🎀ゆめの小説✏②🎀

【タイトル:my family】


【主な登場人物:宮原家の人々】
　 👔父:昌之…大学教授
　💄母:貴子…ﾋﾟｱﾉ教室の先生

🌷長女:一花(ｲﾁｶ)…高3。
🌱長男:清二(ｾｲｼﾞ)…高3,一花と双子
💜二女:未帆(ﾐﾎ)…高1。
🌀二男:幸四郎(ｺｳｼﾛｳ)…中3。
⚽三男:悟(ｻﾄﾙ)…中1。
🌙四男:睦月(ﾑﾂｷ)…小5。
🍒三女:七恵(ﾅﾅｴ)…小4。


この大家族の子供たちを中心に物語を書きたいと思います。兄弟だけど性格が全然違ったり,あるいは兄弟でも言えない本音など描けたらいいと思ってます。

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🎀【Ⅰ.長女の悩み】
我が家は4男3女の9人家族。双子の弟,清二は真面目で優しくて,双子なだけあって意見があう。二女の未帆は私よりも大人びてる気がする。口数少なくク-ルな妹。二男の幸四郎は宮原家の問題児。まだ中学生だけど髪の毛染めちゃったりﾋﾟｱｽしちゃったり学校で暴れたり…。しょっちゅうお父さんとぶつかり合う。三男の悟はサッカ-命の熱血少年。毎日毎日サッカ-。四男の睦月は清二に近い温厚タイプ。それから男の子の中で1番服にこだわっている。末っ子の七恵は泣き虫。幸四郎が苦手みたい。私はこんな個性豊かな兄弟の長女をやってます。

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🎀「いっちゃん,進路決めた?」我が家の主婦,貴子さんはある意味1番若くてほのぼのしている。「まだ…」「せっかく有名な高校に入ったんだからもちろん大学受験よね?」「ん～考え中…」「お金のことなら心配しないで!清ちゃんといっちゃんの好きなように進路決めていいから!」「誰もお金の話はしてないけど…」家にいるときくらい進路とか大学とか忘れたいって気持ち,お母さんにはわかってもらえないのかな。清二と一緒に県ではトップクラスの高校に入って,1年の時から大学受験向けの授業を受けてきたけど…3年になって気付いた。大学で何がしたいの?何を目指して勉強しているの?何もやりたいことが決まっていないのに,どこを受験するの?

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🎀「お前さ,好きなこととかないわけ?例えば俺は野球!」高校の廊下で私の悩みをきくのは同じクラスの水野隆司。野球部のエ-スで,この高校にもスポ-ツ推薦で入った。そしてもっと簡単に言うと私の彼氏。「好きなことか…子供と遊ぶことかな!」「ガキ!?」「可愛いじゃん!」「そうか-?」どうやら隆司は子供がお好きじゃないみたい。「よ!一花」私達の前を通過し,小さく手を振りながら自分の教室に入っていく清二。私も手を振り返した。「な～な～…」「何?」ちょっぴり顔がひきつってる隆司。何故かは私にはさっぱり見当つかないけど。「お前さ,時々今通ったやつと一緒にいるよな?仲いいの?」え,まさかそのしかめっ面の原因は清二なの?「ねぇ,確認していい?私の兄弟は?」「7人兄弟だろ?んで,お前には双子の弟がいる」「正解。じゃあ今の人の名前は?」「知らねぇ。だって1回も同じクラスになったことないもん」「宮原清二」「え?」「だから今の人の名前!宮原清二!」「お前は宮原一花…あれ?もしかしてあの人がお前の弟なわけ!?」「うん」「同じ学校なんて聞いてねぇよ!」「言ったよ!」「絶対聞いてねぇ!じゃあ俺は今まで…」私の弟に嫉妬してたんだね。隆司,面白い。

