SENA ~私の恋物語~
「世奈って一目惚れした事ある?」
「ないない!ありえないよ」
「だよね!いつかしてみたいな~。一目惚れ。
いつも性格知ってから好きになってるパターン」
「みんなそうじゃないの?」
18の夏。
小学生からの親友、奈々が突然口にした "一目惚れ"
一目惚れってどんな感じなのかな。
見た目がドストライクじゃなきゃありえないよね。
生まれて18年、今までそんな人に出会った事がない。
特別理想が高いとは思ってないし、カッコいいって思う人は普通にいる。
けど、タイプではないし「あ、あの人カッコいいな」くらいの感覚で、その人とどうなりたいとかそういう感情を持った事がない。
今までの恋は、お互いがお互いを知って惹かれ合って付き合う。
そんな感じだった。
だから恋愛はそういうものだと思っていた。
13/07/22 03:16 追記
読んでくださっているか分かりませんが…←
この小説は私の実話です。
多少捻ったりしていますが、話のベースは私の18の頃の恋物語です。
長編になりそうですが、よろしくお願いします(^^)★
翌日。
朝8時に目を覚ます。
奈々は昼からバイト。
朝食を食べた後ゴロゴロしていた。
「奈々は最近好きな人とかいないの?」
「うん。全く。年上がいいな。」
「年上かぁ…。」
奈々は嫉妬とかあまりしないタイプの男がいいのは知ってる。
奈々もするタイプじゃないしね。
あたしと真逆!
確かに年上の彼氏って何かいいな…。
憧れる。
ブーブー…
メール受信。
裕ちゃんからだった。
【おはよ♪今日バイト?】
【おはよう★
夕方から入ってるよ(^^)】
【佐藤とだよな?
終わってから佐藤と飯食いに行くんだけど、世奈来る?】
裕ちゃんからのお誘い…
行きます!
こうして声を掛けてくれるのがすごい嬉しかった…。
政樹とレジに入り、子声で政樹に聞いてみた。
彼女の事…
「裕ちゃんの彼女って、やっぱり可愛い?」
「俺は別になんとも。可愛いと思った事はないかな。
あいつショートの女が好きでさ。笑」
「この前裕ちゃん言ってた。
あたしより短いって…。」
可愛いと思った事はない…か。
本当に髪が短いから付き合っただけみたいじゃん……。
「ここだけの話、俺若原の彼女、好きになれないんだ。」
珍しく悲しそうな表情を浮かべる政樹。
「若原も若原の彼女も知らないと思うけど、俺の中学の頃付き合ってた元カノが若原の彼女と地元同じでさ。
中2の頃、元カノ虐められてたんだ。若原の彼女に。」
「えっ………」
そんな事…する子なの?
今まで想像していた裕ちゃんの彼女のイメージは、政樹の話によって崩された。
「裕ちゃんに言わなかったの?」
「最初は迷ったよ。そういう人と付き合って欲しくなかったし。
でもそういうの聞きたくないでしょ。それにもし若原から彼女に話回ると元カノが可哀想だから。
だから若原には内緒ね。」
政樹は優しいんだね…
「クラスが同じだから話す機会はあるけど、深く関わるつもりないし。」
裕ちゃんの彼女が過去にイジメ……。
最初はシカトからだったらしい。
それが次第にエスカレートしてジャージを破られたり、上靴のスリッパに切り傷。
教科書に落書き。自転車のパンク。
同じ中学だったら助けてあげれたのに。
政樹は悔しそうに話していた。
イジメが原因で政樹の元カノは転校。
他県に引っ越す事になり、元カノから別れを告げた。
酷すぎる。
尚更別れてほしい。
勉強がどれだけ出来るか知らないけど、人間として腐ってるね。
こういう時どこに触ったらいい?
普通に股がるように乗ってしまったあたしは手のやり場に困った。
「ちゃんと掴まってろよ」
裕ちゃんが声を掛けてくれた。
手…回していいのかな…
後ろから抱き付く感じで、裕ちゃんのお腹へと手を回した。
ああ、裕ちゃんの匂い……
裕ちゃんの背中に耳を当てて、目を閉じた。
幸せ………
裕ちゃんに触れている今この瞬間がずっと続けばいいのに。
30分の距離もあっという間だった。
「世奈、着いたぞ。」
政樹が呼ぶ。
「嫌だ…」
「えっ、世奈?」
裕ちゃんの声に「はっ!」と気付く。
「あ、ありがとう!着くの早かったね!」
「半分寝てた?笑」
裕ちゃんも政樹も笑いながら自転車を停め、店内へ入る。
何にしよっかな…♪
パスタ美味しそう★
でもハンバーグもいーなー♪
ハンバーグ大好き♪←
注文した後、ドリンクバーコーナーへ。
夏休みのせいか、この時間でもお客さんは多い。
三人で喋っているとテーブルにご飯が並ぶ。
「「「いただきまーす」」」
ハンバーグうまー!
