彼女
「…そうやって擽られて床に転がったら他の子も加わって私を擽ったの。スカートが捲れて、でも両腕掴まれていて直せなかった。少し離れた所で男子も見てた。
ただの悪ふざけ。
泣きそうだった。止めてって言った。けど止めてくれなかったし、誰も止めさせてくれなかったの。
…やる子に加わる子、やられる子、見てるだけの子、見て見ぬふりの子。
強くならなくちゃいけない、誰も助けてくれないんだからって、思ってた」
たぶん祐子は俺じゃなくて、カシスソーダに喋ってる。
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――――――――――――――合格発表翌日か翌々日か
受かった生徒は一律に登校することになっていたから俺が落ちたのは周知のこととなった
彼女と同じ高校を受けて落ちたと
失敗した者にプライバシーなどない
他日 学校に呼ばれた
何を話したのか憶えていない
定時制なら募集があるとか予備校だとか、そんな話をしたのか…
何故か金魚と
ブクブクを覚えている
二度とここに来なくていい俺は
出れない金魚よりましだと思ったのかも知れない
―――
中々できない経験をしたと思う
あの時の俺の気持ちは俺にしかわからない 言いようがない
というかもう、今の俺にだってよくわからない
でも広く見ればチューロウは他にもいただろう
学区トップの公立に合格して
本人の意思で工務店に就職する奴はいなかったと思う
同じ高校を受験し
同じ工務店に就職したでも
俺とイッキョは全然ちがう
唯一負けたくない男に完敗だった
今でも悔しさがこみ上げる
――――――――――――――詩織
あの日も俺は
自分のことばかりだった
中学最後の日
おまえのがつらかったよな
ごめんな
――――――――――――――
工務店の親方はイッキョの叔母さんの知り合いだった
工務店に入る際
親父には給料が出たら出ていくと言い保護者欄に印を捺させた
…
そういえばウエモトさん元気かな
工務店にウエモトさんという10コ上の先輩がいた
サーファー風の兄ちゃんで
「未成年 むいてるか?」が
最初の挨拶だった
手押し鉋で人差し指と中指の第一関節から上をとばしていて
機械を使うときは女のこと考えちゃいけないと教えてくれた
初めて生ビールを奢ってくれた
初めて裏モーノを見せてくれた
詩織を可愛いと言ってくれた
奥さんと子供を愛してた
「一樹、彼女大事にしろよ。働くこと、女を守ること、男はこの二つ。これだけでいいんだ」
男らしい先輩だった
―――
ウエモトさんの家で2回夕飯を御馳走になったことがある
最初はイッキョと2回目は詩織と一緒に
カレーと味噌汁と ポテトサラダ
―――
路地裏の連棟長屋の一角
家の前に着いたとき
カレーの匂いに気詰まりを覚えた
カレーは大好きなんだけど
家庭は
「ただいま」
「おかえりー」
誰か 女のひとが返事をした
ダダダダダダダダダ
小さな男の子がダッシュしてきて
いきなりウエモトさんの足に蹴りを入れた
「あ゙あ゙~」
ウエモトさんがひっくり返った
男の子は笑っている
「やったなコノヤロー」
今度はウエモトさんが男の子を持ち上げて回した 捻りを入れた
3D
男の子は上村愛子の30倍以上複雑な回転を繰り返した後
着地に失敗した
ドゴン
…おい大丈夫かよ
「立て!男だろ」
男の子はゆっくり立ち上がった
両手を握りしめ
歯を食いしばっている
まるで投てき直後の室伏
「よし!男だ」
ウエモトさんは男の子の頭を両手で挟み激しく左右に揺すった
男の子は紙相撲の力士より激しく揺れている
「モウヤダモウヤダモウヤダモウヤダモウヤダ」男の子が連呼する
「アータタタタタタタタタタタタタタタタ」
ウエモトさんは続ける
「モウヤダモウヤダもうやだもうやだ!もう!だ!もうやだ!おかーさん!おかーさーん!!」
ウエモトさんがやめると男の子は奥のほうへ消えていった
イッキョ「何歳ですか 息子さん」
ウエモト「あー… 四歳か」
イッキョ「つよい子ですね」
ライトブラウンの髪をクシャクシャした
「ああ。 カミサンそっくりさ」
ーーー
カ「おまえ来たことあんの?」
イ「初めてだよ」
カ「何でムスコってわかったんだよ」
イ「どう見たって息子だろ」
カ「何で」
イ「何でって…」
「おい あがれよ」
「はい」
「お邪魔します」
ーーー
シンプルな シックな部屋だった
中央に一畳ほどの無垢材テーブルがデーンと据えられていて
両サイドにはホゾ組みされた背凭れのある大きな椅子が四脚置かれていた
ユリカゴのようなバウンサーのようなところに驚くほど小さな赤ちゃんがいた
斜め上あたりをじいっと見つめている
その横でさっきの男の子が絵本を開いていた
あ …
「こんばんは」
「こんばんは 弓原一臣です」
「はじめまして 妻の千鶴です」
「お世話になります」
「何もお構いできませんけど(笑)」
…
「もうお一方…」
「ああ おい一樹」
「…あ…すいません 吉井です」
「はじめまして 千鶴です」
「…」
あのときと同じだった
詩織が
一人で食べるよりおいしいと
俺に笑んでくれたあのときと
意識できない
奥のほうの どうしようもない場所が小さく震える感覚
ウエモトさんの奥さんは美しく
そして
目の見えないひとだった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ひとり台所に立つ千鶴さんは
ほんとは見えてる!?って感じだった
イ「すごいテーブルですね 材は…」
ウ「板屋楓」
イ「特注ですか?」
ウ「俺が作ったんだよ」
イ「マジすか」
ウ「大工だぜ 買わねえよ」
イ「じゃ この椅子も」
ウ「ああ」
イ「これも板屋楓ですか」
ウ「栃」
イ「栃…きれいだなあ」
所々に浮き上がって見える波状杢や縮み杢に
吸い込まれそうな感じがした
見えないものを見ているような
たとえば風を
たとえば想いのようなものを
ーーー
カレーもポテトサラダも木の器に盛られている
特にポテトサラダの大きな片口の器はろくろや旋盤加工ではない
いびつな形の美しいもので
箸もスプーンも 箸置きも
サラダの取り皿以外はみんな木で作られていた
「器もウエモトさんが?」
「そう。塗りは漆屋にやってもらったけど」
「すごい」
すごい
ーーー
ウ「味噌汁俺だけしかないよ?」
チ「カレーにお味噌汁なんてアツシだけでしょう?」
ウ「そんなことないよ」
チ「弓原さん吉井さんどう思います?」
イ「確かに変わってますけど」
カ「ファンキーですね」
チ「ファンキー(笑)」
ウ「一樹てめバカにしてんのか」
イ「味噌汁いいすね」
カ「いいすね」
チ「(笑) 今持ってくるね」
ウエモトさんが立とうとした千鶴さんにそっと触れて立ち上がった
ウ「食ってなよ。おっぱいあ「ぼくのスプーン!」
ーーー
「いただきます」「いただきます」
「いただきます」「いたあきメシュ!」
カレーをたべる
!!