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🎀夜は家で清二に相談。清二と幸四郎の部屋にお邪魔して。我が家の暴走機関車,幸四郎は二段ベッドに横になっていて今日はおとなしい。「清二は警察になるっていう目標があるからいいね」「一花だって今日,学校の廊下で水野君と話し合ってたじゃん」「水野君ねぇ…ハハ!」清二が隆司の名前を出すから今日の隆司の勘違いを思い出して思わず笑った。「水野って誰!?」我が家の太陽,悟の登場。「悟には関係ないでしょ-?」「一姉(ｲﾁﾈｴ)の彼氏?」ﾆﾔﾆﾔしながらこっちをうかがう悟。「中1には教えな-い!」「悟,俺と一花,大事な話してるからちょっと自分の部屋にいってて」「え～!つ-かさ,うちは姉ちゃん達には彼氏いても兄ちゃん達には彼女いないの?」清二の説得もお構い無しで長男&二男部屋に居座る三男。「うん,残念ながら…」清二も悟ペ-スに流される。双子の私が言うのは何だけど,清二って結構かっこいいと思う。でも彼女はいたことない。それどころか好きな人とかの話を聞いたことがない。「おい悟」今まで黙っていた幸四郎が突然起き上がる。うるせ-とか言ってキレたらどうしようって思ってたけど,その幸四郎から出た言葉は私と清二が気づかなかった点に注目していた。

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🎀「“姉ちゃん達には彼氏いる”って何だよ?一姉ならわかるけど未帆姉に彼氏なんかいるわけねぇだろ」「げっ!何でもねぇよ!じゃあ俺は睦月とゲ-ムしてくるから!」足早に逃げる悟。怪しい。「悟の言い方だと未帆にも彼氏がいるってことだよな?」「兄貴,それはないって!あの辛口女を彼女にするような男なんかいねぇよ!」なんて幸四郎は鼻で笑うけど,未帆って大人びてて普通の女の子とはどこか違う気がする。だからきっと,素敵な彼氏がいるんだと思う。
「決まったか?進路」最近,隆司といるときはいつも進路相談。「前に子供が好きって言ったでしょ?」「うん」「だからね,保母さんがいいかなって思ったの!」「お～!お前に向いてると思う!」「でもね,それが本当にやりたいことなのか…わからないの」「どういうこと?」「7人兄弟の1番上で,いつも小さい子の面倒をみてたから,小さい子が好きっていうか…それしかできないっていうか…」「他にやりたいこととか好きなことがないのは,今まで自分が兄弟のために時間を割いてきたからだって言いたいわけ?」意外だった。隆司にそんなこと言われるなんて。

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🎀「そういうわけじゃないけど…わからないの…」「わかろうとしてないんじゃねぇの?」「え?」「だから現実と向き合ってないってこと。向き合うことから逃げるための口実にしか聞こえないな」いつも明るくてバカなことばっかり言ってる隆司が,こんな真面目な顔をするなんて…。「一花,俺が思うに,お前がガキを好きなのは本心だよ。でも心の底から保母を目指す気になれてないんだと思う。でも保母に興味をもったのはいいことだし進歩だろ。だからさ,親がいいって言ってるなら大学目指せよ!んで,教育系の学部に進むとかどうだ?お前は指導者に向いてると俺は思うけど」隆司が私にアドバイスをくれるなんて初めてだ。隆司が野球でスランプに陥った時に私が励ますことはあったけど。何だか人に励まされるって嬉しい。励ましてくれたのが隆司だからかもしれないけど,頑張ろうって気になれた。「隆司,たまにはいいこと言えるんだね!」「何だよそれ!参考になったのかよ?」「すごく参考になりました!ありがとね」「なら最初からそう言え!」隆司のアドバイス通り,大学の教育学部に進むのはもう少し先のこと…。

