👑フリードリヒ３世の吸血NACHTBUCH(夜記)♦🌃

>> 50 ただしサイバー戦より遥かに難しいだろう⁉

我々ヴァンパイアの意識は、音楽に例えれば、人間のがメロディーに和音のコードを付けるだけの軽音楽だとすれば、遥かに複雑なメロディー、和声、ポリフォニーから成るクラシックの世界に似ている♦


つまり一番上層のメロディー(ソプラノ)は、口から出る言葉で、その下に何重にも重なる和声の層を常に意識し、内声部(アルトやテノール)がテレパシー、そして一番底を流れるバスが、宇宙意識との接点である♦

我々は、常にその全部を駆使して、相手と対峙せねば成らないのだ❗


時には、ソプラノ(口からの言葉)を影かフェイクに使い、アルトやテノール(テレパシー)で本音を語る。

或いはその逆も…

更にバス(無意識の最下層)の絶妙な動きで、相手を完全に支配し、影響下に置いてしまう♦


私の場合、先に挙げたヴァンパイアの複雑な会話術を一通りマスターするまで、８年近く掛かった♦

まあ、速い方であろう🐶

だが、これは才能もさることながら、人間だった時、私が音楽、特に多重なポリフォニー音楽の極致であるヨーハン･ゼバスチャン･バッハの音楽に深く傾倒し、日夜チェンバロ(昔のピアノ)で実演していた事が、大きな助けと成ったのは、間違いあるまい♦


日夜、複雑な対話の実践の中に生きる我々ヴァンパイアは、作曲家よりも、指揮者やピアニスト、オルガニストの状態に近いだろう🐶


さて、テレパシー以外の能力については、後に説明しよう😉

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>> 51 これに関して、少し横道に逸れるが、作曲家と演奏家が別々の現代とは違い、１８世紀では作曲家が演奏家でもあった♦


つまり、ポリフォニーの極致であり、作曲の奥義である<フーガ>を、即興演奏できる達人-現代には最早いまい-と似た高度な能力を、偉大なヴァンパイアは身に付けているワケ♦


特に大公レベルに成ると、これ無くして一族全体を仕切るのは不可能であり、我らが長老ラヨシュ大公は、音楽家ならバッハと同レベルに達していた事に成る❗


この時点では、まだ会った事も意識を感じた事も無かった、他の２人の大公も、当然ながら同様であろうとは、想像できた♦


その３人の長老の更に奥に潜む<あの方>については、想像するのさえ恐ろしかった😱



とは言え、私は既にその意識の一部を垣間見ており、向こうは私の全てを見ていた事は、後日やっと判明する…🌀

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>> 52 我々<高貴なる一族>の能力は、テレパシーの他に、空中飛行、簡単なテレキネシス、透視、人間の十倍以上の動き、それに圧倒的な回復能力とそれの延長上にある肉体の不死、である♦


まあ最後のはヴァンパイアなら当然の能力だろうが(笑)


飛行、テレキネシス(念力)は、大体スターウォーズのジェダイの能力を考えて貰えば、解ると思う♦


そうそう、あと暗闇でも物がハッキリ見える能力もあったな❗


透視は、主に他のヴァンパイアや人間、動物の意識を通して行う♦


だから、人間や哺乳類、鳥類が必ず居る、一般の建物は、かなり鮮明に把握出来る。


金庫の扉を開けずに、中身を知るには、金庫内の空気に潜む微生物を使う。

ただこれは、哺乳類や鳥類を通すより、遥かに難しいが…


金庫内を完全な真空状態にされた場合、さすがに我々でも殆ど不可能だ🐶

ただ、長老クラスに成ると、一番深い宇宙意識と触れる事で、この難題をクリアーするらしい⁉

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>> 53 予言または未来予知に関しては、少ししか出来ない😞

方法としては、他人の心を読む事で、その者が次に為そうとしている言動は把握出来る♦


また、戦争や革命、暴動については、多数の人間の心の方向を読めば、大体予測できる♦


それ以上の、天災や自然界の異変の予知は、矢張りそれを形成する根元である<宇宙意識>を読む事で、可能だ♦


これは、人間より遥かに宇宙意識を感じている動物などと同じだ🐶


だが、具体的な期日を限定するような、世間一般が考えるような未来予知は、我々にも出来ない❗

漠然と、異変を感じて、それが近未来か、かなり後か、くらいなら解るが♦

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>> 54 我々の肉体は、幾つかの点を除けば、人間と大差なく、食事も排泄も性行為も普通に可能だ♦