帰ったら運動しなくちゃ。
デブになっちゃう。
「世奈って何で西高行ったの?」
突然話題を振る政樹。
「特に理由はないけど、家から出来るだけ近くて、大学行くつもりないから商業科の学校選んだ。笑」
「そうなんだ。北高来ればよかったのに。
いやいや、無理です!←
行けるわけがない!
「北高に来てたら、もっと早く出会えてたな。」
裕ちゃんが笑いながら言うから、勉強が苦手な自分に泣きたくなった。
真面目に勉強しとけば良かったなぁ。
初めて本気でそう思った。笑
二人は幼い頃の話や家族の話をしてくれた。
政樹は三人兄弟の末っ子で、小さい頃両親が離婚。
昔は人見知りが激しかったけど、今は真逆の性格になったと笑って話していた。
姉とは仲いいけど、兄とはあまり喋らないらしい。
裕ちゃんは二人兄妹で2つ下に妹がいる。
喧嘩すると毎回激しく、お母さんにキレられるみたい。
人見知りはあまりしないけど、特定の人にしか心を開けない性格と言っていた。
2時間くらい経ったかな。
時間は1時になろうとしている。
「そろそろ行こっか」
政樹が伝票を手に取り、お会計へ。
「世奈の分は俺出すからいいよ。」
財布を取り出した瞬間、裕ちゃんが言った。
「いいよいいよ!自分で払う」
「いいって。甘えとけ。」
あたしの分を当たり前かのように払う裕ちゃん。
そういうつもりじゃないのに、何かでお返ししなくちゃ。
「ありがとう…ご馳走様です…。」
お会計を済まし店の外へ。
「世奈は俺のどこが好きなの?」
「えっ!!///」
まさかの質問にびっくりしてしまった。
「何で知ってるの……」
あまりの恥ずかしさにボソボソと答える。
「いや、さすがに分かるでしょ。笑
これで気付かない人は相当鈍い人だよな!」
「…」
裕ちゃんにそう聞かれても困っちゃう…。
だって一目惚れだもん。
どこが好き?と聞かれて
顔!なんて言えない(´;ω;`)
「え?教えてくれないとか?」
「うん、秘密…」
裕ちゃんは笑った。
あたしの気持ち知ってて、こういうシチュエーションになっても普通に接してくれるのはどうして?
ご飯だって政樹からあたしを誘うように言われた時、二人のやりとりなんだから別に断れるよね…?
裕ちゃん、期待してもいい……?
バイト先に戻ると裕ちゃんは自転車を停める。
「喉乾いたから飲み物買ってくる。
待ってて。」
しゃがみこんで裕ちゃんを待つ。
しばらくすると裕ちゃんの姿が見えた。
「お待たせ。世奈はお茶かな?」
ペットボトルのお茶を差し出す。
あたしはジュースをほとんど飲まなくて、バイト中でもご飯食べに行った先でもいつもお茶ばかり飲んでいたから、裕ちゃんも気付いたのかな。
「ありがとう。今日出して貰ってばっかだし…。今度はあたしがご飯奢るね♪」
「いいよ、そんな事気にすんな。」
裕ちゃんはあたしの隣に座った。
「もう1時半だね…。裕ちゃん眠くないの?」
「俺は平気。夏休みくらい夜更かししても大丈夫だろ。笑」
ここに着いたと同時に裕ちゃんが帰っていたら、あたしも帰るのに…
一緒にいる時間作ってくれてるみたい…。
抑え切れなかった。
「裕ちゃん……好き……」
聞こえるか聞こえないか分からないくらいの大きさで、初めて口にした「好き」って言葉。
返事は要らない……
「裕ちゃんに彼女がいても諦める事出来ない。」
こんなに自分の気持ちを相手にぶつけるのも初めてかもしれない。
彼女がいる人を好きになるのも初めて。
彼女いる人を対象として見る事がまずなかったし、一目惚れした事もなかった。
初めての事だらけで、どうしたらいいか分からない。
彼女の立場からしたら、あたしみたいな女はすごい迷惑な存在。
恨まれても当然。
