パートおばちゃんの呟き

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2017/06/05 21:16(更新日時)

ブランク15年・・・・
おばちゃんσ(・∀・)
昨年8月からパート始めました。


17/03/29 21:52 追記
誤字、脱字、変換間違いがありますが、ごめんなさい。スルーして書き続けます。

なんとなく書き間違えを「多分これはこうだろう」と思って、読んでいただけたら幸いです。




17/03/29 21:54 追記
ちなみに、かなり頻繁に
「おばちゃん」が「おばあちゃん」になってます。(Тωヽ)


No.2436203 (スレ作成日時)

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No.337

「空いてる暇な時間を使って仕事にでも」なんて気分では…
まず無理な仕事。


おばちゃん自身も、もし最初からそんな風に気楽に考えていたら、きっと続けられなかっただろうと思う。


No.336

おばちゃん自身の経験から、店の人間関係には全く問題はない。
むしろ良好?かなり恵まれてる。ウン(゜-゜)(。_。)


お客様には、結構~かなりキツイ方はいる。何か病的なくらいおかしな方もね…(◎-◎;)
(勿論、素敵な方もいるし優しい方もいるけれど)


でも、それは
お客様あっての【店】だから仕方ない。
売上があるからこそ、お給料がいただける。


んじゃあ、何が問題なんだ?と言うと…
パートの限られた時間内に終わらせられる訳のない仕事の量。


「これ」ですわ…

No.335

相変わらず解消されない人手不足な中…
おばちゃんと同期、もしくはその前後に採用になった方々が「やっぱり自分には無理です」と次々に
1人辞め…2人辞め…3人辞め…4人辞め…


なんと!!
新人は、おばちゃん1人になりましたσ(=△=;)ウゲッ


すごいプレッシャー…


No.334

久しぶりの書き込みです。
いやいや…
掲示板ROMする暇もないくらい日々忙しかったおばちゃんです…
(+_+)


仕事?
勿論!!辞めていませんよ~
(・∀・)ノ
40過ぎてるおばちゃんを雇ってくれた店ですもの~
無事入社10ヶ月になりました。

ここまでくるのに何度も「おばちゃんには向いてないんじゃ…」と、心折れそうになりましたが
反対に「ここまで頑張ってきたのだから」と自分を励ましてきた日々…
*・・・・・(-ω-。)[遠い目]


まだまだ頑張りますよ~!!

No.333

おばちゃん…


疲れた…



No.332

うちで「扱っていた物」についてもそう。


「前にここで買ったのに」
「前はここに置いてあったのに」
とか…


いつくらいの事かと思えば
「5~6年前」とか…
(;-ω-)・・・・・


型式古いものをいつまでも~いつまでも~店に置いてある訳ないよね?


No.331

あとね
自分の「探しているもの」が全て店にあると思ってる?
簡単に手に入らない物だってある訳よ…


本来なら定番で置いていない物をメーカーに問い合わせて
「お取り寄せ」になった時


「え~?!そんなに日にちかかるの?」とか
「それくらい置いておけば良いのに」とか
「あると思って来たのに」とか…


そもそも、うちでは扱っていない物なのに…
不機嫌にブゥブゥ文句言われたくないんですけど…


No.330

ただね…
店員だって、制服を脱げば
普通のおばちゃんなのよ。


知ったこっちゃない!!と言われればそれまでだけど


自分の言葉足らずや、ちゃんと確認してこなかった事までを
何もかも店員のせいにして
暴言吐いたり
イライラ当たり散らさないでほしいなぁ~



No.329

誰かを呼んだところで
その誰もが接客中…


日々、商品について勉強したところで
まだまだ追い付いていない。


でも
お客様にしてみれば
5年以上いるベテラン店員と
8ヶ月の新人店員の区別なんてつくわけがない。

みんな同じ制服を着てれば
そりゃあ
「店員」としてあれこれ聞くだろう。


No.328

もうね…
おばちゃん。この時期が一番嫌いになった。


どんなに上司や同僚に恵まれていても
人手不足は解消されない(@_@;)


右も左も前も後ろも、どの通路を歩いても1~2㍍歩くごとに
「すみません」
「すみません」
「ちょっと」
「おい」
「すみません」
「すみません」
と…


1度に3~4人に
「あれはどこ?取り寄せできるかしら?」」
「これが欲しいんだけど在庫は?」「これ運んで欲しいんだけど」
「これの使い方は?」


入社して8ヶ月のパートに…
できる訳ないです。


No.327

昨日の休日、友人3人と温泉に行ってきた。


友人の1人が「え!?なんか凄い痩せた!?」と、おばちゃんを見て驚く。
「え?そう???」言われるまで気がつかなかった。
そーいえば、最近全く計ってないなぁ…


お風呂上がりに体重計に載ってみた。
かなり減っていてビックリ。
独身の時に戻っていた。


元から太らない体質だから、さほど気にしてなかったけど…
なんとなく今まで履いていたスカートやパンツがユルいなぁ~とは思っていた。

毎日のように広い店舗を走り回ったり、重い商品を運んだり、売場作りで動きまくってたら
そりゃ、痩せるよね。


あまりガリガリにはなりたくないなぁ~

No.326

そんな時だ!
横の通路から「すみませ~ん」と、お客様に呼ばれた。


助かった~
呼んでくれてありがとうございま~す。


おばちゃんは元気に「いらっしゃいませ~」と
不自然になる事なく難を逃れた。

そう…
おばちゃんはまだ新人さんに会う事もないまま1日を終えて帰ってきた。


どうか、この「おかしな笑い」が静かにおさまってくれてから
対面できますように。

No.325

「まーた、そんな事言って…副店長は…」と呆れたふりをして
おばちゃんは事務所から逃げ出した。


が…


ああ…駄目だ…


遠くから「美川憲一が髪を伸ばしたような…」の新人さんが店長と一緒にこちらへ向かって歩いてくる。


顔はハッキリ見えないが
副店長の「例え」が頭から離れない…


No.324

だ…駄目だ!!
笑っちゃ駄目だ。
おばちゃんは副店長の言葉を
聞こえなかったふりをしようとしたが


副店長は真顔で更に
「あ…美川憲一を縦に伸ばした感じだな…」と言う。


おばちゃんは自分が変に想像力が働く事を恨んだ。


No.323

そう、ただ困るのは
他の人に対して言った副店長の「例え」に吹き出しそうになった時だ。
これが、すごく困る(@ω@;)
笑うと失礼な気がする反面、堪えきれない…


今日も今日から新しいパートさんが入ったらしいのだが
レジでもなければ広い店舗だとなかなか会う事がない。


事務員さんに新しいパートさんが入ったと聞いて「へぇ~どんな人だろう…」と何気なく言ったおばちゃんの言葉に
副店長は真顔で答えた。


「美川憲一が髪伸ばして、女らしくなったみたいな人だよ」と…


No.322

だから良いのだ。

おばちゃんは
犬だろうと
キン肉マンだろうと
トマトだろうと


もう豆とでも何とでも
副店長の「例え」は笑って聞き流そうと思っている。


No.321

まだ職場に慣れていない頃は
この長身で強面の副店長を
おばちゃんは「生真面目で恐そうな人だなぁ~」なんて
第一印象から勝手に思っていた。

お客様への応対も丁寧でしっかりしているし
ふざけた印象など皆無だ。


だから
事務員さんに対して「おかめ納豆みたいな顔して」と爆笑しているのを初めて見た時は
自分の目と耳を疑うくらい、かなり驚いた。


実は見た目と違ってかなりゆるいキャラのようで
言われたほうも誰もが「また、そんな事ばかり言って!!」と笑っている。

No.320

副店長も「酷くならなくて良かったね。」と言いながらパソコンに向かい
カチカチとマウスを弄りながら
チラリとおばちゃんを見ると
「赤から青って…」と言った。


よく意味が分からず
おばちゃんが「はい?」と聞き返すと


「トマトの逆じゃん…」と言ってニヤリと笑った。


悪い人ではない…
悪い人ではないのだ…


バイトの中には「マサカリかついで熊に跨がりそうだな」と言われた人もいれば


パートさんで「◎さんって、えのき茸みたいだね」と言われた人もいる。


No.319

事務所のドアを開けて「おはよう~ございま~す!!」と、元気な挨拶で今日も1日は始まった。


朝一から店長は「おはようございます。◆◆さん。怪我…大丈夫でしたか?」と、すぐに心配そうに聞いてくれた。


「はい!!全然、大丈夫です。ちょっと青くなりましたが、こんな感じでそんなに目立たないですし、痛みもないですから」と、おばちゃんが笑って答えると


店長は「あー良かった。良かった。うん。」と頷いた。



No.318

それよりも気になったのは
そんな店長とのやり取りを横でニヤニヤと笑って見ていた副店長だ…。


おばちゃんが
「なんですか…?その意味ありげな笑いは…」と言うと


「凄いしっかりしているように見えるのにね…」と副店長はフフフッと笑う。


「いやいやいやいや、仕事はまだまだだけど、私はしっかりしてますよ?」と言うと


副店長は知らなかった~というように「へぇ~そう?…あ!?それ、目立つから上から【肉】って書いてあげようか?」と笑う。


あ~…なんだか最近…副店長に凄いバカにされてる気がする。


「結構です!明日になれば治りますから…」とおばちゃんは鼻息荒く答えた


が…
治るというより…
赤が青に変わっただけだった


(´-ω-`)う…っ………


No.317

「いえいえ!!本当に、本当に大丈夫です。」と、おばちゃんはワハハと笑って見せたが


店長は「病院行かなくて大丈夫?ちゃんと労災がきくので行ったほうが…」と真剣な顔で言う。


ああ、そうだった…
以前勤めていた会社では
仕事中に従業員が怪我したとなると結構色々と大変だったなぁ…と不意に思い出した。


おばちゃんは
「あ…少し様子を見て、何か変だったら直ぐに行きますから、お騒がせして本当にすみません。」と謝った。


店長は「そう?本当に無理せず行って下さいね!」と念を押す。


No.316

すると店長が
「あ!!◆◆さん、いた~!今インカムで呼ぼうとしてました。怪我したんだって?」と言う…


こんなに広い店舗だというのに
なんて話が回るのが早い事か…

「いえいえ、ちょっとぶつけただけで、怪我なんてそんなもんじゃないですから…」と言うと


店長はおばちゃんの顔を見て
「あ~オデコね…すぐに分かるくらい赤い…」と、しみじみ言って 「具合悪くないですか?痛みは?」と心配する。


No.315

「いえいえ、病院なんて~そんな大袈裟な…大丈夫ですからぁ~」と笑って誤魔化すように倉庫から逃げ出したおばちゃんは
休憩室の鏡で恐る恐る自分のオデコを確認した。


ああ…確かに赤い…
なんて間抜けな…


でも、触ると痛いけれど
たいした事はない…
うん。


気にしない気にしない。
オバハン一人のオデコがちょっとくらい赤く腫れていたからって
気にするお客様はいないさ…と


おばちゃんはパソコン入力の為に事務所に向かった。


No.314

「大丈夫です…ちょっとビックリしただけで」と、慌てておばちゃんは棒を握りしめた間抜けな格好で笑った。


「でも、血は出ていないけど、オデコが真っ赤だよ」と倉庫整理のパートさんが言う。


「これも労災なんじゃない…?病院行ったら?」と心配そうに別のパートさんが頷いた。


皆の視線がおばちゃんはのオデコに集中する。
なんだか…


ちょっと恥ずかしい…


No.313

「痛い~っ!!」とおばちゃんは叫んだ。
憎い「棒」を叩き返したくなるような苛々が…
行き場のない怒りの当たり所を探す。


叫んだと言っても、そんな大きな声ではない。

が…


何!?何!?
どうした!?怪我した!?
大丈夫?!と数人が集まってきてしまった。


No.312

ただの長い棒(ポール)だと思っていた物は
実は、広告や大きなポップなどを提げるもので
L字型を逆さにしたような形をしている。


それが
オバハンの何気ない「よっこいしょ=3」で
クルリと回転して向きを変え
見事にオデコにゴンッ=3と当たったのだ。


鉄の棒で不意討ちをついて殴られたようなものだ…


No.311

倉庫で入荷した商品の中から
担当売場の物を検品していた時の事だ。


すぐ横に什器など、色々な売場作りの物が沢山置いてあって
立ち上がる瞬間に何気なくポールらしき棒を掴んだ…


はぁ=3
終わった終わった…
よっこいしょ=3
(オバハン丸出しである)


その瞬間!
オデコに激痛が走った。


No.310

余談になるが…


今日のおばちゃんのオデコは青くなっている。


いや、正確言うと
夕方までは赤かった…?と思う。


No.309

お客様は一瞬
「え?」と驚くような顔をしたけれど


すぐに
「あ、うん。はい、ありがとう!!お姉さんもだよ?…また来ますね…」とニッコリ微笑んだ。



おばちゃんはウルッときながらも笑顔で再度
「ありがとうございます」と心を込めて深々とお辞儀をした。

No.308

ああ…
なんだか、これは言わずにはいられない…と思った。


おばちゃんは衝動的にお客様に対して、自分の父親に頼み込むように言ってしまった。


「お客様、ご自身のお身体も大事にして下さいね。」と…



No.307

全てのお買い物の売場をご案内し終えたら
おばちゃんの「業務」はそこまでだ。


お客様をレジまでお連れして
「ありがとうございました。またご来店下さいませ。」と、いつも以上に心を込めてお辞儀した。


すると
お客様は深々と頭を下げられて
「いやいや、こちらこそ本当にありがとうございました。」と言ってくださった。


No.306

ご病気なのか…
外科なのか…
何で入院されているのかは聞かなかった。


店員であるおばちゃんが、そこまで立ち入りすぎては失礼だろう…


No.305

お客様の眼鏡越しの眼が潤んでいるのを見て
おばちゃんは泣きそうになった。

「奥様、1日も早く退院できると良いですね…」と、つい声が震えてしまう。


お客様は、そっと目頭を拭うと
「そうだね…ありがとう。」と
ウン。ウン。と頷きながら悲し気に笑った。


No.304

その答えは、おばちゃんから聞かずとも
お客様からの話ですぐに分かる事になった。


洗面器や歯磨きコップやタオルなどを選び終えて
スリッパを選んでいる途中の事だ…


「すみませんね…一緒に選んで頂いて助かります。」と、お客様が仰ったので
「いえいえ、私でもお役に立てれば嬉しいです。」と、おばちゃんがニッコリ微笑むと


お客様は…
悲しそうで、寂しそうな笑顔で
「本人が一緒に来れたら良いんだけどね…病院に入院していて…まともに歩く事もできなくて…
まぁ…元気だったら、この買い物も必要のないモノなんだけどね…」と言った。



No.303

もしかして…


奥様の入院準備なのかな?と…



No.302

お客様は「ああ、これは良いですね。喜びそうです。これにします。」とニッコリと笑顔になった。

オススメしておきながら、お客様が簡単に即決されたので
おばちゃんは「こちらで宜しいですか?」と、つい聞いてしまう。

お客様は「はい。これで…」と笑う。


おばちゃんは「ありがとうございます。」と、商品の在庫をカートに入れて
「え…と、次はスリッパや洗面器、歯磨きコップなどですね…?ご案内致します。」と、お客様を売場にご案内する途中…


一瞬「あれ…?」と気がついた。

No.301

お客様は
「え…?はい…妻が…」と言い
その後にすぐ
「可愛い物が好きなんですよ。」と照れくさそうに付け加えた。


そんなお客様も可愛いおじ様だ。

「そうでしたか…可愛い奥様ですね。」と思わず
おばちゃんはホッコリしてしまう。


「それでしたら…この辺の時計はいかがでしょうか?」
丸いフォルムの数字の部分にラインストーンが入っているモノをオススメしてみる。


No.300

お客様を時計の売場にご案内すると
「う…ん(;゜゜)どれが良いだろう…」と、お客様が迷っているようなので


おばちゃんはふと、先程のメモを思い出した。
(できればピンク…)という内容だ。


「時計をお使いになるのは奥様か娘さんですか?」と尋ねてみた。


No.299

「では、こちらの卓上の時計からご案内させていただきますね…こちらでございます。」と、おばちゃんが言うと


お客様は「はい。すみません。自分で探せば良いのにごめんなさい。忙しいのに、すみません。」と何度も謝るので


「いえいえ。そんな、とんでもない…全然、大丈夫ですよ。」と、おばちゃんのほうが申し訳ない気持ちになる。


No.298

お客様はメモ用紙を取り出して
「細かいんですよね…ごめんね…」と呟いた。
なんだか…可愛いおじ様だなぁ~と和んでしまう。


おばちゃんがメモ用紙をそっと覗くと
箇条書きで
「時計(卓上の小さいもの)」
「スリッパ(やわらかいもの、できればピンクの)」
「洗面器(小さめのもの)」
「歯磨きコップ(プラスチックの、できればピンクの)」
と…他にもまだ色々と書いてあったが


幾つかは既に斜線が引かれ
おそらく、うちの店ではお取り扱いのないような商品だったので
どこかでお買い物されたのだろう。

No.297

「はい。いらっしゃいませ。」と、おばちゃんが笑顔で応対すると


お客様は「あの~…色々と買いたいのですが…広すぎて、どこから探して良いのか分からないものですから…案内してもらっても良いでしょうか?」と申し訳なさそうに言う。


最近になると、だいたいの商品の場所をは把握できるようになったおばちゃんは
どーん!と任せちゃって下さい!!という感じで
「はい。私で宜しければご案内させていただきます。何からお探しですか?」と明るく笑顔で尋ねた。

No.296

今日は久しぶりに穏やかな1日だった。


出勤してから、補充忘れや欠品の商品やプライスのつけ忘れはないかと、店内の売場を見て歩いていると
60代後半くらいだろうか…眼鏡をかけて白髪混じりの生真面目そうだけれど、優しそうな?男性のお客様に呼び止められた。

「お忙しいところ、すみません…」と、初めから腰の低いお客様だった。

No.295

これは完璧な人手不足ですな… おばちゃん毎日クタクタです。


平日も休日も関係なしに混んでる店…
有難い事だけどね…
四方八方から「すみません」「すみません」「すみません」とお客様に呼ばれ
ヘルプコールが鳴り
インカムで呼ばれ
移動する途中さえ「すみません」「ちょっと良いですか?」「すみません」と目的地になかなか到達せず…
書類仕事が進まずに溜まってくると


流石にいつも笑顔を心掛けているおばちゃんも
怪しい「薄笑い」みたくなってきた。
σ(;▽;`)


No.294

店長は「はい。分かりました。破損で伝票切って破棄して下さい。」と笑顔で受け止めてくれた。


副店長は、すっかり落ち込んで小さくなった犬をみるように
フフッと笑った。


嬉しい時は尻尾を振り
落ち込んだ時は下がる尻尾と耳…


【おばちゃんは犬である。】


忠犬ではなく中年ハチ公なのだ。

No.293

なんて雰囲気の暖かい職場なのだろう…
おばちゃんは、こんな上司に恵まれた事を感謝して、泣きそうになった。


「ありがとうございます。本当にすみませんでした。同じことが無いように、きちんと気を付けます。すみません。」と
おばちゃんは、もう一度頭を下げて謝った。


No.292

副店長が「え…何?落としたのはライト?怪我はしなかった?」と言う。


「はい…怪我は…ないです。バーコードを確認しようと、私が余計な事をして傾けたら…転がり落ちてしまいました。」と答えると


「それは、仕方ないよ。バーコードを確認してくれようとしたんだし、ストッパーがついていなかったって事だよね? 」と店長…


副店長は「そーんな耳や尻尾を下げて怒られた犬みたいな顔しなくて良いから~」と爆笑している。

ウンウンと店長も頷いて
「初犯なんで許します。僕なんて前科三犯だからね。」と笑う。


そして店長と副店長は二人同時に「怪我しなくて何よりだよ」とハモった。


No.291

コンコンと事務所のドアをノックして中に入ると
店長と副店長がいた。


「ん?どうした?」と言いながら店長の目線は、おばちゃんがブラリとぶら下げている袋を見ていた。

「すみません。不注意で壊してしまいました。」と、おばちゃんは頭を下げてお詫びした。


No.290

右手にホウキや塵取り…
左手にウエスと破片の袋をぶら下げて


おばちゃんはトボトボと事務所までの道のりを
ガックリと肩を落として歩いた。

No.289

まずは、とにかくお客様が怪我をしないように早く破片を片付けなければならない…


おばちゃんは急いでホウキと塵取りと破片を入れる袋、棚を拭くためウエスを取りに行った。


カチャカチャとぶつかり合う破片の音が虚しい…

「あ~やってもうた~((T_T))ちゃんと謝らなきゃ~(Тωヽ)」

チャリチャリと塵取りに寄せ集め…袋に入れる。


No.288

ガッシャーンッ!!と辺りに鳴り響く落下の衝撃音と粉々になった硝子…


Σ( ̄◇ ̄;)!?ぎゃあ~!!!!
やってもうたぁ~!?


