✨磯野家外伝👪✨💖UKIE&KATSUO

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2009/01/26 02:02(更新日時)

(⚠はじめに…この携帯小説は雑談掲示板過去ログ《2007ー10/02~》内にある✨磯野家外伝👪✨の続きです📖ですので必ずそちらを先にお読みになってからこの新スレに読み進んで下さい‼必須です‼よろしくお願いします💀)


🌷君を想うだけで胸が熱くなる…君を感じるだけで切なくなる…全国の👪磯野家ファンの皆様お待たせ致しました‼あの伝説のカッコイイ女、伊佐坂浮絵が帰って来ました✨

2年前に反響を呼んだ奇作👪磯野家20years later…の外伝で浮絵目線の未完に終わっていた物語が今ここに再開されます‼あなたは伊佐坂浮絵の全てを目撃する✨

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No.1158492 (スレ作成日時)

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No.1

🌷✨これまでのあらすじ✨🌷

✏いつの頃からか天真爛漫な磯野家の長男、磯野カツオにひそかな想いを寄せ始めた伊佐坂浮絵40歳…幼い頃からカツオの事をよく知る彼女はカツオから色んな人生相談を受け、まるで本当の姉のように慕われる…しかし浮絵の思いとは裏腹にカツオは同級生花沢花子との苦い離婚経験を乗り越え遂に憧れの女性だったクラスメートのカオリと結婚する…(これで良かったんだ…これで)と自らの内なる想いを封印した浮絵は二人を心から祝福するが…そんな折浮絵に一人の男性が想いを寄せて来る…佐々木孝という浮絵の職場の後輩でその物おじしない積極的なアプローチに浮絵は度々悩まされる事になる…愛する事の難しさ、愛される事への迷いと動揺…幾つかの思いが幾重にも交錯しては離れていく恋愛模様…果たして伊佐坂浮絵の未来には何が残るのでしょうか…?🌷

No.2

>> 1 🌷169🌷

『身体の具合はどう?』

『有難うございますッ、もう大丈夫ですッ、ほらこの通り!退院も近いって先生が…』

病室のベットで進藤聡美は力こぶを作って笑った…数日後浮絵は進藤聡美の病室に再び見舞いに訪れていた…浮絵はお土産の家の近所にある洋菓子店のマロンタルトを広げると聡美と仲良く食べた…

『けどタカちゃんと浮絵さんにそんな接点があったなんて知りませんでした…その上タカちゃんが浮絵さんの事好きだったなんて更にビックリ仰天で…ハハハ』

『佐々木…ッッ君も佐々木君だわッ、誤解されるような事ばっかして…普段からチャラチャラしてるからここ一番で全然信用ないのよねッ、まるで狼少年よッッ…』

聡美はケタケタと笑った…

『でもね浮絵さん…タカちゃんあぁ見えて凄く優しいんですよッッ…本当の優しさを見せまいと必死に隠してるんです…普段はあんなだけど本当は凄く…凄く…』

『……』

視線を落として聡美が呟いた…気を取り直したように半分残したタルトに指を伸ばすと聡美は残りを一気に頬張った…

(………)

浮絵の胸に聡美のその重い言葉がズシリとのしかかった…

No.3

>> 2 🌷170🌷

『なッ、何なんすかこんな朝早くッッ!』

翌日出勤前に浮絵は佐々木の住む文化住宅の戸を叩いた…

『佐々木孝…明日から仕事復帰しなさいッッ、分かった!?じゃ!』

扉を開けた佐々木に視線を合わせる事なく不躾に浮絵は佐々木にそう吐き捨てた…

『ち、ち、ちょっと待ってよ主任ッッ、俺もう辞めた…』

『!ッッ、38にもなって甘ったれるんじゃないわよッッ、ちょっと私にフラれた位で意気消沈しちゃって!アンタのこの仕事に対する意欲ってたったそれだけの物だったのッッ!?一度望んだ夢をそう簡単に諦めないでよねッッ!でないと前向きに頑張ってる他の人間に申し訳ないからッッ!林部長には私からちゃんと言っておいたしこれは上司の命令よッッ!明日からまたちゃんと仕事に来る事ッッ、いい?』

『し…主任…ッッ…』

『それにアンタが仕事辞めたって聞いたら聡美ちゃんだって心配するじゃない…バカ!んな事も解らないの?』

それだけ言うと浮絵はカンカンとヒールを鳴らし階段を降りて行った…

(ハァ~…一体私は何してんだろ…ハァ~…)

浮絵は何度も訳の解らない自分自身にため息を付くと予定時刻よりかなり遅れた電車に乗るために駅に駆け足で向かった…

No.4

>> 3 🌷4🌷

『主任ッッ、おはよう!』

翌日浮絵が会社に出勤すると佐々木孝が浮絵の隣の机に誰よりも早く来て座って荷物を解いていた…

『…お…おはよう…』

浮絵はよく来たな!等と特に大袈裟な反応は見せずただいつものように平静を装いながら席についた…

『主任俺…遅れた分取り戻すんで…やっぱこの仕事好きだし…』

家から持って来た分厚い遺跡の資料を本棚に並べながら佐々木は呟いた…

『…アンタ素行や性格は悪いけどこの仕事に向いてるわ…私最後までやり遂げない内から諦めるのって大嫌い…』

浮絵はフキンを持つと各職員のデスクを拭き掃除にかかった…

『ハハハ…そうだよね…こんな中途半端な男が主任は一番嫌いだって解ったし…』

浮絵は聞いていない素振りで懸命に拭き掃除をしていた…

『主任俺やっぱ主任の事諦めないから…』

浮絵の手が一瞬止まった…

『……』

『こんなイイ女…他に何処捜してもいないと思うし…』

よくもそんな歯の浮くような台詞を言えるものだと浮絵は半ば感心した…

『…私の理想のレベルに達するにはそれなりの覚悟がいるかもねッッ…まッ、せいぜい頑張る事ねッッ!』

浮絵は呆れ顔にも似た苦笑いを浮かべると佐々木もそれを見て笑った…

  • << 6 🌷172🌷 佐々木孝が職場に復帰して浮絵や青野由紀子の仕事量の負担が激減し、総務部長の林もホッと胸を撫で下ろしていた… 『ねぇ主任…佐々木君復帰してから何か見違えるように働くようになったと思いません?まるで人が変わったみたいに…』 昼ご飯のメロンパンをかじりながら青野由紀子は急に人が変わったように仕事をしだした佐々木を気味悪く感じていた… 『別に…てゆーか今までがマイナスだったのがようやくゼロに戻っただけじゃないッッ、まだ半人前には変わりない…』 サンドイッチを片手に持ちながら浮絵は明日の会議で使う資料をパソコンに打ち込んでいた… 『主任は佐々木君にはキツイですネェ~!けど佐々木君はそんな主任の事が好き…ん~て事は彼かなりのドMですかねッッ?…』 『………』 浮絵は青野を睨み付けた… 『あ、ハハハ…じ、冗談ですよ冗談…』 青野が席を立つのと入れ代わりに今度は食事から帰って来た佐々木が浮絵の隣に座った… 『どう?俺変わっただろ?見違えた?やっぱ男は仕事だよな、うん!』 『……』 浮絵は黙って指を動かしていた…やっぱり何度言ってもコイツの根本は変わらない…浮絵はため息をついた…

