題が殺人事件を絡めながら浮き彫りになっていく📝。
法医学とAiとの関係性。官僚と医療の相性の悪さなど後々のシリーズで明確になっていくことが提示されていく📝。
『ナイチンゲールの沈黙』自体は牧村瑞人の父親を誰が殺したかがメインテーマ。
AiにならぶDMA(デジタル・ムービー・アナリシス)の登場。この機器は『アリアドネの弾丸』でも活躍するメカニック。
田口先生の評価は舞台である東城医大のなかでは高いと思われる。
もちろん本人としては出世欲は微塵もないだろうけど。「チーム・バチスタの栄光」のラストでほんの少しささやかに思う程度。
だけど病院内では人物評とは別に高階病院長から使い勝手もよく重宝されてるとまわりが思うくらいの評価はある。イコールそれが能力評価かはまた微妙だけど。
組織に属しながら不定愁訴外来はほぼ窓際に近い組織から外れたところ。
それでも病院内からは不定愁訴外来は必要不可欠でもあるとされる📝。
東城医大には個性的な人物が揃ってる大学病院。
海堂尊先生が書く人物は誰もが魅力的。性別や老若男女に関係なく📝。
たぶんにデフォルメされながらもとになった人物がいてもふしぎでないと思う。
『ナイチンゲールの沈黙』の頃はまだバチスタ・スキャンダルから回復した余裕が高階病院長に見える。
だけど『ケルベロスの肖像』に至る頃にはそんな余裕さえなく大学病院経営が切羽詰まった危機的状況にさえなる。
『ナイチンゲールの沈黙』のヒロイン浜田小夜が桜宮家に関わる者として彼女に闇があった見抜けさもなかったのもある。
桜宮家の闇はもしかしたら至るところに及んでるのではと思わなくもない。考えすぎやオーバーだろうけど。
ただ『桜宮サーガ』が一種の『シムシティ』としたら現実にも目に映らないだけで光と闇が交錯してなおかつ目に見えない日常と非日常あって目に見えない作為や不可抗力によって日々、過ごしてるのではと重なる📝。
大学病院や医療センター、町の診療所なども人々や時間の積み重ねで成り立ってる。
『桜宮サーガ』は架空ではあるけどそばに在る現実と変わらない📖。
シリーズを通して読むと田口先生の不定愁訴外来(愚痴外来)の患者数が一定してないのも伝わる。
時系列の変化と共に浮き沈みがある。
これは東城医大の各科の先生たちが不定愁訴外来に自分たちの患者があちらに行ってしまうのを懸念し患者の接し方が変わったから。
各科の先生たちが患者の言い分をクレーマーとして扱わなくなったと思われる📝。
不定愁訴外来を毎日にしたら田口先生の労働力はとてつもないモノになると思う。
基本的に週三日のなか高階病院長を通した白鳥さんからのオファー、Aiに関わる会議、リスクマネジメント委員会を兼ねているわけだからとてもではないけど不定愁訴外来を毎日というのはまず不可能。
会議に不慣れな田口先生でも会議に出席し発言しなくてはならない。
不定愁訴外来みたいな科が病院において必要と海堂尊先生が警鐘ないしメッセージは流してるとも思う📝。
だけど現代社会において相手の愚痴や不満、批判など聞いて過ごす仕事は治療も兼ねているとはいえむずかしいと思う。
それだけ現代社会が人間の内面、特に心に負担がかかってると思う❤。
田口先生は愚痴が言いたい時は島津先生のもとに寄ってはAi絡みで相談してるわけだし。
『チーム・バチスタの栄光』のラストで田口先生は高階病院長に一生、頭が上がらないと思いながら『ケルベロスの肖像』ではそれまで白鳥さんから伝授されたアクティヴ・フェーズを駆使して逆に高階病院長をやり込める(笑)。
『ケルベロスの肖像』でAiセンター長でもある田口先生の“部下”に自らなってしまった高階病院長の敗因でもある📝。
一時的や緊急事態的措置があるにせよ上司が自ら部下の部下になってしまった高階病院長の人柄でもあると思うけど『チーム・バチスタの栄光』から『アリアドネの弾丸』までに田口先生と白鳥さんが名コンビになり田口先生は技量を身につけた結果でもある。