本来なら、シェードをカチッとはめ込む筈のストッパーがかかっていなかったのである。


どどどど…どーーしよーー
o(T△T=T△T)o
困った~
o(T△T=T△T)o

おばちゃんの頭は真っ白だった。

No.287

ミスのないように万全に注意してるつもりでも
おばちゃんは、とんでもない事をしでかした事がある。


自分の目線よりもやや高い位置に置かれた見本展示品のボール球ライト…
「あれ?商品のバーコードがついてないじゃない?(-ω-)?」と気がついた。


おばちゃんは両手を伸ばしボール球ライトに手を伸ばした。
「裏側に貼ってある??」とライトをほんの少し傾けてみた。


その時である。
ボール球ライトの丸いシェードはコロリと外れて転がり落ちた。


No.286

そんな感じの
「褒めれば伸びる子」…
あ、いやいや【子】ではないが
褒めれば伸びるおばちゃんを
伸ばしてくれるのが


店長と副店長
主任とパートリーダーさんだ…


何か自分でも「これは、上手くできたぞ~」や「滅茶苦茶、早く終わった~」という達成感の後に


必ずそれに気がついて、褒め言葉をかけてくれる上の方たち…


そんな時のおばちゃんは頭を撫でられて、尻尾を千切れんばかりに振る犬である。


No.285

はたまた1つは


専業主婦をしていた時は、なかなか言われなかった【言葉】をいただける事だろう。



「え~すごい!!バッチリだよ。」
「いつも頑張ってるね!」
「助かるよ。ありがとう。」
「お疲れ様。頑張ってくれた分、明日はゆっくり休んでね!」
「体調悪そうだけど大丈夫?」
「え~!もう帰っちゃうの~?」
などなど…


いつのまにか家事や育児は「当たり前~」な感じになり
おばちゃんは自分の空気のようになりつつあった存在に麻痺していた。


人に褒められたり、感謝されたり心配される事が
こんなに心地が良かったのか?と正直、驚いている。


No.284

はたまた1つは
達成感を得られる事。


これは、例えば
お客様の応対でもいえる事で
単純に売場をご案内できた時でも良いし


重たい商品を運搬して車に積み込み、お客様を見送った時でも良いし


お客様がお求めの商品を探して、探してピッタリの品が見つかった時でも良いし


要するに
お客様が満足して「ありがとう」と言ってくれた瞬間や


在庫管理の山のような書類やデータとか
新しい売場の棚やコーナーを予想時間よりも手早く正確にチャチャッと終わらせられた時…


そんな達成感である。
(いや…他にも多々あるのだが、今パッと浮かんだのはこれだった)

No.283

おばちゃんは、この日記の当初から、何度も「遣り甲斐がある仕事」と書き込んでいる。


じゃあ、おばちゃんの遣り甲斐とはなんや?(-ω-)?
と聞かれたら


まず、1つは
自分には難しい事、または覚えるのに苦労する事の空欄を1つ1つ練り潰していく事


そして、それは奥が深く
時間や月日がかかるほど良い。


※注意※
おばちゃんは叩かれ好きな【変態】ではない。

No.282

どーせ言われるならば

「いやいや、ちょっと…おばちゃん…おばちゃんなのに凄いね……」と言われたい。


そう…
おばちゃんは「評価されたいおばちゃん」なのだ。

そして、褒められるとグングン伸びる…
実に馬鹿がつくほど単純である。

No.281

もしも…
いつまでも物覚えが悪くて
「はぁ…=3これだからオバハンは…」なんて、誰かに言われたりしたら


おばちゃんはきっと深く傷つくだろう…


おばちゃんは「おばちゃん」だが
「使えないオバハン」にはなりたくないのだ。


No.280

おばちゃんはただ単に
「分からない事」で「困るのは自分」だから「一生懸命」なだけである。

けして真面目な訳ではない。


長く続けたい仕事だからこそ
必死に食らいついてるだけなのだ。


No.279

「パートなのに」
「パートだから」
??????


(;=_=)?
分からない…


パートなのに一生懸命はおかしいのだろうか?(-ω-?)


No.278

正社員として約10年勤めた会社にいた頃の自分と今の自分は
「仕事に対する考え」の違いがない。

「パートなのに」と言われると
確かに…
今の店の「正社員」の方たちは、おばちゃんなんかよりずっと努力は怠らないし、物知りで頼りになる。
業務内容の報告を聞いていると「正社員」としての仕事ぶりもヒシヒシと感じる。


が!!
だが!!←なのである。


No.277

そう…
よく考えたら、おばちゃんには
今の店以外「パート」の経験がない。
「仕事」は「正社員」でしかした事がないのだ。


なので「正社員」と「パート」の違いといったら
「パートのほうが勤務時間が短い?」という感覚しかないのだ。


No.276

最近、おばちゃんよりも長く店にいるパートさんが
おばちゃんがあれこれと知っている事を不思議に思ったようだ。

ある日
「ねぇ?どうやってそんなに頭に入ってるの?」と聞かれた。


おばちゃんが自分の「総復習」の話をすると
「真面目だね~パートなのに~」と笑われた。


その時だ…
おばちゃんはこの「パートなのに」という言葉に違和感があった。


No.275

更に初めて知った専門用語的な事や
知らない「物」の名前や使い方などは
ネットで検索してノートに書き留めて
ご飯支度をしながら、お客様に説明してる状況で話せるように
ブツブツと声に出し


「あれ?どうだったかな?」と分からなくなるとノートを確認して


まるでセリフを覚える練習のように勉強しているのだ。


キッチンでブツブツ呟く
怪しい主婦である。

No.274

とにかく教えられた事や知らなかった事は、「雑」でも「走り書き」でも良いから、とりあえずは何でも事細かにメモにとった…
φ(..;)

馬鹿なの?と思われるかも知れないが…
それを自宅に帰ってから
仕事中に持ち歩く別のメモに綺麗に見やすく書き写し
更に一冊のノートに仕事の順を追うように図解付きで詳しくまとめている。


これは、おばちゃんの総復習ともいえる大切なノートである。

No.273

★『8ヶ月が過ぎて思うこと』★

今の仕事や職場の人間関係にも、随分、慣れてきたように思う。


確実に「できる事」が増えてくるとよほど店が混雑しない限りは
ほんの少しお客様の応対にも気持ちの余裕が持てるようになってきた。


入りたての頃には少し離れた所から、おばちゃんに向かって歩いてくるお客様を見ると


「お願い…私に聞かれても、まだ分からない事だらけで時間ばかりかかるから聞いてこないで~。お願いだから私に話しかけないで~」と…祈ってみたり(;-人-)…


聞かれても的確に対応できない事で、お客様に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


No.272

「90%は人違いではないと思うけれど、あのギャアギャア騒いでいたお客様ね…?
ずっと以前にうちで万引きして、いっこうに反省がないから、副店長に警察を呼ばれた事があったのよ。
以来、見かけたら副店長に報告必須の人物だったんだけど、すっかり来なくなったから…皆、忘れていたみたいね。」と…


きっと、あのお客様にしてみれば、苦い思いしかない店だったのだろう…
そりゃ大嫌いとつい言葉に出したくなるのも頷ける。


だが…
だからといって窃盗は許された行為ではない。
立派な犯罪なのだから。


逆恨みも甚だしい。



No.271

そして、そんな出来事があってからしばらくした頃


すっかり忘れてかけていた
副店長の「あ~…なるほど…ね」の意味深な言葉の意味を知ったのだ。


教えてくれたのは、あの出来事の時に副店長に連れてこられて
6レジのヘルプについた古株の売場担当さんだった。


No.270

「奥様」はいつものように
パァッと明るい笑顔になり


「私ね?このお店でのお買い物がとても楽しいの。ここの店員さん達はいつも親切だから大好き!!ずっと応援させていただくから、皆さん頑張ってね!!」と言って下さった。


そして後ろに次のお客様が来たことに気がつくと
「あら大変、忙しいのにごめんなさいね」と手早くお会計を済ませると
「ありがとう。それじゃあ、また来るわね。」と言い


Eさんとおばちゃんは
「はい!!ぜひ、またお越し下さいませ。お待ち致しております。ありがとうございました」と笑顔で奥様を見送った。


No.269

そう…
「奥様」は、おばちゃんが店員である立場上、言いたくても言えない事をスッキリと代弁してくれたと思っていた。


『この店が大嫌いで△△△△△が良ければ、じゃあ何故来たの?
最初から、そちらに行けば良いじゃない?』と
先程のお客様が騒ぎ立てている時に、おばちゃんはずっと心で毒づいていたのだ。


No.268

「落ち着いて良かったわね…」と、奥様がそっと覗くようにレジに来た。


「あ、先程は本当にありがとうございました。お騒がせして申し訳ございませんでした。」とEさんは奥様のお買い物カゴを受け取った。


どうやら御精算せずに事を見守ってくれていたようだ。


「ううん、余計な事したかしら?と気になってしまって…」と奥様は申し訳なさそうに言ったが


「とんでもない。すごく助かりました。ありがとうございました。」と、おばちゃんが言うと


「そう?なんだか…この店を大嫌いとか悪く言われると我慢できなくて…ごめんなさいね」と奥様は頭を下げる。


「いえいえ!!そんな風に思っていただけて嬉しいです。」とEさんは恐縮し、おばちゃんもウンウンと頷いた。


No.267

「ありがとうございました。またお越し下さいませ。」と、その後ろ姿に声をかけて見送ると


副店長は
「あ~…なるほど…ね」と意味深に呟いて


6レジにヘルプで入った売場担当に「ありがとう、様子見て売場に戻って下さい」と言い


「Eさんも◆◆さんも大変だったね…気にしなくて大丈夫ですから、いつも通りの調子で頑張って下さい」と
笑顔で「宜しくお願いしまーす」と事務所へ戻って行った。


No.266

それを聞いた副店長が
「私の指導不足でご迷惑をお掛け致しました。もし宜しければ、少しお時間を頂いてしまいますが、商品について私のほうで再度詳しくご説明させていただきます。」と言ったが


すっかり大人しくなったお客様は「いいえ、もう大丈夫だから良いです」と早口で言うと
商品を受け取りながら、足早に逃げるように出口に向かった。

No.265

怒っていたお客様は
精算が終わりレシートとお釣りを受け取りながら
「別に…もう良いから…」と、副店長の顔も見ずに言った。


「そうですか…お客様、申し訳ございません。先程お客様の応対をさせていただきました売場担当の者から、何か失礼があったかもしれないと報告を受けたのですが…」と副店長が言うと


お客様は「あ~……別に……分かりにくくてイライラしただけなんで…」と言う。
さっきとは別人のように大人しい。

No.264

副店長はレジに到着すると
まずは周りのお客様に「大変お待たせして申し訳ございません」とお詫びを言い


おばちゃんのヘルプコールを受けて一緒に連れてきた別の売場担当に
「6レジ開けて。」と指示を出し
「次にお待ちのお客様から空いているレジへどうぞ」と素早く対処し


それから、怒っていたお客様に向き合って「いらっしゃいませ」と深々とお辞儀をした後
「申し訳ございません。お客様、こちらで何か不手際はございましたでしょうか?」と丁寧な姿勢で尋ねた。


その対応の早さはさすがである。


No.263

そこへ遠くから急ぎ足でこちらへ向かってくる副店長が見えた。


奥様が「ほら、ちょうど副店長さんがいらっしゃったわ。」と言うと
怒っていたお客様は
「もう良いから!!早く、早く精算して!!」と
副店長が到着する前に逃げ出したいかのように急かした。


No.262

「待たせるとおっしゃっていたけれど
レジの方に不手際はないですよ?貴女がいつまでも怒ってらっしゃるから、余計に進まなくなるでしょう?
売場でどんな事があったかは分かりませんが
それはこちらの上の方に話せば宜しくないですか?こちらの店長さんも副店長さんも、お客の話には丁寧に耳を傾けて聞いて下さる方達ですよ。
そんな大きな声でレジの方を責めていては、急いで頑張っていらっしゃるのに気の毒だわ。
それに…そんなにこちらのお店が大嫌いでしたら、最初から△△△△△にお買い物に行かれれば宜しいのではないかしら?
余計な事だったら、ごめんなさいね。」と


奥様は落ち着いた口調で穏やかに言った。

No.261

「はぁ?」と振り向いたお客様に向かって奥様は話続けた。


「ごめんなさい。お店が混雑してらっしゃるのが分からないかしら?
他の皆さんも同じ様に順番を待っていらっしゃるけれど
貴女のように大きな声を出してる方はいらっしゃらないでしょう?」と
奥様は周りを見てごらんなさい。というような感じで辺りを見回して言った。


怒っていたお客様は不機嫌な顔で奥様の話を黙って聞いている。


奥様は「ね?」と、やんわり相手の反応を見てから更に続けた。


No.260

その時である。
後ろでこのやりとりをずっと見ていた「奥様」が

「ちょっと宜しいかしら?」と、そのお客様に向かって言ったのだ。

No.259

「本当に気分が悪いわ!!だから大嫌いなのよ、この店は!!△△△△△に行ってみなさい!?店員もきちんとしてるから!!あなた達とは大違いだから!!」と…


△△△△△とは、おばちゃんの店と同業の店である。


「申し訳ございません。」と、おばちゃんとEさんは頭を下げてお詫びする。

これはタチが悪いお客様だと思い、おばちゃんはマニュアル通りにそっと…レジのヘルプコールを鳴らした。


No.258

そう文句を言っているうちに
そのお客様の順番になったので


おばちゃんと一緒にレジでキャッシャーをしていたEさんは
「いらっしゃいませ。大変お待たせして申し訳ございません。」と深々と頭を下げてお詫びした。


おばちゃんも一緒に「申し訳ございません。」とお詫びする。


Eさんはすぐにピッ。ピッ。と商品のスキャニングを始めたが


そのお客様は更に文句を言い続けた。

No.257

Nさんを怒鳴ったお客様は
もう自分の順番が来るという時に大きな声でこう言った。


「なんなの~この店は!?接客態度は最悪だし、レジでは散々待たせるし!!いい加減にしてちょうだい!!」と…


No.256

奥様は一瞬「あらあら?」と驚いたようだが
さすが「奥様」だ。
無理矢理に割り込まれたからといって、何か言うでもなく
すぐに冷静な感じで何もなかったように、割り込んだお客様の後ろに並ばれた。


割り込んだお客様もツンッと澄ました顔である。


No.255

レジでサポートしていると
右側の奥から常連のお客様である「奥様」が歩いてきて
おばちゃんに気がつくと「あっ!?」という表情をされたので
おばちゃんは笑顔で軽く会釈した。
奥様は、にこやかに小さく手を振って、おばちゃんのレジに並ぼうとしたのだが