No.5

>> 4 🙏お詫び~

上記の🌷4🌷は

🌷171🌷←の打ち間違いです💧度々失礼致しました💀💦

No.6

>> 4 🌷4🌷 『主任ッッ、おはよう!』 翌日浮絵が会社に出勤すると佐々木孝が浮絵の隣の机に誰よりも早く来て座って荷物を解いていた… 『…お…… 🌷172🌷

佐々木孝が職場に復帰して浮絵や青野由紀子の仕事量の負担が激減し、総務部長の林もホッと胸を撫で下ろしていた…

『ねぇ主任…佐々木君復帰してから何か見違えるように働くようになったと思いません?まるで人が変わったみたいに…』

昼ご飯のメロンパンをかじりながら青野由紀子は急に人が変わったように仕事をしだした佐々木を気味悪く感じていた…

『別に…てゆーか今までがマイナスだったのがようやくゼロに戻っただけじゃないッッ、まだ半人前には変わりない…』

サンドイッチを片手に持ちながら浮絵は明日の会議で使う資料をパソコンに打ち込んでいた…

『主任は佐々木君にはキツイですネェ~!けど佐々木君はそんな主任の事が好き…ん~て事は彼かなりのドMですかねッッ?…』

『………』

浮絵は青野を睨み付けた…

『あ、ハハハ…じ、冗談ですよ冗談…』

青野が席を立つのと入れ代わりに今度は食事から帰って来た佐々木が浮絵の隣に座った…

『どう?俺変わっただろ?見違えた?やっぱ男は仕事だよな、うん!』

『……』

浮絵は黙って指を動かしていた…やっぱり何度言ってもコイツの根本は変わらない…浮絵はため息をついた…

No.7

>> 6 🌷173🌷

『ねぇねぇ主任ッ、今から何か予定あります?』

残業を終え帰宅準備に入っていた浮絵に青野由紀子が声をかけた…

『い…いぇ…特に…何?』

また合コンの誘いだろうか…先月弁護士の卵とかいう彼氏に振られまだ心の傷も癒えないうちからこれかよッッ!浮絵は目を細めてまるで侮蔑の眼差しで青野を見た…

『ヤダなぁ~また合コンの誘いだと思ってるんでしょ!違いますよッッ、お食事のクーポン券貰っちゃったから一緒にどうかなって…このすぐ近くだし…』

浮絵の腹の虫がグゥ~と鳴った…青野が相手とはいささか味気ないが空腹には勝てない、浮絵は承諾した…

『実はクーポン券が3枚あって…期限は今日までだし誰か誘わないと…』

『あ、じゃぁ林部長を誘ってあげれば?いつも貴方色々お世話になってるんだし…』

青野は人差し指を唇に当てウ~ンと視線を泳がせた…

『実はもう暇だってんで別の人誘っちゃったんでスゥ~…』

『別の人?誰?』

浮絵はオフィスを見回した…残業中の職員は何名かいたがみんなまだ仕事中のようだ…

『準備できたッッ!?ほら早く行こッッ!』

突然背後から佐々木の嬉しそうな声が上がった!

『…ま…まさか…コイツぅ?』

青野は微笑んだ…

No.8

>> 7 🌷174🌷

(まさか…ここだとは…)

その店は大きなピアノがある無国籍料理店だった…夜の8時を回り店内は大勢の会社員やカップルで賑わっていた…

『さぁ何食べよっかなッッ!アハハハ…』

浮絵の向かい側に座った佐々木は嬉しそうにメニューを開いた…

『ち、ちょっと佐々木君ッッ、言っとくけどタダで食べれるのはこのクーポン券に書いてあるコースだけだかんねッッ!他の注文したいなら自分のお金で別料金払ってよねッッ!』

『わぁってるよッ、ケチな青野に奢ってもらおうなんてサラサラ~!』

『ッつぅか私のクーポン券使うって事自体私の奢りみたいなもんなんだからねッ、その辺り明確にしないッッ!?』

…ハァ~…まるでガキの口喧嘩だ…二人のどうでもいい会話に浮絵は一人別世界にいた…

(このホテルの中に入るの初めてだッ…)

浮絵はしきりに店内従業員の顔を見回した…青野が誘ってくれたレストランはまさにあの磯野カツオがオーナーとなる《ラ・スパ・トルキスターナ》のホテルの一階にあった…浮絵は青野に連れられてホテルの中に足を踏み入れた瞬間から何か言いようのない緊張感に苛まれていた…

(逢えないかな…ハハハ、逢える訳ないか…)

No.9

>> 8 🌷175🌷

浮絵の職場のビルからほんの3軒隣にある長期滞在型スパホテル《ラ・スパ・トルキスターナ》は先月初めに開業しなかなかの盛況ぶりのようだ…近くに様々な国の領事館や大使館等が点在するせいか、ホテルの中は正に国際色豊かな人種が行き交っている…

(カツオ君ってやっぱり凄い…雇われとはいえこんな大きなホテルのオーナーなんだもんねッッ…)

浮絵の頬が少しほころんだ…

『主任ッ!Aセットでいいですか?主任ッッ!?』

『あ…ご、ゴメン…何?…アァ私一緒ので…』

食後のコーヒーかデザートどちらにするか青野に聞かれたが浮絵は任せるとだけ告げ半分上の空だった…

『また片思いの彼氏ん事考えてたの?』

ニヤニヤと佐々木が浮絵を見ていた…

(てゆーか何でアンタがいんのよッッ、青野がいるからまだいいようなものの…アァ~何か絶えられないこのベタつくような視線ッ、折角素敵な空間にいれるのにどうにかしてよ~)

浮絵はお冷やを一気飲みするとジョッキビールを注文した…

(飲まないとこんな二人の中にいれますかってのッッ!)

青野がそのビールは別料金ですからと浮絵にしきりに念を押した…

『!ッ、解ってるわよッッ、払いますッッ!』

No.10

>> 9 🌷176🌷

一通り料理が揃った所で青野と佐々木のお疲れ様~の声が響いた…浮絵は適当に二人に相槌を打つと黙々とコース料理を食べ始めた…

『けど本当に佐々木君がいない間大変だったんだからねッッ!毎日午前様よ午前様ッッ!そのせいで私彼氏に振られたんだかんねッッ!』

青野由紀子は前菜の地中海風サラダにフォークを入れると頬杖ついて呟いた…

『やっぱ俺の存在は大きかったって訳だ…ハハハ、だから主任もまた俺を引き戻してくれたんだよねッッ!?』

『………』

(ハァ~おめでたい…人の気も知らないでコイツは何処までも限りなくめでたい男だ…ある意味尊敬するよ…)

浮絵は冬眠前のリスのように口一杯に料理をほうり込むとビールで一気に喉奥まで流し込んだ…

『佐々木君ね、主任に感謝しなさいよッッ、辞めてからもずっと貴方の事気にかけてくれてたんだからッッ…』

『嘘ッッ!それ本当?本当なの主任ッッ!?』

佐々木の目が爛々と輝いた…浮絵は思わず口の中の物を吹き出しそうになった…

『!ッ、ち…ちょっと待ってよ青野ッッ、私がいつそんな事ッッ!』

『ソワソワと佐々木君の机何度も眺めてたじゃないですかッッ!』

(何考えてんのこの小娘ッッ!)

  • << 12 🌷177🌷 ホンットこの女は事実でもない適当な事をベラベラと…浮絵は青野を睨み付けたが青野は悪びれる素振りもなく鱈のムニエルに無心にパクついていた… 『主任ッ、酔い潰れてもいいよッ、この上ホテルだし俺が介抱してあげっからッッ!』 (アホだ…底知れぬ阿呆だコイツは…) 浮絵は心の中でため息をつくと佐々木の痛い程の視線を避けるようにずっと運ばれてくる料理だけを見ていた… 『ねぇさっきから気になってたんだけどあそこのお客何か店員に怒ってるよッッ、かなりの剣幕で…』 浮絵と佐々木は青野が指差す奥のテーブルを見た…見ると30代位の会社員風の男性が料理を指差し店長を出せ!と激しく従業員にまくし立てていた…あまりの大声に周辺の客も一斉にそちらを見ていた… 『何だろ…料理に何か入ってたとか…?』 『…みたいね…お皿を指差し怒鳴ってるから…』 浮絵達も自分らの料理そっちのけでその客の動向を見守っていた…男性はナプキンを叩きつけて料理長では埒が開かん!ここのオーナーを出せと従業員にまくし立てていた… 『いくら何でもやり過ぎじゃないそれはッ…あんなに謝ってるのに…』 青野が男性の横暴さに嫌な顔をした…辺りが一転して気まずい雰囲気に包まれた…

No.11

>> 10 ✨👪磯野家外伝~ご意見ご感想お寄せ下さい…💀

No.12

>> 10 🌷176🌷 一通り料理が揃った所で青野と佐々木のお疲れ様~の声が響いた…浮絵は適当に二人に相槌を打つと黙々とコース料理を食べ始めた… 『… 🌷177🌷

ホンットこの女は事実でもない適当な事をベラベラと…浮絵は青野を睨み付けたが青野は悪びれる素振りもなく鱈のムニエルに無心にパクついていた…

『主任ッ、酔い潰れてもいいよッ、この上ホテルだし俺が介抱してあげっからッッ!』

(アホだ…底知れぬ阿呆だコイツは…)

