一緒にお話つくろう会②byクリス(代行)
設定:7つの惑星(世界)を舞台に登場人物たちが連合軍と言う巨大組織と闘うストーリーです👮是非、皆さん読んでみて下さい⤴【一緒にお話つくろう会】代表…
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>> 200
ドグロ「しかし…今は急がんでもいい」
今にもウマンダ星に乗り込もうとするクリスたちを見て言う。
①「だが…」
ドグロ「説明してやれ」
ミスチル「はっ」
ミスチル「ですが、この散乱した場では話も進まないでしょう。此方に」
ミスチルに先導され、一同は隠し通路を通り、椅子並び、中央には長机、会議室といった風景の部屋に行く。
ミスチル「どうぞ。お座り下さい」
部屋には何人か先客がいた。中年の男たち数人はひげ面に威厳たっぷりで、席についている。恐らくは宇宙海賊の幹部であることが伺える。
②「ふぅ…やっと落ち着けたわい」
③「ハーク、元気でなによりです。心配したんですよ」
②「いやはや…すいませんのぅ」
各々、席について行く。隼とエルフの子はナナの背後にたち警備に余念がない。
デビル「ねぇ?なんか食べ物ぐらい出してもよくない?」
小さな身体には不釣り合いの大きな椅子に座っている。
⑤「お前、相変わらずだなぁ…」
ミスチル「あっ…これは失礼致しました。直ぐに」
手を叩き合図を送ると部屋に銀狼の女たち数人が彩りどりの豪華な料理を運んできた。女たちは料理を運び終えるとドグロの両脇にひえる。
>> 201
デビル「へへぇ…いだだきま~す!」
待ちにまった食事を夢中になって、口に運んでいく。直ぐに自分の分を食べ尽くし、隣のセロとリオの分にも手ならぬ口を出す。
⑤「あっ!お前ぇ!」
⑪「食いしん坊ぉ~!」
必死に二人は食事を守るが、飢えたデビルの口の中にどんどん入っていく。
ミスチル「いやぁ…そんなにお気に召して頂いて光栄です」
①「ゴホン、お話を聞かせて貰いませんか?」
ミスチル「これはっ…すっすいません。凄い食べっぷりに見とれていました」
ミスチルは姿勢をただす。
ミスチル「政府軍は今や連合軍と化しました。ウマンダ星の軍力は凄まじいものになっています。これ程の軍を壊滅させるのは…我ら宇宙海賊では到底不可能です。しかも…この星に連合軍・政府軍の大艦隊が向かってきています。もはや1日ほどの猶予しか残っておりません」
ローナ「まさに絶望的状況な訳ね。こっちに来ている軍力はどれほどなの?」
ミスチル「敵は我らの軍力の十倍です」
ザック「話にならねぇな」
⑦「だな。軍力の差を埋める手は何かあるのか?」
ミスチルはため息をつく。
ドグロ「あったら、藁(クリスたち)にすがらねよ」
>> 202
ナナ「あらら…」
カリーナ「あかんやん」
ドグロ「そう言うな。虚しくなるだろがっ」
ドグロは葉巻を机に擦りつけ、視線を中年の男たちに向ける。
「ドグロ様。命令通り、部隊を星の周りに配置済みです。2日は持ちこたえてみせますぞ」
一人の男がそう言うと他の男たちは頷く。
ミスチル「と…言うことですので、連合軍がこの星にくるまでの猶予は3日ですね。ただ、宇宙線で2日持ちこたえた場合、宇宙海賊の半分は壊滅しているでしょう」
オジオン「時間さえ稼げれば…空に水の大賢者方も来られる。そうなれば5大賢者が揃う。星をおおう大結界を張ることも可能だ」
②「じゃが…オジオン殿。結界を張ろうとも時間稼ぎにしかならぬ」
オジオン「時間稼ぎさせ出来れば…他星から援軍を…」
⑭「お言葉ですが、それは無理でしょう。竜人族はムーク・ライジング星の連合軍との戦いで精一杯です。エルフ族は復興だけで精一杯。何処の星も力は残っていません」
①「そうです。周りの星からの援軍は望めません。今この星にいる軍だけでどうにかしないと」
ドグロ「ふっ。だから…それが出来たら苦労しねぇよ」
ドグロは女たちを両脇に抱きながら、呆れている。
>> 203
マリーン「敵の総大将を倒せば…指揮は落ちるのでは?」
マリーンは凱の右腕にしがみついきながらそう言う。
ナナ「だがよぉ…敵の大将ってのはキメラ将軍だろ?」
ハーク「うむ。力を増したキメラを倒すのは軍を倒すのと同等以上に難しい」
ナナ「それに…7大将軍も一人一人が雷総将軍なみだと聞くぞ(裏界で)。キメラに近づくことすら難しいだろうよ」
⑦「乗り込む。やっぱ小人数精鋭でウマンダ星に乗り込むべきじゃねぇか?」
ローナ「まぁ…死にたかったらね」
オジオン「討論ではらちがあかぬな」
ミスチル「では…今日はこのぐらいにし、明日にしますか。皆さん。お疲れでしょう」
デビル「そうそう。そろそろ寝る時間だしね」
デビルは机に並んだ。食事をほぼ一人で平らげると早々と部屋を出ていく。
⑤「あっこら!また勝手に!」
③「待てぇ。私も行くわ」
二人は直ぐ後を追う。
ハーク「オジオン殿にドグロ殿。今日はこれにて…でよろしかのぅ」
オジオン「分かった。また明日に」
杖で床を一度叩くとオジオンは姿を消す。
ドグロ「ミスチル。客方を部屋に案内してやれ」
そう言うとドグロは女たちと何処に行ってしまう。
>> 204
⑭「姫とセロでは心配だ。私もデビルを追うか!」
キックは鞘に手を当て、慌てて、セレナの後を追う。
ナナ「ところで…商売の話なんだが…賞金稼ぎ7を…」
ミスチル「はい。傭兵として雇わせて頂きます。青の惑星での大ダコ討伐は見事でした。是非我らとともに戦って下さい。」
ナナは回答を聞くなり、懐から請求書を取り出す。
ナナ「7人分の傭兵費はこれぐらいかな。前金はこれぐらいで」
ミスチルは請求書に目をとおす。クリスは横から覗き見るが【0】の数が多く目眩がした。
ミスチル「少々…お高いですね…」
ミスチルは頭をかく。
ナナ「大錬金術の俺がいる分、値もはりますねぇ」
ミスチルは少し考え、渋々、了承した。ナナの大錬金術を見たからには味方にしたいという気持が勝ったのだろう。明らかに不当な金額に捺印する。
ミスチル「では…部屋へご案内致します。近き戦いに備え皆さんゆっくりお休みなって下さい。此方です」
ミスチルに先導され、長い廊下を進んでいく。建物全体がまるで迷宮のようだ。隠し扉はいたる所にあり、何もなかった壁から銀狼が出てくることが、度々おこり、何度も驚きながら、クリスたちは進んでいく。
>> 205
ミスチル「すいません。黒の惑星はご覧になられたとおり、死の星です。地上は砂漠でとても住めるところではありません。ですので、銀狼族は地下に都市をつくり生活しております。海賊の住みかですので、複雑な作りになってはおりますが、以外と快適ですよ」
リオは突然、隠し扉から出てきた銀狼族の女の子と正面衝突し、尻餅をつく。
