胎盤剥離での出産
胎盤剥離で緊急帝王切開、男児を出産しました。
仮名タクです。
新生児仮死だった為、障害の疑いがあります。
こちらには、主人にも親にも言えない気持ちを吐き出していくつもりです。
子供と向き合う為に気持ちの整理をつける意味での日記です。愚痴では済まないような、毒のある内容になってしまうかもしれません。
不愉快に思われる方もいるかと思います。
生々しい、感情的な表現になってしまいますので、読まずに、ここで引き返してください。
勝手ですが、ご了承いただける方だけ目を通してください。
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現在進行形の為、更新はゆっくりになります。
1日目
妊娠35週、里帰り中の出来事だった。
朝から、何となくお腹の張りが強いような気がしたが、痛みはないので気にしてなかった。
昼食を食べた辺りから、張りが治まらなくなった。
以前から、張りはあったので病院から張り止めの薬を処方されていた。
張り止めを飲んで横になったが、1時間たっても張りが治まらない。
激痛とは言えない、何となく痛いような…という感じの鈍感が出始めていた。
1時間も張りが治まらないのはおかしい。病院に行こう。
とりあえずトイレにいってから…。
オシッコをしたら何かサラサラした物が流れた気がした。
えっ?と思って見ると、薄く出血していた。
慌ててナプキンを当て、リビングにいた母を呼んだ。
すぐに病院に電話をし、母の運転する車で向かった。
「予定日より1ヶ月も早いね。赤ちゃん小さいのに大丈夫かな?」と母。
「わかんないけど、とりあえず里帰りしてて良かった。お母さんいるし」と私。
出血に驚いたが、破水かもと思っていた私も母も、割と楽天的に構えていた。
まっすぐ産科に向かい、採尿するように言われた。
トイレに入って紙コップをあてがうと血がたくさん出てきた。
さすがにおかしいと不安を感じながらトイレを出ると、血がたくさん入った紙コップを見た看護師が慌てて「すぐに検査するからこっちに!」と腕を引っ張られ、内診室に入った。
下着を脱いで内診台に上がると同時に、ドロッと大量に出血した。
「キャスター持ってきて!手の空いてる人呼んで!早く!」
看護師が怒鳴っている。
「あいさん、歩かないで!今台に乗ってもらうから、じっとして!」
内診台から降りて一歩踏み出したら怒鳴られた。
服を脱いでキャスターに乗せられ、体に大きなタオルをかけられ、診察室まで運ばれた。
いつの間にか産科の先生が来ていた。
厳しい顔でお腹に機械を当て、赤ちゃんの心音を探っているが、なかなか見つからない。
ドッ…ドッ…ドッ…
辛うじて心音を拾えた。
普段の診察時に聞く音とは全く違う、小さく弱い心音。
「あいさん、貴女は胎盤剥離を起こしている。わかるかい?今ね、赤ちゃん凄く苦しくなってるから、すぐに緊急帝王切開するから。いいね?」
私は急展開に怖くなりながら、頷くしかなかった。
気づけば、私の周りにはたくさんの看護師や麻酔医など人だらけになっていた。
次々に、これからの処置の説明や食事した時間など、聞かされたり聞かれたりした。
バタバタと手術の準備が進んでいく。
あれ…?
急激に脱力感が襲ってきた。フワフワと変な感覚。グルグルめまいがしてきた。
気持ち悪い。吐きそう。
「大丈夫!?体勢を横にして!」
大量出血した為、貧血が起きていたらしい。体を横向きにして、顔の近くに吐いてもいいようにビニール袋があてがわれた。
キャスターに乗せられたまま手術室まで運ばれる。
気持ち悪いと思いながら目を閉じていたが、何となく意識はハッキリしていた。
目を開けると、急ぎ足でキャスターについてくる母が見えた。こわばった顔。
破水しただけでお産になると思っていたのだから、様子の変わった娘を見て母も怖かっただろう。
手術室で酸素マスク(?)をつけられた。
「苦しいだろうけど、大きく深呼吸して。赤ちゃんに酸素を送ってあげようね。ゆっくり大きく。全身麻酔で帝王切開するからね」
言われるまま、大きく深呼吸を繰り返した。
一体どうなっちゃうんだろう…?
