一緒にお話つくろう会②byクリス(代行)

レス500 HIT数 17412 あ+ あ-


2008/06/11 15:34(更新日時)

設定:7つの惑星(世界)を舞台に登場人物たちが連合軍と言う巨大組織と闘うストーリーです👮是非、皆さん読んでみて下さい⤴【一緒にお話つくろう会】代表…

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No.1141765 (スレ作成日時)

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No.351

>> 350 【番外編 過去の遠き日】

眩い閃光に包まれていく。

スス「全く…若い者は周りの気配りが出来ないの」

化物は大きな口をあけ、溶けかけた鋭い牙を見せ、頭上で魔法を放とうとするファに酸を吐きかけようとする。

ファ「遅せぇよ…けっ」

唾を吐くと同時に化物の内部から爆発がおこる。

『ギャアアァ』

肉体から泡が吹き出し、複数の爆発がおこる。爆発は連鎖し、大きな爆発えと変わっていく。

ドカアァァン

『ギャアアァ』

ドカアァァン

ハーク「くっ…」

爆風にさらされるハークは魔法でどうにか耐える。

ドカアァァン









ファ「やったか…」

黒煙が立ち込める中、目を凝らし、鳴き止んだ化物の状態を確認する。化物は繰り返す爆発で肉体は粉々に飛び散り、見るかげもない残骸と化している。

ファ「っ…」

魔力を使い果たしたファは落下してくる。エアがすかさず、魔法で地面への直撃は避けたが、ファは軽い衝撃を受け、意識を失う。

エア「ファ殿。大丈夫ですか…」

抱え、揺すってみるが、返事はない。

スス「休ませてやるんじゃ…当分は目覚めんじゃろう」

No.352

>> 351 【番外編 過去の遠き日】

ゴオォォォォォ

スス「なんじゃ」

突然、地鳴りとともに地震が起こる。揺れは次第に強くなり、立つことすら困難になってきた。

エア「先程の魔法(爆発)で地下洞が崩れかかっているんでしょう。先を急ぎましょう」

天井から砂や石が落下してくる中、魔王の元に誘う扉の前までいくが、化物を倒したはずなのに扉は一向に開こうとはせず、見下すように口を閉じている。

トケイ「開きませんね」

ゴウ「ふむ」

ハーク「なぜ?でしょうか…化物は…」

タカ「まだだ…」

タカが剣を抜き身構える方向に一同の視線は釘付けになる。粉々になった化物の肉体が、結合し、徐々に元の形に戻っていく。

スス「なんと…」

エア「凄まじい生命力ですね…」

タカ「いや…奴は既に死した者だ。倒すことは出来ないのかもしれない」

ハーク「そんな…だったらどうやって…」

『ギャアアァ~!!』

化物は最早、形すら維持することが困難なのか、液状となった身体を振るう。

ゴウ「まだ手はある心配するな」

No.353

>> 352 【番外編 過去の遠き日】

スス「!?」

ゴウはお得意の大剣出現魔法を放ち、道を遮る扉に一人がやっと通れる穴を開ける。並の魔法使いでは魔王の魔力を帯びた扉に傷一つつけることが出来ないだろうが、流石は【剣の賢者】だ。

ゴウ「いけ。儂があの化物を足止めしておく…倒せは出来ぬとも足止めぐらいは可能だ。それに魔王さえ倒してくれればコヤツも動かなくなる」

ローブを脱ぎ捨て、服を脱ぐ。鍛えぬかれた上半身は老体とは思えず、逞しい胸板に割れた腹筋からは若々しさすら感じる。

フェ「じぃさん。最後の仕事精一杯頑張りな」

エア「なっ…なんて失礼な…」

フェはそう言うと早々と穴から外に出ていった。

ゴウ「若造がっ…まぁよい。早くゆけ。化物が動き出すぞ」

化物は徐々に整ってきた身体を動かし初めている。

ハーク「お気をつけて…絶対に魔王を倒します。それまでどうか持ちこたえて下さい」

ゴウ「言葉はいらん。気持は十分伝わっとる。ゆけ」

杖をくわえると両足につけた短剣を抜き、胸前で、交差させかまえる。

エア「いきましょう。早く」

スス「また会おう友よ…」

No.354

>> 353 【番外編 過去の遠き日】

ゴウ「さらば…友よ」

全員が行くのを見送るとおぼろ気な足取りで突進してくる化物に向かっていく。

『ギャアアァ!!』















スス「大詰めのようじゃな」

化物の鳴き声が背後から聞こえる中、誰一人振り返ることはなく細い道を走る。徐々に上り坂となり、前方には暗闇に浮かび上がるように登る階段が見てとれる。

エア「不気味な階段ですね」

暗闇に浮かび上がるような白い階段は延々と地下へと降っていた先程までとは違い。延々と地上に向かっている。

ハーク「魔王。今、行くぞ」

スス「ほほ。いい意気込みじゃ」

No.355

>> 354 【番外編 過去の遠き日】

骸骨が敷き詰められた扉があった。それは触れてはならない扉のように思えるぐらい暗く闇に満ちていた。

スス「ここに…魔王がおるようじゃな」

間違いなく魔王はこの扉の先にいる。だが、誰一人扉を開けようとする者はいない。それほど魔王の力は強く恐ろしいのだ。

エア「我ら6人(ハーク・エア・スス・トケイ・兵二人)で戦はなければならないのか…」

逃げ出したい。扉越しに感じる力に身体がふるえる。こんなことで魔王を直視できるのだろうか。

ハーク「開けますよ」

スス「いや…まて…ハークよ。お前は逃げるのじゃ…まだ死ぬには早すぎる」

ハーク「いえ。僕は既に幼い時に一度命を落としました。師匠(ラブ)がくれたこの命。恥じない人生を送りたいんです。ここで悪に怯え逃げ出したら…僕はこの先、師匠に顔向けできないんです」

