出会い‥系?ですかね‥?
出会い‥人は常に出会いを求めてるんだと思う‥それは仕事にせよ私生活にせよ、出会い系にせよ‥何にせよ、何らかの出会いを求めてる‥40になる俺も、色んな意味で求めてると思う‥色んな出会いを振り返ってみた‥ちょっと下ネタ的な物もありますが、気に入らなければスルーして下さい。
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﨑衝撃的﨑中学二年のくせに彼女がいた俺‥でも当時は今と違い、キスしただけで妊娠してしまう‥という、少しマセたクラスメイトの冗談を一時本気で信じた時代‥毎日汗だくになって野球に打ち込んだイガグリ君にはとても似合わないヤンキー姉ぇちゃんと密かに会う日曜の夕方の近所のショッピングモール‥当時流行っていた「積み木くずし」の主人公の様な厚化粧の彼女と野球帽を被った学ランのイガグリ君が向かい合ってソフトクリームを食べている光景‥そんな異様な光景の中での会話‥『ねぇ、○けしの元気が出るテレビって知ってる?』
>> 1
「知ってるよ‥でも大体その時間は外でバット振ってるから殆んど観ないな‥」
『じゃあ今日観てみなよ‥番組中にあるコーナーの電話番号が出るんだけど、その番号にかけると電話が混み合っちゃってね‥』
「じゃあ駄目じゃん」
『ううん‥それが駄目じゃなくて‥混み合ってます‥というアナウンステープが流れてるんだけど、そのテープの声に紛れて誰かしゃべってんのよ‥で、実際に話せるらしいの‥試してみてよ!先週試したら話せたよ~男の人と‥』
「えっ?試したの?で、話したんだ‥サトミ‥」
『何?し~君怒ってるの?』
と、何てふざけた電話だ‥!と思いながら話題を変えた‥学校の事、部活の事、友達の事‥毎週変わらない会話‥何か変化が欲しかったのかも知れない‥
『し~君、また明日』
「うん、明日」
明日‥とはいえ、サトミは学校じゃあ上級生にも一目置かれるバリバリのヤンキー‥皆近付かない様にしていた‥そんな彼女と俺が付き合っている事は、彼女のクループ以外の人間は知らない‥だから学校ではあまりお互いに話さない様にしてる‥
会話は~お手紙~‥
彼女の手下が懸命に俺の事を探しだし渡す‥次の休み時間に同じ手下が返事を貰いに俺のいるクラスに来る‥俺と彼女の手下が付き合っている‥という噂まで流れる程頻繁なやりとり‥
俺はその噂を否定するのに大変だけど、彼女は全く動じない‥強いね。
異様なデートから家に戻る頃に雨が降ってきた‥やがて本降りに‥
素振りをする時間になる頃には、雨は激しさを増し、とてもじゃないけど素振りは愚か、外に出る事さえも出来ないくらいの降りになっていた‥
「今日はヤメるか‥テレビでも観よう‥」
と思い、思い出したのは例の番組‥とりあえず観た。
番組も終りに近付くと、あるコーナーの電話番号が出た‥
「これか‥」
番号をメモし自分の部屋に戻りダイヤルを回してみた‥
【プルルル‥プルルル‥ガチャ‥おかけになった番号は只今大変混み合っており、かかりにくくなっております‥暫くたってからおかけ直し下さい‥】繰り返し‥
それ以外何も聞こえない‥試しに「もしもぉ~し!」‥反応なし‥
「何も聞こえないじゃん‥」と受話器を耳から放そうとした時‥
『もしもし‥』
か細い声がした‥
「もしもし‥?」
『はい‥』
確かに反応があった‥
暫くすると、数人の男女の声が割り込み、俺と、か細い声の主の短い会話が掻き消されそうになった‥
思わず俺は‥
「また来週ここで‥!」
『うん‥』
確かにそう聞こえた‥
朝練が終る頃に、噂の彼女が手紙を握り締めて下駄箱の前に立っていた‥胸の名札を見たら、三年だった‥思わず「あ、すみません‥」と敬語‥小柄だったので、下級生かと思っていた‥
化粧のせいで大人‥というか、ケバく見えるサトミも、スッピンだと‥現在でいう矢口真里みたいな可愛い顔‥そんなサトミが上級生をパシリに使うとは‥どこまで恐ろしい奴なんだ‥
そんな事を思いながら手紙を読むと‥
『昨日観た?で、電話した?私は、し~君怒るからもうヤメた‥』
という内容。
返事は‥「してないよ‥忘れてた。それと、もう誰かを使って手紙よこすの良くないよ‥自分で持ってきなよ‥」
『分かった、自分で渡すね‥』
‥という内容の手紙を噂の彼女が持ってきた‥分かってないね‥
「また来週ここで‥」
『うん‥』
そんな会話がイガグリ頭の中をグルグルと回っている‥当時の俺にとって、姿も見えない人と一瞬でも気持ちが繋がっている‥という事に衝撃を受けた‥実際に顔を見たらどうなってしまうんだろう‥「顔が見たい‥っ!」そんな気持ちが芽生えてしまった‥
日曜までが、一年くらいに思えた‥部活にもあまり身が入らなくなっていた‥まぁ、そんな事を知ってしまった思春期真っ只中のイガグリ君にとって無理もない事だった‥ただ少しサトミを怨んだ‥
いつもの様に日曜の夕方の異様なデートを終え、その晩‥外は晴れているが俺はテレビの前‥いよいよ番号が出る‥
出る前に電話しても繋がるどころか、混み合ってます‥のテープも流れない‥
番組も終盤になり番号が出た‥部屋に篭りダイヤルを回す‥既に混み合っているらしく、テープの声が流れた‥
「もしもし‥?」
【もしもぉ~し!誰だお前!】知らん奴が入ってきた‥来ないか‥
諦めかけた時‥『もしもし‥?』あの声だ!
