すれ違い

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リキ( ♂ yKPs1 )
12/01/02 00:04(更新日時)

あの時のあの出来事。

謎多きあの彼女。

いったい何やったんやろ…

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No.1674835 11/09/20 13:24(スレ作成日時)

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No.1 11/09/20 13:42
リキ ( ♂ yKPs1 )

数年前の冬の寒い日。

田舎町からちょっとだけ栄えた街に転勤になり、初出勤した日から不思議な出会いが始まった。


俺の通勤車は、特に派手でもなく、特に地味でもなく、極めて一般的なパールホワイトの乗用車。
俺は当時まだ若かったが、お金がなく、経済的に苦しかったため、チューンナップやドレスアップは何もせず、単なる通勤車として乗っていた。



初出勤から毎日渋滞にはまり、車中は退屈やったため、毎日車中カラオケ大会が開催されていた。
カラオケ大好き野郎やった俺は、対向車がチラチラ見てきても気にすることなく歌いまくり。
あの滑稽さは際立っていたことやろう。
でも気にしない俺。


そんなある日…

No.2 11/09/20 18:23
リキ ( ♂ yKPs1 )

車通勤している人は感じたことがあるのではないだろうか。
毎日同じ時間に車通勤していると、ほぼ毎日同じ車とすれ違う。
自分の好きな車や特徴ある車、改造車などは印象に残るものである。
俺は車中がカラオケボックスになっていたため、すれ違いう車をほとんど意識していなかった。
しかし、季節が春になると窓を開放して走らせるので、歌が歌えなくなった。
さすがの俺も窓を開け放ってカラオケをする勇気がなかったので、おとなしく走らせていたが、何せ渋滞にハマると退屈で仕方がない。
そうすると必然的に対向車に目が向くようになった。
初めは車ばかりを見ていたが、それにも飽きてきて、今度はドライバーを見つめるようになった。
右腕を窓越しに引っ掛け、対向車のドライバーをジッと眺める。

やはりおじさんが多い中、ある女性に目が止まった。
それがあの彼女である。

No.3 11/09/20 23:32
リキ ( ♂ yKPs1 )

渋滞の列にハマり止まっていると、対向車も渋滞して止まっている。
彼女が乗っている黒い軽自動車はまだ見えない。
車が流れ出し、対向車も流れ出す。
俺は窓から顔を出し、すれ違う対向車をジッと見つめるが、彼女の車はまだ来ない。
そろそろ左折。
左折すると彼女が居るであろう車列が見えなくなるため、彼女の顔を見ることができなくなる。
今日は会えずじまいか、と思った瞬間、見えた!
遠い対向車線に彼女の車。
俺が左折する信号で止まっている。
このまま左折すると彼女の顔はほとんど見れない。
ゆっくり走らせてすれ違うのを待とうか。
左折せず直進しようか。
いろんなことを考えているうちに、いつも通り左折してしまい、彼女の顔は見られなかった。

というような日もあり、毎朝の通勤時が妙に楽しくなってきた。

No.4 11/09/20 23:55
リキ ( ♂ yKPs1 )

毎朝の車通勤。
俺にとっては単なる通勤ではなくなっていた。
こんなにウキウキ車通勤している人は居るのだろうか。
名前も年齢も住んでいるところも知らない。声も聞いたことがない。
そんな彼女との車のすれ違いに心がときめいている。
俺ってアホかな❓


ある日、遠くに見える彼女の車の窓が、いつもは閉まっているのに何故か開いている。
ガラス越しじゃなく直接見れる嬉しさに、顔がほころぶ。
しか~し、いつもは渋滞している道路がその日はゆっくり流れている。
なんて不運なんや…

でも彼女を直接見られる嬉しさから車が近づいてくるとワクワクしてきた。
彼女の車が近づいてきた。
すれ違いざま、「う~ん可愛いな~」と思った瞬間、彼女が何かを投げつけてきて、俺の顔に当たった。
これにはさすがに驚いた。
呆気にとられ呆然としていたが、投げつけてきた物が助手席の上に転がっている。
紙屑を丸めた物だった。

No.5 11/09/21 13:15
リキ ( ♂ yKPs1 )

何が起こったのかまったくわからない。
なぜ“ゴミ”を投げつけられたのか。
ゴミを捨てたらたまたま俺の顔に当たったのか?
いやいやあの投球フォームはどう見ても俺の顔目掛けて投げつけてきた投げ方であった。
頭の中がモヤモヤしたまま複雑な心境で会社まで車を走らせた。

仕事が終わり、退勤の車に乗ると、「んっ❓」。投げつけられた“ゴミ”が助手席に転がっているのに気付く。
ただの“ゴミ”と思っていたその紙屑を広げてみると、なんとそこには驚くべきことが書かれていた。

No.6 11/09/21 18:44
リキ ( ♂ yKPs1 )

その紙屑を広げてみると、そこには女性らしき名前と携帯番号とメールアドレスが書かれていた。
「真行寺夏実」

これは彼女の名前やろか?
まさか偽名?
でも携帯番号やアドレスまで書いてある。

どないしょ…

脳みそがとろけるぐらいあれこれ考え抜いたが、結局答えが出ず、おやすみタイムとなった。
電話やメールをする勇気すら湧かない自分が情けなくなった。

翌朝目覚めてふとんの中でふと思いついた。

そや💡俺も紙屑に名前等を書いて投げ込もう😃☝
何も行動しないよりはいい。とりあえずそうしよ。

紙に名前等を書き、どうかうまく投げ込めますように🙏とお祈りをして車に乗ろうと外に出たら、☔やった。

☔では窓を開けて走らない…😂

No.7 11/09/22 13:23
リキ ( ♂ yKPs1 )