スス・エアすら身震いしているなか、ハークは精一杯の笑顔で話す。

スス「本当に良い弟子をもったものじゃ。うらやましい。儂はあんなん(ラブ)じゃたからな」

既に皆の恐怖は消えていた。ハークの笑顔は魔王の暗く重い魔力を払っていた。

エア「では。いきましょう」

No.356

>> 355 【番外編 過去の遠き日】

ギィィィィ

ハーク「ぁ…」

扉に手を触れると歓迎するように開いていく。7人(タカが抜けてました。すいません)の視線は扉の先程にいる魔王に注がれる。

『ようこそ。地上の者よ』

骸骨の仮面を被り、黒いローブに身を包んだ魔王は手招きし、ハークに入ってこいと言いたげだ。

スス「隙を見せたら分かってるな」

ハーク「はい」

エア「もちろんです」

トケイ「はっ」

小言で、お互いの意思を確認する。

エア「あっ」

7人が入った瞬間、扉は鈍い音を上げ、閉まる。

『良き日だ…死ぬには…良き日』

長髪をなびかせ、仮面の隙間から見える鋭い目は黄色く輝いている。

『さぁ…』

力なく手を上げ、兵士二人に手を向ける。

エア「なっ…させるか!」

防御魔法を発動させるエアだが、いとも容易く防御魔法を打ち破られ、杖を破壊される。

エア「なっ…く」

「うわぁあぁ」

兵士二人は苦しみながら灰へと変わる。

『死は美しい。醜い人間もこの時ばかりは私の目をそそる。そう思わんか?』

ハーク「よっ…よくも!」

No.357

>> 356 【番外編 過去の遠き日】

ハーク「風よ!悪を飲み込め!」

風が集まり、多数の渦が出現する。

『弱き者よ…私には勝てん止めておけ』

魔王は魔法を放とうとするハークを相手にする気がないのか、背を向け、奥にある妙な威圧を放つ石椅子に向かって歩いていく。

ハーク「まっ待て!」

背を向けられ一瞬、躊躇したハークだが、直ぐ様魔法を放つ。魔王は振り返ることもなく魔法を打消し、石椅子に座る。

ハーク「な…」

魔法を打消したのは魔王の影であった。生き物のように動く影は人の影とはかけ離れている。

ハーク「ぁ…」

不気味な異形な者・闇の塊である魔王の中身が見えたようで―――

ハークの身体は勝手に震え出す。それほど濃い濃厚な闇。全て飲んでも余りある膨大な力―――

スス「下がってなさい。ハーク」

エア「我らは王を救いにやってきた!魔王!覚悟しろ!」

ファ「貴様を倒して俺が魔王と名乗ってやるよ!この【闇の賢者】ファ様がな!」

タカ「貴様の行為は死に価する。エルフ族の聖なる罰受けよ」

トケイ「部下の仇は命に替えてもとらせてもらうぞ」

『ふっ…』

No.358

>> 357 【番外編 過去の遠き日】

ハーク「……」

ハークはただ見守ることしか出来なかった。既に魔王の力に触れ心が闇に侵されていた。

『誰が……闇が悪と決めつけたのか……』

魔王は凄まじい衝撃波を放ちながら宙に浮き、手を天に掲げる。

スス「なんと…凄まじい」

エア「くっ」

ファ「ほんものの化物ってやつだな…けっ」

『光は誰が正義と決めつけたのか……全ては偽り。闇があるから光があるのだ。所詮はこの世界は矛盾だらけの下らぬ世。魔法老の作った世界だ……だが、私が変えてやろうと言っておるのだ。なぜ?弱き者たちも私に盾つく?より良い世界の構築をなぜ阻む?』

エア「貴様の作る世界なぞ!良き世界とはいえない!悪は滅びろ!」

エアは手を胸に当て、全身は眩い光に包まれていく。魔王の魔力で闇に包まれていた部屋は徐々に光を取り戻していく。

『私は悪ではない。闇を拒むな。望むもの全てがこちらにあるのだ…』

スス「エア殿を援護するんじゃ」

ファ「けっ」

No.359

>> 358 【番外編 過去の遠き日】

『私は闇そのもの…貴様に闇は消せまい』

エア「神は我らに光を下さり、闇を滅する力を下さった。魔王!光魔法師の力!受けてみよ!」

邪悪な魔力をかき消すようにエアの身体からは光が、聖なる力が溢れ、魔王の魔力を払ってくれている。そのお陰で、ハークをはじめ邪悪な足枷で身動きが取れなかったススたちは魔王を取り囲み、魔法を放つ。

ファ「くらえ!」

黒炎弾を放つ。だが、魔王は素手で黒く燃え上がる黒炎弾を弾く。

『くらわぬな』

ファ「闇の賢者様をなめるな!カスめ!」

だが、そんな魔王に恐れをなすどころか、ファは次々に黒炎弾を放ち、魔王も防戦を強いられている。

スス「魔王!!」

『ぬぅ?』

無数の黒炎弾に魔王は両手で応戦している。流石の魔王でも防御しながら反撃は出来ないのだろう。もっとも賢者であるファが魔力を振り絞り、1秒すら暇を与えていないのだ。短時間での大量魔力の消費に加え既に限界を越えているファは命の危険すらある。

スス「貴様が企みもここまでじゃ!」

タカ「秘技…千斬」

背後をとった。ススとタカは持ち得るの最高の技・魔力を放つ体勢をとる。

No.360

>> 359 【番外編 過去の遠き日】

タカ「うおぉぉ」

剣撃が光の線となり、魔王を切り裂く。無数に繰り出された線光は巨大な一本の光となる。

魔王『……』

タカの渾身の技を受け、肉体が粉々となった魔王だが、邪悪な念の塊のようなその肉体は結合し始める。

スス「させぬ!木々の精霊よ!!」

移動魔法で魔王の背後に移動したススは木製の杖を魔王に突き刺す。

魔王『ぐぅ』

スス「滅せよ!邪悪なる者よ!」

杖は木が根を伸ばすように魔王に巻き付き、眩い光を放つ。更に魔王を取り囲むように森族の精霊3人が呪文を唱えている。

魔王『ぐおぉ』

『闇に戻れ闇の住民よ』

周りを取り囲む、精霊のうち逞しい身体の緑の精霊が言う。

『天はお前を地上に出すことを許されてはおらぬ』

赤い短髪の精霊が言う。

『消えよ』

唯一、女性の精霊がそう言うと淡い青色の光りとともに魔王は徐々に浄化されていく。

スス「儂の魔力は冥土の土産じゃもってけぇ…くっ」

己の器を大きく上回る魔力の消費をしたススは最後まで見守ることなく意識を失う。

No.361

>> 360 【番外編 過去の遠き日】

魔王『ふぬ。生温いの』

既に半分以上の身体を浄化されている魔王は倒れこんだススを指さす。当然、精霊は浄化魔法を更に唱える。

魔王『己の力(魔法)を失って…私と差し違えようとは』

半透明の精霊が魔力が乱れる。

魔王『たかが、精霊3人を呼ぶのがやっとで…私を倒せると本気で思っているのか』

魔王が天に手をかざす。すると魔王からは再び、邪悪な力が戻り、身体も完全に元通りになる。

『なんと…恐ろしい力…』

魔王『神の使いどもか…なにかはしらぬが…目障りだ消えよ』

魔王の魔力にかき消され、精霊たちは消える。

ファ「馬鹿な…」

魔王『貴様らの実力は分かった…暇つぶしにもなりはせんな』

魔王は倒れているススに手をかざす。

エア「聖なる槍よ!」

消滅魔法を唱える魔王を突き刺し、金色に輝く槍が出現する。

魔王『くらわぬな』

だが、なんらダメージを与えていない。

タカ「ちっ」

ススを抱え、魔法から逃れようとタカが駆けよる。だが、抱えたと同時に闇の魔法は放たれ、二人は吹き飛ばされてしまう。

トケイ「タカ殿!スス殿!」

ハーク「!!」

No.362

>> 361 【番外編 過去の遠き日】

『脆い生き物よ。人間は…』

魔法を浴び、傷だらけとなったススとタカはなんとか息はあるようだが、放置しておけば命が危ない。

エア「今すぐ!回復魔法を!」

出血の酷いススに駆け寄る。だが―――

『死を与えてやっておるのだ…邪魔するな』

邪悪な魔法は今度はエアを飲み込み、凄まじい爆発を起こす。

ハーク「エアさん!!」

『ははは。脆い脆いわ』

爆発の後に横たわるエアは白い腹は黒く焦げ、痛さに悶え苦しんでいる。

ファ「てめぇ!好きかってにしやがって!」

既に魔力を使い果たしているファは最後の力で立ち上がり、杖を魔王に向ける。その杖からは力は感じない。

『それほど死を望むか…いい選択だ』

ハーク「やっ止めろぉ~!!」

風玉の魔法を放つが、邪魔な魔力に遮られ、ハークでは魔王を止めることすら出来ない。

グサッ

『ぐっ?』

ファに向け、魔法を放とうとする魔王の背後から腹部に剣が突き刺さる。剣は銀色に輝きダンテスティン国の紋章が掘られている。

トケイ「油断したのが運の尽きだったな。魔王」

No.363

>> 362 【番外編 過去の遠き日】

『何をぬかす。たかが、剣を刺したぐらいで強きな奴よ』

トケイは剣を更に差し込む。

トケイ「そうだな。邪悪な念の塊。肉体を持たないお前なら剣を刺されるぐらいではなんともないだろうな」

『!?』

剣が刺さった魔王の腹部から赤い血が流れ出てくる。

『なぜ…血が…バカな』

トケイ「油断したのが運の尽きだといっただろう?この剣は《命》を吹き込む剣。ダンテスティン国の国宝だ。命(意思)を持ち、肉体を持たないお前にこの剣を刺せば…この通り肉体が…ぅ…くっ」