思わずイッキョを見た
「うまいす」
千鶴さんのカレーはちょっとマジで後ろにコケそうなほどうまかった
あまくて ちょっと酸味があって スパイシーで あとからカラくて
焼き付けるように咀嚼した
カレーは飲み物じゃない
ポテトサラダもうまい
スーパーの冷たいやつとは違い(あれはあれでそれなりにうまいけど)クセがなく、温かく、ブラックペッパーが効いていた
味に勢いがある
そしてこの味噌汁
ダシは煮干しだ
頭とハラワタを取り除き身を縦2つに割いて軽く洗って火にかけるそして
…
美味しんぼか
とにかくもう 最高にうまかった
スプーンは口当たりが優しく
木の食器での食事は静かで親密だった
食後
ウエモトさんが缶コーヒーをくれた
「ほい」
「すいません」
「いただきます」
背凭れに体を預けテーブルの耳に触れ 目を閉じてみてわかった
テーブルも椅子も食器も
全部千鶴さんのために作ったのだと
ーーー
縦一列 イッキョが前
川沿いの道を自転車で帰る
前方からやってきた車がハイビームに切り替え間隔あけずにスピードあげて走り去る
「わっ」「あぶっ」
マセラティで首都高走れよ
イ「ちょっと休もうぜ」
「ああ」
イッキョはガードレールに凭れフィリップモリスに火を着けた
イ「カレー うまかったな」
「ああ」
「ちょっと 疲れたよ」
イ「そうか」
俺には眩しすぎたんだ
「ポテトサラダも うまかった」
イ「うまかったな」
「千鶴さん…奥さんさ」
イ「ああ」
「すごいよな」
イ「ああ」
「見えないのに」
イ「だからじゃねえかな」
「だから …」
「見えないからすごいのかもな」
男の子に 赤ちゃんに
千鶴さんに木に囲まれた食事に
イッキョの言葉に
もうこんがらがってしまって
気が遠くなるほど詩織を抱きたいと詩織に
抱かれたいと思った
三人で食事の後片付けをした
ウ「やがてくーるーWow それーぞーれのー 交差点Woo…」
…
俺はイッキョを見る
イッキョは首を振る
なんとかしてくれよ
「あー夢かーら醒「ウエモトさん」た
なんだよ」
イ「奥さんカレー嫌いなんですか?」
ウ「おっぱいあげるからだよ」
サンクス
ーーー
ウ「弓原も一人っ子政策か」
イ「政策かはわからないすけど」
裏庭の縁側で
イッキョとウエモトさんは煙草をふかす
俺は少し離れて缶コーヒーを飲む
男の子は足の親指をいじってる
「名前は?」
「りんたろ」
俺は近くにあった針金ハンガーを
りんたろの頭にかぶせてみた
りんたろは横を向いた
ーーー
ウ「かわいいこでさ、俺に「(彼を)宜しくお願いします」って頭下げんだよ」
チ「へえ」
…
ウ「今度連れてこいよ」
千鶴さんがたいへんでしょ
チ「うんうん 会いたい 連れてきて ね」
カ「イッキョ詩織連れてきて」
イ「あほか」
押されっぱなしはいけない
ここは思い切って
「詩織にもカレーとポテトサラダ
食べさせてもらえますか?」
千鶴さんは笑ってくれた
「いいよ ふふ ありがと」
優しいなあ
イッキョみたいに面と向かって
うまいって言えなかったけど
詩織のおかげで伝えられた
――――――――――――――
「おいしい! え! おいしい!」
ーーー
「私が感じる吉井君は
とてもストレートだよ
弓原君のほうが 何て言うか
内に秘めてる感じする」
ーーー
「千鶴さんまずはポテトサラダを教えてください!」
ーーー
「やっぱりフレンチクルーラーかなあ」
ーーー
「キューピーハーフは倍使っちゃうから
キューピーの思うつぼですよ」
ーーー
「フリースは苦手なんだよね」
ーーー
「カラムーチョもすっぱムーチョも美味しいのにどうして"すっぱカラムーチョ"が発売されないのか私ずっと疑問なんです」
「ふたつ一緒に食えよ」
「吉井は黙ってて」
――――――――――――――
詩織
千鶴さん りんたろ
さくらちゃんだったよな
玄関の外に出て
またいつでも来てねって
見送ってくれた
みんな元気かな
あの日がさよならだなんて思いもしなかったよ
――――――――――――――仕事を選ばす出来ることはすべてやるというのが親方の方針で
たった数ヶ月の間に建築やリフォームだけでなく舗装や配管工なども経験した
――――――――――――――
俺は初めて
汗をかくことが気持ちいいと感じた
義務教育での徒競走やクラスマッチで強いられる汗とは全然ちがう
金のために
生きるために汗をかく
至極明解だった
1日24時間の内10時間やそこら金のために我慢すればあとは自由
大人は何てラクなんだろう
ラクしてるのにエラそうなのは何故だろう
15の俺は思ってた
――――――――――――――
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
詩織
あの頃
部屋借りるにも単車免許にも
何するにも保護者保護者保護者
うんざりだった
ごめん俺は
初給料貰ったときから多分もう高校行く気なかったんだ
予備校行かず勉強している素振りもない俺にお前は何も言わなかった
「最近こればっかりだね」
「仕方ないか 吉井やりたいさかりだもんね(笑)」
待っていたのか
俺が言い出すまで
来年こそは受かってみせるって
それなのに
横浜行く ギタリストになる
許せるわけないよな
ウエモトさん
殴られた本当の訳
今頃わかりました
あなたは千鶴さんの為なら猿回しの猿にだってなれる人だから
それがあなたのプライドだから
俺のことが許せなかった
「二度とツラ見せんな」
プライド故に許せなかった
詩織と別れて出ていく俺を
プライド故に
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
==============16:38
…
ついさっきまでコウジさんと餃子食っていたのに
4ヶ月も前の事に感じる
頭の中がホワホワしていて
まるで滅茶苦茶な携帯小説の中に紛れ込んだ感じだ
ーーー
結局殆ど眠れなかった
馬場のせいだ
子供ができたとか世界に通用する名前だとか馬場カーネルだの母父だの
更には詩織が離婚
…
ーーー
何か食べとかなきゃいけない
冷蔵庫を開ける
卵 納豆 厚揚げ キムチ ママカリ
チクワ つけ麺の達人 マルちゃん
キャベツタマネギレモントマトネギキュウリ大葉
キューちゃん …
トースターの上に8枚切りPasco
スパイスラックにオイルサーディンがあった
オイルサーディンとタマネギをみじん切り、塩コショウ、レモン汁を加えまぜる
片面だけトーストしたパンに大葉と
ちょっとだけマヨネーズ
サーディンサンド
小さいトマトを8等分に切り
スティックタイプのココアに湯を注ぐ
ーーー
詩織
わかったよ
忘れられるわけない
おまえが俺にくれたものがどんなに大きいか
多分きっとこれからも大きくなっていくと思う
二人だけの時間に答えなんて出せないし出さない
伊東詩織
忘れ得ない彼女
ーーー
俺はおかしい 自分で思う
けどそんなおかしい俺には
毎日やるべきことがある
時々うんざりするけれど
忙しさに紛らわせながらバランスをとっている
これがなくなったらつらい
何もできずに病と闘うほうが
ずっとつらい
ーーー
サーディンサンドはうまい
受験生の彼女に作ってあげたい
多感で しなやかで ユーモラスで
内につよさを秘めている
丸っこい顔の やさしい彼女に
洗顔歯磨きヘアワックス
ジャケットの袖に腕を通す
ところで
もし俺の心の中を誰かに見られたらその人は俺を妄想性分裂病型人格障害 アダルトチルドレンとか