浮絵は心の中でため息をつくと佐々木の痛い程の視線を避けるようにずっと運ばれてくる料理だけを見ていた…

『ねぇさっきから気になってたんだけどあそこのお客何か店員に怒ってるよッッ、かなりの剣幕で…』

浮絵と佐々木は青野が指差す奥のテーブルを見た…見ると30代位の会社員風の男性が料理を指差し店長を出せ!と激しく従業員にまくし立てていた…あまりの大声に周辺の客も一斉にそちらを見ていた…

『何だろ…料理に何か入ってたとか…?』

『…みたいね…お皿を指差し怒鳴ってるから…』

浮絵達も自分らの料理そっちのけでその客の動向を見守っていた…男性はナプキンを叩きつけて料理長では埒が開かん!ここのオーナーを出せと従業員にまくし立てていた…

『いくら何でもやり過ぎじゃないそれはッ…あんなに謝ってるのに…』

青野が男性の横暴さに嫌な顔をした…辺りが一転して気まずい雰囲気に包まれた…

No.13

>> 12 🌷178🌷

『いいからオーナーを出せッッ、お前らじゃ埒が開かんだろがッッ!』

『お、お客様どうか落ち着いて下さいッッ!』

従業員や料理長は男性を何とか宥めようとしたが男性の怒りは収まりきらない様子で店員の一人が渋い顔で電話をかけている…

『呼ぶ…みたいだなオーナー…お~怖ぇ怖ぇッッ!』

佐々木は首を竦める真似をするとさぁ料理喰おッ!と再びフォークを手に取った…

『ヤナ客ですねッッ、んな事位で顔真っ赤にして大人気ない…』

『けどそれが事実ならお客が怒るのも当然よッ、飲食業はお客との信頼で成り立ってる商売なんだから…』

青野の言葉を浮絵は冷静に返した…少し無感情な嫌らしい言い草だと自分でも思ったが仕事上での後輩に別にどう思われようがいい…男性は口を真一文字に閉め腕組みをしながらじっとその場に偉そうに座っていた…

『…さぁ食べよッッ!気分壊しちゃった…』

青野も再び料理を食べ始めた…浮絵だけは料理に手をつけずじっとその男性を見ながら考えていた…

(オーナー呼んだって事はまさか…ハハハ、んな訳ないよね…)

浮絵はある事を頭に描いていた…従業員の連絡したオーナーがカツオの事であるならここで姿が見れるのではと…

No.14

>> 13 🌷179🌷

数分後厨房でザワザワと声がした…

『来たみたいよオーナー…』

客の殆どが目の前の料理そっちのけでオーナーが現れる厨房の入口に目を凝らした…

『!ッッ、まッ、まッ、誠に申し訳ありませんッッッ!失礼を致しましたァァァァ!』

ドン!いきなり厨房の入口の扉が開いたかと思うとまるでスペインの猛牛のように頭を下げたオーナーらしき男性がクレームを付けた男性目掛けてズンズンと歩み寄って来た!

『!ッッ、う…うわ…な、何だッッ!』

さっきまで偉そうに座っていた男性もいきなりの行動に驚きを隠せなかった…周りの客も予想外の奇異な登場に目を丸くしクスクスと笑い出した…

(!ッッ、か…カツオ君ッッ!)

浮絵は何故か背広ではなく桃色のポロシャツにジーパン姿の間違いなくここのホテルのオーナーである磯野カツオを確認した!

『何かお料理の方に不具合がありましたようでッッ!』

カツオは腰を曲げ頭を下げたままその男性の前にまるで王様を待つ召使いのように片膝をついて尋ねた…

『なッ、何なの…あれが…オーナー?私服じゃんッッ!』

青野が口をアングリ開けて言った…

『お、おぃ!俺を馬鹿にしてんのかッッ!?』

男性が怒鳴った…

No.15

>> 14 🌷180🌷

『馬鹿にするなどとッ、とんでもございませんッ、あ、申し遅れました私このホテルの統括責任者であります磯野カツオと申します…実は先程香港で開催されます定例監理者会議から帰ったばかりでして…まぁしばしの仮眠を取ろうとこんな格好で…したら電話がかかり、アハハハ…という訳でしてッッ!』

客から笑いが起こった…

『な、何だよ本当にあれがオー…』

『!ッ、う…五月蝿いッッ、黙ってよッッ!』

佐々木の横槍に浮絵が思わず声を上げた…

『本当にアンタがここの支配人なのかよッ、こんなふざけた奴が信じらんねぇなッッ、』

『いぇ…紛れもなく僭越ながら私が当ホテルの支配人の磯野カツオでございますッ』

カツオはゆっくり頭をあげて男性を見た…

『…でお客様を不愉快にしてしまった原因と申しますのは?』

男性はカツオに皿を差し出し見ろ!スープに髪の毛が入ってたんだッッどうしてくれんだッ!とまくし立てた…

『はぁ…髪の毛…でございますか…』

『はぁ?だとぉ!アンタやっぱ俺をナメてんだろッッ?』

カツオの気持ちの入ってない返事に男性はまた怒鳴った…

『困りましたね~ん~…』

カツオは顎を手で摩りながらただじっと考え込んでいた…

  • << 22 🌷181🌷 『スープの中に入ってたのは茶髪ですね~これ…』 カツオは何度も皿に浮いている髪の毛を確かめた… 『そうだよッ、アンタん所の従業員の誰かが誤って落としたに違いないッッ、どう責任取ってくれんだ、えぇ?スープ取り替えるだけじゃ済ませないぞッ、それなりの誠…意…せッ、おぃ聞いてんのかポロシャツッッ!?』 男性は威勢よくカツオを睨み付けた… 『これ…ウチの従業員の髪の毛じゃないですよお客さん…』 カツオがじっと男性を見つめ返した… 『んだぁ?料理ん中に髪の毛浮いてたんだぞッッ!アンタん所の厨房のやる気のない茶髪兄チャンか誰かが落としたに決まってるッッ!』 『…そうですか…』 カツオは暫く考えた後近くにいたウェイターに厨房のコック全員を此処に呼んでくれないかと頼んだ… 『何だぁ?今度は厨房係全員で平謝りか?…いぃか、俺は謝られても…』 カツオの指示で厨房からゾロゾロと調理担当の従業員が出て来て男性の前にズラッと並んだ… 『何する気だろ…』 佐々木と青野が唾を飲み込んだ… 『どうでしょうか?』 カツオが微笑んだ… 『どうって…な、何がだッッ!』 男性はズラリと並んだ白い繋ぎの調理師達に圧倒され言葉に詰まった…

No.16

横です、失礼します🙇
ビリケンさん😢
過去ログ2008年からしか見れません😢
なので残念ながら今回から読ませてもらってます。
続きが気になります。
頑張ってください✨

No.17

>> 16 💀匿名様お便りありがとうございます💕

💧そうですか…私のミスで前スレを消してしまいましたので本当にすみません😭

途中の文面からだと人間関係等が全然解りませんよね💦中途半端な事で本当に申し訳ありません‼前スレには浮絵と佐々木のお泊り出張騒動やワカメの結婚式等が描かれていて話の伏線が沢山あったもので💦新たなファンの皆様の為にまた改めて最初から書くのが筋なのですがいかんせん前スレは🌷160🌷スレッド以上あるものでそうもいかないのです…😭

このスレッドから初めてお読み頂く方の為にきちんとした概要が必要だと今痛感した作者でございます🙏💦初めて磯野家シリーズに触れる方の為にこれまでの概要をレスしますのでそれで許して下さいね💕

これからも引き続き✨👪磯野家外伝~どうぞよろしく‼💀

No.18

>> 17 ✨👪磯野家外伝✨💖UKIE&KATSUO✨主要登場人物紹介①

✏伊佐坂浮絵:この物語の主人公。いつの頃からか磯野カツオに秘めたる恋心を抱く。カツオに何度か告白するチャンスがありながら本当の気持ちはなかなか言い出せずにいるうちにカツオは幼なじみの同級生カオリと結婚してしまう。