魔王は腕を剣に変形させトケイの腹部に刺し込む。

『お返しだ』

トケイは口から血を吐き、倒れ込む。腹部からは滝のように血が溢れていく。

『ぐっぐ…く』

魔王は腹部に刺さった剣を抜くと淡く輝く剣を半分に折り、投げ捨てる。

『まさか…こんな剣が存在するとは。再び、魔法老の作った憎き枷(かせ:肉体)を得てしまうとは……』

トケイ「ぐふぅ…貴様も終わりだ…っ……」

『勘違いするな。なにも肉体を得ようが…私の力は弱まらん』

No.364

>> 363 【番外編 過去の遠き日】

『消し飛べ』

魔王の手から魔力が放出され、トケイは黒い炎に包まれる。

ハーク「やめろぉ!やめろ!やめてくれぇ…」

その間もハークは必死に魔法を放つが、皆がやられ悪夢と化したこの場に混乱し、上手く魔王に向けて魔法が飛んでいかない。

トケイ「ぐぉお…君ならやれる…ぐあ…君なら…魔王…を…ぐあぁぁぁ」

『ふははは!消えろ!』

ハーク「止めろぉ…ぅ」

トケイ「頼んだ…ぞ……」












『さぁ…どうしてくれようか』

泣き崩れるハークに魔王はゆっくり近づいていく。闇はゆっくりゆっくりと―――

ハークを飲み込もうと近づく。











『ふふっ…死をやろうか?』

目の前に魔王がやってきてもハークは膝をつき泣き崩れていた。魔王は呪文を唱え始める。

ファ「俺を忘れてんじゃねぇ…よ!!」

『なに!!』

魔王が折った剣を拾いファは背後から斬りかかった。回避しようと魔王も動くが、剣は魔王を斬りさく。

『ぐおぉぉ』

血渋き上げ、狼狽える魔王に更に斬りかかるファだが、魔王の身体から出た無数の触手に身体を射ぬかれてしまう。

ファ「ここまで…か…よ…」

No.365

>> 364 【番外編 過去の遠き日】

ファ「ぐふ…がぁ」

触手に無数の穴を身体に空けられたファは力なく倒れてしまう。

『寄生虫に救われるとは…な』

触手は不気味に動き回ると魔王の肉体の中に戻っていった。

『で、お前はどう死にたい…ぅ!!』

ハークに目線を戻した魔王だが、いなくなっている。

ハーク「悪は滅びるものって本で読んだよ」

魔王の頭上から杖に鋭い風の刃をまとわたハークが降ってきた。

『消えよ!!』

魔王は魔法を頭上に放ち、ハークともども闇に飲み込む。

『決着が早くつき過ぎてしまったな…う?』

魔王は肉体の違和感を感じる。

ハーク「終わりだ…魔王…」

背後には膝をつき、息もたえだえのハークがいた。魔王の身体はゆっくりと二つに別れていく。

『小僧…泣いていた…のは…演技か…最後の…私が魔法を放った瞬間に…移動魔法を使って…背後に…か…くっ』

ハーク「お前の敗因はその力に溺れ油断から出た隙だ」

『死を死を死を…我が…力は絶対なり…』

魔王は倒れ、黒い炎に包まれていく。

ハーク「っ…早く皆に回復魔法を…」

立ち上がり、回復魔法を唱えようとした時―――

No.366

>> 365 【番外編 過去の遠き日】

『壮絶なる戦いが…遥か昔にあった…のだ』

ハーク「なっ!!」

燃え上がる魔王は立ち上がる。服は燃え、仮面は焼け落ち、その隠された身は表わになっていた。

『闇の勢力と光の勢力…どちらが神かを決める戦いだ…永き戦いだった…天は割れ、海は枯れた…そして…』

ハーク「顔が…」

なかった。

仮面の下には何もなかったのだ。

身体すらない。

ハーク「なんなんだ…お前は一体…」

目には捉えぬことが出来ない魔王だが、確実に奴はそこにいた。

『我らは戦いに敗れた…そう…我らをこのような身体になった…実態のない…だが、存在する者に』

異する者、肉体すら失い、だが、生にしがみつき生きようとする者。そこには人間が、生きようとするならなんでもする悪の部分が見えた気がした。

『私は…人間の心の闇…お前たちが持つ不の部分!!』

『お前たちが隠したがる邪悪な心よ!!』

ハーク「お前は…」

身の毛もよだつ、深い闇がハークを覆う。

『闇に心を預けよ』

ハーク「くっ」

思わぬ反撃に悪払いの魔法を唱え対抗するが、魔王の空間(闇の中)では思うように力を使えない。

No.367

>> 366 【番外編 過去の遠き日】

『力が欲しいか?』

ハーク「っ…」

目を開けているのを疑ってしまうほど暗い闇の中で、必死に魔王の誘惑から逃れようと呪文を唱える。

『闇からは逃げられぬ。さぁ…受け入れよ』

ハーク「くっ…」

重い重圧が、ハークにかかる。身体は冷たくなっていき身動きがとれなくなる。

『我が物になれ…』











ピカッ



ハーク「ぁ…」

闇の中に光が注ぐ。

『なにぃ…』

最初は弱かった光は徐々に強さを増し、闇を照らしていく。

ラブ「死にぞこないが、俺の弟子に手を出してんじゃねぇよ!!」

ハーク「師匠!!」

目映い光を放ち、闇を払ったのはラブであった。

『ぐうぅぅ…』

ラブはため息をつくとハークの胸に杖の先端についた水晶を当てる。

ハーク「師匠!助けに来て下さったんですね!」

ラブ「痛いと思うが…我慢しろよ」

ハーク「えっ?」

一瞬、身体に雷が落ちたと思うほどの衝撃と痛みが走り、ハークは激しく横転する。

ハーク「が…殺す気ですかぁ!」

ラブ「文句を言うな。アレを出してやったんだからな」

そう言いながらラブはハークの背後を指さす。

No.368

>> 367 【番外編 過去の遠き日】

後ろには闇の塊、暗い煙のようなモノが、立ち込めていた。アレが魔王の本来の姿なのだろうか。

ラブ「勝手にどっかに行ったと思ったら…こんな化物と戦ってたとはな」

ハーク「師匠…」

『邪魔をしよって!邪魔を…私の邪魔を…魔法老の使い者がぁ!』

ラブはハークに下がるように指示し、魔王に向かっていく。

ラブ「勘違いするなぁ俺はなぁ。魔法老が一番嫌いなんだよ。この杖(光魔法師の証である白杖)は好みなんだよ」

『ぐぅ…死ね!!』

闇は拡散し、ラブを襲う。

ラブ「あぁ。嫌なんだよな。こういう奴…」

ラブは聖なる光を放ち闇を浄化する。

『なぁ…貴様ぁ…』