そこへ先程、Nさんに対して「もういいわ!!」と怒ったお客様が横から割り込んだのだ。


No.254

Nさんは勿論、おばちゃんもポカーンである。
傍で聞いている限り、Nさんの接客に問題はなかった。
何か失礼があったとは思えない。

「え?」とフリーズしていると
インカムでサッカー(レジでの袋詰めや梱包)のヘルプコールがきた。


気にはなるが、おばちゃんは急いでレジへ向かわなければならなかった。


No.253

おばちゃんの接客が終わり
お客様がお求めになったオーブンの発注手続きの為に端末で在庫などを確認していると


Nさんが接客していた「面倒なお客様」が
Nさんに対して、いきなり「もういいわ!!」と怒りだしたのだ。


No.252

その日も店は混み合っていた。
インカムではスタッフ同士のやり取りが飛び交い
ヘルプなどのコールが鳴り響く。

おばちゃんも次から次へと接客に追われ、店の中を右へ左へと走り回っていた。


そしてオーブンをお求めのお客様に商品の説明をしていた時の事だ。
おばちゃんの近くでは
本来は寝具売場担当のNさんが、お客様の流れに流されて来ていた。


どうやら、説明書を読めば誰でも分かりそうな内容を
何度も何度も事細かに口頭で説明させられている。
言葉は悪いが「面倒なお客様」に捕まっているようだ。


No.251

スタッフとちょっとした会話を交わしては
「あら、うふふふふ…」と可愛らしく笑い


「~してらっしゃるの?」とか
「そうなの?素敵ね~」とか
「もしかして~なのかしら?」と
ゆっくりと穏やかに話される方なのだが


この奥様のおかげでスッキリした出来事がある。

No.250

いつも上品にサラリとスカートとパンプスを着こなして
にこやかに御来店されると


おばちゃんに「あら、◆◆さん…お久しぶりだけど元気だった?」と、必ず声をかけてくれる。


「お久しぶり」とは言っても2~3日おきに御来店されているのだが

スタッフのほぼ全員名前をきちんと覚えていて
売場で会ったら必ず1人1人に声をかけてくれるのだ。


No.249

おばちゃんの社会復帰とも言えるパート勤めも8ヶ月になった。


日々、淡々と仕事をしていくうちに「常連」のお客様のお顔を覚えるようになったのだが


この常連のお客様の中に、「奥様」という呼び名がピッタリなお上品な方がいる。
カフェカーテンやランチョンマット、アートパネルにフロアーライト…硝子や陶器のインテリア雑貨などなど

インテリアの売場でのお買物が特にお気に入りのようだ。

No.248

普通なら他人事であるにも関わらず、なんて親切なお客様なのだろう。
そう思いながら店に台車を押して戻ると



遠目に先程の親切なお客様が、杖をついたお年寄りと一緒に買い物をされていた。
どうやら孫とお祖父ちゃんらしい。


ああ、日頃からあんな感じでお年寄りと接しているから
他人にも自然と「思いやり」が持てるお客様なのだなぁ~と
おばちゃんは思った。


No.247

「ありがとうございます!!本当に助かりました。」と、おばちゃんが本当に本当に心から感謝した。

親切なお客様は「いえいえ。それじゃ!!」と笑顔で去っていった。


商品をお買い上げされたお客様も「じゃ、どーも。」と…言ったので

おばちゃんはマニュアル通りに頭を下げ
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」と言い
お客様を見送った。



No.246

何度も言うが
商品をお買い上げされたお客様当人は、その様子さえも
ぼぇーーっと突っ立って見ていた。


お車の所まで親切なお客様が運んでくれたので
おばちゃんが「お客様に運んでいただくなんて、本当に申し訳ございません。ありがとうございました。」と深々と頭を下げてお礼を言ったのだが


お買い上げされたお客様は他人事のように関心もない様子で
「積めるかなぁ~」と呑気に言った。


親切なお客様は
「大丈夫。積めますよ。」と言いながら
力強くヒョイと両手で荷物を持ち上げて、手慣れた感じで車の後部に商品を乗せてくれた。


No.245

親切なお客様は爽やかな笑顔で
商品と台車に手をかけて
「手伝いますよ。どちらに運ぶのですか?」と聞いてきたので


「いえいえ、私の仕事ですから、そんなお客様に運んでいただいては申し訳ないです。ありがとうございます!!もう大丈夫ですので…本当に助かりました。」と、おばちゃんは慌てて言ったのだが


親切なお客様はキョロキョロと周りを見て
「あの白い車ですね?大丈夫ですよ…自分は運送の仕事してるんで…」と
軽々と台車を進めてくれた。


No.244

ふと見ると
商品をお買い上げされたお客様と同じくらいの年頃で、 通りかかりの別のお客様が手伝ってくれたのだ。


当のお買い上げされたお客様は、自分のお車の後ろを開けて
相変わらずぼぇーーっと、こちらを突っ立って見ていた。


No.243

そんな時である。


ぐぉ~っ!!と声にならない唸りをあげながら
必死に押していた台車が、急にフッと前に進み軽くなった。


一瞬、状況が掴めずビクッとするおばちゃんに
商品の向こう側から「大丈夫ですか?」と声がかけられた。


No.242

お客様はスタスタと先にお車へ向かって行ってしまうが


おばちゃんは1人で、アスファルトの段差に台車が足止めされて
またしても苦戦していた。


No.241

そんな質問に
「中に詳しく組立手順の分かりやすい説明書や、六角レンチやボンドなども入っていますので、わりと組立は簡単だと思います。」とか
「普通に一般的なドアのサイズでしたら大丈夫ですよ。」と笑顔で答えながら


どうにかこうにか~
ようやく台車に積み込み


今度はお会計後にお車へ積み込む為に
台車に乗せたまま外へ出た。


No.240

おばちゃん1人では簡単には運べない
かなり重たい商品を、どうにかこうにか台車に積もうと苦戦している時も
その商品をお買い上げのお客様自身は、ぼぇーーっとただ見ていた。


「これの組立って~難しいっすか?」とか
「普通のドアから運べるよね?」とか
質問までがアホゥのように聞こえてくるから不思議だ。


No.239

そう!!組立家具と言えば
今日、とても素敵だなぁ~と思ったお客様がいらっしゃった。


以前(No198)のレスに書いたようなお客様なのだが
少し違うのは
自分が買った訳ではない
別のお客様の物なのに…
という事である。


No.238

在庫を切らしていたのなら、呼ばれるのも分かる。


だが
見本の展示品の下に誰が見ても分かるように…
これが、この在庫ですよ!と番号までついていて


しかも、どう見ても…
おばちゃんよりも若かったり
力のありそうな男性だったり、
普通に商品を乗せれるカートを押しているのに…


何故か
【お客様様】は「これ1つ」とご注文なされたうえに
お会計後も「白いあの車ね」と
おばちゃんに商品をお車まで運ばさせて下さるのだ。


あ~~~~~~
な~~~~~~~んて
【お客様様様】なのでしょう~~と
またしても心で毒づくおばちゃんだった。



No.237

ちょっとした組立家具なんかの時には
「お客様である」という自己主張の強い「お客様」が、たまーにいる。

混雑時に何度も何度も、これでもか!!というくらい店員を呼び続け

ようやく駆けつけた店員が「いらっしゃいませ。大変お待たせ致しました。」と息を切らし駆けつけると


普通にカートに積めるほどの大きさの組立家具を指差し

【お客様様】は「これ…1つ」とご注文なされるのだ。


いやいや
これが、ご老人や年配の方なら「はい。ありがとうございます。お1つですね?」と勧んで応対させていただく。


No.236

でも、何故かしらこの
ツラーッと横入りしてくるお客様というのは
「一緒に選んで」とか
「どうやって使うか説明してほしい」とか
サササッとでは済まない事が多いのだ。


だからこそ
申し訳ございません。今、別の者をお呼び致します。とお詫びをするのだが


「待ってられん!!」(*`Д´)ノ!!!
「もういい!!」(*`Д´)ノ!!!
と、怒る。


自己中、我儘の極みである。


No.235

そりゃあ…ね…


2~3分でサササッとできてしまう接客ならば、いくら横入りとは言っても


最初に接客していたお客様に一言「申し訳ございません。少々お待ちください。」と言ってサササッと手早くできれば、どちらのお客様も不快になる事は殆どない。


No.234

それじゃあ、何??
先に接客していたお客様を待たせて、自分を優先させろという事ですか?


それとも何?
はい。分かりました。と、
先に接客していたお客様の注文を光の早さで終わらせろという事ですか??


無理ですから…

本当に…


体が二体あるなら可能。


要するに、二人いなければ無理ですから…



No.233

「申し訳ございません、お客様。只今こちらのお客様の応対中ですので、すぐ別の者をお呼び致します。少々お待ち下さいませ。」と、頭を下げて丁寧にお詫びするものの…


「じゃあ、もういいわ…」と、ふてくされたり
返事もせずにプイッと居なくなったり
「待てないから言ってるのに…」とイラついたり



正直
「あんたら…何なん???」
と、言いたくなる。

No.232

簡単に「クッションカバーはどこだったかしら?」「スノコ板なんて置いてますか?」くらいなら、売場担当としても助かるのだが


「このフロアーマットと同じ柄で色違いがあった筈なんだけど…」と、
他店やメーカーに在庫を確認して、あれば『お取り寄せの手続き』やら『配達の手続き』などをしなければならない時


相変わらず、接客中に平気で横から「すいません、これと同じ物を探してて、5個欲しいんだけど」と横入りしてくるお客様が実に多い…

これには日々、ストレスを感じずにいられない。


No.231

春になり新年度が始まった。


新しく独り暮らしや新生活をスタートするお客様などで連日のように店は繁盛している。


スタッフも皆、この混乱の中
どうすればお客様を順番に迅速に応対して行けるかと
頭をフル回転しながら
売場を右へ左へと動き回る。


No.230

最近になり、時給は10円UPしたおばちゃんだが
当初は最低賃金並みのスタートだった。
だが
そこには最初からなんの不満もなかったのだ。


職を探し始めた時から時給には拘りはなかった。


長く続けて行くための「遣り甲斐」もあり、こんなに人間関係に恵まれている。


おばちゃんにとって、希望通りの職場なのだ。


No.229

おばちゃんはこの仕事についてから今の今まで
実は1度も「仕事に行きたくないなぁ」と思った事がない。


お客様の事で多々「嫌だなぁ」と不快な気持ちになる事はあっても


必ず、その日の終業時間までには上司や正社員さんやパートの同僚達が何かしら声をかけてくれるから
スッキリとした気持ちで帰宅する事ができるのだ。


No.228

社員の要望、パートの要望
その1つ1つの全ては無理でも
出来る限りの事は必ず耳を傾けて対処しようとしてくれる。


さすが規模の大きな会社だなぁ~と、おばちゃんの家族も関心するくらいだ。


No.227

おばちゃんは上司や同僚には本当に恵まれた事を感謝している。


仕事上のどんな些細な心配事や悩みも親身に相談にのって、的確なアドバイスをくれる上司。


社員もパートもお互いがお互いの仕事をサーポートするチームワークには、かなり助けられているし

どこの会社にもいるような?意味もなく新人に態度の冷たい古株さんもいない。


正確にいうと
古株さんは沢山いる。大半がもう何年もこの店に勤めていて、この先も辞めるつもりはない方たちが多い。
人の入れ替えは社員の転勤以外は殆どないのだ。
なのに、この店には意地悪な古株さんは一人もいない。


これは奇跡とも言える気がする。

No.226

店長は
「うわぁ…それは困ったお客様だな…。そういう場合は我慢しないで、すぐに社員を呼んで代わってもらって良いですよ。お客様だからといって何をしても良い訳ではないですから…場合によってはこちらから、ご来店をお断りする事もできますから、お客様には売場の担当に代わります。と言って、遠慮せずにすぐに社員を呼んで下さい。」と言った。


「はい。分かりました。ありがとうございます。…でも、私も腹が立ったとはいえ、失礼な態度をとってしまったと思います。すみません。」と、おばちゃんが謝ると

店長はニコニコと笑顔で励ますように
「大丈夫ですよ。分かりました。もし◆◆さんが、そちらのお客様の顔を覚えていて、また来店されたら僕に知らせてください。注意して見るようにします。」と言ってくれた。

No.225

「イライラ様」のイライラが感染したおばちゃんは
そのまま、真っ直ぐ事務所へ向かった。
ドアをノックして中に入る。
報告するべき副店長がいなかったが
店長が「ん?どうした◆◆さん?」と穏やかな笑顔で聞いてきた。


「すみません店長…」おばちゃんはイライラ様の事を店長に報告した。


No.224

こんな暴言吐かれて、ニコニコと丁寧な応対などしてられるか?と、おばちゃんは思った。


「イライラ様」が一人でギャアギャア言い続ける言葉など、完全スルーだ…
時折、まだ「馬鹿」という単語だけが耳につく


おばちゃんは無表情に淡々と
「カラーボックスはこちらでございます。」と後ろの通路をご案内して
無感情に「ありがとうございます」と言って、その場を離れた。


No.223

既に感情のコントロールが制御できなくなったおばちゃんは
(店員失格かもしれないが…)
もうお詫びなど言うつもりは全くなくなった。


こいつの家族構成など知ったこっちゃないが、もしいるなら「仏」のような人達だろう。


No.222

すると「イライラ様」は更にヒートアップした口調で


「だから!!カラーボックスで良いと言ってるだろうが!!バカヤロ~!俺に金がないの分かってるだろう!?!こんな家具を勧めやがって、おまえは馬鹿か!?馬鹿だろ!?」と言う。


さすがに、おばちゃんはカッチーン(`ω´#)ときた…


おい、おっさん!
おまえの金が云々なんて知るわけねーだろ!?カラーボックスだ?そんなん言ってなかっただろうが!?なんで、馬鹿なおまえに馬鹿馬鹿言われなきゃならんのだ!?
と…
心の中で毒づきまくった。


No.221

そしてまたブツブツブツブツと独り言を言い


急に大きな声で
「だいたいおまえは、俺がこんなの買えないと分かってて言ってるだろーが!?あ?!」と一人でイライラしている。


いいえ…(-ω-;)
見ず知らずの他人の懐事情など知りもしませんが…
ひどい僻み根性というか…被害妄想というか…


おばちゃんは
「申し訳ございません。お客様…洋服を収納される家具をお求めではなかったでしょうか?」とやんわり聞いた。


No.220

なんか…ちょっと苦手なお客様だなぁ~と思いつつ


売場へ到着したおばちゃんは
「洋服タンス、チェストやロッカーなどはこちらでございます。」とお客様に言うと


収納家具がズラリと並んだ通路を見渡したお客様は
「こんな高い値段の物を買える訳ねぇーだろ!バカか?おまえは?!!」と暴言を吐いたのだ。


商品の価格は、どれもさほど高値ではない。
「買うつもり」でいたならば「それくらいはするだろう」と分かる程度の価格だ。


No.219

そう、それは本当に「独り言」。

聞こえるか聞こえないか微妙に小さな声で
ずっとブツブツブツブツ言っている。


「あ~!!チッ!測らなかったな…」ブツブツブツブツ
「そんなに大きいのはいらねぇんだよな…」ブツブツブツブツ


「別にケースでも良いか…入れば…」ブツブツブツブツ

と…
ずっとイライライライラした様子。

No.218

つい最近の事だ。


「ちょっと!!店員!!洋服をしまうタンスは!?!」と、やけに不機嫌なお客様に呼び止められた。


「いらっしゃいませ。洋服タンス、チェストなど収納家具はこちらでございます。」と売場へお客様をご案内する。



途中、途中、お客様はおばちゃんの後ろでブツブツと独り言を言っていた。


No.217

なぜ、楽しく買い物できないのかな…と、おばちゃんは思う。


当然、中には店員の応対の悪さに腹を立ててしまうお客様もいるだろう。


しかし応対につく前から…
ご来店早々に、最初からイライラした口調のお客様も確かにいるのだ。


その大半は
(おばちゃんの店の場合は)
だいたい60~70代の男性だ。


No.216

その後、聞いた話では


袋を破いた「逆ギレ様」は
レジのチェッカーとサッキングの担当が破かれた袋に気がつき
何かを言おうとした瞬間


「あ、良いの良いの。気にしないで。中が見たいと言ったら店員さんが袋を破いちゃったんだけど、自宅用だから大丈夫」と言っていたらしい



いやいや
店員さんが破いちゃったって?
自分でやった事だろうが…?


おばちゃんに啖呵切ったように
「最初から買うつもりで開けたんですけど!」と言えば良かろう?


とんだ良いお客様気取りである。

こんな呆れた大人にはならないように!という見本みたいなお客様だ…

No.215

副店長は
「うん。それで大丈夫です。お客様を問い詰めるような事はできないし、犯人扱いする事は絶対にしてはいけないから…それで正解。腹は立つけど仕方ない……」と言い


破かれた袋は補修した後
値下げで訳あり特価のコーナーに並べるように指示された。


No.214

おばちゃんは、事の流れや内容を副店長に報告して
袋を破かれた商品を差し出した。

誰かをインカムで呼べるような雰囲気ではなかった為に
おばちゃん1人の判断で行動してしまった事やお客様にかけた言葉に間違いはなかったか?
副店長の判断や意見を聞きたかった。


No.213

ところが、ふと商品の棚に目を向けると
お客様がおばちゃんの目の前で破いて開けた商品の他にも
それと色違いの商品が2つほど同じように袋を破られ、棚の奥のほうに隠すように置いてあった。


おばちゃんの走らせた目線の先に気がついたお客様は
「それは私じゃないですから!!」と怒り口調で言いながら、逃げるように去っていった。


どう思う?


いやいや貴女でしょう?
(;・・)σ
そう思ってしまうのが、普通の流れ…
100歩譲って、それが違ったとしても
非常識なうえに逆ギレ…
みっともない大人がいるものだ。

No.212

正直、本音を言えば
【見苦しい言い訳だなぁ】と思う。

会計前の商品を「買うと決めていたから」といって、勝手に破いて開ける人は滅多にいないだろう。それが常識であり、それこそ社会人のマナーというものではないだろうか?


だが、お客様がそう言い張るなら、強くは出れないのが現状だ。


おばちゃんはお客様の言葉にニッコリと微笑み
「お買い上げありがとうございます。」と言うしかなかった。


No.211

「申し訳ございません、お客様…商品の見本が御必要でしたら、ご遠慮なく店員にお申し付け下さいませ。」


それが精一杯考えて、お客様におばちゃんがかける事ができた言葉だ。


すると、お客様は
「は?最初から買うつもりで開けたんですけど!」と強気で言った。


No.210

気まずい空気が流れた。


破いた袋の商品を手に持ったまま…お客様はフリーズしている。


その瞬間を見てしまってから
今更「お客様、何かお探しでしょうか?」ではあまりにも不自然すぎる。


おばちゃんは何と声をかけるべきか迷った。



No.209

春だからだろうか?
それともこの地域が特殊なのだろうか?