覚えているのはこの辺まで。
名前を呼ばれて目覚めたのは、手術室から個室へ運ばれる途中だった。
「子供のことは、娘は知ってるんですか?」
麻酔が残るボンヤリした意識の中で母の声が聞こえた。
…子供?
赤ちゃんのこと?
何かあったの?
…ダメだったの?
そう思いながら、また意識が遠のいた。
次に目覚めた時には、個室で寝ていた。
体には、何やらたくさんの点滴や管やらがついていて、力が全然入らない。
お腹が痛い。そういえば帝王切開したんだっけ。
「起きたか。大丈夫か?」
部屋には母と父がいた。
頷いて時間を聞くと、既に夜中だった。
「赤ちゃん、NICUに入ったよ」母が言った。
…ああ、予定日より早いから小さいし、未熟児だもんね。
「大変だったから疲れてるでしょ。寝なさい。ヒロさんもあとから来るって言ってたよ」
ヒロは夫だ。
予定外で驚いただろうな。
とりあえず赤ちゃんは無事なんだ。
そう思って、また眠った。
次に目覚めた時には主人もいた。
「ビックリしたでしょ?」
麻酔のせいか話しづらかったけれど、主人は優しく頷いていた。
「無事済んで良かったな。明日また来るから、今日はゆっくり寝たらいいよ」
ベッドから両親と主人を見送って、また眠った。
2日~4日目
自分で思ってるよりも大手術だったらしく、最初の2日間は全く身動きが取れなかった。まさに介護状態。
3日目から急激に体が回復し始め、4日目には歩き回れるようになった。
医者も回復の早さに驚いていたようだ。
実は、母子共にかなり危険な状態で死んでいたかもしれないと後から聞かされた。
胎盤剥離に関する知識は皆無と言って良いぐらい無かったが、母子共に死亡のケースもあると知って改めて怖くなった。
5日目
私の体調が回復した為、初めて赤ちゃんに会えることになった。
赤ちゃんは、1800gの未熟な状態な為、脳が活性化すると何らかの悪影響があるかもしれない。
その為、今は薬で眠らせている。主人から、そう聞かされていた。
眠っている状態でも、やっと赤ちゃんに会える。
全身麻酔で帝王切開。気付いた時にはお腹には赤ちゃんがいなくなっていた。正直、出産したという感覚も母親になったという自覚も全くなかった。
だから、眠っていても赤ちゃんに会えば母性が目覚め実感が湧くかもと期待してもいた。
主人から聞かされた話はもう1つ。
赤ちゃんはお腹から取り出された時、心肺停止状態だった。
蘇生はしたが、今後何らかの影響はあるかもしれない。
そこまで聞かされてはいたが、あまり深刻には捉えていなかった。
きっと大丈夫。
何故か根拠のない確信を持っていた。
主人、母と一緒にNICUに入った。
居た。
箱の中に管だらけで眠る赤ちゃん。
聞かされていたよりもずっと大きく見える。
胸に込み上げるものがあり、涙が出た。
「タク、やっと会えたね。お母さんだよ」
主人がつけた名前で呼び掛けたが、何の反応も示さず眠り続ける赤ちゃん。もう少し大きくなったら薬も切れて、目を開けて大きな泣き声をあげるんだろうな。
泣きながらタクを撫で続けた。
少し離れた所で主人と先生が話をしていたが、主人が戻ってきた。
「まだ話してなかったことがあるんだけど…」
主人の言葉に不安になった。
それはタクについて。
心肺停止から蘇生は早かったが、脳に対する影響が思っている以上に深刻だということ。
どんな影響が出てくるかはわからないが、言語障害、記憶障害、運動能力や呼吸器にも障害が出るかもしれない。
最悪、全てが働かず、自立呼吸も不可能で一生人工呼吸機をつけたまま寝たきり、植物状態になるかもしれない。
すうっ…と、冷たいものが心を通り抜けた。
全く予想しなかった訳じゃない。気付きたくなかっただけだと、今ならわかる。
きっと大丈夫、なんて根拠のない確信は、もう持てなかった。
「あい、大丈夫?」