『チーム・バチスタの栄光』から望まないにせよ出世するきっかけを高階病院長は与えてたしなおかつ実行してしまった。
まあ大人社会の条件として必要不可欠な仕事を部下にさせてなにもなかったでは体裁が悪いのもある。大人の事情を汲んでる。
黒崎教授は『チーム・バチスタの栄光』や『ジェネラル・ルージュの凱旋』だと組織のこわいNo.2という印象を抱くけどだんだんシリーズが進むうちにコミカルになっていく(笑)。
もちろん過去の確執や組織内の対立はあるけど病院を経営や守るためなら自分を我慢することできる立派な人物に思える。
あえてNo.2に座ることで病院長である高階病院長を睨みまた守ることでもある。
時にコミカルなことができるのも黒崎教授の魅力でしょうね。たぶん📝。
それこそ全力を発揮したら高階病院長たちを排除することができるでしょうけどおそらく自分に大学病院を支えることはできないのを理解してる。
だからNo.2に座してる。また高階病院長みたいな発想はないかもしれない。
よく言えば現実的に対応できる人物📝。
『チーム・バチスタの栄光』をあらためて読むと兵藤くんのキャラはおもしろい。
情報に疎い田口先生にとっての“耳”。もちろん若干、情報の歪曲もあるけどそれは笑いの範囲。
だけど『ケルベロスの肖像』を読む限り高階病院長が直接的に彼の前で情報をリークしてるのではと邪推してしまう。
兵藤くんの情報の伝達が早い。なおかつすぐに田口先生に伝えてしまう迅速拙速さ。
かつては田口先生と争った仲にも関わらずなんだかんだ田口先生が身を引いたことがきっかけで逆にに仲良くなるという田口先生と兵藤くん。
しかも白鳥さんからは兵藤くんは田口先生の部下扱い。
兵藤くんはメインに活躍する物語は私が読んだ範囲ではないけど使い勝手はいい人物でしょう📝。
田口先生にとっての情報網であり耳。
その都度、東城医大が危機に陥り弱体化してゆくというのも大学病院のひとつの実態なんでしょう🏥。
大学病院の経営難というの地方が抱える問題のひとつ。『極北シリーズ』と東城医大は事件の様相はちがうけど抱える問題はまた同じ。
白鳥さんと坂田局長、そして厚労省というバックボーンがあるから東城医大は幾多の事件を乗り越えてなんとかやっていけてたと思える。
シリーズ全体(すべての作品はまだまだ読めてないけど)を見ると東城医大と帝華大というライバル関係にありながらも社会に出たら医療ということについては手を組む同志ということでしょうか。
バチスタ・スキャンダルや三枝医師逮捕の件などはシリーズ全体がある程度、把握できるようになるとわずかな波紋が気づかないところで大きな事になってる。
『チーム・バチスタの栄光』で鳴海先生が解剖医というのも『桜宮サーガ』全体のひとつのきっかけにもなってることに気づかされる。
Aiと解剖の協力と対立というのも全体のひとつのテーマにもなってると思う。
鳴海先生がバチスタ・スキャンダルで桐生先生と共に東城医大から去るというのもひとつの問題提議にもなってる。
Ai推進派の白鳥さん側から都合はよかったと解釈もまたできる。
だけど解剖医の数が少なくなったことで東城医大が弱体化するのもまた現実。
解剖とAiが共存ができるまでの道程が長いことは各作品で示されてる📝。
バチスタ・スキャンダルに始まる東城医大を巻き込む数々の難題や事件、これらが後々多くの人物たちを巻き込む。
『チーム・バチスタの栄光』圧倒的ではないが黒崎教授は愛すべき組織のNo.2として存在感を放つ(笑)。
高階病院長が出ない時は事実上、黒崎教授が外部やマスコミなどに向けて対応する。『アリアドネの弾丸』ではNo.2の存在感を持ちながら病院が渦中の事態にあるならテレビドラマに出るコメディリリーフぶりを披露する。
黒崎教授は東城医大においては必要不可欠な組織対立を促す存在でも院内に対立を持ち込ませることでバランスを保つ担い手。
時に悪役もたぶんにこの人は承知してると思う。敵の敵は味方という意味もあると思われる。
