ナイト・ソルジャー

レス4 HIT数 65 あ+ あ-


2026/01/06 16:51(更新日時)

夜の街を行き交う人々を誘いかける女達と男達。
競い合う視線の先に積み上げられたシャンパンタワーは、誰も支える事はできない。
終わらないビンゴとルーレットは、街のどこかで繰り返される。



No.4412784 (スレ作成日時)

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No.1

ネオンライトの中を、高級車が行き交っている。
サリーは、セットしたばかりの、ウェイブがかかった髪を揺らしながら、タクシーから降りた。
今日は、遅刻できないーー
携帯を開いて、時間を確認し、店への階段を上がる。
ヒールに付いた汚れを、入口のマットでこすり落とし、自動ドアをくぐり抜ける。
「お疲れ様です」
ドアの向こう側にいた男の子が、すれ違いに声をかける。
「お疲れ」
別の黒服の子が、サリーにタイムカードを持ってくる。
「今日、早出だったんですけど、リューさんたちが同伴が入ったんで、サリーさん、深夜勤、いいですか?」
「、、、、そのつもりで、メール飛ばしたんでしょ?」
「はい。そう聞いてますけど」
サリーは、ラメ入りのショールを黒服に投げつけて、
「レストルーム、3番、誰も入れないで」と、店の奥へと、足早に、ヒールの音を響かせて行く。

No.2

まだ薄暗く、オリーブグリーン色に沈んでいる店内で、顔なじみの客が、面白がるような表情をサリーに向ける。
そのうち、サリーのヒールのかかとが、大理石のフロアの上で、止まった。
(マスカラ、忘れた、、)
唇をかみしめて、レストルームのドアを開け、スツールに腰をおろす。バックを放り投げて、ポーチを取り出し、アイペンシルを探す。
鏡に向かって、いつもより濃いめに瞼(まぶた)をなぞり、じっと、瞳を見つめる。
手をのばして、タイムカードを引き寄せ、その横に置いてあるシフト表に目をやる。
女の子たちの名前の一番上に、ミミが載っている。
(また、あの女、、、、)
ドア越しに、最近流行りの音楽が流れてきた。
ラテン系のビートの中で、うるさい常連客たちが奇声をあげているのが、聞こえてくる。

No.3

「ミミちゃん、今日、まだ?」
「あ、すいません、まだ着いてません。サリーさんなら、今、準備中なんですけど、、」
激しいリズムの曲のはずなのに、客と、店の男の子の会話が、しっかりと耳に飛び込んでくる。サリーは、イライラして、ドレッサーの台の上に、シフト表をたたきつけた。
シフォンのドレスの胸元を、少し大きめに開いて、細い香水のボトルを右手に持ち、首もとにスプレーする。
レストルームの中が、ラベンダーのような、かすかに妖しい香りに包まれていく。

No.4

髪の毛のウェイブのかかり具合も、ドレスのしわの寄り方も、なんだか微妙に気に入らない。サリーは、思わずため息をつく。
(今日は、絶対に、負けられない、、、、!)
きつい目で鏡を見据え、立ち上がって、全身をざっと点検する。
買ったばかりの、ブルーとピンクの色が混じり合ったような、光沢のあるドレス。胸の中央には、一例にキラキラとダイヤモンドのように光る小さな飾りが、深い谷間を彩(いろど)っている。ウエストを、きつめに細いリボンの付いたベルトで結んでいるから、ゆらゆらと揺れるドレスのすその効果もあって、鏡に映(うつ)すと、実際のスタイル以上にボリューミーに見える。

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