こういう時って、浮気する自分の彼氏よりも、浮気相手を責めたくなるよね。
最悪の場合の事も考えた。
何かをきっかけに彼女が浮気に気付いた時。
でも、あたしは開き直るわけじゃないけど、殴りたければ殴りに来ればいいと思ってるし、覚悟はしてる。
何故か強気でいれた。
裕ちゃんに対する気持ちだけは誰にも負ける気がしなくて、それだけは自信があった。
裕ちゃんの手を握る。
もう一度キスをした。
裕ちゃんは拒む事なく応えてくれた。
大好き………。
すると突然小粒の雨が降ってきた。
まるであたしたちを邪魔してるみたい。
「世奈、酷くなる前に帰ろ?」
「うん…」
裕ちゃんちは自転車で15分くらい掛かるから、あたしを送り届けた後、裕ちゃんに傘を渡す。
「ありがとう。じゃあ着いたらメールする。」
裕ちゃんの姿が見えなくなるまで後ろ姿に手を振った。
まだドキドキしてる。
キス…しちゃった……。
玄関の鍵を開け、そのまま部屋へと階段を登る。
そして27日。
バイト仲間のみんなで遊ぶ日がやってきた。
17時に明里がバイトを終え、17時から22時まで政樹はバイト。
17時半を回った頃、携帯が鳴る。
【これからフットサル行ってくる(^^)】
裕ちゃんからのメールだった。
行ってらっしゃいと送った後、支度を始める。
20時。
【今終わった★
これからシャワー浴びて準備する(´ω`)】
あたしは部屋で横になりながらテレビを観ていた。
【佐藤が終わるまで一緒にいる?】
準備を終えた裕ちゃんがメールをくれた。
集合時間まで1時間ちょっと。
コンビニの近くの公園で裕ちゃんと会う事になった。
誰もいない静かな公園。
コンクリートのトンネルの中、話す声は少し響く。
小さい頃とほとんど変わっていないこの公園。
妹と近所の子たちとここで毎日遊んでいたっけ。
「この公園、小さい頃毎日遊んでたんだ♪」
「へぇ、俺は小2まで愛知にいたから、思い出の場所ってあんまないかも…」
裕ちゃんの生まれは愛知。
おばあちゃんちで暮らす事になった裕ちゃんは、小学2年生の時に引っ越してきた。
ずっと向こうで生活していたら、出会えてなかったよね。
トンネルの中はほとんど光が入ってこなくて、一人でだったら怖くて入れないな。
「ねぇ裕ちゃん、手…繋いでもいい…?」
すると裕ちゃんから手を握ってくれた。
「世奈の手って少し大きめだね。」
「そう…?ピアノやってたからかな。笑
分からないけど。」
「ピアノ?すげーじゃん。今も弾いたりしてんの?」
「今はほとんど触ってない。
3歳から習い始めて、4年生で辞めた。
伴奏者とかはしてたけど、今は趣味程度でやってる感じかな。」
裕ちゃんの手をギュッと握り返して、肩にもたれた。
この前より長い………。
その時…!
裕ちゃんが舌を絡める。
「!!!」
ビックリして体が反応してしまった。
「ごめん、ビックリした?」
「………////」
ポカーンとして、身体中が熱い。
「行こっか。」
裕ちゃんがあたしの手を引いてトンネルを出た。
集合時間まで5分。
【もう着いてる?
今から行くね(^ω^)】
相手は明里だった。
【もういるよ♪
気を付けてね(^^)】
そして一台の車が入り口付近に停まる。
棚橋くんだ。
「お待たせ。ギリギリになっちゃった。」
「明里も今向かってるって」
遠くの方から自転車のベルが鳴る。
明里到着。
「お疲れー♪」
裏に自転車を停め、みんなで店内へ。
店内に入ると3組くらい待ち状態。
店員に待ち時間を聞くと、約30分程だったため、店内で待つ事にした。
名前を呼ばれ、階段を登って伝票に印字された部屋へ入る。
「明里とカラオケ来るの久々だよね!」
「高2のプチ同窓会ぶりだっけ?」