「あっ…ごめんなさい。大丈夫?」
⑪「痛ててぇ…あっうん。どうにかね」
ミスチル「あなた!この方々はドグロ様の客人ですよ!無礼な!」
ミスチルは剣に手をかける。
「あっ…お許しを…ミスチル様…客人とは知らず」
ミスチル「客人への無礼はドグロ様への反逆と同じです!」
剣を抜く寸前のミスチルをクリスは制止する。
①「止めて。無礼なら貴方の方よ」
⑪「そう。僕はなんともないからさぁ。君、早く行って!」
女の子は今にも泣きそうな顔で、リオに礼をすると逃げるように走っていった。
ミスチル「失礼いたしました。部屋は直ぐそこです」
剣から手を離したミスチルは小さな声で、何か呟くと肩を落とし、再び歩を進める。
>> 206
②「いやぁ…ダンテスティン星を出てから、色々な星の建物を見てきたが、建物を見る度に驚かされるのぅ」
地下というのに明るい通路は照明のようなものは一切なく。壁自体が光を放っている。壁はきめ細かな美しい絵が描かれており、とても海賊の基地とは思えない。
⑦「やけに女が多いよな。なんでだぁ?」
今まで、会った銀狼たちは皆、女であることに疑問をいだいた凱は言う。
ナナ「そりゃそうだろ。宇宙海賊の男たちは宇宙船に乗って年中、仕事だぞ。それに今は戦争準備で宇宙にかりだされてるだろうしな」
ミスチル「皆さん!着きましたよ!」
ミスチルが突然止まり、何もない壁を指さす。
カリーナ「なんもあらへんやんか…隠し扉かいな?」
カリーナはミスチルが指さす。壁を押す。すると扉か現れた。
隼「面倒くさい建物だな」
⑪「迷っちゃうよね」
カリーナ『きゃあぁぁ!凄いやん!』
一番乗りで、部屋に入っていくカリーナは中で叫んでいる。
ミスチル「ご安心を…何処かへ行かれたい時は銀狼がつきそいますので…中は十部屋ありますのでご自由に」
>> 207
マリーン「さぁ!私たちも入りましょう!も・ち・ろ・ん!相部屋でぇ」
⑦「わぁぁ。止めろって」
凱の腕を掴み強引に引っ張っていく。魔法でも使っているのかと思うぐらい強い力だ。
ローナ「恋の力って偉大ね」
ローナは一人マイペースで、中へと消えていく。
①「ミスチルとか言ったっけ?セレナとキック…デビル…あとセロの4人は連れてきてくれるだろうな?」
ミスチル「勿論です。お連れいたしますよ。では、私はこれで」
頭を下げると来た通路を戻っていった。
ナナ「クリスちゃん!俺と相部屋どう?」
自分では決めているつもりだろうか、足を交差させポーズをとる。
①「クリスちゃん…私は慣れ慣れしい奴は嫌いでな。じゃ」
ナナとは目すら合わすことなく部屋の中に入っていく。
ナナ「あらら…」
隼「頭…」
エルフの子「……」
ナナ「う?ありゃ?」
軽く傷ついたナナであったが、向こうから歩いてくる集団に気がつくと急に身構える。
隼「協会の連中がなぜ」
こちらに歩いてくる集団の先頭は赤い十字架のマークが入った鎧を身につけた。裏界の中心、謎多い財団協会の協員である。
>> 208
ナナ「これはこれは…協会の方とこんなとこで会えるとは」
協会員「ナナ様。賞金稼ぎ7も傭兵として銀狼側におつきになられるのですか?」
協員は全身、近未来的な鎧をまとい。声は音声機を通し、男か女すら変わらない。
ナナ「そうなるねぇ。後ろの剣士たちは傭兵か?」
協会員三人の後ろには強者揃いの剣士数十人が、殺気にみちた表情でナナを睨んでいる。
協会員「そうです。銀狼族の長、キャプテン・ドグロ様からの依頼で、傭兵を集めれるだけ集めております」
隼「貴様ら協会が、連合軍の敵に手を貸すとは珍しいな」
協会員「おや…心外ですよ。協会はあくまでも皆様に平等にサービス(傭兵依頼・暗殺依頼・賞金依頼)を提供しております。連合軍様はただ大口のお客様に過ぎませんよ」
ナナ「ふふ。ならもっと傭兵連れてくるんだな。そんな数じゃ連合軍は相手に出来ない。裏界には腐るほど暇人がいるだろうがっ」
協会員「そうしたいのですがね。連合軍様の大口の依頼で傭兵が出払っておりまして」
兜ごしだが、協会員が笑みを浮かべているように感じる。
ナナ「ふっ…協会の考えそうなことだ」
協会員は会釈し、その場から離れていく。
>> 210
⑭「竜王…竜王様」
キックは一部屋に閉じこもり、竜紋鏡に向かい何度も話かけていた。だが、向こうからの返事はこない。
※竜紋鏡:竜人たちの通信機のようなもので、映像と音声のやりとりが可能である。特殊な魔力を込めた鏡で、見た目は手鏡といったところである。
⑭「やはり…距離が遠過ぎるか…」
諦めかけた時、音声は大分と荒れているが、竜王の声が聞こえてきた。
『ガッ…キック…とれるか?』
⑭「はっ!竜王様!聞こえます!」
『ガッ…ツ…そうか。そちらは順調か?』
⑭「順調とは言い難いですが…近々、連合軍と再び交えます。今回ばかりは…私とて弱気になるほど相手は強大です。まさか…敵に老剣士サムがいるなんて…」
竜紋鏡からは音声が一時聞こえなくなる。通信が、途切れたのではなく竜王がサムの名を聞き動揺しているのだろう。昔、竜斬りサムとうたわれた男は老剣士と名をかえている。
『サム…ガ…奴にやられた多くの同士…我肉体に残るこの傷跡…ガッ』
⑭「私は自信がありません。偉大な竜王様(竜型時)に傷を唯一つけた男に勝つ自信など…」
>> 211
『キックよ。我ら竜族は多く子を生む。お前の亡き母も25人、子を生んだものだ。言うまでもないが、25人の我子の中でお前は飛び抜けて強い自信を持て』
⑭「ですが…私は竜王の足元にも及ばない」
『お前は私を超える竜よ。キックお前は知らんだろうが、【竜剣】は【試しの剣】と言われておる。代々、竜王は次期竜王となるものに【竜剣】を授ける。』
⑭「試しの剣…」
キックは自分が身につけている剣に目をやる。まさか、ただ貸してもらっているだけだと思っていた剣が、そんな大事なものだったとは…
『その剣は竜に目覚めるための剣。武器にして、武器にはあらず、竜剣の真の力を目覚めさせば…ガッ…私でも勝てなかった。サムにも勝つことができよう」
⑭「目覚めさせる?」
『そうだ。おっと…ガッ…ヒントはここまでだ。これ以上言うと地下で、眠ってやがる爺ども(先代の竜王たち)が怒るんでな。次合う時は竜の姿で会おう…期待しておるぞ…ガガガガガ」
それっきり竜王との通信は途絶えた。キックは竜剣を握りしめながら、竜族の宿敵サム打倒を決心する。
⑭「私が倒してみせる」
>> 212
①「カラス…まさかな」
クリスはベットに横になりながら、ダンテスティン星で、1年余り一緒に用心棒の仕事をしていた女性を思い出していた。連合軍の7中将のうちの一人と同名のカラスという女性である。
①「あり得ないかぁ…アイツは国に帰ったんだし」
バタン!!!