中二病なんて言うだろう
実際そんな感じ
しかし中(厨)二病なんて俗語で揶揄している大人もまた中二病
というかまるで中学生みたいだ 中学生に失礼だろ
今日は畠山さんの初出勤日
マッサージ師の白衣は伊藤さんと
綿の質やシルエットに拘って選んだ
着ていてモチベーションが上がるものをと
今日がはじまりさ
ドアを開ける
「おはようございます」
「おはようございます」
受付の角田さんとの挨拶で俺の一日はスタートする
彼女一人の存在がお客とスタッフにどれほどの安心感を与えているだろう
「あら ちょっと痩せたんじゃない?」
「いろいろとハードな休日で」
「ちゃんと食べなきゃ駄目よ
私があと十歳若かったら一樹ちゃんと再婚するんだけど(笑)」
パクちゃんがマッサージの伝票を取りに来た
「おはようございます。カズさん、チヂミ食べてみて下さい、後で」
「新作?」
「はい」
「お!」
ウチのチヂミは四種類
一皿2ピース250円で提供している人気メニューだ
ソンちゃんが入ったときに思いついて俺がはじめた
安くてうまい小皿料理はうけるというのと、もうひとつ
ソンちゃんに認めてもらうために本気で作った
言葉とお金だけでは
人はついてきてくれない
何十人と面接し何人か採用した
そのうち韓国人は二人だけで
残った二人は韓国人だ
日韓の間には恐らく
何百年経とうと何百億積もうと埋めることのできない溝がある
これはとてもデリケートな問題で偏に語ることはできない
俺にできることは
ソンちゃんとパクちゃんを大事にすること
ソン・ミンウ パク・ヒョンス
異国の地で誇り高く生きる二人をリスペクトしている
2階3階スタッフ、マッサージ師、お客に挨拶 2階カウンター内に入りパクちゃんの新作を食べる
味噌 挽肉 ナス ネギ …何だろ
「うまいす。出してみて下さい」
「ありがとうございます」
言いたいことは幾つかあるけどきっと常連が教えてくれる
考えて 作って 反応を窺う
どんどんやってくれ
その気持ちがうれしいよ
ーーー
チヂミは一度焼いたものを六等分し注文を受けてから再度焼いてお出しする
それに合わせて生地に米粉や長芋などを加え焼き方も工夫している
カリッとモチッとフワッと
スピーディーにさりげなく
注文を受けてから手間と時間ののかかる料理はいけない
しかし一番よく出るタンドリーチキンは
オーダーからお出しするまで約15分かかる
タンドリーチキン
タンドールなんかないけども
試行錯誤繰り返したこの料理は
スタッフと常連が「(某有名インド料理店)よりおいしい」と言ってくれた テイクアウトも多い
調味液が命だが漬け込む前に余分な水分とアブラを取り除くことも肝心
タンドリーチキン
何故あんなに固執した
「おいしー」
「な」
「ウソー!」
「スゲー」
「いいよ ありがと」
「 すっぱカラムーチョが発売されないのか私ずっと疑問なんです」
14歳のクリスマス 千鶴さんのカレー
ーーー
もういいよ わかった
好きにすれば 横浜行ってやりまくればいいよ
越えたかったんだ
詩織 お母さんと
千鶴さんと出会って俺は今ここにこうしている
馬場パパとの電話も無駄ばかりではなかった
ーーー
テレビのリモコンを持って長靴を履き浴室へ サウナ室のドアを開ける
「失礼します こんばんは」
マットを整える
6人居たのでチャンネル変更は後
風呂ジェットバス水風呂の温度確認
桶や椅子を整え浴室を出た
ーーー
大仰に掲げている訳ではないけど決め事はある
:女性スタッフは浴場に入らない
:お客と俺らが使うトイレの掃除は男が担当し女性はスタッフ専用トイレ(いつの間にか女性用になってる)を担当する
…あんまりないな
スタッフ同士の私語は慎むとかそういうのは当たり前のことだし
ーーー
俺は何でもやるけど、主にフロアと浴場を担当している
ガウンを運んだりマット交換使用済みガウン タオル等の片付け、皿洗いなど、男なら誰でもできることを一番やる
難しいのはマッサージの予定組み客まわしくらい
仕込みや、カウンター内の簡単なことはするが注文を受けてからの調理等は殆ど任せている
自分が裏方というかサポートに回ることで気持ちや姿勢を示しているつもりだったのだけど
へんなふうに伝わっていた
伊藤さんからは最近までゲイだと思っていたなんて言われ、
最年少の高田さんには「個人的な嗜好で露骨に態度変えないで下さい!」と怒られたんだ
本当にびっくりした
何のことかさっぱり解らなくて
ゲイを否定している訳じゃないけど 俺はゲイでもバイでもない
しかし言われてみればたしかに
:男性専用サウナに12年
:浴室整頓等率先して行う
:女性スタッフとあまり喋らない
:お客とは普通に喋る
:コウジさんと仲良し
疑われても仕方ない
でもまあいいのかも知れない
うちの店は女性がお客を呼んでいる
俺や男スタッフが彼女達とフレンドリーなのはお客にとって気分のいいものではないだろう
「今晩は 宜しくお願いします」
畠山さん
伊藤さんと選んだ白衣を着てくれている
何て言ったらいい
気の利いた比喩が浮かばない
妄想と分裂のあいだを彷徨うホストが言いそうな科白もでてこない
なにしろ似合っている
畠山さんはちょっと笑んで視線を落とし 小さく両手を広げた
そして顔を上げた
俺も小さく両手を広げる
どこか懐かしい
欧米か デ・ニーロか
ーーーーーーーーーーーーーーところで俺は祐子の
白衣、看護服?着ている姿を見たことがない
頼めば着てくれるかもしれないけど、はばかられる
「色々忘れさせてやる」なんて言った記憶はないでもいつも彼女の気分転換でありたいとは思っている
去年だったか
俺の家で鍋をしたとき
猫舌の彼女は豆腐を念入りにフーフーし、口に運ぶと思いきや
顎につけて「あちっ」と言った
ダチョウ倶楽部が3人でやる仕事を
1人でやってのけたんだ
その時の言い訳が
「よそ見しちゃった」
疲れていたんだろう
眠たかったのかもしれない
頑張っているんだと思う
毎日 気遣って 思い遣って
たたかっているから
俺たちは週に2回会えれば多い方で2週間会えない事もざらだ
気分転換 リフレッシュ
忘れさせてやれる男でありたい
ほんとは見てみたい
他にも色々ある
短冊に書きたい
でもいえない だがしかし
ーーーーーーーーーーーーーー
今度祐子に着て貰おうと思う
畠山さんとスタッフの顔合わせは
一昨日済ませている その日はそれだけで帰ってもらった
今日は(マッサージ)シングル1人に
ダブルを2人やってもらう
慌てずに 焦らずに 少しずつゆっくりでいい
ーーー
"とてもお似合いです"という言葉が不適当で失礼なほど白衣は彼女にとても当たり前にピッタリとしていた
「ピッタリですね」
「ありがとうございます」
畠山さんは「とても柔らかくて動きやすいんですね」と言い
ちょっとだけ汽車汽車シュッポッポの動きをした
優しいふくらみがシュッポッポして俺は視線を外す
クラバッツオブロンドンのナロータイを褒めてくれた 「素敵な紫ですね」
鳩尾の奥がきゅうっとなる
吉井君なら絶対なれる
がんばってね
お母さんがオーバーラップした
畠山さんと話がしたい
このままJazz Barかどこかで
パーキングメーター ボウモワ 本日のスープ
Jazz men バルヴェニー イベリコ豚の脚
みんな雨に…
…
こんなところを高田さんに見られたらまた怒られる
「宜しくお願いします」
「宜しくお願いします」
踵を返す
「あ すみません」
「 はい」
「どこか
煙草吸える所ありますか?
