他力本願

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匿名さん
2018/10/27 00:28(更新日時)

親というものは自分の子どもを第一に考えている、と言われる。
うるさい小言も「あなたのためだから」と言われれば、耳を傾けざるを得ない。
しかし、よかれと思ってのアドバイスが、子どもを取り巻く環境を正しく踏まえたものでなかったとしたら……。
学生の就職難の原因のひとつは親にあり、無知なのに過干渉な「バカ親」が子どもたちの就職活動を歪めていると指摘される声がある。
就活中で大学4年のA君は、母親と一緒に家にいたときに、こんなやりとりがあったという。

「夕飯を食べたあと、母親とテレビを見ていたんです。そしたら、ＣＭに入ったとき『あなた、この企業受けたらどう？』と言い出したのです。次のＣＭに入ったら、『ここなんかもいいんじゃない？』って……。その会社のこととか業界を知らないのに。しかも、ほとんどＣＭが流れるたびに言うもんだから、さすがにイラっとしてしまって」

私はこの話を聞いたとき、こういう母親が歪んだ大手志向を生むんだと強く実感したものである。テレビのＣＭを出す企業など、ほんとうにごく一部の大手企業である。ＣＭを出さない企業にも優良企業はたくさんある。わが子に合った企業もたくさんある。そのことをわかってなくて、ＣＭでよく聞く名前というだけで、子どもにその企業をすすめる母親がいまだに多いのだ。

また、大学3年になるF君はこう話す。

「うちの母親、電話してきては、『いま、外国人採用が増えているんですって。英語を勉強したら？』とか『ソー活っていうのが、今、大事なんだって。あんたはフェイスブックとかいうのやってるの？あんたもやってみたら？』とか、ワイドショーや新聞で仕入れてきた知識を元に、真面目な顔をして、とんちんかんな行動を押しつけてくるんです。これにはめっちゃ閉口します」

Fくんの疲れた顔が印象的だった。
情報源がテレビしかなく、主婦ワイドショーの「マス向け」「一瞬の興味を引くための情報」に振り回されて「自分の子どもに合った深い知識」を得ようとしない母親。
ろくな情報も根拠もないのに、安易に口出しをするのだから、子供がこんな母親の意見に耳を傾けるわけがない。

子供の性質に見合った私立幼稚園に入れたい30代主婦、Kさんの話がある。
確かに子供の性質や性格に合わせた方針を取る幼稚園に入れば、そこに通っている間、子供は居心地良く過ごせるだろう。しかしその環境は一生提供できるものではない。

社会というのは様々な人間がおり、企業は千差万別で、その特長や方針は各会社によって異なる。社会は自分の性質に合わせてはくれない。自分が所属した場所に合わせて適応させて行かなければならないのだ。Kさんの夫はそれを懸念し、妻の教育姿勢の根本が間違っていると指摘するも、社会で働いた期間が少ない主婦には理解ができない。幼い時に子供に適した環境を与える事が本当に良い事なのか…
夫婦の食い違いは埋められない。