それでもあなたを愛してる

彼と出逢ったのは
夏の終わりかけた
涼しい夜だった。

私には１年付き合っていた本命の彼氏がいたんだっけ…。
…今、思い出すと
懐かしい若い頃の
私…。。

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彼は私のﾊﾞｲﾄ先に
飲みに来た
ﾌﾘｰのお客様でした。
そぅ、
私のﾊﾞｲﾄは
ｷｬﾊﾞ嬢…。

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彼は友人と二人で
飲みに来た。
初めて見る顔…。

御新規さん…。

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店長が私に言った。

『ﾚｲ！、つける？』
『ﾘﾘと、二人で御新規さんよろしく。』

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ﾘﾘ、
『ﾚｲ～。行こうかぁ』

私、
『オッケー♪』

私は彼のとなりに座り
ﾘﾘは、彼の友人を接客した。

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挨拶を交わし
お酒を作る。

たまたま接客したのが、私とﾘﾘ。
このたまたまが
私の人生を
大きく変えることを
その時は分からなかった。

だって、私には本命の彼氏が居たから。。

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ﾘﾘも私もお酒を貰い
４人でお酒を飲みながら会話を弾ませた。
しばらくして
私と彼
ﾘﾘと友人での
会話が始まった。

ﾘﾘはその時
何を話してたかは
わからない。
きっとﾘﾘも、
私と彼の会話を
聞いてない位
お互いで話が
盛り上がっていた。

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彼が聞く。
『ﾚｲちゃんは、彼氏居るの？』

私…。
『え～それ聞いちゃうっ？』
『てか、あなたはぁ？』

彼、
『俺７人』
『日・月・火・水・木・金・土で～』


…。
そんなはずはない…
私。
『じゃぁ、私の入れる曜日無いね～』
『残念だゎ(笑)』
と、
彼の冗談に
突っ込んだ。

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彼…。
『ﾚｲちゃん、ﾏｼﾞで彼氏居ないの？』

私…。
『居るよ～』
『７人～』
彼の冗談を
そのまま返した。

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なんだかんだで
時間になった。
延長はしない。

これでさよならだ。
笑顔で送り出した。
『またね～』

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ﾘﾘは言う。
『ﾚｲ～』
『ｲｹﾒﾝだったね』
『正直どっちがﾀｲﾌﾟだったぁ？』

私…。
『興味無いよ～』
『だって知ってるでしょ？』
『私には彼氏居るじゃん！』

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まだまだ仕事は
終わらない。
さて、次のお客様に…。

そんな感じで
数時間。。。

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閉店前ﾗｽﾄ１時間…。

彼と友人が
店に戻ってきた。
またもやﾌﾘｰで…。

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指名することなく
戻ってきた。

店長…。
『ﾚｲ！』
『指名じゃないんだけど』
『またﾘﾘとついてくれる？』

私…。
『イヤだよ～。』
『違う子つけてよ～』

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店長。
『とりあえず10分でいいから。』

閉店前ﾗｽﾄ１時間…。
女の子もちらほら上がってて
頼める女の子は、
彼達よりちょっと年上…。
ﾘﾘと私、
また彼たちを接客する。

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私…

『帰ってきたんだ～』
『お帰りっ』

ﾘﾘと二人、お酒を作った。

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また私と彼。

ﾘﾘと友人のペアで
話を弾ませた。

…楽しい？
…いゃ、早く閉店にならないかな。。。

そんな気持ちのまま
笑顔でﾀﾊﾞｺに火をつける。

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彼が聞いてきた。

…私の携帯番号…。

私。。
『良いけど、捨てないでね～』
そう言いながら、
名刺の裏に
番号を書いた。

私。。
『ん？ｱﾄﾞﾚｽ？』
『じゃぁメール頂戴♪』

そう言いながら
名刺を渡した。


…きっと記憶に残らなければ、彼からの連絡はないだろう…
正直そう思った。

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何日経った頃だろう。。

知らない番号から
電話が鳴った。

私。。
『はい。』

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聞き慣れない声。。

…だれかな？…

『俺、』
『俺だけど覚えてる？』
『彼女が７人のさ～』

…彼だ！

私。
『うんっ』
『覚えてるよ』
『名刺捨てなかったんだ』
『絶対捨ててると思ってた～』

彼。

『捨てないしっ』
『何してるの？』
『遊ぼうよ～』

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彼の誘いに、
私は返事に困った。
だって、私は彼氏と同棲中だったのだ。

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同棲って言っても
親が許して同棲をしてたわけではなかった。

ん～家出になるのかな？
同棲になった理由は色々と複雑だが、
とにかく私は彼氏と同棲中だった。

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彼との電話…。

私。
『遊びたいんだけどこれから美容院なんだぁ』
『だから違う日でもいい？』

嘘をついた。

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彼。

『分かった』
『また誘うわ』

…
電話が切れた。

私は正直ほっとした。
今までの私なら
きっと遊んでた。

もう彼氏を裏切りたくなかった。

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彼氏と私。。
穏やかな休日。。。
彼氏は大卒新入社員。。

