パーソナルコンピューター

都会とは違う暑さ
エアコンと扇風機でなんとかしのぐが、暑さに加え暇が僕を襲う

携帯で暇を潰しても時間はなかなか進まない
いつの間にか僕は寝てしまっていて、その日、僕は夢を見た


凄く可愛い美少女が僕を呼んでいる
長い髪の色白な美少女
まるで人形のような見た目

そして見た事のある部屋
そこに美少女がいた
僕を待っていた

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目を覚ますと、当たり前だが美少女はいなかった


僕は夢の中の美少女にもう一度会いたかった
こんな可愛い美少女が夢に出てくるなんて滅多にないからである

僕がお爺ちゃんの家で見る夢はろくでもないものばかりで、
学校の階段から滑り落ちる夢や好きな子に振られる夢……

「…っ！」

よくよく考えてみると、僕がお爺ちゃんの家で見る夢は正夢になる事が多かった

「もしかしたら…いや、あるわけねぇか、そんなこと。」


あれはただの夢でしかない
美少女に会いたい半面、正夢になる訳がないと自分に言い聞かせ、
顔を洗うために僕は洗面所に向かった

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洗面所に行き冷たい水で顔を洗い流す
サッパリして凄く気持ちが良い

ふと時計に目を向けた
― 15時25分 ―

僕は随分と長く昼寝をしていたみたいだ

「～っはぁ…」
思いっ切り深く息を吸い込み、深く溜息をつく

「何やってんだろう、僕。青春真っ盛りの夏休みだっていうのにさ。」
「今頃きっと友達はみんなで遊んでんだろうな…」
なんだか少し寂しい気持ちになった

本当は僕だって友達と遊びたい
彼女を作ってデートをしてみたい
16歳の夏休み…こんな所で暇してる場合じゃない!


鏡に写った自分はなんだか少し吹っ切れたような顔をしていた

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すぐに荷物をまとめ、帰り支度を済ませると僕はお爺ちゃんを探しはじめた


「お爺ちゃ～ん！」

呼んでも返事が無い


家の中を探し回ったがどこにもいなかった

「も～！こんな時にどこ行ったんだよ！」
早く帰りたいのに帰れない苛立ちが僕をイライラさせる


「ぉ～ぃ！」


少し遠くからお爺ちゃんの声がした

爺「ケイタ～！ちょっとこっちに来てくれんか～！」
ケ「ん？お爺ちゃんどこ～？」
爺「こっちじゃぁ～！」


こっちって言われても分かんねぇよ！…と思いながらお爺ちゃんを探す


爺「おぉ、ケイタ！」
ケ「…うわぁ！ビックリした！」
突然現れたお爺ちゃんに驚いた

ケ「お爺ちゃんそんな所で何してんの？ってかホコリまみれなんだけど…」

お爺ちゃんは何故か全身ホコリまみれになっていて大事そうに古いパソコンを持っていた


爺「ケイタ！お前暇やろ？このパソコンでも使って遊びなさい」

ホコリを被った古いパソコンをお爺ちゃんは満面の笑みで僕に渡してきた

ケ「え…いや、それ古いじゃん。もう使えないんじゃないの？ってか僕さ、もう」
爺「大丈夫！使いなさい！」

会話を遮るように満面の笑みで言ってきたもんだから、帰るとは言い出せなかった

僕が急に帰ると言い出したらお爺ちゃんはきっと悲しむ
そう思うとお爺ちゃんが差し出した古いパソコンをありがとうと言いながら受けとるしかなかった

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― 15時45分 ―

お爺ちゃんから受けとった古いパソコンを部屋まで運んだ

運んでいる最中に思った事なのだが、このパソコン、何故か凄く軽くてまるで中身がスカスカになっているような軽さ

ケイタ「やっぱり絶対使えないだろ、これ…。」
これが使えなければ帰ろう
僕はそう決めていた



ケイタ「えーっと…確かこれだったかな？」

お爺ちゃんが言っていた通りにやってみる

― ブォンッ ―

ジリジリと音が鳴りながら画面が少しずつ明るく光りだした

ケイタ「嘘だろ…点いたよ…」

壊れていると思っていたのに期待とは逆に古いパソコンは起動しはじめる

しかしその直後

― ピピッ ピピッ ピピー ―

目覚ましにも似たような音が３回鳴り、古いパソコンはシャットダウンしてしまったようだ

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ケイタ「…はぁ。時間の無駄だったかな。お爺ちゃんに返してくるか。」

これでやっと帰れると思った僕は、まとめた荷物を手に部屋を出ようと立ち上がった

その瞬間


― ブォンッ ―


何もしていないのに急にパソコンが起動しはじめ、モニターからは眩しくて目を細めてしまう程の光が出ている

ケイタ「うわぁ！」

あまりの急な出来事に僕は尻餅をついてしまった



？「― 主様(あるじさま) ―」


どこからか、女の子のか細い声が聞こえた

？「― こちらです。主様。 ―」

今度はハッキリと聞こえた
その声はパソコンから聞こえているようだ

？「― 主様…主様。 ―」

恐る恐る僕はパソコンへと近付き、声のするモニターの前まで来た

？「― 主様、私…いや、モニターに触れて下さい。 ―」

これはきっと夢なんだ
そう自分に言いきかせながら、その声の通り指でモニターに触れたその瞬間


部屋を覆い尽くすようなまばゆい光がモニターから放たれ

？「― 主様… ―」

その声と共に美しい美少女がモニターから飛び出してきた



目を疑った
こんな事が起きるなんて誰が想像するだろうか


僕の目の前にいた美少女は、
長い髪の色白な美少女
まるで人形のような見た目



夢に出てきた美少女そのものだった…

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