やがて色んな声が入って来て、俺たちの会話を邪魔する‥
「どこに住んでるの?」
『A市‥』
同じだ‥奇跡か偶然か‥後から知ったが、同じ市外局番の中での混線なので話しているのは地元の人間ばかり‥
「俺も!」
『そうなんだ!偶然!』
「顔を見たい!」言ってしまった‥
大分混み合ってきたので、「A駅で‥!明日この時間!」と言うだけ言って電話を切った‥
何だか眠れない‥やはり中学二年のイガグリ君には全てが衝撃的だったのか‥
翌朝、朝練が終って教室に戻ろうと下駄箱へ向かうと、金髪でナチュラルメイクの腕捲りしたセーラー服で腕組みをして、くるぶしまであるスカート履き、足を肩幅に開き、仁王立ちをしながら登校してくる生徒にいちいちガンを飛ばす、どこかで見たバリバリのヤンキー姉ちゃんがいた‥サトミだ‥
人目も憚らず、『し~君!お手紙ぃ~!』
周囲はザワつき、゛し~君゛を見付けようとキョロキョロ‥俺はすっとぼけていると、ヤンキーは俺の前に歩み寄り『はい、し~君』と手紙を渡す‥
登校してきた生徒、正門で生徒指導をしている先生、野球部の先輩後輩同僚‥皆ヤンキーと俺に注目、そして絶句‥
何も、こんな所でこんな風に渡さなくても‥現在の様に携帯があればどれだけ楽だったか‥そんな世の中になるまであと十数年‥
゛お手紙゛には‥
『昨日のテレビ面白かったね!見た?電話した?私はしてないよ!』だった‥
こんな内容なら、廊下で擦れ違った時に話せば、一瞬で済むのに‥疲れます。
放課後の部活も終り、今朝の出来事を冷やかされながら家路につく‥
実は今日一日、俺は学校じゃちょっとした有名人‥何せ我が校最強最悪と言われる(知らなかった‥)サトミの彼氏が普通のイガグリ君‥セイラさんはシャアの妹‥と同じぐらいの衝撃だったらしい‥
家に帰り、風呂に入って飯を食い時計を見る‥あの時間まであと一時間‥
「ちょっと外に出る‥」と玄関で叫び、[お~ぅ!]と父親の声‥
チャリで駅に向かう‥何故か途中で冷静になった‥
「来るはずねぇよ‥来たら来たでどうなんだよ‥」
その反面、変な期待で胸が膨らむ‥
予定より大分早く到着‥現在の様にコンビニなんてない‥ただ書店はある‥立ち読みして時間を潰す。
俺の隣に誰かいる‥立ち読み客か‥顔を見ると見覚えのある顔‥「サトミの手下(アキホ)‥でも先輩!」アキホはまだ俺に気付いていない‥この場を離れて外に出よう‥
駅のロータリー脇にベンチがあり、ちょっとした待ち合わせ的なスペースになっている。そこで待つ事にした。
待ち合わせ時間‥大体九時前前後だったような‥とかなりアバウト。
都心で働く人達のベッドタウン的な駅‥人の往来はそこそこ激しい‥入れ替わりの激しい待ち合わせスペース‥ただその中で俺の他にもう一人、動かない奴がいる‥さっきまで書店にいたアキホ‥
まさか‥声の主‥
恐る恐る近付き尋ねる‥
「アキホ‥先輩ですよね?こんな時間にこんな所で何をしてるんですか?」
【ちょっと待ち合わせ‥】
「電話‥ですか?」また恐る恐る‥最強最悪な人間の彼氏らしからぬ態度‥
思わず吹き出すアキホ‥【あの声し~君?】
「なんだぁ~!アキホ先輩ですかぁ~!」
【なんだぁ~!とは何だよ!言っておくけど、一応私も三年シメてんだからね!あんたの彼女にはかなわないけど‥情無いけど‥でも、手紙配達の事、ありがとう。】
そう言うと、お互いに少し緊張がとれて、その場で話始めた‥話すと普通の女の子‥サトミも一緒だ‥
これは現在でいうところの、いわゆる‘出会い系’の元祖なんでしょうか‥たまたま知っている顔だったからだけど、知らない顔なら完全に‘出会い系’だね‥
生まれて初めての彼女‥サトミのとの出会いの事を少し‥
今から思えばドラマの様な出会いだったのかも‥‘ドラマの様な出会い’‥と言われても、当時は今の様に‘月9’的なドラマはなく、大人が子供に見せたくない様なメロドラマ的な物や、青春学園物、刑事物、時代劇‥などが主流で、俺等世代はアニメか歌番組に夢中だったのを記憶してます‥
ある日の放課後‥陸上部が遠征で不在のため、久々に校庭を野球部が全面使用しての練習‥
その片隅で、ウ○コ座りでタムロする怪しげな女子の集団‥半分は金か茶の聖子ちゃんカット‥半分は明菜のポニーテール‥そこにいるとフリーバッティングの時に確実に危ない‥でも誰も注意しにいけない‥
やがてフリーバッティングの時間‥タイミングの悪い事に、監督とコーチは職員会議で不在‥
とにかくそこ(ライトの定位置の後あたり)に打つな!‥と野球部全員の暗黙の了解‥念のために普段一塁手の俺が‘エリア’を守る事になった‥
そうは言ってもバッティング練習‥そこに危険な奴がいるから打たない‥という訳にはいかず、打球は次々に飛んでくる‥
「本当に危ないので、どいてくれませんか?」
『嫌だね!』
「球が当たると痛いですよ‥」
『オメェが捕りゃいいじゃねぇか‥』
タイミングが悪い事に、部内の左の強打者二人が打席に入った‥
嫌な予感‥
一人が右中間へのフライ‥なんとか届き捌く‥
[ライト~!]の声に振り向き打球を探すと、打球は一直線にヤンキーめがけて襲いかかる‥
「間に合うか‥っ!」
本来フリーバッティングなら無理せずそのまま打球を見送るんだけど、状況が状況だけに‥
夢中で飛び付いて、間一髪サトミに当たる寸前にキャッチ‥!