✏磯野カツオ:幾つになっても天真爛漫な磯野家の長男。浮絵の気持ちとは裏腹に憧れの彼女カオリと結婚してしまう。仕事は紆余曲折あったが今は穴子の経営するフランチャイズホテルの雇われ支配人に出世。

✏磯野ワカメ:ご存知カツオの妹。しっかり者の素直な女の子と見られがちだかやる事は意外に大胆で余り後先考えない性格でもある。浮絵とは大の仲良しで本当の姉のように浮絵を慕う。カツオに対する浮絵の本当の気持ちを知る唯一の人間。

✏佐々木孝:浮絵の職場の直属の部下。年下の上に上司である浮絵にタメ口をはく浮絵いわく史上最悪の天敵。六年間付き合っていた彼女を振ってまで浮絵に一筋で一方的に恋心を抱く。子供のような仕種言動が浮絵を苛立たせる。

(つづく…)

No.19

>> 18 ✨登場人物紹介②

✏進藤聡美:佐々木孝の親友の元彼女。駅で佐々木と抱き合い泣いている姿を目撃された浮絵に佐々木の元彼女と間違えられる。今は身寄りもなく佐々木と同郷の姫路から上京し偶然に浮絵と出会う。浮絵とすぐに打ち解け東京でのお姉さんになってと浮絵を慕う。上京の契機となった元彼との別れに何があったのかは現時点では不明。

✏磯野カオリ:カツオの妻。実はバツイチだったがカツオの快諾で前夫の子供[冬馬]とともに磯野家に嫁ぐ。息子の教育問題で度々カツオと喧嘩している。浮絵の気持ちを知ってか知らずかやはり同性として大人な浮絵を慕う。

✏青野由紀子:佐々木と同期の浮絵の職場の部下。その青臭い若さが度々浮絵をいらつかせる。

✏その他出番はさほど多くないが浮絵の兄甚六やカツオの姉サザエ、義兄マスオ、母フネや花沢、中島等[サザエさん]同じみのキャラクターが20年の歳月を経て登場します。どうぞご期待下さい💀

  • << 21 ✨👪磯野家外伝✨💖初めて読む人の為の早分かり状況背景🌷これだけ読めばこれまでの流れが掴めるという重要項目を挙げておきます🙏 Point① 浮絵の父とカツオの父磯野波平は数年前に老衰と脳内出血でそれぞれ既に他界している Point② 磯野ワカメは中学教師となり幼なじみの横山淳と数カ月前に結婚した Point③ 浮絵も過去に一度チリ人と結婚した経緯あり。が後すぐ離婚 Point④ 磯野ワカメは兄カツオへの浮絵の一途な恋心を知る唯一の人間。浮絵もそれは承知している Point⑤ とにかく最初は何が何だか解らくても物語に入り込む!すると次第に背景が見えてくる ✨以上の事を要点に読み進めて下さいね💕💀人間関係や話のつじつまが合わず解らない事不明な点は何でもビリケン昭和💀にお尋ね下さい💪

No.21

>> 19 ✨登場人物紹介② ✏進藤聡美:佐々木孝の親友の元彼女。駅で佐々木と抱き合い泣いている姿を目撃された浮絵に佐々木の元彼女と間違えられる。今は… ✨👪磯野家外伝✨💖初めて読む人の為の早分かり状況背景🌷これだけ読めばこれまでの流れが掴めるという重要項目を挙げておきます🙏

Point①
浮絵の父とカツオの父磯野波平は数年前に老衰と脳内出血でそれぞれ既に他界している

Point②
磯野ワカメは中学教師となり幼なじみの横山淳と数カ月前に結婚した

Point③
浮絵も過去に一度チリ人と結婚した経緯あり。が後すぐ離婚

Point④
磯野ワカメは兄カツオへの浮絵の一途な恋心を知る唯一の人間。浮絵もそれは承知している

Point⑤
とにかく最初は何が何だか解らくても物語に入り込む!すると次第に背景が見えてくる

✨以上の事を要点に読み進めて下さいね💕💀人間関係や話のつじつまが合わず解らない事不明な点は何でもビリケン昭和💀にお尋ね下さい💪

No.22

>> 15 🌷180🌷 『馬鹿にするなどとッ、とんでもございませんッ、あ、申し遅れました私このホテルの統括責任者であります磯野カツオと申します…実は先… 🌷181🌷

『スープの中に入ってたのは茶髪ですね~これ…』

カツオは何度も皿に浮いている髪の毛を確かめた…

『そうだよッ、アンタん所の従業員の誰かが誤って落としたに違いないッッ、どう責任取ってくれんだ、えぇ?スープ取り替えるだけじゃ済ませないぞッ、それなりの誠…意…せッ、おぃ聞いてんのかポロシャツッッ!?』

男性は威勢よくカツオを睨み付けた…

『これ…ウチの従業員の髪の毛じゃないですよお客さん…』

カツオがじっと男性を見つめ返した…

『んだぁ?料理ん中に髪の毛浮いてたんだぞッッ!アンタん所の厨房のやる気のない茶髪兄チャンか誰かが落としたに決まってるッッ!』

『…そうですか…』

カツオは暫く考えた後近くにいたウェイターに厨房のコック全員を此処に呼んでくれないかと頼んだ…

『何だぁ?今度は厨房係全員で平謝りか?…いぃか、俺は謝られても…』

カツオの指示で厨房からゾロゾロと調理担当の従業員が出て来て男性の前にズラッと並んだ…

『何する気だろ…』

佐々木と青野が唾を飲み込んだ…

『どうでしょうか?』

カツオが微笑んだ…

『どうって…な、何がだッッ!』

男性はズラリと並んだ白い繋ぎの調理師達に圧倒され言葉に詰まった…

No.23

>> 22 🌷182🌷

『皆さんすみません~帽子取ってくれますか?』

カツオが申し訳なさそうにコック全員の帽子を脱がせた…

『!ッッ…なッ……』

『はい、そうなんですよ…ウチの厨房調理師全員五分刈りなんですッッ…』

何とコック全員が真っ黒な丸坊主姿だった!

『なッッ、な……』

余りのインパクトにそのクレーム男性おろか周りのお客殆どが仰天した…

『いぇね、これ僕の指示じゃないんですよッ、大切なお客様に不愉快があってはならないと総料理長の提案で…ハハハ…』

『!ッ、だッ、だから何だッッ!?確かにコイツらは関係ないかも知れないが運んで来たウェイトレスはどうなんだッッえッ?』

男性もただでは引かない…

『見ての通りこの店には茶髪の従業員はいないんですよ…それに髪の毛は人一倍神経を使うようにとほら、可愛い三角巾してるでしょ?』

確かに店にいたウェイター、ウェイトレスの中に茶髪は皆無だった…男性は何も言えずキョロキョロと視線を泳がせている…

『フッ…中々やるねあのポロシャツ君ッッ!』

佐々木がラム肉を頬張りながら呟いた…

『でも何だか嫌み~ッッ、』

青野が横目でニコニコ微笑むカツオを見た…

(フフ…カツオ君…さっすがだねッッ!)

浮絵は俯いて笑いを堪えた…

No.24

>> 23 🌷183🌷

『わッ、分かった…もういいッッ!』

その場にいずらくなった男性が立ち上がり逃げるように出口に向かおうとした時、カツオが男性を引き止めた!

『なッ、何だまだ俺を笑い者にするのかッッ!』

男性は悲壮感漂う顔付きで財布を取り出し精算しようとした…

『料理代金は頂く訳にはいきません…』

カツオは次の瞬間膝を付き土下座をした!