雨の中、出勤。
今日は出会わないでくれ…と願った🙏
なぜだかひどく緊張する。

願い叶わず⤵前方から彼女の軽自動車がやってきた。
彼女の車を見て驚いた😲
なんと窓が下がっていっている。
まさか俺が紙屑を投げ入れると予測して開け始めているのだろうか❓
せっかく開けてくれるのだから、俺も紙屑を投げ入れようと慌ててしまっておいたポケットから出そうとしたが焦っていてなかなか出てこない。
すれ違いざまなんと彼女がまたもや紙屑を投げ入れてきた。
俺はというと、結局ポッケから出すことができず、素通りしてしまった。

あっちゃ~💧
俺は何やっとんのやろ😱

そうそう、彼女が投げ入れてくれた丸まった紙屑を…いや、これは手紙であろう。
その手紙を広げてみた。
そこにはこう書かれていた。

「あの手紙読んでくれた?あなたのあの視線は私の勘違いだったのかな?勝手なことしてごめんなさい。忘れてください」

No.8 11/09/22 18:47
リキ ( ♂ yKPs1 )

忘れてください⁉
とんでもない!このまま放置したら、本当に忘れられてしまう。
ここは度胸一発携帯にかけてみよう。
携帯携帯……ありゃ❓
まさかまさか😲
家に忘れてきた😨
投げ入れる予定だった手紙のことばかりが気になって、携帯を家に忘れてきたのだ。
アンビリーバボ~💧
信じられへん。
こんなことってあるのか⁉
仕事なんかどうでもいい。
家に戻って携帯を取りに行き、とにかく早くかけないと忘れ去られてしまう。
朝の渋滞の時にUターンなんかできんから、グルッと遠回りして家に帰り、携帯を手に取り彼女の携帯番号を探す。
だが、探しても見つからない。
うそっ‼なんでや⁉
…思い出した❗
まだ登録してなかった💨今度はあの手紙を探そうとしたが、あれ❓どこにしまったんや❓あれ❓あれれ❓
落ち着け❗落ち着け落ち着け落ち着け‼
冷静に考えて、ようやく手紙を発見。
彼女とすれ違ってから40分は経っている。
もう破れかぶれの一か八か。
勢いつけて彼女の番号を押した。

プルルルル…プルルルル…プルルルル……………

出ない。
いや出てくれないのか?いやいや出られないのか?
きっとそうや。
仕事が始まったから携帯に出られないでいるんや。
前向きに考えようとしたが、やっぱりショックやった。


仕事は休んだ。

No.9 11/09/22 19:13
リキ ( ♂ yKPs1 )

己のあまりの不甲斐なさに半ば呆れてしまった。
せっかくのチャンスにこんな不運なことがあるのか。
いや、不運ではない。自分が情けないのだ。
冒頭で不甲斐ないと書いたばかりなのに、不運とは何をふざけたことをほざいているのか。

仕事を休んで家で今後の策を練っていたが、妙案が浮かばない。
まだ気持ちが落ち着いていないのかもしれない。

んっ❓そうや💡
メールアドレスが手紙に書いてあったことを思い出した。
メールをしてみるか。
でもなんかいきなりメールというのは、相手に失礼ではないのだろうか。

悩み抜いて、結局彼女の昼休みであろう時間帯に📲してみることに決めた。
彼女の携帯には、俺の番号が着信履歴として残っているはず。
ひょっとして彼女の方からかかってくるかもしれない…という淡い期待は完璧に外れることになる。

俺はいつの間にか眠っていた。
起きたら14:00。
彼女からの着信は入っていなかった。
昼休みにかけようとしていたのに、またもやマヌケなことをしてしまった。
彼女からの着信もなし。
いったい何をやっているんやろ…

No.10 11/09/22 23:43
リキ ( ♂ yKPs1 )

こうなりゃ夜になってからかけよう。
今度こそチャンスを逃すまい。
どうかつながりますように…

夕方になり徐々にドキが胸胸する。
あっいや胸がドキドキする。



その時がきた。
携帯のアドレスを開き、発信をポチっと押す。
プルルルル~プルルルル~

「もしもし?」

で、出た!
「あっ、あの夏実さんですか?」

「違います」
プ~プ~プ~…

あれ❓番号間違えたのかな?
登録番号と手紙を照らし合わせ確認したが、間違っていない。
どういうことなんや❓
考えても答えは出てこない。
破れかぶれで📲しようと決めたんやから、最後まで破れかぶれでいこう。

もう一度かけてみることにした。

No.11 11/09/23 00:00
リキ ( ♂ yKPs1 )

発信をポチっと。
プルルルル~プルルルル~

「もしもし」
「あっ、あの何度もすみません。夏実さんではないですか?」

「夏実ではありません。本名は」
本名?
「えっ?手紙をくれた夏実さんですよね?」

「手紙は渡しましたよ。一方的にですが… 夏実というのは偽名なんです」
「偽名?なんですか?本名を教えてもらえませんか?」

「本名はミカと言います」
「ミカさんですか。俺はリキと言います」

可愛いと言うより、セクシーな声だった。
緊張して何を話していいのかわからず、何でもいいからとにかく喋ろうと思った。

No.12 11/09/23 15:29
リキ ( ♂ yKPs1 )

「あっ あの、手紙ありがとうございました。実は今日、俺も手紙を渡そうとしたんですが、雨が降ってたんで窓はしめていることやと思い込んで準備ができていませんでした💧ごめんなさい🙇」
「そうなんや~ てっきり脈無しかと思ってた。その手紙には何が書いてあったの?」

「君と同じように、名前と携帯番号とアドレスを書いといたんです。あっ今せっかく電話してるので、名前はリキと言います。携帯番号は着信が残ってますよね?アドレスはまたメールします。」
「あたしの気持ちたわかってくれた?」