『危ねぇじゃねぇかっ!』
「そこをどけぇ~~~っっっ!」
怒鳴った‥
サトミは固まってしまった‥
そこそこ裕福な家に生まれ、怒られもせず我が儘放題で一人っ子のサトミ‥
父親が女を作って目の前で夫婦喧嘩‥そして離婚‥母親と二人の生活‥サトミだけはと教育に力を入れ、学習塾・バレエ・ピアノ‥と、友達と遊ぶ間もなく教育に力を入れた‥
やがてサトミは切れた‥そしてグレた‥煙草、かつあげ、喧嘩、補導も数回‥箱入り娘がグレるとこうなります‥のお手本の様に‥まぁ、中二の女の子の非行は可愛いものですが‥
ただ他人から怒鳴られる事は、サトミの中では有り得なく、衝撃的だったらしい‥
自分の為に腕に怪我を負いながら、打球を捕ってくれて怒鳴ってくれた‥と感じたサトミ‥それから意外な行動に出た‥
翌日の朝練が終って皆と話しながら道具を片付けていると、小柄なヤンキー姉ちゃんがメモ帳片手に俺のところに来て‥
【ちょっといい?聞きたい事があるんだけど‥】
と‥
[お前はヤンキーに祟られてるな‥]
と俺をからかいながら、部の同僚達は校舎へと入って行った‥
小柄なヤンキーは【生年月日と身長と体重と家族構成と血液型と好きな歌手と好きな食べ物と嫌いな食べ物を教えてよ。】と機関銃の様に言う‥まるで誰かに言わされているみたいだった‥
「何でそんな事を聞くの?」
【いいから素直に言えばいいんだよ!ぶっ飛ばされんだろぅが!】
「ぶっ飛ばされれるって‥誰に?」
【いいから早く言えよ!】
小柄なヤンキーは、何かを恐れている様に俺に質問をするので俺は取り調べを受けているかの様に素直に答えた‥
【最後に二年のオカダサトミってどう思う?】
「オカダサトミ?誰それ?」
【知んねえのかよ!昨日お前が球捕って守った奴だよ!】
「あぁ、あいつ二年なの?タメなの?‥まぁ、もう少し女の子らしくしてほしいな‥」
【何だそりゃ‥ナメてんのかよ‥まぁ、いいや‥じゃあな‥】
と言って小柄なヤンキーは校舎へと入って行った。
[何やってんだ‥早く中に入れ‥]
たまたまそこにいた担任が俺を促した‥俺は変な気持ちで校舎へと入って行った。
その日から、自分の周囲で何やら変な事がおきたり、誰かに後をつけられている様な気がしてならなかった‥
放課後、教室から部活に行く時、その日着ていたジャージはグチャグチャに脱ぎ捨て、ユニフォームに着替え出かけた‥が、部活から戻るとジャージは綺麗にたたまれている‥他の奴らのはそのままグチャグチャ‥
[お前几帳面だね~!いつもそんなだっけ?]
「いや、たたんだ覚えが無いんだけど‥」
[お前ボケちゃったんじゃないの?他に誰がたたむんたよ!]
言われてみればそうだ‥俺以外にいないな‥でも気持が悪いから、翌日から自分でちゃんとたたんでから部活に行く事にした‥
各部の朝練は早い‥いつも六時半には始まる‥皆ユニフォームやジャージで活発に活動している‥ただその日はどこか見慣れない物がそこにあった‥
見慣れない物‥それは部活に精を出す青少年達がいるさわやかな朝の風景には全く馴染んでなく、ただ校庭の片隅に、髪を金や茶に染めて長いスカートで仁王立ちしている‥まるでガンダムに登場するリックドムの様な集団(7名程‥)が眼光鋭く一点、いや一ヶ所にその視線を注いでいる‥
その視線の先付近にいる人達は、誰が標的なのか‥尋ねる事も出来ず、監督やコーチに追い払う様に頼む事も出来ずに、ただキョロキョロするばかり‥
やがてその視線が誰に向けられているのかが分かってきた‥俺だ‥
後にそらした球を追い掛け、一人になった時、‘リックドム’達の視線が全て俺に向けられている事に気付き、獲物になり動けなくなったバンビの様な状態になってしまった‥
朝練が終り、いつもは数人の同僚と話ながら校舎へと入って行くのだけど、その日は皆‘ドナドナの仔牛’を見送る様に、金や茶の集団の方に歩いていく俺を哀れむ様な目で見ながら少し離れた後ろから歩いてくる‥
「何も言われません様に‥」心の中で何度も念じながら集団の横を通り過ぎようとすると‥
【ちょっと待てよ‥お前二年の花山だろ?話あんだよ‥ちっと来いよ。】
「へ‥?」
ビビって声が上擦った‥
間髪入れずに‥
『てめぇ~っ!凄んでんじゃねぇよ!困ってんじゃねぇか!』
と、凄みをきかせた怒鳴り声が集団の後ろから飛んできた‥。同時に声の主が顔を出す‥
髪を金に染めていて、薄っすら化粧をしているが、声の主とはとても想像も出来ないくらいの小柄の可愛らしい女の子‥
『ごめんね‥これ読んで。』
と、可愛らしい便箋を更に可愛らしく折りたたんだ手紙を俺に手渡した‥
『行くよ‥』
可愛い顔から出る凄みのある声の後に続いて金髪茶髪の集団はその場から立ち去った‥
ほんの一~二分の出来事が一時間にも二時間にも感じた‥
放心状態になった俺を我に帰らせてくれたのは、後ろで見ていた同僚達‥
[おい!生きてるか?]