『な…今更何の真似だッッ!?』

『スープの中の茶髪は我々共の髪の毛でない事は証明出来ました…しかしながら今回の件は当店内で起きた不祥事には変わりありません…お客様には大変不愉快な思いをさせてしまい誠に申し訳ございませんでしたッッ!』

カツオは深々と頭を床に擦り付けた!その潔よい姿に誰もが仰天した…

『も、もういいよ…分かったから…分かったから…』

男性は客の視線を一身に浴びて照れるように玄関を後にした…

『何だ…結局謝るんじゃん!黄門様も形無しですねッッ!』

青野が興味なさ気に呟いた…

『違うわ…』

『え?…何がです主任…』

『解らない?彼はどっちも立てたのよッッ…従業員と客、どちらの自尊心も傷付けないようにね…凄い…』

浮絵は頬杖つくと食後のコーヒーに砂糖を入れまた微笑んだ…

No.25

>> 24 🌷184🌷

『青野ごちそうさま…美味しかったわッッ…』

店を出た浮絵は青野にご飯の御礼を告げた…

『けど何か食べた気しなかったですよねッッあの客のおかげで…』

青野が膨れ面でお腹を摩った…

『そう?…私には充実した時間だったわ…お腹も心も満足満足ッッ!』

『心…も?主任それどういう意味?』

背後からアンテナを張り巡らせた佐々木《アリ》が楽しそうな浮絵に声をかけた…

(アッチャ~忘れてた…居たんだ天敵…)

『そ、そりゃあんな嫌な客を…なかなかウン、ね…そのぅ凄いよ…ハハハ…』

動揺の余り浮絵の言葉が支離滅裂に割れた…

『けど主任があんな事であんなに笑うなんて…私見た事ありませんよッッ、仕事中はいつも眉間にこう皺寄せて…』

『コラ青野ッッ、人を怪獣みたいに…ちょっと佐々木ッッ、アンタも何か言いなさいよッッ!』

佐々木は二人の背後から腕組みをしながら真剣に何かを考えていた…

『……なるほど…そっか…そういう事か…フフ…』

意味深な佐々木の言葉が前を歩く浮絵の背中に突き刺さった…

『なッ、何よ…そういう事って…』

青野が横槍を入れると佐々木は真顔で何でもないと手を振った…

(まずい…コイツ考えてる…何か考えてるッッ、)

  • << 28 🌷185🌷 『ヘェ~そんな事があったんだぁ~…』 数日後浮絵のマンションに遊びに来ていたワカメに浮絵はこないだホテルのレストランであった出来事を話した… 『ピンクのポロシャツで出て来た時は本当びっくりしたけどね…けど何か本当カツオ君らしいって言うか何ていうか…』 浮絵は夕飯に出すキャベツをトントンと千切りにするとザルに移し替えた… 『お兄ちゃん背広嫌いなんだ…前に一度ホテルに逢いに行った時も確かTシャツ一枚で…あんなでホントに従業員の統率取れんのかしら…』 『けど外から見てる限りだけどカツオ君てホテルのスタッフからかなり人望厚く信頼されてると思うよ…でなきゃ支配人があんな格好でクレーム聞きに来ないわよッ!ほんとあの時はお腹抱えて笑っちゃった…上に立つ者は飾り立てた威厳や身なりだけじゃない、中身で勝負だって典型よね…』 ワカメは雑誌をパラパラとめくりながら微笑んだ… 『ホント浮絵さんてお兄ちゃんの事話す時凄く楽しそうだよねッッ…』 『そ…そっかな…ハハハ…あ、ワカメちゃん棚からお皿出してくれる?』 ワカメは後ろ姿から滲み出る浮絵の嬉しそうなオーラにまるで自分の事のように嬉しさが込み上げた…

No.26

はじめまして

過去ログ読みたかったです!同人誌が出回るこの世の中でうきえさんに目をつけるなんて!

斬新すぎます…

花沢さんとどうなったのかとか過去ログすごい読みたいです
早川さんも気になります…

顔があのままでピンクのポロシャツを着たカツオを想像して吹き出してしまいました😁

頑張って下さい!

No.27

>> 26 💀千代丸子様💕お便りありがとうございます🙏

そうなんです…同人誌が出回るこの世の中、何とあの磯野カツオに恋する浮絵という所に目を付けました😳斬新ですか⁉(笑)

磯野家シリーズは二年もの間書いていた長編シリーズでして(過去ログもうないのかな😢)…磯野家Part①では花沢さんとカツオは何と一度結婚しています🎊が‼Part②ではカオリの事が忘れられないカツオに身を引くように離婚届を優しく差し出した経緯があり花沢さんは寛大なる悲劇のヒロインとして未だ語り継げられています😭(笑)浮絵目線のこの外伝には花沢さんはなかなか出て来ないとは思いますがもし登場したら暖かい拍手で迎えてあげて下さい🙏💕

浮絵の恋の行方…これからもよろしく見届けて下さるようよろしくお願いいたします‼💀

No.28

>> 25 🌷184🌷 『青野ごちそうさま…美味しかったわッッ…』 店を出た浮絵は青野にご飯の御礼を告げた… 『けど何か食べた気しなかったですよね… 🌷185🌷

『ヘェ~そんな事があったんだぁ~…』

数日後浮絵のマンションに遊びに来ていたワカメに浮絵はこないだホテルのレストランであった出来事を話した…

『ピンクのポロシャツで出て来た時は本当びっくりしたけどね…けど何か本当カツオ君らしいって言うか何ていうか…』

浮絵は夕飯に出すキャベツをトントンと千切りにするとザルに移し替えた…

『お兄ちゃん背広嫌いなんだ…前に一度ホテルに逢いに行った時も確かTシャツ一枚で…あんなでホントに従業員の統率取れんのかしら…』

『けど外から見てる限りだけどカツオ君てホテルのスタッフからかなり人望厚く信頼されてると思うよ…でなきゃ支配人があんな格好でクレーム聞きに来ないわよッ!ほんとあの時はお腹抱えて笑っちゃった…上に立つ者は飾り立てた威厳や身なりだけじゃない、中身で勝負だって典型よね…』

ワカメは雑誌をパラパラとめくりながら微笑んだ…

『ホント浮絵さんてお兄ちゃんの事話す時凄く楽しそうだよねッッ…』

『そ…そっかな…ハハハ…あ、ワカメちゃん棚からお皿出してくれる?』

ワカメは後ろ姿から滲み出る浮絵の嬉しそうなオーラにまるで自分の事のように嬉しさが込み上げた…

No.29

>> 28 🌷186🌷

『でワカメちゃんの方はどうなのよ?…主婦と仕事の両立はうまく行ってるの?』

『うん…まぁそれなりに何とか…横山君も仕事の帰り遅いしそれに仕事辞めてもどうせ暇だしねッ…』

ワカメは都立中学の数学教師であり、結婚を期に教師を辞めて家庭に入るつもりだったが夫横山淳の協力と仲間からの後押しもあり結局子供が出来るまで教師を続ける事にしていた…

『実家には?チョコチョコ帰ってるんでしょ?』

『母さんや姉さんは帰る度に腫れ物に触るかのように私に接するから何か足が向かなくて…けど甚六さんはマスオ義兄さんとよく逢ってるみたい…』

『あぁ、みたいねッ、ボトルシップ同好会でしょ?』

浮絵の兄甚六とマスオは瓶の中に船の模型を作る《ボトルシップ》の愛好家でしばしば甚六の方からマスオのいるワカメの実家に赴く事が多かった…

『もうすぐお父さんの3回忌だ…』

『そうね…早いものね…』

浮絵は磯野波平の生前の姿を思い起こしていた…本当の父以上によくしてくれた波平を浮絵は心から尊敬し感謝していた…

『来てくれるよね浮絵さん?』

『勿論ッ、何をさて置いても伺うわよッッ!』

『今年はお兄ちゃんもいるしねッッ!』

(……え…ハハハ)

  • << 34 🌷187🌷 二人で晩御飯を食べゆっくりした後ワカメは夫が帰ってくるからと帰る準備を始めた… 『旦那さんこんな時間まで仕事なんだ…』 浮絵は柱の掛け時計を眺めた…針は午後11時を回っていた… 『うん、警備会社の総務なんて勤務時間あってないようなもんだから…犬が吠えただけでセンサー鳴る事だってあるしね、ホント迷惑な~っ!ていつも愚痴ってる…』 トントンとパンプスを履くとワカメは笑顔で浮絵にまたね!と告げた… 『あ、お兄ちゃんの情報は私の耳に入り次第逐一浮絵さんに報告するから安心してッッ!フフフ…』 『…あ…ハハハ…よ、よろしく…』 (な…何がよろしくなんだろ私ッッ!…) 浮絵はワカメを見送ると部屋の真ん中で大の字になって天井を仰いだ… (ハァ~…結婚生活カァ…いつの事になるやら…ってゆぅか本当に私って結婚したいのかしら?…アァ~ン何だか訳わかんなくなって来た…) 頭の中で色んな妄想を張り巡らせながら浮絵はまだ淋しい一人の部屋を見渡した… (磯野カツオ…カツオ…フフフ、何で私こんなになっちゃったんだろ…) 窓を開けると晩秋の涼しい風が浮絵の頬で遊んだ… (また冬カァ…冬冬ッッ…) 浮絵は背伸びをすると夕飯の後片付けに入った…