部屋の扉が勢いよく開く。寝ているローナを抱えたカリーナが入ってきた。
カリーナ「クリスはん!一緒に寝えへん!」
①「えっ…あの…あっ!ちょっと!」
カリーナは有無を言わさず、クリスと同じベッドに寝転がる。抱えていたローナは隣のベッドに放り投げた。
ローナ「むにゃ…」
起きていたなら激怒しているローナだろうが、静かなものだ。
カリーナ「まぁまぁ。せっかく仲よおなれる機会なんやし、部屋別れて寝るのもなんやろ!な!」
①「そっ…そうですね」
カリーナ「クリスは連中と旅してながいん?」
①「連中?凱とかセロとですか?」
カリーナは大きく何度も頷く。
①「3ヶ月ぐらいですかね。セロとは長いですけど…凱・セレナ・リオとはまだそれぐらいです」
カリーナ「そうなんかぁ」
>> 213
①「カリーナは…ナナさんのチーム?に入って長いの?」
何処から持ってきたのか、お菓子を口に運ぶカリーナは満足そうに食べいる。
カリーナ「うちは賞金稼ぎ7に入って、もう3年になるでぇ」
カリーナ「あっ!」
扉がゆっくり開く。
③「私も一緒にいいかなぁ?」
カリーナ「歓迎やでぇ!姫さん!」
①「セレナ」
③「クリス。心配させてごめんなさい」
①「ほんと…無事で良かったぁ」
クリスはセレナを抱きしめながら涙を目になっている。
カリーナ「感動やねぇ」
ローナ「そのようね」
カリーナ「え?起きてたん?」
ローナはカリーナの間抜け面を見て、呆れる。
ローナ「あんたが…うるさいせいでよく寝れたわ。勝手につれてきてくださるしね」
カリーナ「どういたしましてぇ」
本気でお礼を言われたと勘違いしたカリーナは真顔でそう答えた。
ローナ(天然って…気が楽でいいわ…ほんと)
ローナは布団にくるまるが、三人の明け方までの話声のおかげで中々眠れないのであった。
ローナ「はぁ…早く寝たい」
>> 214
①「あっ…そういえばデビル見つかったの?セレナ?」
③「それは……」
部屋でクリスたちが寛いでいる一方セロはと言うと…
⑤「はぁ…キックの奴も旨いこと言って逃げやがって…ったく」
セロは一人薄暗い廊下を歩いていた。
⑤「もう夜が遅いから姫の身体にさわる。姫一人でいくのもなんだから、私も一緒にもどる。セロ…頑張って探しておいてくれ…く~キックの奴ぅ~俺も休みたいんだよぉ~」
数分前のことを思い出しながら、ぼやく。
⑤「だいたい…デビルなんて探さなくてもまた戻ってくるよ」
とは言うもののセレナが別れ際、デビルの事が心配だからお願いしますと泣きそうな顔で言われ頷いた手前、手ぶらでは帰れないのであった。
⑤「セレナもあれだよなぁ…お人好しにも程があると言うか…デビルのせいで拐われたみたいなもんだし、それでもデビルの事心配してるんだもん。夜も遅くてしんどいだろうのにキックが無理にでも休ませなきゃ俺と一緒に今もデビル探してんだろうなぁ。可愛いいよなぁ~ほんとクリスとは大違い」
⑤「う!?」
セロは突然、背後に気配を感じ、後ろを振り向く。
⑤「なんだ…誰もいないじゃん…気のせいか」
>> 215
⑤「クリスの悪口いうとつい身構える癖がついちゃったよ。はは…」
後ろに誰もいないことを確認するとセロは再び、前に向きなおる。
「どうも」
⑤「って…わぁぁあああ」
前方にマントを着た男が立っているではないか、しかも、間近に…男は尻餅をついたセロに手を差しだす。
⑤「だ、だ、だれだ!」
男の手にはつかまらず、素早く腰の短銃を抜く。
「おっと…物騒な」
男はマントの下から、杖を取り出し、一言唱えるとセロの銃を弾き飛ばした。
⑤「なっ…早や」
早抜きには自信があるセロだが、男の方上手だ。杖を出すのを目で追うことすら出来なかった。
「さぁ…手につかまって」
⑤「あ?い?」
どうやら危害を加えるつもりはないらしい。魔法使いの男は笑顔で再び手をさしだし、セロを起きあがらせる。
⑤「で…あんた…誰?敵ではなさそうだけど…」
飛ばされた銃を拾うセロだが、男は止めようとする気配はない。
>> 216
⑤「敵なら撃つけどね」
セロは拾った銃を男に向ける。30歳半ばの男は短めの青マント、長めのズボンとバランスの悪い服装で、長い髪を後ろでくくっている。杖には不気味な頭蓋骨が埋め込まれている。
「どちらかと言えば味方かな。私の名はラ・ドルといいます。名前が【ラ】なもんで、皆からはフルネームで呼ばれてるよ」
⑤「ラ・ドル…その頭蓋骨はなんなのさ」
セロは銃で杖についた頭蓋骨を差す。
ラ・ドル「あぁこれは…私の愛する人だよ。うん彼女は美しかった。今でも美しいが、生きていた当時は…そりゃ美しかったぁ」
ラ・ドルは頭蓋骨を撫でながら言う。
⑤「あんた…友達いないでしょ」
ラ・ドル「あっよくわかったね。なんなら君が私の友達第1号になってくれてもいいよ」
⑤「遠慮しとく…ラ・ドル十分あんた怪しいよ。まずは武器(杖)を捨ててくるないかな」
引金を引き、ラ・ドルの頭に銃口を向ける。
ラ・ドル「おいおい。私と彼女の仲が羨ましからって…捨てろはないだろ」
ラ・ドルは杖についた頭蓋骨にキスをする。
⑤「う…こんなタイプ苦手だ」
ラ・ドル「はっはは…よく言われるよそれ」
>> 217
コトン…コトン…コトン
⑤「う?ハーク様!?」
後ろから杖をつきながら、ハークがやってきた。
②「やっと…きよったかぁ。嵐の賢者よ」
ラ・ドル「師匠…お久しぶりです」
ラ・ドルは彼女(頭蓋骨)とお辞儀をする。
②「そちも元気そうでなによりだ」
ハークは頭蓋骨に手をおきそう言うので、セロは少し後ろにひいた。
⑤「えっと…あの…」
②「おぉ。すまんすまん。コイツは儂の弟子でのぅ…嵐の賢者の称号を得たそれなりに魔法使いじゃ」
ラ・ドル「いやぁ…師匠にほめられると嬉しいなぁ」
②「うむ…性格はこんなんじゃが、嵐の名にふさわしく素早い魔法発動が得意な奴でのこの戦いの助けになってくれるだろう」
ラ・ドル「あんまりあてにしないで下さいね」
②「にしても…セロ。こんな所でなにをしておるんじゃ?」
ハークは長いひげをさすりながら言う。
⑤「あ…そう。そう。デビルを探してたんだった」
②「あやつまた何処かへいったのか…ふむ。どうやら…食糧庫にいるようじゃ」
ハークは水晶を覗き込み、水晶に息を吹きかける。すると光る蝶々が現れた。
②「この蝶々を追っていけばデビルの元に連れて行ってくれるはずじゃ」
>> 218
⑤「あわわ…待てぇ~ハーク様!有り難うございます!」
飛んでいく蝶々をセロは慌てて追っていった。
②「で…ダンテスティン星はどうじゃった?」
セロの姿が見えなくなってからハークは口を開く。
ラ・ドル「はぁ…実に厳しい状況です。連合軍は予想以上です。ダンテスティン星の人々も多くとらわれています…人質に使われたら星を奪還するのは難しいでしょう」
ラ・ドル「捕虜となって連合軍の動きを監視するようにと命を受けておりましたから…突然の呼び出しに驚きましたよ」
②「うむ…お主たち二人には監視役としてダンテスティン星に残っておってもらいたかったが、どうも人手不足でのぅ…ところで、霧の賢者はどうしたのじゃ?」
ラ・ドル「アイツは霧のようなもんですから…それに王子もおこしですのでそちらの警護の方に」
②「エリトリア王子が来られておるのか!それはセレナ姫もお慶びになられる!」
