愛についての話

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おしゃべり好きさん
2021/09/29 18:55(更新日時)

サンフランシスコへ向けて月を追って夜間飛行。飛行機なんて何年ぶりか。高度一万メートル。成層圏手前。一面、静かで穏やかな世界。オゾン層に近づく限界。

以前夢を見た。機体が限界面を外れ、成層圏の外へ達する夢。オゾン層はボロボロに擦りきれ古いガーゼみたいな状態で、怖かった。でも、私に備わる力で私にしか見えないものをみた。魂が登ってくるの。遥か下から、飢えや戦争や、疫病で命を落とした人々の魂が、一斉に浮かび上がってきた。
逆回転のスカイダイバーのように手足を曲げて、クルクル回りながら。そしてお互いの手足を掴んで、クモの巣のような魂で繋いだ網をつくった。魂はオゾンと同じ分子でできてるから、オゾン層が吸収し、修復された。

永遠に失われるものはない。この世には痛みを伴う進歩がある。人は失ったものに焦がれ、未来を夢見る。私はそういうものだと思う。

おしまい。

どう？気に入った？

今、読んだ話。気に入った？

ええ。

なんの、なんの話だった？

愛よ、愛の話。

そうだね。愛についての話。