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🎀【Ⅱ.長男のあり方】
　優しい,真面目…昔からよく言われる。別にそんな優しいつもりも真面目なつもりもないけど。俺は長男だし,しっかりしていなきゃいけないとは思ってる。「うるせ-な!ほっとけよ!」「だって幸ちゃんまだ中学生なのにその髪の色!それにピアスだっていつどこで開けたのよ!」いつも穏やかな母さんが珍しく声を荒げている。相手は幸四郎。「関係ねぇだろ!?」俺は1度もあんな口の利き方をしたことはない。とりあえず幸四郎をとめないと…。「幸四郎,やりすぎだぞ」「兄貴も説教垂れんのかよ!?」俺がもっと強く言えればいいのかな。幸四郎っていつからこんなふうになっちゃったんだろう。「そこの金髪,目障り」「何だと!?」「目がチカチカする。似合ってるとでも思ってるの?」ある意味我が家で1番強いかもしれない未帆。「悟が可哀想,アンタと同じ中学で。アンタの弟として見られて…絶対肩身の狭い思いしてるわ」未帆が静かに攻めると幸四郎は黙ってしまった。未帆は幸四郎の1歳上で,去年まで同じ中学に通っていた。その時,幸四郎のことで肩身の狭い思いをしたのかその言葉には重みがあった。

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🎀「髪,黒くすりゃいいんだろ…?ピアスの穴なんかほっときゃすぐ塞がるし騒ぐほどのことじゃねぇっつうの」幸四郎は2階に退散する。幸四郎は未帆には弱い。「未帆ちゃんありがとう!」母さんにはいつもの笑顔がもどった。「もう大丈夫だからこっち来なよ!」「うん」廊下からリビングに小学生チームの睦月と七恵が入ってきた。「幸兄,もう2階に行っちゃったからさ」睦月が優しく七恵に言う。七恵は幸四郎が苦手だ。小学4年生の女の子からしたら,あの金髪や耳に開いた穴は恐ろしいのだろう。そんな七恵の面倒を1歳上の睦月がよくみている。睦月は兄弟の中で1番俺と似ている気がする。でも基本的に7人7様な我が兄弟たち。

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🎀「一花は大学に行くんだ～!進路決まって良かったね」「え?清二も大学でしょ?」俺より数分早く生まれた姉がようやく進路を決めたらしい。「俺は大学には行かないよ!」「どうして?」「俺は早く警察になりたいからさ!警察学校に行くんだ」「何で?あたし達の学校,みんな有名大学を受験するんだよ?担任の先生だって専門は反対するんじゃない?俺と一花の高校は進学校。一花の言う通り,俺の担任は有名大学の受験を勧めてきた。でももう俺の意志は決まっているんだ。「担任ならもう説得済みだよ」「へ～!清二って優しいけどそういうとこは妥協しないんだね!」「まぁ自分の人生だし」「でも警察学校出身の警察と大学出身の警察だと大学出身の方が有利な気がするけど…」「俺は早く自立したいんだよね」長男だし。一花には言わないけど早く家計を支えたい。大学教授の父さんとﾋﾟｱﾉ教室の先生の母さんの収入で家族9人暮らしていくに困ってないのはわかってるけど。やっぱり早く働きたい。一花に言ったら自分も長女だから!とか言ってせっかく決まった進路がまた振出に戻ってしまいそうだから,これは自分だけの秘密。

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🎀「なぁ!」「ん?」ある日学校で呼び止められた。一花の彼氏の水野隆司君に。この前一花が言っていたけど,彼は俺と一花が双子だということを最近まで知らなかったらしい。「宮原君…だよね?」「うん…えっと,一花の彼氏?」「そうです…てか一花の双子の弟が隣のクラスにいるなんて知らなくて」「清二でいいよ」「あ…じゃあ俺も隆司で…」よろしくと挨拶を交わした。その夜一花に隆司の話をした。「え～!?隆司,清二のとこに行ったの?」「うん。同じクラスになったことなかったし,野球部エースで有名だから俺は隆司を知ってはいたけど話したのは初めてだだった」「なんでそんなことしたのかな?」「長い付き合いになるかもしれないから身内にご挨拶じゃん?」「何言ってんの!」この日から俺と隆司は仲良くなって俺と隆司と一花で行動することが多くなった。学校のお昼とか下校とか。明らかに俺,場違いだけど…。隆司が誘ってくるし一花もいいって言うから。双子の姉の彼氏と親友っていうのは複雑だ。