最近、妙に変なお客様が多い…


先日、品だしをしながら棚の整理をしていた時の事だ。
おばちゃんがいる通路の裏側にいたお客様が随分と長い時間、売場でゴソゴソガサガサとしていた。


何をしているんだろう?と、ふと思ったおばちゃんは、裏側の通路へ行き、お客様に「いらっしゃいませ~」と声をかけたたのだが


それと、お客様が商品の袋をビリビリッと破いて開けた瞬間が同時だったのだ。


No.208

お会計の後
お客様宅に配達する商品の「配送手続き」の為にサービスカウンターへご案内した。


大きな物や重たい物など、消耗品以外は殆んどが配達だった為
お車への積み込み作業もなく
「ここまで」がおばちゃんの仕事だ。


「配送手続きをお願い致します」とサービスカウンターの係に引き継ぐと


おばちゃんは再度、お客様に
「ありがとうございました。またお越し下さいませ。」と心を込めてゆっくりお辞儀した。


お客様も「店員さん、ありがとう。また来るわね」と笑顔で手を振ってくれた。


おばちゃんの心に残る大切なお客様である。


No.207

最後に一緒に炊飯ジャーを選び、蛍光灯や消耗品の売場へご案内をして
レジでお会計をする時に並んでいると


ふとお客様が
「店員さん、今日は本当にありがとう。いつも娘が一緒に買い物に行ってくれていたものだから、私1人じゃ何も決められなくて…
店員さんが一緒に選んでくれたから、娘と買い物してるみたいで本当に助かったの。楽しかったわ。」と、嬉しそうに言ってくれたのだ。


このお客様の言葉におばちゃんは「ああ…この仕事をしていて良かった」と、つくづく思った。
お客様の嬉しそうな笑顔に気持ちがほっこりと暖かくなる。


「いえいえ、私も一緒にご案内させていただいて楽しかったです。ありがとうございます。」と、心から感謝した。


No.206

お客様が見せてくれたお部屋の写真を元に
二人であれこれと相談しながら
カーペットにソファーカバー
レースのカーテンを選んだ。


「店員さんなら、どちらの色にする?」とか
「店員さんなら、どれが良い?」など、おばちゃんに意見を聞いては
「じゃあ、そうしよう!」とはしゃぐお客様…


ふと、生前の母との買い物を思い出す。



不覚にもおばあちゃんは
ちょっぴり泣きそうだった。


No.205

「そうでしたか…娘さんも遠いとお寂しいでしょうね…」と、おばちゃんが言うと


「そうね…でも…1人娘で主人も亡くなったから、寂しいのは娘より私のほうかもしれないわ」とお客様は寂しそうにウフフと笑い
寂しくしんみりした雰囲気を吹っ切るように

「あ、あった!店員さん!写真、ちゃんと撮れてた!」 とはしゃぐように言った。


No.204

「あのね…」と言いながら、お客様はゴソゴソと鞄からスマホを出して
「こんなお部屋なんだけど…」と、おばちゃんにお部屋の写真を見せてくれようとしたのだが
不慣れな感じで、なかなか操作が上手くできない。


「あら?あらら?違った…」と呟きながら
お客様は「ごめんなさい、娘が旦那さんの転勤で遠くに行ってしまったものだから、娘に持ちなさいと言われて…持ったけど…全然、使いこなせてないの…写真も撮れてなかったりしてね…」と、恥ずかしそうに笑った。



No.203

ああ、そうだ…


この小柄で可愛らしく、控え目で生真面目そうな感じ…


亡くなった母の面影に似ているのだ…


おばちゃんはもう2度と会えなくなった母を想いだし少し切なくなった。


No.202

「カーペット売場はこちらでございます。」とお客様をゆっくり誘導しながら
どんな色で無地か柄物かなど、お客様のお求めになる品を聞く


お客様は「そーねぇ…できれば素敵な柄物が欲しいけれど…お部屋が狭く見えるかしら…」と真剣に悩んでいる様子…


小柄で美人というより可愛らしく、品のあるお客様だなぁ…と、ふと思った瞬間
おばちゃんは気がついた。


No.201

おばあちゃんは「いらっしゃいませ。大丈夫ですよ。何かおさがしでしょうか?お客様。」と笑顔で応対した。


女性はホッとした笑顔で
「色々と買いたいのだけど、一人では選べなくて…ごめんなさいね」と言う。


「いえいえ、私で宜しければ御案内させていただきます。何をお探しですか?」と尋ねると


「え…と、まずはカーペットを…」と、お客様はメモ書きをポケットから取り出した。


No.200

お昼時間が近づくと、そんな売場も一時だけフッと息をつく間ができた。


今のうちに伝票を整理して手違いのないように確認してしまおう!!と事務所へ行き、午後からの嵐に備えた。


手早く事務仕事を済ませて売場へ戻る途中…


横脇の通路から「あのぅ…すみません。今、忙しいかしら?」と、60代後半くらいの女性のお客様に呼び止められた。


No.199

おばちゃんの心がほっこりしたお客様のお話。


年末、連日のように店は繁盛。
レジの全てがフル稼働していてもレジに並ぶお客様の数は減ることなく
そこら中で各売場のヘルプコールが鳴り
100㍍を歩くごとにお客様から「すみません」と声がかかる。


とにかく1つ1つこなしていかなければキリがない。
手元に後日配達や後日ご来店の客注伝票が増えてゆく。


No.198

重い商品を積み込むのも運ぶのも、これは店員の仕事なのだから


それをお客様にして下さい。とは勿論、思ってはいないし望んでもいない。


ただ
かなり重い商品を台車に積まなければならない時など
おばちゃんが一人では、なかなか持ち上げられない荷物と格闘し、あれこれ試行錯誤していても
その様子をボンヤリ眺めていたり、携帯を弄り知らんぷりしている男性のお客様もいる中で


スッと手を貸してくださるお客様の「男らしさ」


素敵だと思う。本当に。


No.197

これは、ご婦人に限らず
年配の男性でも「紳士だなぁ~」と感じる事がある。


例えば、お客様がお求めになった重い組立式のチェストを、おばちゃんが台車に積もうとすると

横からスッと
「いいよ。いいよ。お姉さん、僕が箱を持つから、お姉さんは台車を押さえてて…」と手を貸してくださり
積み込みが終わると「ありがとう。あとは自分で運べるから大丈夫だよ。」と言ってくださる。


そんな時のお客様の暖かい笑顔が、素直に素敵な方だなぁと思うのだ。

No.196

日々、仕事をしていると
「素敵な歳のとり方をされているな」と感じるお客様に出会う事がある。


お客様を売場へご案内するのは、おばちゃんの仕事の内だか


それでも「忙しいのにごめんなさいね」と申し訳なさそうに言い
お目当ての商品が見つかった時は嬉しそうに「ありがとう。助かりました。」と笑顔で言ってくださる。


そんな時は本当にお客様に心から感謝しながら
…品のあるお客様だなぁ~と
つくづく思うのだ。

No.195

店員だって業務から外れて一歩外に出れば「普通の人」だ。


どこにでもいる「母親」だったり「父親」だったり「娘」や「息子」だったり…


自分の家族がちゃんと仕事をしているのに
やられた立場になってみろ!と言いたい。


まぁ、そんな事を考えもしないやつだから、ツラッとそういう事をするんだろうけどね。


No.194

さすがにおばちゃんの顔から笑顔が消えた。
真顔で「何かお探しでしょうか?お客様。」と抑揚のない声で聞いてみた。


ジジ…いや、お客様は一瞬たじろいで
「これ、何メートルあるかなぁ…とか思って…」とヘラヘラ笑いながら誤魔化す。
目は泳いでいた。


だったら声をかければ良かろう。お客様とはいえ商品で店員の尻を何度も突っつく事あるか?


おばちゃんは無言でメジャーを取りだし長さを測ると
「1.8でございます。」と真顔で言った。


「ああ、そう…ふーん」と落ち着きない様子でブツブツ言いながら去っていった。…


冗談じゃない。
酔っぱらいのエロジジィ…
やってる事は痴漢だろう?
あともう少し何かしたら警察に突きだしてやるところだ。


顔はしっかり頭にインプットした。
2度と来るな…!と心から思った。

No.193

高い位置にある商品を脚立を使って補充していた時の事だ。


人の気配を感じて振り向くと、60代くらいのジジ…いや、お客様がおばちゃんのお尻をジロジロと眺めていた。


おっちゃん…40過ぎたババアの尻を眺めていた楽しいか?と思ったが「いらっしゃいませ」と笑顔で声をかけた。


ジジ…いや、お客様は黙ってその場を離れたが
またウロウロと周りを彷徨き、おばちゃんの尻をジロジロと眺めていた。
酒臭い…
年始だったのでホロ酔い気分の買い物か?と思いながら作業を続けていると

お尻に何かが当たった。
ジジ…いやお客様である。
商品の長いコードレールを使い、おばちゃんの尻を突っついてきたのだ。


これは既に痴漢行為である。


No.192

[店員は好き嫌いでお客様を選んではいけない。]
それは分かっている。


だけど
お客様だからといって、最低限のマナーは持っていてほしい。


[お客様は神様…]なんて冗談じゃない。
そんな威張り散らして悪態つく神様がいてたまるか!と、おばちゃんは思うのだ。


No.191

「見慣れない店員だったから洗礼を受けたんじゃない?あのお客様を気にしていたら仕事にならないからサラリと流したら良いですよ」なんて他の売場担当のSさんは笑った。


なるほど…


でも、やはり
また来店した時は嫌でも何でも
お客様である以上は応対しなければならないのね…と


おばちゃんは、あの悪臭とカートを蹴り出した「割り込み様」の顔を思い出すだけで嫌悪感しか沸いてこない。

No.190

後々、他の売場担当の方から聞いた話では
いつもフラリと店に現れては
色々な売場で散々店員を振り回し、大きな声で喚いたり文句を言って結局は何も買わずに帰えるらしく


あまりにも暴れ方が酷い時もあるので
「割り込み様」がご来店されたら報告するという裏の決まりがあるという。


No.189

事務所のドアをノックして中に入ると
副店長が「どうした?困った顔して…」と心配そうに言う。


「副店長、すみません…」
おばちゃんは「割り込み様」が怒って帰られた経緯を話した。


すると「うん。うん。」と聞いていた副店長が途中で「あはは…」と笑い
「あーっ、いつものお客様ね。先程Tさんから今日はテーブルクロスを選びにいらっしゃっていたと報告は聞きました。あのお客様は気にしなくて大丈夫ですよ。」と言う。


No.188

なんだかよく分からないが
お客様が怒って帰られた事は、ちゃんと上司に報告するべきだろう…とおばちゃんは思った。


副店長に「今どちらにいらっしゃいますか?」とインカムで尋ねると「事務所にいますよ」と言ったのでおばちゃんは重い足取りで事務所に向かった。


No.187

Σ( ̄□ ̄;)は?!
だから、だったら最初から近所のホームセンターに行ってくれ。
そう言いたくなる気持ちをグッとこらえ


「ご希望に添えなくて申し訳ございません。」とお詫びする。


「いいわ!!もう!!これはあんたが処分しなさい!!同じ物を用意できなかったんだから!!!」と
「割り込み様」は大きな声で喚き散らして
悪臭を放つテーブルクロスをおばちゃんに押し付けると
他には何も購入していない空の買い物カートを足でおばちゃんの方に蹴り出し、帰って行った。


すごく嫌な気分である。


No.186

で…?それ以上どうすれと?…
おばちゃんは少し考え込んだ。


「そうですか…うーん…お客様がお持ちいただいたこちらのクロスと同じ物をご用意する事はできませんので、似たような柄となるとカットさせていただいたこちらのクロスしかないものですから…
あとはお客様にあちらの中から選んで頂く事になりますが…」と、言うと


「割り込み様」は「使えない店ね!!近所のホームセンターのほうが、よっぽどマシ!!」と言った。



No.185

だったら、その近所のホームセンターに行けば良かろう…と思いつつ


「そうでしたか…当店ではお取り扱いのない商品ですので、似たような柄の物をおすすめさせていただいたのだと思います。」 と、おばちゃんが言うと


「そうよ。ないって店員が言って、こんなのすすめられたから切らせたけど気に入らんわ」とツラッと言う…


No.184

一瞬、そのクロスの汚さに固まったおばちゃんだったが


「申し訳ございません。お客様、こちらは以前に当店でお買い求め頂いた品でしょうか?」と尋ねると


「ううん。近所のホームセンターで買ったの。気に入っていたのよ」と答える。


No.183

そして先程と同様に自宅から持参したらしき袋から
「どーしたらこんなに汚れるのだろう」とさえ思うような、油にまみれたテーブルクロスをガサガサと差し出した。


辺りは油が古くなったような酷い匂いが充満した。


「割り込み様」は
「さっきの店員が、これと全く同じのはないっていうけど本当にないの?」と言う。


No.182

「割り込み様」の手にはTさんがカットしたと思われるテーブルクロス…


「やっぱりこれいらないわ」と、テーブルクロスをおばちゃんに押し返し
「会計前なんだから、他のにする」と言う。


No.181

ところが…である。


「割り込み様」もとっくにお買い物を終えて帰ったであろう時間が過ぎた頃


「ちょっと~!お姉さ~ん!!」と呼ばれ、おばちゃんが「いらっしゃいませ」と振り返ると
そこにまだ「割り込み様」が居た。

No.180

お客様の接客が終わり、発注手続きにサービスカウンターへ向かう途中
別の売場でお買い物を続ける「割り込み様」を遠目に見かけたけれど
「まだ居らっしゃったんだ…」と、さほど気にもせずに通りすぎた。

No.179

おばちゃんも先に接客していたお客様に「お時間がかかってしまい申し訳ございません」と言うと


お客様は「いえいえ、私は全然急がないから大丈夫。」と言いながら、チラリと「割り込み様」のいる方向を見て小声で「店員さんも大変ね…」と言った。


No.178

するとTさんが「割り込み様」を見て
「うわっ…また来たの?あの人…ちょっと要注意人物なんだよね」と小声で言った。


おばちゃんは状況を簡単にTさんに伝えた。


Tさんは「了解」と言い
「割り込み様」に「大変お待たせして申し訳ございません」とお詫びを言いながら駆け寄っていった。

No.177

「お待たせして申し訳ございません。やはり他の店員をお呼び致します。」と、おばちゃんはインカムでフォローを呼び掛けた。


近くの売場で接客中だったTさんが「今、接客が終わりましたので私が行きます」と応えてくれた。


Tさんがこちらへ来るのがチラリと見えたので
おばちゃんは「申し訳ございません。少々お待ちくださいませ」と言い
状況を説明するためにTさんがこちらへ近づく前に駆け寄った。

No.176

おばちゃんは「割り込み様」が待つ事を了承してくれたと受けとって「そうしましたら、今しばらくお待ちくださいませ」と再度お詫びを言った。
ここで「なるべく早くします」的な事を言えば、先に接客していたお客様に失礼になってしまう。


「割り込み様」も「ちょっとその辺見てるわ」と、その場を離れたので
先に接客中だったお客様に「すみません。お待たせ致しました。」と、商品の入荷日やお渡し日時などの話の続きを始めたが


5分も経っていないというのに
「割り込み様」が
「ちょっと!!まだなの!?早くしなさいよ!!!」と言い出した。

No.175

すると「割り込み様」は
「いいから!!あんたがやって!!」と大きな声で言う。


先に応対していたお客様は「何?!この人?」と驚いた表情だ。


「申し訳ございません。私ですと今しばらくお待たせしてしまいますが…よろしいですか?他の店員でしたら今お呼びできますが…?」とやんわり聞いた。


すると「割り込み様」は「あんたで良いから…」と言った。


なぜそんなにおばちゃんに接客されたいのか不明である。

No.174

困ったおばちゃんは「割り込み様」に「いらっしゃいませ」と言った後

「お客様、申し訳ございません。只今こちらのお客様の応対中ですので、すぐに他の店員をお呼び致します。少々お待ちくださいませ」とお詫びをして
すぐにインカムで誰かにフォローを頼もうとした。


No.173

その時おばちゃんは他のお客様の接客中だった。
お客様と向かい合い商品について説明したり、在庫の確認をしたりしている時だ。


そう…何度も言うが誰が見ても「接客中」だ。


そんな時に横から「すみません」と言うでもなく
いきなり「ちょっと!!」と会話に割り込みガサガサと持参した袋から何かを取りだし
「これね…全く同じ柄の同じ寸法が欲しいんだけど」と一方的にペラペラと話し始めるお客様が来た。

No.172

そんなおばちゃんが
今のお仕事を始めてから、一番「2度と来ないでほしい」と思ったお客様の実例がある。


おばちゃんの店では、ほんの少しだが、インテリアの一角でテーブルクロスのカット売りもしているのだが…
年末も迫り、誰もが家の大掃除を始めなきゃなぁ~と思う頃
そのお客様は来店した。


おばちゃんが3ヶ月間の実施期間を終え、4ヶ月もほんの少し過ぎた時だ。

No.171

それらを
顔や言葉や態度にはけして出さないが
「申し訳ございません」と頭を下げながら
「ありがとうございます」と笑顔でいながらも


心の中は毒だらけなんて事はよくあるのだ。

No.170

本来なら
お客様は皆、店員にとっては平等だ。


198円の商品を1つお買い上げのお客様も
19800円の商品を2つお買い上げのお客様も
どちらも同じお客様。
お買い上げの金額など関係ないのだ。


が…!!
おばちゃんだって人間。
「いくらお客様でもそれはないでしょう?」と思うお客様はいる。
正直、「他所へ行ってくれ」と言いたくなるお客様もいる。

「2度と来ないでほしい」と思う事さえある。


No.169

おばちゃんは基本、接客業は好きである。
嫌なお客様もたくさんいるが
良いお客様もたくさんいるからだ。

バタバタと慌ただしい作業の中、思わず気持ちがほっこりするようなお客様は、おばちゃんにとって「癒し」だったり

お客様からの
「忙しいのにありがとう」や
「聞いてみて良かったわ」や
「一緒に選んでくれて助かったよ」などなどの【ありがたーいお言葉】は
おばちゃんにとって
これからも仕事を続けて行く上での【励み】であり【活力】となる。


No.168

おばちゃんは共通タイプの紙パックで、おそらくちゃんと使えるだろうとは思ったが


それでも万が一で、この女性からのクレームは覚悟した。
「はい。売場担当の◆◆と申します。だいたい○曜日以外の○時~○時でしたら必ず居ますので、そのお時間にお電話下さい。」と言った。
女性は「分かった。◆◆さんね」と言い、共通タイプの紙パックを手にレジに向かった。


その後ろ姿に「ありがとうございます。」と言いながら


可愛くない…(#-ω-)
全くもって、可愛くない…
(#-ω-)


我が子よりは、ずっと歳上だけれど
まだ若いのに…

ああいう子が歳とったら、どういう女性になるんだろう…


お客様とはいえ
パートのおばちゃん相手に威張り散らして楽しかったかい?お嬢ちゃん…


まぁ他人だからどうでも良いけど…


No.167

すると女性のお客様は
「うーん…じゃあ貴女の名前聞いてくわ。違ったら貴女に電話するから!!」と言った。


(´-ω-)………


【お手数ですがこちらにお持ち下されば…】は、このお客様には通用しないらしい。
電話するから、おまえがどうにかしろと…そう言いたいのだろう。

No.166

色々なお客様がいるからこそ
その応対には臨機応変はつきもの。

自分では「これで大丈夫」と思う場合でも、稀に「合わなかった」「サイズが違った」「種類が違った」とクレームが発生する事はある。


そんな場合は…と副店長から教えられたのだ。
確実な「絶対」ではない時は、「もし合わなければ御返金、または商品交換致しますので、お手数ですがサービスカウンターへお持ちくださいと言っても良いですから」と…

No.165

それが良いか悪いかは分からないが
おばちゃんは「それでしたら、共通タイプの紙パックで大丈夫です。もし万が一、お使いの掃除機に合わなければ、お手数ですがこちらにお持ち下されば、ご返金致します」と言い切った。


これは副店長に教えてもらったマニュアルには書いていないマニュアルだ。


No.164

おばちゃんは迷った。
インカムで誰か呼ぼうかと…


でも、店内にある何千点以上もある商品、その商品1つ1つ…この程度の疑問がある度に誰かを呼んでいては
この先どうなる?