主人に聞かれ、頷いた。
「あまり驚いてないみたいだけど…何となく予想してた?」
「ん…そうだね」
嘘だ。ショックだった。でも、私が寝たきりの間、一人でタクや私の手続きに走り回り、タクのことを私に伝えることをためらった優しい主人に心配かけたくなかった。
私は、まだ入院生活が続いていた為、主人は自宅に帰っていった。
夜、ベッドに横になりながらグルグルと色んな思いが駆け巡っていた。
どうしてこんなことになったんだろう。
ちょっと前まで普通の妊婦だったのに。
予定日よりちょっと早く産まれただけで、すぐに元気になったタクと一緒に新しい生活が始まると思っていたのに。
意識が戻らないかもしれないなんて。戻っても障害が残るかもしれないなんて。
6日目
私は、既に母乳が出始めていたので、搾乳してタクのもとへ届けるようになっていた。
少ないながらも、タクは母乳を飲めるようになった。ただし、鼻に通したチューブから。
「タク、母さんだよ。早く元気になろうね」
母乳を届けに行くたびに声をかけてみる。
医師が、声は聞こえてるはずだと言っていたからだ。正確には、主人からたくさん声をかけてやってくれと言われたから、だが。
7日目
相変わらず母乳を届けに行っていた。
タクに声をかけるが、何の反応もない。目を開けない、泣き声もあげない、もちろん動きもしない…。
この頃になって、自分自身わかっていながら気づかないようにしていた感情が溢れ始めていた。
胎盤剥離から緊急帝王切開になった場合、50~70%の確率で死産になっているらしい。
死産…。
いっそ死産であってくれた方が楽だったのに。
この感情に気付いてから、毎日タクに会いに行くのが憂鬱で仕方なくなった。
あの子がいなくなれば。
消えてしまってほしい。
なかったことにしてしまいたい。
突然、全身麻酔で帝王切開し、目覚めた時にはお腹から我が子はいなくなっていた。だから…。
言い訳としか思えないが、私には母親の自覚はなかった。
最低の感情を抱えたまま、3時間ごとに搾乳し、タクのもとへ届けに行く。
辛くて仕方なかった。
人工呼吸器で命を繋いでいる我が子。
医師に「人工呼吸器をはずしてください」と言いたかった。
今まで通り、主人と二人で穏やかに過ごしたかった。
無理なのはわかっていたけれど、逃げ出したくて、投げ出したくて、毎日陰で泣いてばかりいた。
私の入院してる部屋は4人部屋だった。
同室のうち、2人は赤ちゃんが側にいる。しょっちゅう、元気な泣き声と幸せそうな母親の声が聞こえた。
お見舞いに来た身内との会話も聞こえた。
「この子は将来美人になるぞ~」
「五体満足、元気が一番だな」
本当に幸せそうな会話。
今まで、私も友人や身内に言ってきた言葉だ。
今になって、どれだけ無責任で幸せな言葉かが痛いほどわかる。
聞きながら、何度も泣いた。
匿名さん、ぷーさん、ありがとうございます。
少しでも気持ちを理解してもらえることが嬉しいです。
現在は、出産から約2週間たっています。
息子は相変わらず変化のないまま、意識のない状態が続いています。
上がったり下がったり、やっぱり気持ちは安定しませんが、日記を書きながら整理していきたいと思いますので、お付き合いいただけたらと思います。
主です。
ご指摘いただきましたので、ご意見用に別スレを立てました。
こちらは自レスのみにさせていただきます。
現在進行形での日記です。まだまだ気持ちの整理がつかない状態での、吐き出し用に書き込んでいます。
更新は時間がかかるかもしれませんが、ご理解いただけたらと思います。
8日目
相変わらず、搾乳してはタクの元へ届けに行く。
ちょっと様子を見て部屋へ戻ろうと思っていたが、看護師に声をかけられた。
「お母さん、抱っこしてみませんか?」
抱っこか…。
少しは母親としての自覚が目覚めるかな?