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🎀「お兄ちゃん数学がわからない」家では未帆を始め年下達の家庭教師。「見せてみ?」「ここの問題」「つ-か未帆姉,ノックくらいしろよ!それに勉強教わるくせに態度でかくね?」確かにここは俺と幸四郎の部屋だけど…知らないぞ,幸四郎。お前,未帆には勝てないんだから。「まだ黒染めしてなかったの?」未帆の冷たい視線が幸四郎の金髪に向けられる。「うっせ-!てかお前の部屋には一姉がいるだろ!?一姉に勉強教われよ!」「…」未帆は沈黙。珍しく幸四郎が押し気味。未帆は一花と七恵と3人部屋だけど,あまり一花と絡まない。小学生くらいまでは仲良しだったのに。「幸四郎,一花は受験勉強してるからさ」俺が少し未帆に加勢。「そっか,一姉もよくやるよな～!大学受験なんて」「アンタさ,忘れてない?自分も受験生だってこと」未帆,形勢逆転。今のは幸四郎にグサリと刺さったようだ。「俺中3だった…高校受験か…」幸四郎は根っからの悪ではない。だから今すごく焦ってると思う。さて,俺は兄としてｺｲﾂの力になってやらないと。

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🎀多分幸四郎が今までとは違う嵐を巻き起こすことになるだろう。それをなだめるのが俺の役目。大変な役目だと思うけどこれが俺のポジションなんだ。

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🎀【Ⅲ.二女の内心】
兄弟で自分の上が成績優秀,運動神経抜群だったりすると劣等感を感じる。私の場合はお姉ちゃんとお兄ちゃん,2人もいる。お姉ちゃんは中学で生徒会副会長,テニス部部長。お兄ちゃんは中学で生徒会長,剣道部部長。落ち度のない2人は双子そろって有名高校へ。彼らの優秀さは中学を卒業してからも語り継がれている。私へのプレッシャーはそうとうだった。2人に比べて私は…中学時代はただの陸上部員,まあ陸上の成績は良かったけど。生徒会なんて更々入る気はなかった。入った高校も悪くはないけどお姉ちゃんとお兄ちゃんに比べたら…。私は2人のようにはなれないの。兄弟なのに私にはお姉ちゃんとお兄ちゃんのような性質はないの。だから私の下の幸四郎にはちょっと安心させられる。だってこれで弟までできがよかったら…私やってけないもん。

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🎀「黒くしたんだ～」「未帆がこの前受験のことに触れてからすぐに染めたよ」お兄ちゃんが私に耳打ちする。この前のアレね。幸四郎,受験する気があるんだ…。「だから高校には行くって言ってんだろ!?」「今のお前の学力でどこの高校に行く気だ!?受験する気があるなら勉強して態度で示せ!」連日お父さんとケンカしている幸四郎。ただし今までとケンカの内容が違う。高校受験のことでぶつかり合う日々が始まった。苦しいんだよね。どうしたらいいかわからないんだよね。本当はわかってるかもしれないけど,認めたくないんだよね。幸四郎の苦しみ,ちょっとわかるよ。