俺は貰った手紙を後のポケットに突っ込み振り返った‥
「うん、大丈夫だよ‥何て事ねぇよ」
強がった‥でも足は震えていた‥
皆に気遣われながら教室へ戻り着替えると、直ぐにトイレに行き貰った手紙を見た‥中学二年の男子の行動‥
『この間はありがとう。惚れました‥付き合って下さい。駄目でも返事下さい。オカダサトミ。』
衝撃だった‥同時に嬉しかった。でも俺も普通の中学二年の男子‥好きな女の子はいる‥その子は同じクラス‥たまに冗談を言ったりするけど、他の男子も皆その子を好きらしく高嶺の花‥追うより追われる方が、中学二年の男子にしてみれば嬉しい‥素行に大きな問題があるけど、可愛いし、話せばきっと普通の中学二年の女の子だと思う‥まだ中学二年‥付き合うというか、仲の良い特定の女友達‥という形で付き合う事にした‥ただ、返事をどう書いて良いのか分からない、なんせ初めての事‥
[おい、また来てるぞ‥あのヤンキー‥ずっとお前見てるぞ‥]
返事を受取りにきたサトミの手下‥中々返事が書けなくて、もう二日が過ぎる‥
「いい加減に返事を書かないと‥」
俺が返事を書かないせいで、あれから朝練の時も集団で仁王立ち‥休み時間も交替で手下が教室の前で仁王立ち‥
『こちらこそ宜しく。ただ、朝練の時間のアレはヤメた方がいいよ。そんなつもりでは無いんだろうけど、皆ビビってます‥部活やってなければ、普通の時間に登校した方がいいよ。』
そう書いて‘手下’に渡した。
ボソっと【遅せぇよ‥】と‘手下’
「す‥すみません‥」と俺。
その日の放課後の練習に向かう下駄箱の出入り口付近で、『あ~♪私の恋は~♪南の風にのって走るわ~♪』と、集団を引き連れて声高らかに松田聖子の歌を叫んでいるヤンキーを発見‥サトミだ‥。
異様なハイテンションを目の前にした俺は、サトミとって良い返事を書いた事に少し後悔をした‥
後悔はしたものの、腕っぷしと眼力・存在感と頭の良さに比例して可愛さも学年ではトップクラスのサトミ‥何度か都内に映画や買い物に行ったりした。地元を出てもサトミの可愛さは光っていて、デート中なのに色んな男から声をかけられたり、スカウトされそうになったり‥でもサトミはその全てに凄みをきかせて蹴散らした‥俺は優越感と同時に何かスッキリしない物を感じていた‥
ようやく手を握り、本当に軽いファーストキスを済ませた頃、突然に別れがやってくる‥中学三年の夏の大会の直前の事‥
定番になった日曜の夕方の近所のショッピングモールでの異様なデート‥テナントで入っているハンバーガー屋のオバチャンともすっかり打ち解けていた‥
そんなある日曜の夕方‥ショッピングモールに行くと、いつもはショッピングモールの入口でウ〇コ座りして待つサトミが今日はいない‥
「おかしいな‥先に行ってるのかな?今日に限って‥変だな。」
少しの胸騒ぎを感じながらフードコートに向かった‥
そこそこ人で賑わうフードコートの沢山あるテーブル席のど真ん中にある二人掛け用のテーブル席に、サトミが所属しているであろう‘チーム’の真っ赤な特効服を着て、腕組みをして、物凄いガンを飛ばした鬼の形相のサトミがそこにいた‥
サトミの鬼の形相は、大人も子供も他を寄せ付けない形相‥サトミの座る席の周りは空席なのに、立って蕎麦をすする大人さえもいた程だ‥
とんでもない事が起きた‥野性の勘なんて最早必要ない‥‘それ’を見たら分かる。
野球の道具が入った大きな鞄を下ろしながら恐る恐るゆっくりと席につく俺‥一直線に俺を見るサトミ‥それを見守る周囲の傍観者‥
ため息を一つ‥ゆっくりとサトミが話始めた‥
『あのさ‥し~君さ、二年の時に誰か他の女と二人で会った?で、その後その子と手紙のやりとりしたりしてる?』
鬼の形相の割に‘し~君’とは‥少し拍子抜けする。いつも見てるから‘慣れ’なのか‥少し余裕を持って‥
「う~ん、手紙のやりとりはないけど、会ったかどうかは分からないよ‥」一応本当の事‥
『おい‥バックレてんじゃねぇぞ!これはチーム内の‘仁義’の問題なんだよ!もし、会ったのも手紙の事も、女から誘ったならば、そいつをシメなきゃなんねぇし、オメエからならば、もうこれっきりサヨナラだ!それを踏まえた上で聞いてんだよ!』
会うとか会わないとか、手紙のやりとりがあったとかないとかで、仁義だのどうのって‥ヤ〇ザじゃないんだから‥と、まだ子供同士の世界のおかしなルールを腹の中でせせら笑った‥
きっと、会った‥というのは、いつかの‘電話‥’の事で、そんな話をでっち上げてるのは恐らく‘アキホ先輩’だ‥と確信した。
間違いなくでっち上げ‥全て話して楽になろう‥そう思い、顔を上げサトミを見た‥
物凄いオーラ‥全てお見通しという顔も見せている‥何もかも俺の言葉次第といった感じだ‥