今頃訊いてごめんなさい」
そうだ訊くの忘れてた
「こちらこそすみません。
上にあります。 ちょっと
一緒に来て下さい」
ーーーーーーーーーーーーーー喫煙者の俺は
ある程度歳を重ねたマナーのある喫煙者に少しだけ親しみを覚える
自分が煙草を吸わない乃至やめたからといって「煙草は誰でもやめられます」なんて言う人は苦手
あと、禁煙本を読んでやめるような人はちょっと信用できない
ーーーーーーーーーーーーーー
三階休憩室の一部
天井から仕切りを設け
窓に換気扇を設置
空気清浄機も置いている
「ここかベランダでどうぞ」
「ありがとうございます」
一緒に吸いたいけど
それはスマートじゃない
俺は受付の奥で
小さく会釈し階段を降りた
気になっている
一回目の交渉、二回目も、畠山さんは受け入れてくれなかった
"私に関わらないで"とでもいうように頑なに
それなのに
「吉井さんの熱意が、気持ちが 有り難かったです」
何故だろう
ーーーーーーーーーーーーーー
「シングル25分3000円、ダブル50分5500円と掲示しています。実際にはシングル30分ダブルは60分弱の施術をお願いしていまして、店側のマージンはシングル20%、ダブルで約13…12、8%弱。つまり、言葉が適切でないかも知れませんが、畠山さんの取り分、あがりは30分2400円、60分4800円です」
「入浴料は2000円、例えば極稀ですが、マッサージだけを受けたいというお客様であってもこの入浴料は一律に戴きます」
「去年近くにスーパー銭湯ができました。しかし問題なく売上は伸びています。コンセプトが違うんです」
「世間には"接遇のプロ養成講習"とか"接遇術"なるものがあるそうです。自分はこれを聞いたとき、東京03のコントかと思いました。すみません、東京03すきなんです」
「接遇にマニュアルなどないし、接遇術、と掲げた時点で接遇ではなくなると思うんですね」
「決して安くはないのに何故お客さんが来てくれるのか。言葉でお伝えするのは難しいです。例えば、うちの女性スタッフはホステスではありませんが、ホステスという仕事を軽んじている方には恐らく理解できないと思います」
「無理もありません。程度の低いホステス又はホストが取材を許可し
マスメディアに出たがる。カメラはお決まりのイメージを映す。大衆はお決まりを求めているんですね。固定観念を崩してほしいなんて誰も思っていない。水戸黄門です。
イメージ通りのホステスホスト元ホスト元ホステスが取り上げられ、本物は目の前のお客さんを大切にしているんです、、というのは知人からの受け売りですが」
「脱線ばかりしてすみません」
ーーーーーーーーーーーーーー
何を話しても閉鎖的だったのに
まあいいか
気持ちが伝わったんだきっと
「畠山さんお願いします」
記念すべき か知らないけど
一人目のお客さん(常連 田之上サン 関西人)を入れた
ーーー
マッサージを受ける常連客の約3割が指名客
あとの7割は"自分のタイミングで入りたい時に入れる、待ち時間の少ないマッサージ師で"という方々
他との比較は出来ないけれど
指名客の比率は低いと思う
それだけマッサージ師の技量が拮抗しているのだ
俺は受けたことないけども
マッサージの割り振りは難しい
整体治療院や病院のように
診察や施術だけを目的に来るのなら、そう難しくはないだろう、と思ってしまう
ここはサウナ
お客は疲れやストレスをとるために来店する
そして一人一人、入浴時間も、上がってきてからの休憩時間も違う
マッサージを受けるのは、一服してから、一杯飲んでから、ジョジョ読んでからなどなど、お客一人一人にそれぞれのタイミングがある
気持ちよくマッサージに入ってもらうこと
どれだけ無理なくスムーズに
マッサージ師さん達の仕事量等も考慮しながら割り振るか
この仕事の難しいところだ
ーーー
マッサージを終えた田之上サンが戻ってきた
「お疲れさまです」
「あ~ あ~」
「いかがでしたか 畠山さんは」
「やー、ええ気持ちや、ハマってもうたよマジで迷路、いやほんまに。畠山さん、最高やな」
声がでかい
畠山さんに聞こえるだろ
店の雰囲気大事にしてください
カ「ありがとうございます」
タ「生ちょうだい」
カ「かしこまりました」
カ「パクちゃん、新作お願い」
パ「はい」
ーーー
タ「うん。いけるいける」
パ「ありがとうございます」
タ「ビールがすすむわ」
パ「タノウエさん、ダメダシください」
ダメ出しって誰に教わったパク
タ「んー…、そか、よしゃ」
田之上さんはジョッキの縁を親指で拭いた
「うまいんやでほんまに、
けどな、これやったら、ナスビに肉味噌でええんちゃう?」
パクちゃんは小さく頷く
「チヂミの良さが出てないよ。これ食べて"うまい"思うけどさ、
"チヂミうまい"とは思わんかもな」
パクちゃんは深く頷く
タ「まましかし、これをパクちゃんが作ったゆうんがうれしいわ、うん。 俺はすきや」
パ「ありがとうございます」
ウィスキーメジャーにラフロイグを
注ぎながら俺はうれしかった
「お疲れさまです」
畠山さんの施術を終えた岡さんが戻ってきた
ほぼ毎日来店し2日おきにマッサージを受ける岡さんは開店当初からのお客さんなのだと角田さんに聞いた
8番ロッカーは岡さん専用
8に拘りがあるようで
アウディA6のナンバーも8だ
ーーー
22:24
畠山さんの初日終了
マッサージの予約はまだ沢山入っているけれど今日はここまで
マッサージ室へ入り畠山さんに声をかける
「お疲れさまでした」
「ありがとうございました」
「上で少し話したいのですが」
「はい」
ーーー 休憩室
「本当に素敵な雰囲気で安らげるお店ですね。お客さんも気さくな楽しい方ばかりで」
「ありがとうございます」
楽しいのは田之上さんだけだが
畠山さんは明日から今日の倍は普通にこなせると言ってくれた
大助かり
どんなに忙しくても2時間毎に15分の休憩を入れることを伝えた
「お腹空いてませんか」
「はい 空いてます(笑)」
「何かお作りしますよ」
嬉しそうに両手を合わせる
「何ができますか?」
「サンドイッチ、ピタサンド、…裏メニューは豊富です。ラーメン焼きそばカタ焼きそば、レタスチャーハンキムチチャーハンオムライス、あと冷凍ならグラタンやラザニアなんかも。業務用で結構おいしいですよ」
「私オムライス大好きなんです」
ワラウナ
「お持ちしますのでこちらでお待ち下さい」
階段を降りながら やはり女性相手に働くべきだったと ここでの歳月を少々悔やんだ
オムライス
しあわせの象徴のような料理
つくるか
「ソンちゃん、ちょっと代わって」
「はい」
「桐野さん、オムライス作らせて」
桐野さんは"どうしたの?"という顔で俺を見た
「すぐできるから」
「(笑)知ってますよ」
トマトソースと鶏肉卵を出してくれた
「ありがとう」
味はどうってことないけど手際には自信がある
パック米レンジで加熱
鶏セセリ肉ハーブソルト白ワインで炒める
自家製トマトソース次パック米投入均一に炒め取り出しフライパン拭きバター溶かす
卵とき流し込み大きくカクハン
チキンライス薄く広げ火を消す
フライパン傾けトン トン トン
皿に移しトマトソースパセリ 完成
卵2個バター10g