「あっ、うん、もちろん!俺もすごく気になってて、この気持ちをどやって伝えようかと思ってたんです。」
「あたしね、リキ君のあの視線が気になってて、何か意味があると思って手紙書いたの」

「はい、当たってます。」
「やっぱりそうやったんや~。でもすぐに電話くれなかったね」

「あっ、それは色々と事情があって…」

俺は、手紙を見つけたのはその日の夕方やったこと。どう応えるか悩んだこと。今日手紙を渡すつもりが、焦って渡せなかったこと。言い訳みたいになってしまったが、説明した。
一応理解は示してくれたが、疑心暗鬼のように感じた。

No.13 11/09/23 19:00
リキ ( ♂ yKPs1 )

お互い「じゃっまたね」と言って電話を切った…が、またっていつのことなんやろ。
せっかく電話で話をしたのに、何も約束をできなかったことに後悔した。
でもまぁ話ができたし、名前も携帯番号もわかってもらえたので、ちょこっと満足かな。

今日はゆっくり寝て、明朝またあの道ですれ違ったら笑顔で手を振ろう👋
これから毎日の出勤が楽しみになりそうな予感。
ほくそ笑みながら眠りについた。








…が、昼寝をしたためなかなか寝付けない。
腕立て伏せと腹筋をし、疲れさせてから寝よう。

1・2・3・4…

あ~しんど💧

何だか余計に目が冴えてきた。
彼女にメールでもしてみようかな。
書き出しはどないしょ?
考えているうちに寝ていた。

No.14 11/09/23 23:10
リキ ( ♂ yKPs1 )

翌朝、ウキウキしながら車に乗り込む。
いつも出会っている、あの渋滞道路で、今日は思い切り満面の笑顔で手を振ろう。

彼女の車を探しながらの運転。
おっと危ない⚠前方にも気を配らなきゃならないし、対向車にも目を向けなければならない。
今までは何となく運転していたが、前方より彼女を探すことに重きを置いている。

なかなか現れない。
もうじき左折しなきゃならない交差点に差しかかる。
う~ん… 今日は笑顔で手を振る予定やったのに、残念やなぁ。
人生うまくいかんもんや。
そういやメルアドをまだ教えていなかった。
会社に着いたらメールでもしておこう。



会社の駐車場に到着。
さっそくメール文を作成。

「おはよー。リキです。昨日はどうもありがとう🙇今朝ミカさんの顔を見られるかと楽しみにしてたけど会えなくて残念⤵メルアド登録しといてね。じゃまた。」


返信が楽しみ😊

No.15 11/09/24 07:24
リキ ( ♂ yKPs1 )

仕事が終わってもメールは届かなかった。
仕事中はメールできないのかな?
それか、仕事が忙し過ぎてメールできないのかも。
自分に言い聞かせ、自分を納得させた。

家に帰ってからまたメールしよう。




帰り道。
通勤時は渋滞しているが、退勤時はすいている。
スムーズに流れている途中ハッと気付いた。
前方から彼女の車。

おっ💡手を振ろう。
気付いてくれるかな?

と、思ったが、なんと助手席に人影が…
どう見ても男性に見えた。

メールしてこなかったのはそのせいなのか。
う~ん 彼女はいったい………

No.16 11/09/25 00:32
リキ ( ♂ yKPs1 )

メールの返信がなかったこと。車の隣の席に男が乗ってたこと。
知りたくて聞きたくて仕方ないが、なかなか踏ん切りがつかない。

特に、隣の席に乗ってたあの男性。
彼氏なのか、親戚のお兄さんなのか、はたまた姉妹の彼氏とか?
会社の同僚かもしれないし、ひょっとしてヒッチハイクで乗せたのかもしれない。
色んな妄想が頭の中をぐるぐる回る。

さてどうしたらいいものか?

頭を悩ませていると、なんと彼女から電話がかかってきた。

No.17 11/09/25 23:30
リキ ( ♂ yKPs1 )

「こんばんは~ 今日はすれ違わなかったね」
「あっ うんっ そうですね」

本当は帰り道ですれ違ったけど…

「ねぇ 敬語はやめようよ。あたしは普通に喋ってるよ」
「あっ うんっ そうですね… あっごめん。」

心の中にひっかかる物があるのか歯切れが悪い。
彼女に、今日の帰り道で助手席に男を乗せていたことを聞こうとしたがなかなか言い出せない。

「ねぇ どうしたん?何か言いたいことあるん?何か変じゃない?」
「えっ?そうかな?別に何も変わりないよ」

しまった!今の話の展開は彼女に聞くチャンスではなかったか?
助手席の男が気になって気になって仕方がない。
それにメールの返信がなかったことにも触れようとしない。


謎多き女…


どこかで聞こうとチャンスを伺っていると、彼女がこう切り出した。

No.18 11/09/26 23:42
リキ ( ♂ yKPs1 )

「あたしさ、今日元彼に会いに行ってたん。朝早くに連絡があり、すごく体調悪いから病院連れてって言うから仕方なく仕事休んで元彼のとこに行ったん。ほんなら仮病やってん、復縁を迫られたん。」
「そうなんや、んでどうなったん?」

「もちろん断ったよ。帰るって言うてんけど引き留めようとするん。そのうち泣き出しちゃってさぁ。」
「結局1日ずっと一緒におったんや」

「ううん 振り切って帰ってきてん。」

振り切って?
俺が見たのは夕方の退勤時。
それを振り切ったって言うんやろか?

