レインボー頭巾ちゃん

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名無し
2019/01/10 08:10(更新日時)

昔昔、あるところに二人の姉妹がおりました。

その姉妹はいつも頭巾を被っておりましたので、頭巾シスターズと呼ばれておりました。

しかし姉妹の仲は余り良くなく、おまけに母親はいつも姉ばかりを可愛がって
おりましたので、妹はいつも姉に嫉妬し、殺意さえ抱いておったのです。

「お母様が姉上だけに愛情をそそぎ、私に振り向きもしないのはきっと頭巾の色のせいだわ。」

「姉上は真っ赤な可愛い頭巾を被っておるのに、私は汚い粘土色の頭巾……こんなの嫌われて当然だったわね。」

妹は早速、綺麗で可愛い頭巾を手に入れるため、近所の神様の家へ行きました。

「ワシに頼みと言うのはなんかね。」

神様は低い声で言いました。

「私、お母様に愛されたいから綺麗で可愛い頭巾が欲しいの。誰が見ても目くらみするような、美しい頭巾が欲しいの。」

神様は少し考えてから、こう言いました。

「それは容易いことじゃが……ワシに何か得があるのかね？世の中はギブアンドテイクじゃ。それなりの報酬がないとな。魚心あれば水心いうじゃろ…？」

まあ、神様ともあろうお方が袖の懐を要求するのね！ゲスらしい。

妹は内心神様を軽蔑しながら答えました。

「お金はないけど私の姉の寿命を50年あげるわ。それでどう？」

「なに５０年とな。宜しい、ではこの頭巾を授けようぞ。」

そうして手に取ったのは、七色に輝くレインボーな頭巾でした。

「まあ、なんてお美しい頭巾なんでしょう。これでお母様も私にメロメロね。」

妹は飛ぶように帰路に着きました。

裏庭には、妹が倒れて死んでいるのが見えましたが、素通りして家に入りました。

「お母様！」

勢い良くドアを開けたその刹那、母親の悲鳴が部屋中に響きました。

「ああああああああああ」

「目が、目がァ～～～」

なんと、そのレインボーな頭巾が余りにも眩しすぎたため、母親の目玉が潰れてしまったのです。

「お母様！」

妹はどうすることも出来ず、オロオロするばかりでした。

妹はもう一度神様の元へ行き、懇願しました。

「あんたがくれた頭巾のせいで、お母様の目が見えなくなっちゃったじゃないの！バカバカ……どうにかしてよ。治してよ、お願いだからぁ。」

泣きじゃくる妹を無味無表情で眺めながら、神様は言いました。

「世の中はギブアンドテイクといったろう。お母様の目を治したけりゃ、お前の寿命を50年よこせ。私なら母親の為なら寿命を何年差し出そうと惜しくないがな。フフフ……。」