携帯小説/熱視線
視線の先にはアナタはいない。私の視線の先はあの人だけ。
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彼もまた私より1週間先に入社したばかりの中途採用の社員だった。
つまり同期という事になる。
ただカイに対する
私の第一印象は‥‥
《きもちわるい‥‥》
私から見たカイは正直言って生理的に苦手なタイプだった。
「ルカ、今度入った新しい会社どうだった?」
私には今勤めてる会社に入社する前からお付き合いしている人がいる。
彼の名前はユウ。
「まだ入ったばかりだからなんとも言えないよ」
そんな事を言いながら
仕事帰り、馴染みのある店でお酒片手にユウが私の入社祝いをしてくれた。
「ねぇ、ユウ‥‥」
「何、ルカ?」
「私が入社した所、ユウの会社から遠いし、会社帰りに会えなくなるね‥‥」
「平日会う回数は減るかもしれないけど土日もあるよ」
薄暗い店のカウンター席で自分の肩に抱き寄せるようにユウが私の頭を撫でてくれた。
「そうだよね」
その肩に寄りかかり、私は小さく頷いた。
「実際カイとどうなの?」
「色んな所から付き合ってるって噂も聞くけど?」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
冗談だったり、会話を盛り上げるつもりの糸口だったのかもしれない。
先輩‥‥サヤ先輩にすれば悪気はないだろう‥‥でも‥‥
ユウは私の心の支えであり、
誰よりも愛する大切な人。
私が話す事で‥‥
私の知らない所で‥‥
ユウの陰口を言われたら‥‥と思うと許せない。
波風立てず、
静かに流し、
秘密を貫こう。
こうして私の中でユウの存在は職場では秘密事になった。
今でもこの時点でユウの存在を明かせば良かったと時折思う事がある。
そうすればカイと私を知らずにひっつけようとする人達は現れないだろう。
‥‥でもユウの事は言いたくなかった。
ユウに関心を示す人が現れたら脅威だし、ユウと私の事をとやかく聞く人がいても尋問されてるみたいで憂鬱になる。
そこには恋に臆病な私がいた。
休日の昼下がり、ユウと私はいつものようにデートを楽しむ。
ユウの側にいるとシトラス系の香水のいい匂いする。
私の大好きなユウの匂い。
ユウの手から伝わる温もりや、抱き締められた時に私の耳元で囁く愛の言葉、数え切れないぐらいいっぱいあって、
どれぐらいユウの事が好きか表現出来ない。
そんな私とは真逆でユウは誰とでも気さくに打ち解け、笑顔が絶えない好青年。
人当たりも良く、人に好かれるタイプと言っていいだろう。
一人っ子の私と違い、たくさんの兄弟に恵まれたのもあり、
人との関わりに臆する事もないといった感じに見えた。
こんな2人が付き合う事になったはメールでのやり取りがきっかけだ。
友達が紹介してくれ、赤外線でユウとメアド交換しなければ、きっと成立する事もなかった話だろう。
それは小さな奇跡だったのかもしれない。
そこだけは私自身、それとなく周りにハッキリと意思表示をしていた。
それは清々しくもあり、見事な程だと自分でも思う。
ユウの事を話さない代わりに言わないといけない意思表示。
それはカイに対する完全なる拒絶を意味する。
しかしこれは
逆に仇となった‥‥。
職場内の雰囲気は、配属された部署にもよるが、部署にいる年齢層は20代30代を占め、年齢も近い事があり、割と周りはフレンドリーだ。
それでも上下関係があり、時折煩わしくも思うが、人間関係はそんなに悪くない。
待遇や会社の環境に多少の不満はあるものの、それを除けば仕事内容もそれなりに充実していて面白いと私は思っている。
しかし言葉を置き換えれば、フレンドリーとは長所にもなるが、逆に言えば馴れ馴れしいという短所にもなる。
年齢層が近いという事は良い意味でも悪い意味でも注意しないといけない。
私はこの職場で様々な事を多く学んだ。
シャシャシャシャッ‥‥
逃げるように会社を定時で飛び出るなり、力強くペダルを踏み出し、猛スピードで自転車を疾走させた。風を切り、道行く人を上手く交わし、どんどん前へ突き進んだ。
私は何も深く考えずに
《会社から出れば解放される》
そう単純に思っていた。
でも現実は‥‥
背筋がゾッとした。何か嫌な気配を感じる。自分の真後ろから徐々に迫ってくるような音が聞こえてきた。
シャシャシャシャッ‥‥
自分と同じ、自転車のペダルを漕ぐ音だ。全力疾走でこんなに飛ばして走らせているのに、その音はどんどん私の元へ近づいてくる。
《まさか?まさか‥!?