彼女は嘘をついとる⁉

夕方見たよってことを話そうか迷っていると、彼女が、

「帰った後も元彼から📲や📩の嵐でどうにもならなくなって📱の電源切っといたんや」

そうか、それで俺への返信ができなかったんかもしれない。
でも、俺が見たのは夕方。
あの男は元彼とは違うのだろうか。
またまた頭の中がゴチャゴチャになってきた。
彼女に聞くべきか聞かざるべきな…

No.19 11/09/27 13:24
リキ ( ♂ yKPs1 )

意を決して聞いてみた。

「実は今日の夕方にミカさんを見たんや」
「えっ?どこで?まさか家の中に泥棒に入ってきたん?」

「違うよ。仕事の帰り道、いつもの道ですれ違ったん」
「そんなことあり得へんのやけど…」

あり得へんとはどういうことなのか。
ここで追求しても大丈夫なのか、瞬時に色々考えたが決断が鈍る。
だがここは思い切って聞いてみた。

「今日、いつもの道を走ってたよね?隣に誰かを乗せて…」
「なんか誤解してない?あたしはずっと家におったけど?」

「でもあの車は間違いなくミカさんやったよ」
「運転してたのもあたしやった?」

「うん」
「んで隣に誰が乗ってたん?」

「いや、あのぉ、男の人が…」
「あたしが元彼でも乗せてたと思ってんの?」

「…」
「それあたしのお母さんやよ」

へっ❓
んなあほな。
お母さんとミカさんを間違えるか⁉
確かにお母さんの顔は知らんけど、そんなに若いお母さんなのか❓

「お母さんの車が故障してるから、車を貸しただけ」
「じゃ隣に乗ってた人物は?」

「お父さんやと思うよ」
「え~~~⁉あの若い男性がお父さん⁉」

驚き過ぎかもしれないが驚いた。
どこまで本当の話なのか、彼女をどこまで信じていいのか…

No.20 11/09/27 23:00
リキ ( ♂ yKPs1 )

「ミカさんとお母さんてそない似とるん?」
「うん そっくりやよ。18歳の時にあたしを産んだから、今は40歳かな」

「お父さんはいくつ?」
「お父さんも40歳。夫婦揃って若作りしてるよ」

本当なんだろうか。
確かに夕方で薄暗かったのもあるが、俺には彼女にしか見えなかった。
でも彼女が嘘をついてるようには感じない。
いや、嘘をついていないと信じたい。


「また今度、お父さんとお母さんに会ってみる?」
「そんな機会があれば…」

まだ付き合ってもいないのに、両親に会いにく勇気がない。
付き合っていない… そう、まだ付き合っていなかった。

彼女のことを何も知らない。
毎朝通勤時にすれ違うだけ。
携帯番号とメアドの交換はしたが、それから大きな進展はない。

まだまだ謎が多い彼女だが、そのうちきっちりけじめをつけよう。

付き合ってほしいと告げてみよう。

No.21 11/09/27 23:42
リキ ( ♂ yKPs1 )

毎朝の通勤時、すれ違う時もあればすれ違わない時もある。
すれ違えば、手を振ってくれるし、俺も手を振る。
すれ違わない時は、その日は気分が優れない。

彼女のことが頭から離れない。
これはもう完全に“好き”になっている。
今度の電話の時に告白してみよう。
いや、まずは会ってみたい。
そこで顔を見て、フィーリングが合えば告白しよう。

ある日の夜に彼女に電話した。

さて、どんな答えが返ってくんだろう。

No.22 11/09/28 22:25
リキ ( ♂ yKPs1 )

「ミカさんこんばんは~ 元気?」
「うん、元気やよ」

ちょっと話した後、彼女に確認してみた。

「いっぺん会わない?」
「…」

「(あれ?返事がない。会いたくないのかな?それとも会うとなんかまずいことがあるのかな?)」
「あのね、あたし…」

「無理しなくてええよ。ミカさんが会いたいと思ってからで」
「でもなんで急にそんなこと言い出すの?この前両親に会う?って聞いたら答えはNOやったのに」
「ご両親には付き合ってもいないのに、まだ会えないかなって… でもミカさんには会いたい」

「今はちょっと無理かな…」


何か意味深な言い方。
会えない訳って何だかろ。
ますます謎が深まるばかりだ。


告白はいつできるのか…

No.23 11/09/29 13:08
リキ ( ♂ yKPs1 )

まだ会えないと言われ、電話やメールの回数が減った。
“好き”という気持ちも薄らいだ気がする。
朝、通勤時に会う時には今でも手を振っているが、なんかよそよそしい。
彼女が会いたいと言うまでは会わないでおこうと俺の中で決めてしまった。

なぜ会えないのか。
理由を知りたい。
このままほっとかれたら気持ちが冷めてしまいそう。





もう無理かな。

No.24 11/09/29 23:21
リキ ( ♂ yKPs1 )

ある朝、お互い渋滞でミカさんの車がちょうど俺の隣に止まった。
窓を開けたら、ミカさんも開けてくれたので、思い切ってこう言った。

「ねぇミカさん、やっぱり会いたい。お願いやから時間作って」

ミカさんはこちらを向かない。
なんか不自然な行動だったが、横目でこちらを見て複雑な表情で、

「わかった… あとで電話するから」

と言って走り去った。

やった!と心の中で叫んだが、あの表情とあの態度がちょっとひっかかる。

まぁでもようやく会えることになったので、少し気持ちが晴れた気がする。

楽しみだ。

No.25 11/09/29 23:34
リキ ( ♂ yKPs1 )

その日の夜、彼女から電話があった。

「あたしを見てがっかりするかもしれない。いや嫌いになるかもしれない」
「なんで?嫌いになんかならへんよ」

「あたしのことを知らないからよ」
「うん知らない。知らないから会ってもっとミカさんを知りたい」

とりあえず今度の休みの日に会う約束をし、電話を切った。


嫌いになるかもしれない理由って何だろう。

車ですれ違うときの彼女の行動は確かに不自然ではある。
手を振るのは必ず左手で、顔のすぐ横で手を振ってくれる。
最初は何とも思わなかったが、いつも同じ振り方なのでどこか違和感を感じていた。
それが、彼女が会いたくない理由と何か関連性があるのだろうか。