ラブ「お前はろくに力も残ってない。そろそろ消えてもらうぜ。弟子、師匠(スス)にまで、傷つけた借りは高い」

『滅びはしない…滅びは…私は何度でも…蘇るのだ…』

ラブ「なら、何度でも倒してやるよ」

光は闇を完全に消しさり、ラブは頭を垂れ、ハークに近づく。

ラブ「お前は迷惑かけるのが好きだな」

ハーク「そっそんなことは…」

呆気なく魔王を倒したラブに困惑気味にハークは答える。

No.369

>> 368 【番外編 過去の遠き日】

ラブ「おや…空気読めない奴等が来たようだ…アイツらいつも終わった後に来るんだよ」

ハーク「え?」

入口の扉は大きな破壊音が上がり、粉々に吹き飛ぶ。同時に何人もの白装束に身を包んだ光魔法師たちが入ってくる。

マリーン「直ぐに傷ついた者に回復魔法を」

先頭をいくダークエルフの女性は手慣れた動きで、指揮をとり、続々と光魔法師たちが続く。

オジオン「我らの出番はないようだ。」

ラブ「魔法老の緊急徴集で遥々、ダンテスティン星まで、ご苦労さま…まぁ無駄足だけども」

暢気な声で、ラブは言うとハークの身体を無理矢理摘まみ、引き寄せる。

ハーク「なっ何するんですか」

ラブ「帰るぞ。あとはコイツらに任せたらいい」

ハーク「でっでも」

スス「傷ついた師匠を置いて帰ろうとするとは…とんでもない奴じゃ」

ラブ「げっ…もう回復しやがったのかよ」

ハーク「ススさん!良かった!助かったんですね!」

スス「まだまだ。死ねんわい。こんな馬鹿弟子残して、ろくろくあの世にもいけん」

ラブ「はぁ~だから…早く帰りたかったんだ…このじじぃは馬鹿しか言わないからな!」

No.370

>> 369 【番外編 過去の遠き日】

スス「なんじゃ。馬鹿を馬鹿と言って何が悪い」

ラブ「はぁ?誰が?馬鹿だと!!」

ハーク「二人とも止めて下さいよ…せっかく魔王を倒せたんですよ!喧嘩なんて!」

止めに入るハークだが、二人は唾を飛ばし凄い勢いで言い合っている。

ファ「ふっ…おいしいところだけ、もっていかれるとはな。けっ」

遠くからラブを見つめるファはそう言うと姿を消す。

オジオン「大丈夫か?エアよ?」

エア「ご心配おかけしました。マリーン殿の治癒のお陰で、この通りです」

オジオン「彼らに救われたな。お前から知らせを受け、光魔法師をかき集め、駆けつけたが…その必要もなかったようだ」

その後、ハークは1時間余り、ススとラブの喧嘩の仲裁をする羽目になった。やっと地上に出た時には全てが、光魔法師たちによって片付けられたあとであった。魔王軍と名乗る魔王に協力していた魔法使いたちは連行され、魔王がいた形跡は全て抹消されていた。

オジオン「君は全てを忘れなさい」

地の大賢者オジオンの最後の一言が、ひかかってはいる。なぜ魔王の存在を消したがるのか―――

No.371

>> 370 【番外編 過去の遠き日】

魔王界が、魔王の存在を消したがる理由―――

それは今のハークがいくら悩んでも分かることがない事だった。

今はそんな事を考えるより、この時を楽しもう。

ハークはお祭り騒ぎの城を歩いていた。

魔王討伐メンバーは英雄となっていた。

魔王のことは隠され、国の窮地から救った英雄とすっきりはしないが、英雄扱いは悪い気はしない。

トリ「お前さんならやりきると思ってたよ」

ニシ「今日は倒れるまで飲もう。祝いじゃ!祝いじゃ!」

セリス「皆さん。思う存分、宴を楽しんで下さい」

エリト王「私を救って下さり、貴方たちにはなんとお礼を言っていいか」

トリとニシは無事であった。光魔法師たちがやってきた時には数百の魔王軍は倒れていたと言うから二人の実力は底知れない。腐竜と戦ったゴウは片腕は失いはしたが、無事であった。《剣の賢者》から《片腕の賢者》と名を変えるんだと本人は意外に暢気なものだ。

ゴウ「また会えるとは…腐れ縁よな」

スス「お互いまだ歳恥じを重ねなければならんようじゃな」

No.372

>> 371 【番外編 過去の遠き日】

エリト王「実にいい日だ」

セリス「そうですね。王」

王はと言うと

魔王の魔力で、身体が蝕まれていたものの雷の大賢者マリーンの力で、回復し、今は王座に座り、ハークたちを讃えていた。

ラブ「うめぇ…山で食う飯とは格が違うぜぇ」

ハーク「師匠!みっともないから止めて下さいよぉ!」

宴に並ぶ、彩りどりの食事を勢いよく食い荒らすラブは最早誰にも止められなくなっている。











オジオン「終わったか」

マリーン「えぇ。地下の入口も魔法石で塞ぎましたわ」

城が宴一色に染まる中、魔法老の徴集で、集められた魔法使いたちは自分たちの仕事を済ますと早々と去っていく。

オジオン「風の大賢者を失ったのは大きな痛手となったが…魔王の所在を掴み、また消し去ることが出来たのは魔法界にとって、大きな利益をうむだろう」

マリーン「そうですね。でも…風の大賢者の後任はどうされるおつもりです?」

オジオン「運命は既に動き出しておる。運命が、大賢者を選ばれるだろう」

マリーン「??」

オジオンは必死にラブを止めているハークを一瞥し、姿を消す。

No.373

>> 372 【番外編 過去の遠き日】

宴は丸3日続いた。最終的には国で、パレードまでする羽目になったハークだが、満更、嫌でもなさそうであった。

エリト王「皆さん。どうか、国の繁栄のため、この城に使えてもらえないだろうか?」

王からハークたちを国の魔法使いとして、正式に雇いたいとの申し入れがあった。

スス・ニシ・トリ・ゴウ、4賢者は巧みな話術で、王の申し入れを断っていたが―――

ラブ「お前やれ…ヒッ」

ハーク「え!?」

酔っ払いのその一言で、ハークは国のお抱え魔法使いとして、働くことになった。

ラブ「んじゃ」

もちろんラブはその後、姿をくらまし、全てをハークに放り出したのだった。

No.374

>> 373 【番外編 過去の遠き日】

ハーク「師匠。どうしてるのかなぁ」

国の正式魔法使いになり、《風の賢者》の名称を貰ってからと言うもの、ハークは忙しい日々を送っていた。毎日、山ほどの仕事をこなし、見習い魔法使いの指導に明け暮れ―――

