夏の芽~強く生きたい~

レス11 HIT数 2103 あ+ あ-


2010/03/03 17:07(更新日時)

恋、非行…等

普段はファンタジー系の執筆を好みますが実話となるとどうしてもありきたりではありますが、書き綴っていきます。

~ミクルでは初心者ですがよろしくお願いします。~



「恋も砂糖みたくただ甘ったるいだけならいいのにね」

「でも、そうしたらきっと優しくなんてなれなかった」

No.1257130 (スレ作成日時)

新しいレスの受付は終了しました

投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.1

夏芽には、夫婦喧嘩も多いが夏芽を愛し、抱きしめてくれる優しい両親がいた。

母は、姉となる第一子を18という若さで産み、そして二年後、私が生まれる。更に六年後には長男も生まれ、特別裕福な家ではなかったが、愛と笑顔に溢れた幸せな子供。

共働きで寂しいこともあったが、母は強く優しい人だった。
父は短気でウンチク好きではあったが娘達にメロメロだった。
姉は頭が良く美人で自慢であり憧れだった。
弟は気が弱く内気だがとても優しく歳が離れているのもあり可愛くて仕方がなかった。

そんな家庭で育った私、夏芽は
母親似の剛毛が軽いコンプレックスな運動が好きで明るく負けず嫌いな女の子。

No.2

【夏芽、中学2年】



風が冷たくなってきた10月。
平日の真っ昼間。
ファミレスでジュースを飲みながら談笑する幼い女の子が二人。

一人は私、夏芽。
相変わらず剛毛に悩んでる。手入れにはかなり力を入れている。
腰まで伸びた明るい巻き毛の茶髪。ピンクベースのメイク。肩のでたニットはブラックとピンクの色合いに背中がばっくり開いてリボンのついた可愛いいデザイン。細身のダメージジーズにブーツを履いている。


ストローをつまんだり噛んだりしながらなんとなく目の前で揺れる可愛いシルバーのクラウンを見つめていた。

今、連れであるニナは鏡に移った自分と勝負の真っ最中なので暇だ。

ニナは夏芽と同級生で、セミロングの髪は白に近い金色。
自慢の長い睫に必死にマスカラを塗ってる。

No.3

まだ14歳の夏芽とニナ。
化粧なしで頭からつま先まで普通にしてたら、きっと年相応に見れるだろうけどいつも高校生くらいに間違われるんだよね。

ニナは毎日つるんでる、悪友みたいな奴。

小学生のときはよかった。個々の個性は良いものとして見てもらえた。

だけど私たちは中学生になった。

人と違うことは奇妙な目で見られ、個性は邪魔にされる。

そして、教師から無意識に…故意的に…されるランク付け


小学生のとき一番の仲良しだった沙綾。
中学生になった最初の頃、教師が話ているのをたまたま聞いてしまったことが私を傷つけた。

No.4

―――榎本沙綾はよく頑張ってますな。授業態度も真面目ですし、将来が楽しみな生徒ですね

太田夏芽に影響されないかが心配ですよ。今が一番友人関係で悪い影響を受けやすい時期ですからねぇ……。

はは、全くです。太田のような生徒は周りに悪影響を与えるだけ。害虫みたいなもんでしょう。困ったもんですよ。腐ったりんごはなんとやらとはよく言いますね。―――







―――……。







「害虫…。」



確かに沙綾は努力家で、中学生になった今も常に学年トップ。
あいつらからしたら成績優秀な沙綾が私に振り回されたらたまったもんじゃないんだろうな…
でも私、沙綾に無理に遊ばせたり悪いこと進めたりなんてしてない。
沙綾とたまに遊べるときは、他の友達と遊ぶときみたいにたむろったりとかもしてない。

唯一、強がらないで素のままの私でそばにいれる友達だった。



「私…害虫なんかじゃないもん……。」

No.5

それからの私は沙綾とは自然に距離をおくようになった。

更に制服を乱し。

髪を染め。

朝まで街で騒ぎ、眠りにつく。気が向いたら学校へ行き、適当に誰かと喋り、仲間達が集まる夜まで暇をつぶす。



タノシイ と ムナシイ

それはいつだってセットだった







パタン

とニナが鏡を閉じる


「そのマスカラ可愛いよねーてかやることないねえ」

「学校行く?」

「えーうざくない?ニナ行きたいのぉ?」

「ふふー実はさー…ニナさぁ♪」

にやにやと楽しそうに頬を緩ませるニナ。あっこれはもしかして……!