No.30

>> 29 💀…💧

あの読者の皆様にお聞きしたいのですが✨👪磯野家外伝✨💖の過去ログを読めたという方、お便り頂けませんでしょうか?もしかして去年の過去ログは一切削除されているのかと不安になってます😢それとも本人が製作したスレッド以外は削除が早いのかな😨

『✨👪磯野家外伝✨💖の過去ログ読んで来たよ~‼』という方おられましたら御一報をお願い申しあげます🙏💀(あ~不安…💧)

  • << 32 はじめまして😄💡 過去ログ全部 読ませて頂けましたよ✌ 今日やっとこちらに進めました😅 楽しみしています🎵

No.31

>> 30 💀再度確認…

①雑談しゃべり場掲示板

②過去ログ(2007・10/02~欄)

③本・読書・文学欄にあります💕

No.32

>> 30 💀…💧 あの読者の皆様にお聞きしたいのですが✨👪磯野家外伝✨💖の過去ログを読めたという方、お便り頂けませんでしょうか?もしかして去年の過去… はじめまして😄💡
過去ログ全部
読ませて頂けましたよ✌
今日やっとこちらに進めました😅
楽しみしています🎵

No.33

>> 32 💀あん様💕お便りありがとうございます🙏

…そうですか💨過去ログあってよかったです☺…浮絵目線の『もうひとつのサザエさん』、磯野家外伝をこれからもよろしくお願いいたします‼💀

No.34

>> 29 🌷186🌷 『でワカメちゃんの方はどうなのよ?…主婦と仕事の両立はうまく行ってるの?』 『うん…まぁそれなりに何とか…横山君も仕事の帰り… 🌷187🌷

二人で晩御飯を食べゆっくりした後ワカメは夫が帰ってくるからと帰る準備を始めた…

『旦那さんこんな時間まで仕事なんだ…』

浮絵は柱の掛け時計を眺めた…針は午後11時を回っていた…

『うん、警備会社の総務なんて勤務時間あってないようなもんだから…犬が吠えただけでセンサー鳴る事だってあるしね、ホント迷惑な~っ!ていつも愚痴ってる…』

トントンとパンプスを履くとワカメは笑顔で浮絵にまたね!と告げた…

『あ、お兄ちゃんの情報は私の耳に入り次第逐一浮絵さんに報告するから安心してッッ!フフフ…』

『…あ…ハハハ…よ、よろしく…』

(な…何がよろしくなんだろ私ッッ!…)

浮絵はワカメを見送ると部屋の真ん中で大の字になって天井を仰いだ…

(ハァ~…結婚生活カァ…いつの事になるやら…ってゆぅか本当に私って結婚したいのかしら?…アァ~ン何だか訳わかんなくなって来た…)

頭の中で色んな妄想を張り巡らせながら浮絵はまだ淋しい一人の部屋を見渡した…

(磯野カツオ…カツオ…フフフ、何で私こんなになっちゃったんだろ…)

窓を開けると晩秋の涼しい風が浮絵の頬で遊んだ…

(また冬カァ…冬冬ッッ…)

浮絵は背伸びをすると夕飯の後片付けに入った…

No.35

>> 34 🌷188🌷

病院に入院していた佐々木孝の親友の彼女、進藤聡美が無事退院したと聞いて仕事帰り浮絵は手土産を持って過去に一度だけ酔い潰れ世話になった聡美のアパートに足を向けた…

『あ…こんにちは浮絵さんッッ!』

突然の訪問で驚いた聡美は玄関で満面の笑みで浮絵を迎えた…

『はいこれ快気祝いッッ、良かったね聡美ちゃんッッ!』

浮絵は会社近くの行列が出来る評判のシュークリームを聡美に手渡した…

『もう頭の方は大丈夫なの?』

『はい、ご心配おかけしました…この通り見事復活です、アハハ…』

相変わらず綺麗に整頓された聡美の部屋に通された浮絵は改めてここは過去に醜態を晒したあの因縁の部屋なんだと半ば恐縮した…聡美は可愛いティーカップに紅茶を注ぐとどうぞと土産のシュークリームと一緒に浮絵に出した…

『で…仕事は?また復帰するんでしょパチンコ店?』

『…え?…あ、ハハハ…ま、まぁ…』

聡美から煮え切らない答えが返って来たので浮絵はフン?と思った…

『…復帰…しないの?』

『……』

聡美が俯いた…

『そっか…キツイもんね、あの仕事…』

『私……』

聡美の顔が曇った…

『ん?……』

『私…田舎に帰ろうかと思って……』

『!…そうなんだ…』

No.36

>> 35 🌷189🌷

『け、けど帰っても誰も身寄りがないんじゃなかったっけ?…だったら別に東京に居れば…無理して帰る事…』

浮絵はまるで親戚のお姉さんが話すかのように優しく聡美に言葉をかけた…

『ありがとうございます…けど私入院してゆっくり自分の今後を考える時間ができて解ったんです…』

『解った?…何を?』

浮絵の顔にフッと紅茶の湯気が纏わり付いた…

『このままじゃ…このまま逃げてばかりいちゃ前には進めないって…』

聡美はずっと視線を落としたまま正座していた…

『それって彼の事?』

『……』

『聡美ちゃん…貴方は別に逃げてないと思うけどな…だってほら、こうして心機一転上京して新しい生活をはじ…』

『逃げてるんですッッ!私は何もかもからッッ!現実を受け止められずにいるホント情けない女なんですッッ!』

浮絵の言葉が終わらないうちに聡美が荒々しく言葉を被せた…

『さ、聡美ちゃん……』

暫くの沈黙の後浮絵が唇を開いた…

『まだ好きなんだ…元彼氏の事…』

聡美の頬を涙が伝った…こんな時どんな言葉をかけてあげるのが適切なのか浮絵には解らなかった…二つのティーカップから放たれる紅茶の湯気が仲良くフワリと混じり合った…

No.37

>> 36 🌷190🌷

『聡美ちゃんの元彼氏って今何処に?姫路にいるの?』

浮絵には聞かずともおおよその流れは解っていた…理由は解らないが進藤聡美は元彼氏に何らかの形で振られてしまった…そしてその悲しさをあの日あの時、そう…正にあの出張の夜、新大阪駅のホームで彼氏の親友である佐々木孝にぶつけたのだ…浮絵はその佐々木孝の胸で泣きじゃくる進藤聡美を6年間付き合った末振ってしまった佐々木孝の元彼女と勘違いしてしまったのだ…いつかその真相を問いただす日が来る事を覚悟していた浮絵は今日この時が正にその時だと悟った…

『どういう経緯で二人が別れてしまったかは私には立ち入る余地はないしその権利もない…ただ聡美ちゃんの悲しみが少しでも和らぐのなら私に何でも話してみて?力にはなれないかも知れないけど…』

浮絵は震える聡美の肩に触れた…

『………』

聡美の肩の震えが増した…

『ゴメン…やっぱり聞かないわッ…人にはそれぞれ事情…』

『浮絵さん…には聞いて欲しい…』

『!ッッ……え…』

聡美はゆっくり涙でグチャグチャの顔をあげた…

『私の彼…大好きだった彼はもうこの世には居ないんです…』

『………いない…ッて……』

時計がボ~ンと鳴った…

No.38

>> 37 🌷191🌷

『…亡くなった…ッて…?』

浮絵の胸がズキンと傷んだ…

『正確には……殺されました…』

『こ…殺さ…うッ、嘘でしょ…』

進藤聡美は鋭く冷たい視線で窓の外をゆっくり眺めた…

『ちょうど7年程前の暑い夏の夜の事でした…私は彼と彼の友人何人かと近所の花火大会に行って…その帰りに同じ年格好の若者の集団に訳もなく絡まれました…目的は路上強盗でした…』