王と王妃の間に生まれたお子の世話係までこなした。


いつしか、《風の大賢者》と呼ばれるようになったが、ハーク本人は当時、大賢者になったと言う実感はなく。賢者として、名乗っていたと言う。

師匠(ラブ)とはあれから(宴)一度もあってはいない。

生きているのか―――

死んでいるのか―――

ハーク「まぁ…あの人なら世界の何処かでバカやってるか」

運命があるのなら

いつしか、また二人は巡り会うのかもしれない。











それが、最悪の形になろうとも―――










過去の遠き日《終》

No.375

>> 374 本編再開

マイナス「これでよし」

魔科具をとりつけ、タイマー作動を確認すると早々とその場から立ち去り、次に向かう。

マイナス「あと3箇所で、巨大戦艦キングの破壊が可能となる」

協会が出した命令内容はこうであった。ハークを含め一味の暗殺、主要任務は脅威となる巨大戦艦キングの破壊である。

マイナス「うっ!?」










①クリス「まちな!!」

マイナス「見つかりましたか…」

立ち去ろうとするマイナスを呼び止め、クリスは剣を構える。物陰にはプラスから奪ったレザーマップを手に持つ銀狼の女の子リーマもいる。

マイナス「おやおや。お綺麗な人だ。美人に呼び止められるとは普段は嬉しいんですが…今はそう喜ばしいことではないようです」

マイナスはプラスのレザーマップを視界に捉え、プラスがやられたことを知ると一層警戒を増し、クリスに向き合う。

①「爆弾の設置場所!はいてもらう!」

マイナス「時既に遅しですよ。爆弾のタイマーは動きだしています。あと5分もすれば爆発するでしょう」

先程、マイナスが柱に設置した爆弾のタイマーのカウントは5分を切り、着実と爆発(ゼロ)に近づいている。

No.376

>> 375 ⑭キック「5分もあれば十分だ」

マイナス「!?」

背後からキックが斬りかかる。

⑭「竜人一閃!!」

マイナス「ちっ」

線光となるほど早い剣撃を機械剣でなんとかガードする。キックは直ぐに体勢を立て直し、再び、剣を振る。

⑭「怒号烈波!!」

下から斬り上げる剣激はオーラを巻き上げ、マイナスの肩を捉えたが、最新の鎧に弾かれ、ダメージは与えられない。

マイナス「くっ…やりますね」

マイナスは反撃と言わんばかりに銀色の鎧についた多種多様の魔科具を手にとる。彼らのような銀色一色の鎧を身にまとい。魔科具と言われる科学と魔法の力を合わせた武器を使用する者を《魔科具使い》または《魔科(マカ)》と呼ぶ。協会の近世代戦士である。

ラ・ドル「させませんよぉ。彼女の前ではね」

杖の先端に水晶の代わりに頭蓋骨をつけた魔法使いがマイナスに杖を向ける。ラ・ドルが言う彼女というのはこの頭蓋骨らしい。

マイナス「なっなんです」

すると鎧についた魔科具は粉々に吹き飛ぶ。

No.377

>> 376 ⑭「貰ったぁ!!」

魔科具の爆発で、よろめいているマイナスの隙をつき、キックはオーラを竜剣に集める。

⑭「竜龍!!」

竜のごとし、オーラは生き物のように放たれマイナスに食らいつく。一段とオーラは強さを増し、最新の鎧すら耐えれないほどの破壊力をほこっている。

マイナス「があぁぁ」

鎧は無数の亀裂が入り、マイナスは倒れ込む。

⑪リオ「くらぇ」

すかさず、リオはプラスから頂戴した捕獲用魔科具をマイナスに投げる。

マイナス「これは…っ」

魔科具はワイヤーを出し、一瞬で、縛りあげ身動きを封じる。

①「ふ…出番がなかったか」

クリスは剣を鞘に収め、縛りあげられたマイナスの腹を掴み、無理矢理立たせる。

①「さぁ。電撃をくらいたくなかったら…爆弾の設置場所を言いな」

リオは魔科具のスイッチを高々と上げて見せている。

マイナス「っ…参りましたね。い…」

①「早くいいな!」

誤魔化そうするマイナスをひっぱたき、クリスは鋭い眼光で睨みつける。

マイナス「あ…ぁ…分かりました…命だけは助けてぇ」

完全にクリスの威圧に折れたマイナスは震えながらそう言う。

①「早くしろ!」

No.378

>> 377 マイナス「この…場所です…ひぃ」

鬼のごとくのクリスの問い詰めにマイナスは腕につけた機器を操作し、ディスプレイに表示された赤点が爆弾の設置位置だと言う。

①「よこしな!ったく…手間をとらせて!」

マップを奪いとるとリーマに手渡す。

リーマ「……」

リオ「はいよっと!もう用なしだねっ!」

マイナス「えっ…ちょっ…ぅげぇ」

リオは無邪気な笑顔でスイッチを押す。マイナスは電撃を受け、気絶した。

①「どう?」

リーマ「多過ぎます。今からじゃ…全ての爆弾を止めれないです」

①「そんな…」

爆弾のタイマーは3分を切っている。マップの赤点は数十個あり、到底、あと3分では無理だ。

⑭「とにかく!被害を最小限にするためにも一つでも多く止めるんだ!」

ラ・ドル「ですね。彼女も生きていればそう言うでしょう」

柱に設置された爆弾はラ・ドルの魔法で無力化される。

リオ「ラ・ドル!魔法でどうにか出来ないの!もう時間が…」

悩んでいる内にも時間は2分を切ろうとしている。

2:15

No.379

>> 378 ラ・ドル「魔法使いがなんでも出来るとは思わないで下さいよ…私でも行ったことない場所の爆弾を破壊するのは無理ですよ」

2:00

リオ「そんな…」

⑭「とにかく!早く案内してくれ!」

リーマ「はっ…はい」

1:55

①「ちっ」

『我、空想の産物なり、実態はなく霧のように立ち込める』

⑭「なんだ!?」

突然、霧が発生し視界が奪われる。

ラ・ドル「これは」

霧は濃くなり、1m先も見えなくなる。

『我!霧の中の生人なり!』

濃い霧はなかったかのように一瞬で消えてしまう。

スモッグ「喜べ…手を貸してやろう」

霧が晴れるとスモッグが立っていた。一人ではない20人以上のスモッグがいるではないか―――

⑭「霧の賢者殿」

スモッグ「そこの子供!見せろ!」

リーマ「ぇ…ぁ」

リーマから半ば無理矢理、マップを受け取る。

ラ・ドル「おい…早くしろよ…彼女はいらついてるんだ。時間ももうないぞ」

0:58

既に爆発まで、1分もない。

スモッグ「だまれ…我に不可能はない」

No.380

>> 379 リオ「これだけ同じ人がいるとなんだか不気味だよね」

①「しー!!黙ってなさい」

20以上のスモッグは不気味に薄ら笑いをうがべている。

スモッグ「では…同胞たち行くとしよう」

0:32

⑭「時間がない」

次々にスモッグは煙のように消え、同時にマップに示された赤点の数が次々に減っていく。

リーマ「あと10個」

0:15

⑭「ゴクッ…あと8個」

0:12

①「5個」

0:08

⑭「間に合うのか!!」

タイマーは刻々と時を刻んていく。

0:05

0:04

0:03

0:02

0:01

No.381

>> 380 「我に不可能などない」

地から響くような声とともにスモッグは再び、クリスたちの前に現れる。

爆弾のタイマーは

0:01

のカウントのまま停止している。

⑭キック「流石だ。あの少ない時間に爆弾を破壊するとは」

ラ・ドル「まっ…私ほどではありませんが…まっ…彼女も褒めていますよ」

スモッグ「お前たちの礼などいらぬ。ではな…ふん」

見下すようにクリスたちを見渡すと煙のように姿を消す。

①「確かに性格はアレだけど…頼もしいわ」

⑭「だな。私はさっきの《魔科(魔科具使い)》のところに戻る。こいつらをネタに協力の連合軍との繋がりを全世界に認めさせてやる」

気絶したマイナスをキックは抱える。

①「私たちは残りの暗殺者たちを!」

リーマ「はい」

クリスはリーマを連れ、プラスから奪ったマップ片手に走っていく。

ラ・ドル「では、我らも行きましょう」

⑪リオ「了解」

マイナスのマップを持つリオとラ・ドルはクリスたちとは別方向に向かう。

No.382

>> 381 シュゥゥゥ

数秒前、セロはゼロ(協力からの刺客、魔科使い)が振り下ろした機械剣から目をそらした。

⑤セロ「ぐぅ…」

ゆっくりと目を開けたセロは身体に走る激痛に悶えながら、目の前に倒れている魔科(魔科具使い)を見つめる。

⑤「俺がやったのか…くっ」

腕に刺さった機械剣を一瞥し、ため息をつく。目の前に仰向けに倒れている魔科の鎧にはた大きな穴が空き動く気配はない。手に握られた二丁の黄金銃の銃口から微かに煙が、出ている。おそらく無我夢中に引金を引いた時に魔法弾が出たのだろう。

⑤「やべぇな…っ」

協力の最新の鎧すら一撃で、風穴をあけるとはただの魔法銃ではないようだ。

⑤「ぐ…威力に関心してる場合じゃ…ねぇか…くそ」

剣が刺さった部分からは血が勢いよく流れ出ている。早く止血しないと命が、危ない。だが、剣により、壁に串刺し状態のセロは身動きがとれない。

⑤「ふっ…俺にしちゃ…上出来な死に様だな…くっ」

深く息を吸うと目を静かに閉じる。
















手に握られた黄金銃は

血がかかり

より一層

輝きを

増していた。

No.383

>> 382 ⑤「……」

セロ









⑤「ぅ……」

セロ







⑤「ぅう…」

セロ!!

