向かいの彼

レス18 HIT数 2654 あ+ あ-

はな( 0g86h )
08/07/27 11:02(更新日時)

現在18歳。女子高生。

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No.1158297 08/07/13 19:13(スレ作成日時)

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No.1 08/07/13 19:33
はな ( 0g86h )

私は変わった一目惚れをしやすい。
小学生の頃は遊園地に行った時にいた遊園地で働くお兄さん。
中学生の時は家の近くにある自転車屋さんで働くお兄さん。
見て、終わる。そんな私の一目惚れ。
そして高校生になって18になった私は、私の部屋の向かいの部屋に住んでる、黒髪で黒縁のメガネをしていて、少し謎っぽいような男の人に恋をしている。また、一目惚れだ。私が17の時にその人は向かいの部屋に引っ越してきた。
それからずっと恋をしている。
彼は、一人暮らしのようだ。
私はいつも窓から彼を見つめている。

No.2 08/07/13 19:47
はな ( 0g86h )

「ってゆうかアンタ、それストーカーちっくでこわいから!!」
学校の友達が言った。
「けど、急に声なんてかけられないし…逆に急に声かけても変なやつって思われそうじゃん…」
私は少しムッとした顔で言った。
「いやでもさ~見てるだけじゃ何にも発展しないよ?この際変なやつって思われてもいいから声かけてみなよ!」

「はいはい。あ、チャイムなったよ。行こ。」


…いいの。こわいかもしれないけど見てるだけでいいの。どうせ、なんにもならないんだから。

ほんとは、喋ってみたいけど…だって、向かいの部屋に住んでる彼は、遊園地のお兄さんより、自転車屋さんのお兄さんより、一番近い存在だから…

No.3 08/07/13 20:06
はな ( 0g86h )

その夜も、彼に気づかれないように宿題をしながら見ていた。
机に座って横を向くと、ちょうど彼が見える。

いつものように見ていたその時………



目が合ってしまった。




私は心臓が飛び出そうなほどドキッとした。
思わず顔を机の方に向けた。
「どうしよう」
「見てたの気づかれたかな」
「なにあいつって思われたかな」
頭の中でいろんなことを考えていた。

そして、もう一回ゆっくり顔を窓の方に向けて見てみた。

彼はこっちを向いたままだ。

私はまたドキッとした。
「やっぱり気づかれた?!」


と、その瞬間、
彼がにこっと少し微笑んだ。そして、軽く手を降った。

No.4 08/07/13 20:26
はな ( 0g86h )

私も、思わず手を軽く振ってしまった。
信じられなくて、恥ずかしくて、手を振ってすぐ自分からカーテンを閉めてしまった。


心臓がドキドキしていた。まさか、こんなことが起こるなんて思ってもいなかったから。ずっと見ているだけだったから。
なんだか嬉しかった。と、同時に、自分からカーテンを閉めてしまったことに少し後悔していた。見ていたのは自分なのに、嫌われないかな…など、喋ってもないのに訳分からないことばかり考えていた。


そしてその日から、そのやりとりが毎日続いた。奇妙なやりとりだけど、私は夜が待ち遠しくなっていた。
そして一週間ぐらいたった夜。
彼がなにか喋った。

もちろん聞こえるはずがない。
「え?」という素振りをすると、彼が大きく口を開いてゆっくり喋った。私は彼の口をじっと見た。


「い」

「ま」

「あ」

「え」

「る」

「か」

「な」

No.5 08/07/13 20:33
はな ( 0g86h )

彼が何を喋っているのか分かった時、もう立てないほど心臓がドキドキした。

ずっと見ていた彼と、今会えるなんて…

私は思わず顔を縦にふった。
彼はにこっと笑って、人差し指を下に向けた。

「し」

「た」

「で」

「まっ」

「て」

「る」

その瞬間私は自分の部屋をすぐ出た。

「お母さん、ちょっとシャーペンの芯きらしちゃったから、近くのコンビニ行ってくるね」

そんなウソをついて家を出た。

そして窓から見ていた向かいの家の前に彼が立っていた。

No.6 08/07/13 20:54
はな ( 0g86h )