――――――――――――――
ホテルのオムレツや洋食屋のオムライスには
バターがタップリ使われる
ふわとろでうまい しかし
大切な人に作る時卵3バタータップリは抵抗がある
ふわとろも好きだけど薄い玉子のオムライスがより好きだ
――――――――――――――
面接でお酒は好きだときいた
今日は記念すべき初日
グラスに生ビールを注ぎオムライスと一緒に畠山さんのもとへ
「お待たせいたしました」
畠山さんは窓の傍に立っていた
何だろう
もう思い出せない古い記憶を
ふるふると震わせるような
俺の中の大人になれない俺が顔を出す
畠山さんは凛として
海沿いの階段に一人立っているように見えた
お待たせしました
こころの中でおもう
==============みんな当たり前にある物が
自分にないそんな劣等感は
みんなから離れれば大丈夫
羨ましいとか口惜しいとか
続けられる程の強さも無く
越えられぬ痛みに立ち竦む
そんな時より目の前に有る
優しさを前に無力さを知る
==============
優しくほほえむ彼女の姿に
既視感を覚え固まってしまった
「すごい」
小さな声でそう言うと
そっと椅子に腰掛けた
「想像していたんです
こういうオムライス それに ビール飲みたいなって思っていて」
「お待ン ごゆっくりどうぞ」
階段を降りながら やはり女性相手に働くのは厳しいと ここでの歳月を軽く甘受した
ーーー
リクライニングソファで寛いでいる岡さんに呼ばれた
「今日マッサージしてくれた彼女、何さんだっけ」
「畠山さんです」
「これから空いているときは畠山さんにお願いしたいんだが」
「ありがとうございます」
――――――――――――――
俺の知る限り一度も指名した事のない岡さんが畠山さんを指名したいと言ったこの時、ここで働くマッサージ師さん達の中で畠山さんの技量が卓越しているなんて全く思わなかった
思えなかった
自分で探し、やっと見つけ、やっと来てくれた畠山さんに一人目の指名客がついたことが
しかも岡さんだったことが
俺はただうれしかったんだ
――――――――――――――
休憩室のドアをノックする
畠山さんは喫煙コーナーからひょっこり顔を出してにっこりした
「ごちそうさまでした」
「どうぞ そのままで」
両手でコーヒーカップを持っていた
短く切り揃えられた爪が美しい
「すみません勝手に飲んでて」
「そんな 沢山飲んで下さい」
自由に飲んで下さいって言わなかったか 申し訳ない
畠山さんはオムライスとても美味しかったと、後も重くなくてまた食べたくなると言ってくれた
「腕の立つコックサンがいるんですね」
「あ そうですね」
「あのちょっとビックリしたんですけど、ビール、美味しいですね」
「ありがとうございます」
それから、一昨日渡した長谷川きよしのフライミートゥーザムーンとケルト音楽をダビングしたCD-Rのお礼を言われた
本当によかったと バグパイプにはまってしまったと
このまま煙草に火をつけ
小さな声で話していたい
彼女のことを知りたいと思った
「今度ゆっくり話しましょう」
「はい」
「お疲れさまでした」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
――――――――――――――To 祐子
Sub(non title)
お疲れさま😃
祐子が切ってくれたキャベツは
おいしい餃子になりました
ありがとう
おやすみ🌠
一樹
――――――――――――――
休日 am10:30
俺は歯を磨いている
今日はデート
二週間振り
昼はフレッシュネスバーガーで軽く済ませてドライブ 秋葉原で過ごし夜は恵比寿でもつ鍋、そしてラブホに泊まる 予定
彼女のアパート横につけ
降りてタバコに火をつけた
「もしもし ついたよ」
手を振り降りてきた
微笑んでいる
俺の知っている祐子 だけど
なんだか疲れているようだ
スタンドカラージャケットもロングブーツも
それを隠せないでいる
って痩せたんじゃないかおい
「元気?」
「ああ」
「ちょっと痩せたんじゃない?」
祐子だろ痩せたのは
ひとの心配ばっかりしやがって
ったくお前はいつも他人の事ば…
予定変更
「昼メシ 鰻どう?」
「え鰻?」「うん」「鰻丼?」「鰻丼でも鰻重でも」
「食べたいの?」
「うん」
祐子は微笑んだ
「了解。鰻食べよう」
元気になってほしい
なあ祐子元気出して
ーーー
二人とも二色丼を頼んだ
蒲焼きと白焼きのハーフ&ハーフ
Black or White
ゴハンの中に蒲焼きが一切れ隠れている
おいしくいただいた
彼女は1/3程残して
「ちょっとくるしい」と言った
「大丈夫?」
「大丈夫だけど お腹いっぱい
カズ君食べない?」
「鰻が祐子に「食べて」って言ってるよ」
「カズ君食べて お願い」
俺は彼女の鰻を見つめ
いつかのスピリチュアルカウンセラーのように頷いた
「祐子じゃなきゃいやだって言ってる」
彼女も鰻を見つめ頷く
「"おいしく食べてほしい"って。お腹いっぱいなのに食べたら鰻にわるいよ」
鰻への配慮
ナイチンゲールにはあったのだろうか
今日は二回やらなくては
鰻にわるいよ
「有り難くいただきます」
「うん 食べて」
祐子が笑った
この笑顔がちからをくれるんだ
食は血となり肉となり
鰻は今夜の稚魚になる
やっぱり
あと少しだけ食べてほしい
肝吸いの椀蓋に蒲焼きと白焼きを半切れずつ乗せて彼女の前に差し出した
「苦しいの?」
「Black or White」
彼女は椀蓋の鰻を見つめ
"But if you're thinkin'about my baby It don't matter if you're black or white"
口ずさみ俺を見た
「それだけ食って 頼むから」
「いただきます」
ーーー
「おいしかったね」
「ん うまかった」
お腹苦しい
秋葉原まで運転キツイそれに昼鰻夜もつ鍋は駄目だ夜は蕎麦にするかどうするか一旦帰ってちょっと休んでからド…
「カズ君ちでコーヒー飲もうよ」
「いいのか?」
「いいのかって(笑)
自分の家なのに」
ーーー
なあ祐子
お前といるとつくづく思うよ
本当に優しくて、賢いやつほど
すっとぼけてるってさ
ひとに気遣わせるのが嫌なんだよな
だから俺も出来るだけすっとぼけているよ なんて 俺は鈍いから普通にしているだけさ
それでもブルームーンで飲んだあの日から気になって仕方ないよ
一体何がお前を悩ませている
ユ「鰻食べて元気になった?」
カ「ちんちん?」
ユ「 」
カ「黙るのはやめてくれよ」
ユ「All I wanna say is that
They don't really care about usトゥンタ トゥントゥンタ All I wanna say is that…
カ「祐子」
ユ「なに」
カ「美味しんぼの鍋対決知ってる?究極対至高って」
ユ「知らない。料理で対決するのは知ってるよ?鍋対決は知らない。どんななの?」
カ「それが滅茶苦茶でさ。
山岡さんと栗田さんは"ヨロズ鍋"っての考案して勝負してんのに海原雄山は"五大鍋"なんつって既存の豪華鍋料理を五つも出してきて、勝っちゃうんだよ」
ユ「何それ(笑)」
カ「滅茶苦茶だろ?」
ユ「読んでみないとわからないけど。面白そうだね」