(待てよ‥ここで全てを話したらアキホ先輩ボコボコにシメられちゃうんだよな‥サトミ強いから痛いんだろうな‥アキホ先輩と駅前で話した時は楽しかったな‥シメられるの可哀想だな‥)
そんな事を考えながら、重い口を開いた‥
「会ったのは本当‥相手はアキホ先輩‥サトミが教えてくれた、たけしの番組のあの電話で‥本当の偶然‥これはアキホ先輩悪くないよね?」
『まあね‥』
「大体先に会おうって言ったの俺だし‥ごめんね。」
『あんな電話教えなきゃ良かったよ‥し~君がそんなに夢中になるとは思わなかった‥もっと大人な人かと思った。』
「手紙も俺から‥あの日偶然会って話して楽しくて‥また話したいと、サトミへの手紙を渡す時にアキホ先輩にも渡してた‥」
この口から出まかせが、サトミが持つ手紙のやりとりの疑いと違っていたら‥と思うと正直ビビった‥
『フ~~~~』
サトミの長いため息と沈黙‥
(駄目か‥)
ビビる俺。
『アキホの言った事と大体同じだね‥分かった、し~君信じるよ‥でもこれでサヨナラだね‥手紙のやりとり‥小さな事だけど、私の知らないとこで私以外の女と‥裏切りだよ。』
携帯もポケベルもない時代の中学生の恋愛事情‥たかだか手紙で‥と笑い飛ばされるかもしれないが、惚れた者の心情は今も昔も変わらない‥‥
その後のサトミは‥相変わらずのバリバリのヤンキーを貫いてました‥15年後、居酒屋で再会したときの印象は‘昔のまま’でした‥
﨑衝撃﨑‥完
次の出会い‥?に続きます。
サトミと別れ、野球漬けの毎日を過ごし、引退‥やがて受験、そして卒業‥
中学の思い出は部活とサトミの事くらいで、他には特にこれといって無い‥。
ただ三年間成績が常に真ん中で‥担任からは‘ミスター平均点’と言われるぐらい‥部活では一軍と二軍を行ったり来たりと常に当落選上にいる安定感のない奴でした‥
担任は担任なりに、俺に成績上位の味と主力選手の味を味あわせてくれようと、通学圏内で公立の新設校を探してくれた‥
成績上位にいると、学習意欲が出て、成績向上に繋がるらしい‥主力選手も同様で、技術の向上に繋がるらしい‥
その高校の偏差値は恥ずかしくて言えた物ではない‥その為、人気がなく倍率も1倍を少し切る程だ‥結局二次募集をかけたところ、希望の高校に入れなかった頭の良い奴らが入ってきてしまった‥おかげでまたど真ん中‥
頭の良い奴、普通な奴、ビックリするぐらい〇〇な奴‥と、そこは‘人種のるつぼ’状態である‥
通学圏内ギリギリの高校なので新しいクラスに行けば、初めて会う人間ばかり‥全て‘出会い’ではあるけど、印象に残った出会いは‥
《野球部入部希望者は生徒指導室まで‥》と凄みのある校内放送が校舎に響きわたった‥
とりあえず生徒指導室に行った‥
生徒指導室に入ると、ジャージを着た先生と、ユニフォーム姿の先輩らしき人二人が椅子に座っていた‥
俺に続いて二人が入ってきた‥
暫く誰も入ってこないので、ジャージの先生が説明しようとした‥その時、頭を金髪にした小柄で眉毛の太い‘ヤンキー版星飛雄馬’似の男が入ってきた‥
とりあえず全員絶句‥
一瞬静まりかえった室内‥‘よくある事’の様に先生と先輩達が椅子とチリトリと箒を用意して‘飛雄馬’を呼んだ‥
[お前ちょっとここに座れ‥]
と、用意した椅子に座る様に促し座らせ、ビニール前掛けを首からかける‥
今一つ状況が飲み込めてない‘飛雄馬’‥俺は薄々分かった‥
間も無く、けたたましい音と同時に金髪が刈られ始めた‥
‘金髪の飛雄馬’が入室してから‘五厘刈りの飛雄馬’になるまで10分とかからなかった‥
ジャージの先生が‘飛雄馬’の頭を一発張って怒鳴る‥今じゃ考えられない、スジの通った鉄拳制裁がある程度許されていた時代‥
『金髪は校則違反!部員であろうがなかろうが男子は五厘刈り!女子はその場で黒く染める!生徒手帳を見ておけ!ナメんなぁ!このボケがぁっ!』
ユニフォームの先輩を手伝い、金髪をゴミ箱に捨てると、入部説明の仕切り直し‥
入部手続きを済ませ、生徒指導室を出た‥
五厘になった飛雄馬は‥
『畜生‥あいつら許さねぇ‥』
と呟くが、真後ろにいた先生にもう一発‥懲りない奴‥名前はコージ。
一番最初の一番印象に残る出会い‥爺じぃになるまで続く付き合いの始まりである‥
入部説明会に来れなかった奴を合わせると‥俺、コージ、マナブ、オータニ、クロス、ナオヤマの6名が新入部員である‥
俺等が二期生の新設校‥上下関係は厳しかったが、アットホームな野球部‥
夏の地区予選は一二年生だけのチームとしてはかなり善戦したが、県内上位のチームには敵わず、サヨナラ敗けで1回戦敗退‥
学校の夏休みの前に敗けたので、夏休みに入ってから野球部は一週間休む事になった。
一年生の6名は泊まりで海に行く事にした‥