彼が、にこっと笑った。
「こんばんは」


「あ…こ…こんばんは…」

私はドキドキしすぎてしょうがなかった。
そして何を話したらいいのか分からなくて何も喋れずにいた。

しばらく沈黙が続いた…
その時彼が口を開いた。
「あの…今いくつなの?高校生?」

「あっはいっ高校生です!18です!」

彼がははっと笑った。

「敬語なんて使わないで。俺も18だから。」

「えっ?!」

高校生にあまり見えず、大学生か社会人かとばかり思っていた私はびっくりして声をあげてしまった。

「なんか、大人っぽい雰囲気があったから…まさか同い年だと思ってなくて…すいません…」

「ははっ謝らないで。俺…学校行ってなくて…ずっと部屋にこもってテレビ観てるかゲームしてるかだから……オタクに見えるよね…だからずっと見てたんでしょ?」

「え?!」

私はドキッとした。
ずっと見ていたこと彼は気づいていたんだ。
だから私をここに呼び出したの?そんな思いさせてたなんて、ほんとは一目惚れしただけだったのに…

とりあえず謝らなくちゃと思った私は、思いっきり頭を下げた。
「ごっごめんなさい!!そんなつもりで見てたんじゃないの!!」

No.7 08/07/13 21:05
はな ( 0g86h )

「あ…謝らないで…頭上げて…?違くて…あの、俺も見てたから…ごめん…」

「え!?」
私は頭を上げた。

「見てた…って…?」

「あ…俺、気持ち悪いって思うかもしれないけど、ずっと見てたんだ…気づかれないように…けど、君が俺のことを見出してから見てたのバレたんだなって思って…気持ち悪いオタクだなって思って見てんのかなって思って…」

私は首を横にふった。
「けど、手を振ってみたら君は笑って手を振り返してくれて…なんか…それで、嬉しくて…それでここんとこ毎日ずっと手を振ってたんだけど…でも見てたのバレたからにはちゃんと謝らなくちゃと思って…だから謝らなくちゃいけないのは俺で…」

「ちょっと待って!」
私は彼が謝ろうとしたのを慌てて止めた。

「見てたのは、私の方だよ!」

彼がえっ?て顔をした。

No.8 08/07/13 21:22
はな ( 0g86h )

なんだか、どうでもよくなった。彼は私を見てたなんて、嬉しくて、この際はっきり言ってしまおうと思った。

「私は、正直にいっちゃうと…引っ越してきた時から一目惚れをして、ずっと見てきたの…だから、気持ち悪いだなんて思ってないし、オタクだなんて思ってないし、だから、その…はっきり言うとね、好きで…好きだから、気になって見てたの、話したこともなかったけど…好きだった…んです…」

どうでもよくなって言ってしまったのはいいものの、やっぱり恥ずかしくなってきた。

「本当に?」

彼はびっくりした顔をして言った。

  • << 10 続き楽しみに待ってます✨

No.9 08/07/23 04:59
♀ママ ( ♀ BmWHh )

>> 8 その後の続きがとっても気になります😣💦
高校生だからいろいろ忙しいのかな😃💦

No.10 08/07/23 12:31
ポニョ ( 20代 ♀ vssBh )

>> 8 なんだか、どうでもよくなった。彼は私を見てたなんて、嬉しくて、この際はっきり言ってしまおうと思った。 「私は、正直にいっちゃうと…引っ越し… 続き楽しみに待ってます✨

No.11 08/07/23 12:39
ダンナ ( 5RyBh )

続きが楽しみ💡 待ってるので更新してください🎵

No.12 08/07/23 21:22
はな ( 0g86h )

彼はやさしく微笑んだ。「ありがとう…」



私の心臓は飛び出そうなほどドキドキしていた。ドキドキと、恥ずかしさで、早くこの場から立ち去りたかった。

その時、突然彼が私の手をとった。

そして、何かを渡した。
「俺はいつも家にいるから、いつでも遊びにきてね。」

そう言ってにこっと笑って彼は家に帰っていった。



…手を見ると、鍵だった。

…訳がわからなかった。どうして鍵を私に?
告白の返事がOKだって意味?よくわからない…
ますます彼が謎になった。

No.13 08/07/23 21:42
はな ( 0g86h )

次の日の朝、私は起きてすぐ向かいの彼の部屋を見た。


カーテンが閉まっていた。

「寝てるのかな…」

そういえば彼は学校に行ってないって言っていた。けど一人暮らし?生活費は?

考えれば考えるほど、謎だ。


授業中も私は彼のことを考えていた。

鍵のことも含めて彼のことがどんどん知りたくなってきた。

…けど、鍵を渡されたからって、知り合ってすぐ男の人の家に遊びになんて行けない…
軽い女だなんて思われるかもしれない…
けど、彼に会いたい。

会いたい。




会いたいよ。



彼のことで頭がいっぱいになっていた。

学校が終わると、友達の誘いを断り、すぐ家に帰った。急ぎ足で自分の部屋に行き、向かいの窓を見た。

No.14 08/07/26 20:33
はな ( 0g86h )