「「学校に好きな人がいる!」」


見事にハモった。やっぱり当たりか。


「なつ、なんでわかったん!」

「てかニナがわかりやすすぎ」

キャッキャッとテンションの上がるふたり。
恋ばなは女の子の大好物だからね♪

No.6

「んで誰~?」

「ため♪」

えっため?ためにニナの好みの奴なんていたかなあ…。
うちの学校の男ってもやばっかなんだよねえ。真面目君ばっか。

「一番目立つグループにさあ達也っているの。それ♪」

「達也?わかんない」

「だからね、ニナちょっと頑張って学校行こっかなあって思って」

「ふうん。頑張れニナ!応援してるね」


ありがとって嬉しそうに頬を染めるニナ。


――ニナ可愛いなあ…嬉しそう。


達也ってニナの好きな人も見てみたいし、久しぶりに学校に行くことにした私達。

学校につくと昼休みだったらしく、同級生の子達からの久しぶり~とか最近何してんの?なんて当たり障りのない言葉を交わした


「なつ~達也体育館でバスケしてるらしい。」

「ん。じゃ行こ~」


中庭を通って体育館へ向かう。途中、三年の女子ががんつけてきたりしたけど今は達也を見る!って予定があるから知らん顔しておいた。

No.7

うちらにビビって、直接言ってこれないくせに先輩ぶる馬鹿な女達。

二年のくせにとか、調子のってるとか

アホじゃない?
じゃあんたらも調子のればいいじゃん。教師や大人の目を気にして出来ないんでしょう?

羨ましい、とか、そういうひがみ。妬み。

勝手にどうぞ?ってかんじ。

No.8

体育館につくと、学年問わずってかんじに生徒が各々遊んでいる。

その中で、やけに腰パンすぎる団体…

あれか?


「なつ!いた!あの赤いベルトの…」

ふうん。
あの赤ベルトが達也…ニナの好きな人か。

達也を囲むように数人の男子がバスケットボールを奪い合っている。
顔に見覚えがあるから、みんな二年だと思う。
でもやっぱり名前まではわからないけど。


「ニナ喋ってきたら?」

「むっ無理…。ちょっとしか喋ったことないし」



えぇ。


「わかった!私がチャンス作るから後から来て。絶対ね!」


「なつぅ~ありがとう!」

No.9

ボールが赤ベルト(達也)からピンクベルトにパスされる。

ヒュンっ

て風を切る音がして、ダンッダンッってドリブルする音。

私はその音めがけて走った。


「達也!あっち!…!?」


パシッッ!

「ちょっ、え!」


私はピンクベルトがドリブルしているところに手を伸ばし、あっという間にボールを奪ってやった。


「もーらい♪もっと腰おとさなきゃこーやってとられちゃうよ?」


くすって笑ってみせると、ピンクベルトは目をまん丸にして私を見る。
でもすぐに吹き出して、いい度胸じゃんって腕を広げて腰を落とした。


「びっくりした。いいよ、抜いてみなよ?」

No.10

「じゃ、遠慮なく~」


わざと大きく揺れてフェイントを試みる、けれどピンクベルトはひっかからない。
でも、右か左か?そのピンクベルトの一瞬の隙をついて、ピンクベルトの両足の間にボールを飛ばし、ふわっ。と私は風を切る。


私に抜かれたことに気付いたピンクベルトはさっと体勢を正し追いかけてくるけれど、私はそのままさらっとレイアップシュートを決めた。

……はずだったが。

ガン!ゴン!って音がしてボールはネットには入らず勢いあまって落ちた。


「「「えぇ~……」」」


赤ベルトはじめその場にいた奴らの間抜けな声。

それと、私の後ろからあはははっ!って軽快な笑い声。


「そこは決めるとこっしょ?やべっ…まじつぼった…ぶはっ」

腹を押さえてヒーヒー笑うピンクベルトに近付き、今のはちょっと間違えた!って言ったら更に爆笑された。

No.11

「自分だって私に抜かされたくせに~…」

「ごめんごめん」


そう、にかっと笑った笑顔が凄く眩しかった。
人懐っこくて、優しそうな子犬みたいな男の子。髪がツンツンしてて、背が大きかった。


あっニナは!?

―…あ。


ニナは、この騒動に紛れて達也に話かけていた。

ぶっ、超てんぱってる。


「太田さんってこういうキャラじゃないと思ってたよ」

「え?名前知ってんの?」

意外だ。だってピンクベルトと喋ったの初めてなのに。

「そりゃあ。太田さん有名だしね。」

「ふうん。あっ名前聞いていい?」

「俺?瑛太。よろしく!」

「よろしく。」


ピンクベルト…瑛太というらしい。

投稿順
新着順
主のみ
付箋

新しいレスの受付は終了しました

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