いつまで経っても「応対」など勤まらないではないか?

このお客様の場合、実際の使用法が分からないとか
商品についての詳細が不明な訳ではないのだ。
商品自体についての説明ができないならば誰かを呼ぶべきなのだろうけど…
この場合は違う。


No.163

何事も「普通」って何??と、その境界線は微妙だし人によって「普通」の境目は違うけれど

これが「普通」の一般的なお客様ならば
「そうなんだ。じゃあ間違えてたら困るから、家でメーカーの型番を見てからまたそのうち買いに来るわ」とか
「じゃあ、共通タイプのを買って合わせてみるわ」とか
「違ってても型番見てこなかったんだから仕方ないよね。」なんてなるのだが…


自分で使っている物のメーカーや型番も分からないし
確認する気もない。
そして店員が選んだ物が、もし違っていたらダメだと言う


こういうお客様は実際に稀にいるのだ。

No.162

女性が「多分」と言った掃除機の型番を見て
共通タイプの紙パックの裏面の適合表示書きに目を通す。
その型番は確かに書いてあった。

おばちゃんは迷った。
もしこれが自分だったら共通タイプでOKだ。
でも「絶対!!」とか言われると、弱くなる。


おばちゃんはムスッとした女性に再度確認した。

「ご自宅の掃除機は長くお使いですか?」と、これは古いタイプの掃除機ではないかを知りたかったのだ。


すると女性は「最近買った…」と言う。

特殊なタイプではなく最近買ったのなら大丈夫だろう。とおばちゃんは思った。


No.161

近くに並ぶ掃除機を指差し「あちらのような通常よく使われるタイプの掃除機でしょうか?メーカーはお分かりですか?」と聞くと


そちらをチラリと見て「多分、日立…あ、あれ…多分あれと色違い…」と女性は言った。


「それでしたら共通タイプの紙パックで合うと思います」とおばちゃんが言うと


「だーかーらー。思いますじゃなくて絶対!!なら良いけど~」と言うのだ。


自分は「多分」で、おばちゃんには「絶対」を強く要求した。
まぁ、確かに店員として「思います」ではダメなのは分かる。


No.160

「特別に何か特殊な掃除機でなければ、ほぼ型は合うようになってはいますが…」と、おばちゃん。

すると
「だから~それは絶対に合うの?特殊とか分かんないし…」とぶつぶつ言う。


正直ドン引きである。
「そんなん知らんがな…」と言いたいところ…


だが、我慢だ。


No.159

「お客様、申し訳ございません。こちらは製造番号となっていまして、お使いの掃除機のメーカーの型番ではないのですが、純正の紙パックをお求めですか?」と尋ねたら


「え?そうなの!?それで分からないんだ?」と驚いた様子。


「はい。申し訳ございません。もし純正の紙パックに拘りがないのでしたらメーカー共通の紙パックもございますが。」と言うと


「え~」と、なぜか不機嫌になり…

「やはり純正の紙パックのほうがよろしいですか?」とおばちゃんが言うと


ムスッとふてくされながら「それが絶対!!に合うなら良いけど~」と言う。


No.158

ある日、「掃除機の紙パックありますか?」と聞いてきた若い女性のお客様がいた。


いつもの調子で「こちらでございます」とご案内したおばちゃんだったが


売場につくと女性から「これの紙パックが欲しいのですが」と、小さな紙切れを渡された。


それは、どう見ても「メーカーの型番」ではなく、ただの「製造番号」を切り取った紙である。


(´-ω-)………


No.157

何とかお客様の要望に応えようと情報を聞き出そうとするが
そういうお客様に限って短気にイライラしたりするのだ。


「分かるわけなかろうが!!」と言いたくなる気持ちを抑えて、お詫びしながら低姿勢を心がけるしかない。


No.156

これが「困ったお客様」の場合
何もかもが曖昧なままで質問してくる。


「金具の部分に丸くてこれくらいの厚いやつで、バンッて嵌め込むものなんだけど」とか…
「白っぽくて小さいやつ」とか…


実に困る…


No.155

例えば
「ルームシューズはありますか?」や「計量カップは置いてますか?」など
それくらいなら売場初心者のおばちゃんでも簡単だ。

ある程度、大まかな売場さえ把握していれば「あの辺だな」と検討もつくし、「こちらでございます」とご案内もスムーズにできた。


自分がお客様の立場なら「それくらい自分で探せる範囲」なのだ。

いや、本音を言えば「頼むから、それくらい自分で探してくれ」と思うような範囲だ。


No.154

ブランクは長かったものの、以前勤めていた会社での経験のおかげと
研修中にしっかりメモをとり自宅で復習した事もあって
端末での処理やパソコンでの作業、レジなどはわりと日にちもかからずにスラスラ覚えた。


しかし接客も嫌というほど経験はあったものの…
時代の流れというか…
客層の違いというか…
取り扱い商品の規模や数の違い?分野が畑違いというか…


「うっ!?」と固まり、思考が一時停止してしまう…


No.153

接客をしていると1日に必ず1人は…という確率で「困ったお客様」または「変わり者のお客様」に当たってしまう。


働き始めて、まだ1ヶ月も経たない頃のおばちゃんは
そういったお客様をうまく応対する事ができず、業務内容の中でも一番の苦痛だった。

No.152

覚えなければならない事は山のようにあった。


その殆どが1つ1つ端末で処理したり、パソコンで処理したり
正確で迅速にしなければ進まない。


商品のディスプレイや発注、返品やメンテナンス作業をしながら
合間合間に接客が入ったり、レジの応援に駆けつけたり、商品をお客様のお車に積み込む作業も入る。

4時間勤務などあっという間に過ぎて行く。


No.151

「なんだ?あんた新人か!?」とじーさんはバカにしたように言う…


それでも「はい。不馴れで申し訳ございません」と再度お詫びする。


ところがだ…
「お待たせ致しました。」と言いながら一見、強面で長身な副店長が売場にに駆けつけると
じーさんの態度は一変した。
「いやいや、店員さん達忙しいのにすみませんね~」とニコニコ笑顔になったのだ。


おばちゃんにも「お姉さん、ごめんね。この人が来てくれたから、もう良いよ。」と言う…


(-ω-)………


おばちゃんが副店長に「すみません。トイレの電球をお探しなのですが…」と言うと
副店長はニコニコと「分かったよ。ここは僕がやるから…」と代わってくれた。


「はい。失礼します。」と一礼して、お客様にも再度「お待たせしてしまい申し訳ございませんでした」と一礼した。

じーさんはニコニコと「いやいや。ごめんね~」と言った。


パートのばばぁだと軽く見て、イライラを八つ当たりしていた糞ジジィである。

No.150

こりゃだめだ…
売場に出て数日のおばちゃんにはこなせないお客様だ…と判断した。


なのでお客様に「私では判断いたしかねますので別の者をお呼び致します。お待たせして大変申し訳ございません。少々お待ちくださいませ。」とお詫びして副店長をインカムで呼んだ。


No.149

「普通のと申しますと…40㍗か60㍗の電球でしょうか…?どういった器具にお使いですか?」と聞いてみた


すると「トイレだ!!トイレの天井のやつ!!」とイライライライラ…

「そうしましたら40㍗か60㍗の電球かと思うのですが、どちらになさいますか?LEDをお求めではないですよね?」 と尋ねると



「ああ!?分からん!!何でも良い!!」と怒る。


No.148

するとお客様は
いきなり「どれよ!?」と言う…


(?-ω-)何が?と思うのが普通の反応だろう。
おばちゃんが穏やかに「何かお探しでしょうか?」と尋ねると


イライライライラしながら「電球はどれかって聞いてんだ!!」と言う…


「申し訳ございません。電球をお探しですね。こちらでございます。」と売場にご案内して、「何㍗の電球でしょうか?口金のサイズはお分かりでしょうか?」と尋ねると


「普通のやつだ!!」とイライライライラ…
何をそんなにイライラしているのか…(-ω-)


正直『おい、じーさん八つ当たりしてんじゃねぇ』と内心、腹は立った。
だが我慢だ…


No.147

お客様にも本当に色々な方がいる。
自分が客の立場で買い物をしていたら、そんな事まで店員さんにいちいち聞かないけどなぁ~と思うことや
自分だったらそんな事は絶対しないのにと思うような常識外れな事が日常茶飯事に起こる。


当初は「色々覚えるのは本当に少しずつで良いですから、まずは簡単な作業から始めましょう」と、副店長に指示されインテリア関係の売場でライトの組立と陳列作業をしていたおばちゃんを「おい!!」と呼びつけたお客様がいた。


「おい!!」と呼ばれた事に少し不快な印象はあったけれど
「はい。いらっしゃいませ」と笑顔で応対する。


No.146

だけど
「少しでも分からなくて困った事があったら、何でも聞いて下さいね。」と主任のFさん。
「どうしたらいいか迷ったら呼んでくださいね」とパートリーダーのHさん。


そんな不明点があるたびに
広い売場の中のどこにFさんやHさんがいるか探そうとするだけで無駄な時間がかかってしまう。


まさにインカムの出番…
変な照れなど無用…なんだか恥ずかしいなぁ(*ノ▽ノ)なんて思ってる場合ではなくなった


No.145

売場担当のおばちゃんには副店長のYさんと売場担当主任のFさん、売場のパートリーダーのHさんがそれぞれ指示を出してくれる事になった。


自店の商品などほぼ全ての商品のデーターを把握したり、他の支店や本部とも連動している端末とインカムを持たされ作業にあたる。

このインカムに慣れていない昭和世代のおばちゃんは、これを通して話すという事に変な照れがあった。


No.144

本当にこればかりは向き不向きひとそれぞれ…


でもね、同じように面接を受けたおばちゃんにしてみたら


面接の時点で業務内容についてはかなり詳しい説明もあったし
大丈夫ですか?と常にこちらの気持ちを優先して確認も充分にとってくれていた。


採用が決まり
研修も受けて
いよいよ明日から正式に勤務という時に
「自分には向いてない」って…
どうなんだろう・・・・・・


制服もサイズに合わせて発注されて届いていたし
ネームプレートも作ってもらい…色々な小道具やロッカーまで用意してもらって


失礼なんじゃない?そんな感じではどこも勤まらないよ?…と、おばちゃんは思った。

まぁ、余計なお世話だろうけど…


No.143

皆それぞれの持ち場に向かう中、近くにいた従業員のガヤガヤという会話が聞こえてきた。


「採用を辞退って?」
「昨日、事務所に本人来てたよ。」「ね?なんか…研修してみて自分には向いてないと思ったとか言ってたよね?」
「うん。やっぱり無理です。できません。って言ってた。」
「え~!?そうなの?どんなんなら大丈夫なんだろぅ?」

(;-ω-)………。


そんな会話を聞きながら、おばちゃんは思った。
え…
そんなに無茶な研修じゃなかったけどな…と…



No.142

そして△△△さんがKさんとおばちゃんに「元の位置に戻って良いですよ。」と小声で言ったので
二人が元の位置に戻ると


△△△さんは少し考え込むような感じで
「え~とですね…あと…。先日の集礼で…新しい方が3名とお話ししていたのですが、ちょっと事情がありまして…採用を辞退されるとの事で、また来週から求人をかけたいと思います。少し××部の方が大変かとは思いますがフォローお願いします。はい!!では……集礼は以上です!!本日も宜しくお願い致します!!」と従業員に向かい一礼した。


従業員も「宜しくお願い致します!!」と一斉に一礼する。


え?Σ( ̄□ ̄;)?Mさん辞退しちゃったの????
おばちゃんはビックリした。



No.141

△△△さんから従業員全員に
「本日から一緒にお仕事をしていただくレジ担当のKさんと、売場担当の◆◆さんです。3ヶ月間は見習い期間としてお仕事していただきますが、何か困っている事があったら皆で積極的にフォローしてあげてください。宜しくお願い致します」と紹介してくれた。


「では、一言ずつお願いします」と促され

まずはKさんが「レジ担当のKです。宜しくお願い致します」と頭を下げた。
従業員からパチパチと拍手があり「宜しくお願いします」と疎らに声があがる。


「では◆◆さん…」と△△△さんに言われ
おばちゃんは頭は真っ白な状態でペラペラと口先だけ勝手に動くような状態で挨拶する事になった。
「売場担当の◆◆です。何かとご迷惑をおかけする事もあるかもしれませんが、1日も早くお仕事を覚えられるよう、一生懸命頑張りますので宜しくお願い致します。」と頭を下げた。
パチパチと拍手があり「宜しくお願いします」と疎らに声があがる。

とりあえずホッとして
パンパンに膨らんだ緊張の風船がシュウ~ッとしぼんでいくようだった。

No.140

Mさんが見当たらなかった理由は集礼で分かる事になる。


今月の社の目標
自店の売上目標と先日の売上報告各売場主任からの業務事項に
社長からの各店への報告など一通りの「報告事項」が終えると
社訓の復唱と挨拶の復唱


そして最後におばちゃんとKさんが呼ばれた。
二人並んで本日の早番シフトの従業員の全員と向かい合う。


シフトの都合上、実際に働いている従業員の約3分の2しか揃っていない状態だけれど
それでも結構な人数だ。


おばちゃんの顔は緊張で作り笑いもできずに、ひきつりまくって無表情だった。

No.139

Kさんと一緒に事務所の前に行くと△△△さんに「◆◆さん、Kさん、前のほうに居てください」と呼ばれた。


ん?あれれれ…Mさんは???
(?-ω-)


No.138

すると近くにいた他の数名も
「▼▼▼です。」
「☆☆です。」
「□□です。」
と次々に挨拶してくれて…


おばちゃんは一人一人の名前と顔を必死に頭にインプットしながら
「宜しくお願い致します」とニコニコと笑顔を心掛けながら頭を下げた。


No.137

それにしても……
Mさんがどこにも見当たらない……


どうしたMさん…
初日からまさかの遅刻?



キョロキョロ(・д・ = ・д・)するおばちゃんに隣のロッカーの人が
「新しい方ですよね?売場担当の◎◎です。宜しくお願いします。」と声をかけてくれた。


おばちゃんは制服に腕を通しながら慌てて「はい!!◆◆です。宜しくお願い致します」と頭を下げた。


No.136

「おはようございます!!」
Kさんとおばちゃんは元気に挨拶した。


「更衣室で準備が出来たら、事務所の前に集合してください。集礼を始めます」と△△△さんはにこやかに言いながら走って行った。


Kさんとおばちゃんが更衣室に行くと、十数名の従業員がワイワイガヤガヤと世間話をしながら、それぞれの身支度をしていた。


事前に教えられていた自分のロッカーに向かい「おはようございます。」「おはようございます。」と間を通りながら、おばちゃんが挨拶すると


従業員の方たちも「おはよーございます」と、それぞれが笑顔で挨拶してくれた。



No.135

おばちゃんが車を降りるとKさんも降りてきた。
「朝早くからだるいよね~」とKさん。

「いえいえ、もうもうもうもう緊張しちゃって…」と、おばちゃんが言うと


「まっじめなんだからぁ~」とKさんはワハハ・・・・と笑った。


「Mさんは、もう来てるのかな?」なんて言いながら従業員入口のドアを開けると


ちょうど△△△さんが目の前を横切り、おばちゃんとKさんに気がつくと
「あ!!」と行きかけた通路を数歩下がって「おはよーございます!!」と笑顔で言ってくれた。

No.134

自己紹介…何て言おう…
そんな事を考えながら店に着き…言われた通りに社員の駐車場に車を停める。


ふと気がつくと斜め前の車中からKさんがタバコをプカプカ吸いながら手を振っていた。
「お・は・よ~」と言っているようだ。
おばちゃんもニコニコと手を振った。


あんな感じの心の余裕が羨ましい。
おばちゃんの緊張は最高潮だった。

No.133

出勤初日に合わせて前日から念入りに業務マニュアルに目を通し
メモにボールペン社員証にシャチハタ…忘れないように必要な物を全てチェックした。
細かな小道具はロッカーに制服と一緒に入っている。


小心者で人見知りのおばちゃんは朝からソワソワと何度もトイレへ行ったり来たり…


自分でもアホか?と思う。


出勤はいくら早く着いても15分前にならなければ打刻はできないので20分くらい前に駐車場に到着するように家を出た。

No.132

数回の「研修」や「説明」を受けた後に△△△さんが


「来月はまた1人売場に入りますが、とりあえず3人揃いましたので、いよいよ正式に勤務についていただくという事で、次の朝の集礼に皆さんの簡単な紹介をしたいと思います。 この日だけシフトを集礼に合わせて少し早い時間にさせていただきたいのですが、どうしてもお時間の都合が悪い方はいらっしゃいますか?」と言った。


1日だけならどうにかなる。と、おばちゃんは「大丈夫です!!」と即答した。

大人しい感じのMさんも「はい。出られると思います」と答えた。

サバサバした感じのKさんは「寝坊しなければ大丈夫でーす」と冗談混じりに笑った。


No.131

途中でおばちゃんとは別の業務内容につく「新人」さんが二人加わった。
どちらも「パート勤務」で
1人は大人しい感じの優しそうな方だったが
もう1人は勝ち気な感じの明るくサバサバした人だ。


No.130

△△△さんは常にいつも
「焦らずにゆっくりで良いですよ」「大丈夫。大丈夫。」
「今はなんとなく簡単に流れだけサラリとで良いですから」
という感じに励ましてくれた。

そして
そんなおばちゃんを見かける他の従業員さん達も
「ゆっくりで大丈夫ですよ。」
「頑張って下さいね」と声をかけてくれた。


No.129

正式に勤務に着くよりも、少し早くから色々な準備があった。


制服のサイズを合わせ
仕事に使う色々な道具を受け取り仕事内容についての説明や簡単な研修
おばちゃんの都合に合わせてくれた時間に何度か店舗に出向いた。

その時間分の時給もきちんと加算してくれた。


No.128

「ありがとうございます!!一生懸命、頑張りますので宜しくお願い致します!!」
おばちゃんは嬉しくて一瞬泣きそうになった。


焦って決めなくて良かった~
妥協しなくて良かった~


△△△さんに救われた思いだった。


No.127


「はい!!採用です!!ぜひ宜しくお願い致します!!」と△△△さん。


(@ ̄□ ̄@)きゃぁ~!!