とにかく一度会ってみよう。

No.26 11/09/29 23:50
リキ ( ♂ yKPs1 )

休みの日となった。
彼女に会える。
色々考えたが、やっぱり会えるのは嬉しいし、ワクワクする。
緊張もしまくり。

ちょっとおめかしして早めに待ち合わせ場所へ向かった。

春も深まり、そろそろ半袖の季節に入ろうとしている。
爽やかな陽気の中、待ち合わせ場所に到着。

彼女はまだいない。
ちょっと早く来過ぎた。
こういう時は、心を落ち着かせるのと、高ぶった気持ちを紛らわせるためにちょっと一服🚬といきたいところだが、タバコは半年前に止めた。
携帯でもいじっとこうかな…と思った瞬間、彼女が歩いてこちらに向かっているのに気付いた。

俺はぎこちない笑みを浮かべて彼女に手を振る。
彼女も手を振ってくれた。
車に乗ってる時と同じ振り方で。

彼女が接近してくる。
ようやく会えた嬉しさで笑みが絶え間なく続いたが、彼女は笑っていなかった。
そして左手は左の頬を押さえたままだった。

No.27 11/09/30 13:29
リキ ( ♂ yKPs1 )

「こんにちは。遅れてごめんね」
「いやいや、俺が早く来過ぎたんさ。ごめんごめん」

どうも彼女の左手が気になる。

「ねぇ、なんで左手を顔の横に当ててんの?」
「あたしの顔見て笑わない?」

「笑う訳ないやん」
「あたしね、元彼から暴力を受けてたん」

彼女は左手を顔から外した。
左の頬には青っぽく内出血しており、皮膚も腫れ上がり少し出血していた。

そうか。これが会いたくない理由だったのか。

「あたしね、これが治るまでは会いたくなかったん。元彼に会いに行ったあの日、復縁を迫られたけど断ったん。そうしたら…」

「もうええよ」

俺は無意識に彼女を抱き寄せていた。
今日、初めて会ったのに、彼女が愛おしくては仕方なかった。





「これからは俺が君を守から…」

No.28 11/10/01 00:01
リキ ( ♂ yKPs1 )

その日はファーストフード店に入り、いっぱい話をした。
聞くところによると、あざは顔だけではなく、体中の至るところにあると言う。
これから暑い季節になるが、半袖や短いスカートは身につけないそうだ。

元彼のことが気になる。

「元彼はまだ付きまとってくるん?」
「ううん、もう大丈夫」

「もし、また何かあったら必ず連絡くれな。俺が君を守るから」
「うん、ありがとう」

そういや告白がまだだった。
何て言い出そうか迷ったが、唐突に

「付き合ってくれる?」

と告白。

すると彼女が

「ええよ」

の返事。

やった😊
…と思ったのも束の間。
彼女が

「どこに付き合えばええの?」と…

「あっ、いや、あのその…今度映画でも観に行こうか」
「はい、あなたに付き合います」


あなた“と”ではなく、
あなた“に”か…

何か拍子抜け。
また今度告ろう。
告る必要あるのかな?

No.29 11/10/01 00:17
リキ ( ♂ yKPs1 )

それから、朝の通勤時の楽しみが倍増した。
だが、まったくすれ違わなくなった。

メールのやり取りは頻繁にする。
[最近すれ違わないね]
[そうやね。タイミングがちょっとずれてるみたい]

結局一週間一度もすれ違わなかった。
週末のデートを申し込んだが、ちょっと用事があって…と断られた。



次の週の出勤時。
大渋滞のためほとんど動かない。
このままじゃ遅刻してしまうと思い、仕方なく通勤コースを変更した。

するとどうしたことか。
前方から彼女の車が⁉
彼女?あれ?

No.30 11/10/02 00:48
リキ ( ♂ yKPs1 )

彼女もこっちに気付いたらしく、ちょっとうつむき加減でこれまで以上に手で顔を覆っている。

いったいどうしたんだろう。
ひょっとしてまた元彼にしばかれたのかな?
もう縁は切れたと思っていたのに。

運転しながらだが、彼女に電話してみた。

「またなんかあったん?」
「あたしの顔見えたやろ?」

「手で覆っていたから見えてへんよ。どないしたん?」
「実は…また殴られた…」

やっぱりか。
俺が守ってやると言いながら、まったく守ってやれてない。

このままじゃいかん。
このまま放置しといたら、彼女の顔がもたない。

「俺が元彼のところに行って、二度と暴力を振るわないように、約束してくるよ」
「ありがとう。でもねそれは無理やと思うよ」

「なんで?」
「元彼は普通の人じゃないの」





いったいなんなんやろ?

No.31 11/10/02 23:33
リキ ( ♂ yKPs1 )

だいたいの察しはついた。
普通の人じゃないということは、おそらく暴力団関係であろう。

ちょっとビビった。

でも彼女を守ると約束したんだ。
このままほっとけない。

「俺が君を守るから、一度元彼に会わせて」
「それはできないよ。あなたに迷惑をかける訳にはいかないから」

「でもこのまま君を放っておけないよ」
「いいの。自分で何とかするから」

とりあえずその日は仕事があるので、短時間で電話を切った。仕事帰りにもう一度電話をかけてみよう。
電話で話すよりも、顔を見て話したいので、会ってもらうようにお願いしよう。


仕事が早く終わることを祈りながら業務をこなしたが、そういう時に限って忙しかったりする。
焦り始めた。

No.32 11/10/03 13:31
リキ ( ♂ yKPs1 )

ようやく仕事を終え、遅くなったため仕事場を離れた瞬間、彼女に電話を入れた。
彼女はすぐに出てくれた。
聞けば既に家にいるという。
彼女の自宅を知るチャンスと思い、
「今から迎えにくから家の場所を教えて」
というと、
「わかりにくい所やから○○まで来て」
という。
仕方ないので指定された場所まで迎えに行った。