カーテンが開いていて、彼がテレビを見ている所が見えた。

彼がこっちを向いてくれないか、私は手を振り続けた。

でも彼はぼーっとした顔でテレビを見ている。
私は窓をあけて大きく手を振ってみた。


彼が気づいた。


窓を開けて手を振ってる私を見て、彼も窓を開けた。

私の心臓はものすごくドキドキいっている。

「いってもいい?!」

いてもたってもいられず大きな声で言ってしまった。

「いいよ!」

彼は笑顔で言ってくれた。
私はすぐ家を飛び出した。彼が下で待っていてくれた。
「ごめんね、急に、いっていいかなんて言ってっ…」

「ううん」
彼がにこっと笑った。

No.15 08/07/26 21:03
はな ( 0g86h )

彼の部屋の前まで来た。
彼がどうぞと言ってドアを開けた。

「あ…じゃあ…おじゃまします…」

部屋に入ると、必要最低限の家具しか置かれてなく、とても殺風景な部屋だった。テーブルにはゲームのPSPが置かれていた。

「ゲーム、好きなんだね。下向いてゲームしてる所いつも見えてたよ」

「ははっオタクでしょ、俺。」
彼が笑った。

「オタクじゃないよ!PSPやってる人なんていっぱいいるよ?」

「そっか…外あまり出ないから分かんないや、ははっ」

……あまりいろんなこと聞くのは失礼かなと思った。けど、彼のこともっと知りたいとも思った。

「聞いても…いい?」

「ん?何?あ、座って?」

彼が座布団を差し出した。
「あ…うん、ありがとう…」

「何?聞きたいことって?」
彼が言った。

「あ…あの…学校…は?」

「行ってないよ。」

「あ…えと…なんか仕事してるの?」

「してないよ。」

……………………。
お互い無言になってしまった。
なんだか気まずい雰囲気になってしまった。
……………………。
……………………。
しばらくして彼が口を開いた。

No.16 08/07/27 10:27
はな ( 0g86h )

「俺ね、親から見放されたんだ。」
寂しげな表情で彼はそう言った。

「え…どうして?」

「お前はうちの子じゃないんだ。って、ある日急に言われて、家賃と生活費は出すから頼むから出ていってくれって…言われてさ…今は弟と三人で仲良く暮らしてるんじゃないかな」

「…弟が…いるの?」

「うん、俺と違ってすごいできがいいんだ。勉強もできるしスポーツもできるし…弟はすごい可愛がられてたよ。」

彼の目が少し潤んでるように見えた。

「…………………。」

何も言えなかった…
もうこれ以上何も聞けなかった。

「高校は一年の頃から不登校気味で、ここに引っ越してくると同時にやめたんだ。それからずっと、働く気もおきなくて、ずっと家に…」

「1人だったの?」
私がそう聞いた。

彼は下を向いてゆっくり頷いた。頷いたと同時に涙がポタっと彼の目から出た。

そんな彼を見て、私の目も潤んだ。でも必死にこらえた。

No.17 08/07/27 10:41
はな ( 0g86h )

「もう…1人じゃないよ…私が一緒に…いるから…」

涙を必死にこらえながら彼にそう言った。

彼は涙を流しながら私を見た。

「…ありがとう…」

そう言って彼は泣いた。彼はあの時からずっと1人だったんだ。ずっと1人で毎日過ごしてたんだ…

泣いてる彼を見て、思わずそっと彼に抱きついた。
自分にこんな勇気があったなんて信じられないくらい。
けど私は彼を抱きしめずにはいられなかった。

彼が抱き返してきた。

彼はすごく暖かかった。

No.18 08/07/27 11:02
はな ( 0g86h )

……………………。
しばらくして目が覚めた。
隣に彼が寝ている。

どうやら私達は泣きつかれたのか寝ていたみたいだ。

私は掛け布団を彼にかけた。

その時彼が起きた。
「あ…俺…寝てた?」

眠たそうな彼の顔を見て私はクスっと笑ってしまった。
「うん、私も寝てて今起きた。お互い寝てたみたい」

彼もクスっと笑った。
そして窓を見た。

「もう暗いね。」

「そうだね。」

「家に帰った方がいいよ」

「うん、今日は帰るね、また明日遊びにきていい?」

そう聞くと彼が笑顔で頷いた。


玄関で靴を履いてる時に、私は思い切って聞いてみた。
「…昨日の告白の返事って…どっちなのかな…?」

すると彼が急に下を向いた。

「俺なんかでいいの?」
そう聞いた。

「なんで?さっき、ずっと一緒にいるって言ったもん私。」

「…うん…俺も一緒にいたい…いてほしい…ずっと1人だったから…」


「うん、一緒にいる」
私は笑顔でいった。







そして私達は軽くキスをした。

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