猫爪日記

>> 50 片目を閉じて旅をする

曲がりくねった夜の道

誰かが呼んでる夜の海

手を伸ばし掴む夜の意味

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>> 51 冷たい雨と青い本

芯まで濡れる卑怯者

指先一つで過去を消し

生まれ変わってこの笑顔

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>> 52 小さな心に傷をつけ

それがそんなに楽しいか

私は絶対忘れない

お前の言葉を忘れない

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>> 53 余計な口を叩く葦

認識は既に沸騰点

仰ぎ見る葦は清貧で

迫る寒さに知恵寄せる

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>> 54 奇跡は無いと知りながら

神にもまたは仏にも

この子の行く末照らす灯を

どうかどうかと祈る夜

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>> 55 電飾の箱に魅入られて

歯止めも効かず太る豚

馬と鹿にも手伝わせ

低い場所から大笑い

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>> 56 すうすうすうと細い息

育ち盛りの眩しい芽

明日も一緒に遊ぼうね

頬に頬寄せ願う星

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>> 57 灰色く蒼い夕暮れに

一番好きな人想う

今頃何をしているの

どんな風景見ているの

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>> 58 どうにもならない事かしら

泣いても無理な事かしら

優しい額にくちづけて

まだ見ぬ明日を待つ夜更け

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>> 59 遠く離れてしまったの

貴方が居ないと淋しいの

求める腕のはるか先

眠い目こする愛しい子

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>> 60 悪意は悪意と存在し

乱れた心が襲われる

今持つ力を振り絞り

高く高くへ舞い上がれ

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>> 61 遅くはないと言い聞かせ

ぐらつく足元踏みしめる

だって貴方の為だもの

愛しい貴方の為だもの

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>> 62 鋭い痛みは耐えられる

鈍い痛みに泣かされる

冷たい雨と刺す視線

錯覚なのに血が滲む

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>> 63 貴方に何が解るのか

私の覚悟が解るのか

力不足を棚にあげ

問答無用の馬鹿ひとり

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>> 64 迷宮さまよい肩落とす

こんな筈はと上を見る

冷たい雨が目に入り

小さい自分を抱き締める

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>> 65 髪を切り雨に打たれる日

オペラが流れる雲の屋根

もうすぐ貴方がやって来る

灰色の時間切り裂いて

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>> 66 傷つく事は恐れても

傷つける事は恐れない

本当の意味の宝捨て

屑を集めて得意顔

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>> 67 黒い瞳の強い意思

胸のどこかが熱くなる

こぼす涙に我忘れ

俺じゃ駄目かと問う夜更け

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>> 68 迷惑だとは思わない

何でもすると誓いたい

うつむく影に手を伸ばし

さらって行ければ良いものを

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>> 69 何も聞かずにそこに居る

我ながら馬鹿と苦笑する

約束させてくれないか

首振るしかない青い日々

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>> 70 思わず掴む胸ぐらに

涙の記憶が邪魔をする

どうして俺じゃ駄目なんだ

答えなど無いと知りつつも

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>> 71 想いはいつも果てしなく

たった一つの愛を乞う

そんなに淋しく泣かないで

濡れた肩先掴みかけ

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>> 72 荒い呼吸を止められず

噛んだ唇血が滲む

目を閉じたまま下を向く

雨は激しく容赦なく

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>> 73 好きだと言うのは簡単で

言い続けるのは困難で

いつでも此処に居るからと

虚しく響く独り言

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>> 74 貴方が去った静けさと

よく似た空気、冬の庭

無理矢理笑う事はない

駆け出せ後ろを振り向かず

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>> 75 眠ってしまった横顔は

可笑しい位に幼くて

無防備過ぎる心臓の

拍を数えて夢うつつ

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>> 76 細長い体折り曲げて

覗き込む眼は夜の海

私で良いのと問う口を

塞ぐその手の骨太さ

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>> 77 嘘だとはっきり解る嘘

綺麗で冷たく赤い嘘

別れた舌を結ぶ嘘

聖夜に一粒呑んでみる

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>> 78 人の弱味に爪をたて

生き血をすする吸血鬼

黒い川面に蔓延って

明日は我が身と高笑い

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>> 79 好意が逆に回りだす

口づける場所を間違える

希望によく似た小石達

痛みを散らす事もせず

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>> 80 黒いコートに銀の爪

艶めく唇長い髪

年齢不祥軽やかに

夢も現も楽しんで

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>> 81 ぼんやりともる灯の下で

猫と内緒の話する

黙っていてよと念おすと

知った事かと大欠伸

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