待ち合わせ場所に着き彼女を乗せる。
顔をアザは以前よりひどくなっている。


元彼のことを聞くと、写真を見せてくれた。

「へっ❓これが元彼❓」
「そうよ。普通じゃなやろ?」

確かに普通ではない。
だが、俺が想像したのはいかついヤ○ザだったが、写真はどう見てもチャラ男だ。
いや、見た目はチャラ男かもしれないが、中味は暴力的な可能性もある。
何せ彼女がこんな顔にされたんだから、やはり普通ではないのだろう。


さぁ、どうしたものか。

No.33 11/10/04 00:02
リキ ( ♂ yKPs1 )

「とにかく二人きりではもう会わないで。もし連絡が入ったら俺が一緒に行ってきっちり縁を切ってもらうように話してみるから」
「あたしね、リキ君に迷惑をかけたくないの。リキ君が話をして素直に受け入れる人じゃない」

「受け入れてくれなかったら、受け入れてくれるまで説得するよ。もう君に暴力を振るわせない」
「気持ちは嬉しい。でも…」

強く抱きしめた。
もう俺だけのものにしたい。
誰にも渡さない。

「俺が必ず守るから。俺を信じて」
「……ありがと」



なりゆきと勢いで言ってしまった。
俺に守ることができるのだろうか。


俺は大後悔することになる。

No.34 11/10/04 00:21
リキ ( ♂ yKPs1 )

しばらくして彼女から電話が入った。

「元彼が会いに来いって言うの。断ったんやけど『家が燃えてもええんか?』って言われて…」
「わかった。会いに行くって言うといて。俺が一緒に行くから」

なんかほんまに恐ろしそうな男や。
でも俺も守ると言った責任がある。
ここは腹をくくって行くしかない。




約束の日。
彼女の車に乗って目的地に向かった。

夕方のため、空はぼんやり薄らいできている。
こんな日に彼女と二人きりでデートできたら、最高にロマンティックな夜になるのにな。


目的地に着いた。
車から下りて歩いていくと、若い男達がたむろっている。
集団でいたため元彼はいないだろうと思ったが、彼女が
「あの真ん中にいる紫色の服を着てるのが元彼」
へっ⁉
なんで集団でいるの❓
しかも7人ぐらいいる。
どれもチャラ男だ。



この時点でちょこっと後悔した。
このあと何が起きるかまったく想像がつかなかった。

No.35 11/10/04 13:35
リキ ( ♂ yKPs1 )

「おぅ、ミカ。やっと来てくれたんけ。世話のやけるやっちゃのぉ 」
「なんでそんなに連れがおるんよ」

「お前が新しい男を連れてくる言うさけ、こっちも戦闘態勢を整えとかなあかんやろ」
「戦闘態勢って何よ。あたしは話し合いに来たん」

「話し合い?そんなもんでカタがつくかいな。ほんでその男か?俺とお前を引き裂いたっちゅうのは」
「彼が引き裂いた訳やない。あたしがあんたの暴力に耐えきれんくなってん」


俺は言葉が出てこない。
えらそうに彼女を守ると言ったが、恐怖心と緊張感で何も言えなかった。

「おい、にいちゃん。もう帰ってええでぇ。われには用はないんや。ミカは俺に任しとき」

言い返すチャンスだ。

「ミカさんがあなたの暴力にうんざりしてます。別れたってください」
「はぁ?われ誰に物言うとんねん。俺が『はい、わかりました』とでも言うと思とんのか」

ここは度胸一発強気に言うしかない。

「あなたは人として恥ずべき行為をしてます。何でも暴力で片付けようとするのは、特に女性に対してのそういう行為は人として最低です」

「なんやとコラッ💢‼」



このあとどうなったかは想像がつくと思います。

No.36 11/10/04 21:03
リキ ( ♂ yKPs1 )

気がついた。
あれからどれくらい経ったんだろう。
たぶん数分。
起き上がったら頭がクラクラ💫する。


彼女はいない。
連れてかれたのか、逃げたのか。

俺はどうしたらいいのかまったくわからない。
現状を理解することができない。
ベンチがあったのでとりあえずそこに腰を降ろし、気持ちを落ち着かせた。




帰るしかないか…

No.37 11/10/04 23:28
リキ ( ♂ yKPs1 )

帰るにしても足がない。
彼女の車はなくなっていた。
どこかに駅かバス停があれば、それを利用しよう。
タクシーという手もあるが、まだ時間も早い。
電車かバスで帰ろう。

彼女のことを考えながらとぼとぼと歩く。
ふと立ち止まり、夜空を見上げると、綺麗な星が輝いている。
何だか切ない。虚しい。

通りすがりの人に道を聞き、駅までたどり着いた。
とにかく今夜は帰ろう。
じたばたしても何も始まらない。
彼女の行方は不明のままだが、探す術がない。
そのうち電話がかかってくるだろう。


電車に乗り込み家路につく。
その時携帯が鳴った。

No.38 11/10/05 14:09
リキ ( ♂ yKPs1 )

「ミカさん!今どこ⁉」
「ごめんなさい…あたしのせいでこんなことになってしもて…」

「そんなことはええから、今どこ?」
「ここは○○市。ラブホから逃げ出してきてん。」

「えっ⁉ く、車は?」
「ラブホに置きっ放し」

「乗って逃げ出さなかったん?」
「だって元彼がキーを持ったまんまやもん。元彼がシャワー浴びとる時にフロントに電話してドアを開けてもらい飛び出したん」

「そうか。俺、今電車の中やから次の駅で下りてタクシーで迎えにくわ」
「ううん、少し歩けば駅があるからそこから電車に乗る。○○駅で待っといてくれる?」

「わかった。待っとくから絶対つかまるなよ」

○○駅で下り、ホームのベンチで待つことにした。

現実にこんなことがあるなんて思ってもみなかった。
彼女はちゃんと下りてくるだろうか。

No.39 11/10/05 16:17
リキ ( ♂ yKPs1 )