明里の隣に座り、向かい側に裕ちゃんと政樹と棚橋くんが座る。
「棚橋くんから歌っていいよ♪」
明里はデンモクを棚橋くんに渡す。
「一番とかめちゃ緊張するし!」
「やっぱここはね。先輩からですよ!」
笑いながら政樹が言う。
棚橋くんが入れた曲名が画面に映る。
「あ……」
あたしは思わず棚橋を見た。
X JAPAN のRusty Nail。
「えっ!初っぱなからXって!笑」
裕ちゃんが突っ込む。
あたしはhideが好きで…。
映し出されたのはTHE LAST LIVEの映像だった。
まさか棚橋くんがXを歌うとは…。
アニソンとかそっち系イメージしてたからビックリした。←
裕ちゃんと政樹は選曲中、明里は歌本を見ていて、あたしはずっと映像を観ていた。
棚橋くんって意外と高い声出るんだ。
意外過ぎる。
政樹は大好きなEXILEを選曲。
裕ちゃんは……。
ラルク。
あー。裕ちゃんはラルクっぽい。
hyde好きそう。
ラルクはほとんどサビしか聴いた事なくて、タイトルと曲が一致しない…。
ただラルクの中で、唯一好きな曲があった。
Pieces。
この曲だけは全部知ってる。
決してラルクが嫌いなわけじゃない。
寧ろカッコいいし聴けばハマりそうな気はした。
でもレンタルした事もなかった。
今度アルバム借りてきて聴いてみようかな。
裕ちゃんが歌い終わって、マイクを渡される。
画面に出てくるテロップを見て、つい今の自分と重ねてしまう。
3時間はあっという間だった。
帰るため部屋を出て階段を降りてレジに並ぶと、来た時よりも客の数は多かった。
お会計を済ませて棚橋くんの車へ乗り込む。
お腹が空き過ぎて死にかけの政樹。
すぐ近くのジョイフルに入る。
料理を注文して、あたしと明里でドリンクバーコーナーへ。
「世奈、若原くんの事好きでしょ。」
「!!何で!?」
「カラオケ中若原の事ずっと見てたよ。笑」
まあ…明里に話しても大丈夫だよね。
隠す事でもないけど。
「いいと思うよ?あたしは応援する★」
微笑みながらそう言って、棚橋くんと政樹のドリンクを持って明里はテーブルに戻る。
「ん…」
目を擦りながら起き上がる。
携帯を渡すと裕ちゃんは電話に出た。
『もしもし…』
『もしもし?まだ寝てたの?』
微かに聞こえる電話相手の声。
『うん、今起きた』
『今日何してる?
会いたいんだけど。』
『夕方バイト入ってる』
『じゃあそれまで時間あるよね?
待ってるから準備してよ。』
俯きながら電話を終わるのを待つ。
これからデートか……。
電話を切った裕ちゃんは横になる。
「…彼女…でしょ?行く?」
裕ちゃんはあたしを引き寄せ、ギュッと抱き締めた。
「もう少しだけ」
裕ちゃんを待つ彼女。
その裕ちゃんの腕の中にいるあたし。
あたしも裕ちゃんを抱き締めた。
最低だけど、「行ってほしくない」
口には出せないけど、心でそう思ってしまう。
部屋に戻ると電話が鳴った。
着信【隼人】
『もしもし?6日のBBQさ、14時頃からってどう?』
『うん、あたしはいいよ』
BBQの時間をみんなに聞いている様子の隼人。
『久しぶりに声聞いたら元気ねぇーな!
なんかあった?例の男?』
『別に…。何もないよ』
笑って誤魔化した。
『嘘付くなって。
まあいいや、無理に聞こうとは思わねーけど、6日来いよ』
『行くよ!ありがとね、隼人』
電話を切って、ベッドで横になる。
そのまま1時間くらい寝てしまった。
【これからバイト行ってきます(^-^)/】
夕方、裕ちゃんからメール。
次裕ちゃんと会うのは明後日のバイト。
あたしも彼女みたいに「会いたい」って普通に言えたらな…
もし会いたいって言ったら、裕ちゃんは会いに来てくれる?