カ「美味しんぼ面白いよ。メチャクチャな携帯小説より上等なツッコミどころ満載で」
ユ「ふうん。 ね、五大鍋って何なの?」
カ「マツタケ フグ カニ アワビ スッポン」
ユ「勝てるわけないじゃん(笑)」
カ「あれで負けを認めた山岡さんと栗田さんはヤバイいやスゴイ」
ユ「ふふ」
カ「で、まだ祐子と出会う前にな、コウジさんがスッポン食わせてくれたんだけど。コースでさ、突き出しの次に生き血が出てきて」
ユ「やだ。飲んだの?」
カ「飲んだ。断腸の思いで。
元気になる精がつくって言われたんだけど、あんなもの飲める奴は思いっきり元気だよ」
ユ「あはは」
カ「精つきまくってるのに更に精つけちまうのは何故だろう」
ユ「鰻で思い出した?」
カ「うん」
カーオーディオから流れるTHEY DON'T CARE ABOUT US
マイケルジャクソンが歌う
Don't you black or white me
俺に白黒求めるなと
ーーー
「スッポン美味しかった?」
「雑炊はうまかった」
「雑炊だけ?」
「うん」
俺は偉そうに鍋対決を語る
鰻で元気になっちゃった
「万(ヨロズ)鍋だって一つのもてなしだよ。皆で一つの料理を囲むという鍋の醍醐味を表しているし何より食ってる審査員達が寛いで楽しそうなんだ。
カイバラ先生は万鍋を否定するんだけど、万人にうける料理が無いなら、万人にはまる答えも無いさ。"これこそがもてなしだ"なんて、もてなす側の科白じゃないと俺は思う」
「うん」
「美味しんぼは面白い。考えさせる余白を用意してる」
「ねカズ君。ツッコミどころがあるほうがいいね。人間味があって」
「そうか」
「うん。私は好き。
カズ君もツッコミどころ満載(笑)」
「また悪口か」
「違うよ(笑)私は人が好きだから。矛盾したり、迷ったり間違ったりも、人間味」
なあ祐子
どこかのジジイに言われてもどうってことない言葉もさ
お前からだとストレートに響くよ
俺のガチガチの心を解してくれる
49ersのスタジャンをハンガーに掛ける
「コーヒー淹れるね」
「いいのか?」
「どうしたの?」
「ありがとう」
ーーー
コーヒーを飲む
考えていたプランを話す
祐子は何故秋葉原なのかと尋ねた
「欲しいものがあるの?」
「特に無いけど、楽しいだろ?」
彼女は家電好きだし
俺はオーディオに興味がある
そして何故か秋葉原の駐車場に少し詳しい 恵比寿のもつ鍋も近くに停められるコインパーキングがあることを知っている
「で、〇〇でもつ鍋って考えてたんだけど、鰻食べちゃったからどうしようかと思ってさ
予約はしてないし」
二人で考える
「今日はのんびりしようよ」
いいのかと言いかけてやめた
「そうしようか」
それから俺たちはスクリーンを下ろしプロジェクターで渡り鳥とシロナガスクジラのDVDを観た
日暮れが早い
「ね、ブルームーン行こう」
「同じこと考えてた」
「三週間振りだね」
「つぶれてなきゃね」
「またそういうこと言って」
どんな商売も何時どうなるかわからないもんな
言わない事は訊かないはやめる彼女を悩ませてるのは俺かも知れないんだから 可能性は高い
ブルームーンできいてみよう
ユ「こんばんは」
ケ「ああ祐子ちゃんいらっ
なんだカズも一緒か」
カ「どうも」
店内にはジャズが流れている
昔よくケンさんが教えてくれた
ビーバップとかクールとかウエストコースト とか色々あるんだと
俺はジャズが少々苦手
心が不自由なのだろう
ケ「何にする」
カ「祐子何にする」
ユ「コロナビール」
カ「じゃ俺も」
ケ「じゃ俺も 悪いな」
カ「俺の奢り?」
ケンさんは親指を立てた
お客さんがちらほら入ってきた
カ「あっち行っていい?」
ケ「ああ」
俺はギネスとアボカドディップを
彼女はジントニックとナッツを持って奥の個室へ移動する
俺はジャズが時々苦手
心が不安定なのだろう
ーーー
ごまかさない
ごまかしちゃいけない
「な」
祐子が俺を見た
俺はジントニックを見て
やっぱり祐子を見た
「何に悩んでる?」
「え?」
ギネスに口をつけた
「きかせてくれ
祐子が思ってること」
彼女はテーブルを見つめ
ちょっと笑んで背筋を伸ばし
口をすぼめそっと息を吐いた
「ごめんね まだうまく言えないから 言わなかったんだけど
三月いっぱいで仕事辞めようと思ってる」
「私看護師やめる」
簡単に答えられる訳ない
人間は簡単じゃないから
それでも訊いた
「決定的な何かがあったの?」
小さく首を横に振る
「向いてないってわかったの
やっと」
ーーー
繊細で気位の高い祐子
生まれてから今日まで
看護師を志した時から今日まで彼女は一体どれほどの苦難と闘ってきただろう
そんな彼女に俺から諭せる事などない
ただ話したいことがある
俺の経験をきいてほしい
看護師である今の彼女に
「祐子と出会う1年…1年4ヶ月前にさ、腰の手術したんだ」
「え」
「固定術ってやつ」
「…」
「聞いてくれる?」
「うん」
俺は目を閉じた
屈辱だった 地獄だった
蔑む目 たかが一患者
一人の看護師に救われた
それでも
思い出すと息が苦しくなる
避けては語れない
冷静に
「俺さ 虐待受けて育ったんだ」
彼女は口を固く結び
まっすぐ俺を見ている
「忘れていた記憶が
術後の清拭でそれが甦った」
冷静に
「椎間板ヘルニアだったんだけど、紹介状書いて貰って診察受けたら明日手術しましょうってなって検査検査さ。麻酔科医の説明受けて術後コルセットの型取りして担当の看護師に説明受けて。必要な物とか手術の流れとか色々看護師さん説明してくれるんだけど頭に入らなくてさ。乖離癖があんだろな。心底嫌なことは入らないし抜けちまう。
腹帯とかサンカクタイとかストッキング導尿カテなんて殆ど看護師帰った後自分で読んで知った。馬鹿だろ。
その夜睡眠薬要るかと訊かれて断った。反射的に断る癖がついてるのと、腰の手術くらいで眠れないなんて恥ずかしいと思ったんだ。
ライト当てられて眠ったふりして。手術はこわくなかった。なるようにしかならないから。看護を受けることに対する恐怖で結局一睡もできなかったよ」
「朝になってよく眠れましたかと訊かれてよく眠れましたと答えた。で、浣腸。それでも平静装えたよ。問題ない問題ないって。脚引き摺ってトイレ行くとき看護師が横について「痛みますか?」って。だから「慣れました」と。「やっぱり緊張します?」「女性と話すのは苦手で」「大丈夫そうですね」なんて下らない会話してさ。大丈夫大丈夫言い聞かせた。
煙草吸いたかったな。
手術室の看護師の説明受けてそれからマーキング。腰に針金打ち込んで。ベッドに戻って横になってる時だった。腰からふくらはぎにかけて激痛が走ったんだ。看護師が来たから痛み止め使っていいかと訊いたら訊いてきますと言って出てった。暫くして白衣の男が来てあと30分で手術、痛み止めが効くまで30分かかるから無駄だと。
担当の看護師が隣に立っていた。情けない姿を見られるのが苦しくて「一人にして下さい」って言ったら頷いて出てってくれたよ」
ごめんなこんな話