彼氏が大学生の時から付き合っていた。
彼氏は３つ上。

彼氏と付き合ってるときに
私は何度も浮気をしてた。

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そう。。
私は最低女。。。
浮気女。。。
最低。。。

でも、愛情が
欲しかった。
自分が望む愛情が。。

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私は、父子家庭で
育った。

私にはちゃんと幸せな家族、両親がいた。
でも、１０才から
父子家庭に
なったんだ。

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私は、母からの愛情…、父からの愛情を
いつの日か、異性に
貰えることに
気付いた。

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父子家庭で
頑張ってきたのに
１３才で
新しい母が来たのが
きっかけだった。

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父が、父親ではなく
『男』に
見えた。

父の愛情は
新しい母に
注がれた。
連れ子がいて
兄・妹ができた。

家庭で私に愛を注いでくれる人が
居なくなり
私は、異性に
その思いをぶつけるようになった。

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彼氏と喧嘩をすれば、すぐに男友達と遊びに行った。

何回も彼氏を
裏切っていた。

だからもう裏切りたくなくて
彼の誘いに
乗らなかった。

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当時、私は
ﾊﾞｲｸの普通免許を
とるため
教習所に
通っていた。
教習所で知り合った
女の子とのお喋りは新鮮だった。
毎晩お店の女の子と
一緒だけど
仕事仲間の女の子とは
ほとんど偽りの関係。。

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教習所の女の子と会話中、
突然知らない番号から着信が鳴った。

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私。
『はい。』

…。
『あのさー』
『あんただれ？』
『どこの女？』

私。…。
聞きたいのは
私なんだけど…。

電話の向こうの
相手は
女の子。。。
かなり怒鳴り口調。。

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私。
『誰ですか？』

『何の用件で掛けて来てるんですか？』

電話の相手。
『ﾋﾛの事知ってる？』

私。
『あー、知ってる。』

電話の相手。
『旦那なんだけど』

私。
…
ﾋﾛの奥さんだった。。

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ﾋﾛは私のお客様だ。
昨夜も店に来た。

ﾋﾛとは、ｱﾌﾀｰも行く仲良しだ。
仲良しと言っても
奥さんがいること、
子供が居ること
全部知っていた。
でも、何でも無い。
ただ、楽しく飲むだけ。
あぁ～、
でもﾊｸﾞはするかな。。。
外人のあいさつの様に。。。

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ﾋﾛの奥さん。
『ﾋﾛと、関係やめてくれない？』

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…。

ﾋﾛの奥さん。
『ﾋﾛと連絡取らないでほしい。』

私。
『分かりました。』
『でも、奥さんが考えてるような関係では無いですよ。』

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始めは怒鳴り口調だった奥さんは
電話を切るときは
優しい穏やかな声だった…。

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電話を切って
教習所の女の子、
ﾁｶとまた話が続いた。

ﾁｶ。
『電話大変そうだったけど、大丈夫？』
私。
『大丈夫、大丈夫！』

あまり深くは話さなかった。

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教習が終わり、
彼氏の家に帰る道のりで
なんとなく
心が切なく感じた。

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私は彼氏が好き。
好きだと思う。

色々な私を

・・・それでも好きだ。守りたい・・・って、
言ってくれていた。

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彼氏はとても男気のあふれる人だった。
でも…、
でもどこかで
物足りなさを感じていた私がいたんだ。

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愛情表現の薄さ。。
彼氏には、
しっかりと自分の時間があった。
そんな時は
私の入る場所はなかった。

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でも唯一彼氏の変化も感じた。
彼氏は女子を下の名前を呼び捨てで呼ぶ。
私の事を呼ぶときももちろんそうだった。
でもいつの日か。。。

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友人に私を紹介するとき、
私の事を

『俺のかみさん。』
『俺んちの奥さん。』

そう呼ぶようになってた。

私を呼ぶときは、
名前に『ちゃん』付けして可愛く呼んでくれるようになった。

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彼氏の友人は
私にこう言った。

友人。
『あいつが俺たちに彼女を紹介してきたの、初だぜ。』
『今まで沢山遊んでたのは知ってるけど、彼女と紹介されたのは初。』
『こう言っちゃ悪いけど、連れてる女は毎回違うし、明らかに遊びって感じだった。』

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友人。

『それにさぁ～』
『合鍵持ってるんだって？』
『一緒に暮らしてるとか…』
『意外だったよー』
『あいつ、合鍵とか渡すとき、俺に相談してきてさー』
『あいつの中で君は今までの女とは違うんだろうな』
『あいつを大切にしてやって。』

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初めて彼氏の私からは見れない姿を知った。
友人の言葉や情報は私には新鮮だった。

彼氏を大切にしなくちゃって思った。

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