30分…40分…50分…1時間待ったが下りてこない。
○○駅からなら30分で着くはずなのに、1時間経っても彼女は現れなかった。

嫌な予感。

彼女に電話を入れてみたが出ない。
メールも飛ばしてみたが返信がない。

ここを動かない方がいいのか、それとも探しに行った方がいいのか、頭をフル回転させたが答えが出ない。
だいたい電話に出ないのがおかしい。
絶対何かあったはず。
俺は彼女のいるであろう駅に向かうため、電車に飛び乗った。



駅に到着する直前に、ようやく彼女から電話が入った。

「どないしたん?何かあったんやろ?」
「あまり大きな声を出せへんの」

「なんでや⁉まさかまたつかまっとるんか⁉」
「大きな声を出せへん。電車の中やから」

そういうことね。
とりあえずホッとしたが、彼女とすれ違いになった。

「○○駅で待っといて。絶対動くとあかんで。独りでどっこも行かんといてな」
「わかった。ずっと待ってる」

俺は○○駅で下車し、また電車を乗り換えた。
ほんまあわただしい。

No.40 11/10/05 23:48
リキ ( ♂ yKPs1 )

○○駅にようやく到着。
ホームのベンチに彼女は腰を下ろしていた。

「ミカ…」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」

強く抱きしめた。
ミカも抱きついてきた。

何分抱き合っていただろう。
ホームに長居する訳にいかず、改札を出てお互い無言のまま手を繋ぎ、街をぶらぶらしながら時が過ぎていった。
ファミレスがあったので、ちょっと入って休もうと彼女の手を引っ張って強引に入った。

まずはコーヒー。

頭のクラクラは収まったが、まだ何となくボーっとしている。

俺から切り出すしかない。
「何があった?」
「…」

「正直に話してみ」
「…まずはごめんなさい」

「それはええから連れてかれて何があったんや?」
「あなたが倒れてから…」

No.41 11/10/06 00:02
リキ ( ♂ yKPs1 )

彼女の話では、取り巻きはすぐにどこかに行ってしまい、元彼と二人だけになった。
元彼が彼女の車を運転し、気付いたらラブホの駐車場に止めてあった。
彼女は手を引っ張られ、無理やり部屋まで連れてかれた。
元彼がシャワーを浴びている間にフロントに電話をかけて、車に忘れ物したからと入口のドアの鍵を開けてもらい、飛び出してきた。

ということだ。


○○駅で待っている時に電話に出なかったのは、元彼が車で探しにきたらしく(電車で帰ることは予測がつく)、駅で見つかり、そこで押し問答となった。
元彼があまりに興奮していたため、駅員が止めに入ったが、元彼は容赦なく彼女を連れて行こうとしたため、おそらく誰かが通報してくれたのだろう。
警察がやってきて仲裁に入ってくれたため、やっと逃れられたそうだ。
それから○○駅行きの電車に乗り、俺とすれ違いになった。
で、ようやく○○駅で会えた訳だ。

疑っている訳ではないが、どこまで信じていいのかわからない。
そんなことが現実にあるの?という気がしてならなかった。

No.42 11/10/06 13:05
リキ ( ♂ yKPs1 )

これからどうするか。
彼女を家まで送らなきゃならないが、元彼が彼女の車に乗ってるはずなので、自宅まで来ている危険性がある。
でも帰らない訳にはいかない。

タクシーを拾って帰ることにした。


彼女の自宅の手前で下ろしてもらい、元彼が車で来ていないか確認してから帰ろうとしたが、彼女の車が自宅前に止まっている。

元彼が乗っているんだろうか。

恐る恐る近づき車内を覗き込むが元彼の姿はなし。
とりあえずホッとし、胸をなで下ろした。
これで家に帰せる。

彼女を見送り、もう一度タクシーを拾い、俺の自宅に急いだ。


自宅に着き、風呂に入ってから彼女にメールする。
「無事に着いた?また何かあったら連絡してな。おやすみ💤」



今日の出来事が頭をよぎる。

No.43 11/10/06 16:12
リキ ( ♂ yKPs1 )

翌朝起きてからメールチェックしたが、彼女からの返信はなかった。
たぶん先に寝てしまったんだろうと思っていたが、甘かった。

昼頃になり、彼女から電話がきた。
聞いてびっくり❗
昨夜車に乗っていないのを確認した時に、既に元彼は家の中にいて、お父さんお母さんと和気あいあいと酒を酌み交わしていたそうだ。
元彼は、両親にはすごくいい顔をするので、結構気に入られているそうだ。
顔にアザをつけられても、両親には「お前が悪いからやろ」と言われて、取り合ってくれないらしい。

元彼は両親に気に入られたいばかりに、悪い印象はいっさい植え付けない。
その日も彼女が帰ってきたら、長居すると悪いのでと言い、そそくさと帰って行ったそうだ。


なんてしたたかな奴なんだ。
両親も未だに元彼の本性がわかっていない。



俺はどうしたらいい…
彼女はどうしたらいい…

No.44 11/10/06 22:55
リキ ( ♂ yKPs1 )

彼女との話し合い。

両親は俺の存在をまだ知らない。
今、俺がしゃしゃり出ても逆効果だ。
とにかく元彼の本性を知ってもらうしかないと判断した俺達は、まず、もう一度元彼のありのままを両親に説明する。
理解してくれればそれでいいが、理解してくれなかった場合は俺が説明しに行く。
こうなりゃもう行くしかないと思った。