ラ・ドル「それはそうでしょう。生きておられると思ってもいないでしょうからね。私も姫が喜ぶ顔はみたいです。ですが…」
>> 219
ラ・ドル「我ら賢者二人はエリトリア王子を今まで守ってまいりました。あのお人は人間族の王となられるお方です。今は誰の目にもつかず、身を隠された方がよいのです」
②「分かっておる。ならなぜ?ピンタゴ星雲まで来られたのじゃ?」
ラ・ドル「エリトリア王子はセレナ姫が連合軍を倒すため戦っておられることを耳にし、自分だけが隠れているのを許せなかったのです。私たちがセレナ姫のもとに行くと聞いてついてこられました。あの方の命には逆らえませんから」
②「……」
ラ・ドル「しかし…王子は姫に合う権利はないと言っておられるのです。自分は逃げてきた…だが、姫は自分が隠れていた今まで戦ってきたのだからと」
②「じゃが…姫はそんなこと咎めはせん」
ラ・ドル「エリトリア様は自分に厳しいお方です。けじめをつけられれば姫と会われるでしょう。今は別の目的で来られたようです」
②「ふむ…」
ラ・ドル「師匠…私疲れてまして…彼女も休ませてあげたいですし」
彼女の頭をさすりながら、わざとらしく疲れているかのように装う。
②「分かった…話は部屋に行ってからにしようかの…全く困った弟子じゃわ」
>> 220
ドンドン
カリーナ「どないしたんや?こんな夜更けに。」
腫れぼったい瞼を擦りながらドアの鍵を開けるとそこには、ナナ・隼・タカの子・ザック・ヤンが立っていた。
①「ふあ~っどうしたんだ…」
クリスは剣を構えていた。その横でスースーとセレナまだ寝息を立てている。
ナナ「ガッハッハッ!海賊王キャプテン・ドグロから資金はがっぽり頂いた。早速だが賞金稼ぎ7は武器・食糧・戦闘鑑の調達に動いて貰う。連合軍は待っちゃくれねぇからな。」
ローナ「はぁ結局、私はあまり睡眠とれなかったわ。」
不機嫌な顔をしてカリーナの方を見る。
ヤン「頭の言葉は絶対じゃ。」
巨体を揺らして笑う。
ザック「ったく、頭にはいつも振り回されるぜ。」
隼とタカの子は黙って立っている。
ナナ「じゃあ、ちょっくら行ってくるぜクリス。姫さん守ってなっ」
①「ああ、分かってる。」
カリーナ「話し楽しかったわ。ほな、行って来るで!」
カリーナはウインクすると、まだブツブツ言っているローナを引っ張ってドアから出て行った。
>> 221
ナナたちを見送ったクリスは再びベッドに横になる。
①「可愛らしい寝顔だこと」
くすっと笑いながら、セレナの無邪気な寝顔を眺める。
①「セロは結局デビル見つけられたのかな」
少し横になっていたクリスたが、どうやら目が覚めてしまったようだ。眠気はすっきりとれている。
①「それに凱はどうなったことやら」
カーテンを開け、両開きの小窓を開けると清々しい空気が部屋をかけめぐる。外は徐々に明るくなってきており、小鳥も所々で鳴き始めている。
①「少し早いけど…」
クリスは防具を手慣れた動きで身につけていく。そして、剣を腰につけ、いつもの身なりを整える。
①「傷が酷いな。今度新しいのを買うかな」
戦いを通し、傷ついた防具を渋々と眺めながら、部屋にいつのまにやら用意されていた銀狼族の朝食(堅いパンに生肉がのり、紫色の酸味が強いソースがかかったもの)を食べ。簡単に朝食をとると寝ているセレナを起こさないよう部屋を出る。
>> 222
①「セレナを一人にするのもなんだけど…この部屋通らないといけないから大丈夫か」
この客室は個室が十部屋からなる部屋で、廊下に通じる中央の大部屋から各個室に行く構造になっているため、今、クリスいる大部屋を通らない限りはセレナがいる個室にはいくことはできない。
①「ふぅ。気がきくな」
大部屋に置かれているテーブルには入れたての紅茶が置かれている。紅茶を口に運び、椅子に腰を下ろす。
②「早い目覚めじゃの」
①「あっ!ハーク様!」
後ろから気配を消し話かけてきたハークに驚きつつも軽く会釈をする。
ラ・ドル「お綺麗な女性だ。まぁ彼女ほどではないが…始めまして、私はラ・ドルです。名前がラなもんで皆からはフルネームで呼ばれています」
ハークの横には頭蓋骨を撫でながら笑みを浮かべる見知らぬ男が立っている。クリスは少し身構えたが、ハークが自分の弟子であることを説明し、ようやく警戒をとく。
①「始めまして、ラ・ドルさん。私はクリスといいます」
⑪「この人変わってるし、面白いよ!」
ラ・ドルの後ろからリオが顔を出す。リオが言うに友達第1号になったらしい。
ラ・ドル「ね~」
①「ね~」
二人は嬉しそうだ。
>> 223
オジオン「ふぅ。私を殺しにでもきたか…」
地下深い一室にオジオンはいた。魔法の泉からは黒いローブを着た男が不気味に笑いながら、姿を現す。
オジオン「魔法の泉の結界を破って私の元までくるとは…既に私の力を越えておったか」
男は深くかぶっていたフードをゆっくりと上げ、鋭い眼光でオジオンと目を合わす。オジオンの目は男とは違い穏やかな目で、弟子である男を見つめる。二人の距離はほんの数mだというのにまるで、間には高い山が立ちはだかるようだ。
オジオン「裏切り者がよく私の前に出てこれたものだ」
「私は裏切ったつもりなどないがな。私は信念は昔のままだ…ただオジオン殿とは並行線だが」
オジオン「……」
「隠居されたと聞いたが…わざわざ死期を早めるために出てこられるとは昔と変わらずお人好しなお人だ」
オジオン「私を殺すか?キメラよ」
⑪「いえ今日は止めておきましょう。それに殺さずとも老体の貴方は勝手に死なれる。今日は挨拶がてらに寄っただけです。ついでに銀狼族を皆殺しにしていってもいいがね」
オジオン「一人で敵陣に乗り込むとは…よほど力に自信があるのだな」
>> 224
⑪「まさか…私を倒そうとでも?」
オジオン「ここには風の大賢者ハークもおる。それに賢者もの」
⑪「ふっふ…ハークなど今の私の力なら、なんら問題ない」
キメラは黒の惑星にいる全員相手にも勝つ口ぶりだが、それを保証するかの魔力を身体の内に秘めている。そして、魔力とは別の何かを隠し持っているような秘めたものを感じる。
⑪「こちらに向かっている空・水の賢者が来られれば少しは勝負になるかもしれないがね。魔法界の賢者たちもいつこられるやら」
オジオン「なっなぜそれを…まさか」
⑪「ドイス閣下と我が魔力の力でこのピンタゴ星雲と魔法界との繋ぎを断ち切りる強力な結界を異空間にはっておる。ここにくるには何処かの星を経由せねばこれんだろう。宇宙船でこられるとなれば魔法界の一団がこられるのは…後数日かぁ」
オジオン「完全に…封じるつもりか」
⑪「貴方たちの死に場所はここ…この黒の惑星です。私が手を下さずともリード将軍だけで手は足りるでしょう。私はウマンダ星で政府軍の馬鹿どもを上手く動かさなければいかないので失礼」
キメラは魔法の泉へと入っていく。
オジオン「くっ」
止めはしなかった。いや止めれないのだ。
>> 225
⑱ドグロ「ちっ…連合軍ども」
ドグロはメインモンターに映る連合軍の艦隊を見つめそう言う。
ミスチル「奇襲作戦は失敗に終わったようです…」
連合艦隊近くの宇宙海賊船の信号が次々に途切れていく。奇襲部隊として、攻撃をしかけた一千隻の戦艦である。