未だに我が子を愛しいと思えずにいた私は、少し期待して抱っこさせてもらうことにした。
全く動かず、呼吸器に繋がれたタクは、すぐ横の椅子に座った私の腕に渡されるだけで大騒動だった。
呼吸器を一時的に外すため、手動の呼吸器で酸素を送り込み、抱っこの姿勢が整ったらまた呼吸器を繋ぐ。
何本も繋げている点滴も、管が外れないように看護師が二人がかりで持ち上げたり…。
結局、すぐ横にいる私が抱っこするまで15分程かかった。
この日は主人が面会に来ていた。
「タク、父さんだぞ」
何の反応もないタクに、優しく声をかけて頭を撫でる様子は、私よりもずっと愛情に溢れていた。
寝たきりになるかもしれないと知りながらも、回復する可能性に賭けて、精一杯親としての責任を果たそうとしているのだ。
この人は父親になったんだな…。
…私は、どうして母親になれないんだろう。
9日目
タクを抱っこしてから、看護師が積極的に私とタクを触れ合わせようと、あれこれ勧めるようになった。
「また抱っこしませんか?」
「タクくんの体拭きしましょうか」
「チューブですけど、ミルクあげてみましょうよ」
言われれば言われるほど、タクに会うのが憂鬱になっていった。
うるさい。うるさい。
何でもかんでも、やらせようとしないで。
何もしたくないのに。
何の反応もない人形みたいな赤ちゃんに、色々やる意味なんかあるの?
母親が触れることや声をかけることが大事だって言われたけど、本当に私じゃなきゃ駄目なの?
看護師でも十分じゃない?
少なくとも今のタクに必要なのは医療であって、私なんか必要ないじゃない。
イライラしてどうしようもなかった。
だけど、言われれば断れない。
断れば「母親なのに何で?」って反応をされるから。
最初の頃「お母さんがやりたくないことを強制したりはしませんよ」なんて言われたけど嘘だ。
結局、強制されてるようなものだ。
搾乳してタクに届けに行くが、なるべく声をかけられないように、タクの頭をほんのちょっと撫でてすぐに部屋へ帰った。
愛情なんか持ちようがなかった。
時々、携帯で同じような経験をした人のブログを読んでみる。
みんな、大変な思いをしながら我が子への愛情に溢れていた。
…やっぱりみんなは我が子が可愛いんだ。
いつまでも我が子を可愛いと思えずにいた私は自己嫌悪に陥った。
読まなければいいのだけれど、気になって何度も読み、何度も落ちた。
※日にちの感覚が曖昧になってきたので、省きます。
ある日、タクの状態を確認するためにMRIを撮ることになった。
状態とは脳の状態だ。
出産時にダメージを受けたタクの脳は、かなりの後遺症が考えられた。
主人と二人で、医師から説明を受けながら画像を見せられた。
…脳の断面は真っ黒だ。
それが意味するものは、想像通り。ほぼ全てが回復を見込めない状態。
最悪の結果だということだ。
体はある程度機能しているから、母乳や点滴によって少しずつ成長してきている。
ただ、人工呼吸機がなければ生きてはいけない。
やっぱり回復しないんだ…。
このまま人工呼吸機で命を繋いでいくのかな。それって…生きてるのかな?
今すぐ、人工呼吸機をはずしてほしかった。
そしたら…何もかも終わるのに。
最低なことを考えながら、医師の視線を感じていた。
私の様子を窺う、何もかも見透かしたような冷静な視線。
きっと、私の最低な考えにも気付いてるのだろう。
私は医師の視線には気付かないふりをしてうつむいていた。
主人は落ち着いた様子で医師の説明を聞いている。
あとで聞くと、実際は、予想通りでも相当ショックを受けていたらしい。
医師の説明の後、二人で今後について話し合った。
回復の見込みがなくても、タクを放り出す訳にはいかない。今の状態で、できるだけのことはしよう。親として、してやりたい。
それが主人の気持ちだった。
私は頷いたが、長くなると思える今後を考えて気が重かった。
出生してすぐにタクに投与されていた眠り薬は、とっくに終了している。
既に2週間ほど経過していたが、全く目覚める気配はない。
医師の説明を聞いて、当然だと思った。脳の機能が回復しないのなら目覚める訳がない。
絶望的だ。
落ち込みながらも、妙に冷静に考えていた。
こんなに冷めてるのって母親の感覚じゃないな。普通ならもっと悲しくなるんじゃないのかな…?