基本坊主の野球部‥オシャレという訳ではないが、よく部員同士バリカンでお互いを刈り合っていたが、予選の対戦相手を見て、敗戦後の‘予定’を予想してバリカンを封印‥髪を伸ばし、終業式に皆床屋で精一杯オシャレな髪型にした‥でも一週間後には坊主‥
俺は長めのスポ刈り‥当時流行った‘風見しんご’風の髪型にした‥ちなみにコージはまた金髪‥
コージの母親が勤める保険会社の保養所を格安で利用する事が出来た‥そこは某海水浴場に近く目の前50m先は海‥という最高のロケーションらしい。
皆と合流してそこから各駅停車で約1時間半‥最寄り駅に着くと、タクシー・バスは使わず約1時間の徒歩‥歩きながらの話は、今日は飲もうぜ!とかナンパしてヤれるかな?と、酒の味も知らんくせに、女を抱いた事もないくせに‥妄想だけは一丁前‥な話に終始した。
宿に着き、部屋に案内された‥
途中の廊下で同い年か少し年上の女の子と擦れ違った‥案内の人の話では5人で来ているそうだ‥
コージが突然『よぉ~~~し!』と吠えながら、もしもの為のコンドームを自慢げにみせびらかしてた‥
とりあえず海へ‥
俺以外の5人が海へと走った‥俺は少し落ち着きたかったので中居さんが出してくれた熱いお茶を飲んでいた‥
『海に行かないの?』
あいつらが出ていって開けっ放しになっていた大窓の先の庭から、さっき擦れ違った女の子が俺に声をかける‥少し背が低い、堀ちえみに似た子‥
「うん、お茶飲んでから‥」
『随分落ち着いてるんだね‥何年生?』
「高一‥」
『え?あなたも?だよね‥?あ~あ、外れた‥』
「え?外れた‥って?」
『私らも今日は泊まりで来てて、君達見て年齢を当ててたんだけど‥私だけ外れ‥2コ下だね‥宜しく!』
そう言うと、彼女は隣の部屋に戻った‥
どこにこんな体力が‥と思うぐらい海で遊び、日焼けした体をシャワーで洗い流した‥
夕飯までまだ時間がある‥夕飯と言っても食べ盛りの男子高校生の腹を満たす程の食事は期待出来ないので、少し食糧を調達する事にした‥
男6人で、近所のスーパーへ買い出しに出かけた‥
【隣の部屋の女の子達、結構可愛いよな!】とコージが嬉しそうに言う‥
「2コ上だって‥お前等が海に行った後、声かけられた‥」
【ナニナニ‥?もうナンパすか?花山先輩~!】と少し悔しそうなコージ‥
「だから声をかけられたんだって‥」
その後、買い物をして宿に戻るまで、高校一年男子ならではの下ネタに終始した‥
買い物の内容‥ビール・缶チューハイ・乾き物のツマミ・オニギリ少々‥未成年の飲酒喫煙が今程厳しくなかった時代‥中学時代に覚えるのはオ〇ニー‥高校時代に覚えるのは酒煙草‥古き良き昭和だね‥
宴会場に宿泊者全員が集まり、部屋毎に区分されたテーブルつき、夕飯食べる‥例の女の子達は隣のテーブルにいた‥俺達と女の子達以外は家族連れや年輩の夫婦‥自然と女の子達と話す流れになっていた‥
【ねぇねぇ、どこから来たの?】
コージが先陣を切る‥
それぞれの女の子の出身地はバラバラだけど、学校は割りと近い女子高だった‥
【へぇ~!あの高校なんだぁ~!割りと近いんだねぇ~!】
コージが盛り上がる‥まるで合コンをしている様だ‥更にコージが被せる‥
【この後さ、俺等の部屋でトランプとかして遊ばない?色々飲み物とかあるし‥】
女の子達は皆顔を見合わせ、返事は後で‥と言って食事を済ませて部屋に戻った‥
どことなく場馴れをしている様で、巧くいなされた感じだった‥
コージはがっかりした様だったが、元々そういう事をそれ程期待していなかった他の5人の落胆は少なかった‥ただコージに対しては‥
「お前がっつき過ぎだよ‥ヤリたいってのが見え見えだよ‥」
そう言いながら食事を済ませて部屋に戻る事にした‥
途中、俺はトイレに寄った。
トイレを済ませて出てきた所で、堀ちえみ似の女の子に出くわした‥
咄嗟に「さっきはすみません‥あいつに悪気は無いんです‥ただ折角の休みだから楽しみたいってだけで‥」
【そうかなぁ~?完全に下心丸出しだったよ~。でも後で部屋にお邪魔します。いい?】
「勿論ですよ!」
女の子達が来る事を伝えると‥
「またお前声かけられたのかよ~!モテモテだな!」とコージが悔しそうに言う‥
「だからそんなんじゃないよ‥トイレから出たら目の前にいて‥夕飯の時のお前の言動を詫びただけだよ‥」
「キャプテン!これからどうしましょう?!」張り切ってコージがナオヤマに尋ねる‥
キャプテンのナオヤマ君‥俺等の学年のまとめ役及び責任者‥コージと同様の元バリバリのヤンキー‥監督より先に部の先輩にその風貌と素行に目をつけられ、とりあえず入学式翌日にヤキを入れられ、中学でヤメようと思っていた野球を無理矢理やらされるハメに‥しかもこれ以上素行が悪くならない様に学年キャプテンに祭り上げられた不幸な男‥
「よし!とりあえず部屋を綺麗にして、飲み物とツマミの準備‥あと各自コロンを吹き付けろ!‥で、し~君、女の子達はいつ来るの?」