ミスチル「どうやら敵は奇襲をよんでいたようです。部隊は壊滅です」
⑱「くそっ…連合艦隊には損害ゼロでこの様か…」
ミスチル「連合軍は三大兵器のX砲を全艦に装備しているもようです。奇襲部隊も集中放火のX砲で壊滅。連合軍は速度を増し、進行中です」
⑱「くそ…」
ミスチル「我らはこの攻撃で一割近くの船を失い。指揮の低下…前線部隊が連合軍と交戦になった場合、1日もつか…」
⑱「……」
宇宙海賊の戦況は悪化するばかりであった。
>> 226
奇襲作戦で敗戦した宇宙海賊、一方、幸先よく勝利をおさめた連合軍は悠々と黒の惑星に向かっていた。
④バジリス「将軍。新型のX砲の実験には丁度よい機会になりましたな」
一隻で、従来の威力と堂々の破壊力、エネルギー注入時間短縮を得た【新X砲】は予想以上の出来栄えであった。宇宙戦では種族屈指の宇宙海賊を数分で退けたのだ。
⑯「美しい…実に素晴らしい破壊…破壊だ!」
長い髪をかき分けながら、宇宙に浮かぶ宇宙海賊船の残骸を見つめ不気味に笑う。
④バジリス「黒の惑星にはセレナ姫の一行が来ているそうです。また我らの邪魔をするつもりらしい」
⑯「そのようだな…だが、私の美の前では無力…ふふ」
二本の杖の先端についた水晶にはセレナとクリスが映されている。
④「勿論。こちらには大艦隊…それに閣下から授かった失敗作もあります」
バジリスはドイスの強力な縛り魔法で縛られた化物を一瞥し、懐から注射器三本をとりだす。
④「いざとなれば…私がこの薬を使ってもいい」
⑯「なに…この者たちもいる。完全なる美(勝利)で終わるだろう」
この者たちと呼ばれた二人は黙ってリードの後ろに立っている。
>> 227
②「困ったもんじゃ」
ハークは無邪気にリオと戯れているラ・ドルを見て頭をかく。
①「いいじゃないですか。リオも楽しそうだし」
ラ・ドルに肩車されているリオはいつになくいい笑顔だ。
②「うむ…そうじゃが…賢者としての自覚をのもっとしっかりと…かりにも【嵐の賢者】の称号をもつ者が…」
①「ハーク様。気になっていたのですが…賢者にも大賢者と同じ称号があるんですね?」
②「そうじゃ。だが、賢者が皆称号を持っておるわけではなくてのぅ…賢者のごく一部だけじゃ。ゆえに称号をもつ賢者はそれなりの力・才能を認められた優秀な賢者というわけじゃ」
②「大賢者は7つ(風・雷・地・水・空・?・?)称号の上でなりたっておるが…賢者の称号は十人十色、本人の個性により魔法老が称号を授けて下さるのじゃ。昔、【恋の賢者】という者にあったことがあるぐらいじゃ」
①「そうなんですか」
そんな話をしていると凱がお疲れ顔で小部屋から出てきた。もちろん横にはマリーンがいる。
⑦「はぁ…いい加減離せよ」
マリーン「いいじゃない?一晩一緒に過ごした仲なんだし…」
⑦「ったぁ!誤解をされること言うなぁ!なんもねぇからな!」
>> 228
「一夜を…男女二人きりで過ごして…なにもないとは…ありえるか…うん…どうだか」
⑦「なっ!!」
突然、凱の後ろから白いローブに身を包んだ男が現れる。
①「敵か!」
クリス・凱は素早く剣を抜いたが、ハークが止めに入った。
②「おっ!そやつは敵ではない。儂の弟子じゃ」
それを聞いたクリスは剣をおさめたが、凱は警戒を解くことなく剣をかまえる。
「私の…名…そう名は…【スモッグ】…偉大な霧の賢者で…もある。そう…偉大だな」
スモッグと名乗る男は無造作な髪型、顔色は青白くまるで死人のような顔をしている。ローブ・靴・杖・髪にいたるまで、全身真っ白な色で統一しており、まるで幽霊のようである。白杖は光魔法師の証でもあるため、それなりの魔法使いであることが伺える。
※光魔法師:高等魔法に位置する光魔法を極めた者だけがなることができ、白い杖は光魔法師の免許のようなものである。
⑦「なんだぁ~この気味の悪い男は!」
ラ・ドル「見た目もこれだけど。中身はもっと酷いよ」
スモッグ「くくっ…我も好きで…ここに来た訳ではない…こんな小汚ない連中とは…一秒もいたくないのだ」
>> 229
スモッグ「そう…君たちのような薄汚い奴らとは…」
そう言いながら、ラ・ドル・クリス・凱・リオを指差す。
⑦「ってめぇ!!」
スモッグの挑発に短気な凱は斬りかかる。
①「凱!!」
②「ふむ…」
直ぐにクリスが止めようと動いたが、時既に遅し、凱の剣はスモッグを真っ二つ切り裂く。ハークはこの間なんの手も出さす見守っている。
⑦「なっ…手応えがねぇ」
真っ二つに斬り裂かれたスモッグからは血は一滴も出てこない。それどころか、倒れることすらないのだ。
スモッグ「馬鹿が…分身魔法も知らんの…か」
二つに別れた身体は直ぐに元通りになっていく。
⑦「っ…なんだぁ」
マリーン「コイツは分身魔法の分身よ。本人は別の所で高見の見物かしらね」
スモッグ「私は…偉大な霧の賢者…低レベルな…お前たちに私を見られることも不愉快…なのだ」
斬りられた箇所は既に元に戻った分身は身体を動かし、動きを確認している。
②「見ての通り…こやつは食えん奴での。師匠の儂ですら、本人を見たのは数えるくらいじゃ。霧の賢者と言われる所以…高等魔法の分身術を得意とする魔法使いじゃ」
①「分身魔法…始めて聞きました」
②「うむ…そうじゃろう」
>> 230
②「分身魔法を扱える魔法使いは世界でもほんの一握りだからの…儂ですら使えん魔法じゃ」
⑪「え!ハーク様も使えない魔法を使えるってことは…そんなに凄い魔法使いなの!」
明らかに軽蔑した目つきでスモッグを見つめる。
スモッグ「やっと…私の…偉大さを…理解したか…」
②「分身魔法は幻覚で己を見せる単純な魔法ではなくての…分身は己そのものなのじゃ…分身自体に意思があり、本人と違うところは単に肉体が無いと言うことだけじゃ。分身と本人とは意思がつながっておっての分身が感じたことを本人も感じておる」
マリーン「つまり…そう言うことぉ」
凱に抱きつくマリーンは相槌をうつ代わりにそう言う。
ラ・ドル「んで…スモッグは本来一人しか出せない分身を20人だせる分身魔法のスペシャリストでね」
スモッグ「21人だ!!」
ラ・ドル「だって…魔法では偉大でも人間としては小さいんだけどね」
⑪「はっは。言えてる」
楽しそうに笑う二人にスモッグは怒りを忘れ呆れているようだ。スモッグは二人を無視してハークに話かける。
スモッグ「あのお人は我が肉体が守っております…ご安心を」
②「そうか。で…何の用できたのじゃ」
>> 231
スモッグ「師匠のハーク殿に挨拶をと…参りました…得に理由などないです…なにせ師匠にはお世話になっておりますので」
深々と頭を下げる。
②「お前がそんなことを言うと気味がわるいのぅ」
スモッグ「ふふ…おっと…長居は私にはふさわしくない…【我は現実しない霧の中の生人】ですから…」
そう言うが早いか、スモッグの身体は霧のような蒸気となり、空気中に散乱し消えてしまう。
①「変わった人ですね」
②「そうじゃな。じゃが、頼もしい力の持ち主じゃ…戦いには力になるじゃろう」
⑭「皆、早起きだな」
小部屋から欠伸をしながらキックが出てきた。太陽が顔を出し、外はすっかり朝を迎えている。
⑭「どうも…竜族は朝に弱くて…ハァァ」
何度も欠伸をしながら寝ぼけ顔で、ソファに座る。