そんな自分自身もすごく嫌だった。
私は体調が落ち着き、退院してからも毎日タクに会いに通った。
タクのいる病院は自宅からは遠く、私は近くの宿に短期滞在して通うようにしていた。
毎日行きたかった訳じゃない。行ける距離にいたから行かなきゃならなかった。
毎日、タクを心配している主人から様子を聞かれていたから。
毎日、眠り続けるタクを眺めるが、悲しいことに、いつまでも可愛いとは思えてこなかった。
何でこんなことになっちゃったのかな…?
どうして私なんだろう…?
頭に浮かぶのは、そんなことばかりだった。
「あいがあんまり幸せだから、神様が意地悪したのかねぇ…」
母がポツリと言ったことがあった。
確かに、私は幸せに過ごしていた。
夫婦関係は良好、主人は優しいし頼れる人で、仲良しな方だと思う。義理の両親も優しく、とても大事にしてもらっている。そんな中で妊娠し、順調に育ってきていた。
神様が意地悪した…。
娘の妊娠を喜び、出産を楽しみにしていた母は私以上にショックだったかもしれない。
そうとでも思わなければ、やりきれなかったのかもしれない。
テレビを見ていたら、出産間近の芸能人が出ていた。
「性別はまだ聞いてないんだけど、どっちでもいいなぁって思ってます。お腹もよく蹴ってくるんですよー」
無邪気に話してる様子に、心の中にどす黒いものが沸き上がってくる。
絶対無事に産まれると信じてるんだ…。
いつ、何が起こるかわからないのにお気楽でいいねぇ…。
自分だって同じ。
何の根拠もなく、無事に産まれると信じていたのに、今はそんな様子を見ると腹立たしいし、妬ましいし、悲しくなる。
NICUにはタク以外にもたくさんの赤ちゃんがいた。タクよりもずっと小さな赤ちゃんもいる。
でも、どの子も弱々しいながらも泣いていたし動いていた。
全く動かず泣かないのはタクぐらいだ。
小さな手足をパタパタと動かすのが見えて、羨ましいような悲しいような何とも言えない気持ちになった。
もちろん、それぞれの事情がある。内蔵疾患で何ヵ月も入院してるのかもしれない。小さな体で何度も手術をしたのかもしれない。
もしかしたら、その親からしてみたらタクは健やかに眠っているように見えるのかもしれない。
でも、私はタクの反応がないのが一番悲しかった。
せめて泣き声が聞けたら。
目を開けてくれたら。
それだけでも、生きてると強く実感できるのに。
今の状態ではまるで人形のようだ。
呼吸器で生かされているだけ。
生きていると実感できないことが悲しかった。
1ヶ月以上過ぎても、タクに大きな変化はなかった。
体重はゆっくり増えていたけれど、健康な赤ちゃんとは比べようもない。小さく弱々しいまま。
いつかは意識を取り戻すんだろうか…?
タクに対する自分の気持ちは、よくわからなくなっていた。
愛情とは言えないような微妙な感情だった。
タクについて、主人と改めて話した。
全てではないが、自分の醜い気持ちを正直に言ってみた。
死産だった方がマシだと思ったこと。
今の状態で生きてるとは思えない。無理なのはわかってるが、できるなら呼吸器をはずしてしまいたいと思ってること…。
主人は受け止めてくれた。
呼吸器に関しては主人も同じように思っていたらしい。ただし、父親として愛情を持った気持ちだった。
今の状態がかわいそうで辛い、と。
主人は、私も同じように母親としての愛情からの気持ちだと思っているんだろう。
母親としての愛情を持てないでいることは伝えられなかった。
主人は、私の辛さや悲しみは、全て母親としての気持ちだと思っている。
そうじゃない。
私は、私自身が辛いだけ。自分の立場が辛くて悲しいだけなんだ。
やっぱり、タクに愛情を持てないとは言えなかった。
それでも、一部でも気持ちを伝えられて少しだけ楽になれた。
病院通いと宿への滞在が長くなり、精神的に疲れてきた私は、一時的に自宅に帰ることにした。
久しぶりの我が家。
主人が忙しい為、部屋の中は散らかっていた。それでも、タクと離れてホッとした気持ちになった。