浮絵の心臓の鼓動が自分の鼓膜にまで響いていた…

『幸い彼の友人達は喧嘩が強くて一時は集団を返り討ちにしたんですが…集団の一人がナイフを取り出し今度は私目掛けてその刃を向けて襲い掛かって来たんです…』

『………』

『ナイフの恐怖に彼の友人達の殆どは私を放ってその場から逃げてしまって…』

紅茶のカップに夕日の陰がかかった…

『彼は勇敢にももう一人の残った友人と共に私の前に立ちその男と格闘になりました…』

『そのもう一人の友人というのは…』

『はい…佐々木孝君です…』

浮絵の胸に言いようのない息苦しい圧迫感が襲い掛かって来た…

『タカちゃんは男を羽交い締めにして《聡美は早く逃げろッッ!》…て最後まで私を守ろうとしてくれました…』

No.39

>> 38 🌷192🌷

『ナイフの男と格闘になり二人共全身傷だらけの血まみれでした…近所の人が駆け付けて来て男達は強盗傷害未遂で警察に突き出されました…』

近所で子供達の遊ぶ声が聞こえる…

『幸いタカちゃんは浅い傷だけで難を逃れたんですが…私の彼は激しく格闘した際運悪く彼のお腹を真っ直ぐえぐるような刺し傷があり…すぐに病院に運ばれましたが…』

聡美はそれ以上話す事を止めた…止めたというより話す事は不可能な位全身を震えさせていた…30分もの間浮絵はただ聡美の肩を抱き何をするでもなくじっと一点を見つめていた…

『勇敢だったんだ彼…ゴメンね、そんな辛い別れだったなんて私知らなくて…』

浮絵の精一杯の慰めの言葉だった…

『何かゴメンなさいッッ、私…こんな事浮絵さんに…ゴメンなさい…』

浮絵のスカートの膝の部分が聡美の涙でみるみる湿り気を帯びてきた…

『うぅん…辛いよね、誰にも話せずに今日まで来たんだもんね…』

浮絵の目頭が熱を帯び出した…

『ねぇ聡美ちゃん…今日私ここに泊まってもいい?…あ、間違ってもお酒は飲まないからッッ、アハハ…』

『う…浮絵さん…』

浮絵のその言葉に安心したのか聡美の肩の震えが次第に治まっていった…

No.40

>> 39 🌷193🌷

それから数日間仕事中も浮絵の脳裏から聡美のあの日話してくれた言葉が消える事はなかった…

《先々月、大阪市内の公民館で行われた彼のちょうど7回忌の法要にタカちゃんも駆け付けてくれたんです…新幹線の新大阪駅のホームまでタカちゃんを見送ったら何か私突然涙が溢れ出してきちゃって…したらタカちゃんが優しく胸貸してやるから思い切り泣けよって言ってくれて…》

(…あの日だ…あの出張の夜の事だ…あの涙にはそんないきさつがあったんだ…)

浮絵のパソコンを打つ手が止まった…

『大丈夫ですか?主任ッ!しゅ~に~んッッ!?』

前の席の青野が心配そうに浮絵の顔の前で手を振った…浮絵はすぐ横で必死に書類の整理をする佐々木孝を見た…

(…想像出来ないよね…やっぱり)

浮絵の中ではまだこれまでの横柄で言う事だけは偉そうな口だけ男、佐々木孝像が打ち勝ってしまい、聡美が言う勇敢で聡美や親友想いの男らしい佐々木孝像には到底近づく事は出来なかった…

『!ッッ、ん?何かついてる?』

佐々木がこちらを見ているのに気付かず浮絵は思わず視線を外した…

『ヘェ~主任俺がラブラブ光線発射してるの解るんダァ~!』

(やっぱり想像出来ない…無理ッッ!)

  • << 45 🌷194🌷 浮絵が頭を整理していたそんな頃、浮絵の携帯電話にまたあのカツオの妻カオリから電話が入った…浮絵は用事があると断ったのだがカオリにほんの20分でいいから逢いたいと懇願され、浮絵は渋々約束の喫茶店に足を運んだ… 『すみません浮絵さん、』 カオリはいつもより落ち着いた服装で申し訳なさそうに浮絵に頭を下げた…浮絵にはカオリの相談事がどんな内容なのかおおよそ察しがついていた…多分二人の息子冬馬の教育問題だ… 『あの…こんな事誰に相談していいか解らなくてやっぱり浮絵さんに…』 『はぁ……』 浮絵は注文したカフェオレに砂糖を入れた… 『…浮絵さんから見て私と磯野君、どう思いますか?』 来た!…カオリの口から発せられる《磯野君》という言葉が何故かまだ新鮮に感じた… 『どうって……』 『最近私何か色んな事に迷ってしまって自分で自分の事がよく解らないっていうか…』 一体彼女は何を言いたいのだろうか、浮絵は首を傾げた… 『磯野君に余計な気を使わせてるのかなって…』 『何かあったの?息子さんの事でやっぱりもめてるの?』 浮絵は上目使いでじっとカオリを見つめた… 『好きだという気持ちと結婚生活ってやっぱり難しい…』 『……え?』

No.41

読んできました‼
浮絵さん①とカツオくんの離婚&再婚のお話✨‼

私てっきり小説の所にあると思ってたので、わかりやすく教えていただいてやっと見つけることができました☺💦

もう浮絵さんの気持ちが切なくて何度も泣いてしまいました😢
波平パパが亡くなってしまうとことか、ワカメちゃんの結婚式、それに花沢さんの優しさにも…😭

今後カツオくんと浮絵さんがうまくいってほしいと願うばかり😢✨
でも佐々木くんとうまくいってしまうのかな~それは嫌だな~。。

完結させてくださいね✨‼

応援してます😃‼

丁寧なフォローありがとうございました✨

ファンの皆様、横レス失礼いたしました🙇

No.42

>> 41 💀匿名様💕お便りありがとうございます💨

…まさか磯野家シリーズ全編目を通して頂けたなんて私嬉しい限りです😂💦シリーズ通して全てに細かな伏線がありますのでそんなのをまた見つけて下さいね‼これからもよろしくお願いします✨最後はあっという展開が待っているかも😨💧(笑)

No.43

>> 42 今度はちゃんと完成させて下さいよ、ビリケン先生。コメント書きに来なくても、ちゃんとチェックしてるんですから😤はい、小指出して飛びます飛びます…それは二郎さんの一発ギャグではないか!突っ込みが遅~いっ(爆)

思わず、虹組キララ風に宝塚ってしまったではないの(笑)

改めまして…小指からめて…

指切りげんまん嘘ついたらハリセンボン飲~ます🎵どちらかお好みでどうぞ(笑)

No.44

>> 43 🐯ちゃまいつもありがとうございます💧何ぶん浮気性なもので(笑)しかし‼浮絵と短編だけは頑張りたいと思います💪以後よろしくお願いいたします✨

No.45

>> 40 🌷193🌷 それから数日間仕事中も浮絵の脳裏から聡美のあの日話してくれた言葉が消える事はなかった… 《先々月、大阪市内の公民館で行われた… 🌷194🌷

浮絵が頭を整理していたそんな頃、浮絵の携帯電話にまたあのカツオの妻カオリから電話が入った…浮絵は用事があると断ったのだがカオリにほんの20分でいいから逢いたいと懇願され、浮絵は渋々約束の喫茶店に足を運んだ…

『すみません浮絵さん、』

カオリはいつもより落ち着いた服装で申し訳なさそうに浮絵に頭を下げた…浮絵にはカオリの相談事がどんな内容なのかおおよそ察しがついていた…多分二人の息子冬馬の教育問題だ…