高階病院長がワンマン経営にならない精神的ブレーキになってる可能性もある。
ライバルとして敵視や疎んじながらも東城医大のためには私情を圧し殺し我慢する潔い態度が取れるのもNo.2だからと考える。
『チーム・バチスタの栄光』を再読すると田口先生の事情聴取によりバチスタメンバーのそれぞれの人柄や研究テーマ、手術中の動向など浮き彫りになる。
後にわかることだけど白鳥さんの事情聴取にくらべたら物腰がやわらかい。いちおう要点がまとめられてるのは田口先生は白鳥さんにほめられたはずだけど📝。
事情聴取の段階ではまだまだ不明瞭なか異彩を放つのが氷室。
彼だけは様子がちがうことが明確に語られてる。
桐生先生と鳴海先生の関係も早い段階であきらかになる📝。
田口先生は警察や探偵ではないから詰めの甘さはあるのは否めないけど必ずしも彼がしてきた事情聴取による調査がむだではない片鱗を覗かせる。
さりげなく『田口白鳥シリーズ』で黒崎教授。この人は東城医大では高階病院長に次ぐNo.2だけど時に敵対し時には病院を守るために協力もやむ無しという人物。
おそらく東城医大にとっては高階病院長派とは対する形での組織運営するうえでの“必要悪”でもある🏥。
だけど一方では『ジェネラル・ルージュの凱旋』でかつて速水先生が医療の“神”に選ばれたことを疎ましく思いながらも認めざる得ない現実を受け入れる器量。
また『アリアドネの弾丸』で東城医大が存続の危機に晒されそうになるなか劇中ドラマ出演をしてるコミカルな一面を見せている📝。
それは田口先生でさえあきれるほど(苦笑)。
組織内の“憎めない悪役”なところがたぶん魅力なんだと思う。
『桜宮サーガ』シリーズ、全体をある程度把握できるようになると宇宙世紀『ガンダムシリーズ』みたいに過去現在未来と時間や場所、各登場人物など様々にいる📝。
シリーズの基礎となる『田口白鳥シリーズ』の舞台となる桜宮市と東城医大、先に触れた『極北シリーズ』の極北市民病院および雪見市救命救急医療センター(あと神威島)、『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』のマリアクリニック。
これに『螺鈿迷宮』で舞台となる碧翠院。
ドイツ・ブリュッセル🇩も『イノセント・ゲリラの祝祭』でわずかに出てくる。
あと白鳥圭輔・姫宮香織ら若き官僚候補らが舞台となる東京の霞ヶ関🏢。
登場人物は田口先生たちを筆頭とする医療従事者、白鳥圭輔たち官僚、無数にいる老若男女の患者たち。
医療関係に携わる人たち。そこはまた様々な職種の人たち。
どこかで彼らは関わり知らないところで起きた物語がまた別な物語を生む📝。
世界観はもとより人間関係が広い。
そこもまた魅力あり奥が深い📝。
個人的に共感したのは『極北クレイマー』『極北ラプソディ』のニ作品。
地方地域医療の在り方が切実なほどに伝わる作品📖📖。
今中先生のキャラが『田口白鳥シリーズ』の田口先生に似てるところもありながら彼なりにあえて市民病院に踏みとどまる姿。さえないけど格好よく伝わる。
『極北クレイマー』では室町病院長をはじめ色々な人物に振り回されまた後藤先生や並木梢、三枝広明といった人物に囲まれ少しずつ成長してゆく。
『極北ラプソディ』では『極北クレイマー』の後日談が書かれ破綻した市民病院のなか新たに病院長になった世良先生と共に奔走する(される?)。
『極北ラプソディ』のラストにはそれまでのシリーズとちがって明確な答えはないけど逆にそれが市民病院だからこその庶民や市井の人々に通じるモノがある。
『田口白鳥シリーズ』がハデな事件なのに対し『極北シリーズ』は市井感覚。
『極北ラプソディ』で書かれるドクターヘリの活躍などもあるけどそこはドラマ。
そこもまた読みごたえある。
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