信じられないッ‥‥》
悪寒とともに悪い意味で心拍数が上がった。そして嫌な予感は案の定的中してしまった。
自転車を運転している最中、
私は斜め後ろの後方から横目でチラリとその姿を確認した。
《カイだ!!》
「あれ?偶然だね!」
私の横に自転車で並ぶなり
カイは白々しく笑顔で話し掛けてきた。
まるで偶然を装うようなその素振りに私は唖然とした。
よく見ればカイの額から少し汗が滲み出ている。呼吸も多少は荒いが、演技をするため噛み殺しているのだろう。
全てが実にワザとらしい。
カイがその気なら私も全く気付かない振りをして対応しよう。
「あっ、今帰りですか?」
咄嗟にカイに気付かれないよう自転車を走らせながら、
私は辺りの信号を確認した。
《いつもと帰る道が異なるが信号を渡ろう》
即座に実行のチャンスを静かに窺う。
《カイと会社を出てからも一緒にいたくない!》
これが私の本音であった。
通勤時間は異なるため会う事は早々ないが、不幸にも退社時間が多少でも被ってしまうと、
帰り道でよくカイと遭遇する事があった。
帰る途中の方向が同じため、
その途中まではルートの変更すら出来ないでいた。
ミクはおっとりとした性格だが、天然系の明るさも兼ね揃えていて側にいると面白い。
私はそんなミクが大好きで、
時間を見つけてはよくミクと会っていた。
もしかするとユウよりもよく会っているのかもしれない。
ミクと会う時、決まって行く店がある。2人お気に入りの街の小さな喫茶店。
まるで人目を避けるようにメインストリートから外れたその店は、小さいながらも手入れが行き届いた観葉植物に囲まれ、
優しく淡い太陽の光に包まれながらお茶を楽しめる憩いの場所でもあった。
お茶の香りと喫茶店独特の雰囲気を満喫しつつ、私は一息入れるといつものようにミクに相談し始めた。
「最近悩んでるんだ~‥‥」
「悩みって?」
ミクはその言葉に首を傾げた。
「今の職場の事なんだけど」
その時、私は初めてミクにカイの話を話した。
私が体験した事、感じた事をミクに聞いて貰った。
「嘘ッ?そんな事あったの?」
「職場にストーカーいる訳?」
カイの話をした途端、
ミクが眉間にシワを寄せるような渋い顔をした。
「とにかくなんか怖くて‥‥」
私は私で口をへの字にし、腕組みをする。
ミクには自転車の話以外にもこんな話をした。それはどういう訳かカイと昼食を食べに行った時の事である。
その日は何故か長期出張だったり、病欠や代休消化で休む人がとにかく多く、部署内の人数も数人足らず。
そんな時に限って、1人外に昼食に出ようとした時にカイに声をかけられた。
「珍しいね、今日は1人?」
「えぇ‥‥」
いつもなら同じ部署の数人で外食したり、お弁当を持ち合わせて部署内で食べるのだが、こんな日に限って誰も一緒に食べるコがいなかった。
「俺もこれから昼なんだけど、一緒にどう?」
そしてこんな日に限ってカイに食事に誘われてしまったのだ。
「せっかくの昼休みですし、お気遣いなく」
私は申し訳なさそうな素振りでやんわり誘いを断った。
「気にしなくてもいいよ、1人で食べるの俺も味気ないし」
しかしカイの鈍感力は
人並み以上で尚且、無駄に押しが強かった。
「いや、ホントに気にしないで下さい」
慌てて私は断り続ける。
「とりあえず早く行かないと昼休み終わるよ」
こうして私は嫌々昼食を共にするハメになってしまった。
そしてある定食屋でカイと一緒に食事する事になった。
昼時はどこの店も混んでいるのか、テーブル席は既に埋まっており、カウンター席しか空いていない。
それが分かるとすぐさま私は店の外に出ようとした。カイと隣同士になりたくない。しかしカイはそんな私を余所にズカズカと店に入っていった。
私が嫌がっている事も知る訳なく、カイは定員に案内されたカウンター席に座るなり、
手招きで私に隣へ座るようにと促した。
すぐ側には定員がオーダーを聞こうとスタンバイしている。
こうなるともう店を出るにも出れない状態になり、私は嫌々ながらもカイの隣に座る事しか選択肢が残されてなかった。
渋々座ると私は素早く日替わり定食をオーダーした。
カイはなにやらまた私と違う物を店員に頼んでいたが、その当時の事はもう覚えていない。
ただ鮮明に今でも覚えている事はこの後の出来事で、これをふとした瞬間に思い出すと常に気分が悪くなった。
素行が悪い、行儀が悪いとかそんな理由ではない。
カイは人柄も申し分ない才能ある人だ。勿論、尊敬出来る所もそれなりにある。
ただ私からすればカイの嫌な面ばかりが目についた。
ちょっとした仕草や日常の些細な癖‥‥それが生理的に嫌で溜まらなかった。
更に昼食を共にした事により、私はますますカイの事が生理的にダメになっていった。鳥肌が立つレベルを通り越したと表現すれば良いだろうか?
カウンターで隣同士に座った後の話だが、私はカイに気付かれないよう隣で悪足掻きをし始めた。椅子に座り直す振りをして少しでもカイと離れようとしたのだ。
座り直した事でこの小さな作戦は成功したと思えたが、
すぐにカイはそれを打ち崩す行動に出た。
カイも席を座り直したのだ。
折角離した距離も水の泡‥‥
より状況が悪化し、最初に座った時よりも距離を縮められた。
ここで話を一息入れ、私は深い溜め息をつくとミクが目の前の席で苦笑いをしていた。
手と手を合わせ、「ご愁傷様」と言い、私はミクに拝まれた。
文章に置き換えれば長い話だが、自転車や昼食の話は口に出せば短く話せる話でもある。
話を一旦中断し、私は鞄の中から1枚の写真を取り出した。
ミクは待ってる間、
携帯を触りながらコーヒーを
口に含んでいる。
ミクに写真を手渡し、私はこう言った。「その写真を見れば私がカイを嫌がる最大の理由がわかるから」と。
「あ゛~~‥‥‥‥」
ミクは受け取るなり一瞬写真を凝視したが、すぐさま写真から目を背けるとミクはなんとも言えない声を出した。
「こりゃ悩むわ、悩むね」
憐れむような目でミクは
私を見るとウンウンと首を上下に揺らす。
「理解したよね?するよね!」
こうして私は更に同意を求めていった。
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