『あの…こんな事誰に相談していいか解らなくてやっぱり浮絵さんに…』

『はぁ……』

浮絵は注文したカフェオレに砂糖を入れた…

『…浮絵さんから見て私と磯野君、どう思いますか?』

来た!…カオリの口から発せられる《磯野君》という言葉が何故かまだ新鮮に感じた…

『どうって……』

『最近私何か色んな事に迷ってしまって自分で自分の事がよく解らないっていうか…』

一体彼女は何を言いたいのだろうか、浮絵は首を傾げた…

『磯野君に余計な気を使わせてるのかなって…』

『何かあったの?息子さんの事でやっぱりもめてるの?』

浮絵は上目使いでじっとカオリを見つめた…

『好きだという気持ちと結婚生活ってやっぱり難しい…』

『……え?』

No.46

>> 45 🌷195🌷

『まぁ結婚っていざするとする前に描いていた理想とは余りにも掛け離れる所あるからね…』

『え………』

カオリが不思議な顔をしたので浮絵は座り直して言葉を発した…

『私も一度結婚して離婚経験あるから…ハハハ…』

浮絵はカップに口を付けた…

『そ、そうだったんですかッ、浮絵さんバツイチなんだ…』

カオリさん知らなかったのか…まぁカツオ君は嫁にいちいち私の過去を話したりはしないか…浮絵はゆっくりカップを置いた…

『ど、どうして別れちゃったんですかッッ!?』

今度は鬼の首を取ったようにカオリが浮絵に詰め寄った…

『う~ん…どしてだろ…それを究明するのが私の今一番の人生のテーマなんだ…あッ、ゴメン…大袈裟だったねッッ!』

浮絵は髪をかきあげた…

『…そっか…浮絵さんみたいに綺麗で完璧な人でも考えちゃうんですよね…難しいですよね結婚て…』

(綺麗で完璧な人間だなんて一度も思った事ないわ…ハハハ)

浮絵はカオリの仕草や雰囲気を見て大人の女独特のテレパシーを放散した…まさかとは思うが今のカオリはあの時の私とよく似ている…信じたくないけど…浮絵の胸に吐き出しようのない胸苦しさがベタリと苔のようにこびりついていた…

No.47

>> 46 🌷196🌷

『カオリさんは何を迷ってるのかな?…本当に息子の冬馬君の将来やカツオ君の身になって考えてあげられたら自ずと答えは導き出せるんじゃないのかな…』

(何を一丁前な事言ってるんだろ偉そうに私…タハハ)

『………』

カオリは浮絵の話しを虚ろに聞いていた…

『私達人間ってさ、世界でたった一人しかいない感情豊かな生物なのね、だから色んな感性や生活習慣で意見の食い違いはあって当然…けどそれをパートナーとどう解決していくかが結婚の醍醐味なんじゃないのかな?…まぁたった一年足らずで離婚した私がそんな偉そうに言える権利はないんだけど…ハハハ…』

『………』

『小学生みたいな質問するけど…カオリさんはカツオ君の事好きでしょ?その気持ちは今でも変わらないっていうんなら何だって乗り越えられるよ…誰かを好きって力はホント凄いんだから…』

誰に言い聞かせてるのだろう…浮絵は歯が浮きそうなそんなセリフを自分で言いながら内心言いようのない羞恥心と孤独感に陥っていた…

『好き……う~ん…そんなんじゃ…そんな感じじゃないのかも…』

『え?……』

カオリがボソリと呟いた…店員が二人がいたテーブルに近寄り静かにレシートを置いた…

No.48

>> 47 🌷197🌷

浮絵は自分はつくづくタチの悪い偽善者だと肩を落とした…普段は誰をさて置いてでも幸せな自分の未来の姿を妄想想像するくせにこうしていざ当事者を目の前にしたら歯の浮くような言葉を連ね、それが出来れば誰だって苦労しないよという理想論ばかり唱え自分をよく見せようと着飾る…《嫌なら別れちゃえばいい!》素直に正直にその一言さえ発っせればこんなに自分を責める事もないんだろうに…結局私は人からよく思われていたいお姫様に過ぎない…カオリに逢う度浮絵はいつもそう感じ自分を侮蔑するのだった…

『結婚するって好きとかそんなのもう通り越して…何か私もよく解んないんですけど…凄い精神力と忍耐力が兼ね備わってなきゃ駄目なんじゃないかって…でないと自分自身がどっかにヒュ~って…』

カオリは自転車の鍵らしき物を両手でコロコロと弄んでいる…

『…悩んでるならいつでも連絡ちょうだい?私で良ければ…』

『…あ、ありがとうございます…でもこれ以上浮絵さんを頼ると私…』

またうわべだけの言葉がつい…私で良ければって、私で良い訳ないじゃないッッ馬鹿!こうして私は致命傷を与えられないまま少しずつ傷ついていくんだ…浮絵は俯いた…

No.49

>> 48 🌷198🌷

進藤聡美から姫路に帰ると浮絵に電話があったのはカツオの父波平の3回忌法要の数週間前の日曜日の事だった…浮絵は慌てて化粧を終え夕方の東京駅に駆け付けた…

『あッ、浮絵さぁ~ん!』

博多行きの新幹線の改札口で幾つものバッグを抱え進藤聡美はいつものように満面の笑顔で近付く浮絵に手を振った…

『ゴメンね、遅くなっちゃって…』

『いぇこちらこそ何だかすみません…見送り催促したみたいで…』

オーバオールに黄色いトレーナーといういでたちの聡美はまるで中学生のようだった…

『行っちゃうんだね…遂に…』

『はい、色々お世話になりました…こちらでの御恩は私一生忘れませんッッ!』

聡美は窮屈そうに浮絵に頭を下げた…

『ち、ちょっと待ってよ聡美ちゃんッッ、今生の別れじゃないんだからさッ、もっと明るく明るくッッね!?』

『そ…そうですよね…エヘヘ、浮絵さんとはずっとお友達でいたいし…これからも毎日メールしますねッッ、…ま、毎日は迷惑か~アハハハ』

とりあえず表面上だけでも聡美本来の明るさが戻り浮絵はホッと胸を撫で下ろした…

『浮絵さん……』

『ん?……』

『私やっぱり浮絵さんに出逢えてホントによかったと思ってます…』

No.50

>> 49 🌷199🌷

『正直浮絵さんに出逢う前は何もかもうまくいかなくて引っ込み思案でこんな弱虫な私なんかどうにでもなれって思ってました…本気で自殺とか考えてました…』

夕方の日曜日の東京駅は荷物を抱えた旅行者達でごった返していた…

『でも…何だろ…浮絵さんに逢って色んな事話して教えてもらって…私人生には完璧な正解なんてないんだなって事解りました…』

『聡美ちゃん……』

『いくら願っても望んでも彼はもう私の側には戻っては来ません…もし人生に正解があるとしたらそれは彼のいない人生を悔いるのではなく彼のいた日々を大切な宝物にして生きていけばいいのかなって…』

浮絵は微笑みながら視線を床に落とした…東京発博多行きの車輌到着のアナウンスが響き渡った…

『彼はおそらく私のこれからの人生の中の全てでしょう…私は彼を今でも…死んだ今でも大好きだって自信を持って言える事を誇りに思いますッッ!』

聡美はうっすら涙を浮かべたがそれ以上は泣くまいと唇を強く噛み締めた…

『ありがとう浮絵さんッッ!』

『こちらこそ聡美ちゃん…私の方こそあなたを見ていてとても素敵だった…同時にその若さがチョッピリ羨ましかった…』

  • << 51 🌷200🌷 『…さ、佐々木…君は?』 浮絵は辺りを見回した…当然見送りに来ているであろう佐々木孝の姿がそこにはなかった… 『タカちゃんとは昨日サヨナラ言いました…彼はこんなおセンチなの苦手なんです…逆に何で帰るんだッッ!こっちにいろッッ!って私怒られちゃって…ハハハ』 浮絵は進藤聡美に対する佐々木孝の思いは浮絵の想像を遥かに超える物であると改めて再認識していた…本当の兄妹以上の深い絆いや、それ以上の信頼関係のような…聡美は床にあった鞄をヨイショと担ぐと浮絵を見た… 『浮絵さん…じゃタカちゃんの事よろしくお願いしますッッ!』 聡美は頭を下げた… 『!ッッ、ち、ちょっと聡美ちゃんッッ、よ、よろしくってッどッ!』 何を言い出すのかと浮絵は慌てて聡美に詰め寄った… 『フフフ…冗談ですよ冗ぉ~談ッッ!…だって浮絵さんには他に想いを寄せてる方がいるんでしょ?』 浮絵の鼓動が加速し始めた! 『な…何故そ、それを?』 『そんなの尋ねなくたってホラ、ちゃんと顔に書いてますよッッ!ウフフ…』 (う…嘘ッッ…!) 浮絵は思わず頬を掌で押さえた! 『誰かを本気で愛する女はそんな同じ境遇の女性をかぎ分ける事が出来るんですよッッ!』
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