⑦「おいおい。いい加減離れろって」
マリーン「いいじゃない」
凱とマリーンは相変わらずである。
①「私、少し外の様子見てきたいのですが?姫をお願いできますか?」
②「行ってきたらいい。姫は儂が責任をもってお守りしよう」
⑪「あっ!僕も行く!」
ラ・ドル「私も行きますよ」
>> 232
三人は意気揚々と部屋を出ていった。ハークはそんな三人をみて微笑むと椅子に腰を下ろし、机の上の飲み物を口に含んだ。だが、口に合わなかったようで、眉間にシワをよせ一口で飲むのを止める。
②「それにしてもセロはデビルを見つけたのかのぅ」
朝食を食べ終えたキックは座りながら眠っている。どうやらお腹が膨れ眠気がまたぶり返したのだろう。凱とマリーンは完全に二人の世界だ。ハークはそんな中、人数分用意された朝食に手を伸ばすが、飲み物同様口に合わなかったようである。渋い顔をしながら、朝食を少しずつ口に運んでいく。
②「年寄りの口にはどうも合わんのぅ」
油分の多い朝食に四苦八苦するハークであった。
⑪「クリス。ところで…何処いくの?」
スキップしながら、リオはクリスの後についていく。
①「連合軍は直ぐそこまで近づいてるし、私たちも少しは銀狼族を手伝えることがあるかもしれない。手伝えることがないか聞きにいくの」
ラ・ドル「それはナイスアイデア」
⑪「流石!クリス!」
①「…」
大げさに拍手する二人。二人としては真剣に誉めているのだろうが、どうも馬鹿にされているようで聞こえが悪いクリスであった。
>> 233
その頃…
⑤「はあ~ッ デビルの奴どこに行ったんだよ~ッ」
まだ、デビルの行方を捜し地下に降りる階段を下っていた。
ピチョン
いつ造られたのか砂石を削ったような造りで今にも崩れそうな階段をセロはゆっくり進んでいく。
グウ~ッ
「腹減ったな…」
チラッとメタルゴールドの腕時計を見るとハ~ッと溜め息をついた。この時計は物心ついた頃からはめているお気に入りで裏にはダッドからセロへと小さく掘ってある。
余り自分の父親の事は覚えていないが、修道院に入る前、自分が銃を習ったのは体に染み付いている。銃に関しては厳しかったが、他の事は優しく父親の背中を大きく感じていた。母親も優しく朗らかでいつも笑顔を絶やさないのを覚えている。
>> 234
自分の街にアイツが現れ黄金の二丁拳銃で父親は仲間と闘った。
その銃は変わっていて撃つと炎や雷が出たり、仲間の体を癒やしたりしていた。最終的に街は壊滅的ダメージを喰らい大好きな父親や母親、仲間は全滅していた。
ズズズッ
(んっ!何で昔の事なんか思い出したんだ…)
セロは目に涙を溜めていた。
どれくらい進んだろうか広場に出ると幾つもの扉がありセロは無造作に開けると金銀財宝がある宝物庫や食べ物が沢山ある貯蔵庫があった。
(鍵も掛けず不用心だな。)
ガツガツと音が聞こえセロはソーッと歩いて音の方に近づくとその奥で黒い物体が蠢いていた。
チャキ
銃に弾をソウテンさせ構えながらセロは声をかけた。
⑤「動くな!!」
しかし、黒い物体は動きを止めない。
良く目を凝らして見てみるとデビルが象一頭分の肉に一心不乱に食い付いていた。
ガツガツ ガツガツ
⑤「全く、もう!!デビル、みんなの所へ戻るぞ。」
ガツガツ…
デビル「んぁ!?セロか…まだたべたいよう…」
大きな肉の塊を離そうとしない。
⑤「みんな心配してるから行くぞ!!」
デビル「これやるから、許してよ。」
⑤「こっこれは…」
>> 235
デビル「さっき間違って宝物庫に行ったときに、何かカッコいいから持ってきちゃった。エヘッ」
悪びれた様子もなく黒い体毛から出てきたのは、見覚えのあるものだった。
⑤「父の形見の銃だ…」
黄金の銃を握り締めセロの手はワナワナと震えた。あの時は逃げるのが精一杯で銃の事など忘れていたが。紛れもなくこれはあの時、父親が使っていた物だ。何故なら家紋が掘ってあるから…
しかし、よく見ると弾を込める所がない。
⑤「どう使うんだ!?」
セロがグリップを握ると突然呼応するかのように光輝いた。
⑤「うわっ!!」
《念じるのだ…》
⑤「頭に鳴り響く声は…父さん!?」
《この銃は自分が思い描いた魔法を撃つことが出きる》
⑤「父さんなんだろっ!!」
《我が念の全てをこの銃に託した…我が一族にしか扱えない銃だ…威力は己の精神力によって変わる強い意志をもて…》
⑤「……。」
《我が愛しのセロよ…先に逝く父を許してくれ…》
⑤「父さん!父さん! 父さーーーんっ!!」
シーーン
デビルもセロの異変に気付き食べるのを止めていた。
辺りは静寂に包まれた。
>> 236
協会員「さぁ。遅れずについて来て下さいよ」
第2団体、第3団体と傭兵が宇宙船から降りてくる。傭兵は種族は様々で、武器も十人十色である。傭兵たちは協会員が仕切るのが気に食わないのか、どれも表情は堅い。
協会員「よし…出ろ」
操縦士「了解」
協会マークが入った宇宙船は傭兵を下ろすと直ぐに飛び立っていく。そして、入れ違いのように新たな船が着陸場に降り立つ。その船からも傭兵がぞろぞろと降りてくる。
ミスチル「ちっ…戦闘が近いと言うのに傭兵は5千人にも届いてない…」
そんな様子を見ていたミスチルは愚痴のようにそう呟く。宇宙海賊の司令官という立場であるミスチルだが、この戦いは戦闘が始まる前から戦況は悪いのだ。やはり、兵力不足は致命的である。
ミスチル「協会は恩も忘れたのか…日々、宇宙海賊の恩恵を受けていたにも関わらず、肝心な時には…役も立たない僅かな傭兵だけとは…」
協会員「ミスチル様。我々も全力で傭兵をかき集めております。決して…」
カシャ
ミスチル「貴様らは連合軍となんらかの関係があるようだな」
剣を抜き、協会員の兜に剣を突きつけ、今は人間型ではあるが、普通の人間よりは尖った歯をむき出す。
>> 237
協会員「おやおや…冷静なミスチル様が、こんなことをなさるとは」
協会員は感情のない機械音声でそう言う。
協会員「ミスチル様。どうなさいました」
他の協会員たち数人も剣を突きつけられている協会員の近くに駆け寄ってくる。片手はレザー銃に触れている。
ミスチル「連合軍とは深い関係どころか協会自体が連合軍という説も満更嘘ではなさそうだな」
だが、剣を下ろす様子はなくオーラをまとい更に協会員を威圧する。
協会員「ふっ…ねもはもない噂ですよ。協会は協力。独立機関です」
ミスチル「連合軍にとっては国や組織は潰しやすいが…個人の強者たちほどやっかいな奴らはいない。ゲリラ戦やるようなものです…傭兵・暗殺者・賞金稼ぎを管理する協会は年々、その協会加入し、仕事をするはぐれ者を増やし…ついには協会を通さねば金を貰えないまで、裏界の中心たる組織になりました…だが…」
協会員「言いたい事はお察ししますよ。ですが…我らに剣を向けるということは…協会に対しての攻撃意思となりますよ?そうなれば…我らと宇宙海賊は敵対関係となってしまいます」
>> 238
ミスチル「まぁいいでしょう」
剣を鞘に収め、協会員に会釈をする。
ミスチル「失礼した」
意味ありげに協会員を舐めるように見たあとミスチルはゆっくりとその場から離れていった。協会員たちはただ機械のように微動だにせず立っている。
協会員「では…監視役もいなくなったことですし」