だが、子孫を残せる可能性は極めて低く、人間の女が我々の種を宿すのは、極めて稀な現象だと言わざる得ない😞


これは女ヴァンパイアが、人間の種を宿すのも、全く同じ。


更に、男ヴァンパイアの種が、女ヴァンパイアに宿ると成ると、殆ど奇跡だ❗


ヴァンパイアと人間の混血種は、映画など創作では<ダンピール>などと呼ばれるようだが、我々は単に<混血種>と呼ぶ♦


彼らは、我々より日光に強いが、反面、我々特有の<能力>については、半分から３分の１以下で、また人間より遥かに回復能力を有するが、不死では無く、ゆっくりと老い、寿命は長くても３００年くらいだ♦


我々は、人間達が考えるように、混血種を嫌っては居ない。

ただ一族の一員には、加えないだけだ♦


また、混血種の方も、異常に吸血に対する抑えがたい嗜好を別にすれば、概して他の人間より優れた能力を与えられた事に、感謝こそすれ、我々を憎む理由は無い❗


ただ、人間は少しでも自分らと違う者を、それが優れていようが劣っていようが、敏感に嫌悪する悲しい性質だから、混血種の中には、異端者や魔女にされたり、そうでなくとも露骨な仲間外れの憂き目にあって、我々を逆恨みして、世間との交際を一切絶って世捨て人に成るか、運が悪ければ我々に害を為さんと欲して、<ハンター>に成るか、そういう輩もごく一部に存在する😖

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>> 55 混血種と並んで、もう一つの<亜種>である<卑しき者>についても、触れておこう♦


彼らは、いわゆる古代ギリシャや東欧の民俗伝説に出てくるヴァンパイアだ❗


一応、不死ではあるが、回復能力はじめ、あらゆる能力は我々<高貴なる者>の十分の一にも及ばない😞

彼らは、我々や人間より遥かに知能が低く、また太陽光線に対する抵抗力は、殆ど無い❗


吸血以外の食事は普通、採らず、生殖能力も我々より遥かに弱い😖


彼らはしかし、発生においては我々よりずっと古く、既に古代メソポタミアやエジプトの時代に存在し、１８世紀の段階でもヨーロッパから中東にかけては、我々及び人間のハンターの努力で、その個体数を極端に減らしたが、アフリカ、インド、シベリア、中国から南北アメリカ大陸には、あちこちに存在した😞


ヨーロッパでも、文明の恩恵が余り届かない僻地や、特に東欧からバルカン、ロシアなどには、減少しつつも存在した❗


彼らは殆ど獣であり、我々のように節度も無ければ、人間との盟約による共生は不可能で、見境い無く人間を襲うので、我々からも人間からも疎まれる。


我々には彼らを見付け次第、処分する義務が与えられ、また人間の方も我々とは別に、専門の<ハンター>を育成して、彼らの駆逐に当たっている♦


この件では、我々とハンターらが相互協力関係を結び、<卑しき者>の駆逐に当たる事も、珍しくない♦

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>> 56 <卑しき者>は、連中に襲われ、血を吸われた人間が、新たに<卑しき者>に成る事で、個体数を増やす😱


また我々や混血種が、人間の血を吸っても、吸われた人間は、矢張り<卑しき者>に成ってしまう😞

故に我々は、人間の血を飲み、渇きを癒やした後では、その哀れな犠牲者の首を跳ねる事で、新たな<卑しき者>の増殖を防止する♦


これは絶対に守るべき掟であり、先のヴラド(ドラキュラ)のハインリヒに対する行為は、明らかな違反であるのだ❗


あの場合は、アンドラーシュに命じられ、しぶしぶドラキュラが掟を実行する事で、新たな災いが未然に防がれたが…🐶


そう、<卑しき者>は首を跳ねられる事で、消滅するのだ❗


我々の場合は、そう簡単では無い‼

だがまあ、それについては後に触れよう😉



逆に、我々が<卑しき者>に咬まれた場合、我々が連中に成る事は、絶対に無い❗


まあ能力の圧倒的な差から言って、我々が連中に咬まれる可能性自体、馬鹿げた仮定であるが(笑)