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🎀「七恵,終わったからおいで」お父さんと幸四郎の言い合いがリビングで繰り広げられると決まって七恵は2階に避難。それも避難場所は私達女3人部屋ではなく,なぜか悟と睦月の部屋。これもお決まり。「イヤ!なんでお父さんと幸兄は毎日ケンカするの?七恵うるさいの嫌だから,ずっとここにいる～」「七恵～,人の部屋で引きこもるなよ…」いつも仲良しな睦月も今日は手におえないみたい。「どうしたの?」「一姉!七恵が幸兄を怖がって部屋から出てこないんだよ」助っ人,お姉ちゃんの登場。「ねえ七恵」「なに?」「下でアイス食べない?」しばらくお姉ちゃんと七恵のにらめっこ。「ん～…食べる!」勝ったのはお姉ちゃん。とびっきりの笑顔で部屋を出る七恵。アイスだけに釣られたわけじゃないと思う。あのお姉ちゃんの優しい笑顔。あれで七恵は動いたんだ。私には絶対真似できない優しい笑顔。

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🎀「未帆姉,下で睦月達アイス食うってよ!未帆姉も来いよ!」悟が私を誘いに来てくれるなんて,優しいとこもあるのね…なんて感賞するのはつかの間。あることを思い出した。「悟…アンタさぁ,幸四郎の前で何か言わなかった?」「何かってなんだ?」「だから…あたしの彼氏のこととか!」「げっ!」「やっぱり喋ったんだ～,この前幸四郎に彼氏のこと聞かれたんだけど」突然だった。幸四郎が『未帆姉,彼氏いんの?いるわけねぇよな!こんなのと付き合うやつなんか』とか言ってきて…。悟しか考えられない。私は自分のことを家族に話す気はない。余計な干渉されたくないから。でも悟には見られてしまった。家の近くまで彼氏が送ってくれた時に。その時,悟には口止め料千円を渡したんだけど。「えっとそれはちょっと口が滑っただけで…大丈夫!バレてねえから!」「ならいいけど…次にこんなことがあったら千円,返してもらうから」「はい…。アキラだっけ?」悟ったら名前まで覚えてる。「私の分のアイスあげる…」「ヨッシャ!安心しろ!誰にもアキラのこと言わないから!」調子いいんだから。覚えてなさい悟…。

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🎀夏休みがやって来た。大学受験を控えているお姉ちゃんは連日勉強。お兄ちゃんは大学受験はしないらしいから,もう1人の受験生,幸四郎の家庭教師。「疲れた」私がリビングにいるとお兄ちゃんが来て麦茶を飲んで一息。そりゃ疲れるって。お兄ちゃんが面倒見てるのはあの幸四郎なんだもん。「幸四郎どんな感じ?」2階からもう1人息抜きにやって来た。「理科は得意みたい。問題なのは英語と数学。アイツ中2くらいからまともに授業受けてないから…ちょっと厄介かな…一花は順調?」「まあまあ。清二も頑張ってね。英語は私が見ようか?」「いいよ,一花は自分の勉強があるし」なんでこの2人,こんなに人のためになることをしようとするんだろう。私には絶対ない気持ちだ。「ちょっと…私にやらせて」「え?」「未帆が幸四郎の家庭教師?」お姉ちゃんもお兄ちゃんも驚いているけど自分が1番びっくり。私が幸四郎のために何かするなんて…前代未聞。「じゃあ未帆に任せるよ!俺は少し休憩」「ケンカしないようにね」2人に見送られて幸四郎の待つ部屋へ。ただエリ-ト2人より私の方が幸四郎の気持ちをわかる気がしたから。たまには姉らしくやってみる。