(人@ ̄□ ̄@)決まったぁ~!!!


(@ ̄□ ̄@人)採用~~~!!


\(@ ̄□ ̄@)/やっったぁ~~!!

この瞬間…
ずっと働きたかったおばちゃんの長いブランクはついに打ち切られた。


No.126

え~!?そんなのも全然、大丈夫~大丈夫~!のおばちゃんは「はい!!それも全く問題ないです。大丈夫です!!」と即答した。


すると△△△さんは明るく元気な口調で「あ、それは良かったです!!ありがとうございます!!それだけが心配だったのですが、そこに問題はないとの事でしたら、ぜひ!!◆◆さんに一緒にうちでお仕事をして頂きたいと思いまして…」と言った。


(@ ̄□ ̄@;)!!
「採用ですか!?!?」と、おばちゃんの声はつい大きくなる。


No.125

「はい!!全然、問題ありません。大丈夫です!!」とおばちゃんは即答した。


すると△△△さんはホッとした口調で「ありがとうございます!」と言った後に続けて


「それとですね…基本、4時間勤務の方には休憩時間はなく、4時間通しで勤務についていただく事になっていまして…
5時間以上の勤務の方には途中で必ず1時間の休憩をとっていただいているのですが…
そのせいで時間的に昼食が早くなったり遅くなったりと不規則になってしまいますが、それは大丈夫でしょうか?」と心配そうに言う。

No.124

「実は…◆◆さんの御希望としては10時から14時との事でしたが
0時30分~14時30分、もしくは11時~15時だったり、週1回ほどは11時~16時など
30分から1時間ほどの誤差で変動したシフトがあっても大丈夫でしょうか?」と聞かれた。


え?なんだ…そんな事?それくらいなら全然、大丈夫なのに…と、おばちゃんはむしろ…その細やかな気遣いに、ちょっと驚いた。

No.123

おばちゃんは動揺しながらも「はい!大丈夫です!!」と元気に答えたけれど


「◆◆さん、それがですね…ちょっと御相談なのですが…」と神妙な△△△さんの口振りに
少し不安になりながら「はい。なんでしょうか?」と怖々聞いてみた。


No.122

△△△さんからの連絡は思っていたよりずっと早く来た。
面接を受けてから5日後の事だ。

「◎◎◎◎~の△△△と申しますが…◆◆さんのお宅でしょうか?」


「はい!そうです。◆◆です。先日は面接して頂きありがとうございました。」と、ちょっとした不意討ちに緊張が走る。


「あ、どうも~こちらこそ、ありがとうございました!!予定より早い御連絡となってしまいましたが、今お時間は大丈夫でしょうか?」と△△△さん…


No.121

駐車場で車に乗り、改めて店舗を見た………



(。-ω-)=3ハァッ




ヤバイ…



「採用されたい…」



初めて本気でそう願った。

No.120

「では、失礼致します。」と再度、一礼して出口に向かうと
△△△さんがササッと前へ出てきて扉を開けてくれた。


「すみません。ありがとうございます。」と、おばちゃんがお礼を言って


「気をつけてお帰りくださいね」と△△△さんが笑顔で見送ってくれた。


帰りは来た時と同様
バックヤードを横切る時も
売場を横切る時も
従業員の方達は誰もが皆、にこやかで
採用でも不採用でも、結果がどうであれ
最初から最後まで、爽やかな気持ちで面接は終わった。


No.119

そして…
「では、こちらはお預かり致します。面接のほうは以上になりますが…採用については今、僕が本社宛に送信する報告内容と、こちらの適性検査の結果から検討させていただきますので、大変お待たせして申し訳ないのですが1週間~10日ほどお待ち下さい。採用でも不採用でも必ずお電話にてご連絡させていただきます。」と笑顔で言った。


「はい。分かりました。宜しくお願い致します。今日は面接をして頂き、ありがとうございました。」と、おばちゃんは深々と頭を下げた。


△△△さんも「いいえ、こちらこそありがとうございました。長いお時間お疲れ様でした。」と立ち上がり丁寧に頭を下げてくれた。


No.118

直感で…φ(..)


正直に…φ(..)


わりとスラスラ進む…φ(..)


5分くらい経っただろうか…
「できました」とおばちゃんが言うと


△△△さんは「え!?もう?早いですね…」と笑って
書類をおばちゃんから受けとる。

No.117

そして…
「こんなものを出してしまうと◆◆さんが緊張してしまうかもしれませんが…」と
△△△さんはファイルから数枚のプリントを取り出して、おばちゃんの前に見やすいように並べた。


「ん?」と、そっと不安気に覗き込むおばちゃんに△△△さんはフフッと笑いながら
「簡単な適性検査みたいな感じなんですけれど、直感で書いて下さい」と言う。


なんだかよく分からないけど、要するに正直に答えを書けばいいのね?と…
「はい。分かりました。」とおばちゃんが書き込み始めると
φ(..)………


△△△さんは、おばちゃんの履歴書を見ながら何やらノートパソコンにカチャカチャと打ち込んでいる。


No.116

長いブランクの理由には特別ふれては来なかった。


長くお勤めしていた会社ではどういった仕事に従事していたのですか?とか


もし採用されるとしたら、どんな仕事(部門や売場)に従事したいですか?とか


採用にあたり不安な事や心配事はないですか?とか


得意な分野や、これだけはどうしても苦手だと思う分野はありますか?とか


希望する時間帯や曜日など…


常に「こちらの気持ち」や「希望」に添って話を聞いてくれた。


No.115

△△△さんはにこやかな笑顔で「では!!まずは、履歴書を拝見致します。」と、おばちゃんから履歴書を受けとると丁寧に履歴書を開いた。


しばらくの間は真剣な表情で、うん。うん。と頷きながら履歴書に目を通し…


やがて「なるほど…」と呟いた後、
「はい!!それでは、少し色々とお話を聞かせて頂きますね!」と、またニッコリと笑った。


No.114

その直後にまたコンコンとドアはノックされ
「すみません。大変お待たせしてしまいました~!!」と△△△さんが急ぎ足で部屋に入ってきた。

とにかく快活な感じの背の高い男性だ。


おばちゃんはカタリと立ち上がり「◆◆です。今日は宜しくお願い致します。」とお辞儀すると


△△△さんは「はじめまして。面接担当の△△△です。こちらこそ宜しくお願い致します」とお辞儀で返してくれた。


「どうぞお座り下さい。」と△△△さんに促され席に着く。


No.113

カチャリとドアが開いて、ひょいと男性が顔を出した。


△△△さんかと思い、カタリと立ち上がるおばちゃんに人の良さそうな男性は
「あ!!ごめんなさい…ちょっと人を探してまして、間違えてしまいました。お邪魔してすみません…」と優しい笑顔で言った。


「いえ、大丈夫です」とおばちゃんが言うと
男性は「部屋…暑くないですか?……ちょっと暑いですよね?」と空調パネルをピピッと調整して
にっこり笑顔で「失礼しました」と部屋を出ていった。


No.112

女性が「こたらで少々お待ちくださいませ」と椅子をひいてくれたので
「はい、ありがとうございます」と言って、おばちゃんがサササッ椅子に座ると
小声で「頑張って下さいね!」と笑顔で言ってくれた。


「はい!!ご案内、ありがとうございます」と、おばちゃんもつい笑顔になる。


「では、失礼致します。」と女性が部屋を出て行て行ってから2~3分ほど経っただろうか?


コンコンとドアがノックされた。

No.111

そして、その先の突き当たりのドアを案内してくれていた女性が手慣れた感じでコンコンとノックして
「誰も居ないんですけどね、決まりなんで…」と言いながらフフッと笑いながらカチャリと開けた。


応接室と言うより会議室にも使われているのだろう。
大きなホワイトボードが置かれ、いくつかのテーブルや椅子が並べられた広い部屋だった。


No.110

「こちらです。どうぞ…」と言われて細い通路を横切ると


チラリと従業員の休憩室が見えた。
3台の見慣れた飲料メーカーの自動販売機に電子レンジに冷蔵庫、簡単なキッチンらしきものもある。


ほぉ~快適そうな休憩室だなぁ~なんて…つい関心して凝視してしまう。


No.109

それにしても本当に広い倉庫だなぁ~とふと周りを見たけれど
どこも整然と綺麗にされている。

所々で作業をする従業員さんがいたけれど、誰もが皆おばちゃんを見ると
「いらっしゃいませ~」や「おはようございます!」と、にこやかな笑顔で挨拶してくれる。


これは、すごい!!
お客様がいない場所でも、この対応~
きっと人間関係の良い職場なんだろうな…と思った。



No.108

店内の売り場を横切りバックヤードに入った時に
案内してくれていた女性が
「緊張されてますか?」と、ふいに笑顔で聞いてきた。


「はい、かなり…」とおばちゃんが答えると


「大丈夫ですよ。面接担当の店長は気さくな方ですから。」と笑って言ってくれた。


この言葉におばちゃんは、少し落ち着いて自然と笑顔になれた。
感謝だ。



No.107

>> 106 本屋の時のように「勝手に行け」と言わんばかりにボールペンで方向指示されなかった事にホッとした。


後輩らしき女性は「こちらでございます」と、にこやかに誘導してくれた。


No.106

カウンターの女性は
愛想はないけれど、全く不快ではなかった。
クールな感じの綺麗な人だ。


「担当をお呼びしますので、少々お待ちくださいませ。」と事務的に淡々と言うと
インカムで「△△△さん、面接の方がみえてますが、どうしますか?応接室にご案内しますか?」と言って


やや少し間、耳を傾けた様子でインカムに「はい。はい。了解しました。」と返事をした後
そばにいた後輩らしき女性に「ご案内お願いします」と言い


おばちゃんにも「お待たせ致しました。只今、担当が接客中ですので応接室にご案内致します。10分ほど、そちらでお待ち下さいませ」と言った。

No.105

面接当日。


先日の電話で△△△さんが「緊張しすぎないように堅苦しいスーツじゃなくても、全然大丈夫ですから」と、せっかく言ってくれたので


失礼のないよう
シンプルに清潔感を意識して、堅苦しくはないけれど
スッキリとしたシルエットの
けしてラフではない服をチョイスした。


約束の時間より15分ほど早く到着し
指定された通りにサービスカウンターへ向かう。

No.104

翌日おばちゃんは履歴書の写真を撮り直し
1文字1文字も丁寧に丁寧に書いて準備した。


指定された日にちまで5日ほどある。
それまでの間は、もし今回の面接で採用が決まらなくても


いつか仕事を始めたら、なかなか出来なくなりそうな事に集中した。


No.103

「それでは、○月○日□時に面接という事でサービスカウンターのほうにいらして下さい。お待ちしています!!」とハキハキと明るい△△△さん。


「はい。宜しくお願いします。」とおばちゃんが言うと
△△△さんは「あ!!」と何かを思い出して
「もし、それまでに急な予定などがありましたら、遠慮なく御連絡下さい!」とまで言ってくれた。


う~ん。すごい心遣い…
(人-ω-)カンシャカンシャ
「ありがとうございます!!では○日○時にお伺いします。失礼致します。」


「はい。お電話ありがとうございました!!失礼致します。」と電話は切れた。



No.102

残りの4件に的を絞り、おばちゃんは迷いに迷った。


そして、その中から
「長期ブランクもOK」
「たくさんの主婦の方が活躍しています」
「どんな事でもご相談下さい」と書いてあるところに決めた。


よし!!これは早速、電話だ。


おばちゃんが面接を申し込むと「担当のものに代わります」と、ほんの少し待たされた後


「はい!面接担当の△△△と申します。面接希望の方ですね!お電話ありがとうございます!!」と元気な明るい声の担当さんだった。

それまで、おばちゃんが面接を受けてきた中にはなかったくらい
電話の応対も最初から最後まで凄く丁寧で親切…


なんだかそれだけで「面接」の「ヤル気」がでてきたおばちゃんだった。


No.101

次に候補から外したのはブライダル式場の調理だ…


ここは何点か「ひっかかる事」があった。
「式の都合により日時などシフトの変動あり。」という事と
「車通勤 応相談」という部分だ。

こういう勤務時間に変動があるという補足がわざわざあるという事は、多分わりと頻繁な事なんじゃないかな?と…おばちゃんは思った。
しかも…ブライダルの式場となると当然、土日に集中し
平日の日中など仕事などないだろう
日祝日の勤務は仕方がないと諦めはついてるものの
できる限り、家族が学校や会社に行っている平日の日中に仕事がほしいおばちゃんとしては
平日の日中が暇になってしまっては意味がない。


そんな風に出勤日時がバラバラでは困るのだ。
ある程度の「固定」がなければ、家庭の事情に影響してしまう。


「車通勤応相談」も「応相談」では困るのだ。
車でならば20分以内で行けるものの
バスとなると乗り換えが必要になり、乗り換え時刻もスムーズに行かない場所だ。

No.100

理由はそんなに深くはない。


1つ1つ「そこで働く自分」を想像した時に
事務職が一番しっくりこなかった。



何故だか妙に…
頭も使いつつ身体も動かして、イキイキと仕事がしたいという思いが強かった(´-ω-`)


No.99

さて、この辺でそろそろバシッと採用されたいところ…


おばちゃんは絞りこんだ候補の1つ1つの求人内容に改めて目を通した


うーん(´-ω-`)………



この中から更に絞りこむとしたら…と、じっくり考えたおばちゃんは…


まず最初に事務職を候補から外した。


No.98

おばちゃんが「パートの就活中」だと話したら


「えー!?仕事するの!?やだ~私もそろそろ本気で探そうかな~」と驚いた人


「私も頑張ってるよ~お互いに頑張ろうね!!」と励ましてくれた人

「へぇ~すごーい…頑張ってねぇ~…私はパートなんて、やらないけど~」と、ひきつった笑いをした人


「え~!?良いなぁ~!私も早く下の子が大きくならないかなぁ~」と言う人


みんな反応はそれぞれだった。

No.97

ただ、おばちゃんは思うのだ。


「旦那が安月給のせいだ。」
「旦那の稼ぎが悪いからだ。」
と、旦那さん1人のお給料では家計が苦しいと、旦那さんの悪口を交えながら愚痴ばかり言うけれど…
実は明らかに自分も働ける状況である人が結構いるのだ。


本人に「パートとかは?しないの?」と聞くと


「この年齢で?働ける場所なんてないよー」とか
「え~今更仕事なんてしたくないわ~」とか
「家事でいっぱいいっぱいだし~」なんて言う。


でも頻繁にママ友とランチしたり、お互いの家に行き来する時間の余裕はあるのだから不思議だ。

No.96

別におばちゃんは専業主婦を批判するつもりはない。
おばちゃん自身も元々は専業主婦だった。


専業主婦の「やらなければならない事」は山程ある。
毎日、全てを完璧にこなすなんて思っていたら、時間なんていくらあっても足りる訳はない。


「専業主婦は楽で良い」なんて思うのは大間違いだ。
子供が小さいうちは尚更だと思う。


No.95

そんな中でも一番おばちゃんが理解できないのは


カツカツの生活を送りながら、子供にもたくさん我慢をさせ
旦那さんの稼ぎに文句を言い
家事は手抜き
旦那さんが会社へ、子供が学校へ行っている間、自分はだらだらと専業主婦をしている。


これが何より理解できない。
「お金ないからお洒落もできない」「お金ないから飲み会も行けない」「お金ないから旅行なんて行けない」と散々、愚痴を垂れ流して
「旦那が安月給だから…」が決め台詞
そして同じ境遇の数人が「分かる分かる~」なんて、妙に同調したりして


本当に「謎な人種」なのだ。


No.94

中には
働かなくても余裕で裕福な暮らしができるのに仕事に復帰した人もいれば


カツカツの生活を送りながらも「この年齢で今更、仕事なんてしたくないわ~」という人もいるし


「本当は働きたくなくても、働かなきゃ暮らせないもん」と溜め息をつく人もいるし


おばちゃんのように裕福な訳ではないが、暮らしには困らないかな?程度で「家に居ても暇だし」って人も多い。


No.93

人それぞれ考え方は千差万別だ。

おばちゃんの周りでも、子供の成長過程で
「そろそろ仕事しようと思って…」と専業主婦だった中からも
1人減り2人減り…
次第に専業主婦の割合は減り続けた。


No.92

「こんなにあるじゃないですか~」と、思わず声にしてしまう。


日曜祝日の休日に拘らなければ、仕事は色々あるのだ。


「そんなに余裕がある!という訳ではないけれど、現在や将来的にも暮らしには困らないのだから
働かなくても良いんじゃない?」と旦那さんは言った。


「いや!!人間、日々に暮らしのリズムは必要だよ?」と、鼻息の荒いおばちゃんに「リズムねぇ…」と旦那さんはへーっという感じで呟いた。


No.91

いくつか候補を絞りこんだ。


①食品加工会社の事務員(簡単なパソコンでの伝票入力処理と電話応対など短時間のもの)