俺もこのまましばかれたまんまで終わってしまうのも釈然としない。
こちらに何も非がないのだから、真実をぶちまけて理解してもらいたい。

もし理解してもらえなかったら…

そこまで考えられない。
やるしかない。

No.45 11/10/06 23:11
リキ ( ♂ yKPs1 )

まず、彼女が一週間かけて元彼のありのままを説明。
意外とすんなり受け入れられたそうだ。

俺の存在はまだ明かされていない。
明かされていないというより、必要ないのかなと勘ぐってしまう。
彼女にとって俺はどんな存在なんだろう…


一週間後の休みの日、彼女から話を聞こうと会う約束を取り付けた。
両親とはいったいどういう話になったのか。
その後の元彼の行動はどうなのか。
俺はどうすればいいのか。


両親は、最初は信用してくれなかったが、根気よく話したらようやくわかってくれた。
元彼は音沙汰なし。
でもいつ突然現れるか、怯える毎日が続いている。

俺はどうしたらいいか…

今はまだ何も行動しないで…

それが彼女の答えだった。
なんか歯がゆい。

No.46 11/10/07 12:57
リキ ( ♂ yKPs1 )

彼女の言う通りにする条件として、何かあったら逐一報告するよう約束した。
俺の知らないところでまた殴られたり、連れ去られたりしたら、たまったもんじゃない。

俺が守ってやりたい。

しかし、彼女と電話やメールはするものの、元彼情報は何もなかった。
通勤時、彼女とすれ違う時も、彼女の顔が腫れていることはなかった。

もう諦めたのだろうか。
いや、油断は禁物である。
いつでも助けに行けるように、臨戦態勢は整えておいた。


そういえば、俺はまだ正式に告っていない。
今の二人の関係をどう捉えればいいのだろう。
彼女はもう付き合ったつもりでいるのだろうか。




俺はまだ手を出していない。

No.47 11/10/07 13:43
リキ ( ♂ yKPs1 )

けじめとして、きちんと付き合おうという言葉を彼女に伝えたい。
今度会う時に必ず言おう。





週末の約束を取り付けた。




よし、今度こそ彼女を俺のものにするぞ❗

週末の待ち合わせ場所。
俺はワクワクでもあり、ドキドキでもあった。
期待で胸が高ぶっていたが、そういう素振りは見せず、1日を楽しく過ごした。

夕方になり、辺りも薄暗くなってきていい感じ。
夕食を食べようとレストランを探して歩いている途中でふいに立ち止まり、こう言った。

「ずっと言おうと思ててん。付き合お」




「…」

「あれ?」

「ごめん…。もう少し考えさせて」

えっ⁉うそっ❗なんで‼
俺はてっきりすんなりOKをもらえるものだと思い込んでいた。
ショック大だ。
今からどうすればいいか。
あまりのショックにその場に佇んでしまった。

「もう帰ろ」

彼女はそう言って歩き出した。

仕方なく俺も歩き始めたが、なんか解せない。
気持ちの整理がつかないまま帰路についた。



お互い無言だった。

No.48 11/10/07 17:04
リキ ( ♂ yKPs1 )

車中気まずい。
非常に気まずい。
この雰囲気を打破するには無意味なことを何気なく喋った方がいいのだろうか。

「昨日仕事中、無性にタバコが吸いたくなってな、喫煙所に行ってタバコ出そうとしたらあらへんねん。よう考えたらタバコ止めたんやったわ。タバコ止めたことを忘れとるやなんて俺ってあほやな。ハハ…」
「…」

余計に気まずい。

こうなりゃなんで付き合ってもらえないのか、はっきり聞いた方がすっきりするのではないか。
思い切って聞いてみた。

「何を考えるん?」
「…だって元彼のことはっきりさせとかなまた迷惑かけるやん」

そうか。
今日1日楽しかったから、元彼のことが頭から吹っ飛んでた。
俺が何とかする…と、言いたかったが、俺の方こそ彼女に迷惑をかけている気がする。
彼女の考えを尊重しよう。


待つことにした。

No.49 11/10/07 23:00
リキ ( ♂ yKPs1 )

彼女を自宅まで送ったあと、他愛もないメールのやり取りをした。

翌日からも電話やメール。
でも元彼の話はまるで無し。
待つと決めたのに、何も情報が入らないと気が気でない。
デートしてた時はまるっきり忘れてたのに、離れてしまうとすごく気になる。
こんなもんなのか。


たまにちらっと彼女にそれとなく聞いたりしたが、何も連絡はないらしい。
諦めたのか?と思うのは時期尚早かもしれないが、彼女の口ぶりからすると本当に何もないようだ。

でも待つしかない。

ずっと待ち続けるのも辛い。
我慢しきれなくなり、行動を起こしそうになる。
俺はこらえ性がないな。

No.50 11/10/07 23:37
リキ ( ♂ yKPs1 )

あれから数週間。
まったく音沙汰なしだそうだ。
俺は、もうぼちぼちええんちゃうか?という気持ちがでかくなり、我慢できず電話で彼女に問い詰めた。

「元彼はもう大丈夫ちゃう?俺の気持ち受け入れてもらえへんやろか?」
「確かに元彼は今のところ連絡ないよ。でもこれで終わりとは思えへんの」

う~ん… まだあかんのか…
彼女のその言葉に俺は焦ったのかもしれない。

「もうええやん。付き合ってえな。それとも俺のこと嫌いになったん?」

嫌いになったのか聞いてしまったが、彼女はそもそも俺のことを好きとはい言ってない。

なんかおかしな雰囲気になってしまった。
それでも強気に
「俺はいつまで待ったらええんや?なんかだんだん弄ばれとる気がしてきたわ」

こんなこと言うべきではなかったが、この時は勢いを止められなかった。
本当はこの勢いを、この悪い流れを断ち切らなきゃならなかったが、そんなこと微塵も考えることなく思いのまま突き進んでしまった。

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