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🎀ノックをして部屋に入る。「なんで兄貴じゃなくて未帆姉なんだよ!?」「お兄ちゃんは休憩。それより英語と数学ができないんでしょ?」「できないんじゃねえ!まだやってねえだけだ!」「もっとダメじゃん…もしかして,なんでこの問題の時はこの公式を使うんだろ?とか思ってるんじゃないでしょうね?」「どういう意味だよ?」「だから英語なら,なんでIに続くbe動詞はamなんだろう?とか…」「そりゃ思うだろ!別になんで犬はdogなんだ?catが犬でもいいだろ!」「やっぱりバカだったか…そんな考えても答えの出ないことを考えるために机に向かって時間潰して勉強した気になってんの?そんなのは考えるものじゃないの!英語で犬はdog!決まりなの!」「んなことわかってんだよ…」「でしょうね。勉強するのを避けるための時間稼ぎみたいな?私もわからなくはない」「わかる?じゃあ未帆姉もバカじゃん」「うるさい。無駄なこと考える頭あるなら問題解きなさい。アンタさ…やればできると思うよ…だからちゃんと向き合いな」最後まで言うか迷った。私がかつて言ったことのない励ましの言葉。私はお姉ちゃんやお兄ちゃんのようになれないけど,今だけ少し近づけた気がする。

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🎀【Ⅳ.二男の本気】
明日は雨か…それとも夏だけど雪でも降るのか。未帆姉が“やればできる”とか,一姉や兄貴が言いそうなことを言ってきた。気味が悪い。俺の天敵,未帆姉が…。一姉や兄貴のような優しさがあの女にはこれっぽっちもないと思っていた。ひねくれてて毒舌で,冷酷な姉だと思っていた。なのに何だ?さっきの…。やっぱり明日は台風だ。
　「すごいよ幸四郎。昨日までと全然違う」家庭教師は元に戻って兄貴。俺の勉強の進み具合の変化に感心している。「未帆のおかげ?」「ちげ-よ。俺が本気出せばこんなもんだって。未帆姉なんか何もしてくれなかったよ」「とにかくすごいよ!のみ込み速くなったし」やっぱ未帆姉のおかげか?でも今は認めたくねえな。

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🎀「受験勉強はどうだ?」父さんは顔を合わす度にこう聞いてくる。「余裕」「そうか…」大学教授とかいう頭堅そうな仕事しているけど,昔は父さんと俺,兄貴,悟,睦月の男だけでキャッチボ-ルをしに公園に連れて行ってくれたりした。それが中学に入ってからはケンカばかり。頭ごなしにキレてくるのがムカついて反発したくなる。そのせいで七恵が俺にビビってんのも知ってる。「頑張れよ」でも今日は珍しくケンカにならなくて済みそうだ。俺が態度を改めたら周りもどんどん変わった気がする。結局全て自分次第か。

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🎀夏休み。いつもの遊び仲間,つまり俺の同類達から声がかかる。勿論パスだ。受験勉強するからって言ったらアイツら笑いやがったけど。小学校からの付き合いの拓也,宏樹,智明。幼稚園から一緒の亮介,健太。長い付き合いだから,笑いながらもちゃんとわかってくれてる。俺が未帆姉と同じレベルの高校を受験すると言った。「お前じゃ無理だろ!」「俺らなんかさ,ドベの学校しか入れてくんねぇって!」なんて言って笑う亮介と健太。「でもお前がそこ受かったら…5千円やるよ!」何かと金を賭けたがる智明。「もし落ちて俺らと同じレベルの高校だったら…そん時はあの美人なお姉様!一花さんに会わせろよ!」ったくアホなやつら。ふざけてるようだけどこれがコイツらの応援メッセ-ジなんだ。無理に遊びに誘わないとことか,縁切らねぇでいてくれるとことか,本当にコイツらのいいとこだと思う。でも宏樹,美人なお姉様って…。小学校の時,コイツらとうちで遊んだことがあった。その時に一姉に会って以来,あんな美人な姉ちゃんがいるなんて羨ましすぎる!とか言われるようになった。特に宏樹に。