②大型のショッピングセンターの売場担当(販売接客と商品管理全般・品だしやレジもあり)


③作業服や作業用品の販売員
(主にレジと品だし)


④ブライダル式場の調理(下ごしらえや簡単な盛り付けと洗い場)

⑤大型家具店の売場担当(これの内容は、ほぼ②と同じ)


⑥大型電器店の売場担当(これも内容は、ほぼ②と同じ)


No.90

ヤバい…選ぶのが楽しくなってきた。


まず、そこから通勤時間が近い所を探す。
遠くても車で20分以内。
(車通勤可能な場所)


あえて時給の良い所は外す。
何故なら、おばちゃんの個人的な意見なのだが
時給が良い所は「裏がある」
必ずその時給に見合った「何か」がある。
「仕事がキツイ」「人間関係で辞める人が多い」など
それだけ良い時給を提示しなければならない「理由」が必ずある筈だ。

No.89

パソコンの求人情報に「検索」をかけてみる。


地域
時間帯
希望休日
職種


すると、どうだろう~
希望休日を「日曜日」から「平日」に変えて
勤務時間を「2~3時間」から「3~4時間」に変えただけで

それに当てはまる求人情報は以前の倍くらいに増えた。


No.88

今まで次から次へと面接を受けてきたけれど
少し見直しが必要かな?とおばちゃんは思った。


休日や勤務時間、業務内容など
少し落ち着いて考えてみた。


この年齢だ
「日曜日は休みたい」なんて言っていては採用など難しいだろう。


むしろ、子供も大きくなり「子育てが一段落ついた今だからこそ、日曜日も勤務できる」は相手にとっても好都合になるかもしれない。


No.87

その日の夜、帰宅した旦那さんに「面接どうだった?」と聞かれたので
「うん!私、最高に失礼な事をして帰ってきたんだ」と笑ったら


旦那さんは一瞬「えっ!?」と驚いたけれど
すぐに「■ちゃん(おばちゃん)が面接で失礼な事をするなんて、よほど相手も失礼な奴だったという事なんじゃない?」 と笑った。

「さぁ~どうかなぁ~?私は大人気ないからね~」と笑って誤魔化し、詳しくは話さなかった。


話してる途中で《おじさん》の顔を思い出したら、せっかく悪くない気分が、また悪くなりそうだったから

《今現在はその顔も忘れたけどね》


No.86

「そうですね。無理をしてまで…とは私もまっったく!思いませんので、失礼させていただきます。」と立ち上がり
憮然とした《おじさん》に深々お辞儀をした後…


「こちらも、ご必要ないと思いますのですみません。」と言い、ササッとテーブルの上の自分の履歴書を回収した。


あとは、頭も下げずに出口に向かい「ありがとうございました~」と振り向きもしないで事務所を後にしたのだ。


失礼なのは承知の上だし
大人気ないのも分かっている。


「潰れてしまえ」と心で呟きはしたが
不思議ともう気分は悪くなかった。
帰り道では鼻唄さえ出てきた。

No.85

すると《おじさん》は
「いやいや、あの~無理なら別に良いですよ?貴女以外に面接を受ける方はいますから。どうぞ、どうぞ無理はしないで下さい。」と
フンッ( ̄^ ̄)とした顔で言ったのだ。


おばちゃんは《おじさん》の底を踏み潰した小汚い靴を奪いとって、その薄くなった頭をひっぱたきたいとさえ思ったが
あえてニッコリと微笑んで頷いた。

No.84


「ええ、そうですね。確かに《話し合う場》だと私も理解はしています。
ですが…その《ご要望》というものは《求人情報に記載されていた内容》だと私は思っていましたので…
その情報通りの日時の範囲内で、ぜひ面接を受けてみたいと、今日ここに来させていただいています。
それが、いざこうして面接を受けさせていただいて、求人内容が違うとなると、この面接自体が私にとって意味がなくなると思います。」 と…


ありのまま《思うこと》を口に出した。


No.83

別にこの《おじさん》と張り合うつもりはないのだが


あまりにも筋が通らないではないか?と…おばちゃんは思った。


なので、もうこの店での採用など期待もしなければ
むしろ《無》にしてくれても良い…
あくまでも《疑問》として
おばちゃんも言い返す。



No.82

このおばちゃんの質問に《おじさん》は明らかに機嫌が悪くなった。
「生意気なババアだな」と思ったかもしれない。


さっきまでヘラヘラ笑いをしていた筈が、ムスッとした顔で急に《敬語》で話だしたのだ。


「あのですね~面接というのは、お互いが話し合う場でもあるわけでしょ?うちとしてはなるべくこちらの要望に合った方が欲しい訳ですよ…」と…《おじさん》


No.81

おばちゃん顔からは、もう…穏やかな表情も笑顔も消えていたと思う。


「すみません。求人情報には週4日~5日、1日3時間~4時間のお仕事で、勤務時間はご相談にのっていただけるとありましたよね?
交代で土日のお休みもあるという事でしたので面接を希望したのですが…フルタイムを募集されているのでしょうか?」と聞いてみた。


No.80

だが、しかし…


おばちゃんは「乞食」ではない。
「求職乞食」ではないのだ。


「働かせてもらえるなら何でもします。どんな事でも頑張りますんで、どうか働かせて下さい」
という訳ではない。


採用される為に何を言われても「はい」「はい」と言える訳ではないのだ。


No.79

この書店も他の2社も同様…


ここに来るまでおばちゃんは
「先方の大切な時間を使って面接を受けさせていただく」という気持ちを常に持ってきた。


約15年の長いブランク。
40を過ぎてからのパート探し。


そんな自分が「働く」というチャンスを貰えるのだから…と…


No.78

確かに胸にポッカリと穴は空いた。
母や祖父と共に過ごせる時間はなくなった。


けれど、それを「せっかく自由な時間ができた」なんてモノの言い方をする《おっさん》に、おばちゃんは嫌悪感しかなかった。


No.77

おばちゃんは
母の過酷な闘病生活や
祖父が日増しに弱り、小さくなってゆく日々を振り返った…
些細な事を共に笑いながら励まし続けた想い出…

母が逝き…
祖父も逝き…

そこに「自由な時間ができた」など思ってはいない。



No.76

「で?家庭の事情って?」と、小バカにした意地悪そうな笑みを浮かべて男性が聞く。


理由を話したところで、到底理解などしてくれなさそうな人に
おばちゃんはそれまでの一身上の都合を話さなければならなかった。


おじさんは
「なるほどねぇ~」と頷いた後に
「じゃあ、せっかく自由な時間ができたんだから、日曜祝日も出勤してフルタイムで働けない?どう?」と言う


No.75

私…この職場で働きたいか?


40過ぎた「おばちゃん」だ。贅沢を言えた立場ではないのは分かっているけれど…


だからと言って、こんな上司にあんな同僚と一緒に仕事すると思うと…
仕事に行くのが苦痛になりそうだなと、ふと思う。


何度も言うが、時給なんて最低賃金で良いのだ。


遣り甲斐を感じて、楽しめるような仕事をしたい。


No.74

そして《おじさん》から《おばさん》への質問責めが始まった。


「何?結構、仕事してない期間が長いけど、その間は?働きたくなかったの?あえて専業主婦とか?まさか子育て理由の専業じゃないでしょ?」と…


随分と失礼な態度でズケズケ言う人だなぁ~…
(#-ω-)

おばちゃんの中で不快指数がクイッと上がる。


「ずっと、お仕事はしたかったのですが、家庭の事情でなかなか就く事が難しく、最近になって探し始めたところです。」 と答えると

「家庭の事情って?何?バツイチじゃないよね? 」とか言い出した。


なんだか調子が狂う。
面接と言うより、飲み屋でどこぞのおじさんと世間話でもしているのか?と思えてくる。



少しだけイラつき始めたおばちゃんは
「いいえ。家庭は円満です」と穏やかにニッコリ笑ってやった。


No.73

おばちゃんが差し出した履歴書を「はいはい。」と受けとり開くと、サラリと目を通した男性がこう言ったのだ。


「年齢的には問題ないね。まぁ、うちはパートのおばさんばかりだから…」とニヤッと笑う。


いやいや確かに私もおばさんだけど(@_@;)
そんな事を普通、面接で言う??

貴方もかなりのおじさんでしょうが…

No.72

「はい。◆◆です。宜しくお願いします。」と頭を下げて椅子に座
った。


「じゃあ、履歴書を見せてください。」と男性は当たり前のように言う。


ほら!!やっぱり履歴書、念のために準備してきて正解だった~


必要なら求人に「履歴書は不要です。」なんて載せなきゃ良いのに…(-Д-;)


No.71

ドアは開いていた。
右側がおそらく事務所
左側が休憩室のようだ。


事務所のパソコンの前に男性が背を向けて座っていた。


一応、開いているドアをノックして「失礼します」と声をかけてみた。


男性は振り向いてダラダラとした様子で
「面接の◆◆さんね…どうぞ…」と向かい合わせのテーブルの席に案内された


50代くらいだろうか…
少し癖のありそうな人だった。


No.70

奥…
奥の部屋…


書庫の奥へ行くと確かに部屋はあるのだが…


積み上げた荷物やら書籍やら、使わなくなった什器やら…
作業台らしき台の上は散らかり放題散らかり…飲みかけのペットボトルやお菓子まで置いてあり…
日頃の作業の様子が目に浮かぶようだった。


そうして、どうにか本を跨がないと通れなさそうな場所を通り、ようやく部屋の前まで到着。


No.69

無表情でも「いらっしゃいませー」と言うだけマシに思えてくるから不思議だ。


書庫のドアを開けると、作業中の二人の店員がいた。
チラリとこちらを見たので「失礼します」と頭を下げたが無視された。
1人が何かヒソヒソと言って「やだぁ~マジでぇ~?!知らなかった~!」と何やら盛り上がっている。



嫌な感じだなぁ~(-Д-;)帰りたくなってきた~

No.68

この書店に到着してから
地味に「なんだかなぁ~」の連発である。


「分かりました。ありがとうございます。」とお辞儀して…書庫へ向かう。


途中で棚に品だししている他の店員を見かけるが
こちらを見ることもなく無表情で「いらっしゃいませー」と言われた。


No.67

面接担当者との内線通話なのだろう。

女性の店員は「ん?そっちに行かせれば良い?はい。はい。」と電話を切って

おばちゃんに「え~と…そこの通路の先のドアを開けたら書庫なんですよ。そこの奥に部屋あるんで、行けば分かります。」とボールペンで行き先を指して言った。

(-ω-)……………(-ω-)


No.66

お客様のお会計の後も
まだお客様が釣り銭を財布に入れ
ている途中で
「ありがとうございました~」と感情もない言葉を発しながら
直ぐに下を見て電卓を弄りはじめた。


そしてパンッとノートを閉じて
電話をとると「面接来てますけど~」と言った。


正直…



ムカつきました(-ω-#)ハイ


No.65

「………(-ω-;)?」


おばちゃんが困っていると
ようやく「ちょっと待って下さい」とだけ言いながら、こちらを見ることもせず…作業を続ける。


その間、1人のお客様がレジに本を持ってきた。
邪魔になってはいけないと、おばちゃんはササッと横によけたけれど…


女性の店員はお客様がレジに置いた本をピッとスキャンして「○○○円です」と言いガサガサと袋に入れてビーッとテープで止めた。

え!?
「いらっしゃいませ」は…???
言わないの???

(;-ω-)

No.64

翌日、約束の時間より早くに到着。店内のお客様は疎らだ。


レジに1人女性の店員さんが何やらノートに書き込む作業をしていた。


「お忙しいところすみません。」と声をかけると

やや不機嫌そうに「はい?」と手を止めておばちゃんを見た。


「1時半に面接を受けさせていただく◆◆と申します。面接担当者の方はいらっしゃいますか?」と、尋ねたが…


言ってる最中からまた何かをノートに書きはじめて…


ガッツリ無視されたΣ( ̄ω ̄;)

No.63

なんだか…随分と雑な扱いだなぁ~(-ω-)


まともな職場なの?(-ω-;)??

面接で履歴書いらないとか初めてなんだけど…(-ω-)?


一応、念のために書いて準備しておこう…



No.62

Webから面接を申し込んだら
翌日すぐに電話がきた。


「◆◆さんですか?あ~…面接希望という事なので、電話しました。□□□□書店です。で…いつなら来られます?」
なんて感じで…
(-ω-)………


出だしの《これ》に、少し「何だかなぁ~」と思いはしたが…
(;-ω-)


「ご連絡ありがとうございます。私のほうで、そちらのご都合に合わせますので、いつでしたらよろしいでしょうか?」と聞いた。


すると「ん……。開店すぐだと手が離せないので、え~と……昼休憩…(ブツブツ…ガサガサと音がする)1時半でも良いですかね?あ!?明日のだけど……大丈夫ですか?」

………(;-ω-)アラッ!?
ズイブン急ナ話………


「はい。明日の昼1時半ですね。大丈夫です。宜しくお願い致します。」と返事をしたら


「じゃあ、待ってます。」と言うだけ言ってブツリと電話は切られた。


Σ( ̄ω ̄;)?!

No.61

今だから言う。


この本屋こそ
おばちゃんがこのパート就活中で感じた「もっとも最悪な店」のNo.1だ。


バックルームから
スタッフや店長の対応

正直、いつか潰れるだろう…と思う。


いや、実際に面接時は3店舗あった店だが
あれから半年が過ぎ
近々、1店舗になると噂がある。

No.60

もう次で三ヶ所目…
う~ん…
「希望通り」なんて、ないのは分かっていたけれど
なかなか決まらないもんだなぁ~(@ω@;)


まぁ秋くらいまでには、どこか採用になれば良いかな?
なんて、呑気に思う。


ん…??
ちょっと気になる求人を発見。
地元で3店舗ほどある本屋のものだ。

週4日~5日
1日3時間~4時間のお仕事です。
勤務時間は応相談。
交代で土日のお休みもあります。(土日のみの週2日でもOK)


面接時に履歴書は要りません。
Webサイトに必要事項を記入して送信して下さい。



(-ω-)へぇ~
悪くないかも…
受けてみよう。



No.59

いい加減、見慣れた企業もいくつかある。

そんなに大きなとこでもないのに…もう何週間も求人のせてるのって…


なんだか…


怪しい(;-ω-)ブラックナンジャナイ?


No.58

さぁ、次だ。
次はどこにしよう…

おばちゃんは直ぐにパソコンに向かった。
「○○市 主婦 パート」と検索。

あぁ~Googleって本当に便利
(人-ω-)

No.57

それから6日後…だったと思う。面接した会社の事務員らしき女性から………


~「不採用」~の電話を受けたのだ。


「そりゃ~そうだよなぁ~」と納得しつつも
ほんの少しだけの僅かな期待がおばちゃんをガッカリさせる。


だけど…
それでも明るく落ち着いた声で
「そうですか。ご連絡いただき有難う御座います。」と言うと


その女性が
「この度の面接担当者Mが、◆◆様の今後のご活躍を心からお祈り致します。と申してました。」と伝言してくれた。



うん。
うん。
おばちゃんは頑張るよ。
本当にありがとう。
オープンしたら買い物に行くからね。


何だか妙~に元気を貰えた気がしたおばちゃんだった。

No.56

「そうですね…そうしましょう」と年配の男性も頷いた。


おばちゃんは、その心遣いに心から感謝するばかりだ。


「有難う御座います!お手数をおかけ致しますが宜しくお願いします。」と深々と頭を下げて御礼を言った。。



「では、面接はこれで終了です。本日はお疲れ様でした。」と、にこやかな3人の面接担当者の方達に

「面接をしていただき、有難う御座いました。では、失礼致します」とお辞儀をして面接室を後にした。


No.55

そんなやり取りの中
もう1人の面接担当者が


「ですが…そういう方が面接を受けにいらっしゃっていました。と、本社に戻りましたら私から上の者に伝えます。たしかに…研修を受けられないとなると、採用は厳しくなるとは思いますが、今ここで不採用という事ではなく…履歴書など書類は他の方と一緒に選考として残させていただきますので。」と、そう言ってくれたのだ。

No.54

「え!?それは大変ですね…そうでしたか…こちらでもちゃんと最初にお話を聞くべきでした。」と若い社員の方が言い…


ウンウン。と年配の男性が頷きながら申し訳なさそうに
「研修はどうしても…受けなくて良いとはできないものですから
そういった事情があるのでしたら無理はしないで下さい。」と言われてしまう。


はぁ(;-Д-) =3…
せっかく面接までしてもらったのになぁ~…


No.53

せっかく少しの期待や手応えを感じた面接だったけれど仕方がない…


おばちゃんは面接担当者に事情を説明するしかなかった。


No.52

採用になった場合の勤務時間については、シフト的に10時・11時~で全く問題はないと
おばちゃんも先方も納得して話は進んでいたけれど


おばちゃんがきちんと「なぜその時間帯からなのか」までは話してはいなく


先方もそこに「その時間帯からではないと無理だ」という不都合があるのなんて考えてもいなかったようだ。


No.51

おばちゃんのそんな自己都合を、ここで面接担当者達に話すかどうか躊躇したものの…


仮にもし採用になった場合
連絡がきてから断ったのでは先方に迷惑がかかる。


No.50

なぜなら、おばちゃんには色々な事情があった。


これは、家族や実家の父の病院など、ここでは書けない諸事情なので省いてしまうが
朝の5時から今くらいの時間まで…
おばちゃんの行動は毎朝が分刻みの《時間との闘い》?なので、7時35分に自宅を出て8時30分から勤務に就くなど、どーしたって無理なのだ…


(;-ω-)…

No.49

仮にもし採用になった場合
その研修先である各地の姉妹店は、おばちゃんの家から近くても[片道を車で40分]はかかる。


8時30分からの勤務となると
8時15分には確実に到着したい…

と、いうことは…
自宅を7時35分にはでなければならない(-ω-;)


無理そうだ(;-ω-)
無理がある(-ω-;)


困った(;-ω-)
どうしよう(-ω-;)