準備は万全‥結局俺が迎えに行く事になった‥
【お邪魔しま~す!】
5人が部屋に入ってきた‥
女の子達は思い思いのラフな格好‥俺達もまたそう‥
皆それぞれ自己紹介をして、それぞれが用意した酒やジュースを飲みながらトランプの“大富豪”を楽しんだ‥
まだまだ若輩な俺‥酔った訳ではないが、350mlのビールを2~3本飲んだところで顔が熱くなって上に腹もキツくなってきた‥
「ちょっと風邪に当たってくる‥」
そう言って俺は宿の前の砂浜に出た‥
風が気持ちいい‥波の音が心地いい‥海で遊んでいる時に大きな流木が波打ち際にあるのを思い出した‥少し離れた所にあるが、落ち着くにはちょうどいい‥散歩がてらその流木を目指した‥
『酔っ払ったの?』
背後から女の子の声がした‥
月明かりに照らされて見えた、堀ちえみに似た顔がそこにいた‥
「え‥っと‥めぐみさん?」
『正解!』
「酔った訳ではないけど、顔が熱ってね‥少し涼みに‥」
『えっと‥確か、花山君だったね‥あだ名は、し~君って呼ばれてたから、し~君て呼んでいい?』
「あ、いいっすよ‥照れますが‥めぐみさん‥でいいすか?」
『ははは‥めぐみさんて‥めぐ‥とか、めぐちゃんでいいよ‥』
「ははは‥じゃあ、めぐちゃんで‥」
『うん、宜しくね~。』
「皆は?」
『キャプテンさん‥名前なんだっけ?』
「ナオヤマ?」
『そう、ナオヤマ君‥飲みすぎてトイレから出てこない‥コージ君はムキになってトランプやってる‥マナブ君はコージ君をなだめながら楽しんでるよ。あとの二人は寝ちゃったかも‥』
「めぐちゃんの友達は?」
『ん?あぁ‥普通に楽しんでるよ。皆大人ちゃんだからね~(笑)』
「そうだねぇ~。俺等はなんだかんだ言ってガキだしね。」
『でもし~君は随分落ち着いてるよね‥?ハジけ方が高校一年生らしくないよね‥(笑)?』
「らしくないって‥普通ですよ‥普通にバカもやります‥」
『ふ~ん‥し~君て彼女とかいるんでしょ?』
「と‥突然なんすか?あ、また皆でかけてるんでしょ~?俺に彼女がいるとかいないとか‥?」
『今度は違うよ‥猪昉ただ、なんとなくいるのかな?って思っただけ‥』
「そうなんだ‥彼女ねぇ‥今はいないですよ。そういうめぐちゃんはどうなんすか?」
『私も、し~君と同じ‥今はいないよ~。で、し~君の彼女ってどんな人だったの?』
「なんか随分と聞いてきますねぇ~。」
『だって興味あるじゃん、人の彼女とか‥』
「趣味悪いっすよ‥(笑)」
‥と言いながら、人物像や出会い、別れるまでの大まかな話をした‥と、同時に久しぶりにサトミを思い出して、懐かしい気持ちになった‥
その頃サトミは‥走り屋や暴走族の集まる、地元では有名な湾岸エリアで、一斉検挙の渦に巻き込まれていた‥(再会した時に聞いた。)
『へぇ~!物凄い人と付き合ってたんだねぇ~。』
「うん、物凄い女の子だったよ‥今頃何してんだか‥めぐちゃんの彼氏はどんな人だったの?」
『見た目格好いいヤンキー‥でもマザコン‥一ヶ月しないうちに別れちゃったよ‥私、惚れっぽいからすぐに騙されちゃうんだよね‥』
「へぇ~‥人は見掛けによらないね‥」
『し~君は見掛け通り?』
「う~ん、多分‥なんで?」
そう言いながら横にいるめぐみを見ると、めぐみは体育座りをした膝に自分の頬を乗せて、ぼんやりと俺を見ていた‥
そんなめぐみに少し見とれてしまい、動けなくなってしまった‥
『ん?いや、何でもない・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ、し~君、キスしていい?』
「いいよ‥」
雰囲気に飲まれた‥
目を閉じためぐみの顔がゆっくりと近付いてくる‥
俺は、肩口から軽く背中の方に手をまわし、引き寄せる様に“それ”に応える‥
軽く唇を重ねた‥
俺の“経験”はここまで‥
めぐみの暖かい舌が俺の唇と歯に当たる‥ここから初めての“経験”だ‥!
くすぐったい様な気持ちいい様な‥そんな感覚に襲われ、俺の口は勝手に開く‥舌が入ってきて俺の舌を探してる‥俺はまたそれに応え、舌を絡ませる‥例えが見付からない‥ただ気持ちいい‥嬉しい‥涙腺が勝手に開き涙が溢れる‥
めぐみの手が俺の背中に回り抱き締められた‥“完全にペースを握られた!”‥そう思ったら我に還った‥
何かのスイッチが入ったのか、ぎこちないリードされた舌の動きから自分の舌の動きになった‥
『ん‥ん‥ん‥あっ‥あぁっ‥』
と、めぐみの声‥間違いなく嫌がってはいない声‥と、聞き取れた‥
『ん‥ん‥んっんっんっ‥』
めぐみの声の間隔が短くなってきた‥抱き締める腕の力が一段と強くなる‥
夢中になり過ぎて唇が外れた‥その勢いでめぐみは俺の首筋に吸い付いた‥
ゾクゾクゾクゾク‥!!