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🎀「あともう1人の姉さんもいいよな!ｸｰﾙﾋﾞｭｰﾃｨで陸部のすごい人!」宏樹は誰でもいいんだな。「未帆先輩だ!俺,陸上部だから知ってる!」拓也が陸上部?記憶にないほど俺らは部活に参加していない集団だ。俺は一応バスケ部幽霊部員。「拓也,幽霊部員だろ!宏樹,ｸｰﾙﾋﾞｭｰﾃｨなんて笑わせんな」まさか未帆姉の名前まで挙がるとは思わなかった。「照れんなよ!いいな～2人も美人な姉ちゃんがいて!」「照れてねえし!一姉は確かに認める!でもな,未帆姉は最悪だぞ!性格ブスだ」こんなこと,本人の耳に入ったらただじゃ済まないだろうな。でもこの間は珍しく優しかった。案外いい姉かもな。

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🎀家庭教師から1日自由にしていいって許しが出た。この頃父さんとケンカもしないし,勉強も大分捗ってるからだって。自由って言われてもすることはない。となると久しぶりに仲間の元へ。「お前受験勉強いいのか?」「まさかもうやめたのか?」なんて亮介と智明が茶化してきた。「ちげ-よ,兄貴が今日は自由でいいって言うから」「なんだ,まだ続いてんのか!」「お姉様に会えると思ったのに!」ガッカリする健太と宏樹。誰がやめるかよ。いい高校に受かって父さんを見返してやる。「やっぱり幸四郎も伝説宮原家の一員なんだな」拓也が感心して俺を見る。伝説宮原家なんてそんな大それたものじゃないのに拓也はすぐに話をでかくする。俺らが中学に入学する前,兄貴は生徒会長,一姉は副会長。2人ともそれぞれ部活の部長,それから頭もいい。次に入学した未帆姉は陸上部で唯一の県大会以上の常連。未帆姉が中2の時に俺が入学したから,未帆姉の活躍はリアルタイムで見ていた。体育祭のリレ-で未帆姉はアンカ-だった。未帆姉の隣を走ってたやつがわざとぶつかり未帆姉を転ばせた。それでも立ち上がってから未帆姉が巻き返し結局1位になったのは有名なことだ。

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🎀こんな風に我が家の兄姉は皆なにかしら活躍している。一姉と兄貴に至っては卒業しても学校のヒ-ロ-だ。今でもたまに授業を受けに行くと『卒業生の宮原一花さんと清二さんは優秀な双子で…』なんてよく聞かされる。いつも授業なんてサボるか寝てるかのこの俺の仲間達ですら,その話はよく聞くと言う。だから拓也が勝手に伝説宮原家と呼んでいる。危うく俺がその伝説を掻き消すとこだった。
「幸四郎,今日は息抜きになったか?」家に帰ると兄貴が声をかけてきた。「まあまあ」「幸四郎,これ食べて!今日ね,私と七恵で作ったの」一姉がクッキ-をくれた。「うまい…」「ほんとに?良かった～」本当にいい人達だ。一姉と兄貴と,それから未帆姉の築いた伝説を汚さないように俺も本気出して頑張るか。「幸四郎」「何だよ」最近いい姉になった未帆姉。「あんたその服で出掛けてたの?…センス悪」前言撤回。コイツはただの毒舌性格ブス女だった。でもまあ勉強が進むきっかけは未帆姉だったし,いつかは感謝してやろう。

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🎀休憩たいむ☕🎀

まず,こんな私の自己満足小説を読んで下さっている方がいるならお礼申しあげます。
ありがとうございます😊嬉しいです❤

そこで今まで

🌷【Ⅰ.長女の悩み】
🌱【Ⅱ.長男のあり方】
💜【Ⅲ.二女の内心】
🌀【Ⅳ.二男の本気】

と書かせて頂きましたがどうでしたでしょうか❓
感想など頂けると嬉しいです🎵

そこで数日は物語をお休みして感想を募集します🍀

数日経ってもレスがこない場合は,レスはしてくれなくても誰か読んで下さっていると信じて物語を進めます💨

よろしくお願いします✨

少し休憩したら,次は⚽悟,🌙睦月,🍒七恵の出番です✨

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