また、我々が連中を襲い、血を啜る事も、普通は無い♦


吸えない事は無いが、連中の血はおぞましく不味いのだ😱


こんな行為は、人間で言う悪食、ゲテモノ喰いだ😖


万一、他に獲物が見つからない場合、我々が連中を餌食にする事があっても、問題は無い♦


どの道、連中が我々に成るのは不可能であるから、我々は食事の後、連中の首を跳ねる事さえ忘れなければ一切問題は残らないのだ♦

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>> 57 人間側の<ハンター>について言えば、古代にはバビロニアやエジプトの神官の一部に、またギリシャ、ローマ、ビザンツ、イスラムそれぞれに、その存在が認められる♦


だが、<卑しき者>とは言え、日光の届かない場所では人間を遥かに上回る様々な能力を発揮するゆえ、大概は人間側が退治に失敗し、逆に新たな<卑しき者>が増える事態が続出した😞


中には、テュアナのアポローニウスやイエスのように、突然変異的な個人が、<卑しき者>を処分した例はあるにはあるが…

だが…１３世紀に我々の一族が誕生すると、形勢は逆転した♦


我々の指導と助力の下、人間達は<卑しき者>の退治法に次第に熟知していった✋


その中心と成ったのは、矢張りローマ法皇†


教皇庁は、エクソシストと並び、ハンターの組織的育成に励み、法皇の権威が及ぶ範囲-カトリック世界では、<卑しき者>は減少の一途を辿り始めた😉


カトリック以外の土地でも、イギリス国王なり、プロイセン、スウェーデン王なり、それぞれ小規模ながら極秘にハンターを育成し、矢張り成果をあげている♦


とは言え、矢張りハンターの中心と成るのは、<混血種>である♦


混血種は、卑しき者より能力で勝り、退治の場に欠かせない存在と成った♦


勿論、教皇庁もプロテスタント諸王も、ヴァンパイアの実在は公式には否定してきた🐶


民衆を動揺させない為に♦


だが、教皇庁に関しては、我々と密約結び、我々の助力で成果をあげている反面、本心では我々の存在も等しく邪魔であり、出来る事なら我々をも絶滅させてしまいたい、との意図は明らかである😞

つまり、我々は教皇庁に対する警戒を怠らず、しかし目下の共通の敵<卑しき者>の撲滅に関しては協力する、といった微妙な立場を維持しているワケだ🌀

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>> 58 さて、くどい理論は止めて、その後の活躍を語りたいが…

その前に１レスだけ追加しておこう♦

中欧以上にヴァンパイアが多いバルカン、ロシア、中東に関してだが…


これらの地域は、我らハンガリー系とは別の、ローマ系(長老はコンスタンティン大公)の縄張りだが、中世以来ずっとトルコ人やモンゴル人に支配され、混乱を極めた😞

それでも一応、コンスタンティン大公の指導の下、オスマン･トルコ領ではスルタン(イスラム皇帝)がハンター組織を樹立した♦


だが、イスラム地域以外のバルカン、ロシアなどでは、宗教指導者であるギリシャ正教会がバラバラで、ローマ法皇みたいな強力な指導組織は現れず、ルーマニアやブルガリア、モンテネグロなどは<卑しき者>の最後の巣窟と化していたのだ😱


また、ロシアは広大過ぎて、ロマノフ朝の歴代ツァーリの、小規模なハンター組織では、とてもカバーしきれず😞



また、フランス、イギリス、スペインを支配するフィリップ大公一族の方は、法皇やイギリス国王によって、かなり成果を挙げていたが、<卑しき者>共は船に紛れ込み、新大陸の各地に広がってしまった❗


こちらもハンター組織だけではカバーするには広大過ぎて、課題は１８世紀を超えて、１９世紀以降に持ち越される😖

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>> 59 さて、こうした様々な秘密の根本だけ語るうちに、東の空が白みかけて来た❗