ミスチルが建物の中に入っていくのを確認すると協会員の一人が船に指示を出す。すると船からは先程の傭兵とは別格のオーラを感じる男たちが降りてくる。男たちは協力員の前まで来ると立ち止まり、各々の武器を抜き整列する。男たちがもつ剣に暗殺者の証である×点の傷が彫られている。
「仕事の内用は?」
協会員「セレナ姫以外の邪魔者の始末です。報酬は貴方たちの望む金額を出しましょう」
「望む金額?ふん…なら100億…と言ってもいいのかな」
冗談のつもりで、一人の男が言う。周りの暗殺者たちからは微かに笑いがでた。
協会員「いいですよ。100億出しましょう。ですが…敵は強いですよ」
予想を反する答えに暗殺者たちはどよめく。100億なんて、一生かかっても稼げる金額ではないから、流石に暗殺者たちも冷静ではいられないようだ。
>> 239
プラス「マジかよ!数人殺しただけで!100億なんてよぉ~超ラッキーじゃんかよ!」
暗殺者の中でも一際強いオーラを放つ二人組の一人が言う。
マイナス「いや…それほどの金額…敵は我らより強い…絶対…死ぬのはやだな」
もう一人の男が言う。
協会員「では…好きに行動して貰って結構です。ただし、戦闘が始まる前に片をつけて下さい」
暗殺者たちはそれ聞くなり、銀狼族の地下町へと入っていく。
⑪「いないねぇ…銀狼の人…はぁ」
クリスたちは薄暗い通路をひたすら進んでいた。もう1時間は歩いたが、銀狼とは一人もあっていない。
①「ため息つかないで!こっちまでしんどくなる!」
⑪「あっ!なんだよ!その言い方!」
①「うるさいの!だから子供は…」
⑪「あっ!子供っていったなぁ!」
ラ・ドル「まぁまぁ。二人とも喧嘩はよくないですよ。私と彼女のように仲良くなければ…ね?」
杖の先の頭蓋骨にキスをし、笑顔を見せる。
①「うっ…そうですねぇ」
⑪「だいたい…ラ・ドルは魔法使いなんだろ~魔法使って銀狼族見つけてくれたらいいじゃんか~」
>> 240
ラ・ドル「あっそうですね!私、魔法使いってこと忘れてました!…彼女との世界に入ってしまっていて…はは」
頭蓋骨の頭を撫でるとラ・ドルは壁の一部を指差す。
ラ・ドル「そこ隠し通路があります。その先に銀狼が一人」
⑪「さっ~すが!嵐の賢ちゃん!」
リオは早速、壁に手を当てるすると壁に扉が現れた。
①「私は何してたんだか…」
1時間歩き続けた自分に突っ込みを入れるクリスであった。
⑪「アレ?開かないや…」
リオは小さな身体でめいいっぱい押したり引いたりするが扉は空きそうにない。見かねたクリスが手を貸すが、やはり開かない。
⑪「ラ・ドル。出番。魔法魔法!」
ラ・ドル「任せといて下さい!親友の頼みとあらば」
ピカッ
一瞬、扉が光ったと思った瞬間、クリスとリオは吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。
⑪「痛い…」
①「ハーク様の弟子と言うのは…嘘じゃなさそうね」
扉はこっぱみじんに吹き飛ばされ、跡形もなくなっている。力の加減って奴を考えてほしいものだ。クリスとリオは身体を擦りながら立ち上がる。
⑪「ラ・ドルの馬鹿!僕たちまで吹き飛ばしてどうするんだよ!」
ラ・ドル「はは…すいません」
>> 241
ラ・ドル「ですが!道は開かれました。私と彼女の間にも最初はこの扉のように閉ざされていたのです…ですが私はそこをこじ開け!ふふ」
ラ・ドルはやっとの思いで立ち上がったクリスたちを尻目に一人扉に向かって歩いていく。
⑪「あっ。一番乗りで入っていったぁ…ズルイ」
①「さぁ私たちも入りましょう」
後に続こうとクリスが前を向いた瞬間、鈍い音が鳴り、前方のラ・ドルが倒れる。
ラ・ドル「ぎゃふん…」
⑪「え!?」
鉄球を慌てて、取り出す。リオだが、錬金術を使うまえにラ・ドルを殴った犯人をクリスが捕まえる。
①「さぁ。そのフライパンを捨てなさい」
クリスは小さな犯人に手に持っているフライパンを捨てるよう指示する。クリスの手は剣に触れている。
「あ……こ…ろさないで」
カラン
フライパンを放し、後ずさる。まだリオと変わらない歳の銀狼の女の子である。
①「どうして…殴ったの」
間抜けな顔をし、伸びているラ・ドルを指差しながら言う。
「あの…そ…そっちが」
女の子は鳴きながら片言にクリスに言う。
>> 242
「そっちが…私の…い…家に入ってきた…うぅ」
女の子はしゃがみ込んで鳴いてしまう。
①「家?ここ貴方の家なの?」
女の子は頷く。たしかに細い通路の先に部屋があるようだ。クリスたちは人の家に押し入ったようである。
①「ご…ごめんなさい!ほんと…なんていったらいいか…ごめん…ごめんね」
クリスは自分たちがしたこと…状況を飲み込み慌てて、謝る。鳴いている女の子を抱きしめ、落ち着いてもらうのを待つ。
「うぅ…」
①「安心して…家の玄関潰しちゃんたけど…あ…怪しい者じゃないから」
いきなり扉を吹き飛ばし入ってきて、怪しくないとは変だが、クリスも必死である。
⑪「あっ!その子昼間あったよ!」
そうこうしていると鉄球を直すのに手間取っていたリオがやって来た。リオの顔を見るなり女の子は「あっ」と声を出し、大声で鳴き出す。
「うわぁぁあ」
①「ど…どうしたの?…大丈夫大丈夫よ」
「客…人様…を殴った…ミスチル様に…うぅ…殺されちゃ…うぅ」
どうやらリオが客人であることを知っていた女の子はラ・ドル・クリスが客人であることに知ったようである。
①「大丈夫…私たちが悪いんだから気にないで」
>> 243
「うぅ……」
クリスが必死に宥めて、やっと女の子は泣きやんでくれる。
①「良かった。私はクリス。怖い思いさせてごめんね」
⑪「僕はリオ。夢は世界一の大錬金術者になること…んで、そこで寝てる奴は親友のラ・ドル」
リーマ「す…すいません。取り乱しちゃって。私はリーマです」
女の子は頭を下げるとリーマと名乗った。リーマは背丈はリオより少し低く。肩まで伸びた綺麗な白髪。髪に目が隠れているため雰囲気は何処か暗いが、声は明るく活気のある女の子である。
①「さぁ。扉直さなくちゃね。ラ・ドルさえ起きたら直ぐに直して貰えるわ」
床に横たわっているラ・ドルは「素晴らしい…一撃でした」と何度も呟き白目をむいている。
⑪「駄目だ…コレ…当分は起きないよ」
身体をゆすってもラ・ドルが意識を取り戻す気配はない。
リーマ「いいんです。扉なら2日あればもとに戻るので」
①「元に?」
リーマ「はい。この地下町は生きているんです。この壁・床…全て…時間はかかりますが、自己修復で扉も直ります」
①「生きてる…ってこれは建物でしょう?」
リーマは頭を左右に振り、本棚まで駈け足でいくと一冊の本を手にとる。
>> 244
リーマ「この地下町は巨大な建築物であって…そうではないんです」
本のページを数ページめくり、広げて見せる。そこには【巨大都市にして、巨大戦艦キング】と書かれており、地下町の地図が描かれている。
⑪「凄い…」
①「これは…」
地図の形は船のようであるが、まさか、この地下町が地中に埋まった巨大艦だったなんて驚きである。まさか今も飛べるのであろうか。
リーマ「キングは今から500年前この黒の惑星に着陸した以来、ずっとここにいます。戦艦だったのですが、今では住まいになっています」