新たな感覚に更に別のスイッチが入った‥!いや、戦闘体勢‥と言うべきか‥
体育の授業‥野球部員でありながら、成績のかかった本気の乱取りで有段者の柔道部員から払い腰で技有りを取った直後、袈裟固めに入ろうとした瞬間の感覚に似た感じ‥つまり‥アドレナリンの分泌‥そう、それ‥
首筋を吸われつつ俺の右手はめぐみの背中を直に触れ撫でていた‥
少し体勢がキツいので、めぐみを俺の下腹の上に跨がせた‥
目が合う‥さぁ、どうする俺‥
仕切り直し‥?でもアドレナリンはMAX‥!もう止まらない‥止められない‥
再び夢中でディープキス‥俺の両手はめぐみの背中を直に触れている‥
『あ‥っあ‥っあん‥はぁ‥はぁ‥っ‥きっ‥気持ちいい‥』
外れた口からめぐみの声が漏れる‥
更に俺の別のスイッチが入る‥ブラのホックは外さずに、カップを上にずらす‥途中、掌が硬くなっためぐみの乳首に当たる‥
『あ‥っ!あん‥!あぁ‥っ!あぁ~っ!!』
近くに誰かいたら完全に聞かれているぐらいの声‥もう、聞かれたって見られたっていい‥!お互いにそんな勢いだった‥
めぐみの上半身を捲り上げ、露になった胸を見る‥月明かりに照らされた胸は小柄な体の割りに大きめで、ツンとした形のいい胸だ‥
俺はその“頂”を唇で軽く食(は)む‥と同時に舌で突く‥を繰り返す‥
『あっ‥あ‥し~君気持ちいい~!もう‥もう‥ここ触って‥』
俺の手を自分の下半身に持っていく‥
スウェットのズボンの上から“その部分”に触れる‥暖かい‥いや、かなり熱を帯ている‥
またしても壁にぶつかる‥
さあ、し~君、どうする?“そこ”までは、いわゆる“本”を見ていたのが役に立った‥でも“そこから”先はまだ未知の世界‥なにせ、当時はビデオデッキはあれど、高校一年生が“それ”を観れる程には普及してなく知識も乏しい‥漫画やカラー写真で見ても、規制が厳しく大きなモザイクや白や黒の墨入れが入り、何をしているかなんて全く分からない‥
なんて思いながら、あたふたしていると、めぐみがスウェットのズボンの中に俺の手を導く‥
その中は熱く、隙間からは淫媚な香りが漂ってくる‥
パンツの上から触れると縦に割れている‥
“これがアレか‥!”
かなり湿っている‥いや、“濡れている‥”
“直に触りたい!”
15歳の少年に最早理性など残ってなく、突っ走った‥!
ついにその時が‥!
俺はパンツの脇から人指し指と中指を忍び込ませた‥また一つ大人になった気がした‥いや、一つというか飛躍的に‥
『あ‥あぁ‥!』
めぐみは俺の首筋に吸い付いたまま俺の指を自分の気持ちいいポイントに導こうと腰を動かす‥
指が、一番柔らかい部分に差し掛かった‥物凄く熱く濡れている‥
その周りをなぞる様に指を動かすと‥
『あぁ‥っ!あん‥あ‥っ!あ‥っ!あ‥っ!』
中指の第一関節に何か突起物の様な物が当たる‥それが当たるとめぐみの声は次第に大きく、激しくなり、腰の動きも円を描き、押し付ける様な動きに変わっていく‥
俺はその突起物を攻めた‥
痛い程首に吸い付くめぐみ‥
『あっあっあっあっあっ‥もう、もうだめぇ~っ!コレが欲しい!』
めぐみは俺の“モノ”に触れた‥その刹那‥
更にそれ以降未経験の俺は、いきなり頂点に達してしまいそうになった‥!
‥敗ける!‥
勝負をしている訳ではないのに、何故か本能でそう思ってしまった‥
我に還って首筋に吸い付いているめぐみを剥がした‥
目は虚ろで涙目になっている‥冷静な判断が出来るだろうか‥
「これ以上はヤバいでしょう‥」
『え‥?なんで‥?』
「俺初めてだし、何の準備もしてないし‥しかも外だし‥」
『大丈夫‥私に任せて!私も初めてだけど、知識だけは人並み以上!それに‥このまま止めたらおかしくなりそう‥し~君は?』
「俺もだよ‥」
確かに俺も闘争本能に火が着きっぱなし‥ここで引く訳にはいかない‥
再び夢中でディープキス‥
めぐみのを愛撫する‥クチュクチュ、ピチャピチャ‥という物凄くいやらしい音‥物凄い濡れ方‥あっという間に俺の右手はビショビショ‥
ディープキスをしながら、めぐみはスウェットとパンツを同時に膝まで下げる‥下半身が完全に露になる‥
“もう本当に引けない‥ここで引いたらめぐみに恥をかかす‥何より俺ももう限界‥”
そう思い、俺も履いていたスウェットとトランクスを下げた‥
俺とめぐみの座っている流木は、太い幹が縦に割れた感じで、長い年月を経て滑らかな木肌になり、打ち上げられ乾き‥まるでベンチの様な形になっている‥
俺のモノは‥これまで経験した事がないくらいに硬くなり、爆発寸前な状態になっている‥
めぐみは俺のモノを優しく握ると、自分の中へと導いた‥
入口に当たる‥
『あ‥』
めぐみがゆっくりと腰を沈める‥
ついに、ついにこの時がきた‥めぐみの中に入ると同時に本の中に入る‥そんな気持ちだ‥
「目をそらすな‥!!」
俺は自分に言い聞かせる‥間違いなくここは分岐点だ‥
『痛っ‥あ‥っ!あ‥っ!気持ちいい‥!でも痛い‥っ!』
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