⑤「う…っ」








デビル「セロってば!生きてるかい!」

⑤「っ…デビルぅかぁ…く」

意識が、もうろうとする中、セロはまぶたを半分程度開ける。

デビル「派手に刺されたね!」

毛を伸ばし、傷口を押さえつけるが、血は止まらない。

デビル「止まらないなぁ」

腕を縛り、止血はどうにか出来たものの、セロの顔色は悪い。相当量の血を失ったようだ。

⑤「はぁ…だんだん…目が、かすんできやがった…っ」

デビル「セロ!眠るなよ!目瞑っちゃだめ!」

虚ろな目で、必死に手当をするデビルを見て、セロは微笑む。

⑤「俺もう…だめだわ…お前(デビル)が天使に見えてきた…はは…く」

デビル「頑張れってば!直ぐにハーク呼んでくるからさ!」

ハークの元にいこうとするデビルをセロは自由のきく右腕で、押さえる。その顔は既に覚悟を決めた男の顔だ。

⑤「無駄だよ…もう…」

デビル「セロぉ~!」

No.384

>> 383 デビル「セロ!セロってば!」

⑤「ふ……」

既にデビルの声は耳には入ってこなかった。

意識は薄れ

クリスとの思い出が、走馬灯として蘇る。

そして、目は自然と閉じていった。












⑤「ぇ?…アレ?」




死んだ



⑤「え?」


死んだと思った。


だが、突然、身体中に力がみなぎる。傷は塞がり、みるみる精気が戻っていく。

この感じ―――

この感じは魔法のような魔力を得た―――

そんな感じだ。

⑤「治った…ハーク様が?」

今まで、死にかけていたとは思えないほど軽快に立ち上がると辺りを見渡す。だが、飛び跳ねるデビル以外は誰もいない。ハークの力ではないようだ。

デビル「やったぁ!やったぁ!治った!治った!」

⑤「おい…ど…どうやって」

珍獣族の王であるデビルは回復魔法を使えたのか、いや、魔法は使えないはずだが―――

デビル「へへぇ。俺っちの心臓移しちゃたぁ~!」

⑤「へぇ?」

心臓移し!?

突拍子のない発言にセロはデビルの言葉を頭の中で、なぞる。

No.385

>> 384 ⑤「な…なにしたって?」

セロは自分の身体に確かめように手で触る。

⑤「なっ」

違和感がある。左肩に脈打つ物が―――

デビル「そう。それ俺っちの心臓ね。お礼はまた今度払ってもらうかんね」

ま・さ・か

⑤「マジかよ…」

左肩を押さえる。確かに心臓が肩にある。肩に心臓が、しかも、デビルの心臓!?

⑤「お…お前、大丈夫なのかよ」

ってか、俺は大丈夫なのかよ

デビル「うん。魔族だしね…心臓を他に移すなんて、なんてことないよ」

恐るべし魔族―――

⑤「俺は…どっどうなったんだぁ」

胸に手を当てると心臓は確りと動いている。

デビル「死んでないよ。ただ、放っておいたら死んでたけど…でも死ぬ前に俺っちの心臓は移植して、補助役として、セロの助けたんだ。魔族なら多少の傷も塞がるしね」

⑤「魔族って…俺が?」

デビル「そう。俺っちとセロは一心同体って奴になったわけ。つまり、セロが死ねば俺っちは死ぬ…セロも魔族だし、寿命は千年、年もとらないことになるね」

⑤「そっ…おい!戻せよ!戻せ!お前と運命共同体になるなんて!ごめんだぞ!」

No.386

>> 385 デビル「無茶言うなよぉ…俺っちだって、こんなことしたくなかったけど。セロ。死にそうだったし」

⑤「そりゃそうだけど…戻せるんだろ!?」

デビルを捕まえ、大きく揺する。

デビル「戻せなくないけど…俺っちの心臓とった時点で…ぽくりあの世って可能性もあるよ?それでもいいの?」

⑤「ぅ。そんなぁ…」

デビルは笑顔で、そう答えるとセロの手から逃れ走っていく。

⑤「まっ待てて!」

デビル「それに魔族になったって、あんまり変わらないさぁ…ひひひ」












⑤「まぁ…死なないよりましか」

セロは走りながら二つ心臓が鼓動するのを感じながら生きている嬉しさに浸っていた。


















⑱ドグロ「ららら…ら~らら」

不気味な唄を口ずさみ、宇宙海賊トップのドグロは巨大戦艦キングだったころは操縦室として使われていた部屋にいた。

広い部屋には中央の椅子と青い球体以外は何もなく殺風景で、傍らには世界の指導者、地の大賢者オジオンもいる。

オジオン「動かす気か…ドグロよ」

⑱「まさか…キングは隠居の身だぜ」

青い球体をさすり、ドグロは寂しそうに言う。

No.387

>> 386 オジオン「隠居の身にしたのはお主じゃろう」

ドグロ「何がいいたい…」

中央に位置する青い球はキング内部を映していた。暗殺者集団が、クリスたち・銀狼の活躍で、鎮静化し、そのほとんどが、拘束されている。

オジオン「500年前の事をまだ…引きずっておるのだろう」

500年前、そう、巨大戦艦キングが、黒の惑星に降り立った年である。

ドグロ「……」

色眼鏡を外し、丁寧にケースにしまい胸ポケットに入れると悲しそうな目で、天井を見やげる。

オジオン「世界のために…戦う時が来たのだ。ドグロよ」

天井には銀髪の女、つまりは銀狼の美女が、描かれていた。ドグロにとって、かけがえのない人、しかし、500年前、亡き人となってしまった。

オジオン「この地、今、キングがいるこの場が、彼女の死に場所…いつまでも彼女の墓として、キングを置くのは止めにしないか」

オジオンも天井の彼女を見つめる。美しい。誰よりも華麗な女を―――

ドグロ「俺様は…」

No.388

>> 387 その頃、赤の小惑星の銀狼で幼なじみの医者アイシスに雷の大賢者マリーンを託した凱はクリス等が居る黒の小惑星にシャドーmkⅢをコスモワープさせ到着していた。

