微妙な悪魔 FINAL

レス9 HIT数 1314 あ+ あ-


2009/07/28 16:01(更新日時)

お母さん…
お母さん…

大丈夫?



あたしは、お母さんの細く骨ばった手をさすった。


もう、点滴の針を刺す場所すら無いほどに、お母さんの細い両腕には無数の鬱血の痕がある…



「ごめんね…」

声にならないか細い声で、お母さんが謝りながら、精一杯の力で差し出した手であたしの頭を撫でてくれた…



あたしは小学校2年生…

お父さんはいない…


お母さんが天国に行っちゃったら…

あたしは一人ぼっち…




あたしは、病院の屋上に上がると、茜色の空を仰いだ。



その時…
後ろから…



「どぉもぉ~」
と、声が聞こえた。




さあ、微妙な悪魔シリーズも最後を迎えました。

あ…
すみません。
個人的感情のもつれから、今までの作品は削除してしまいました😂

ご記憶を辿りながら、読んでくださると幸いです。
初めて読んでくださる方も、よろしくお願いします☺

では、スタート!
                   

No.942479 (スレ作成日時)

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No.1

振り向くと、小太りで背が低くて、薄い髪の毛を七三分けにしたおじさんがいた。

「ど…ども」

おじさんは、あたしにもう一度、
「どぉもぉ~」
と言った。



変な人…
もしかして、変質者?
と、思ったら
「私は変質者では、ありませんよぉ~」
と言った…


あたしの考えてることが分かるの?



「はぁぃ~、そうなんですぅ~。なんたって、私は悪魔ですからぁ~」



やっぱり…
変質者だ…


「ですからぁ~、違いますってぇ~」
                   

No.2

あたしは、おじさんの事をもう一度、じっと見てから
「おじさんって、どう見ても悪魔に見えないんだけど…」
と言った。



「では、あなたは悪魔がどんなだか知っているんですかぁ~?」


「ん~、そうね。青白い顔をしててカッコ良くて、背が高くって、黒いマントを着てるの。それでね、間違っても“どぉもぉ~”なんて言わないわ」



「ほお、悪魔に会った事があるようですねぇ~」



「無いわよ…、でももうすぐ来るわ」


「では、黒いマントの悪魔は、あなたの想像なのですねぇ~。ですが、もうすぐ来るって言うのは当たっていまぁ~す。ジャジャジャーン!私が、その悪魔ですよぉ~」



「おじさん、ここ病院よ。診てもらったら?」



「なかなか信じてくれないですねぇ…実は…」
                          

No.3

その悪魔と名乗るおじさんの話では、人間界では高齢化が進み、人間の魂を糧としている悪魔社会がバブル崩壊の危機を迎えている…



「ですからねぇ、魂と交換に、三つの願いを叶えるという政策を立てたのですよぉ~」


「願いが叶ったって、魂を取られたら意味が無いじゃない」


「ですからねぇ、魂のほんの一部を頂くってことでぇ~す」


「…一部って、どれくらい?」
あたしは、ちょっと興味が沸いてきた。


「あなたの場合、122歳まで生きる事になってますからぁ、キリの良いところで2才を頂いて…ということで、どうでしょぅかぁ~?」
                    

No.4

「え~、あたし、そんなに長生きするの?」


「はい~、2歳を頂いても120歳まで生きられますからぁ~。どうしますかぁ~?」




「わかったわ。あたしの魂の2歳をあなたにあげる!」



「てはぁ~、契約成立ですねぇ~。それではルールを説明しますぅ。人間時間で120秒以内で叶えてもらいたい夢を言ってくださぁ~い。時間切れになると、願いは無効になりまぁ~す。では、スタート!」


「120秒って…、えっと…えっと…3分?ラーメンが出来上がるみたいに夢って叶うのね…」


「8秒が経過しましたよぉ~、急いでくださいねぇ~」

のんびりと、悪魔が言った…



あたしは、大きく息を吸い込んだ。
                   

No.5

「ひとつ目!お母さんの病気が治りますように!ふたつ目!お母さんが、優しい素敵な人と再婚できますように!みっつ目!お母さんに10億円をあげてください!」




「わ…わかりました。願いを叶えましょう…それにしても、自分の事はひとつも願いませんでしたね」



「いいんです。悪魔のおじさん、約束をちゃんと守ってね!」



「はぁぃ~、それでは…どぉもぉ~」


おじさんは煙みたいに消えた…




空は茜色の夕日から、星空へ交代しようとしていた…
                     

No.6

20年後…


私は本物のダイヤを散りばめたオートクチュールのウエディングドレスに身を包んでいた。


隣には、総合病院の教授の息子。



母の幸せは、私をも幸せに導いた…。





悪魔との約束は果たされた。

母の病気は奇跡的に回復した。
そして、母の担当医だった院長の息子と恋に落ちた。


院長も院長夫人も優しい人で、子供のいる母を歓迎してくれた。

私を実の孫のように可愛がってくれた。

母と彼は、婚前旅行に行き、母はラスベガスのカジノで大金を儲けた。

日本円で10億円…。



そして、今日は私の結婚式…

式場の係員が来て、夫となる人に何か言っている。

「ごめん、医大時代の仲間が来てるんだ。ちょっと行ってくる」

「ええ。待ってるわ」



私は幸せ…



その時…

「どぉもぉ~」

懐かしい、でも聞きたくない声が聞こえた。

No.7

「久しぶりね」

「どぉもぉ~、お久しぶりですぅ~」


悪魔は20年が経つというのに姿は変わっていなかった。


少ない髪の毛も、健気に頭に貼りついて、七三分けの形を保っていた。


「あなたとの契約のおかげで、私は幸せになれたわ」


「それは、どぉもぉ~。でも、あなたはあの時に自分の幸せは願いませんでしたよねぇ~」



「そりゃそうよ。子供の私の願いなんて、たかが知れてるわ。親が健康で財力と愛情があれば、ほっといても私は幸せになるようになってるのよ」



「なるほど…長年、悪魔をやってますが、あなたのような人は初めてでしたよぉ~」



「みんな、自分の幸せを我先にと思うからよ。」



「それを8歳の子供が考えつくなんてねぇ~、すごいですねぇ~」



「ところで、今日は何の用?まさかお祝いに駆けつけてくれたわけじゃないでしょう?」

No.8

「そうそう。今日、ここに来たのはですねぇ~、実はですねぇ~」


「時間が無いの。さっさと話して」



「私の上司が、あなたの素質を見込んで、ジャジャジャーン!あなたは死後に悪魔になる事が決定しましたぁ~!おめでとうございますぅ~」



「私が…悪魔に?」

「ピンポ~ン」




まだあと100年近く生きるというのに…

その後、私は安らかな死を迎えることができないというの…?


永遠に人間の魂を求めてさまよえというの?


いやよ…
いやよ…





悪魔なんて…
いゃぁああああーーーーっ!

                   【完】

※微妙な悪魔…マニアックなファンの方々へ…

『どぉもぉ~』
          

No.9

なんとっ😱

120秒じゃ、2分間じゃん…😂


180秒間の間違いでございますぅ~
訂正して、お詫びします😂



ど…
どぉもぉ~💧

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