言えないけど…。
その日の夜も裕ちゃんとは普通にメールしていた。
バイトの日。
22時にバイトを終え、裕ちゃんと外で喋っていた。
のままああたしの家まで一緒に歩いてくれて、帰り際にするキス。
これも会えば当たり前になっていた。
裕ちゃんはどういう気持ちであたしとキスしてるんだろう。
好きじゃない相手ともキスくらい出来るのかな。
裕ちゃんを見送った後、シャワーを浴びてそのまま寝てしまった。
そして6日の水曜日。
朝9時に起床し、裕ちゃんにメールをした。
【おはよう★
今日は高校の友達んちで
BBQしてくる(^ω^)♪】
準備をして、奈々と合流。
隼人んちの近くのゲームセンターでプリクラを撮って、13時半過ぎに隼人宅到着。
直樹と優香はまだ来ていない。
「お~♪世奈、奈々久しぶり★」
隼人が出てくる。
「買い出しはどこ行くの?」
「すぐそこにスーパーあるから、徒歩で行こうぜ」
しばらくすると直樹と優香が到着。
自転車を停め、徒歩5分程の距離を歩く。
「野菜は一応、親が用意してくれてたから、肉とか飲み物とかあと要るもの適当に籠入れて~」
隼人がカートを引きながら飲み物コーナーへ歩き、あたしと奈々は肉を、直樹と優香は紙コップやお皿があるキッチン用品を見に行く。
「この前どうだった?」
奈々があたしの横に座り、コソッと聞く。
「うん…///」
みんなの様子を伺いながら、奈々に全て話した。
「泊まり!?体の関係はなかったの?」
「ないよ。二人してすぐ寝たもん」
コソコソ話していると隼人が近寄ってくる。
「何二人でニヤついてんだよ。」
「別に~♪あたしと世奈だけのひ・み・つ♡」
「何だよそれー!笑」
空は薄暗くなってきて、後片付けを始める。
隼人のお母さんが出てきて、スイカを持ってきてくれた。
「みんなで食べてね♪」
「「いただきまーす」」
スイカを食べていると隼人が家の中から大きい袋を持ってくる。
「花火しよーぜー★」
「するするー♪」
大はしゃぎの優香。
直樹とは何事もなく順調そう。
夏休みも終わり、いよいよ二学期が始まる。
1ヶ月半ぶりの学校。
学校では夏休み前と変わらない生活を送っていた。
ある日、バイト終了時に棚橋くんから声が掛かる。
「今度の土曜、みんなでドンキ行かない?」
土曜日か…
シフト表を見ると、土曜はあたしが13時、裕ちゃんが17時出勤になっていて、棚橋くん、政樹、明里は休みだった。
「裕ちゃんバイト夕方からか…」
「また前みたいに若原くんが終わってから集合してさ♪」
「聞いてみるね!」
あたしは早速みんなに聞いてみた。
【ごめん(;_;)
土曜は予定あるんだ(>_<)】
明里はNG。
【いーよ♪
滅多に行けないから絶対行くわ!笑】
政樹はOK。
【ドンキ行く(^ω^)】
裕ちゃんもOK。
県内にドンキがなくて、一番近くのドンキでも車で1時間半弱掛かる距離。
自転車のあたしたちはあまり行く機会がなかった。
『あ、もしもし?
あのね、図々しいお願いかもしれないんだけどさ…』
あたしは棚橋くんに里奈を連れて行きたいとお願いをしてみた。
『全然いいよ~♪
明里ちゃん無理になったから一人乗れるし、連れてきなよ♪』
『ほ、ほんと!?ありがとう!
じゃあ22時に★』
電話を切った後、里奈の部屋へ入る。
ベッドで横になり、携帯を触りながらテレビを観る里奈。
「里奈、今日どこも行かないの?」
「うん、里奈はバイト休みだけど翼バイトだもん。」
「ふふふ~ん……♪
ドンキ、一緒に行く?♪」
里奈は勢いよく起き上がる。
「えっ!!」
「どうする?行くの?行かないの?」
「行くー★♪」
里奈は嬉しくて準備のため風呂場へ走っていく。
せめて免許取れれば行動範囲広がるから、いつでも行けるけどまだ先。
ここまで喜べるのも今のうちだよね。笑
遠出気分もあるから余計に嬉しい。
整理をしていると一つのアルバムが目に止まり、ページを捲る。
翔…
元カレとのプリクラや写真のアルバムだった。
何でこんなとこに?
捨てたと思ったのに。
一枚一枚捲ると同時に、懐かしい思い出にしばらくアルバムから目を離せなかった。
何で付き合ったんだろう…。
見た目はギャル男に近いくらいで奇抜。
別れた最大の理由はDV。
それとギャンブル依存性。
未成年のくせにスロットなんかして連れや親から金を借りてはスロットばっか。
ほんと、アホだろ。
ある日、お父さんから定期代3万を貰って、学校帰りに買うつもりだった。
しかしその日の昼休み、翔はあたしの財布からその定期代3万を抜き取る。
何も知らないあたしは、帰りの電車へ乗った。
途中、定期を買うために降りる。
「3ヶ月分お願いします。」
「27850円ね。」
財布を開けるとあるはずのお金がなかった。
「えっ……?」
「どうかしました?」
「あの…すみません。また後日来ます」
あたしはベンチに座り翔に電話を掛けた。
『ねぇ!あたしの財布から金取った!?』
電話越しには機械の音がかなりうるさい。
『あーごめん。今日打ちに来ようと思ってて、金足りな…』
『ふざけないでよ!有り得ないんだけど!
それ、あたしの定期代!』
『今日勝ってちゃんと返すから。
多少は利子付けるし』
『はあ!?まじ何なの!?取りに行くから返して!』
『あーもう、今いいとこなんだよ。また連絡する。』
電話を切られ、苛々状態のあたしはどうしたらいいか分からず座り込んだ。
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