No.48

いや、当然「研修」があるのは分かっていた。


おばちゃんの「甘く考えていた事」は、研修のある・なしではなくて
その期間や時間や場所なのだ。
(;-ω-)


No.47

もし、それで採用だった場合は
2回に分けて説明会を受けに行かなければならない事や制服や靴などのサイズ合わせもある事。
それについての日時や時間もメモをとるようにお願いされた。



そして何よりおばちゃんが困ったのは
2週間、市内のあちらこちらの姉妹店へと朝の8時半~夕方の5時半まで研修生として勤務する事と、研修が終了してからオープニングまでの1週間は自店にて8時半~夕方の6時まで研修を兼ねたオープニング準備などがある事。

だんだんとおばちゃんの中で、何かでパンパンに膨らんだ風船が、少しずつ少しずつ萎んでゆくような気持ちになった。


No.46

まず、採用か不採用かについては
全ての人の面接が終わり本社に戻り、そこからまた上役や何人かの社員の会議によって決めるらしく

おばちゃんに連絡がくるのは
5日間~1週間ほど後になるとのこと。


No.45

最後に、もし採用が決まった場合の[オープニングまでの日程]について色々と丁寧に説明を受けた。

そう、ここでおばちゃんは
自分の「オープニングスタッフ」に対する考えの甘さを知ることになったのだ。


No.44

「はい。衛生面での細やかな配慮は勿論ですが、お買い物にこられたお客様に心から美味しい!と笑顔になっていただく事と、これならまたあの店で買いたいと思っていただけるような接客をすることだと思います。」と、


内容はありきたりながら、おばちゃんなりに頑張って答えた。


すると
面接担当者の3人はウンウン。ウンウン。と笑顔で頷いて。「良いですね。その考えは本当に大事な基本なんです。」と言ってくれた。


No.43

面接で尋ねられて難しかった事がある。

「もし、貴女がこの製造販売という仕事に就いたら、大事なこと、心がけたいと思う事はなんですか?貴女自身の貴女らしい言葉で、お聞かせください。」と…


うーん(´-ω-`)……これには一瞬、考え込みそうになったおばちゃんだった。


No.42

面接の途中で面接担当者から
「すごく接客業は向いてると思います。笑顔が自然で本当に良いですね」とほめられた。


内心は「(o>ω<o)ウヒッ♪ヤッタ!」と思いつつ・・・・
「ありがとうございます」と笑顔でお礼を言う。


No.41

名前も志望動機も書面に書いてはあるものの…
「まず、貴女のお名前と志望動機をお願い致します」と、そこから面接は始まった。


けして張り切り過ぎず
にこやかに明るい感じでハキハキと
背筋を伸ばした姿勢と丁寧な言葉を心がけながら面接は順調に進んだ。
話はじめに「えー…」や「あっ…」は絶対に使わない。


No.40

ほどなくして、おばちゃんの名前が呼ばれた。
面接室へ入り「宜しくお願いします。」と深々と頭を下げ
その中でも一番年配で中央にいる方から
「どうぞ、おかけください」と言われてから椅子に座った。


面接担当者は3人。
そのうちの一人が「履歴書を拝見します」と、おばちゃんから履歴書を受け取り
封の中から取り出した履歴書を丁寧に開いて、中央に座る年配の男性に手渡した。


No.39

そんなおばちゃんも40過ぎ…


年齢からして、あまりwelcomeな状況ではないのだけど…



家で家事だけしながらダラダラ過ごすくらいなら
ダメ元で何社でも受けてやる。ってそんな心境になりつつあった。


No.38

茶髪に香水=食品を扱う会社にすれば大きなマイナスイメージなのは、普通なら誰でも分かる事なのに………



合否に関係なく、ただ面接を受けるのが趣味なの…?(-ω-)
そんな事をふと心の中で突っ込んでみた。


No.37

次の一人が呼ばれたのは、15分後くらいで…


それと同時に、おそらくおばちゃんの次に面接を受ける予定の人がカツカツカツカツと階段をかけ上がり、ハァハァ息を切らせながら待機室に駆け込んできた。


「良かった~間に合った~」と独り言?を言い、ドカッと椅子に座り足を組んだ。
濃いメイクに茶髪…キラキラのネックレスにキラキラのバッグ…
プンプンと香水の香り…
(´-ω-`)クッッサッ



うーん(゜゜;)
まるで、これから友達と呑みにでも行くのか?という感じである。

年齢はたぶん……
若くはない。
女性って首回りのシワで年齢を隠せないんだよね。

No.36

到着してから5分くらい過ぎた頃だった…
社員らしき若い男性が来て
「○○さん」と名前を呼んだ。


先に来ていた女性の一人が「はい。」と返事をして立ち上がると
「面接室にご案内します」と言い。

もう一人とおばちゃんに向かって「すみません。少々…面接時間がおしていますが、お時間のほうは大丈夫でしょうか?」と言ってきた。


「はい。大丈夫です!」とおばちゃんが返事をすると
もう一人の人も慌てて頷いて見せた。

社員らしき男性はニッコリと笑顔で「申し訳ありません。もう少々お待ちください」と言い…
名前を呼ばれた女性を連れて面接室へ入っていった。


No.35

面接時間の20分前に会場へ到着。
入口に置かれたホワイトボードの案内に従って2階の待機室に入ると
静寂の中、自分以外に二人の人が椅子に座っていた。


「順番に係の者がご案内致しますので、手元に履歴書を御用意してお待ちください。」と貼り紙があった。


それにしても…………
二人共…


若いなぁ~
(;^^A…コリャ、オバチャン ダメカモ…


No.34

面接当日
髪の毛をきちんと1つに纏め、かなり薄めのメイクにした。
爪もしっかりと短く切って
前回の面接とは少し雰囲気の違う暗めの色でカチッとしたお堅いイメージのスーツを選んだ。


食品を扱う会社はスッキリとした清潔感が大事だからだ。


No.33

製造販売、ようするに分類でいうと製菓だ。


おばちゃんの亡くなった母は生前、まだ若く元気な頃
趣味の延長で小さいながら製菓店を営んでいた。


実はおばちゃん自身も
仕事をする傍ら、独学で調理師免許を取得している。
時折、母親の店を手伝うためだ。

なので接客販売ではなく製造販売でも全く抵抗はなかった。


No.32

7月となると、また何日か間が空いてしまう。


「まぁ気長に過ごそう」と、履歴書を準備して待つ事にした。


No.31

担当者からの連絡は申し込みをしてから3日目にきた。


確か7月の初旬だった。
○○市での面接は△日~□日までの3日間となっていて
何日の面接だと都合が良いか?
朝9時~夕方6時のうち面接会場に何時ならこられるか?など
簡単な志望動機も聞かれ、「お待ちしています」と丁寧に電話は切られた。


No.30

この製造販売業の会社は全国展開はしていない。
おばちゃんの暮らす地域(都道府県)で約80店舗
従業員は約900人ほどで、そんなに大きな企業ではない。


イメージとしては、この先まだまだ店舗を増やしてゆくであろう、なかなかの優良企業だ。


No.29

せっかくパートを始めるなら、長く続けたい。


長く続けるからには焦って決めてはダメなのだ。


小休憩の間に面接先の企業について色々と調べてみた。


No.28

すぐに返信メールが届き
「受付順番に面接日時などの詳細を3~4日以内に各エリアの担当者よりご連絡させていただきます。ご了承下さい。」と書いてあった。


3~4日かぁ…
その間に他の面接も探しておきたいとこだけど…


ここは落ち着いて、ちょっと待ってみようかな。と、パート就活の小休憩。



No.27

そんなおばちゃんにとって
全員揃って1からスタートできる「オープニングスタッフ」は好条件の1つだった。


これはぜひ、ダメ元でも受けてみようと
「申し込みはサイトから」とあったので、直ぐにWebで必要事項を記入して申し込みを送信、完了した。


No.26

「ん?」と思うような…
やたらと「私の時はこうだった」とアドバイスにもならないアドバイスじみた昔話に熱を入れ


自分は手を休めながら
逐一、新人の仕事ぶりを監視しては「そこはこうしたほうが良いのに」と
寧ろ不合理とも言える「自分流」を押し付ける。


そして、いざ「これこそ大事」という事について質問すると、全く分からなかったり、曖昧に誤魔化したりするのだ。


そういう意味での【目線や口のうるさい古株】ならば、居ないほうが良い。

No.25

そう…これは、おばちゃんのとても個人的な意見に過ぎないけれど…


おばちゃんは【ただ古くから居るだけ】で先輩気取りされる事が凄く苦手だ。


実際に長年の経験から得た知識や経験で指示やアドバイスをしてくれる【先輩】ならば尊敬の念を持って大歓迎。


時には、その頼もしい後ろ姿を「自分もいつかああなりたい」とキラキラした視線で見つめたりもする。


No.24

そこでおばちゃんの目にとまったのは
製造販売業の《オープニングスタッフ募集!!!》だった

「みんなが一緒に1からのスタートです。まずは勤務曜日や時間など何でもご相談下さい】と…


目線や口がうるさい【古株】が居ないなんて、最高でしょう~!!






No.23

パソコンの前に何時間くらい座っていただろう。


時給は別に最低賃金でも良いのだ。
要は遣り甲斐を感じながら、楽しんでできる仕事がしたい。


それには、やはり何かしら日々の作業に変化のある職種であり
人間関係の円滑さは重要だ。


No.22

出てくる出てくる。
タウン情報誌には載っていなかった求人だ。


「たくさんあるじゃないですか~」と、つい独り言がもれた…
(。-ω-)ムフフ


No.21

それから3日と空けずに次の面接先を探した。



ここでおばちゃんは学んだのだ。
タウン情報誌だけで探していては情報の範囲が狭くなる。


そうだよ!!
なぜ思い付かなかったのだろう…と
パソコンを開いて
「主婦 パート ○○市」と検索した。


No.20

だいたい…お客様に「いらっしゃいませ」と当たり前の声かけもできなければ
面接を受けに来た人に対して見下したような態度をとるパートだらけの職場だよ?


日祝日にお休みが欲しい時に、快く代わってくれる人なんていると思う???

いやいや、そもそも根本的に
「休みたければ代わりに出勤してくれる人を自分で探す」なんて
新参者にできると思う?


できる!と思う人もいるだろうけど、おばちゃんには無理っす。お断り~

No.19

面接担当者は明らかにひきつった顔をしながら
「ん……でも~…日祝日にお休みを取れる所って、あまりないと思いますけどね…」と言った。


おばちゃんも「そうですね…でも、もう少し探してみます。今日は面接していただき本当にありがとうございました。」と深々とお辞儀して、笑顔で乱雑で小汚い事務所を後にした。


No.18

「あ~~そーです…ねぇ………」と口ごもる面接担当者。


すかさず「背後で見学希望」の勝ち気そうなパートさんが口を挟んだ「うちとしては、日祝日に働いてくれる方が今すぐ欲しいんですよね!」と…


(・・?)はい??


「だったら、平日のみでもOKとか載せるんじゃねぇよ…そんなんこっちからお断りだ」という心の声を制御して


おばちゃんは穏やかに「そうですか…。」と頷き、少し何かを考えたようにみせた後
「せっかくお忙しい時間をさいて面接していただきましたが、勤務日時など少し私の中で考えていたイメージと違うようですので、大変申し訳ないのですが他をあたります。本当にすみません。」と丁寧に頭を下げてお詫びした。


No.17

面接担当者の言葉をややしばらくの間「は?」と呆けて聞いていた。

が!!
「ヤバイ!!このままでは、こんな条件のまま話が通されてしまう!」と「はっΣ( ̄□ ̄;)!」と我に帰ったおばちゃんは


慌てながらも、極力落ち着いた口調で
「ご説明いただいている途中で申し訳ないのですが、そうすると求人広告にありました平日のみでもOKという条件で働かせていただくのは厳しいという事でしょうか?」と、聞いてみた。


No.16

更に面接担当者はこう言葉を続けたのだ。


「勤務時間に関しましては、え~と…今現在は午前は他のパートさん達で埋まってますので、午後1時2時~午後4時5時くらいになります。」と…



(-ω-)・・・・・・・

またしても、おばちゃんの頭に求人広告内容が浮かぶ…


【2~3時間の勤務でシフトから選べます】



【2~3時間の勤務でシフトから選べます】



【2~3時間の勤務でシフトから選べます】



選べます????(-ω-)・・・・??????


No.15

そんなおばちゃんの耳に
「は?今なんて?」と聞き返したくなるような言葉が次々と流れ込んできた。


「え!?」と思ったこと④である。


社員の男性が言った。
「それでですね、ここまで何も問題はないようなので、Kさんに働いていただく日時についてなのですが、お休みは日祝日をご希望とされていますが…基本、日祝日の休みは交代でのシフトになります。毎週、日がお休みとはできないので、どうしても日祝日に休まれたい場合はその都度、誰かお休みを代わってくれる人を自分で探していただく事になります。代わりが見つけられない場合はお休みはできませんので」と…



(-ω-)・・・・・・・
おばちゃんの頭に求人の広告内容が浮かぶ…

【平日のみでもOK】


【平日のみでもOK】


【平日のみでもOK】



・・・・・・・(-ω-)

No.14

だが、そこは「大切な時間を頂いて面接してもらっている身なのだから最後までやり遂げよう!!と、グッと堪えたおばちゃんだった。


No.13

もう、なんだか面接に落ちても良いような気がしてきた。


今ここで、こちらからお断りしたいとさえ思った。


No.12

面接は淡々と進んだ。

面接担当者から
「Kさんが以前いらっしゃった会社で学んだものとは何ですか?」と質問されたので


「働くという事は、貴女の仕事はこれです。と、与えられた仕事をこなす事だけで100%ではなく、与えられた仕事以外・以上の事も学び自分のものにする事ができてこそ遣り甲斐があると学びました。」 と答えたら


パートの女性が「へぇー」と言った。

(-ω-)・・・・・・
なんだか嫌な感じだ。

No.11

今だから正直な気持ちを言う。


この時点で、おばちゃんには「この店で働きたい」と思う意思が失せかけていた。


No.10

面接担当社は男性で自分より5~6歳は若いと思われる人だった。


エリア内を巡回してる社員で、普段は店に居ない人らしく、通常の店舗営業は女性のパートだけで回してると説明があった。


ここで「え!?」と思ったこと③だ。

事務所に案内してくれたパートの女性が立ち去ろうとはせずに
社員の背後に立っている…


「ん?」という表情で女性を見る社員に、パートの女性が言った。
「見てても良いでしょ?」と…


そして、そのまま面接が始まったのだ。


おばちゃんにしてみれば「え~?!」な状況だ。


No.9

案内された「事務所」兼「休憩室」は・・・・・・


薄暗く、想像以上に狭く、乱雑に置かれた物で溢れていた。


簡単な言葉にすると「小汚い」部屋だった。

No.8

約束の面接時間より15分早く着たというのに
「こっちにど~ぞ~」なんて感じで、のらりくらりと…ようやく案内されたのは約束の時間よりも更に15分過ぎた頃だった。


おばちゃんはずっと待たされている間、店内を【客】ではない目線で見渡しながら
「失敗したかな?」
「このまま帰ってやろうか」と冗談ながら思っていた。

No.7

昔、上司が言っていた。


面接の方が来たら笑顔を忘れず、きちんとした態度でご案内するように・・・・


【試される】のは、採用不採用を見極めるために面接を受けに来る方だけではなくて
募集をかけてる会社側も企業として、きちんとしているかどうかを見極められてると思いなさい。
と・・・・・・・


No.6

電話で言われた通り、お客様と同じ正面の自動ドアから店に入った。


そこで軽く「え!?」と思ったこと


①店員さんと目があったのにフィッと目を反らしスルーされた。
「??気のせい!?」と思ったけれど、誰も並んでいないレジの店員さんも同様…
「いらっしゃいませ」が全くないのだ。
かろうじて1人が聞こえないくらいの無愛想な声ですれ違い様に言っただけ。
(もし、私がお客様だったら態度の悪い店と思うだろう)


②「お忙しいところ申し訳ありません。○時に面接を受けさせていただくKと申しますが、Yさんはいらっしゃいますでしょうか?」と店員さんに尋ねたら
「あ~。面接の人?ちょっと待ってて下さい」と面倒そうにツンッとした態度。

(-ω-)・・・・・・・
(何か勘違いしてるようだけど…店員さんは【面接を受ける人】より【偉い】訳じゃないからね?)

No.5

最初に面接を受けたのは販売接客業だ。
企業としての規模は
全国展開はしていないけれど
近隣都道府県の市に全部で50~60店舗ほどあるくらい。

店舗の広さも狭くはないが、けして広くはない。
レジの台数は僅か2台だ。


仕事内容としては
自分の担当売場の品だし
パソコンでの簡単な在庫管理とお客様の応対やレジだ。


偉そうに言いたくはないし、言うつもりもないけれど
素直な気持ちを感情の伝わりにくい【文】にしてしまうと…
「単純で簡単な作業」だ。

No.4

おばちゃんは若い頃
某企業で事務職(受注に発注、請求書の発行など)を経て
部署移動をしてからは
販売に接客と、営業に仕入れ(年に5回は長期出張)
広告やカタログのデザインと構成なんかの仕事を約10年していたから【職種】に拘りはあまりなかった。


No.3

「あった~!!」


【平日のみでもOK。2時間~3時間の勤務でシフトから選べます】


「ここ受けてみよう」と、まずは電話で面接を申し込んだ。

履歴書を書き、写真も貼って準備は万全。

数日後、指定された日時に張り切って面接に行く。


No.2

6月中旬
地元のタウン雑誌を手に取り
求人に目を通す。


今思えば「そんな都合の良いとこがあるわきゃないでしょ?」と分かるのだけど


さすがおばちゃんの考える事だ。

こんな地方都市で
しかも15年ものブランクに
40過ぎてる自分の立場も考えず
(-ω-)・・・・


「日曜祝日は休みで…通勤が近くて…朝10時から昼の2時くらいまで?」( -_-)?なんて探していた。

No.1

おばちゃん42歳


祖父の介護と実母の病介護を経て…久しぶりに働きに出よう!!と思い立ったのは昨年6月。


実母を亡くし
祖父を亡くし
暫くはポッカリと心に穴が空いていたけれど

子供達も大きくなったし
家事以外に何もせずに家にいるのが落ち着かなかった。


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