「それからずっと目を閉じて耐えていた。ベッドのまま手術室に運んでもらった。女の声で「服脱げますか」と訊かれた。他人に脱がされるなんて冗談じゃない。なんとか上は脱いだ。腰が動かせなくて、いま下も脱ぐのかと考えていたとき女が「いーや脱いじゃえ」」と言ってジャージとパンツを一度に下げたんだ。びっくりした。スッポンポンさ。普通の状態なら文句の一つも言えただろうけど、痛くてどうしようもなくてさ。前を手で隠すのも屈辱だから横向きで耐えていたよ。
ジャージと下着一緒に下ろすなんて考えられない。しかも「いーや脱いじゃえ」だぜ。俺は乳幼児か。意識あるのに、命に関わる一刻を争う事態でもないのに人間扱いされなかった。麻酔導入前からまな板の鯉、調理場の鮪さ。脱いじゃえの彼女に悪気はなかっただろう彼女は普段そうやって男に脱がされているのかも知れない。
どのくらいスッポンポンで耐えてたかな。多分数十秒だろうけど、長かった。
その彼女か他の誰かが毛布掛けてくれてもマスク当てられてカウントされても、手術室に運ばれる時から落ちるまで一度も目を開けなかった。
映像がトラウマになることを本能的に避けたんだ」
ギネスを飲む
「ごめん。こんな話」
祐子は首を横に振り
ジントニックに口をつけた
「ききたい」
「目覚めた時寒くてでも腰は焼けるように熱かった。足の指動かせたから神経は切れてないって思ったよ。
術前僅かに浮かせられた腰は全く動かず。磔の刑だよな。脚の痺れが術前より酷くなってて看護師に伝えたら執刀医が来て「神経を圧迫していたヘルニアを取ったから痺れだけが残って強く感じるんだよ」と。確かに脚の痛みは術前ほどじゃない。けどそれが腰に一極集中した感じさ。そして全く動けない」
「コウジさんが来てくれた。俺の手をとって泣きそうな顔するから
「大丈夫だよ」って言えたんだ。看護師来た時気丈でいられた。
体どんどん熱くなってきてさ、もう限界だから「体が熱いです」と伝えたら電気毛布取ってくれた。電気毛布かよって(笑)
手術て体温下がるんだってな」
「コウジさん「今夜は付き添うから」なんて言い出すから驚いて。
「いいよ帰ってよ」「お願い居させて」「勘弁してよ」「お願い」って。昭和の会話か。知らないけど。
結局コウジさんも泊まることになっちまったんだ。
看護師さん寝返り等何かあったらナースコール押して下さいと言ってくれた。痛み止めも入れるから我慢しないでと。
俺は荒みまくってた。ナースコール押したら負け、座薬突っ込まれるなら死んだほうがマシだ。俺はその辺のオボッチャンと違う、温室育ちのアマチャンとはくぐってきた修羅場の数が違うんだって。酷い勘違い野郎さ。
だけどそうして踏ん張るしかなかった。
点滴交換。眠った振り。
床すれすれの簡易ベッドに横たわるコウジさんが哀しかった」
「それでも少しだけ眠れた…微睡んだ感じか。インパルスにビクッとしてそれが腰に響くんだよ。
"痛っ"っつう酷い目覚めさ。
腰は相変わらず脊髄鷲掴みされてる感じ。コウジさんが真剣な顔で「すごく眠っちゃった」なんて言うから可笑しくて。「頼むから笑わせないで腰に響く」っつったらコウジさん笑った。
眠れたなら良かったと思ったよ夜中左向いても顔は見えなかったからさ。あんな酷いベッドで眠れるなんてコウジさん寝不足だったんだろうな心配させたんだきっと。
なあ祐子、インパルスってのは術後には拷問だぜほんと。ウトウトするとビクッ、イテッ。ウトウト、ビクッ、イテッ、て全然休めない。わんこそ…センスないな。
で、コウジさん帰って、…」
胸がつかえる 息が苦しい
だけど だから
煙草に火を着けた
「…細かい事は消えてる。
マスクした看護師が二人キャリーワゴン押して入ってきた。 」
やれやれ
まだ苦しい
情けない
カ「大丈夫?」
ユ「大丈夫だよ?」
「バーニャカウダまだかな」
「うん。ちょっとトイレ行ってくる」
「ああ」
トイレに立っただけなのに取り残された気になる
まったく
祐子といるときだけだ
こんな気持ちになるのは
煙草を消して席を立った
ケ「ごめんな、もう出来るから」
俺は首を小さく横に振りそのまま外に出た
温もった身体に冷たい風が吹くと時々、スーっとあの頃に戻ってしまう
月明かりに照らされたあいつの横顔 紫煙
何故上京した
何も無く知らぬ地へ出ていくことは大人だって勇気がいる
個として生きていくこと以上の孤独と恐さを知っていたのか
あいつはクールだった
なあイッキョ
お前は何を見てた
ーーー
ケ「お待ちどうさん」
「え」
ケ「待たせたからな サービス」
こんないらない
ケ「セルフサービス」
「どうも」
祐子ブロッコリー好きなのかな
食うのは知ってるけど
バーニャカウダを持っていくと彼女は喜んだ
ユ「ダブルだ(笑)お腹空いてるの?」
「俺じゃないよ。お腹空いててもバーニャカウダで満たそうとはしない」
ユ「ケンさんのサービス?」
「迷惑だよな」
ユ「もう(笑)」
「ブロッコリー好き?」
ユ「好き」
よかった
それから二人は暫くの間アスパラやジャガイモキャベツ等をバーニャカウダソースにつけて、アボカドディップはクネッケにのせて食べていた
今日のディップはパクチーが多い
祐子が好きだからだ
苦手な俺はスルーされている
ヘルニアは遺伝的要因が強いらしいとか何でもかんでも遺伝だよなとか、遺伝にしておくのが無難なのかもねとか、研究室の壁には"困ったときは遺伝子"って貼ってあるのかなとか、ブロッコリーは旨味を拡散させて膨張した代物だと思うとかそんな取り留めの無い話をしていた
鰻食べる前より解れた表情を見せてくれる祐子
彼女に支えられるように
俺はあの日の俺と対峙する
彼女が合図した気がした
続きを話す
「今こんなふうにさ、食ったり飲んだりできる今なら、別の角度からも俺なりにだけど考えられるんだ。
病院でのあらゆる事は病院での日常であり医療者にとっての日常で、一々気にしていたら仕事にならないだろうし優先すべき事は山積みされていると、思う想像する。
苦痛の中で不自由な患者は自分本位になる。潰れそうな心を守れるのは自分だけだからどうしてもそうなってしまう。
だからこれからの俺の話はあくまでも当時の俺の主観、偏見、経験なんだ。正しいとか間違ってるとかじゃなくて」
言い訳ばかりだ
どうかしてる
解ってくれている筈なのに
祐子は頷いた
「カズ君の経験をきかせて」
"俺にとっての地獄"はきっと
ゆりかごから墓場までナカヨシクラブの集団には到底理解不能だろう
理解されてたまるか
「看護師が入ってきたとき、もの凄い威圧感だった。
祐子、知識としてはあるだろうけど、男は恥ずかしがることが恥ずかしいし、動揺を見せることが屈辱なんだ。
コウジさん帰って、やっと顔歪められると思った矢先に看護師二人に裸にされて隅々まで拭かれるなんてもうパニックさ。
嫌がることも断ることも脱がされることも触られることも何もかもが屈辱だから八方塞がりで
顔拭かれて、胸拭かれてたときだったと思う。
胃液がせり上がってきた」
祐子
椎間固定翌朝に腹筋が収縮するとどうなるか知ってるか
何年か前にテレビでやってた
心の傷は脳に刻まれるって
あれは本当だろうな
感覚的にそう思うよ
どう話せばいい
苦しい だけどもう
やっぱりやめるとは言えない
俺はあの日の俺と対峙する
彼女に支えられるように
担当だった畠山看護師に
―訂正―
削除して再投稿します。
申し訳ございません。
――――――――――――――
