ココロの揺らぎ

板垣 真琴(ｲﾀｶﾞ ｷﾏｺﾄ)

私は、ｻｯｶｰ部のﾏﾈｰｼﾞｬｰをしている。まだ、１年だから雑用ばかりをする毎日。

でも、イヤな気はしない。

寧ろ、楽しい。



私が、ｻｯｶｰ部のﾏﾈｰｼﾞｬｰになったのは２ヶ月前。
私は入る部活をどれにするか迷っていた。


友達は中学の頃にしていた部活にすぐ決めてしまい、私は１人残された。

私が中学の頃にしていた部活は、この高校には無かった。



だから、なんでもいいかなぁと、半ばヤケになり始めていた。


そんなとき、ふと、４階の廊下の窓から校庭を見下ろした。

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そこには、サッカーをしている先輩達がいた。



その先輩達を、眺めていると、窓の隙間から宮下 莉奈(ﾐﾔｼﾀ ﾘﾅ)の顔がヌッと出てきた。



莉奈は私の親友で、男子からも女子からも、可愛くてモテる奴。
学年の５人に１人は莉奈のことが好きだと言う噂が入学１週間でできた程だ。



そんな莉奈が、校庭を見下ろしながらこう言ってきた。
「あの先輩は、止めといた方がいいんじゃない？」

「……は!?何言って………」

私の言葉を待たずに続けて莉奈は喋り始めた。

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「あの先輩の名前は木下 哉斗(ｷﾉｼﾀ ｶﾅﾄ)

３年２組サッカー部のキャプテン。で、

顔はモチいいし､性格もいいし､成績もいいらしいから､１年から３年の女子の大半が狙ってるんだって。

あ､あと､今彼女はいないって。

１年生の頃に、今の３年生徒会書記の寺峰 綾子(ﾃﾗﾐﾈ ｱﾔｺ)先輩と付き合ってたらしいんだけど、２年生に上がるころに別れたらしい。

その原因は誰も知らないんだって」


莉奈はあの先輩の説明を終えると、どう？と少し満足げな表情で私の顔を覗く。



この子は………



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莉奈はちょっと、変わってる。



いや、ちょっとどころではないかもしれない。
さっきも言ったように、莉奈は可愛くてモテる。



見た目は、綺麗より可愛い系。髪は焦げ茶に近い茶色でロング。
少しウェーブがかかっていて、見るからにふわふわさらさらって感じ。


眼は少し色素が薄く茶色で、
クリクリと大きくいつも潤ってる。


鼻は大きくもなく小さくもなく
綺麗な形だ。


唇は桃色でぷっくりしていて、
透き通るような白い肌に綺麗に馴染んでいる。


見た目とは裏腹に、
性格サバサバしててイケメンの情報収集が趣味なんて………、



まぁ、そういう感じの所が男女問わずモテるんだけど………




　

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莉奈のことを見つめながら
そう思っていると、



「真琴？で、どうなの！？」と、

私の目の前に莉奈の大きな目がずいっと近づいた。



さっきの、返事を忘れていた私は頭の中を莉奈の話に戻した。


｢…別に、その先輩見てたワケじゃないよ」
と、改めて言う。



すると莉奈は、
「だって、目が木下先輩を追ってたんだもん！｣
何て、少し楽しそうに言う。



やはり、長年一緒にいただけあって
莉奈には見破られていた。



「…はあ、それに、狙うとかそんな気全然ないから…」
と、ため息混じりに首を横に振る。



これは、一応本心。



それでも莉奈は、
「じゃあ、どんな気があって見てたの？」
って、ニヤけながら聞いてきた。




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