ザクッザクッ
⑦「暗殺者たちが、だいぶん減っているな…だが、宇宙海賊の銀狼たちもやられたみてぇだな。」

凱は辺りを見回しながらクリス等を捜した。


バシュバシュ
「ふひ~ッ!コイツ独りだ。死ね~ッ!!」
暗殺者たち数人が凱に一斉に襲いかかった。

チャキ
⑦「サラムよ!炎を宿せ!」
ゴオッ
凱は黒魔剣を背中から抜き迎え撃った。

⑦「三重残像剣…」

「なんだ、三人になったぞ!?」

「構わないから、首とるぞ。」

ガキガキッ

「ぐぎっ」
「うごぁ」

ズシャシャッ

暗殺者たち数人は何が起こったか分からないうちに素早く凱に斬られ地面に突っ伏していた。

チンッ
⑦「チッ…早く、みんなと合流した方がいいな…」

凱は背中の鞘に剣を戻すと先を急いだ。

No.389

>> 388 ドグロ「俺様にとって…アイツが全てだったのだ!」

鋭い牙をむき出しにし、大きな素振りで、手を掲げる。

ドグロ「アイツが死に…俺様も死んだ…半永久になったキングとともに永遠とルーラを守る。それが…俺様の役目なのだ」

500年前、ドグロは不運にも天井に描かれた美女、ルーラを失った。そして、自らを人柱とし、巨大戦艦キングに命を与え、永遠にルーラの死に場所であるこの場に居座ることに決めたのだ。そう。彼女を忘れられないために―――

ドグロは失ってもなおルーラから離れられなかったのだ。

オジオン「ルーラはお前にここに居てもらうのを望んではおらぬ。昔のように宇宙を駆けるお前に戻って欲しがっておるに違いないぞ」

ドグロ「だまれぇ!!貴様に何がわかる!」

オジオン「……」

オジオンはそれ以上なにも言わず、ただドグロを見つめた後、静かに姿を消す。
















『ウオオオォォオッ!!』

ドグロは狼人間となり、凄まじい雄叫びを上げると崩れ落ちるように床に座った。

No.390

>> 389 暗殺者集団の騒ぎにより、混乱しているキングから飛び立とうとす戦闘機があった。

協会員「さぁ。撤収ですよ」

最新鋭の戦闘機に乗り込む協会員の腹には協会のマークである赤い十字架が刻まれている。



ザッザッ





ミスチル「まて…逃がさんぞ」

銀狼「包囲しろぉ!!」

「はっ。いけいけいけ!」

宇宙船置き場にミスチルを含む、武装した銀狼が雪崩れ込んでくる。

協会員「計算よりも早くに来ましたね」

協会員「流石は銀狼っといったところか」

戦闘機を囲まれても冷静さを失わず、協会員たちは暢気に話す。

ミスチル「協会側は我らを裏切ったようだな。貴様らはただで返すわけにはいかん」

協会員「ふふ。裏切った?勘違いするな。協会はお前たち獣と手を組んだ覚えなどないわ!!」

協会員の一人が、レザー銃をミスチルに向ける。だが、引金を引く前にその協会員の頭が吹き飛ぶ。銀狼兵の狙撃を受けたのだ。

ミスチル「大人しくしろ。お前たち程度など簡単に鎮圧出来るんだ」

協会員「ふっ…我らは協会の意思のまま動くだけ」

No.391

>> 390 『我ら協会の意のままに!!』

協会員たちは口を揃えてそう言うと戦闘機は爆発する。

ドカアァァァン











ミスチル「くっ…自爆するとは」

爆風から目を庇い、ミスチルは飛び散った戦闘機の残骸の一つを拾い無表情で見つめ投げ捨てる。

No.392

>> 391 ドゴオオォン…
⑦「何だあの爆発は!?」
凱が歩いている少し先で戦闘機らしきものが爆発するのが見えた。

⑦「行ってみるか…」
ザシュ
地面を蹴り暗殺者や銀狼たちの死体を避けながら隙間をジャンプして行く。


ミスチル「んっ!? 何か、こっちに向かって来るな…者ども戦闘態勢をとれ!!」
銀狼たちはミスチルの号令で構えをとった。

バシュー
バシュー
黒い影が物凄いスピードで向かって来た。

⑦「おっと、待った待った!俺様だ!凱だ!!」
銀狼たちの攻撃態勢に気が付いた凱は慌てて叫んだ。

ミスチル「大丈夫でしたか?」

⑦「ああ、何とかな…で、さっきの爆発は、いったい…」

ミスチル「協会の戦闘機ですよ。」

⑦「チッ、やっぱり連合軍と連んでやがったか。アイシスの言ったのはガセじゃ無かったみてぇだな。」
ゲシッ
カランカラン…
足元の残骸を凱は蹴飛ばした。

⑦「ミスチル、クリスたちは何処だ。」
凱は辺りを見回した。

No.393

>> 392 ミスチル「36ブロック付近に居られると思います」

地下に埋まったキングは50ブロックに区分けされており、凱がいる場所、つまりはキングの上部の地上部分は1ブロックである。


⑦凱「よし!いくぞ」

ミスチル「はっ…は」














②「皆、無事じゃったか?」

①「えぇ。どうにか」

⑭「ハーク殿もご無事でなによりです」

クリスたちは銀狼の女・子供が集まり、避難所となっている36ブロックにいた。戦艦だったころは砲弾庫として、使用されていたシェルターである。現在も昔の名残があり、古びた砲弾が置かれている。