「腹筋…腰周りの筋肉、腰腸肋筋だか、、それがボルト入りの腰椎圧迫して。
ちょっと例えようがない。
痛みは本人にしか解らないし
比較のしようがないもんな。
声が漏れて、涙が出て
頭ん中殴られるような
看護師が「どうする?」って言ったことを覚えている。もう一人の看護師にだろうけど全然緊張感なくてさ。
たかが清拭、日常だからそんな感じなんだろうけど、こっちは日常じゃないし尋常じゃないから妙に引っ掛かった。
で、どういう運びでそうなったのか、 座薬入れられた」
食べ物を前にこんな話を
幾ら彼女がプロでも申し訳ない
祐子は静かな気配で
ただ聞いてくれている
この気配が、彼女の雰囲気が
すごいなとつくづく思う
続けさせてもらう
「それがメチャメチャ痛くてびっくりした。思わず声出しちまって、そしたら看護師さん「あ出てきちゃった」て言ってもう一回。二回入れられた。二回目も一回目程じゃなかったけど、痛かった」
ギネスを飲む
「座薬入れるときにね…
多分50mmのだろうけど、角度が重要なの。あたったんだね。入れたのが出てくるなんて。
痛かったでしょう」
「…ケツに入れられる痛みって胸に刺さるんだけど、出てきたとき看護師さん、出てきちゃったって言って少し笑ったんだ。
それが本当に何より痛かった」
「ガキの頃からずっと舐められてたまるかって生きてきた。
ギター諦めて、働いて働いてヘルニアになった。
それでも休んだら店潰れるから
湿布に軟性コルセット、鎮痛剤飲んで座薬入れて働いた。
片足上がらなくなって小便出にくくなりケツに力入らなくなった。
手術は死ぬほど嫌だったけど、やっぱり死ねなくてさ。
長い夜、浣腸、局所麻酔針金、いいや脱いじゃえ
気がついたら点滴マスク、チンチンに管差し込まれて動けなくなってた
一晩中痛みと闘って翌朝
看護師二人に裸にされて
清拭くらいで嗚咽漏らして涙流して、ケツに突っ込まれて呻いて笑われてもう一回突っ込まれて
25年分の自意識が頑なに守ってきたものが崩れた
点滴が目からこぼれているようだった」
「人はこんなふうに壊れていくのかと、 思った。
生きて生きて生き抜いてきて
自分の事ができなくなる。
一番見られたくない姿を晒す。眉をひそめられ、蔑まれても
邪険にされても、笑われても
やってもらうしかない。
呆けるしか、呆けたふりをするしかないのかも知れない。
そして、それを繰り返しているうちに本当にそうなってしまうのかも知れないと
混濁の中、そんなことを思っていた」
「消えていくようなのに記憶が甦るって、滅茶苦茶だけどそんなだった。例えば親父に殴られて歯が折れた事、メシの時いつも口開けるなって殴られていたからその時はたまたま当たり所が悪くて折れたんだと思っていた。けどそうじゃない。俺はあの時勉強してた。親父は灰皿が出てないと言って灰皿で殴ったんだ。笑わないのは俺の気性じゃなく歯を見せられなくなったからさ口に拳をあてる癖も。脱がされることが病的に嫌な理由も」
これは言えない
「自分を貫いて生きてきたと思ってたけど違った。急所を庇って生きてきただけだった。
何もかもがわからなくなった」
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童話ですね 続きが、楽しみです(匿名さん1)
3レス 123HIT たかさき (60代 ♂) -
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ご主人は行かないそうだ。ご主人はゴルフして来るそうだ(作家さん0)
419レス 1510HIT 作家さん -
神社仏閣珍道中・改
(続き) 法然の生まれ生きた時代、人々は現世の地獄を生きてい…(旅人さん0)
180レス 10591HIT 旅人さん -
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続き この時点で!互いの 歯車が噛み合わなくなりました。 …(匿名さん339)
451レス 7897HIT 恋愛博士さん (50代 ♀) -
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東京 東京に戻ってきて暮らす所は、以前の社宅と違う場所。社宅は以…(コラムニストさん0)
90レス 2056HIT コラムニストさん
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2レス 183HIT コラムニストさん -
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500レス 3410HIT 作家さん -
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フーリーヘイド ~読む前の注意書きと自己紹介~
500レス 5903HIT saizou_2nd (40代 ♂) -
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おとといきやがれ
9レス 340HIT 関柚衣 -
閲覧専用
ウーマンニーズラブ
500レス 3413HIT 作家さん
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閲覧専用
モーニングアフター モーリンマクガバン
お昼ご飯のお刺身を食べ終わり私はレンタカーで例様を社員寮へと送る …(作家さん0)
500レス 3410HIT 作家さん -
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20世紀少年
1961 生まれは 東京葛飾 駅でいうと金町 親父が働いて…(コラムニストさん0)
2レス 183HIT コラムニストさん -
閲覧専用
ウーマンニーズラブ
聖子の旦那が有能な家政婦さんを雇ったおかげで聖子不在だった機能不全の家…(作家さん0)
500レス 3413HIT 作家さん -
閲覧専用
フーリーヘイド ~読む前の注意書きと自己紹介~
やはり女性は私に気が付いている様である。 とりあえず今は、 …(saizou_2nd)
500レス 5903HIT saizou_2nd (40代 ♂) -
閲覧専用
今日もくもり
たまにふと思う。 俺が生きていたら何をしていたんだろうって。 …(旅人さん0)
41レス 1364HIT 旅人さん
-
折り紙のおともだち
3レス 123HIT たかさき (60代 ♂) -
仮名 轟新吾へ(これは小説です)
451レス 7897HIT 恋愛博士さん (50代 ♀) -
20世紀少年
90レス 2056HIT コラムニストさん -
where did our summer go?
419レス 1510HIT 作家さん -
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180レス 10591HIT 旅人さん
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