城への帰還の途中、大公は突然、私に、

｢ところで貴殿は、母上や弟君に会って見る気はないかの？｣

とテレパシーで語りかけて来た。

一瞬驚いた私は、

｢なにゆえに？｣


と返すと、

｢いや、他でも無い。貴殿の母や弟を説得して、我が一族に引き込む為じゃよ♠｣


私は激しく狼狽した。

すると大公は突然、物凄い心の波動を送り出し、思わず私の心は麻痺してしまった♦

すると、私に近付いた大公は、耳元で、

｢ヴラド伯爵には警戒せよ❗
決して彼の招きに応じるな、彼と２人だけに成るな、奴は我らの敵に成り得る存在だ❗｣


と言葉に出して囁いた♠

そして、

｢これを深く考えるな、奴に心を読まれてはマズい❗｣

と口早に語ると、その瞬間、強烈な波動は消え失せ、

｢いや、冗談じゃよ♠
貴殿が母や弟に会うのはまだ早過ぎるし、ワシはルードルフとの約定で、ハプスブルクの皇帝や皇太子を一族に引き込むのは禁じられておるしの♠｣

と再びテレパシーで。


恐らく大公が放った強烈な波動は、私に母と弟の話をして、私が激しく動揺したので、その念を遮断すると見せかけて、ヴラド伯への警戒を私に教える為だったのだ❗


さもなくば、城に幽閉中のヴラドが、我々の会話を読んでしまったろうから…♦

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>> 60 我々は城の中庭に降り立った♦

大公は、私を自室の更に奥の部屋に招き入れると、そこには立派な棺桶が２つ並んでいるでは無いか❗


大公は、そのうち新しくまだピカピカの方の蓋を開けると、私に中に入るよう促した♠


中には真っ赤な絹が厚く敷かれ、これまた真っ赤な枕が置かれ、それはあたかも大貴族の寝室のごとくであった❗


｢日の昇っている内は、我らには特にやる事が無い♠
それに貴殿も、さすがに疲れたであろう。
今宵は実に楽しかった、日が沈むまでこの中で休まれるとよい。
続きはまた日没後じゃ、ではお休み、フリードリヒ伯爵♠｣

こう言うと、私を中に入れ、蓋を閉じるよう命じた♠

私も、大公閣下にお休みの挨拶をすると、巨大な棺桶の蓋を閉めた♦


蓋は本体と同じ、変わった金属で出来ており、もし私がまだ人間だったらとても持ち上げられないくらい、それは重いモノだった🐶

だが、今の私はそれを片手で軽々と持ち、ピタッと棺桶を閉めたのだ❗


中は真っ暗な筈だったが、私には少し暗い程度でよく見え、何も困らなかった。

しばらくすると、隣の古い棺桶が開いて、大公が中に入り、蓋を閉める気配を感じたが、不思議な事に蓋を閉めた後の大公の気配(念)は、殆ど消え失せた♠


するとこの棺桶の金属は、我々の思念をある程度遮断するモノなのか？


あれこれ考え、この一晩で起きた驚くべき一連の事件にも思い巡らしている内に、私はいつの間にか眠りへ沈んでいった♦

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>> 61 ヴァンパイアに成って初めての眠り🌀


城の外では、晴天だろうがヨーロッパでは一般的な一面白い雲に空が覆われた曇りだろうと、城の奥深い大公の窓の無い部屋の、そのまた一番奥の部屋の棺桶の中にある私にとって、昼は全く存在していなかった♦


眠るとすぐ、同じく眠りについている一族の様々な者の姿が見えた。

その中には、あのヴラド伯爵も居たし、また<卑しき者>らしき姿もチラホラ見えた。


だが、大公が突然現れ、<卑しき者共>を見るな、近づくな、と警告した♠

そして、そのまま一族の者のみ見ながら、心を自然に任せるように、つけ加えた♠


しばらくすると、私の存在自体がぼやけて来た❗

それに身を任せていると、何とも言えない甘美な気分におそわれ、遂に今まで味わった事もない恍惚とした幸福感、言葉では表現できない陶酔に浸り、遂に私の存在はその巨大な陶酔の中に消えた…🌀