意識のない子供と離れてホッとするなんて、ひどい親だなぁ…。
そうも思ったけれど、実際、自宅にいると気楽だった。
冷蔵庫の中が空っぽなので近所のスーパーに買い物に出掛けた。
レジには顔見知りの店員さん。彼女とは里帰り前に会話をしていた。
「おめでたですか?」
「そうです。もう少しで出産なんですよ」
「あら~、楽しみですねぇ」
「ええ」
妊婦なら誰でもしていそうな普通の会話だけれど、今はそれを忘れていてほしいと思った。
声をかけられたくなかったから。
レジに立つと彼女は気付いて笑顔になった。
「産まれたんですか?」
会計をしながらニコニコと話しかけてきた。
私は、無表情に「…ええ」とだけ返事をして目をそらし、それ以上話しかけられるのを無言で拒んだ。
彼女も笑顔がなくなり、怪訝そうな表情で会計をすました。
そのまま逃げるように店を出た。
帰り道を急ぎながら、店員さんの親切そうな人懐こい笑顔が思い出されて申し訳なく思えた。
彼女は当たり前のことをしただけなのに…。
今はまだ、タクについて詳しく話したくなかった。聞かれたくなかった。
家に着いたが、ひどく疲れた気がした。
今はなるべく人に会いたくないと思った。
自宅にいたのは、ほんの数日。すぐにまた宿に戻り、病院通いを続けた。
それでも、数日離れたことが私にとっては大きなリフレッシュになっていた。
タクは相変わらず意識のないままだったが、少しだけ積極的に接するようになれた。
体を拭いたりオムツを交換したり。頭を撫でながら色々と話し掛けてみたりした。
ある日、看護師と一緒にタクの体を拭いていた。
「タクくん綺麗になったね~。ちょっとチューブの位置直させてね」
看護師がタクの口のチューブを直していた時、たまたま近くに引っ掛かっていた他のチューブがタクの顔に当たった。
ベチッ!
意外と大きな音がしたので驚いた。
反射的に顔を上げると、看護師が目を大きく開いて「しまった!」という顔をしていた。
その表情と漫画みたいな大きな音がおかしくなって、思わず大声で笑ってしまった。
看護師も笑っていた。
「痛いことしちゃったのに笑ってたら、タクくんに怒られちゃいますね」
ホントだ。
多分けっこう痛いはずだから、元気な赤ちゃんならギャンギャン泣いて抗議するところだろう。
今日
また気持ちが抑えられない。
胎盤剥離の原因はハッキリしていない。ただ、要因の1つとして喫煙が挙げられているらしい。
でも、私はタバコは吸わない。お酒も飲まない。
主人は喫煙者だけど、妊娠がわかってから私の側では吸わなくなった。必ず玄関まで行き、ドアを閉めて煙が来ないよう注意していた。
他の要因もあるのかもしれないけれど…。
体重も、増えすぎにも減りすぎにも気を付けていたし、医師にも、ちょうどいい増え方だと褒められた。
一度だけ血圧が高めだと言われ、食事に注意して、次の検診時には標準範囲に下がっていた。今回の帝王切開直前まで何の問題もなく順調。
赤ちゃんの為に一生懸命やってきたつもりだった。
ここの掲示板を時々見てみる。
妊娠中の喫煙が我慢できないというものがあった。
喫煙をやめなくても元気な赤ちゃんが産まれたという書き込みがあった。
飲酒がやめられないというものもあった。
そこでもやっぱり飲酒し続けて元気な赤ちゃんが産まれたという書き込みがあった。
納得いかない…。
不公平…。
赤ちゃんに良くないとわかってることを、たった数ヶ月…それすら我慢できない人が無事に出産できてるなんて。
たまたま運良く元気な赤ちゃんが産まれただけ。それなのに全く悪いとは思ってないような書き込み…。
その能天気さ。
楽観的な考え。
腹が立った。
悔しかった。
悲しくて仕方無い。
どうして、そんな状態でも無事に出産できるんだろう。
どうして、あんなに一生懸命赤ちゃんの為に心掛けたのに、こんなことになっちゃったんだろう。
八つ当たりだとわかってるけど心にドロドロが湧き出してくる。
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