竜族の巨大戦艦(竜王の戦艦)など比較にならない大きさ巨大戦艦キングは中惑星である黒の惑星と堂々の大きさであることが、本には書かれている。
①「……」
言葉を失っているクリスたちにリーマはキングの説明を続ける。
リーマ「キングはただ単に大きい戦艦ではありません。キングは生命体です。魔力を持つ戦艦なんです」
①「魔力(命)を持つ戦艦…」
リーマ「キングは今動くのかは私には分かりません。例え動かせたとしてもドグロ様以外は操縦できないですし」
⑪「動くとこ見てみたい~な!」
>> 245
①「ドグロ様以外動かせない?何か理由があるの?」
リーマ「えっと…ドグロ様は人柱のような存在で…キングから外には出ることができないんです。キング=ドグロ…私も学校で習った知識なんで…詳しくは分からないんです」
①「そうなの…う?」
クリスは剣に手を当て、厳しい顔で外の通路を見つめる。
リーマ「ど…どうしました?」
①「一瞬だけだけど…殺気がしたの」
クリスは警戒しながら通路に出る。が、通路には誰もいない。
⑪「どうしたの?クリス?」
①「いや…気のせいだった…それ」
それよりラ・ドルはどう?と言いかけた瞬間、警戒を解いたクリスに天井から男が降ってきた。
「まず…一人」
男は剣を振る。クリスの身体は軽々と切り裂かれ、暗殺者である男は満足そうにそう言った。
リーマ「きゃあぁぁ」
①「幻影だ!」
「なっ馬鹿な」
男はクリスの声で後ろを振り向くが時既に遅しである。クリスの剣撃を受け、吹き飛ばされたきり動かなくなった。
①「暗殺者か…一体誰の差し金だか」
男の剣の×点を見て、そう言うとクリスはリーマに駆け寄る。
①「大丈夫よ。さぁ奥に入ってまだ敵がいるかもしれないわ」
「はい…」
>> 246
①「リオ。リーマをお願い」
誘導をリオに任せたクリスは通路に出る。
⑪「了解。さぁ行こう」
リーマ「はぃ…」
リオとリーマは奥の部屋に入っていくのを見てからクリスは剣を抜く。
①「さぁ!まだいるんだろ!出てこい!」
クリスの問いかけに答える代わりに影から三人の男たちが出てくる。
「マジかよ。グラックの奴。瞬殺されてや~んの。バ~カ!」
先程クリスが倒した男の顔を三人の内の一人が蹴る。
「やめろ。まだターゲットを殺ってないんだ。気を抜くな。雑魚とはいいグラックを軽々と倒した女だ」
「問題ないだろ。こんな女なんてよ」
三人の男たちは剣を抜く。男たちの剣には×マークが彫られている。
①「お前ら誰に雇われてる。命を狙われる覚えはないけど」
「雇主の情報は漏らさない。それが俺ら暗殺者の掟でね。残念ながらおし…ぐわぁ」
①「風よ…舞え」
男は最後まで言い終える前に剣撃を受け、力なく倒れ込む。
①「暗殺者ってのは意外に喋りが多いようね」
一度、剣を振り。構える。明らかに男たちとは別格のオーラを放つクリス。
「お…お前!」
>> 247
①「暗殺者って言ってもたいしたことなかったな」
クリスは素早く剣を鞘に収め、倒れている三人に冷たい視線を送るとリオ・リーマの元へと戻っていく。
⑪「クリス!大丈夫だった?」
①「えぇ。問題なかったわ…でもあんな雑魚だけが私たちを狙ってるとは思えない。早く皆と合流した方が無難ね。リーマ。道案内お願い出来る?」
リーマ「はっはい…」
⑪「問題はコイツだね」
ラ・ドル「……」
三人は床に伸びている男を見て、ため息をついた。
②「ふむ…ちと厄介じゃの」
ハークの杖の水晶は客室の外にいる暗殺者たちを映していた。暗殺者たちは外から客室の様子を伺っている。入ってくるのは時間の問題だろう。
⑭「誰からの刺客と思われます?やはり連合軍ですか」
竜剣をかまえ扉の前で仁王立ちし、暗殺者を待ちかまえる。
②「連合軍やもしれんが…今はこやつらをどうにかせんとの。儂たちは別にして、ここには銀狼族の女子供が多い…早いこと片をつけねばの」
⑦「楽勝楽勝!数分で片付くぜ!」
マリーンから一時解放されている凱からは強いオーラが放たれている。
マリーン「さぁ!頑張りましょ!」
>> 248
ミスチル「なんです!どうしたと言うのです!」
一方、クリスたちだけではなく地下町キングでは暗殺者が至るところに現れ人々を襲っていた。
銀狼兵「ミスチル様!侵入者です!」
銀狼兵たちは暗殺者と戦ってはいるが、戦闘員の殆どが宇宙に出払った現状で神出鬼没で現れる暗殺者たちに苦戦している。
ミスチル「はぁ!敵の数は!」
ミスチルは目の前で女たちを躊躇なく斬りつけていた暗殺者を斬り倒し、銀狼兵の指揮をとる。
銀狼兵「分かりません。ですが、この広いキングの中で至るところで確認されています。おそらく数百は!」
ミスチル「民衆を避難させなさい!暗殺者の大半は殺人好きの殺人鬼です!目的(ターゲット)はなんであれ出くわす人が危険です!」
兵士たちは走りながら指示を聞き、各自、走っていった。
ミスチル「ドグロ様に報告せねば…」
オジオン「騒がしくなってきたようだな」
⑱ドグロ「連合軍に手一杯って時に暗殺者集団とは…めんどくせぇな」
ドグロは今、キングの中心部に位置する部屋にいた。戦艦だった当時は操縦室とされていた部屋だ。
>> 249
ゾロゾロ
次々と扉を開け何かを探している暗殺者多数がハークの水晶に映る。
②「この近くじゃの。銀狼族の女子供達を助けるんじゃ!」
⑭「ハーク、そのつもりだ。凱行くぞ!」
⑦「おぉっ!!ハークとマリーンはサポート頼んだぜ。」
バタン
凱とキック各々の剣を抜くと足早に扉から出て行った。
「きゃあ~っ助けて!」
「ヘッヘッヘッ 上玉だ。体をいただいて殺すとしよう。」
「姉ちゃんをどうするつもりだっ!」
ボガッ
小さい男の子は棒を持って後ろから殴りつけた。
「何だ~このガキっ!死ねっ」
ギラッ
暗殺者は×記しのついた剣を抜くと振り被った。
「うわぁぁぁっ」
男の子は頭を手で覆いしゃがみこんだ。
「やめて~っ!!」
姉が叫んだ。
ガキッ
⑦「間に合ったか…てめぇら、許さねぇ!!」
ゴゴゴゴ…
⑭「同じく。」
いつの間にか、数人の暗殺者が近寄って来ていた。
- << 251 ⑦「三重残像剣っ!!」ブーン 「ガイッブレイドーッ!!」 ドゴオォォン ⑭「竜人剣、一閃!!」スパーン ズババババババッ チン 「ヒィー!歯が立たない」 後ろからマリーンその後からハークが追いつき挟みうちの形になった。 マリーン「弱い奴を手に掛けるなんて最低の人達ね!」 チリ~ン 鈴がついた杖を掲げると呪文を唱えた。 マリーン「怒号雷電!!!」 バリバリバリバリッ 「ぎゃぁぁっ」 ドサドサ 次々と凄まじい雷に包まれ暗殺者達は黒こげになり倒れてゆく。 ②「銀狼族のみんな、早くこっちへ…」 ⑦「サラムよ!」 ゴオッ 黒魔剣に炎が灯り相手の鎧を容易く切り裂いて燃やす。 ⑭「竜人剣、怒号烈波!!!」 ドゴゴゴゴッ 「ぐはぁっ」 「おれがやられ…」 「めきゃあっ」 辺り一帯の暗殺者は皆沈黙した。
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500レス 5624HIT 理沙 (50代 ♀) 名必 年性必
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