それからどれだけ経ったろうか、一瞬とも永劫とも、どちらとも取れる時間を経て、突然、大公の姿が出現した♠


すると、私自身も再び混沌たる陶酔の中から、次第にハッキリと復活してきた♦

次第に陶酔感が薄まり、私の意識は鮮明に成ると、私は棺桶の中で目を覚ました♦


ゆっくり棺桶の蓋を開けて、外に出ると、隣の大公の棺桶は僅かに蓋が開いていたが、大公の姿はもうそこには無かった❗

ゆっくり寝室から出て、大公の居間を通り抜け、部屋から廊下に出ると、もう日が沈んだのを感じた♦

私は廊下を真っ直ぐ通り、大公やアンドラーシュ子爵の気配のある方向めざして進んでいった♦

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>> 62 気配のする大広間に近づくに連れ、数多くのまだ見ぬ同族の気配が漂って来た♦

中に入ると、大公を中心に、十数のヴァンパイア貴族と思しき者達が、群がっていた。


大公は私を見ると、

｢今晩は、伯爵♠
よく眠れたようじゃな。｣

続けて、周囲の者達に、
｢紹介しよう。
彼が新たに我が一族に加わったフリードリヒ伯爵である♠｣

私は彼らに近づき、一人一人と短い挨拶を交わした。

その中には、既に顔見知りのアンドラーシュ子爵、ゾルタン男爵(黒装束の大公取り巻きの１人)、ヴラド伯爵の他、同じハンガリー系でオーストリア貴族のフェルディナンド伯爵、ジギスムント男爵、プロイセンに住むゲオルク男爵、ポーランドのスタニスラス子爵、それからローマ系のミカエル伯爵、イワン男爵、フランク系のフランソワ伯爵、その他数人の騎士や従者長の顔ぶれだった♦


彼らと挨拶が済むと、大公が厳かな声で、

｢では、これよりヴラド伯爵の沙汰を申し渡す♠｣

そして傍らのアンドラーシュ子爵を促し、アンドラーシュが語り始めた。

｢今回評議に上ったヴラド伯爵の罪状は以下の３点。
一つ。我らハンガリー系長老、ラヨシュ大公の賓客であったこれなるフリードリヒ伯爵がまだ人間だった時分、彼の立場を十分理解した上で、大公の意志に反して吸血を企て、フリードリヒ伯を<卑しき者>に変えようと画策した事。

一つ。その場でフリードリヒ伯に危害を加えようとした人間の１人を吸血による死に至らしめた後、処置を怠り<卑しき者>と化する可能性を残した事。

一つ。大公が中立の立場を撮り続けたプロイセン王の側近に近づき、プロイセン王フリードリヒ２世の殺害もしくは、勝手に一族に加える画策を行った事。

以上の３点の罪状につき、ヴラド伯爵の弁護人スタニスラス子爵の弁舌を聞いた上で、大公殿下が他の２人の長老と協議した結果、これなるヴラド伯爵は<有罪>と決定した♠

なお、刑罰の内容については、ラヨシュ大公殿下に一任されるとの結果を得た❗｣

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>> 63 その後、大公自身の口から、次の発表がなされた♦

｢ヴラド伯爵に向こう２０年に渡る、ジーベンビュルゲン(トランシルバニア)の伯爵自身の城での蟄居謹慎を申し渡す♠

ヴラド伯爵はその間、領内から一歩足りとも出る事、また領内であろうとも人間の血を飲む事を、固く禁ずる♠

伯爵は領内の<卑しき者>を自由に狩り、その血を以て渇きを癒やす事のみ許可される♠

以上。遥かに厳しい刑罰も可能であり、実際それに値する罪ではあろうが、今回は特別に温情を掛ける事にした♠

伯爵はすぐに発って、刑に服せよ❗｣


これを聞いたヴラド(ドラキュラ)は、大公の前にうやうやしく平伏し、周囲の貴族らに会釈すると、外に出て中庭から、遥かな領地めざして飛び立った♣


私の近くを通り過ぎる時、これ身よがしに傲慢な態度で、

｢ではまたいずれ、我が幼い末弟よ。
昨夕の一件は、不運な思い違いであった。
改めて、我が城に招待いたそう。
謹慎の退屈を紛らわして欲しい♣｣

と囁いた🐶


さて、ヴラド伯爵の一件が片付けと、我々は大広間で盛大な宴会を行った♦

私の新たなる一族への参入を祝して…😆

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♦中断して長いが、また落ち着いたら続きを書くでござるでしょう🐌

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