⑪リオ「リーマ。大丈夫?」

小刻みに震えているリーマに優しく話しかける。

リーマ「はッはい。また…暗殺がいるような気がして…」

⑪「大丈夫!誰がきようが!僕がやっけちゃうからさぁ!」

胸を叩く。勢いよく叩き過ぎて、むせるリオを見て、リーマは笑顔を見せた。どうやら、不安を少しは取り除けたようだとリオも笑顔で返す。

No.394

>> 393 ⑤セロ「リオの奴も隅に置けないねぇ」

遠くから二人のやり取りを見守っていたセロは避難しにきた銀狼の中に混じり、座っていた。左腕で新たな心臓(右肩)を押さえている。

デビル「ムシャムシャ…うまいうまい」

横には避難所に運ばれてきた配給食・52人分を平らげ、53人分に手を出そうとするデビルがいる。

⑤「ったく…こんな奴と運命共同体なんて…はぁ」











ラ・ドル「一段落ってとこかな」

スモッグ「ふん。これからが…本番。宇宙には連合軍・政府軍の艦隊が直ぐそこまで迫ってるんだ。死ぬ準備でもしとくといいぞ」

ラ・ドル「お前と違って、私は師匠(ハーク)のためなら命など惜しくはない。師匠と共に戦って死ぬなら本望だよ」

スモッグ「ふん…綺麗事を…」

ラ・ドルは強い眼差しでハークを見つめる。そんなラ・ドルに呆れ、スモッグは煙と化し姿を消した。










③セレナ「皆、無事で良かったわ」

⑭「えぇ。協会までもが敵だったとは…さらに厄介なことになりそうです」

No.395

>> 394 銀狼兵「お待ちを…しょ」

兵「あっ…」

激しい音が鳴り、閉ざされたシェルターの扉が開く。シェルター内の人々は動揺し、視線は開く扉に集中する。

レッガ『があ!ってめぇたちだな!客人ってのは!』

普通の銀狼の二倍以上はあろうかという巨体の銀狼の男が入ってくる。男は真っ直ぐクリスたちの方に歩いてくる。

⑭「なんだ!貴様は!」

③セレナ「キック!止めて」

竜剣に手をかけるキックをセレナは止めると向かってくる男に自ら近づいていく。クリスも男に近づく。

レッガ『客人!俺は宇宙海賊!戦闘隊長のレッガだ!敵襲との知らせを受け、待機してた宇宙から戻ってきた!』

雄叫びにも似た勢いのある喋り方で、体格差が余りにもあるクリスとセレナに叫ぶ。放つ言葉の風圧で、二人は飛ばされてしまいそうだ。

レッガ『まず…客人よ。言いたいことがある』

レッガは腰に付けた大剣を抜き、獣のような鋭い牙を見せる。

①「やるつもり?なのかしら?」

レッガが持つ大剣と比べれば余りにもか弱い剣を抜き、クリスは挑発的に言う。その態度に拍子抜けたようにレッガは肩を垂らす。

レッガ『がははは…変わった女だ』

No.396

>> 395 レッガ「気に入ったよ。姉ちゃん!がっはっはっ」
クリスの肩をバンバンと叩くと奥に歩いて行った。

①「はぁ~ッ 何なんだ、アイツは…」
チン
溜め息を付くと鞘に剣を納めた。

⑭「疲れるやつだ…」
キックも同様に溜め息を付いた。

③「あっちもね…」
セレナが指差す方を皆が見る。

カチャカチャ
デビル「んぐんぐ、ジュース追加ね。」
そんなのはお構い無しにデビルは54皿目を平らげていた。

のっしのっし
レッガが酒樽を抱え戻って来た。

ドガッ
レッガ「一緒に戦う仲間だ!飲もうぜ!!おらよっ」
酒樽から木のコップに並々と注ぐと皆に手渡した。

クリスとキック、セレナは呆気にとられコップを受け取った。

⑪「僕は遠慮しとくよ。」
レッガ「んなこと言わねぇで飲めよ。」
リオは手をブンブン振ると代わりにキックがコップを飲み干した。
レッガ「いけるねぇ」
⑭「フン…」

⑤「この右肩で脈打ってるのがデビルの心臓何だから、いきなり止まるってこと無いよな…」
少し離れて座っているセロは、みんなの近くに座ると気が気で無く一気に飲み干した。
バンッ
⑦「捜したぜ!おめぇ等…」
そこへ、息をきらしながら凱が現れた。

No.397

>> 396 宇宙の何処かに

暗殺者・傭兵などの裏社会の人間をまとめる組織、通称《協会》の本部はある。

しかし、実際、協会員が帰る場所は不明であり、本部自体も別次元の空間にあるとまで言われる謎の組織、それが、《協会》だ。

赤い縦長の十字架を背負った協会員はまるで、未来の住民かのように逸している。

協会の歴史はドイスにより、フラク星雲が支配され連合軍の旗が掲げられた頃と同時期に《協会の活動》は始まった。

派閥争いで、荒れ狂う裏社会を絶対的な力で鎮静化し、ルール無用の裏社会を秩序の名の元にその手の内にいれたのだ。

《協会》を通さねば仕事は出来ない。もし、協会を通さず行動するようなら協会にコントロールされた裏社会の人間から報復を受けるだろう。

そう

協会は裏社会では絶対なのだ。











協会の最新鋭の戦闘機が規則正しく並ぶ巨大宇宙船発着場に一隻の戦闘機が降り立つ。

協会員「G(ギガ)クラス。プラス様。お帰りになさいませ…早速ですが、T(テラ)クラス。グレー様がお呼びです」

プラス「分かってる。どけ!!」

戦闘機から降りてきたのは死闘の末、逃げ帰ってきたプラスであった。

No.398

>> 397 出迎えに来たh(ヘクト)クラスである協会員を投げ払らい協会本部である巨大な球体状の建物に向かう。










「よくきたな」

Tクラス:グレーはプラスを見るなり、眉間にしわを寄せそう言った。

プラス「……」

グレー「Gクラス二人(プラス・マイナス)にM(メガ)クラス一人(ゼロ)の三人がかりで…任務失敗とはな」

失態を犯したプラスに冷たい視線を送る。

プラス「で…ですが。最初からこの作戦には無理があった」

グレー「言い訳はいい。私はキング爆破の命令を言い渡したのだ。ハークを殺れとは言ってはいない…まさか、宇宙船一つも潰せないとはな」

グレーは銀色の鎧に数多く装備した魔科具の一つを手にとり、握り潰す。まるで、自分なら簡単にこなせると言いたげだ。

プラス「ハーク以外にも強敵がいたんです…Gクラス程度の力の者が多数いました」

グレー「この連中かね?」

クラスたちの顔写真とともに書類を無造作に投げる。

グレー「ダンテスティン国王女セレナ戦闘レベルK(キロ)クラス。世界最強の剣豪の雷の妹クリスはGクラス。竜王の子キックはGクラス…」

No.399

>> 398 更にグレーは続ける

グレー「賞金稼ぎの凱Gクラス…錬金術の見習いリオ、Kクラス…珍獣族の王デビル、Mクラス…銃使いのセロ、hクラス…ふん」

プラス「なっ…なぜ?情報を知っていて俺たちに知らせないんです…」

グレー「やれやれ…敵とやりなえとは言っておらん。やり合わない以上、情報も必要あるまい…キング爆破のため、総勢数百の暗殺者を使わせてやったのに…無駄なことをして失敗するとは」

グレーはゆっくりと

しかし

確実に鎧の魔科具に手を伸ばす。もちろん、プラスは素早く反応し、機械剣を抜く。

グレー「失敗した者はゴミだ…廃棄せねばならん。協会の意のままに…」

プラス「くっ…くそぉ!!」












「お呼びですか」

グレー「あぁ。部屋にゴミができた。掃除してくれ…」

「はっ…」

《物》と化した《ソレ》をグレーは興味など全くないような冷たい目で見つめ、静かに部屋を出る。

グレー「協会の意のままに…ふッふふ」

No.400

>> 399 ②「凱か…無事じゃったか」

⑦凱「おうよ。俺様にかぎって、あの程度の輩にはやられねぇよ」

③「凱。マリーン様は?一緒じゃないの?」

⑦「あぁ。マリーンは色々あって…赤の惑星で、アイシスの治療を受けててな」

⑤「えっ治療を!?大丈夫なのかよ?」

⑦「大丈夫。心配いらねぇよ…」

心配いらねぇ…心配は

何があったかはそれ以上聞く者はいなかった。なにより、アイシスに任せておけば安心だろう。

⑭「さぁ。全員揃ったことだし、ここに居ても仕方ないだろう」


①「そうね。でも…どうするの」

避難所には銀狼の兵士が集まり、既に敵もいなくなっている現状ではここにいる必要もなくなっている。

ミスチル「凱様…お早いですね…はぁはぁ」

凱に遅れて、ミスチルがやってきた。息は上がり、汗だくである。

⑦「まだまだ…だな」

ミスチル「はぁ…精進します」

汗を拭きとり、冷静さを取り戻すと

リオと酒を交わすレッガを見つける。


ミスチル「レッガ隊長!?こんな所で何をしておられる…」

レッガ「おう。ミスチル。騒ぎを聞いて前線からコスモワープですっとんできたんだ」

  • << 401 ミスチル「ここは私が守っております!連合軍は直ぐそこまで迫ってきてるんですよ!隊長が前線から離れるなんて!」 ミスチルがドグロの右腕ならばレッガは左腕だ。頭を使う仕事はミスチルが、力を使う仕事はレッガの担当である。 レッガ「安心しろぃ。連合軍が宇宙海賊の前線部隊と交えるのはあと3時間程度あるからよ」 3時間程度ある?しかの間違いだろう。 ミスチル「とにかく!早く戻って戴こう!暗殺者は完全に排除したのでね!」 レッガ「はいはい。分かった。じゃな」 重い腰を上げ、人一人程度の大きな酒ダルを持ち、歩いていく。 ⑦「しゃあ!俺も前線に出るかな!」 ⑭「なら俺も宇宙に出よう。敵を待つのは好かんからな」 ②「お主らだけが、危険を冒さすのはの。儂もいこう」 レッガは「好きだぜ無謀な奴は」と言いたげに大きな声で吠える。 ①「私もい…」 着いてこようとするクリスにハークは小声で耳打ちする。 ②『クリスよ。前線は儂らに任せて…姫たちを任せて構わんかのぅ』 ①「は…はい」 ハークの頼みにクリスは渋々返事をする。
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